(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606152
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】電子機器及び電子機器システム
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20191031BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
H04R1/00 310D
H04R1/02 102Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-205245(P2017-205245)
(22)【出願日】2017年10月24日
(65)【公開番号】特開2019-80154(P2019-80154A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2018年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】龍崎 正憲
【審査官】
鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/115345(WO,A1)
【文献】
特開2017−112172(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0341711(US,A1)
【文献】
米国特許第5852545(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00−1/02
G06F 1/00−1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、該筐体内に搭載され、内部に搭載した磁石の磁力によって振動を起こして膜を震わせて音を発生させるスピーカーと、を備える電子機器であって、
当該電子機器を外部機器に対して着脱可能に装着するための吸引用磁石を備え、
前記吸引用磁石と前記スピーカーとの間に、前記吸引用磁石の磁力を遮断することで、該吸引用磁石の磁力が前記スピーカーに搭載された磁石の振動に影響を及ぼすことを抑制可能な磁気シールド性を有する材料で形成された締結具が配置されており、
前記スピーカーと吸引用磁石とは、互いに隣接して配置されると共に、互いの間に挟まれるように前記締結具が配置されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記吸引用磁石と前記スピーカーとは、前記筐体の外壁部に面して配置されると共に、前記締結具を間に挟んで並んでいることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
筐体と、該筐体内に搭載され、内部に搭載した磁石の磁力によって振動を起こして膜を震わせて音を発生させるスピーカーと、を備える電子機器であって、
当該電子機器を外部機器に対して着脱可能に装着するための吸引用磁石を備え、
前記吸引用磁石と前記スピーカーとの間に、前記吸引用磁石の磁力を遮断することで、該吸引用磁石の磁力が前記スピーカーに搭載された磁石の振動に影響を及ぼすことを抑制可能な磁気シールド性を有する材料で形成された締結具が配置されており、
前記筐体内には、前記スピーカーと前記締結具との間となる位置、又は前記吸引用磁石と前記締結具との間となる位置に、磁気シールド性を有する材料で形成された板状部材が配置されていることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
筐体と、該筐体内に搭載され、内部に搭載した磁石の磁力によって振動を起こして膜を震わせて音を発生させるスピーカーと、を備える電子機器であって、
当該電子機器を外部機器に対して着脱可能に装着するための吸引用磁石を備え、
前記吸引用磁石と前記スピーカーとの間に、前記吸引用磁石の磁力を遮断することで、該吸引用磁石の磁力が前記スピーカーに搭載された磁石の振動に影響を及ぼすことを抑制可能な磁気シールド性を有する材料で形成された締結具が配置されており、
前記筐体内には、電子部品の取付板となるフレーム部材が配置され、
前記締結具は、前記筐体と前記フレーム部材とを締結するねじであることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子機器と、該電子機器と電気的に接続され、前記電子機器の機能を拡張する前記外部機器と、を備える電子機器システムであって、
前記外部機器は、磁力によって前記吸引用磁石と吸引する吸引体を有し、
前記吸引用磁石と前記吸引体とが互いに吸引されることで、前記電子機器と前記外部機器とが着脱可能に装着されることを特徴とする電子機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカーを備える電子機器及び電子機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
タブレット型パーソナルコンピュータ(タブレット型PC)やスマートフォン等の電子機器は、可搬性を考慮して軽量コンパクトに構成されているため、その機能が制限されている場合も多い。この種の電子機器は、例えばキーボードが搭載されていないため、長文の入力作業等に支障を生じる場合もある。
【0003】
そこで、特許文献1には、タブレット型PCに磁石を搭載し、この磁石の磁力を利用してキーボードを搭載した外部機器にタブレット型PCを着脱可能とした構成が提案されている。この構成によれば、タブレット型PCを用途に応じてノート型PCのように利用できるため、高い利便性が得られる。
【0004】
上記のような電子機器は、その筐体内に音楽や音声等の出力用のスピーカーを搭載している。スピーカーは、内部に搭載した磁石の磁力によって振動を起こして膜を震わせ、音を発生させる構造となっている。このため、スピーカーの近傍に磁力の強い磁石が配置されると、スピーカー内部の磁石が適正に振動せず、音が発生しなかったり、違う音階の音が発生したりする不具合を生じる可能性がある。従って、外部機器との着脱用の磁石からのスピーカーへの影響が少なくなるように、スピーカーと磁力とを必要な範囲で遠ざけて配置するように設計するのが通例であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−48520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような電子機器は、筐体内にバッテリ装置や基板等の多数の電子部品やディスプレイを搭載しているため、通常、スピーカーは筐体の外壁部の内面に面した位置に配置される。一方、外部機器への着脱用の磁石についても、十分な吸引強度を確保するために、高い磁力を有するものを筐体の外壁部に面して配置することが望ましい。そして、タブレット型PCのような電子機器は、筐体内での部品の設置スペースが限られており、筐体の外壁部及びその近傍には接続端子やアンテナ装置等の他の部品の設置スペースも必要となる。このため、着脱用の磁石をスピーカーから十分に遠ざけた配置にすることが難しい場合がある。また、筐体内のスペース効率や設計自由度の観点からも、スピーカーと磁石の相互間距離を考慮せず、それぞれを所望の位置に配置したいという要望もある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、磁石とスピーカーとを搭載した構成であっても、筐体の小型化を図りつつ、スピーカーでの不具合の発生を防止することができる電子機器及び該電子機器を備えた電子機器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様に係る電子機器は、筐体と、該筐体内に搭載されたスピーカーと、を備える電子機器であって、当該電子機器を外部機器に対して着脱可能に装着するための吸引用の磁石を備え、前記磁石と前記スピーカーとの間に、磁気シールド性を有する材料で形成された締結具が配置されている。
【0009】
このような構成によれば、部材や部品の締結に用いる締結具を利用して磁石の磁力を遮断することができ、スピーカーが磁石の磁力によって不具合を生じることを防止できる。特に、磁石は、外部機器との吸引用であるため、大きな磁力を持った強力な磁石を採用することが望ましく、スピーカーに対する影響を及ぼし易いが、当該電子機器では締結具によってこの磁力を遮断できる。これにより、磁石とスピーカーとの間に大きな間隔を設ける必要がなく、それぞれを所望の位置に配置することができるため、筐体内での各部品の設置効率が向上し、筐体の小型化を図ることができる。しかも当該電子機器では、既設の締結具を磁気シールド部材として利用できるため、部品の設置スペースを一層低減することができる。
【0010】
前記磁石と前記スピーカーとは、前記筐体の外壁部に面して配置されると共に、前記締結具を間に挟んで並んでいる構成であってもよい。つまり、当該電子機器は、締結具による磁力の遮断効果により、スピーカーの配置に関係なく、磁石を外壁部に面して配置できる。このため、磁石と外部機器側の吸引体との間の吸引力を最大限に発生させることができ、電子機器の外部機器に対する着脱時の操作性が向上すると共に、装着後の安定性が確保される。しかも、磁石が外壁部に面して配置されることで、磁石のサイズを最適化して最小限の大きさに形成することができ、そのコストや設置スペースを低減できる。
【0011】
前記筐体内には、前記スピーカーと前記締結具との間となる位置、又は前記磁石と前記締結具との間となる位置に、磁気シールド性を有する材料で形成された板状部材が配置された構成であってもよい。そうすると、磁石の磁力がスピーカーに影響することを一層確実に防止できる。しかも当該電子機器では、磁石の磁力を締結具で遮断できるため、板状部材を別途設けるとしても、この板状部材の大きさは最小限でよく、その部品コストや部品の設置スペースを最小限に抑えることができる。
【0012】
前記筐体内には、電子部品の取付板となるフレーム部材が配置され、前記締結具は、前記筐体と前記フレーム部材とを締結するねじであってもよい。
【0013】
本発明の第2態様に係る電子機器システムは、上記構成の電子機器と、該電子機器と電気的に接続され、前記電子機器の機能を拡張する前記外部機器と、を備える電子機器システムであって、前記外部機器は、磁力によって前記磁石と吸引する吸引体を有し、前記磁石と前記吸引体とが互いに吸引されることで、前記電子機器と前記外部機器とが着脱可能に装着される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上記態様によれば、磁石とスピーカーとを搭載した構成であっても、筐体の小型化を図りつつ、スピーカーでの不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器を備えた電子機器システムの構成を模式的に示す正面図である。
【
図2】
図2は、電子機器の内部構造を模式的に示す背面図である。
【
図3】
図3は、スピーカー及び磁石の位置関係を示す要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器10を備えた電子機器システム12の構成を模式的に示す正面図である。
【0018】
図1に示すように、電子機器システム12は、互いに着脱可能な電子機器10と外部機器14とを備える。以下では、電子機器10及び外部機器14について、
図1に示す正面視を基準とし、幅方向を左右、高さ方向を上下と呼んで説明する。本実施形態の場合、電子機器10はタブレット型PCであり、外部機器14はキーボード装置である。電子機器10は、単体でタブレット型PCとして利用可能であることは勿論、外部機器14に装着した状態ではノート型PCのように利用可能である。
【0019】
電子機器10は、筐体16と、ディスプレイ18とを備える。
【0020】
筐体16は、ベゼル部材20と、カバー部材22とで前面が開口した薄い箱状に構成されている。ベゼル部材20は、筐体16の前面でディスプレイ18の周囲を囲む前面壁20aと、筐体16の四周側面を形成する外壁部20bとを有する枠状部材である。カバー部材22は、ベゼル部材20と連結され、筐体16の後面を形成する板状部材である。ベゼル部材20及びカバー部材22は、例えば樹脂材料や金属材料で形成されている。
【0021】
ディスプレイ18は、筐体16の前面に設けられている。ディスプレイ18は、例えばタッチパネル式の液晶ディスプレイである。
【0022】
本実施形態の場合、電子機器10は、筐体16の下方の外壁部20bの外面(下面)が外部機器14に対する装着面16aとなる。筐体16は、装着面16aの内面16b側にスピーカー24と磁石26とを搭載している(
図2も参照)。本実施形態の場合、スピーカー24及び磁石26は、左右一対設けられている。磁石26は、例えばネオジム磁石である。
【0023】
外部機器14は、筐体28の上面にキーボード30を備える。外部機器14は、無線又は有線によって電子機器10と電気的に接続され、電子機器10に物理的なキーボード機能を付与する機能拡張装置である。外部機器14は、キーボード機能と共に又はキーボード機能に代えて、電子機器10の処理機能、電源機能或いは周辺機器やネットワークに対する接続機能等を有してもよいし、電子機器10の起立保持用のスタンド機能等を有してもよい。
【0024】
外部機器14は、筐体28の上面後端部、つまり筐体28のキーボード30後方上面が電子機器10の装着面16aを装着する被装着面28aとなる。筐体28は、被装着面28aの内面側に吸引体32を搭載している。吸引体32は、電子機器10側の磁石26と吸引する可能な構造であり、例えば磁石又はスチール等の金属部材である。吸引体32は、磁石26と対向するように左右一対設けられている。
【0025】
図2は、電子機器10の内部構造を模式的に示す背面図であり、ベゼル部材20からカバー部材22を取り外した状態を示している。
【0026】
図2に示すように、筐体16の内部には、フレーム部材34が設けられている。フレーム部材34は、マグネシウムやアルミニウム等の金属材料によって形成され、各所に孔部が形成された板状の部材である。フレーム部材34は、電子機器10に搭載されるスピーカー24等の各種電子部品の取付板となる。フレーム部材34を省略し、各電子部品を筐体16を構成するベゼル部材20やカバー部材22に直接的に取り付けてもよい。
【0027】
筐体16内に搭載される電子部品としては、スピーカー24の他、基板35、バッテリ装置36、アンテナモジュール37,38、カメラモジュール39、操作スイッチ40、接続端子41,42,43,44,45,46、ロック部材47等が例示される。アンテナモジュール37,38は、携帯電話通信規格や無線LAN(Local Area Network)等の各種無線通信のためのアンテナである。操作スイッチ40は、電源スイッチや音量調整スイッチ等である。接続端子41〜46は、USB(Universal Serial Bus)規格のコネクタやイヤホン接続端子等である。ロック部材47は、図示しないワイヤ式ロックキー等をロックする部品である。
【0028】
図2に示すように、アンテナモジュール37,38、カメラモジュール39、操作スイッチ40、接続端子41〜46、ロック部材47等の各部品は、筐体16の外壁部20bの内面に沿って配置されている。また、磁石26は、その機能上、装着面16aに近接した位置、本実施形態の場合は下側の外壁部20bの内面16bに面して配置されている。磁石26は、外壁部20bの外面側、つまり装着面16a側に露出して配置されてもよい。筐体16内には、さらにデジタイザペン48の収納部49が左側の外壁部20bの内面に沿って設けられている。収納部49は、フレーム部材34の左側端部に設けられ、デジタイザペン48を挿抜可能な溝部である。
【0029】
上記の通り、電子機器10は、筐体16内の中央部にディスプレイ18、基板35及びバッテリ装置36を備え、筐体16内の外壁部20bに面した位置にアンテナモジュール37,38や接続端子41〜46等の各部品を備える。すなわち、電子機器10は、筐体16の上側の外壁部20bに面した位置には、
図1に示すようなノート型PCの使用形態で、上方に配置することが望ましいアンテナモジュール37,38やカメラモジュール39が設けられる。また、電子機器10は、筐体16の左右側の外壁部20bに面した位置には、
図1に示すようなノート型PCの使用形態での使用が想定される操作スイッチ40、接続端子41〜46、ロック部材47、収納部49が設けられる。このため、スピーカー24は、筐体16内での設置スペースが大きく制約されることになる。換言すれば、スピーカー24は、
図2に示す構成例の場合、下側の外壁部20bに面した位置以外への配置が難しい。そこで、本実施形態の場合、スピーカー24は、磁石26と隣り合う位置で、下側の外壁部20bの内面16bに面して配置している。
【0030】
図3は、スピーカー24及び磁石26の位置関係を示す要部拡大斜視図であり、
図2に示す左側のスピーカー24及び磁石26とその周辺部とを拡大した図である。なお、右側のスピーカー24及び磁石26についても、
図3に示す左側のスピーカー24及び磁石26と左右対称配置である以外は同様な設置構造となっている(
図2参照)。
【0031】
図2及び
図3に示すように、スピーカー24は、下側の外壁部20bの内面に近接配置され、磁石26は、スピーカー24の側方で下側の外壁部20bの内面に近接配置されている。本実施形態の場合、スピーカー24は、フレーム部材34の内面に形成された凹部34a内に取り付けられている。磁石26は、凹部34aと壁体34bを介して隣接した別の凹部34c内に取り付けられている。
【0032】
スピーカー24と磁石26との間には、締結具50が配置されている。締結具50は、フレーム部材34と筐体16の外壁部20bとを締結するねじである。締結具50は、磁石26の磁力を遮断可能な磁気シールド性を有する着磁材料、例えば鉄鋼系の材質で形成されている。締結具50は、外壁部20bの内面に当接配置されたフレーム部材34の取付片34dとを締結している。取付片34dは、フレーム部材34の内面から起立した板片であり、締結具50を螺合可能な雌ねじ孔が形成されている。本実施形態の場合、締結具50は、少なくとも取付片34dに螺合したねじ部50aがスピーカー24と磁石26との間に介在しており、磁石26からの磁力がスピーカー24に影響することを抑制する。
【0033】
締結具50とスピーカー24との間となる位置には、板状部材52が配置されている。板状部材52は、磁石26の磁力を遮断可能な磁気シールド性を有する着磁材料、例えばケイ素鋼板、板金、ステンレス鋼板等で形成されている。板状部材52は、凹部34a内でスピーカー24の側面に近接配置されている。板状部材52は、締結具50とスピーカー24との間と共に、又は締結具50とスピーカー24との間に代えて、締結具50と磁石26との間に配置されてもよい(
図3中に2点鎖線で示す板状部材52参照)。板状部材52は、薄く小型に形成されており、締結具50で遮断しきれなかった磁石26からの磁力を遮断する。締結具50で磁石26からの磁力を十分に遮断できる場合、板状部材52は省略できる。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る電子機器10は、スピーカー24と、当該電子機器10を外部機器14に対して着脱可能に装着するための吸引用の磁石26との間に、磁気シールド性を有する材料で形成された締結具50を配置している。
【0035】
従って、当該電子機器10によれば、磁石26の磁力を部材の締結に用いる締結具50で遮断することができ、スピーカー24が磁石26の磁力によって不具合を生じることを防止できる。特に、磁石26は、外部機器14との吸引用であるため、大きな磁力を持ったネオジム磁石を採用しているため、スピーカー24に対する影響を及ぼし易いが、締結具50によってこの磁力を遮断できる。このため、磁石26とスピーカー24との間に大きな間隔を設ける必要がなく、それぞれを所望の位置に配置することができるため、筐体16内での各部品の設置効率が向上し、筐体16の小型化を図ることができる。例えば、締結具50の利用により、スピーカー24と磁石26との間の距離を、従来の32mmから7.5mmまで小さくできた。しかも当該電子機器10では、既設の締結具50を磁気シールド部材として利用できるため、部品の設置スペースを一層低減することができる。
【0036】
当該電子機器10では、締結具50の磁力遮断効果によって磁石26やスピーカー24の設置自由度が確保されることで、スピーカー24の配置に関係なく、磁石26を装着面16aの内面16bに面して配置できる。このため、磁石26と吸引体32との間の吸引力を最大限に発生させることができ、電子機器10の外部機器14に対する着脱時の操作性が向上すると共に、装着後の安定性が確保される。しかも、磁石26が装着面16aの内面16bに面して配置されることで、磁石26のサイズを最適化して最小限の大きさに形成することができ、そのコストや設置スペースを低減できる。
【0037】
当該電子機器10では、筐体16とフレーム部材34との締結用の締結具50で磁石26の磁力を遮断できる。このため、磁気シールド用の部品を別途設ける必要がなく、或いは磁気シールド用の別部品を別途設けたとしてもその大きさを最小限に抑えることができ、筐体16の一層の小型化が可能となる。すなわち、当該電子機器10は、磁石26とスピーカー24との間に配置した締結具50だけでは磁石26からの磁力によるスピーカー24の不具合の発生を十分に抑制できない場合であっても、別途追加する板状部材52を最小限の大きさで構成することができるという利点がある。
【0038】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0039】
上記では、筐体16とフレーム部材34との締結用のねじである締結具50をスピーカー24と磁石26との間に配置した構成を例示したが、筐体16のベゼル部材20とカバー部材22との締結具や、フレーム部材34に対する各部品の締結具等をスピーカー24と磁石26との間に配置した構成としてもよい。また、締結具50はねじ以外の締結具、例えばかしめ締結用のピン等でもよい。
【0040】
上記では、電子機器10としてタブレット型PCを例示したが、本発明はスマートフォンや携帯用ゲーム機等の各種電子機器に適用できる。
【符号の説明】
【0041】
10 電子機器
12 電子機器システム
14 外部機器
16,28 筐体
16a 装着面
16b 内面
18 ディスプレイ
20 ベゼル部材
20b 外壁部
22 カバー部材
24 スピーカー
26 磁石
28a 被装着面
30 キーボード
32 吸引体
34 フレーム部材
50 締結具
50a ねじ部
52 板状部材