【実施例】
【0033】
実施例
合成例1:ペプチドの合成
クロロトリチルクロリドレジン(Chloro trityl chloride resin;CTL resin,Nova biochem Cat No. 01-64-0021)700mgを反応容器に入れ、メチレンクロリド(MC)10mlを加えて3分間撹拌した。溶液を除去し、ジメチルホルムアミド(DMF)10mlを入れて3分間撹拌した後、再度溶媒を除去した。反応器に10mlのジクロロメタン溶液を入れ、Fmoc-Asn(Trt)-OH(Bachem,Swiss)200mmole及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA)400mmoleを入れた後、撹拌してよく溶解させ、1時間の間撹拌しながら反応させた。反応後洗浄し、メタノールとDIEA(2:1)をDCM(dichloromethane)に溶解させて10分間反応させ、過量のDCM/DMF(1:1)で洗浄した。溶液を除去し、ジメチルホルムアミド(DMF)を10ml入れて3分間撹拌した後、再度溶媒を除去した。脱保護溶液(20%のピペリジン(Piperidine)/DMF)10mlを反応容器に入れて10分間常温で撹拌した後、溶液を除去した。同量の脱保護溶液を入れて再度10分間反応を維持した後、溶液を除去し、それぞれ3分ずつDMFで2回、MCで1回、DMFで1回洗浄してAsn-CTLレジン(Resin)を製造した。新しい反応器に10mlのDMF溶液を入れてFmoc-Arg(Pbf)-OH(Bachem,Swiss)200mmole、HoBt 200mmole及びBop 200mmoleを入れた後、撹拌してよく溶解した。反応器に400mmole DIEAを分画で2回に亘って入れた後、全ての固体が溶解されるまで最小限5分間撹拌した。溶解したアミノ酸混合溶液を脱保護されたレジンのある反応容器に入れ、1時間の間常温で撹拌しながら反応させた。反応液を除去し、DMF溶液で3回5分ずつ撹拌した後で除去した。反応レジンを少量取り、カイザーテスト(Nihydrin Test)を利用して反応の程度を点検した。脱保護溶液で前記と同様に2回脱保護反応させてArg-Asn-CTLレジンを製造した。DMFとMCで十分洗浄して再度カイザーテストを行った後、前記と同様に以下のアミノ酸付着実験を行った。選定されたアミノ酸配列に基づいてFmoc-Thr(tBu)-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH及びFmoc-Leu-OHの順に連鎖反応させた。Fmoc-保護基を脱保護溶液で10分ずつ2回反応させた後、よく洗浄して除去した。無水酢酸とDIEA、HoBtを入れて1時間の間アセチル化を行った後、製造されたペプチジルレジンをDMF、MC及びメタノールでそれぞれ3回洗浄し、窒素空気を徐々に流して乾燥した後、P2O5下で真空で減圧して完全に乾燥した後、脱漏溶液[トリフルオロ酢酸(Trifluroacetic acid)81.5%、蒸留水5%、チオアニソール(Thioanisole)5%、フェノール(Phenol)5%、EDT 2.5%及びTIS 1%]30mlを入れてから、常温で断続的に振って2時間反応を維持した。フィルタリングしてレジンをろ過し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を利用して全体のボリュームが半分程度残るように蒸留し、50mlの冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、更に2回冷たいエーテルで洗浄した。母液を除去して窒素下で十分乾燥し、精製前のNH2-Leu-Lys-Thr-Arg-Asn-COOHペプチド1を0.85g合成(収率:92%)した。配列リスト2及び3は、NH
2-Lys-Gly-Ala-Cys(Ser)-Thr-Gly-Trp-Met-Ala-COOHを0.78g合成し(収率:82%)、配列リスト4及び5は、NH
2-Ala-Cys(Ser)
-Tyr -Leu-Pro-His-Pro-Trp-Phe-Cys(Ser)-COOHを0.92g合成した(収率:85%)。配列リスト6及び7は、NH
2-Cys(Ser)-Asp-Leu-Arg-Arg-Leu-Glu-Met-Tyr-Cys(Ser)-COOHを0.76g合成した(収率:88%)。分子量測定器を利用して測定した時、配列リスト1ペプチドの分子量630.7(理論値:630.7)、配列リスト2ペプチドの分子量924.5(理論値:924.1)、配列リスト4ペプチドの分子量1236(理論値:1236.5)、配列リスト6ペプチドの分子量1301.5(理論値:1301.5)を得ることができた。
【0034】
【表1】
【0035】
一方、配列リスト第1配列、配列リスト第3配列及び配列リスト第7配列のペプチドを同量混合してペプチド複合体を製作し、これに対する効能を評価した。
【0036】
実施例1:脂質生成抑制作用の評価
1-1.脂肪前駆細胞を利用した脂質蓄積の抑制(オイルレッドO染色)
脂肪前駆細胞(pre-adipocyte)である3T3-L1細胞をコンフルエント(Confluent)状態まで培養した後、10μg/mlのインスリン、0.1μMのデキサメタゾン及び0.5μMのIBMXが含まれている分化培地に交換、及びペプチドを濃度別に処理して2日間培養し、その後、2日毎に10μg/mlのインスリンが含まれている培地に交換し、10日間分化を誘導した後、細胞内の小滴(droplet)の生成を確認するため、オイルレッドO染色を実施した。準備された3T3-L1脂肪前駆細胞をPBSで洗浄した後、3.7%ホルマリンで1時間の間固定し、60%のイソプロパノールを利用して洗浄した後、オイルレッドO溶液を処理して室温で20分間染色した。染色後、オイルレッドO溶液を除去して蒸留水で3回洗浄した後、染色した細胞を位相差顕微鏡を利用して観察した。さらに、定量的分析のため、100%イソプロパノールを利用して脂肪を抽出した後、96ウェルプレートに200μlずつ移してELISAリーダーにて500nmで吸光度を測定した。
実験の結果、配列リスト第1配列、第3配列及び第5配列のペプチドを処理した時、細胞内の脂肪蓄積の程度が減少することをオイルレッドO染色を介して確認することができた(
図1(a)〜(c))。
さらに、配列リスト第1配列、第3配列及び第7配列のペプチド複合体を濃度別に処理した時、細胞内の脂肪蓄積の程度が減少することを確認することができた(
図2)。
【0037】
1-2.脂質の生成に携わる遺伝子等の発現の抑制
3X10
5細胞/ウェルの細胞密度で6ウェルプレートに3T3-L1(脂肪前駆細胞)をシーディングした。24時間培養した後、ペプチドを濃度別(0.1、1、10μg/ml)に処理し、14日間37℃の培養器で培養した。培養が完了した細胞を回収した後、RNA抽出溶液(Easy Blue,Intron)を処理してRNAを準備してから、RTプレミックス(Intron)を使用してcDNAを合成した。各標識因子(PPARγ、ACC、aP2)に対するプライマーとPCRプレミックス(Intron)を使用してPCRを進めた。
脂質生成標識因子のPCRに利用されたターゲット-特異的プライマー配列は、次の通りである:PPARγ正方向プライマー配列、5’-TTTTCAAGGGTGCCAGTTTC-3’及びPPARγ逆方向プライマー、5’-AATCCTTGGCCCTCTGAGAT-3’(アニーリング温度、60℃);ACC正方向プライマー配列、5’-ACCTTACTGCCATCCCATGTGCTA-3’及びACC逆方向プライマー、5’-GTGCCTGATGATCGCACGAACAAA-3’(アニーリング温度、60℃);aP2正方向プライマー配列、5’-CATCAGCGTAAATGGGGATT-3’及びaP2逆方向プライマー、5’-ACACATTCCACCACCAGCTT-3’(アニーリング温度、60℃)。
1%アガロースゲルにPCR産物を5μlずつローディングして電気泳動した後、Gel-Docでバンドを確認した。
マウス骨芽細胞株3T3-L1に配列リスト第1配列、第3配列または第5配列のペプチドを処理して3日間培養した結果、脂質生成標識因子であるaP2の発現が減少することを観察することができた(
図3(a)〜(c))。
マウス骨芽細胞株3T3-L1に配列リスト第1配列、配列リスト第3配列及び配列リスト第7配列のペプチド複合体を0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/mlの濃度で処理して3日間培養した結果、脂質生成標識因子であるPPARγ、ACC、aP2の発現が、陽性対照群TNFα 100ng/ml処理群とペプチド複合体処理群とでいずれも減少することを観察することができた(
図4)。
【0038】
1-3.脂肪前駆細胞を利用した脂質生成及び分解誘導タンパク質発現の観察
3X10
5細胞/ウェルの細胞密度で6ウェルプレートに3T3-L1(脂肪前駆細胞)をシーディングした。24時間培養した後、ペプチド複合体を濃度別(0.1、1、10μg/ml)に処理して14日間37℃培養器で培養した。細胞溶解バッファーを処理して溶解物を確保した後でタンパク質を定量し、脂肪生成因子である抗-PPARγ抗体(Santa Cruz Biotechnology,USA)と、脂肪分解因子である抗-pHSL抗体(Santa Cruz Biotechnology,USA)とを利用してウェスタンブロッティングを行った。
脂肪生成標識因子であるPPARγタンパク質の発現が、ペプチド複合体を濃度別に処理した時、濃度依存的に全て減少することを観察することができ、脂肪分解標識因子であるpHSLタンパク質の発現量を観察した時、ペプチド複合体処理群で全て増加することを観察することができた(
図5)。
【0039】
実施例2:脂質分解作用の評価
2-1.脂質分解に携わる遺伝子等の発現の増加
3X10
5細胞/ウェルの細胞密度で6ウェルプレートに3T3-L1(脂肪前駆細胞)をシーディングした。24時間培養した後、ペプチドを濃度別(0.1、1、10μg/ml)に処理して14日間37℃培養器で培養した(陽性対照群:100ng/ml TNFα(SIGMA))。培養が完了した細胞を回収した後、RNA抽出溶液(Easy Blue,Intron)を処理してRNAを準備し、RTプレミックス(Intron)を用いてcDNAを合成した。各標識因子(AMPK-α1、CGI58)に対するプライマーとPCRプレミックス(Intron)を用いてPCRを進めた。
脂質生成標識因子PCRに利用されたターゲット-特異的プライマー配列は、次の通りである:AMPK-α1正方向プライマー配列、5’-TGACCGGACATAAAGTGGCTGTGA-3’及びAMPK-α1逆方向プライマー、5’-TGATGATGTGAGGGTGCCTGAACA-3’(アニーリング温度、60℃);CGI58正方向プライマー配列、5’-TGTGCAGGACTCTTACTTGGCAGT-3’及びCGI58逆方向プライマー、5’ -GTTTCTTTGGGCAGACCGGTTTCT-3’(アニーリング温度、60℃)。
1%アガロースゲルにPCR産物を5μlずつローディングして電気泳動した後、Gel-Docでバンドを確認した。
脂肪前駆細胞(3T3-L1)にペプチドを処理して培養した結果、脂質分解標識因子であるAMPK-α1とCGI-58の発現が、各ペプチド処理群でいずれも増加することを観察することができた(
図6(a)〜(c))。さらに、ペプチド複合体を処理した場合、AMPK-α1とCGI-58の発現が濃度依存的に増加することを確認することができ、陽性対照群であるTNFα 100ng/ml処理群と比べた時も、脂肪分解因子等の発現の増加が高く表れることを観察することができた(
図6(d))。
【0040】
2-2.脂肪前駆細胞を利用した脂質分解誘導タンパク質発現の観察
3X10
5細胞/ウェルの細胞密度で6ウェルプレートに3T3-L1(脂肪前駆細胞)をシーディングした。24時間培養した後、ペプチドを濃度別(0.1、1、10μg/ml)に処理して14日間37℃培養器で培養した(陽性対照群:100ng/ml TNFα(SIGMA))。細胞溶解バッファーを処理して溶解物を確保した後でタンパク質を定量し、脂肪分解因子である抗-ATGL抗体(Santa Cruz Biotechnology,USA)を利用してウェスタンブロッティングを行った。
脂肪分解因子であるATGLの発現がペプチド複合体によって増加することを確認することができた(
図7)。
【0041】
2-3.脂肪前駆細胞を利用した脂質分解誘導タンパク質発現の蛍光顕微鏡観察
3X10
5細胞/ウェルの細胞密度で6ウェルプレートに3T3-L1(脂肪前駆細胞)をシーディングした。24時間培養した後、各ペプチドまたはペプチド複合体(1μg/ml)を処理して14日間37℃培養器で培養した(陽性対照群:100ng/ml TNFα(SIGMA))。培養が完了した細胞を70%エタノールを利用して細胞を固定した後、抗-phospho-HSL抗体(Santa Cruz Biotechnology,USA)を利用し、細胞免疫染色法を介して脂肪分解誘導因子であるphospho-HSLの細胞内発現を観察した。
実験の結果、各ペプチド(
図8(a)〜(c))及びペプチド複合体(
図8(d))によって脂肪分解誘導因子であるphospho-HSLの発現が増加することを確認することができた。
【0042】
2-4.脂肪分解産物であるグリセロールの量の測定
肥満誘導マウス動物の腹部から脂肪組織を採取した後、24ウェルの培養プレートにウェル当りに100mgずつ脂肪組織を入れて培養培地(1ml Krebs-Ringer buffer containing 25mM HEPES,5.5mM glucose,and 2%(w/v)bovine serum albumin)に培養した。培養時にペプチド複合体を0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/mlの濃度で処理し、陽性対照群としてTNFα 100ng/mlを処理して48時間の間培養した後、脂肪が分解されながら出たグリセロールの量を測定した。
実験の結果、ペプチド複合体を濃度別に処理した時、脂肪が分解されながら出たグリセロールの量がペプチド複合体処理濃度に依存的に増加することを観察することができた。陽性対照群であるTNFα処理群に比べて多量のグリセロールが検出されることを確認した(
図9)。
【0043】
2-5.肥満マウス分離脂肪組織に対する分解効果の確認
脂肪組織は、色によって白色脂肪(White Fat)、褐色脂肪(Brown Fat)に分けられ、部位によって皮下脂肪、腹膜脂肪、腸間膜脂肪(内臓脂肪)及び副睾丸脂肪に分けられる。解剖後、各脂肪を摘出して白色脂肪を分離した後、各100mg/ウェルの重さで24ウェルプレートに複合体の濃度別に処理し、培養培地(1ml Krebs-Ringer buffer containing 25mM HEPES,5.5mM glucose,and 2%(w/v)bovine serum albumin)で72時間培養した後、組織を切片に切り分けてヘマトキシリン及びエオシンで染色し、200倍で顕微鏡(TS100,Nicon)で観察して脂肪細胞の大きさを比べた。
実験の結果、ペプチド複合体を濃度別に処理した時、脂肪細胞の大きさを比べた結果、対照群に比べて脂肪細胞の大きさが小さくなることを確認した(
図10(a))。さらに、染色後、脂肪細胞の大きさを測定するため、プログラムを用いて脂肪細胞の大きさを測定した結果、ペプチド複合体処理群において明らかな細胞膜の区画を有する脂肪組織内の細胞の大きさの減少が観察された(
図10(b))。
【0044】
2-6.脂肪組織に対する脂肪分解因子の観察
肥満誘導マウス動物の腹部から脂肪組織を採取した後、24ウェル培養プレートにウェル当りに100mgずつ脂肪組織を入れて培養培地(1ml Krebs-Ringer buffer containing 25mM HEPES,5.5mM glucose,and 2%(w/v)bovine serum albumin)に培養した。培養時にペプチド複合体を処理し、陽性対照群としてTNFα 100ng/mlを処理し、48時間の間培養した後、脂肪分解因子であるphospho-HSL(緑色蛍光物質)の発現を確認した。
実験の結果、脂肪組織における脂肪分解因子であるphospho-HSLの発現を確認したところ、ペプチド複合体を処理した時、脂肪分解因子であるphospho-HSLの発現が増加することを確認することができた(
図11)。
【0045】
実施例3:実験動物を通じた脂肪生成の抑制及び脂肪分解の促進の効果
高脂肪食餌による体重減少及び脂肪生成の抑制
正常C57BL/6マウスに高脂肪食餌を施して誘導した肥満誘導モデルDIO(Diets induced obesity)を利用して抗肥満効能の実験を行い、陽性対照群薬物としてTNFα 5μg/mlを用いた。対照群は高脂肪食餌ではなく一般食餌で進め、実験は高脂肪食餌を12週間進めながら、ペプチド複合体を処理して陽性対照群を処理し、体重の減少を確認した。
TNFα及び抗肥満効能化合物は、12週間に亘って毎週午後3時〜4時に84日間強制に腹腔注射し、体重と食餌量は最初の薬物投与の直前に測定し、以後に一週間間隔で体重と食餌量を測定した。血糖は、薬物投薬実験の終了後、尾静脈から採血してアキュチェックアクティブ(Accu-Check Active)(Roche)を利用して測定し、コレステロールも尾静脈から採血された血清をコレステロール算定キット(Cholesterol calculation Kit)(BioVision)を利用して分析を行った。脂肪組織は、色によって白色脂肪(White Fat)、褐色脂肪(Brown Fat)に分けられ、部位によって皮下脂肪、腹膜脂肪、腸間膜脂肪(内臓脂肪)及び副睾丸脂肪に分けられる。解剖後、各脂肪を摘出して観察し、組織学的検査のために脂肪を10%の中性緩衝ホルマリンに固定した後でパラフィンブロックに植え、5μmのセクションに分けてヘマトキシリン(Hematoxylin)とエオシン(eosin)染色を行った。脂質分解因子であるHSLのリン酸化程度を分析するため、抗-pHSL抗体を利用した蛍光染色を進めた。組織サンプルの製作後、グリセリンゼルマウンティングメディア(glycerine Jell mounting Media)にマウンティングし、カバーガラスを覆って顕微鏡(Nicon,TS100)で観察し、顕微鏡に内蔵されているデジタルカメラで組織を撮影した。
一般食餌を12週間施したマウスは、実験初期の20.9gの体重から12週後には28.74gの体重を示し、高脂肪食餌を施したマウスは、初期の20.99gの体重が12週後には49.5gまで増加することを確認した。しかし、高脂肪食餌と並行して処理したペプチド複合体群では、初期の21.1gから12週後には36.76gで、高脂肪食餌だけ進められた対照群(235.8%)に比べて高い体重の減少(174.2%)が起こることを確認することができた(表2及び
図12)。
【0046】
【表2】
【0047】
さらに、12週間実験が完了した動物の写真を測定した結果、ペプチド複合体処理群のマウスの身体が、高脂肪食餌のみを施した群に比べて、正常のマウス(一般食餌)と似た身体の大きさに維持されることを観察することができた(
図13)。
12週間実験を進めたマウスにマイクロ-CT撮影をして全身の脂肪の分布を確認した。全身に分布されている脂肪(黄色を帯びている)を確認した結果、一般食餌を進めた対照群に比べ、高脂肪食餌を進めた対照群のマウスにおいて全身に分布されている脂肪の量が急激に増加していることを確認することができ、ペプチド複合体を高脂肪食餌と共に処理した群では、全身に分布されている脂肪の量が急激に減少していることを確認することができた(
図14)。
【0048】
前記マイクロ-CT撮影を済ませたマウスを解剖し、全身に分布されている脂肪組織を採取して脂肪組織の量を観察した。その結果、一般食餌を進めた対照群に比べて高脂肪食餌を進めた対照群のマウスで脂肪の量が多いことを確認することができ、高脂肪食餌と共にペプチド複合体を処理した群で脂肪の量が急激に減少していることを確認した(
図15)。
【0049】
脂肪を分離してH&E染色を介して脂肪の大きさを観察した結果、高脂肪食餌対照群に比べ、高脂肪食餌と共にペプチド複合体を処理した群で脂肪の大きさが小さくなることを確認することができた(
図16(a))。脂肪の大きさをプログラムを介して分析した結果、一般食餌の対照群の脂肪の大きさを100%と計算した時、高脂肪食餌の対照群の脂肪の大きさは127%で、脂肪の大きさが大きくなっていることを確認し、高脂肪食餌にペプチド複合体を共に処理した群の脂肪の大きさは97%で減少したことを確認した(
図16(b))。
【0050】
脂肪を分離して脂肪組織内に発現されている脂肪分解因子であるPhospho-HSLの発現量を確認した結果、高脂肪食餌と共にペプチド複合体を処理した群でphospho-HSLの発現が増加していることを確認した(
図17)。
実験が終ったマウスの血液中のコレステロールの量を確認した結果、一般食餌のマウスのコレステロールの量は2.52μg/ml、高脂肪食餌の対照群のコレステロールの量は3.5μg/ml、高脂肪食餌と共にペプチド複合体を処理した群では2.86μg/mlのコレステロールの量が検出されることを確認することができた。ペプチド複合体処理群において、肥満の際に上昇するコレステロールの数値を低めることを確認することができた(
図18)。
【0051】
実験が終ったマウスの血液中の血糖の数値を確認した結果、一般食餌を進めた対照群のマウスの血糖は174mg/dL、高脂肪食餌の対照群の血糖は235mg/dLで、血糖の数値が上昇することを確認することができ、高脂肪食餌と共にペプチド複合体を処理した群での血糖の数値は183mg/dLで、一般食餌の対照群と似た血糖の数値の減少を確認した(
図19)。
【0052】
実施例4:血糖の調節
血糖調節の効果
本動物実験には、C57BL/6(正常のマウス)(Samtako Inc.)とC57BLKS/JLepr(糖尿モデルマウス、db/dbマウス)(株式会社中央実験動物から購入)雄を用い、抗糖尿及び/または抗肥満効能物質には複合剤を用い、陽性対照群薬物にはシタグリプチン(sitagliptin)を用いた。本実施例では、正常のマウスモデルと遺伝的に糖尿の可能性があるモデルとに対する急性抗糖尿効能(単回投与)を、代表的な糖尿病診断検査方法であるGTT(Glucose Tolerance Test)方法を使用して抗糖尿及び/または抗肥満効能複合剤に対して評価した。マウスの飼育環境の条件は22〜24℃、相対湿度50〜30%に設定し、飼育かご当りに4匹ずつ飼育した。午前8時から午後8時まで150〜300ルクス(Lux)の照明を与え、一日に12時間点灯、12時間消灯した。飼料は一般食餌(18%タンパク質、2018,Harlan Laboratories Inc,USA製造)を使って自由に摂取させ、ITT実験を進める前に4時間以上絶食し、GTT実験を進める12時間前から絶食した。GTT実験の1時間前にそれぞれ経口投与用使い捨て注射器を利用して複合剤を強引に経口投与し、GTT実験のために実験後0時間目に高脂肪食餌を40分間自由に食べさせた。高脂肪自由食餌の40分後、それぞれの血液内のグルコースレベルの検査のため、0分、30分、60分、90分、120分及び180分おきで尾静脈から採血し、アキュチェックアクティブ(Accu-Chek active)(Roche)を利用して血糖の水準を測定した。一方、陽性対照群薬物には、現在糖尿病治療剤として用いられているシタグリプチン(sitagliptin)を選定し、100mg/kgの投与量で投与した。抗糖尿及び/または抗肥満効能の候補物質に選定した複合剤を100mg/kgの投与量別に実験群を分類し、各実験群当りに4匹のマウスを用いた。
実験の結果、高脂肪食餌によって増加した血糖の数値がペプチド複合体の処理によって減少する効果を観察した。糖尿病誘発マウスモデルで糖尿病の高い血糖が減少することを確認した(
図20(a)〜(b))。さらに、高脂肪食餌の対照群に比べ、高脂肪食餌と共にペプチド複合体を処理した群でコレステロールの量が低くなることを確認した(
図21)。
【0053】
さらに、DB/DB糖尿病が誘導されたマウスを16時間空腹にさせてから30分間食餌を与えた後、ペプチドを摂取させて時間別に血糖の数値を測定した。
実験の結果、配列リスト第1配列、第3配列及び第5配列のペプチドを処理した群において、高血糖の数値が時間依存的に低くなることを観察した(
図22(a)〜(c))。
【0054】
実施例5:インスリンとインスリン様成長因子の発現の促進
インスリンとインスリン様成長因子の発現の促進
3X10
5細胞/ウェルの細胞密度で6ウェルプレートに3T3-L1(脂肪前駆細胞)をシーディングした。24時間培養した後、ペプチドを濃度別(10ng〜1μg/ml)に処理して14日間37℃培養器で培養した。細胞溶解バッファーを処理して溶解物を確保した後でタンパク質を定量し、脂質分解因子である抗-IGF-1、インスリン抗体(Santa Cruz Biotechnology,USA)を利用してウェスタンブロッティングを実施して観察した。
実験の結果、配列リスト第7配列のペプチドによってIGF-1とインスリンの発現が濃度依存的に増加することを観察した(
図23)。
【0055】
実施例6:臨床実験を介した血糖減少効果の観察
複合剤服用による血糖の減少
空腹血糖が170mg/dL以上の45〜65歳を対象に簡易臨床実験を進めた。空腹血糖を基準に食後30分複合製剤を摂取させて30、60、90、120、150、180分おきで採血し、アキュチェックアクティブ(Accu-Chek active)(Roche)を利用して血糖の水準を測定した。
実験の結果、複合製剤による血糖の減少がそれぞれの実験者で全て観察された(
図25(a)〜(d))。
【0056】
以上で本発明の特定の部分を詳しく記述したが、当業界の通常の知識を有する者において、このような具体的な記述は只の好ましい具現例であるだけで、これに本発明の範囲が制限されるものではない点は明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は、請求項とその等価物によって定義されるといえるものである。