(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
[薬剤服用支援システム100のシステム構成]
図1は、薬剤服用支援システム100のシステム構成を示す概念図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る服用支援システムは、調剤薬局に設置された端末(以下「薬局端末1」という)と、薬袋2と、電子機器3と、サーバ4と、ネットワーク5と、を含んで構成される。
【0012】
薬局端末1は、プリンタを備え、ネットワーク5を介してサーバ4に通信可能に接続される。薬局端末1は、制御部と各種プログラムを記憶した記憶部とを備え、制御部が各種プログラムを実行することにより、以下に示す機能を提供する。
【0013】
薬局では、薬剤師が、ユーザーとしての患者の持参した処方箋を受け付け、処方箋のデータを薬局端末1に入力するとともに、処方箋に記載された内容の突合に関する確認を行う。そして、薬剤師は、処方箋にしたがって調剤を行い、処方された全ての薬剤を1枚の薬袋2または複数の薬袋2に分けて包装する。
この際、薬局端末1は、薬剤師の指示により、薬品情報を記憶した薬品情報データベース(図示せず)から薬剤識別情報(以下、「薬剤ID」ともいう)に基づいて、薬剤の情報データ(例えば、薬剤の画像データ、薬剤の効用、薬剤の注意事項、薬剤の副作用等)を取得するとともに、薬剤師により薬局端末1から入力された患者に固有の情報(例えば、服用上のアドバイス、患者個人に対するメッセージ等の伝達情報)に基づいて、薬袋2に包装される各薬剤について、薬剤の情報データ(以下「薬剤情報データ」ともいう)を作成する。
薬剤情報データは、後述のサーバ4の記憶部41の備える薬剤情報データファイル411に当該患者のユーザーIDとリンクして格納される。
なお、行政機関からの薬品に関する情報の更新等に対応して、薬品情報データベースの内容が更新されるタイミングで、サーバ4は、作成された薬品情報データを適宜更新することができる。
【0014】
ここで、薬剤師が患者に対して説明する服用上のアドバイスとは、例えば患者の携行しているお薬手帳を参照したうえで薬剤師が提案する患者に対する服用上のアドバイス(注意事項)である。例えば、服用上のアドバイスとして、服用する薬剤と不適切な関係にある医薬部外品に関する注意事項、アルコール飲用に関する注意事項、車両運転等に関する注意事項等が挙げられる。
【0015】
薬剤師の患者に対するメッセージとは、例えば、患者の薬の服用状況について患者に注意を促すメッセージである。例えば、処方された薬剤が処方どおり服用されている場合の残薬量をメッセージとして表示し、残りがわずかであると推測される場合に再診を促す旨のメッセージ、また処方された薬剤が処方どおり服用されている場合の残薬量をメッセージとして表示し、実際の残薬量とのチェックを促す旨のメッセージ等が挙げられる。
このようなメッセージは、薬袋2を作成したときばかりでなく、患者が薬剤を服用期間中においても、薬局端末1により、サーバ4に随時アップロードすることができる。
【0016】
また、薬剤の情報データは、テキストのみならず、静止画、動画、音声等を含むように構成してもよい。この場合、静止画及び動画はカラー表示可能なものとしてもよい。また、音声合成ソフトにより、情報データ(テキスト)を音声出力するように構成してもよい。
【0017】
また、薬局端末1は、薬袋2に包装された薬剤について、患者に対して、服用すべき薬剤に関する情報(例えば、服用すべき薬剤の名称、1回あたりの服用量等)をタイムリーに提供するために、また患者の薬剤服用状況を管理するために、薬剤師の指示により、処方箋に基づいて、薬剤の服用管理データ(以下、「薬剤服用管理データ」という)を作成する。
薬剤服用管理データは、後述のサーバ4の記憶部41の備える薬剤服用管理ファイル412に、患者のユーザーIDとリンクして格納される。
【0018】
薬剤服用管理データは、薬剤IDと、薬剤の名称と、薬剤の画像データ、薬剤の1回あたりの服用量、薬剤の服用タイミング(例えば、朝昼夜の食前、食中、食後、就寝前、服用間隔等)、及び服用済又は未服用の状態を示す服用状況データと、を含む。服用状況データとして、当該薬剤の処方期間の各服用タイミングにおける服用済又は未服用の状態を記録することができる。
そうすることで、薬剤服用管理データを、服用期間内の日にち毎に、服用すべき薬剤の名称とその服用量とその服用状況データとを、服用する時間帯に対応させた表形式のデータテーブルに変換することができる。
【0019】
例えば、後述する
図4Dを参照すると、処方期間が2015年6月1日から例えば10日間であって、処方内容が、朝食前の服用タイミングでC錠を1錠服用し、毎食(朝食、昼食、夕食)後の服用タイミングでA錠を1錠、B錠を1錠、D顆粒を1包、F錠を1錠それぞれ服用し、就寝前の服用タイミングでE錠を1錠服用するものである場合、処方期間内の各日にち毎の所定の服用タイミングに、服用すべき薬剤の名称、及び服用量を対応させた表形式のデータテーブルとして表現することができる。なお、
図4Dは、現在時刻が6月6日とした場合の、6月1日から6月6日の昼食後の服用タイミングまでの服用状況を表形式のデータテーブルとして表示している。
【0020】
次に、薬剤服用支援処理に使用されるトリガー画像2Aについて説明する。トリガー画像2Aは、その薬袋に関して処方された薬剤全体の服用を管理及び支援するための情報に対応付けられている。
トリガー画像2Aとは、電子機器3によって認識されることにより、後述する電子機器3の機能の動作を開始させるトリガー、あるいは、電子機器3にインストールされているアプリケーションプログラムを起動させるトリガーとなる画像である。
具体的には、薬剤服用支援処理に使用されるトリガー画像2Aとして、AR(Augmented Reality)マーカー、バーコード、2次元コード(QRコード(登録商標)等)を使用することができる。
【0021】
トリガー画像2Aは、少なくとも薬袋を識別する薬袋識別情報(以下「薬袋ID」という)を含むように構成されることが好ましい。具体的には、例えば、2次元コード(又はバーコード、テキストデータ)によって、薬袋IDを符号化することが好ましい。そうすることで、トリガー画像2Aは、薬袋を識別する薬袋IDを電子機器3に対して提供することができる。
薬局端末1は、薬剤師の指示にしたがって、トリガー画像2Aを生成する。
【0022】
以上のように、薬局端末1は、患者に処方する薬剤に対して、薬剤IDをキーとして、薬剤情報データを含むレコード(「薬剤情報データレコード」という)を生成し、後述するサーバ4の記憶部41の備える薬剤情報データファイル411に格納又はアップロードする。
すなわち、薬剤情報データレコードは、薬袋2に含まれる薬剤毎に、薬剤IDをキーとして、薬剤の名称、薬剤の画像データ、薬剤の効用、薬剤の注意事項、薬剤の副作用、薬剤師による服用上のアドバイス、薬剤師による患者個人に対するメッセージを含むように構成することができる。
【0023】
また、薬局端末1は、患者に処方する薬袋2に対して、薬袋IDを付与し、当該薬袋IDをキーとして、薬剤服用管理データを含むレコード(「服用管理レコード」という)を生成し、後述するサーバ4の記憶部41の備える薬剤服用管理ファイル412に格納又はアップロードする。
すなわち、薬剤服用管理レコードは、薬袋IDをキーとして、当該薬袋に包装される薬剤毎に、薬剤ID、薬剤の名称と、薬剤の画像データ、薬剤の1回あたりの服用量、薬剤の服用タイミング、及び薬剤の服用状況データと、を含むように構成することができる。
なお、薬剤の名称、薬剤の画像データについては、薬剤IDをキーとする薬剤情報データファイル411から参照することができるため、服用管理レコードには含まないようにしてもよい。
【0024】
薬局端末1は、少なくとも患者氏名と、トリガー画像2Aとを、プリンタにより薬袋2に印刷させる。
図2は、トリガー画像を有する薬袋2の例を示す図である。
図2に示すように、トリガー画像2Aは、薬袋2の所定の領域に視認可能なように印刷される。
【0025】
薬局端末1は、上記のように薬袋2に印刷されるデータを薬袋2に印刷する代わりに、服薬指導箋に印刷させるようにしてもよい。さらに、例えば粘着シートに、薬剤の名称と薬剤に対応するトリガー画像2Aを印刷させてもよい。その場合、印刷された粘着シートを薬袋2に貼付するようにしてもよい。
【0026】
[電子機器3の構成]
電子機器3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノート型パソコン、携帯電話、PDA等の携帯端末として構成される。
図3は、電子機器3の構成を示す図である。
図3に示すように、電子機器3は、少なくとも、制御部30と、記憶部31と、通信部32と、撮像部33と、表示部34と、入力部35と、を備える。図示しないが、スピーカと、マイクとを備えることができる。
【0027】
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、I/O等を有するマイクロプロセッサにより構成される。CPUは、ROM又は記憶部31から読み出した各プログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、及び記憶部31から情報を読み出し、RAM及び記憶部31に対して情報の書き込みを行い、通信部32と、撮像部33と、表示部34と、入力部35等と信号の授受を行う。
制御部30における制御内容の詳細については、後述する。
【0028】
記憶部31は、例えば半導体メモリ等で構成され、オペレーティングシステム(OS)や薬剤服用支援のためのアプリケーションプログラム等が記憶される。なお、アプリケーションプログラムについては、記憶部31に予め記憶しておく構成でもよい。また、サーバ4から適宜取得する構成でもよい。
【0029】
通信部32は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)等を有し、3GやLTE等の携帯電話通信網に代表される無線通信網を通じて無線通信を行い、サーバ4と無線通信を行うことが可能に構成されている。
【0030】
撮像部33は、患者の操作にしたがって、薬袋2に印刷されたトリガー画像2Aを撮像する。ここで、撮像部33は、電子機器3に内蔵されるデジタルカメラ機能によって構成されてもよい。
【0031】
表示部34は、電子機器3に搭載されているディスプレイ等の表示デバイスにより構成され、制御部30からの指示を受けて表示情報を表示するように構成されている。
【0032】
入力部35は、テンキーと呼ばれる物理スイッチや表示部34の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置(図示せず)等で構成される。入力部35からの操作入力、例えばユーザーである患者によるテンキーの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御部30に出力することで、所定の操作を行うことができる。
【0033】
スピーカは、患者に対して音声出力を行い、マイクは、患者によって発せられた音声等を集音する。例えば、スピーカを用いて、現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データを音声合成ソフトにより、音声出力することができる。また、マイクを用いて、音声入力をすることができる。
【0034】
制御部30は、アプリケーションプログラム(以下、「薬剤服用支援アプリケーション」とも総称する)を実行することによって、電子機器3を所定の手段(以下、「薬剤服用支援部」とも総称する)として機能させる。
また、制御部30は、薬剤服用支援アプリケーションを実行することによって、電子機器に、所定の手順(以下、「薬剤服用支援手順」とも総称する)を実行させる。
【0035】
図3に示すように、制御部30は、接続処理部300と、トリガー画像読み取り部301と、薬剤服用管理データ取得部302と、薬剤服用管理データ表示部303と、ガイダンス表示部304と、情報データ取得部305と、情報データ表示部306と、服用履歴照会部307と、を備える。
【0036】
接続処理部300は、患者の携行する電子機器から、サーバ4に対してログイン処理を行う。なお、携帯電話番号を認証することにより、自動ログインするようにしてもよい。
接続処理部300は、患者が正当な者であることを認証されると、薬剤服用支援処理を行うように構成することができる。
【0037】
トリガー画像読み取り部301は、撮像部33によって撮像された全体画像内に、トリガー画像2Aを認識し、トリガー画像2Aを読み取り、トリガー画像2Aに埋め込まれている薬袋IDを読み取るように構成される。そうすることで、トリガー画像読み取り部301は、薬袋IDを取得する。
【0038】
薬剤服用管理データ取得部302は、トリガー画像読み取り部301によりトリガー画像2Aを認識すると、通信部32を介してサーバ4にアクセスして、薬袋IDに対応する、現在服用すべき薬剤の服用管理情報を取得する。
具体的には、薬剤服用管理データ取得部302は、薬袋IDをパラメータとして、後述するサーバ4の薬剤服用管理情報提供部402に対して、薬袋IDに対応する、現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データの取得要求をすることにより、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)から、現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データを取得する。
【0039】
薬剤服用管理データ表示部303は、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)から取得した現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データを、表示部34に表示する。
例えば、薬剤服用管理データ表示部303は、現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データを、表示部34上に撮像されたトリガー画像2Aの表示場所に重畳して表示することができる。このとき、
図4Aに示すように、薬剤服用管理データ表示部303は、現在時刻及び現在の服用タイミングを表示するとともに、服用する薬剤毎に吹き出し341を表示し、その中に、薬剤の名称と、薬剤の画像データ、薬剤の1回あたりの服用量を表示させる。
図4Aは、現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データの表示例を示す図である。この例では、現在時刻(午前7時30分)、服用タイミング(朝食後)を表示し、当該服用タイミングで服用すべき薬剤を全て表示する。
これにより、患者は現在服用すべき薬剤を、直感的かつ的確に理解することが可能となる。
【0040】
<患者による履歴の入力(服用チェックボタン)>
図4Aを参照すると、現在服用すべき薬剤を服用する際、現在服用すべき薬剤を表示した吹き出し341の中に表示される服用チェックボタン342をクリックすることで、電子機器3(薬剤服用管理データ表示部303)は、当該薬剤を服用済みとするイベントデータをサーバ(服用期間管理部403)に通知する。
そうすることで、サーバ(服用期間管理部403)は、患者の当該薬剤の服用期間管理データを最新状態に維持することができる。なお、全選択服用チェックボタン343をクリックすることで、全ての吹き出し毎に服用チェックボタン342をクリックしたものとすることができる。これにより、薬剤を服用すべき時間帯に複数回トリガー画像が読み取られた場合であっても、服用済みの薬剤と未服用の薬剤とが適切に表示される。
【0041】
<現在が服用タイミングでない場合の照会>
なお、現在時刻が、薬剤を服用するタイミングの時間帯に属さない場合、薬剤服用管理データ表示部303は、現在は服用タイミングでない旨のメッセージを表示する。
【0042】
<薬剤情報データの照会>
図4Bは、現在服用すべき薬剤(Aカプセル)の情報データの種別を選択させるためのガイダンス表示の例を示す図である。
また、
図4Cは、現在服用すべき薬剤の選択された情報データを表示部34に表示する例を示す図である。
現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データが、
図4Aに示すように表示された際に、患者が服用すべき薬剤の薬剤情報データを知りたい場合、該当する薬剤の吹き出し341をタップすることで、ガイダンス表示部304が、該当する薬剤の情報データの種別を選択させるためのガイダンス画面を表示するように構成することができる。
ここで、例えば、注意事項を選択することで、電子機器3(情報データ取得部305)は、サーバ4(薬剤情報提供部401)に対して当該薬剤の注意事項の取得要求をする。電子機器3(情報データ取得部305)は、サーバ4(薬剤情報提供部401)から当該薬剤の注意事項を受信し、
図4Cに示すように、情報データ表示部306は、現在服用すべき薬剤(Aカプセル)の注意事項を表示する。
なお、薬剤の情報データについては、音声合成ソフトにより、音声出力することができる。
【0043】
<薬剤情報データの服用履歴照会>
図4Dは、服用履歴をタップした場合に、表示部34に表示される服用履歴情報の例を示す図である。
現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データが表示された際に、患者がこれまでの服用履歴状況を知りたい場合、
図4Aに示す、服用履歴の吹き出しをタップすることで、電子機器3(服用履歴照会部307)が、サーバ4(服用履歴提供部404)に対してこれまでの服用履歴状況を要求する。
そうすることで、電子機器3(服用履歴照会部307)は、サーバ4(服用履歴提供部404)から、これまでの服用履歴状況を受信し、
図4Dに示すように、これまでの服用履歴状況を表示するように構成することができる。
なお、
図4Aから
図4Dに示す各表示例において、表示内容には、テキストのみならず、カラー表示された静止画及び動画を含むことができる。
【0044】
[サーバ4の構成]
図5は、サーバ4の構成を示す図である。
図5に示すように、サーバ4は、少なくとも、制御部40と、記憶部41と、通信部42とを、を備えている。さらにサーバ4は、必要に応じて表示部43と、入力部44と、を備えることができる。
第1実施形態では、サーバ4を1つのサーバとして記載するが、サーバ4の各機能を、適宜複数のサーバに分散する、分散処理システムとしてもよい。また、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、サーバの各機能を実現してもよい。また、サーバ4を、例えば、Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバから構成されるサーバシステムとしてもよい。
【0045】
制御部40はCPU、RAM、ROM、I/O等を有するプロセッサにより構成され、各構成部の制御を行う。CPUは、RAM、ROM又は記憶部41から読み出したアプリケーションプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、及び記憶部41から情報を読み出し、RAM及び記憶部に対して情報の書き込みを行い、通信部42と信号の授受を行う。
制御部40における制御内容の詳細については、後述する。
【0046】
記憶部41は半導体メモリやハードディスクドライブ等で構成されており、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションと呼ばれるソフトウェアが保存される等、種々の情報が記憶される。
さらに、記憶部41には、ユーザー情報データファイル410、薬剤情報データファイル411及び薬剤服用管理ファイル412が記憶されている。
【0047】
ユーザー情報データファイル410には患者毎にユーザー情報データレコードが作成され、ユーザー情報データ(例えば、ユーザーID、パスワード、携帯電話番号、住所、氏名、健康保険証番号等)が記憶される。
【0048】
薬剤情報データファイル411は、当該患者のユーザーIDとリンクする薬剤情報データレコードを含む。薬剤情報データレコードは、薬袋2に含まれる薬剤毎に、薬袋ID、薬剤IDをキーとして、薬剤の名称、薬剤の画像データ、薬剤の効用、薬剤の注意事項、薬剤の副作用、薬剤師による服用上のアドバイス、薬剤師による患者個人に対するメッセージを含む。
【0049】
薬剤服用管理ファイル412は、当該患者のユーザーIDとリンクする薬剤服用管理レコードを含む。薬剤服用管理レコードは、薬袋IDをキーとして、当該薬袋に包装される全ての薬剤の、薬剤ID、薬剤の名称、薬剤の画像データ、薬剤の1回あたりの服用量、薬剤の服用タイミング(例えば、朝昼夜の食前、食中、食後、就寝前、何時間毎等)、及び服用済又は未服用の状態を示す服用状況データを含む。
【0050】
通信部42は、インターネット回線等のネットワークに接続することができる通信プロトコル、及び図示しない無線基地局を通じて電子機器3とパケットデータ等の送受信(データ通信)を行う通信プロトコル等を実装する。そうすることで、例えば、電子機器3との送受信の場合に無線通信を行うことができる。また、薬局端末1との送受信の場合に、有線又は無線通信を行うことができる。
【0051】
制御部40は薬剤服用支援のためのプログラムを実行することによって、サーバ4に所定の手段(以下、「薬剤服用支援制御部」と総称する)として機能させる。
【0052】
図5に示すように、制御部40は、接続処理部400と、薬剤情報提供部401と、薬剤服用管理情報提供部402と、服用期間管理部403と、服用履歴提供部404と、を備える。
【0053】
接続処理部400は、患者の携行する電子機器からのログイン処理を実行して、ユーザー情報データファイル410等を参照することで、ユーザーが正当な者であることを認証する。なお、携帯電話番号を認証することにより、自動ログインするようにしてもよい。
接続処理部400は、患者が正当な者であることを認証すると、患者に対して、薬剤服用支援処理を行うように構成することができる。
【0054】
<薬剤情報提供部401>
薬剤情報提供部401は、電子機器3から通信部42を介して受信した、患者により選択された薬剤の情報データ要求に基づいて、薬剤の情報データを薬剤情報データファイル411から抽出する。
具体的には、薬袋ID及び薬剤IDに基づいて、薬剤情報データファイル411から対応する薬剤情報データを検索し、取得する。薬剤情報提供部401は、取得した薬剤情報データを通信部42を介して、電子機器3に対して送信する。
なお、薬剤情報提供部401は、患者により選択された薬剤の情報データのみならず、全ての情報データを含む薬剤情報データレコードを電子機器3に対して送信するように構成してもよい。この場合、電子機器3(情報データ表示部306)は、受信した薬剤情報データレコードから、選択された薬剤情報データを抽出し、表示するように構成してもよい。
【0055】
<薬剤服用管理情報提供部402>
薬剤服用管理情報提供部402は、電子機器3(薬剤服用管理データ取得部302)から通信部42を介して受信した、薬袋IDをキーとする薬袋に含まれる、現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データの要求に基づいて、現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データを生成する。
【0056】
具体的には、薬剤服用管理情報提供部402は、現在時刻情報に基づいて、現在時刻が薬剤の服用タイミング(例えば、朝昼夜の食前、食中、食後、就寝前、何時間毎等)の時間帯のいずれに該当するかを判断する。
【0057】
薬剤服用管理情報提供部402は、薬袋IDをキーとする薬剤服用管理レコードから、現在時刻に該当する薬剤の服用タイミングを有する全ての薬剤IDと、当該薬剤IDに対応する薬剤の名称と、薬剤の画像データ、薬剤の1回あたりの服用量、及び服用済又は未服用の状態を示す服用状況データを抽出する。
【0058】
薬剤服用管理情報提供部402は、現在時刻における当該服用状況データが未服用であることの条件が満たされている場合、抽出した現在服用すべき薬剤の薬用管理データ一覧を通信部42を介して、電子機器3(薬剤服用管理データ表示部303)に対して送信する。
こうすることで、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)は、患者に対して、現在服用すべき薬剤情報を提供する。
【0059】
<服用期間管理部403>
患者が現在服用すべき薬剤を服用する際、電子機器3(薬剤服用管理データ表示部303)は、患者により現在服用すべき薬剤の服用チェックボタン342をクリックされると、当該薬剤を服用済みとするイベントデータをサーバ4(服用期間管理部403)に通知する。
服用期間管理部403は、薬剤を服用済みとするイベントデータの受信に応答して、薬袋2に包装される当該薬剤の服用期間管理データ(服用状況データ)を服用済に更新し、薬剤の服用状態を最新の状態に維持することができる。
【0060】
<服用履歴提供部404>
電子機器3(服用履歴照会部307)は、患者により服用履歴の吹き出し344をタップされると、これまでの服用履歴情報の要求をサーバ4(服用履歴提供部404)に通知する。
サーバ4(服用履歴提供部404)は、
図4Dに示されるような現在までの服用履歴状況を生成し、電子機器3(服用履歴照会部307)に提供する。そうすることで、患者は、例えば薬剤の服用忘れが発生していたかどうかを確認することができる。
【0061】
[薬剤服用支援システム100の処理]
続いて、
図4A〜
図4D、
図6A〜
図6Cを参照して、薬袋2を電子機器3により撮像することにより、患者に現在服用すべき薬剤の服用指示情報を提供する場合の、薬剤服用支援システム100による薬剤服用支援処理フローを説明する。なお、薬局端末1により、薬袋2には、薬袋に対応するトリガー画像2Aが予め印刷されているものとする。また、サーバ4の薬剤情報データファイル411及び薬剤服用管理ファイル412は予め作成されているものとする。
電子機器3には、薬剤服用支援に係るアプリケーションがインストールされ、起動されているものとする。
図6A〜
図6Cは、薬剤服用支援システム100が実行する薬剤服用支援処理の流れを説明するフローチャートである。
薬剤服用支援処理は、電子機器3が、患者による、薬剤服用支援処理を行うための所定の操作(例えば、接続処理)を受け付けたことに応じて開始される。
【0062】
ステップST101において、撮像部33は、患者の操作に基づいて撮像部33から薬袋2の画像データを取得する。
【0063】
ステップST102において、トリガー画像読み取り部301は、ステップST101において撮像された全体画像内に、トリガー画像2Aを認識し、トリガー画像2Aを読み取り、トリガー画像2Aに埋め込まれている薬袋IDを読み取る。
【0064】
ステップST103において、電子機器3(薬剤服用管理データ取得部302)は、ステップST102において読み取った、薬袋IDをパラメータとして、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)に対して、現在服用すべき薬剤の服用管理データの取得要求をする。
【0065】
ステップST201において、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)は、電子機器3(薬剤服用管理データ取得部302)から通信部42を介して受信した、現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データの要求に基づいて、現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データを生成する。
【0066】
ステップST202において、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)は、現在服用すべき薬剤の薬用管理データ一覧を通信部42を介して、電子機器3(薬剤服用管理データ表示部303)に対して送信する。
【0067】
ステップST104において、電子機器3(薬剤服用管理データ表示部303)は、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)から取得した現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データを、例えば
図4Aに示すように、表示部34に表示する。
【0068】
ステップST105において、患者により服用チェックボタン342がクリックされた場合、ステップST106に進む。また、患者により薬剤の吹き出し341がタップされた場合、ステップST107に進む。また、服用履歴がタップされた場合、ステップST110に進む。
【0069】
ステップST106において、電子機器3(薬剤服用管理データ表示部303)は、当該薬剤を服用済みとするイベントデータをサーバ(服用期間管理部403)に通知する。その後、例えば、所定の戻り操作により、ステップST104に戻る。
【0070】
ステップST203において、サーバ4(服用期間管理部403)は、イベントデータの受信に応答して、当該薬剤の服用管理データ(服用状況データ)を服用済に更新する。その後、サーバ4は、電子機器3からの要求受信待ちとなる。
こうすることで、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)は、患者の薬剤服用管理データを常に最新の状態に維持することができる。
【0071】
ステップST107において、電子機器3(ガイダンス表示部304)は、
図4Bに示すように、当該薬剤の情報データの種別を選択させるためのガイダンス画面を表示する。
【0072】
ステップST108において、ガイダンス画面を介して、当該薬剤の薬剤情報データの種別(例えば、薬剤の効用、服用方法、薬剤の注意事項、薬剤の副作用、アドバイス、又はメッセージ等)が選択された場合、電子機器3(情報データ取得部305)は、薬剤IDをパラメータとして、サーバ4(薬剤情報提供部401)に対して、薬剤情報データの取得要求をする。
【0073】
ステップST204において、サーバ4(薬剤情報提供部401)は、電子機器3(情報データ取得部305)から通信部42を介して受信した、薬剤情報データの取得要求に基づいて、薬剤情報データを薬剤情報データファイル411から抽出する。
【0074】
ステップST205において、サーバ4(薬剤情報提供部401)は、ステップST204において抽出した薬剤情報データを、電子機器3(情報データ表示部306)に対して送信する。その後、サーバ4は、電子機器3からの要求受信待ちとなる。
【0075】
ステップST109において、電子機器3(情報データ表示部306)は、
図4Cに示すように、当該薬剤の薬剤情報データを表示する。その後、例えば、所定の戻り操作により、ステップST104に戻る。ここで、所定の戻り操作とは、例えば、前画面に戻る操作ボタンをクリックする操作をいう。
【0076】
ステップST110において、電子機器3(薬剤服用管理データ表示部303)は、サーバ4(服用履歴提供部404)に対して、服用履歴状況を要求する。
【0077】
ST206において、サーバ4(服用履歴提供部404)は、電子機器3(薬剤服用管理データ表示部303)から通信部42を介して受信した、服用履歴状況の取得要求に基づいて、
図4Dに示されるような現在までの服用履歴状況を生成する。
【0078】
ST207において、サーバ4(服用履歴提供部404)は、ステップST206で生成した服用履歴状況を電子機器3(服用履歴照会部307)に送信する。その後、サーバ4は、電子機器3からの要求受信待ちとなる。
【0079】
ST111において、電子機器3(服用履歴照会部307)は、サーバ4(服用履歴提供部404)から、これまでの服用履歴状況を受信し、
図4Dに示すように、これまでの服用履歴状況を表示する。その後、例えば、所定の戻り操作により、ステップST104に戻る。
【0080】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明において、トリガー画像に重畳して吹き出し(薬剤情報)を表示することには、トリガー画像が撮像画像の画角に含まれる場合に、吹き出し(薬剤情報)を撮像画像に重畳して表示領域のいずれかの位置に表示することが含まれる。
【0081】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。すなわち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が薬剤服用支援システム100を構成するいずれかのコンピュータに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に示した例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0082】
[変形例1]
上述の実施形態においては、電子機器3(薬剤服用管理データ取得部302)は、薬袋IDをパラメータとして、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)に対して、現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データの取得要求をして、サーバ4(薬剤服用管理情報提供部402)から、現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データを受信する構成としている。すなわち、上述の実施形態においては、クラウド型のシステムとして本発明の機能を実現している。
これに対して、例えば、電子機器3は、薬局において薬袋2を処方される際に、薬局端末1から直接、処方される薬袋2に対応する薬剤服用管理レコードを、例えば近距離無線通信等を介して受信して、記憶部31に薬剤服用管理ファイル412として記憶する構成にしてもよい。
この場合、薬剤服用管理データ取得部302は、サーバ4に替えて、記憶部31(薬剤服用管理ファイル)にアクセスすることで現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データを取得するように構成される。
薬剤情報データファイル411についても、同様に記憶部31に薬剤情報データファイルとして記憶する構成にしてもよい。
こうすることで、電子機器3がサーバ4の機能を備えるように構成される。
この場合、電子機器3において、スタンドアローン型のシステムとして本発明の機能を実現することができる。
なお、この場合、電子機器3において、行政機関からの薬品に関する情報の更新等に対応して、薬品情報データベースの内容が更新されたか否かを適宜確認し、薬品情報データベースの内容が更新された場合に、薬品情報データを適宜更新することができる。
【0083】
[変形例2]
また、電子機器3(情報データ取得部305)は、サーバ4(薬剤情報提供部401)に対して、薬剤情報データの取得要求をして、薬剤情報データレコードを受信した際に、当該薬剤情報データを電子機器3の記憶部31内にキャッシュファイルとして保存するように構成してもよい。
そうすることで、電子機器3(情報データ取得部305)が、2回目以降に薬剤情報データを表示部34に表示する際に、電子機器3の記憶部31内にキャッシュファイルとして保存される、薬剤情報データレコードにアクセスすることで、サーバ4にアクセスする頻度をより少ないものとしながら、薬剤情報データを得ることができる。
なお、この場合、電子機器3において、行政機関からの薬品に関する情報の更新等に対応して、薬品情報データベースの内容が更新されたか否かを適宜確認し、薬品情報データベースの内容が更新された場合に、薬品情報データを適宜更新することができる。
【0084】
[変形例3]
上述の実施形態においては、現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データが表示された際に、服用すべき薬剤の薬剤情報データを知りたい場合、該当する薬剤の吹き出しをタップすることで、ガイダンス表示部304が、患者に対して、薬剤情報データを選択するためのガイダンス画面を表示部34に表示し、患者が該当する吹き出しをタップすることで、薬剤情報データの種別を選択させる構成としている。
これに対して、現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データが表示された際に、服用すべき薬剤の薬剤情報データを知りたい場合、該当する薬剤の吹き出しをタップすることで、電子機器3は、直接、薬袋ID、薬剤IDをパラメータとして、サーバ4(薬剤情報提供部401)に対して、薬剤情報データの取得要求をするようにしてもよい。
そうすることで、電子機器3は、ガイダンス表示をせずに、取得した薬剤情報データレコードから、全ての薬剤情報データを表示するように構成してもよい。すなわち、現在服用すべき薬剤の薬剤服用管理データが表示された際に、服用すべき薬剤の薬剤情報データを知りたい場合、該当する薬剤の吹き出しをタップすることで、全ての薬剤情報データを表示するように構成してもよい。
例えば、タブレット端末のように、電子機器の表示部34のサイズが、全ての薬剤情報データ全体を表示する程度に大きい場合、このように構成することができる。
また、スマートフォンのように、電子機器の表示部34のサイズが、全ての薬剤情報データを同時照会することができない大きさの場合には、ガイダンス画面から表示対象を選択するように構成することが好ましい。
【0085】
[変形例4]
薬剤師が患者に対して説明する服用上のアドバイス、及び患者個人に対するメッセージについては、薬局端末1は、薬剤師の指示により、薬袋ID、薬剤IDをキーとして、サーバ4にアクセスし、付加情報データレコードにアクセスすることで、付加情報データレコードに含まれるアドバイス及びメッセージをアップロードするように構成することができる。
そうすることで、必要なタイミングで、薬剤師は患者に対して適切なアドバイス又はメッセージを伝えることが可能となる。
【0086】
[変形例5]
患者の携行する電子機器3に対してサーバ4からのプッシュ通知を可能とするように、薬剤服用支援アプリケーションにプッシュ機能を設定するとともに、デバイス情報をサーバ4に登録するように構成できる。
そうすることで、現在時刻が薬剤の服用タイミングの時間帯に該当する場合に、当該薬剤の薬剤服用管理データをサーバ4から、患者の携行する電子機器3にプッシュ方式で通知するように構成できる。その結果、患者は、薬剤の服用が必要なタイミングを自動的に把握することができる。
【0087】
以上のように説明した実施形態及び変形例について、適宜組み合わせることができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。実施形態及び変形例については、適宜組み合わせることができる。
また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。