(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606098
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】交換可能なアームを備える眼鏡
(51)【国際特許分類】
G02C 5/14 20060101AFI20191031BHJP
G02C 5/22 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
G02C5/14
G02C5/22
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-561375(P2016-561375)
(86)(22)【出願日】2015年4月1日
(65)【公表番号】特表2017-510854(P2017-510854A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】IB2015052395
(87)【国際公開番号】WO2015155636
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2018年2月15日
(31)【優先権主張番号】PD2014A000093
(32)【優先日】2014年4月7日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】500064225
【氏名又は名称】サフィーロ・ソシエタ・アツィオナリア・ファブリカ・イタリアナ・ラボラツィオーネ・オッチアリ・エス・ピー・エー
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファヴァロ,ミーノ
【審査官】
池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第04219039(DE,A1)
【文献】
特開2008−122602(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02875609(FR,A1)
【文献】
中国実用新案第203259735(CN,U)
【文献】
米国特許第6908194(US,B1)
【文献】
米国特許第5052054(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0225271(US,A1)
【文献】
米国特許第6196676(US,B1)
【文献】
米国特許第5359370(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 5/14
G02C 5/22
A61F 2/00,9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能な一対の側方アーム(6)を備える眼鏡であって、
夫々の前記側方アーム(6)がヒンジ式に回動可能に接続される側方突出部(7)を両端部に有する前フレーム(2)と、
夫々の前記側方アーム(6)と前記前フレーム(2)の前記側方突出部(7)を解除可能に結合する結合装置と、
を備え、
前記結合装置は、相互保持位置から離れる方向、および相互保持位置へ向かう方向に、互いに摺動自在に係合する第一および第二の結合要素(8、9)を備え、
前記第一および第二の結合要素(8、9)は、前記相互保持位置からの素早い結合解除のための構成を有し、
前記第一の結合要素(8)は、前記前フレーム(2)の対応する前記側方突出部(7)へのヒンジ接続を目的とし、
前記第二の結合要素(9)は、対応する前記側方アーム(6)に設けられ且つ前記第一の結合要素(8)が挿入され摺動自在に嵌合される座部(12)を有し、
スナップ式結合により前記第一および第二の結合要素(8、9)を取り外し可能に互いに結合することによって、各前記側方アーム(6)の前記第一および第二の結合要素(8、9)の間では、弾性的且つ柔軟な保持を行う保持手段が提供され、
前記第一の結合要素(8)は、帯状の第一および第二の枝部(13、14)を有する帯状の本体(11)を備え、
前記第一および第二の枝部(13、14)は、前記帯状の本体(11)の共通部分(15)から、平面視で長手方向に互いに平行に延在しており、
前記第一および第二の枝部(13、14)は、互いに間隔をあけて、帯の面(P)に対し実質的に垂直な第一の方向(X)に少なくとも部分的に傾斜して延在し、かつ、互いに間隔をあけて、前記帯の面(P)に対し実質的に平行な第二の方向(Y)にも延在し、
前記第一の結合要素(8)の前記帯状の本体(11)を前記第二の結合要素(9)の前記座部(12)に挿入することにより、前記第一および第二の枝部(13、14)が、前記第一の方向(X)および前記第二の方向(Y)の両方において、前記座部(12)の対向する内側面(12a、12b;12c、12d)に当接することによって、前記第一および第二の方向(X、Y)の両方向において前記第一および第二の枝部(13、14)に生じた弾性応力の結果として、前記第一および第二の枝部(13、14)と前記側方アーム(6)の前記座部(12)との係合が可能であり、
前記第二の枝部(14)に設けられた押し込み付属物(18)が貫通開口部(19)に係合される
ことを特徴とする眼鏡。
【請求項2】
前記第一の結合要素(8)は、金属材料の帯によって形成され、前記第一および第二の枝部(13、14)は、弾性復元力を非変形位置に加えるために、弾性変形を受けることができ、前記弾性復元力は、対応する前記側方アーム(6)の前記座部(12)への摩擦嵌合による前記帯の変形の結果として、前記第一および第二の枝部(13、14)に生成される、請求項1に記載の眼鏡。
【請求項3】
前記保持手段は、前記帯状の第一および第二の枝部(13、14)の一方に設けられた押し込み付属物(18)の支持面(18a)を備え、前記第一および第二の結合要素を軸方向に嵌合するため、前記第一の結合要素(8)の前記第二の結合要素(9)への嵌合ステップの完了後に、前記支持面(18a)は、前記アームの面止め部(19a)と接触可能であって、対応する前記帯状の第一および第二の枝部(13、14)の前記弾性復元力の動きに反する前記押し込み付属物(18)に加えられた圧力の結果として、前記第一および第二の結合要素(8、9)が互いに摺動自在にするために、前記支持面(18a)と前記止め部(19a)は係合が解除される、請求項2に記載の眼鏡。
【請求項4】
前記押し込み付属物(18)は、前記第一および第二の結合要素(8、9)の相互保持の状態において、前記アーム(6)の貫通開口部(19)に収容され、前記止め部(19a)は、前記貫通開口部(19)の輪郭に沿って、前記貫通開口部(19)の厚さ方向に形成される、請求項3に記載の眼鏡。
【請求項5】
前記帯状の第二の枝部(14)は、長手方向の範囲および横幅の外形寸法において、前記帯状の第一の枝部(13)の対応する外形寸法よりも大きく、前記押し込み付属物(18)は、前記帯状の第二の枝部(14)の一部に設けられる、請求項4に記載の眼鏡。
【請求項6】
前記第一の方向(X)において測定された前記アームの前記座部(12)の内部横幅の寸法は、非変形状態における前記帯状の本体(11)の対応する横幅よりも小さく、そのため、前記帯状の本体(11)の前記座部(12)への摩擦嵌合が、前記帯状の本体(11)に弾性変形を生じさせ、その結果、弾性応力が、少なくとも前記第一の方向(X)に生成される、請求項1から5のいずれか1項に記載の眼鏡。
【請求項7】
前記第二の方向(Y)において測定された前記側方アーム(6)の前記座部(12)の内部横幅の寸法は、非変形状態における前記帯状の本体(11)の対応する横幅よりも小さく、そのため、前記帯状の本体(11)の前記座部(12)への摩擦嵌合が、前記帯状の本体(11)の弾性変形を生じさせ、前記第二の方向(Y)に弾性応力をもたらす、請求項6に記載の眼鏡。
【請求項8】
前記座部(12)の対向する内側面(12c、12d)は、前記第二の方向(Y)において互いに対向し、所定の角度(A)のテーパで互いに傾斜し、テーパの前記角度(A)が前記座部(12)の口部に向かって広がっている、請求項7に記載の眼鏡。
【請求項9】
前記貫通開口部(19)に対向する前記座部(12)の前記内側面(12b)は、対向する前記内側面(12a)に向かって傾斜している端部を有し、傾斜している前記端部は、前記第二の枝部(14)の自由端において延びている前記第二の枝部(14)の先端部に接触可能である、請求項7または8に記載の眼鏡。
【請求項10】
前記第一の結合要素(8)は、前記帯状の本体(11)から延びているヒンジ要素(10)を備え、ヒンジ軸(C)は、前記ヒンジ軸(C)の周囲において、前記前フレーム(2)の前記側方突出部(7)に設けられた第二のヒンジ要素(10’)との、回動自在な接続のために画成され、前記帯状の本体(11)は、前記ヒンジ軸(C)が前記第一の方向(X)に対して実質的に垂直に、または平行になるように形成され、前記押し込み付属物(18)は、前記側方アーム(6)の横方向に、または90°回転された位置に設けられるように形成される、請求項3から9のいずれか1項に記載の眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載した特徴を有する、交換可能なアームを備える眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、眼鏡フレームに関する特定の技術分野を含み、それに対して交換可能な側方アームを備えている。
【0003】
このような権利は、利用者が交換可能なアームを利用して、異なる形状、材料、および色のアームを、同じ前フレームに連動させることを可能にすることで、フレームを自分好みに変更可能にする、高まる要求を満たしている。眼鏡を自分好みに変更するというこの分野で見られる問題の一つは、多くの者は適切な器用さや能力、および、一般的に小さな構成要素を有する取り付けおよび結合装置において作業するためのツールを有しておらず、その構成要素は、ねじ式の小さなシステムを有することもあり、かなり複雑で壊れやすく、変形や破損のリスクを伴い、有効性および信頼性に関して不利な点もあるため、眼鏡の前部におけるアームの交換可能な結合システムに関する技術は制限を伴う可能性を有していることである。従来技術において、眼鏡における交換可能なアームのためのクイック係合システムの利用を可能にする解決策が公知であり、その場合、一連のアームは、特定のツールを持たない非熟練者でも容易に取り扱うことを可能にするスナップ式接続を有するクイックフィット機構を用いて、前方部への係合を目的とするヒンジ要素の端部に接続することができる。
【0004】
このような係合システムの一実施例は米国特許第6834952号から公知である。そこに記載されているシステムは、互いの部分を嵌合することで軸方向の固定が可能となる保持手段を備え、嵌合によって弾性且つ柔軟なプッシュボタンが形成され、保持手段の係合が解除されるまでそれが押されたとき、アームのフレームからの素早い係合解除を可能にし、アームの交換を容易にする。これらのクイックフィット係合システムに関する特定の分野においては、接続状態の安定性に関して制限を有している。実際に、従来のシステムでは、一方ではアームの容易且つ迅速な交換が可能となるが、他方では眼鏡の前フレームとアームの係合中および係合解除中の動きを容易にするために設けられた係合部の連結遊びによって、嵌合部分の接続における適切な安定性を保証していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、公知の解決策を参照して上述した制限を克服するよう構造的且つ機能的に設計される、交換可能なアームを備える眼鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的および以下に記載されている他の目的は、添付請求項に従って構成された、交換可能なアームを備える眼鏡を用いた本発明によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の更なる特徴および利点は、添付図面を参照して非制限的に例示されている好ましい実施の形態の以下の詳細な説明から明らかになる。
【
図1】
図1は、本発明により構成された交換可能なアームを備える眼鏡フレームの平面図である。
【
図3】
図3は、
図1の眼鏡の交換可能なアーム部の部分斜視図であって、異なる動作状態を示している。
【
図4】
図4は、
図1の眼鏡の交換可能なアーム部の部分斜視図であって、異なる動作状態を示している。
【
図5】
図5は、
図1の眼鏡の交換可能なアーム部の部分斜視図であって、異なる動作状態を示している。
【
図6】
図6は、先行の図面の別の詳細な平面図である。
【
図7】
図7は、先行の図面の別の詳細な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上述の図面には、本発明により構成された交換可能なアームを備える眼鏡1が全体として示されている。
【0009】
眼鏡は、閉じた輪郭を有し、且つ中央鼻支持部4により接続されている、夫々がレンズを保持する円形部材3を含む、前フレーム2を備えている。レンズを保持する円形部材3は、夫々レンズ5を収容および保持するために設けられている。
【0010】
前フレーム2には、夫々の側方アーム6との間の関節接続のための一対の対向する側方突出部7が設けられている。
【0011】
また、眼鏡1は、対応する突出部7に対して各アーム6の結合が解除可能な装置を備えている。この結合装置は、左右各装置のアセンブリのための対応する構成要素の潜在的構造を除いて同一の機能を有するため、一方の装置だけを以下に詳細に説明する。
【0012】
結合装置は、相互保持位置から離れる方向、および相互保持位置へ向かう方向に、互いに摺動自在に係合するために、およびこの位置からの素早い係合解除のために、第一の結合要素8および第二の結合要素9が設けられている。
【0013】
第一の結合要素8は、フレームの対応する側方突出部7へのヒンジ接続を目的とし、その目的のために、要素の一方の端部に、対応する穴10’と協働する一対のヒンジ式の穴10を備えている。穴10’は、穴10および穴10’に係合されるヒンジピン(図示せず)との関節接続のために側方突出部7に取り付けられている。関節接続されているヒンジ軸は、符号Cで示されている。
【0014】
さらに第一の結合要素8は、帯状構造を有し、具体的には、金属材料の薄い帯によって形成されている本体11を備え、理論上の帯の面Pが画成され、その帯の面Pは、変形していない平坦構造とみなした場合に、帯の両面と平行に延びていると理解されたい(帯の厚さはその面の間に画成される)。帯の面は、
図7において、符号Pで示されている軸によって画成されている。
【0015】
第二の結合要素9は、対応するアーム6に設けられ、且つ帯状の本体11によって摺動自在に係合する座部12を備えている。座部12は、突出部7に面しているアームの端部6aからアーム6の長手展開方向に細長い止まり穴によって画成されている。そのアームの端部において、上述の座部を画成している穴は、帯状の本体11の挿入のための口部を画成するように開いている。以下でより明確に認識されるが、各アーム6の結合要素8
と9
との間
では、
スナップ式結合システムにより、当該結合要素
8と9を軸方向に取り外し可能に互いに固定および保持
する、弾性
的且つ柔軟な保持
を行う保持手段が
提供される。
【0016】
帯状の本体11には、帯状の本体の共通部分15から、主たる長手方向に互いに平行に延びている帯状の第一の枝部13および第二の枝部14が設けられている。さらに、帯状の枝部13、14は、互いに間隔をあけて、帯の面Pに対し実質的に垂直な第一の方向Xに、および帯の面Pに対し実質的に平行な第二の方向Yに延びている。その構造の結果、帯状の枝部13、14は、方向XおよびYにおいてアームの座部12と係合が可能となる外形寸法を有し、座部の対向する内側面12a、12bおよび12c、12dのペアと対応する第一の方向(X)および第二の方向(Y)に接触する。その接触部は、帯状の枝部13、14のそれらの方向における弾性応力の効果によってもたらされ、且つ帯が相対軸方向保持位置に達するまで座部に挿入される際の互いの相対摺動中における、座部12と帯状の本体11との接触によって形成される。
【0017】
より詳細には、帯状の枝部13は、他方の枝部の方向に傾斜している端部13aを除いて、大部分が帯の面Pと平行に延びている。また、枝部13は、横方向に広がりを有し、方向Yにおいて帯の面と平行に測った場合に、枝部14の対応する横幅よりも小さい。
【0018】
帯状の枝部14は、共通部分15から延び、帯の面から傾斜して突出する第一の部分14aを有し、その第一の部分は帯の面と実質的に平行である第二の部分14bまで延び、その第二の部分は、帯の面に向かうように傾斜している第三の部分14cまで延びている。第三の部分14cはさらに、
図8の帯状の本体11の構造に明確に図示されているように、帯の面から間隔をあけて、その帯の面と実質的に平行である直線状の輪郭を有する先端部となる第四の部分14dまで延びている。
【0019】
図9を参照すると、帯状の枝部13の長さは、枝部14よりも短い。枝部14から延びた上述の先端部はさらに、座部12を画成している穴の端部16に収容されている。その穴の端部において、内側面基部12bは、反対側の内側面12aに向けて傾斜している面を有し、その機能については、以下の説明において明確に記載されている。
【0020】
第二の部分14bの領域において帯状の枝部14に取り付けられたプレート状の押し込み付属物が全体的に符号18で示されており、その付属物は、アームの貫通開口部19と実質的にぴったり合って係合するように形成されている。その開口部は、内側面12aの領域において、座部12の内部の方向に開いている。
【0021】
押し込み付属物18が、開口部19に係合されるために弾性に圧迫され、相互保持位置に達したときに、アーム6と帯状の本体11を軸方向に嵌合するために、その付属物が座部12の内部で、帯状の本体11の軸方向保持手段として作用できるように、開口部19の外形輪郭の厚さ部分によって画成される面止め部19aと接触可能な支持面18aが押し込み付属物18に画成されている(
図5)。
【0022】
開口部19の係合を解除させる(支持面18aを止め部19aから離す)ために、および帯の座部12から摺動自在にするために、押し込み付属物18に、帯状の本体11の弾性付勢力とは逆の圧力を加えた結果として、相互保持位置から、その座部内での帯状の本体11を摺動させることができる(
図4)。その結果、押し込み付属物18は、保持手段と、帯状の本体のアームからの素早い係合解除を可能にするために圧力を加えることができるプッシュ式手段との両手段として作用している。
【0023】
図6を参照すると、帯の面Pにおいて第二の方向Yで測定された帯状の本体11の空間的要件は、実質的に一定である。
【0024】
さらに、対向する内側面12a、12b間において第一の方向Xで測定されたアームの座部12の内部横幅の寸法は、非変形状態とみなした場合、帯状の本体11の対応する横幅よりも小さい。その構造の結果として、帯状の本体の座部内への挿入中に、帯状の本体は、(結合接触の影響により)第一の方向Xにおいて弾性的に変形し、幅が減少されることになる。枝部13、14の異なる寸法の効果のため、より柔軟性のある枝部13が、帯の座部内への結合中に横方向に撓ませるものである。
【0025】
(帯の変形によってもたらされた弾性復元力の影響の結果として)付属物18と開口部19が係合して収容され、帯状の本体が座部内に完全に嵌められた場合、帯状の本体には、その帯を座部の対向する内側面12a、12bに押し付ける傾向がある弾性付勢力が依然として生成され、方向Xにおける何らかの結合の遊びが低減およびほとんど排除され、そのため、帯と座部との間の相対的な相互嵌合の安定性に寄与する。
【0026】
対向する内壁面12c、12dの間において第二の方向Yで測定された座部12の内部横幅の寸法は、座部の軸方向範囲において、一定ではない。実際には、内壁面12c、12dは、座部の口部に向かって開いているテーパ角度Aで互いに対して傾斜して所定の円錐形を有するように設けられている。好適な選択は、0.5°のテーパ角度を備え、それらの内壁面は、座部の狭い基部に関する限り、互いに傾斜している。
【0027】
座部12のこの漸進的に狭くなるという効果のため、(座部の口部の寸法に等しい一定の横幅寸法を有する)帯状の本体11は、座部内での係合摺動中に、方向Yの弾性変形を受ける。実際には、より柔軟性のある枝部13は、枝部14の方向に曲げられており、弾性的に折れる傾向がある。弾性圧迫を結果としてもたらす帯のその変形は、寸法の違いによるあらゆる結合の遊びを補正して、座部内部での帯状の本体の結合安定性を確実にするある種の接触結合をもたらしている。
【0028】
結合安定性がX方向およびY方向においてどのようにして同時に得られるかは、相互保持位置に達するまで相対的に摺動し接触する帯と座部間の効果により、帯状の本体にもたらされるそれらの方向への変形の結果において、観察することができ、押し込み付属物18は結合要素8、9間との軸方向の嵌合を確実にしている。
【0029】
座部の基部16の領域における傾斜している内側面12bは、帯状の本体とアームの座部の係合状態の解除を容易にするように形成されている。アームの外側から押し込み付属物18に圧力が加えられると、その付属物に固定結合されている帯状の枝部14は、その付属物が座部12の内部で移動可能にするために弾性的に変形し(開口部19の係合を解除する)、それによって、帯状の本体の取り外しのために、座部に関連する本体の軸方向の摺動を可能にする。押し込み付属物18に圧力が加えられている間、枝部14は、内側面12bの傾斜部に接触し、その傾斜が、係合解除を容易にするのに帯を適切な変形に誘導し、押し込み付属物の反対側の座部内壁面に帯がぶつかるのを防いでいる。
【0030】
記載されている実施例では、本体11の帯の面Pは、ヒンジ軸Cと実質的に平行な方向で設けられている。その構造によれば、押し込み付属物18はアームの側方面に設けられ、眼鏡が着用されている状態でも(外から)見える箇所にある。
【0031】
その装置のアーム内部での異なる方向付けも可能であるが、記載されているものは好適な選択であることを理解すべきである。代替例として、例えば、上述した構造に対して90°回転させたものにおいて、その装置が、ヒンジ軸Cが帯の面Pに対して垂直(すなわち、第二の方向Y)になる方向に設けられることも可能であり、この場合、押し込み付属物はアームの下側に設けられ、眼鏡が着用された状態では(外から)見えない箇所となる。
【0032】
したがって、本発明は、公知の解決策に関して記載されている利点をもたらすことにより、上述の目的を達成している。
【0033】
主な利点は、本発明の結果として、眼鏡の前フレームへの交換可能なアームの結合中の安定性の改善が得られるということである。いかなる結合の遊びも排除された状態で、結合された部分の間の接触係合が改善され、同時にアーム自体の交換機能である、フレームからの素早いアームの係合解除という動作の容易さおよび単純さを可能にしている。