(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通信規格で定められるスペクトラム拡散クロック信号(SSC:Spread Spectrum Clock)を発生するために、制御部(11)により制御され、所定の周波数を有する基準クロック信号を、前記通信規格で規定される変調周波数を有する三角波に基づいて周波数変調することによりスペクトラム拡散クロック信号を発生する変調部(12)を有するスペクトラム拡散クロック発生器(1)において、
前記基準クロック信号の周波数をfc、三角波の周波数をfdとし、第1の分周比D1をもつ第1の三角波の発生回数がR1回、第2の分周比D2をもつ第2の三角波の発生回数がR2回からなる(R1+R2)個の三角波を組み合わせた一組の波形としたとき、該一組の波形として平均化された平均周波数をΔfdとし、前記三角波の周波数fdと、前記平均周波数Δfdとの差が0.1%以内となるように前記第1の分周比D1、前記第2の分周比D2と、前記第1の三角波の発生回数R1回、前記第2の三角波の発生回数R2回とをそれぞれ算出する分周比算出手段(11a)を備え、
前記変調部は、算出された前記第1の分周比D1、前記第2の分周比D2と、前記第1の三角波の発生回数R1回、前記第2の三角波の発生回数R2回とでそれぞれ設定される分周比と発生回数とで得られた前記一組の波形に基づいて前記基準クロック信号を周波数変調することにより前記スペクトラム拡散クロック信号を発生することを特徴とするスペクトラム拡散クロック発生器。
通信規格で定められるスペクトラム拡散クロック信号(SSC:Spread Spectrum Clock)を発生するために、制御部(11)により制御され、所定の周波数を有する基準クロック信号を、前記通信規格で規定される変調周波数を有する三角波に基づいて周波数変調することによりスペクトラム拡散クロック信号を発生する変調部(12)を有するスペクトラム拡散クロック発生器(1)において、
前記基準クロック信号の周波数をfc、三角波の周波数をfdとし、第1の分周比D1をもつ第1の三角波の発生回数がR1回、・・・、第nの分周比Dnをもつ第nの三角波の発生回数がRn回からなる(R1+・・・+Rn)個の三角波を組み合わせた一組の波形としたとき(nは2以上の整数)、該一組の波形として平均化された平均周波数をΔfdとし、前記三角波の周波数fdと、前記平均周波数Δfdとの差が0.1%以内となるように前記第1の分周比D1、・・・、前記第nの分周比Dnと、前記第1の三角波の発生回数R1回、・・・、前記第nの三角波の発生回数Rn回とをそれぞれ算出する分周比算出手段(11a)を備え、
前記変調部は、算出された前記第1の分周比D1、・・・、前記第nの分周比Dnと、前記第1の三角波の発生回数R1回、・・・、前記第nの三角波の発生回数Rn回とでそれぞれ設定される分周比と発生回数とで得られた前記一組の波形に基づいて前記基準クロック信号を周波数変調することにより前記スペクトラム拡散クロック信号を発生することを特徴とするスペクトラム拡散クロック発生器。
通信規格で定められるスペクトラム拡散クロック信号(SSC:Spread Spectrum Clock)を発生するために、所定の周波数を有する基準クロック信号を、前記通信規格で規定される変調周波数を有する三角波に基づいて周波数変調することによりスペクトラム拡散クロック信号を発生するスペクトラム拡散クロック発生方法において、
前記基準クロック信号の周波数をfc、三角波の周波数をfdとし、第1の分周比D1をもつ第1の三角波の発生回数がR1回、第2の分周比D2をもつ第2の三角波の発生回数がR2回からなる(R1+R2)個の三角波を組み合わせた一組の波形としたとき、該一組の波形として平均化された平均周波数をΔfdとし、前記三角波の周波数fdと、前記平均周波数Δfdとの差が0.1%以内となるように前記第1の分周比D1、前記第2の分周比D2と、前記第1の三角波の発生回数R1回、前記第2の三角波の発生回数R2回とをそれぞれ算出する分周比算出ステップ(S303)と、
算出された前記第1の分周比D1、前記第2の分周比D2と、前記第1の三角波の発生回数R1回、前記第2の三角波の発生回数R2回とでそれぞれ設定される分周比と発生回数とで分周する分周ステップ(S304)と、
前記得られた前記一組の波形に基づいて前記基準クロック信号を周波数変調することにより前記スペクトラム拡散クロック信号を発生するスペクトラム拡散クロック信号発生ステップ(S305)とを含むことを特徴とするスペクトラム拡散クロック発生方法。
通信規格で定められるスペクトラム拡散クロック信号(SSC:Spread Spectrum Clock)を発生するために、所定の周波数を有する基準クロック信号を、前記通信規格で規定される変調周波数を有する三角波に基づいて周波数変調することによりスペクトラム拡散クロック信号を発生するスペクトラム拡散クロック発生方法において、
前記基準クロック信号の周波数をfc、三角波の周波数をfdとし、第1の分周比D1をもつ第1の三角波の発生回数がR1回、・・・、第nの分周比Dnをもつ第nの三角波の発生回数がRn回からなる(R1+・・・+Rn)個の三角波を組み合わせた一組の波形としたとき(nは2以上の整数)、該一組の波形として平均化された平均周波数をΔfdとし、前記三角波の周波数fdと、前記平均周波数Δfdとの差が0.1%以内となるように前記第1の分周比D1、・・・、前記第nの分周比Dnと、前記第1の三角波の発生回数R1回、・・・、前記第nの三角波の発生回数Rn回とをそれぞれ算出する分周比算出ステップ(S303)と、
算出された前記第1の分周比D1、・・・、前記第nの分周比Dnと、前記第1の三角波の発生回数R1回、・・・、前記第nの三角波の発生回数Rn回とでそれぞれ設定される分周比と発生回数とで分周する分周ステップ(S304)と、
前記得られた前記一組の波形に基づいて前記基準クロック信号を周波数変調することにより前記スペクトラム拡散クロック信号を発生するスペクトラム拡散クロック信号発生ステップ(S305)とを含むことを特徴とするスペクトラム拡散クロック発生方法。
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の前記スペクトラム拡散クロック発生器が発生するスペクトラム拡散クロック信号を用いてパルスパターン信号を発生することを特徴とするパルスパターン発生装置(200)。
請求項7から請求項12の何れか1項に記載の前記スペクトラム拡散クロック発生方法により発生したスペクトラム拡散クロック信号を用いてパルスパターン信号を発生するステップを含むことを特徴とするパルスパターン発生方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、PCI Express規格のGen2の世代から、ビット誤り率測定装置に要求されるコンプライアンステストにおける三角波の周波数は33kHzに規定された。しかしながら、たとえば5MHzで固定された基準クロック信号を用いてPCIExpress規格のGen2に規定される三角波の周波数、すなわちスペクトラム拡散クロック信号の変調周波数の33kHzを発生するためには151.5151・・・分周すればよいが、循環小数となるため、端数が出ることとなる。ここで、DACの分周比は、1bitあたりの振幅の所定量の変位を階段状に上下させて
図8の形状の三角波を発生させることから、自然数、かつ偶数でなければならないため、151の近傍の偶数、たとえば152分周とした場合、基準クロック信号が5MHzでは、変調周波数は32.8947・・・kHzとなる。したがって、PCIExpress規格のGen2に規定される変調周波数の33kHzから周波数が0.3%程度小さい値にずれてしまい、その結果、この変調周波数を用いた三角波から生成したスペクトラム拡散クロック信号は過少に変調されたスペクトラム、または分周比によっては過多に変調されたスペクトラムとなってしまう。このようなスペクトラム拡散クロック信号を用いて生成したデータ信号により被測定物を測定すると、測定結果の信頼性が低下する問題があった。
【0010】
さらに、変調周波数となる任意の周波数を有する三角波の発生のために、別途、DDS(Direct Digital Synthesizer)やファンクションジェネレータIC等を設けることは、測定装置のコストアップや装置構成が複雑化し、安易には採用できないため、低コストや簡易な装置構成で対応することが求められていた。
【0011】
また、本発明が適用されるビット誤り率測定装置におけるパルスパターン発生装置およびパルスパターン発生方法は、将来の世代および旧世代を含めた複数の世代の通信規格に柔軟に対応し、それぞれの通信規格で規定に準拠したスペクトラム拡散クロック信号やデータ信号を発生することが求められていた。
【0012】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、スペクトラム拡散クロック信号を用いるパルスパターン発生装置内部で、固定された周波数の基準クロック信号を使用しているときに、通信規格の規定により変調周波数が変更や追加された場合であっても、通信規格に規定された変調周波数に対する周波数ずれを十分に小さくして、スペクトラム拡散クロック信号が通信規格に準拠して変調されたスペクトラムとし、このスペクトラム拡散クロック信号を用いて被測定物を測定することにより、測定結果の信頼性を向上することが可能なスペクトラム拡散クロック発生器およびスペクトラム拡散クロック発生方法と、スペクトラム拡散クロック信号とデータ信号を用いて所望のパルスパターン信号を発生するパルスパターン発生装置およびパルスパターン発生方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した目的を達成するために、請求項1記載のスペクトラム拡散クロック発生器は、通信規格で定められるスペクトラム拡散クロック信号(SSC:Spread Spectrum Clock)を発生するために、制御部(11)により制御され、所定の周波数を有する基準クロック信号を、
前記通信規格で規定される変調周波数を有する三角波に基づいて周波数変調することによりスペクトラム拡散クロック信号を発生する変調部(12)を有するスペクトラム拡散クロック発生器(1)において、
前記基準クロック信号の周波数をfc、三角波の周波数をfdとし、第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の発生回数がR
1回、第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の発生回数がR
2回からなる(R
1+R
2)個の三角波を組み合わせた一組の波形としたとき、該一組の波形として平均化された平均周波数をΔfdとし、前記三角波の周波数fdと、前記平均周波数Δfdとの差が0.1%以内となるように前記第1の分周比D
1、前記第2の分周比D
2と、前記第1の三角波の発生回数R
1回、前記第2の三角波の発生回数R
2回とをそれぞれ算出する分周比算出手段(11a)を備え、
前記変調部は、算出された前記第1の分周比D
1、前記第2の分周比D
2と、前記第1の三角波の発生回数R
1回、前記第2の三角波の発生回数R
2回とでそれぞれ設定される分周比と発生回数とで得られた前記一組の波形に基づいて前記基準クロック信号を周波数変調することにより前記スペクトラム拡散クロック信号を発生することを特徴とする。
【0014】
上記した目的を達成するために、請求項2記載のスペクトラム拡散クロック発生器は、通信規格で定められるスペクトラム拡散クロック信号(SSC:Spread Spectrum Clock)を発生するために、制御部(11)により制御され、所定の周波数を有する基準クロック信号を、
前記通信規格で規定される変調周波数を有する三角波に基づいて周波数変調することによりスペクトラム拡散クロック信号を発生する変調部(12)を有するスペクトラム拡散クロック発生器(1)において、
前記基準クロック信号の周波数をfc、三角波の周波数をfdとし、第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の発生回数がR
1回、・・・、第nの分周比D
nをもつ第nの三角波の発生回数がR
n回からなる(R
1+・・・+R
n)個の三角波を組み合わせた一組の波形としたとき(nは2以上の整数)、該一組の波形として平均化された平均周波数をΔfdとし、前記三角波の周波数fdと、前記平均周波数Δfdとの差が0.1%以内となるように前記第1の分周比D
1、・・・、前記第nの分周比D
nと、前記第1の三角波の発生回数R
1回、・・・、前記第nの三角波の発生回数R
n回とをそれぞれ算出する分周比算出手段(11a)を備え、
前記変調部は、算出された前記第1の分周比D
1、・・・、前記第nの分周比D
nと、前記第1の三角波の発生回数R
1回、・・・、前記第nの三角波の発生回数R
n回とでそれぞれ設定される分周比と発生回数とで得られた前記一組の波形に基づいて前記基準クロック信号を周波数変調することにより前記スペクトラム拡散クロック信号を発生することを特徴とする。
【0015】
請求項3記載のスペクトラム拡散クロック発生器は、請求項1に記載のスペクトラム拡散クロック発生器において、前記分周比算出手段は、下記式(2)の計算式を用いて前記第1の分周比D
1、前記第2の分周比D
2と、前記第1の三角波の発生回数R
1回、前記第2の三角波の発生回数R
2回とをそれぞれ算出し、
前記変調部は、算出された前記第1の分周比D
1、前記第2の分周比D
2と、前記第1の三角波の発生回数R
1回、前記第2の三角波の発生回数R
2回とで設定される分周比と発生回数とで分周して、前記下記式(2)の計算式を用いて得られた前記平均周波数に基づいて前記周波数変調することにより前記スペクトラム拡散クロック信号を発生することを特徴とする。
fd≒Δfd=fc/((D
1×R
1+D
2×R
2)/(R
1+R
2)) …式(2)
ただし、D
2>D
1、
D
1、D
2は偶数、
R
1、R
2は正の整数、
D
2=D
1+(2×i)(i=1から5までの任意の整数)
【0016】
請求項4記載のスペクトラム拡散クロック発生器は、請求項1または請求項3の何れか1項に記載のスペクトラム拡散クロック発生器において、前記制御部は、振幅補正手段(11e)を備え、
前記第2の分周比D
2が前記第1の分周比D
1より大きいとき、前記振幅補正手段は、前記第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の1bitあたりの振幅の所定量の変位をV
a、前記第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位をV
b、所望の変調度を得るための三角波の最大電圧をV
Δとしたとき、前記第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の補正前の1bitあたりの振幅の所定量の変位に対し、下記式(3)の計算式を用いて前記補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位V
bを求めて補正することを特徴とする。
V
b=V
a×D
2/D
1 …式(3)
ただし、D
2>D
1、
V
a=2×V
Δ/D
2
【0017】
請求項5記載のスペクトラム拡散クロック発生器は、請求項1または請求項3の何れか1項に記載のスペクトラム拡散クロック発生器において、前記制御部は、振幅補正手段(11e)を備え、
前記第2の分周比D
2が前記第1の分周比D
1より大きいとき、前記振幅補正手段は、前記第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の1bitあたりの振幅の所定量の変位をV
a、前記第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位をV
d、所望の変調度を得るための三角波の最大電圧をV
Δとしたとき、前記第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の補正前の1bitあたりの振幅の所定量の変位で、かつ、頂点にあるbitのみに対し、下記式(4)の計算式を用いて前記補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位V
dを求めて補正することを特徴とする。
V
d=V
a×(((D
2−D
1)/2)+1) …式(4)
ただし、D
2>D
1、
V
a=2×V
Δ/D
2
【0018】
請求項6記載のスペクトラム拡散クロック発生器は、請求項1または請求項3の何れか1項に記載のスペクトラム拡散クロック発生器において、前記制御部は、振幅補正手段(11e)を備え、
前記第2の分周比D
2が前記第1の分周比D
1より大きいとき、前記振幅補正手段は、前記第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の1bitあたりの振幅の所定量の変位をV
a、前記第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の発生回数がR
1回の三角波、前記第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の発生回数がR
2回の三角波として組み合わせて一組とした波形全体の補正後の各bitの振幅の所定量の変位をV
f、所望の変調度を得るための三角波の最大電圧をV
Δとしたとき、波形全体の補正前の各bitの全てに対し、下記式(5)の計算式を用いて前記波形全体の補正後の各bitの振幅の所定量の変位V
fを求めて補正することを特徴とする。
V
f=V
a× D
2×(R
1+R
2)/(D
1×R
1+D
2×R
2)…式(5)
ただし、D
2>D
1、
V
a=2×V
Δ/D
2
【0019】
上記した目的を達成するために、請求項7記載のスペクトラム拡散クロック発生方法は、通信規格で定められるスペクトラム拡散クロック信号(SSC:Spread Spectrum Clock)を発生するために、所定の周波数を有する基準クロック信号を、
前記通信規格で規定される変調周波数を有する三角波に基づいて周波数変調することによりスペクトラム拡散クロック信号を発生するスペクトラム拡散クロック発生方法において、
前記基準クロック信号の周波数をfc、三角波の周波数をfdとし、第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の発生回数がR
1回、第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の発生回数がR
2回からなる(R
1+R
2)個の三角波を組み合わせた一組の波形としたとき、該一組の波形として平均化された平均周波数をΔfdとし、前記三角波の周波数fdと、前記平均周波数Δfdとの差が0.1%以内となるように前記第1の分周比D
1、前記第2の分周比D
2と、前記第1の三角波の発生回数R
1回、前記第2の三角波の発生回数R
2回とをそれぞれ算出する分周比算出ステップ(S303)と、
算出された前記第1の分周比D
1、前記第2の分周比D
2と、前記第1の三角波の発生回数R
1回、前記第2の三角波の発生回数R
2回とでそれぞれ設定される分周比と発生回数とで分周する分周ステップ(S304)と、
前記得られた前記一組の波形に基づいて前記基準クロック信号を周波数変調することにより前記スペクトラム拡散クロック信号を発生するスペクトラム拡散クロック信号発生ステップ(S305)とを含むことを特徴とする。
【0020】
上記した目的を達成するために、請求項8記載のスペクトラム拡散クロック発生方法は、通信規格で定められるスペクトラム拡散クロック信号(SSC:Spread Spectrum Clock)を発生するために、所定の周波数を有する基準クロック信号を、
前記通信規格で規定される変調周波数を有する三角波に基づいて周波数変調することによりスペクトラム拡散クロック信号を発生するスペクトラム拡散クロック発生方法において、
前記基準クロック信号の周波数をfc、三角波の周波数をfdとし、第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の発生回数がR
1回、・・・、第nの分周比D
nをもつ第nの三角波の発生回数がR
n回からなる(R
1+・・・+R
n)個の三角波を組み合わせた一組の波形としたとき(nは2以上の整数)、該一組の波形として平均化された平均周波数をΔfdとし、前記三角波の周波数fdと、前記平均周波数Δfdとの差が0.1%以内となるように前記第1の分周比D
1、・・・、前記第nの分周比D
nと、前記第1の三角波の発生回数R
1回、・・・、前記第nの三角波の発生回数R
n回とをそれぞれ算出する分周比算出ステップ(S303)と、
算出された前記第1の分周比D
1、・・・、前記第nの分周比D
nと、前記第1の三角波の発生回数R
1回、・・・、前記第nの三角波の発生回数R
n回とでそれぞれ設定される分周比と発生回数とで分周する分周ステップ(S304)と、
前記得られた前記一組の波形に基づいて前記基準クロック信号を周波数変調することにより前記スペクトラム拡散クロック信号を発生するスペクトラム拡散クロック信号発生ステップ(S305)とを含むことを特徴とする。
【0021】
請求項9記載のスペクトラム拡散クロック発生方法は、請求項7に記載のスペクトラム拡散クロック発生方法において、下記式(2)の計算式を用いて前記第1の分周比D
1、前記第2の分周比D
2と、前記第1の三角波の発生回数R
1回、前記第2の三角波の発生回数R
2回とをそれぞれ算出する分周比算出ステップ(S303)と、
算出された前記前記第1の分周比D
1、前記第2の分周比D
2と、前記第1の三角波の発生回数R
1回、前記第2の三角波の発生回数R
2回とでそれぞれ設定される分周比と発生回数とで分周する分周ステップ(S304)と、
前記下記式(2)の計算式を用いて得られた前記平均周波数に基づいて前記周波数変調することにより前記スペクトラム拡散クロック信号を発生するスペクトラム拡散クロック信号発生ステップ(S305)とを含むことを特徴とする。
fd≒Δfd=fc/((D
1×R
1+D
2×R
2)/(R
1+R
2)) …式(2)
ただし、D
2>D
1、
D
1、D
2は偶数、
R
1、R
2は正の整数、
D
2=D
1+(2×i)(i=1から5までの任意の整数)
【0022】
請求項10記載のスペクトラム拡散クロック発生方法は、請求項7または請求項9の何れか1項に記載のスペクトラム拡散クロック発生方法において、前記第2の分周比D
2が前記第1の分周比D
1より大きいとき、前記第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の1bitあたりの振幅の所定量の変位をV
a、前記第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位をV
b、所望の変調度を得るための三角波の最大電圧をV
Δとしたとき、前記第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の補正前の1bitあたりの振幅の所定量の変位に対し、下記式(3)の計算式を用いて前記補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位V
bを求めて補正する第1の振幅補正ステップ(S308)をさらに含むことを特徴とする。
V
b=V
a×D
2/D
1 …式(3)
ただし、D
2>D
1、
V
a=2×V
Δ/D
2
【0023】
請求項11記載のスペクトラム拡散クロック発生方法は、請求項7または請求項9の何れか1項に記載のスペクトラム拡散クロック発生方法において、前記第2の分周比D
2が前記第1の分周比D
1より大きいとき、前記第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の1bitあたりの振幅の所定量の変位をV
a、前記第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位をV
b、所望の変調度を得るための三角波の最大電圧をV
Δとしたとき、前記第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の補正前の1bitあたりの振幅の所定量の変位で、かつ、頂点にあるbitのみに対し、下記式(4)の計算式を用いて前記補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位V
dを求めて補正する第2の補正ステップ(S309)をさらに含むことを特徴とする。
V
d=V
a×(((D
2−D
1)/2)+1) …式(4)
ただし、D
2>D
1、
V
a=2×V
Δ/D
2
【0024】
請求項12記載のスペクトラム拡散クロック発生方法は、請求項7または請求項9の何れか1項に記載のスペクトラム拡散クロック発生方法において、前記第2の分周比D
2が前記第1の分周比D
1より大きいとき、前記第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の1bitあたりの振幅の所定量の変位をV
a、前記第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の発生回数がR
1回の三角波、前記第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の発生回数がR
2回の三角波として組み合わせて一組とした波形全体の補正後の各bitの振幅の所定量の変位をV
f、所望の変調度を得るための三角波の最大電圧をV
Δとしたとき、波形全体の補正前の各bitの全てに対し、下記式(5)の計算式を用いて前記波形全体の補正後の各bitの振幅の所定量の変位V
fを求めて補正する第3の振幅補正ステップ(S310)をさらに含むことを特徴とする。
V
f=V
a× D
2×(R
1+R
2)/(D
1×R
1+D
2×R
2)…式(5)
ただし、D
2>D
1、
V
a=2×V
Δ/D
2
【0025】
請求項13記載のパルスパターン発生装置は、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の前記スペクトラム拡散クロック発生器が発生するスペクトラム拡散クロック信号を用いてパルスパターン信号を発生することを特徴とする。
【0026】
請求項14記載のパルスパターン発生方法は、請求項7から請求項11の何れか1項に記載の前記スペクトラム拡散クロック発生方法により発生したスペクトラム拡散クロック信号を用いてパルスパターン信号を発生するステップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明のスペクトラム拡散クロック発生器およびスペクトラム拡散クロック発生方法と、スペクトラム拡散クロック信号とデータ信号を用いて所望のパターン信号を発生するパルスパターン発生装置およびパルスパターン発生方法によれば、スペクトラム拡散クロック信号を用いるパルスパターン発生装置内部で、固定された周波数の基準クロック信号を使用しているときに、通信規格の規定により変調周波数が変更や追加された場合であっても、通信規格に規定された変調周波数に対する周波数ずれを十分に小さくして、スペクトラム拡散クロック信号が通信規格に準拠して変調されたスペクトラムとし、このスペクトラム拡散クロック信号を用いて被測定物を測定することにより、測定結果の信頼性を向上することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者等によりなされる実施可能な他の形態、実施例および運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれる。
【0030】
[装置構成]
まず、本発明に係るパルスパターン発生装置の装置構成について、
図1、2を参照しながら説明する。
【0031】
図1に示すように、本実施の形態のパルスパターン発生装置200は、スペクトラム拡散されたスペクトラム拡散クロック信号を用いて所望のパルスパターン信号を発生するものであり、スペクトラム拡散クロック発生器1、周波数てい倍部13、パルスパターン発生部14を備えて概略構成される。
【0032】
スペクトラム拡散クロック発生器1は、所定の周波数を有する基準クロック信号を、所定の分周比で分周して得られる所定の周波数を有する三角波に基づいて周波数変調することによりスペクトラムを拡散したスペクトラム拡散クロック信号を発生するものであり、変調部12、設定部15、表示部16、記憶部17を含んで構成される。
【0033】
変調部12は、
図2に示すように、分周器12a、位相比較器12b、チャージポンプ12c、ループフィルタ12d、変調生成部12e、三角波発生部12f、加算器12g、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)12hを備えて構成される。
【0034】
分周器12aは、スペクトラム拡散されて電圧制御発振器12hから出力されるスペクトラム拡散クロック信号の中心周波数を基準クロック信号のてい倍関係になるように設定するもので、電圧制御発振器12hが出力するスペクトラム拡散クロック信号をフィードバック信号として分周し、分周したフィードバック信号の周波数と基準クロック信号の周波数とを一致させる。
【0035】
位相比較器12bは、基準クロック信号と、分周器12aで分周されたフィードバック信号との位相を比較し、位相差に応じたパルス幅の位相差信号を出力する。
【0036】
チャージポンプ12cは、位相比較器12bから入力される位相差信号によって充電/放電電流をループフィルタ12dに供給する。
【0037】
ループフィルタ12dは、チャージポンプ12cから供給される電流を電圧に変換し、変換した電圧の高周波成分を除去した信号を加算器12gに出力する。
【0038】
変調生成部12eは、設定部15にて設定されたスプレッド方式、キャリア周波数、変調周波数、変調度に基づく制御部11内の変調部制御手段11dからの変調制御信号の制御により、周波数変調をさせるための変調信号を生成し、生成した変調信号を加算器12gに出力する。また、変調生成部12eは、三角波を発生する三角波発生部12fを含んでいる。
【0039】
三角波発生部12fは、設定部15により設定された変調周波数に基づく制御部11内の分周比算出手段11aからの分周比算出信号の制御により、所定の周波数を有する三角波を発生している。すなわち、変調生成部12eに含まれる三角波発生部12fは、この所定の周波数を有する三角波により基準クロック信号に基づく所定のキャリア周波数を有するキャリア信号を周波数掃引して周波数変調をかけて変調信号を生成している。
【0040】
また、三角波発生部12fでは、分周比算出信号の制御によって動作するたとえば汎用のDACで実現しており、
図3に示すような階段状の波形を出力している。この階段状の波形は、たとえば基準クロック信号の周波数が5MHzである場合、その1周期の200nsecに基づき、200nsec毎に1bitあたりの振幅の所定量の変位V
aを階段状に上下させるようになっている。
【0041】
この1bitあたりの振幅の所定量の変位V
aは、制御部11内の振幅補正手段11eからの振幅補正信号の制御により制御され、設定部15にて設定された所望の変調度を得るための三角波の電圧の最大値V
Δを、後述する複数の三角波の分周比である第1の分周比D
1、第2の分周比D
2のうち、第1の分周比D
1または第2の分周比D
2のいずれか大きい方の分周比の2分の1の数で均等に分割した電圧となっている。ここで、第2の分周比D
2を第1の分周比D
1よりも大きい分周比としたとき、複数の分周比の大小はD
2>D
1であらわされ、所望の変調度を得るための三角波の電圧の最大値V
Δは下記式(1)から算出する。なお、所望の変調度を得るための三角波の電圧の最大値V
Δと変調度との関係は、基準クロック信号に基づく所定のキャリア周波数を有するキャリア信号を周波数掃引して周波数変調を行ったとき、所望の変調度のピーク値が三角波の電圧の最大値V
Δに対応するようになっている。ビット誤り率測定装置内部では、所望の変調度を得るための三角波の電圧の最大値V
Δと変調度のピーク値とが一義的に定まる関係となるように設計がされている。また、通信規格では変調度はこのピーク値で定義されている。
【0042】
V
a=2×V
Δ/D
2 …式(1)
ただし、D
2>D
1
【0043】
所望の変調度を得るための三角波の電圧の最大値V
Δがたとえば1V、第2の分周比D
2がたとえば152分周の場合、1bitあたりの振幅の所定量の変位V
aは、上記式(1)から1Vを第2の分周比D
2の2分の1の数76で均等に分割した0.013157・・・Vとなる。
【0044】
また、制御部11内の分周比算出手段11aからの分周比算出信号の制御により、階段状の波形の振幅の変位は、後述する複数の三角波の分周比である第1の分周比D
1、第2の分周比D
2のそれぞれの2分の1の回数で変位方向が上下反転するようになっている。所望の変調度を得るための三角波の電圧の最大値V
Δがたとえば1V、第2の分周比D
2がたとえば152分周の場合で、たとえば基準クロック信号の周波数が5MHzである場合、その1周期の200nsecを1bit毎の区切りとして76回上方向へ1bitあたりの振幅の所定量の変位V
a(+0.013157・・・V)をした後、76回下方向への1bitあたりの振幅の所定量の変位V
a(−0.013157・・・V)をすることになる。これにより、たとえば基準クロック信号の周波数が5MHzである場合、その1周期の200nsecに基づき、200nsec毎に1bitあたりの振幅の所定量の変位V
aを階段状に上下させることを実現している。この動作により、階段状の波形は所定の分周比を1周期とする略三角波を形成している。この階段状の波形は、三角波発生部12fに含まれる図示しないローパスフィルタにより平滑化され、線状の三角波として三角波発生部12fから加算器12gに出力される。なお、線状の三角波として直線や曲線からなる三角波に本発明は適用でき、またスペクトラム拡散クロック信号の一種であるHershey Kiss変調等の波形を生成するための信号にも適用可能である。
【0045】
なお、上記では第1の分周比D
1と、第2の分周比D
2との2つの分周比の組み合わせで説明したが、この2つの組み合わせに限られるものではなく、3つの分周比の組み合わせや、第1の分周比D
1、・・・、第nの分周比D
n(ただしnは3以上の整数)からなるn個の分周比の組み合わせとしてもよい。
【0046】
また、三角波発生部12fは、制御部11内の振幅補正手段11eからの振幅補正信号の制御により、三角波発生部12fで発生する三角波の振幅を補正している。
【0047】
加算器12gは、ループフィルタ12dから入力される信号と、変調生成部12eから入力される変調信号とを加算し、この加算した信号を電圧制御発振器12hに出力する。
【0048】
電圧制御発振器12hは、出力(スペクトラム拡散クロック信号)が位相比較器12bにフィードバックされ、入力クロックとフィードバック信号が同じ周波数になるように動作し、加算器12gから入力される変調信号に応じて周波数をスペクトラム拡散したスペクトラム拡散クロック信号を出力する。
【0049】
設定部15は、所望のスペクトラム拡散が施されたスペクトラム拡散クロック信号を発生するために必要な設定情報として、スプレッド方式(ダウンスプレッド方式、センタースプレッド方式、アッパースプレッド方式の何れかのスプレッド方式)の選択、変調周波数(たとえば33kHz)、選択したスプレッド方式のキャリア周波数(たとえば25MHz)、変調度(キャリア周波数に対する変調の割合)の設定を行う。
【0050】
また、設定部15は、たとえば表示部16の表示画面に対応する入力面への接触操作による接触位置を検出するためのタッチセンサを備えるタッチパネルで構成される。設定部15は、ユーザが表示部16に表示されている画面のうち、特定の項目の位置を指やスタイラス等で触れることで、タッチセンサが画面上で検出した位置と項目の位置とが一致することを認識し、各項目に割り当てられた機能を実行するための信号を制御部11に出力している。
【0051】
表示部16は、液晶ディスプレイやCRT等の表示機器で構成され、制御部11の図示しない表示制御に基づき、スペクトラム拡散クロック発生器1に関する設定項目画面やパルスパターン発生部14に関する画面の表示、パルスパターン発生装置200の駆動や各種制御に関する表示内容を表示している。
【0052】
制御部11は、たとえばCPUやROM、RAM、FPGA等のマイクロコンピュータで構成され、設定部15にて設定された設定情報に基づき変調部12、周波数てい倍部13、パルスパターン発生部14を統括制御するもので、分周比算出手段11a、周波数てい倍部制御手段11b、パルスパターン発生部制御手段11c、変調部制御手段11d、振幅制御手段11eを含む。すなわち、変調部制御手段11dは、選択されたスプレッド方式(ダウンスプレッド、センタースプレッド、アッパースプレッドの何れかのスプレッド方式)、キャリア周波数、変調周波数、変調度に応じて基準クロック信号のスペクトラムを拡散したスペクトラム拡散クロック信号を発生するように変調部12(変調生成部12e)を制御する。その他、表示部16の表示制御、パルスパターン発生装置200を構成する各部の駆動制御を行っている。
【0053】
分周比算出手段11aは、三角波発生部12fで発生する三角波の周波数を生成するための複数の分周比とそれぞれの分周比の発生回数を算出し、分周比算出信号を三角波発生部12fに出力している。なお、分周比算出手段11aは、これらの複数の分周比とそれぞれの分周比の発生回数によって複数の三角波を発生させて一組の波形とし、この一組の波形によって平均化された平均周波数と、通信規格で規定される変調周波数との差が0.1%以内となるようにしている。
【0054】
振幅補正手段11eは、三角波発生部12fで発生する三角波の振幅を補正するための振幅補正信号を三角波発生部12fに出力している。
【0055】
記憶部17は、三角波発生部12fで発生する三角波の周波数を生成するための複数の分周比とそれぞれの分周比の発生回数を算出して制御する際と、三角波の振幅を補正制御するために用いられる計算式(式(1)〜(5))を記憶する。
【0056】
周波数てい倍部制御手段11bは、スペクトラム拡散クロック発生器1から出力されるスペクトラム拡散クロック信号の周波数のk(ただしkは正の整数)てい倍の周波数を有するスペクトラム拡散クロック信号を出力するように周波数てい倍部13を制御する。
【0057】
パルスパターン発生部制御手段11cは、周波数てい倍部13にて周波数てい倍されたスペクトラム拡散クロック信号と外部から入力されるデータ信号とから所望の繰り返しパターンによるパルスパターン信号を発生するようにパルスパターン発生部14を制御する。
【0058】
周波数てい倍部13は、制御部11の制御により、スペクトラム拡散クロック発生器1が発生するスペクトラム拡散クロック信号の周波数のkてい倍の周波数(たとえば、20倍の周波数)を有するスペクトラム拡散クロック信号を出力する。
【0059】
パルスパターン発生部14は、制御部11の制御により、周波数てい倍部13にて周波数てい倍されたスペクトラム拡散クロック信号と、外部から入力されるデータ信号(低レベル電圧:「0」と高レベル電圧:「1」のデータ)とを入力とし、データ信号をスペクトラム拡散クロック信号で変調した所望の繰り返しパターンによるパルスパターン信号を発生する。たとえば被測定物のマージンテストを行う誤り率測定装置のパターン発生器として用いる場合、パターン発生部14は、被測定物に入力する既知パターンのパルスパターン信号(テスト信号)として、スペクトラム拡散クロック信号により変調されたPRBS(Pseudo−randombit sequence:擬似ランダム・ビット・シーケンス)パターン、繰り返し信号としての0,1の連続パターン、任意のパターンからなるプログラマブルパターンを発生する。
【0060】
そして、上記のように構成されるパターン発生器200のスペクトラム拡散クロック発生器1からダウンスプレッド方式、センタースプレッド方式、アッパースプレッド方式から任意のスプレッド方式でスペクトラム拡散クロック信号を発生する場合には、まず、設定部15にてスプレッド方式(ダウンスプレッド方式、センタースプレッド方式、アッパースプレッド方式の何れかのスプレッド方式)を選択するとともに、変調周波数、キャリア周波数、変調度を設定する。
【0061】
(分周動作例)
ここで、
図3を用いて、たとえば5MHzで固定された基準クロック信号を用いてPCIExpress規格のGen2に規定される変調周波数の33kHzを発生する動作を説明する。なお、従来技術では、DACで要求される分周比である自然数、かつ偶数とするために、変調周波数33kHz近傍の周波数を得られる151分周の近傍の偶数、たとえば152分周とした場合、変調周波数は32.8947・・・kHzとなり、規定された変調周波数の33kHzに対して0.3%程度のずれが生じてしまう。一方、たとえば5MHzで固定された基準クロック信号からPCIExpress規格のGen1に規定される変調周波数の31.25kHzを発生させる場合は、前述のように160分周で端数は出ないことから、基準クロック信号の周波数から単一の分周比で三角波の周波数を発生できるため、従来技術によりスペクトラム拡散クロック信号を発生させてもよい。
【0062】
前提として、本例ではn=2とし、第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の発生回数がR
1回、第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の発生回数がR
2回からなる(R
1+R
2)個の三角波を組み合わせた一組の波形を構成することにする。また、基準クロック信号の周波数をfc、通信規格で規定される変調周波数、すなわち三角波の周波数をfd、第1の三角波および第2の三角波の組み合わせによって周波数を平均化された一組の波形の平均周波数をΔfdとする。分周比算出手段11aは、下記式(2)を用いて、Δfdと、fdとの差が0.1%以内となるように第1の分周比D
1、第2の分周比D
2と、第1の三角波の発生回数R
1回、第2の三角波の発生回数R
2回とをそれぞれ算出して分周比算出信号を生成し、変調部12ならびに変調生成部12eに含まれる三角波発生部12fに出力する。三角波の周波数fdと、平均周波数Δfdとの差が0.1%以内であれば、測定結果の信頼性を十分に担保することが可能である。なお、本発明および下記式(2)において、≒の記号は、一致を示す=の記号の場合も含む。
【0063】
fd≒Δfd=fc/((D
1×R
1+D
2×R
2)/(R
1+R
2)) …式(2)
ただし、D
2>D
1、
D
1、D
2は偶数、
R
1、R
2は正の整数、
D
2=D
1+(2×i)(i=1から5までの任意の整数)
【0064】
たとえば、基準クロック信号の周波数をfc=5MHz、三角波の周波数をfd=33kHzとする。ここで、分周比算出手段11aは、上記式(2)を用いて平均周波数Δfdと、三角波の周波数fd=33kHzとの差を0.1%以内となるようにする第1の分周比D
1、第2の分周比D
2と、第1の三角波の発生回数R
1回、第2の三角波の発生回数R
2回をそれぞれ算出する。算出処理としては、fc/fdが151近傍であるので、第2の分周比D
2が151の近傍の偶数に望ましい値があると推定して、たとえばD
2=152と決定した後、上記式(2)の条件に基づいて試行する方法でD
1、R
1、R
2をそれぞれ求める。これにより、たとえばi=1の場合、第1の分周比D
1を150分周、第1の三角波の発生回数R
1回を1回、第2の分周比D
2を152分周、第2の三角波の発生回数R
2回を3回とすることを算出して分周比算出信号を生成し、変調部12ならびに変調生成部12eに含まれる三角波発生部12fに出力する。
【0065】
次に、三角波発生部12fは、この算出された第1の分周比D
1を150分周と、第1の三角波の発生回数R
1回を1回と、第2の分周比D
2を152分周と、第2の三角波の発生回数R
2回を3回に基づいて、平均周波数Δfdを算出する。具体的には、上述の式(2)を用いて、Δfd=5MHz/((150×1+152×3)/(1+3))のように求める。この結果、平均周波数Δfdは、Δfd=33.00330033・・・kHzとなる。これは、規定された変調周波数の33kHzに対して0.01%程度のずれであり、変調周波数ずれを十分に小さくすることが可能となっている。このスペクトラム拡散クロック信号を用いて被測定物を測定することにより、測定結果の誤差を最小化することが可能となる。
【0066】
また、i=1ならば第1の分周比D
1をもつ第1の三角波と、第2の分周比D
1をもつ第2の三角波の分周比の差が2と差が最小となるので、これらの三角波を組み合わせた一組の波形の周波数の揺らぎが最小となり、ジッタ量の少ない三角波を生成できる。一方、i=5ならば、第1の分周比D
1をもつ第1の三角波と、第2の分周比D
1をもつ第2の三角波の分周比の差が10となり、誤り率測定装置のスペクトラム拡散クロック信号として使用するに支障のない程度のジッタ量の三角波を生成可能な範囲である。i=6以上の値を用いて動作させることも可能であるが、第1の分周比D
1をもつ第1の三角波と、第2の分周比D
1をもつ第2の三角波との分周比の差が大きくなると、これらの三角波を組み合わせて一組の波形としたときの周波数のゆらぎがジッタ量の増加になるため、i=5以下とすることが望ましい。
【0067】
ところで、この分周動作例では、説明を簡易とするため、算出された第1の分周比D
1を150分周、第1の三角波の発生回数R
1回を1回、第2の分周比D
2を152分周、第2の三角波の発生回数R
2回を3回として説明したが、第1の分周比D
1を150分周、第1の三角波の発生回数R
1回を8回、第2の分周比D
2を152分周、第2の三角波の発生回数R
2回を25回とすれば、規定された変調周波数の33kHzに一致する変調周波数が発生できる。この場合、第1の分周比D
1の発生を8回繰り返した後で第2の分周比D
2の発生を25回繰り返してもよいが、第1の分周比D
1を1回発生させるごとに第2の分周比D
2の発生を3〜4回繰り返すことによって全体として第1の分周比D
1の発生が8回に対して第2の分周比D
2の発生が25回となるようにすることが望ましい。
【0068】
また、上記例では、第1の分周比D
1と、第2の分周比D
2との2つの分周比の組み合わせで説明したが、この2つの組み合わせに限られるものではなく、3つ以上の分周比の組み合わせや、第1の分周比D
1、・・・、第nの分周比D
nとし、これらの第1、・・・、第nの分周比をそれぞれもつ複数の三角波の発生回数がそれぞれR
1回、・・・、R
n回からなるn個(ただしnは3以上の整数)の三角波の組み合わせとしてもよい。なお、第1の分周比D
1をもつ三角波の発生回数はR
1回、第2の分周比D
2をもつ三角波の発生回数はR
2回、第3の分周比D
3をもつ三角波の発生回数はR
3回、・・・、第nの分周比D
nをもつ三角波の発生回数はR
n回となるよう、それぞれの三角波が対となるように組み合わされている。
【0069】
ところで、上述のように、複数の三角波を組み合わせた一組の波形について、たとえば第1の分周比D
1として150分周をもつ第1の三角波の発生回数R
1回が1回の三角波、第2の分周比D
2として152分周をもつ第2の三角波の発生回数R
2回が3回の三角波として発生することにより、通信規格に規定された変調周波数33kHzからのずれを十分に小さくすることができる。しかしながら、
図3に示すように、150分周をもつ第1の三角波の発生回数が1回の三角波の最大電圧は、152分周をもつ第2の三角波の発生回数が3回の三角波の最大電圧よりも振幅が低下しているため、これらの三角波を組み合わせて一組の波形としたときの振幅が低下し、その結果、スペクトラム拡散クロック信号は過少に変調されたスペクトラムとなる。この過少に変調されたスペクトラム拡散クロック信号を用いて被測定物を測定すると、規格に規定された変調量に対して少ない変調量でマージンテストを行うこととなり、測定結果に誤差を生じ、不良品を良品として判定する可能性が生じる。
【0070】
そこで、本実施の形態では、上述した三角波を組み合わせた一組の波形の振幅が低下する問題を解消してスペクトラム拡散クロック信号が適正に変調されたスペクトラムとする動作例を説明する。なお、本発明が適用される装置において、後述する第1の振幅補正動作例、第2の振幅補正動作例、第3の振幅補正動作例は、これらの何れか1つが設計や設定により択一的に動作するものとする。
【0071】
(第1の振幅補正動作例)
第1の振幅補正動作例について、説明する。振幅補正手段11eは、
図4に示すように、第2の分周比D
2が第1の分周比D
1より大きいとき、分周比が小さい三角波、D
2>D
1ならばD
1をもつ第1の三角波の補正前の1bitあたりの振幅の所定量の変位に対し、下記式(3)を用いて振幅の補正を行う。なお、第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の1bitあたりの振幅の所定量の変位をV
a、第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位をV
bとする。また、V
Δは所望の変調度を得るための三角波の最大電圧とする。V
aは、上述の式(1)より、V
a=2×V
Δ/D
2であらわされる。
【0072】
V
b=V
a×D
2/D
1 …式(3)
ただし、D
2>D
1、
V
a=2×V
Δ/D
2
【0073】
複数の三角波を組み合わせた一組の波形について、たとえば、第1の分周比D
1として150分周をもつ第1の三角波の発生回数が1回の三角波、第2の分周比D
2として152分周をもつ第2の三角波の発生回数が3回の三角波を発生しているとする。また、三角波の電圧の最大値V
Δがたとえば1V、第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の1bitあたりの振幅の所定量の変位V
aは、上述の式(1)から1Vを第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の分周比152の2分の1の数である76で均等に分割した0.013157・・・Vとなる。ここで、上記式(3)を用いて、第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位はV
b=0.013157・・・V×(152/150)=0.013333・・・V×1.013333・・・=0.013333・・・Vと算出される。そして、第1の分周比D
1として150分周をもつ第1の三角波の発生回数が1回の三角波に限り、補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位V
b=0.013333・・・Vになるように補正する。この補正により、第1の分周比D
1として150分周をもつ第1の三角波の発生回数が1回の三角波の電圧の最大値は、V
b=0.013333・・・Vを75倍した0.999999・・・Vとなる。これにより、第1の分周比D
1として150分周をもつ第1の三角波の発生回数が1回の三角波の電圧の最大値が、所望の変調度を得るための三角波の電圧の最大値V
Δである1Vに極めて近い電圧へ補正され、規定された変調周波数に対する変調周波数ずれを小さくしながら、所望の変調度を有する三角波を発生することが可能となる。
【0074】
(第2の振幅補正動作例)
第2の振幅補正動作例について、説明する。振幅補正手段11eは、
図5に示すように、第2の分周比D
2が第1の分周比D
1より大きいとき、分周比が小さい三角波の頂点にあるbitのみに対して補正を行う。D
2>D
1ならばD
1をもつ第1の三角波の補正前の1bitあたりの振幅の所定量の変位で、かつ、第1の分周比D
1の頂点にあるbitのみに対し、下記式(4)を用いて振幅の補正を行う。なお、第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の1bitあたりの振幅の所定量の変位をV
a、第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位をV
dとする。また、V
Δは所望の変調度を得るための三角波の最大電圧とする。V
aは、上述の式(1)より、V
a=2×V
Δ/D
2であらわされる。
【0075】
V
d=V
a×(((D
2−D
1)/2)+1) …式(4)
ただし、D
2>D
1、
V
a=2×V
Δ/D
2
【0076】
複数の三角波を組み合わせた一組の波形について、たとえば、第1の分周比D
1として150分周をもつ第1の三角波の発生回数が1回の三角波、第2の分周比D
2として152分周をもつ第2の三角波の発生回数が3回の三角波を発生しているとする。また、所望の変調度を得るための三角波の電圧の最大値V
Δがたとえば1V、第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の1bitあたりの振幅の所定量の変位V
aは、上述の式(1)から1Vを第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の分周比152の2分の1の数である76で均等に分割した0.013157・・・Vとなる。ここで、上記式(4)を用いて、第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位はV
d=0.013157・・・V×(((152−150)/2)+1)=0.026315・・・Vと算出される。そして、第1の分周比D
1として150分周をもつ第1の三角波の発生回数が1回の三角波で、かつ、第1の分周比D
1の頂点にあるbitのみに対して、補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位V
d=0.026315・・・Vになるように補正する。この補正により、第1の分周比D
1として150分周をもつ第1の三角波の発生回数が1回の三角波の電圧の最大値は、V
a=0.013157・・・Vを74倍した0.973684・・・Vに、V
d=0.026315・・・Vを加え、0.999999・・・Vとなる。これにより、第1の分周比D
1として150分周をもつ第1の三角波の発生回数が1回の三角波の電圧の最大値が、所望の変調度を得るための三角波の電圧の最大値V
Δである1Vに極めて近い電圧へ補正され、規定された変調周波数に対する変調周波数ずれを小さくしながら、所望の変調度を有する三角波を発生することが可能となる。
【0077】
(第3の振幅補正動作例)
次に、第3の振幅補正例について、説明する。振幅補正手段11eは、
図6に示すように、第2の分周比D
2が第1の分周比D
1より大きいとき、第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の発生回数がR
1回の三角波、第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の発生回数がR
2回の三角波として、これらの三角波を組み合わせて一組とした波形全体の補正前の各bitの全てに対し、下記式(5)を用いて振幅の補正を行う。なお、第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の1bitあたりの振幅の所定量の変位をV
a、第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の発生回数がR
1回の三角波、第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の発生回数がR
2回の三角波として組み合わせて一組とした波形全体の補正後の各bitの振幅の所定量の変位をV
fとする。また、V
Δは所望の変調度を得るための三角波の最大電圧とする。V
aは、上述の式(1)より、V
a=2×V
Δ/D
2であらわされる。
【0078】
V
f=V
a× D
2×(R
1+R
2)/(D
1×R
1+D
2×R
2)…式(5)
ただし、D
2>D
1、
V
a=2×V
Δ/D
2
【0079】
複数の三角波を組み合わせた一組の波形について、たとえば、第1の分周比D
1として150分周をもつ第1の三角波の発生回数が1回の三角波、第2の分周比D
2として152分周をもつ第2の三角波の発生回数が3回の三角波を発生しているとする。また、所望の変調度を得るための三角波の電圧の最大値V
Δがたとえば1V、第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の1bitあたりの振幅の所定量の変位V
aは、上述の式(1)から1Vを第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の分周比152の2分の1の数である76で均等に分割した0.013157・・・Vとなる。ここで、上記式(5)を用いて、補正後の波形全体の各bitの振幅の所定量の変位はV
f=0.013157・・・V×152×(1+3)/(150×1+152×3)=0.013333・・・V×1.00330033・・・=0.013201・・・Vと算出される。そして、第1の分周比D
1として150分周をもつ第1の三角波の発生回数が1回の三角波、第2の分周比D
2として152分周をもつ第2の三角波の発生回数が3回の三角波として、これらの三角波を組み合わせて一組とした波形全体の各bitの全てに対し、補正後の波形全体の各bitの振幅の所定量の変位V
f=0.013201・・・Vとして補正する。この補正により、補正後の波形全体の各bitの振幅の所定量の変位による波形の電圧の最大値は、第1の分周比D
1として150分周をもつ第1の三角波においてはV
f=0.013201・・・Vを75倍した0.990099・・・V、第2の分周比D
2として152分周をもつ第2の三角波の発生回数が3回の三角波においてはV
f=0.013201・・・Vを76倍した1.003300・・・Vとなる。ここで、これらの三角波を組み合わせて一組とした波形全体の平均電圧を検証する。この平均電圧を(0.990099・・・V×3回+1.003300・・・V×1回)/4の式により計算すると、平均電圧は0.993399・・・Vとなる。これにより、第1の分周比D
1として150分周をもつ第1の三角波の発生回数が1回の三角波の電圧の最大値と、第2の分周比D
2として152分周をもつ第2の三角波の発生回数が3回の三角波の電圧の最大値とが、所望の変調度を得るための三角波の電圧の最大値V
Δである1Vに極めて近い電圧へ補正され、規定された変調周波数に対する変調周波数ずれを小さくしながら、所望の変調度を有する三角波を発生することが可能となる。
【0080】
このように、本発明のスペクトラム拡散クロック発生器およびスペクトラム拡散クロック発生方法と、スペクトラム拡散クロック信号とデータ信号を用いて所望のパターン信号を発生するパルスパターン発生装置およびパルスパターン発生方法によれば、出力される三角波の振幅の誤差を補正するので、その結果、スペクトラム拡散クロック信号が正確な振幅で変調されたスペクトラムとなり、このスペクトラム拡散クロック信号を用いて被測定物を測定することにより、測定結果の信頼性を向上することが可能となる。
【0081】
[処理動作]
次に、パルスパターン発生装置200におけるスペクトラム拡散クロック発生に係る処理動作について、
図7を参照しながら説明する。なお、上述の装置と重複する箇所は説明を適宜省略する。
【0082】
(分周処理例)
まず、第1の分周比D
1と、第2の分周比D
2との2つの分周比の組み合わせの場合を例として、スペクトラム拡散クロック発生の分周処理動作について
図7を参照しながら説明する。はじめに、設定部15により設定された変調周波数(三角波の周波数fd)の設定が行われる(S301)。
【0083】
次に、設定された変調周波数(三角波の周波数fd)が、基準クロック信号fcの周波数から単一の分周比、すなわち、分周比の個数が1で三角波の周波数fdを生成可能か否かを判定する(S302)。なお、判定基準として、基準クロック信号の周波数fcを、変調周波数(三角波の周波数fd)で除算したとき、端数が出ず、かつ偶数となる場合は、分周比の個数が1で三角波の周波数fdを生成可能であると判定する。一方、変調周波数(三角波の周波数fd)で除算したとき、端数が生じるか、端数が出ない場合でも奇数となる場合は、分周比の個数が1で三角波の周波数fdを生成不可能であると判定する。
【0084】
ここで、単一の分周比で三角波の周波数fdを生成可能な場合、単一の分周比により三角波の周波数fdを生成する(S306)。そして、生成された三角波の周波数fdに基づいてスペクトラム拡散クロック信号を発生する(S307)。
【0085】
一方、分周比の数が1で三角波の周波数fdを生成不可能な場合、三角波の周波数fdと、平均周波数Δfdとの差が0.1%以内となるように、上述の式(2)を用いて第1の分周比D
1、第2の分周比D
2と、第1の三角波の発生回数R
1回、第2の三角波の発生回数R
2回とをそれぞれ算出する(S303)。
【0086】
次に、算出された第1の分周比D
1と、第1の三角波の発生回数R
1回と、第2の分周比D
2と、第2の三角波の発生回数R
2回とを用いて、分周を行う(S304)。
【0087】
次に、分周して得られた平均周波数Δfdに基づいて基準クロック信号を周波数変調することによりスペクトラム拡散クロック信号を発生する(S305)。
【0088】
なお、本発明が適用される装置において、後述の第1の振幅補正処理例、第2の振幅補正処理例、第3の振幅補正処理例は、これらの何れか1つが設計や設定により択一的に動作するものとする。
【0089】
(第1の振幅補正処理例)
第1の振幅補正処理例(第1の振幅補正ステップ)について、説明する。第2の分周比D
2が第1の分周比D
1より大きいとき、分周比が小さい波形、D
2>D
1ならばD
1をもつ第1の三角波の補正前の1bitあたりの振幅の所定量の変位に対し、上述の式(3)を用いて補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位V
bを求めて補正する(S308)。
【0090】
(第2の振幅補正処理例)
次に、第2振幅補正処理例(第2の振幅補正ステップ)について、説明する。第2の分周比D
2が第1の分周比D
1より大きいとき、分周比が小さい波形の頂点にあるbitのみに対して補正を行う。D
2>D
1ならばD
1をもつ第1の三角波の補正前の1bitあたりの振幅の所定量の変位で、かつ、第1の分周比D
1の頂点にあるbitのみに対し、上述の式(4)を用いて補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位V
dを求めて補正する(S309)。
【0091】
(第3の振幅補正処理例)
次に、第3振幅補正処理例(第3の振幅補正ステップ)について、説明する。第2の分周比D
2が第1の分周比D
1より大きいとき、第1の分周比D
1をもつ第1の三角波の発生回数がR
1回の三角波、第2の分周比D
2をもつ第2の三角波の発生回数がR
2回の三角波として、これらの三角波を組み合わせて一組とした波形全体の補正前の各bitの全てに対し、上述の式(5)を用いて補正後の1bitあたりの振幅の所定量の変位V
fを求めて補正する(S310)。
【0092】
また、上記例では、第1の分周比D
1と、第2の分周比D
2との2つの分周比の組み合わせで説明したが、この2つの組み合わせに限られるものではなく、3つ以上の分周比の組み合わせや、第1の分周比D
1、・・・、第nの分周比D
nとし、これらの第1、・・・、第nの分周比をそれぞれもつ複数の三角波の発生回数がそれぞれR
1回、・・・、R
n回からなるn個(ただしnは3以上の整数)の三角波の組み合わせとしてもよい。なお、第1の分周比D
1をもつ三角波の発生回数はR
1回、第2の分周比D
2をもつ三角波の発生回数はR
2回、第3の分周比D
3をもつ三角波の発生回数はR
3回、・・・、第nの分周比D
nをもつ三角波の発生回数はR
n回となるよう、それぞれの三角波が対となるように組み合わされている。