(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606171
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】補強高速交換ポートを有する血管内装置及び関連システム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20191031BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B1/00 526
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-508629(P2017-508629)
(86)(22)【出願日】2015年8月24日
(65)【公表番号】特表2017-529138(P2017-529138A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(86)【国際出願番号】IB2015056382
(87)【国際公開番号】WO2016030803
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2018年8月23日
(31)【優先権主張番号】62/042,998
(32)【優先日】2014年8月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(73)【特許権者】
【識別番号】515122402
【氏名又は名称】ボルケーノ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】コール ポール ダグラス
【審査官】
後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−533049(JP,A)
【文献】
特表2013−544564(JP,A)
【文献】
特表平10−500584(JP,A)
【文献】
米国特許第08104479(US,B2)
【文献】
特開2013−162952(JP,A)
【文献】
特表2016−507269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内イメージングデバイスであって、
メインカテーテルボディと、
前記メインカテーテルボディの内腔内に位置する回転イメージング要素と、
前記メインカテーテルボディからのびる遠位部であって、ガイドワイヤ内腔と連通するラピッドエクスチェンジポートを持ち、当該ラピッドエクスチェンジポートとガイドワイヤ内腔はガイドワイヤを受けるようなサイズと形状である、遠位部と、
前記ラピッドエクスチェンジポートに隣接して前記メインカテーテルボディの側壁内に位置する少なくとも一つのU字形トラフ補強要素と
を有する、血管内イメージングデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも一つのU字形トラフ補強要素が前記ラピッドエクスチェンジポートの近位位置から前記ラピッドエクスチェンジポートの遠位位置へのびる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも一つのU字形トラフ補強要素が金属、金属合金、及びプラスチックのうち少なくとも一つで形成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも一つのU字形トラフ補強要素が、前記血管内イメージングデバイスの断面において前記メインカテーテルボディの両側に互いに対向して位置される二つの補強要素を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記回転イメージング要素が超音波トランスデューサである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記回転イメージング要素が光学コヒーレンストモグラフィ要素である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ガイドワイヤ内腔が前記メインカテーテルボディの中心軸と同軸にのびる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ガイドワイヤ内腔が、前記メインカテーテルボディの中心軸とオフセットされ、ただし平行にのびる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
血管内イメージングシステムであって、
血管内イメージングデバイスであって、
メインカテーテルボディと、
前記メインカテーテルボディの内腔内に位置する回転イメージング要素と、
前記メインカテーテルボディからのびる遠位部であって、ガイドワイヤ内腔と連通するラピッドエクスチェンジポートを持ち、当該ラピッドエクスチェンジポートとガイドワイヤ内腔がガイドワイヤを受けるようなサイズと形状である、遠位部と、
前記ラピッドエクスチェンジポートに隣接して前記メインカテーテルボディの側壁内に位置する少なくとも一つのU字形トラフ補強要素と
を含む血管内イメージングデバイスと、
前記血管内イメージングデバイスと通信する処理システムであって、前記血管内イメージングデバイスによって取得されるデータを処理するように構成される処理システムと
を有する、血管内イメージングシステム。
【請求項10】
前記血管内イメージングデバイスの近位部とインターフェースし、前記処理システムと通信するように構成される患者インターフェースモジュールをさらに有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記処理システムと通信するディスプレイをさらに有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも一つのU字形トラフ補強要素が前記ラピッドエクスチェンジポートの近位位置から前記ラピッドエクスチェンジポートの遠位位置へのびる、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記ガイドワイヤ内腔が前記メインカテーテルボディの中心軸と同軸にのびる、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記ガイドワイヤ内腔が前記メインカテーテルボディの中心軸とオフセットされ、ただし平行にのびる、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも一つのU字形トラフ補強要素が金属、金属合金、及びプラスチックのうち少なくとも一つで形成される、請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して血管内デバイスに、特にガイドワイヤを受けるためのラピッドエクスチェンジ(rapid‐exchange)ポートを持つカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
長いラピッドエクスチェンジエンゲージメント(例えば20cmを超える)を持つ従来のラピッドエクスチェンジインターベンションカテーテル(例えばバルーンカテーテル)において、カテーテル上のガイドワイヤエントリポートはインターベンション術の間中ずっとガイドカテーテル内部にとどまる。ガイドカテーテルはガイドワイヤがインターベンションカテーテルに接近し平行なままであるように制限し、ガイドワイヤ若しくはインターベンションカテーテルのいずれかが顕著に曲がることを防止する。従って、ガイドワイヤが前進するとき、ラピッドエクスチェンジ内腔内の動きに対する抵抗に遭遇するときにガイドワイヤが曲がる可能性はほとんどない。同様に、カテーテルがガイドワイヤの上を前進するとき、これはガイドカテーテルの存在により座屈/脱出から制限される。
【0003】
回転IVUSカテーテル及び所定の他のインターベンション製品(OCTカテーテルを含む)は典型的にはカテーテルの先端において比較的短いラピッドエクスチェンジセグメントを組み込む。回転IVUSカテーテルは冠動脈の遠位セグメントにおけるイメージングを可能にするために非常に短いラピッドエクスチェンジ先端を要する。この短いエンゲージメント長(典型的には〜25mm)は理想的ではなく、カテーテル脱出、及びカテーテルとガイドワイヤの絡み合いのリスクを増し、一方若しくは両方のデバイスへの損傷を、或いは脱出した及び/又は絡まったデバイスが除去される際に患者の動脈への外傷さえもたらす可能性がある。しかしながら、この短いエンゲージメント長は、ガイドワイヤがカテーテルに入る場所の近位でイメージングコアが終了しなければならないので、冠循環の遠位部におけるイメージングのために必要である。ガイドワイヤがガイドカテーテルの中に戻ってラピッドエクスチェンジポートに係合するとしたら、イメージングコアはガイドカテーテルを越えて前進することができない。
【0004】
この短いエンゲージメント長は回転IVUSカテーテルに必須であるが、ガイドカテーテルの外側及び自己動脈の中へラピッドエクスチェンジエントリポートを動かす点で脆弱性があり、ここでは顕著により大きな内腔空間と柔軟性がある。ラピッドエクスチェンジ内腔を通るガイドワイヤの動きに何らかの抵抗がある場合、二つの問題シナリオのいずれかが生じ得る:(1)ガイドワイヤの前進はガイドワイヤを座屈若しくは脱出させ、エントリポートにおいて身動きが取れなくなる、又は(2)カテーテルの前進はラピッドエクスチェンジエントリポートによって作られる脆弱スポットにおいてカテーテルを座屈させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、改良されたラピッドエクスチェンジポートを含む血管内デバイス、システム及び方法の必要性が残る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態は改良されたラピッドエクスチェンジポートを持つ血管内デバイスを対象とする。
【0007】
一部の実施例において、以下を含む血管内イメージングデバイスが提供される:メインカテーテルボディ;メインカテーテルボディの内腔内に位置する回転イメージング要素;メインカテーテルボディからのびる遠位部であって、遠位部はガイドワイヤ内腔と連通するラピッドエクスチェンジポートを持ち、ラピッドエクスチェンジポートとガイドワイヤ内腔はガイドワイヤを受けるようなサイズと形状である、遠位部;及びラピッドエクスチェンジポートに隣接して位置する少なくとも一つの補強要素。一部の場合において、少なくとも一つの補強要素はラピッドエクスチェンジポートの近位位置からラピッドエクスチェンジポートの遠位位置へのびる。少なくとも一つの補強要素はワイヤ、ロッド、テーパロッド、チューブ、U字形トラフ、及び/又はスプリングコイルであり得、金属、金属合金、及び/又はプラスチックで形成され得る。さらに、一部の場合においてガイドワイヤ内腔はメインカテーテルボディの中心軸からオフセットされ、ただし平行にのびる。
【0008】
関連システム及び方法も提供される。例えば、一部の実施例において処理システムが血管内イメージングデバイスと通信する。処理システムは血管内イメージングデバイスによって取得されるデータを処理するように構成され得る。さらに、システムは血管内イメージングデバイスの遠位部とインターフェースし、処理システムと通信するように構成される患者インターフェースモジュールを含み得る。血管内イメージングデバイスによって取得される情報を視覚化するために処理システムと通信するディスプレイが利用され得る。
【0009】
本開示の追加の態様、特徴及び利点は以下の詳細な説明から明らかとなる。
【0010】
本開示の実施形態例は添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態にかかる血管内イメージングシステムの略図である。
【
図2】本開示の一実施形態にかかる血管内デバイスの部分断面斜視図である。
【
図3】血管内デバイスの遠位部の長さに沿った切断線A‐A、B‐B、C‐C、及びD‐Dにおける複数の断面端面図とともに、本開示の一実施形態にかかるラピッドエクスチェンジポートを通してガイドワイヤを受ける血管内デバイスの遠位部の断面側面図である。
【
図4】脱出位置におけるラピッドエクスチェンジポートを通してガイドワイヤを受ける血管内デバイスの遠位部の断面側面図である。
【
図5】切断線B‐Bに沿った補強ラピッドエクスチェンジポートの断面端面図とともに、本開示の一実施形態にかかる補強ラピッドエクスチェンジポートを通してガイドワイヤを受ける血管内デバイスの遠位部の断面側面図である。
【
図6】切断線B‐Bに沿った補強ラピッドエクスチェンジポートの断面端面図とともに、本開示の一実施形態にかかる補強ラピッドエクスチェンジポートを通してガイドワイヤを受ける血管内デバイスの遠位部の断面側面図である。
【
図7】本開示の一実施形態にかかるラピッドエクスチェンジポートを持つ血管内デバイスの遠位部の断面側面図である。
【
図8】本開示の一実施形態にかかる補強ラピッドエクスチェンジポートを持つ血管内デバイスの遠位部の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の原理の理解を促進する目的で、図面に例示される実施形態について言及し、それを説明するために特定言語が使用される。とはいえ本開示の範囲への限定が意図されないことが理解される。記載のデバイス、システム、及び方法、並びに本開示の原理のいかなる追加の応用へのいかなる変更及び追加の修正も、本開示が関連する分野の当業者に通常想到され得る通り、完全に考慮され本開示内に含まれる。特に、一実施形態に関して記載される特徴、構成要素、及び/又はステップは、本開示の他の実施形態に関して記載される特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わされ得ることが完全に考慮される。しかしながら簡潔にする目的で、これらの組み合わせの多数の繰り返しは個別に記載されない。
【0013】
図1を参照すると、その中に本開示の一実施形態にかかるIVUSイメージングシステム100が示される。本開示の一部の実施形態において、IVUSイメージングシステム100は回転IVUSイメージングシステムである。その点について、回転IVUSイメージングシステムの主要構成要素は回転IVUSカテーテル102、患者インターフェースモジュール(PIM)104、IVUSコンソール若しくは処理システム106、及びIVUSコンソール106によって生成されるIVUS画像を表示するモニタ108である。
【0014】
図2を参照すると、その中に本開示の一実施形態にかかる回転IVUSカテーテル102の略部分断面斜視図が示される。その点について、
図2は回転IVUSカテーテル102の構成に関する追加の詳細を示す。多くの点で、このカテーテルは、米国特許番号8,104,479に記載の、Volcano Corporationから入手可能なRevolution(登録商標)カテーテル、又はその各々が引用により全体として本明細書に組み込まれる米国特許番号5,243,988及び5,546,948に開示のものなど、従来の回転IVUSカテーテルと同様である。その点について、回転IVUSカテーテル102はイメージングコア110と外側カテーテル/シースアセンブリ112を含む。イメージングコア110は、
図1のPIM104に電気的及び機械的結合を提供する回転インターフェース114によって近位端において終了する柔軟なドライブシャフトを含む。イメージングコア110の柔軟なドライブシャフトの遠位端は超音波トランスデューサと、一部の場合においては関連回路を含むハウジング116に結合される。他の実施形態において、IVUSカテーテルは光学コヒーレンストモグラフィ(OCT)カテーテルであり、かかる実施形態においてハウジング116は光ファイバと光学イメージング要素(例えば鏡、プリズム、スキャナなど)など、OCTカテーテルの対応する部分を含み得ることが理解される。
【0015】
カテーテル/シースアセンブリ112は、回転インターフェースを支持し、カテーテルアセンブリの回転要素と非回転要素の間にベアリング面と流体シールを提供するハブ118を含む。ハブ118はルアーロックフラッシュポート120を含み、それを通して生理食塩水が注入され、カテーテルの使用時に空気を洗い流し、超音波適合性流体でシースの内腔を満たす。空気は超音波を容易に伝導しないので、生理食塩水若しくは他の同様のフラッシュが典型的に必要とされる。生理食塩水は回転ドライブシャフトに生体適合性の潤滑剤も提供する。ハブ118はテレスコープ122に結合され、これはカテーテル102の遠位部の音響的に透過性の窓124内のトランスデューサハウジングの軸方向運動を促進するよう、カテーテル/シースアセンブリ112を長くする若しくは短くすることを可能にする入れ子管状要素とスライド流体シールを含む。一部の実施形態において、窓124は最小減衰、反射若しくは屈折を伴ってトランスデューサと血管組織の間で超音波を容易に伝導する材料から製造される薄壁プラスチック管から成る。カテーテル/シースアセンブリ112の近位シャフト126はテレスコープ122と窓124の間のセグメントをブリッジし、滑らかな内腔と最適剛性を提供する材料若しくは複合材料から成るが、超音波を伝導する必要はない。
【0016】
回転IVUSカテーテル102はガイドワイヤを受けるように構成される遠位部130をも含む。特に、
図3に図示の通り、遠位部130は、図示の通りガイドワイヤ200がポート132を通って、内腔136に沿って、ポート134から外へのびることができるように、カテーテルの側壁における開口若しくはポート132、カテーテル102の遠位端における開口若しくはポート134、及びポート132と134の間にのびる内腔136を含むラピッドエクスチェンジ構成を含む。その点について、ガイドワイヤ200は患者内の所望の場所へカテーテル102の前進をガイドするために利用され得る。
図3の図示の実施形態において、内腔136はドライブシャフト110及び/又はカテーテル102の近位部の中心軸と実質的に同軸にのびる。しかしながら、以下
図7及び8の文脈で記載される通り、一部の場合において遠位部130の内腔136はドライブシャフト110及び/又はカテーテル102の近位部の中心軸に対してオフセットされる。
【0017】
図3はカテーテル102の長さに沿って様々な位置におけるカテーテルボディの断面プロファイルも図示する。図示の通り、切断線A‐A、C‐C、及びD‐Dにおいて、カテーテルボディは完全な円形断面プロファイルを持ち、一方ラピッドエクスチェンジポート132が位置する切断線B‐Bにおいて、カテーテルボディは概してU字形断面プロファイルを持つ。結果として、カテーテル102は切断線B‐Bにおいて、特にガイドワイヤの面内で曲がりやすくなり得る。例えば、
図4はかかる脱出位置におけるカテーテル102の遠位部130の断面側面図を示す。これは懸念される故障モードであり、ガイドワイヤ200の前進若しくはカテーテル102の後退は交換ジョイント138においてガイドワイヤ200を曲げ、及び/又はカテーテル102を曲げさせ得る。理想的には、ガイドワイヤ200はラピッドエクスチェンジ内腔136を通って単純にスライドし、ガイドワイヤ200とカテーテル102は実質的に互いに同軸及び/又は平行なままであり得る。しかしながら、一旦この故障モードが起こり始めると、カテーテル102は交換ジョイント138において塑性的に変形し、持続的な屈曲をとる可能性があり、内腔136を圧迫してカテーテルに対するガイドワイヤの動きにさらなる抵抗を生じる可能性があるので、この故障モードは持続する可能性がある。加えて、ガイドワイヤ200が変形する可能性があり、ここでこれは脱出し、ガイドワイヤ200が前進するにつれて若しくはカテーテル102が後退するにつれて、ガイドワイヤ200を同じ場所において壊れやすくする。
【0018】
本開示の実施形態は、ラピッドエクスチェンジポート132の場所においてカテーテルボディを補強して、デバイスを脱出しやすくし得る、カテーテルボディの断面プロファイルにおける変化に起因してその場所において起こり得る曲げ剛性における突然の移行を回避することによって、これらの問題に対処する。その点について、典型的にはカテーテル102の側面のラピッドエクスチェンジポート132によって形成されるノッチ若しくは開口が脆弱スポットと曲げ剛性の急な不連続性を作り出し、それがその場所においてカテーテルを脱出しやすくする。カテーテル脱出は、これがガイドワイヤ200をつかむ若しくはつまむといった形で、ガイドワイヤ内腔136を壊す可能性もあり、問題をさらに深刻にする。結果として、本開示の実施形態はガイドワイヤ結束とカテーテル脱出を軽減しながら同時に患者の安全を改良することによって、カテーテル102のラピッドエクスチェンジ機能を改良する。
【0019】
ラピッドエクスチェンジエントリポート132を定めるカテーテルボディの側面のノッチ若しくは開口の存在によって作られるカテーテル102における脆弱セグメントを補強するために、一つ以上の補強要素が利用され得る。補強要素は交換ジョイント138において脆弱セグメントをブリッジするようにカテーテルのボディの内部に位置する金属若しくはプラスチック構造であり得る。その点について、補強要素はラピッドエクスチェンジジョイント138にわたって所望の補強を実現するために材料、サイズ、形状、配向において多くのバリエーションをとり得る。例えば、適切な材料は金属及び金属合金(ステンレス鋼、ニチノールなど)、並びに任意の比較的剛性のプラスチック(PEEK、Nylon(登録商標)、高デュロメータPebax(登録商標)、ポリイミドなど)を含む。さらに、補強要素は任意の数の構造形状(ワイヤ、ロッド、テーパロッド、チューブ、U字形トラフ、スプリングコイルなど)をとることができ、対称及び非対称配向の両方でカテーテルボディ内に配置され得る。一部の実施例において、補強要素は、近位カテーテル管と遠位カテーテル先端の両方への結合を促進する特徴を組み込みながら、ラピッドエクスチェンジポート132付近で最適機械特性を維持するように設計されるカスタムモデル部品であり得る。一般に、補強された交換ジョイント138はラピッドエクスチェンジエントリポート132の直近位のカテーテル102の特性をポート132の直遠位の特性にマッチさせる(又は近位から遠位へ円滑に移行する)ように曲げ剛性を維持するべきである。従って、補強要素は、曲げ剛性の不連続性をカテーテル102に沿って他の場所に導入すること、及び/又は冠動脈内の急カーブ周辺でカテーテルをナビゲートすることを困難にすることを回避するために、過剰に剛性であるべきではない。
【0020】
図5及び6を参照すると、その中に本開示にかかる補強ラピッドエクスチェンジ構成を含むカテーテルの実施形態例が示される。例えば、
図5はラピッドエクスチェンジエントリポート132に隣接してカテーテルボディ内に位置する補強要素のペア142を持つイメージングカテーテルの遠位部140の一実施形態を例示する。特に、図示の通り補強要素142はラピッドエクスチェンジエントリポート132の直近位位置からラピッドエクスチェンジエントリポート132の遠位位置へカテーテルボディの長さに沿って長手方向にのびる。さらに、切断線B‐Bに沿った断面図に図示の通り、補強要素142はラピッドエクスチェンジエントリポート132の隣でカテーテルボディの両側に互いに対向して位置する。このように、補強要素142は上述の通りラピッドエクスチェンジエントリポート132にわたってカテーテルボディに補強と支持を提供する。
【0021】
図6はラピッドエクスチェンジエントリポート132に隣接してカテーテルボディ内に位置する補強要素152を持つイメージングカテーテルの遠位部150の別の実施形態を例示する。特に、図示の通り補強要素152はラピッドエクスチェンジエントリポート132の直近位位置からラピッドエクスチェンジエントリポート132の遠位位置へカテーテルボディの長さに沿って長手方向にのびる。さらに、切断線B‐Bに沿った断面図に図示の通り補強要素152はラピッドエクスチェンジエントリポート132の直下にカテーテルボディ内で位置する。このように、補強要素152は上述の通りラピッドエクスチェンジエントリポート132にわたってカテーテルボディに補強と支持を提供する。
【0022】
図7及び8を参照すると、その中に本開示にかかるオフセットラピッドエクスチェンジ構成を含むカテーテルの実施形態例が示される。その点について、
図7及び8の各々は遠位部130がカテーテルの近位部に対してオフセットされる光学コヒーレンストモグラフィ(OCT)カテーテルを例示する。例えば、
図7は遠位部130の内腔136がドライブシャフト110及び/又はカテーテル160の近位部の中心軸162に対してオフセットされるように遠位部130がオフセットされるOCTカテーテル160を示す。図示の通り、遠位部130の中心軸164及び/又は内腔136はカテーテル160の近位部の中心軸162に対して距離166だけオフセットされる。一部の場合において、距離166は約0.25mm(0.010")と約0.75mm(0.030")の間である。その点について、一部の実施形態において遠位部130はおよそ0.5mmの外径とおよそ0.35mmの内径を持ち、一方カテーテル160のメインボディはおよそ1.0mmの外径を持つ。しかしながら、本開示の概念は他のサイズを持つカテーテルに等しく適用可能であることが理解される。遠位部130とカテーテル160のメインボディの間のオフセットは、遠位端部130の中心軸164がメインカテーテルボディの中心軸162と同軸にのびる従来の設計と比較して、ガイドワイヤ200が、ラピッドエクスチェンジエントリポート132からあらわれるカテーテルシャフトと平行により近いままである(すなわち曲げが少ない)ことを可能にする。従って、本開示のかかる実施形態は患者の安全を同時に改善しながらガイドワイヤ結束とカテーテル脱出を軽減することによってカテーテル102のラピッドエクスチェンジ機能も改良する。
【0023】
しかしながら、
図7の実施形態においても、ラピッドエクスチェンジエントリポート132の場所で一つの軸において削減された曲げモーメントが残る。その点について、遠位端の管状構造は遠位端へ向かって細くなるのにつれて漸減する剛性を提供し、一方近位シャフトは、特にシャフトを崩壊とねじれから防止するために柔軟なドライブシャフトが遠位場所にあるとき、その長さに沿って一定の曲げ剛性を維持する。しかしながら、ラピッドエクスチェンジポート132の場所において、近位シャフトの円筒形若しくは管状断面はU字形へと移行し、ここでカテーテルの側面においてノッチ若しくは開口が形成され、そして先端の長さに沿って管状断面に戻る。結果として、本開示の一部の実施形態はさらに改良されたラピッドエクスチェンジ構造を提供するためにオフセットラピッドエクスチェンジ配置を上記補強要素と組み合わせる。
図8がかかる実施形態を例示する。
図8に図示の通り、遠位部130の内腔136がドライブシャフト110及び/又はカテーテル170の近位部の中心軸162に対してオフセットされるようにメインカテーテルボディに対してオフセットされる遠位部130を含むOCTイメージングカテーテルが提供され、少なくとも一つの補強要素172がラピッドエクスチェンジポート132に隣接してカテーテルボディ内にのびる。特に、一部の場合において補強要素172は、カテーテル170の長さに沿って概して一定の曲げ剛性若しくは曲げ剛性において概して一定の変化を提供するよう、ラピッドエクスチェンジポート132の近位からラピッドエクスチェンジポート132の遠位へのびる。
【0024】
当業者は、上記装置、システム、及び方法が様々な方法で修正され得ることも認識するだろう。従って、当業者は本開示によって包含される実施形態が上記特定の実施形態例に限定されないことを認識するだろう。その点について、実施形態例が図示され記載されているが、広範な修正、変更及び置換が上記開示において考慮される。上記へのかかる変更は本開示の範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解される。従って、添付の請求項は本開示と一致する方法で広く解釈されることが認識される。