【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1に係る自動ドアロック機構1が組み込まれた自動ドア装置100の概略図である。
図2は、
図1に示した自動ドア装置100の自動ドアロック機構1周辺部分を示した斜視図であり、自動ドアロック機構1が施錠状態の図である。
図3は、(a)が、
図2に示した自動ドアロック機構1周辺部分を拡大した図であり、(b)が、(a)に示したロック用当接部30周辺をさらに拡大した図である。
図4は、
図1に示した自動ドア装置100の自動ドアロック機構1周辺部分を示した斜視図であり、自動ドアロック機構1が解錠状態の図である。
図5は、(a)が、
図4に示した自動ドアロック機構1周辺部分を拡大した図であり、(b)が、(a)に示したロック用当接部30周辺をさらに拡大した図である。
図6は、
図2に示した自動ドア装置100の自動ドアロック機構1周辺部分を異なる方向から視た図である。
図7は、(a)が歯付き従動プーリー10の周辺に配置された電磁ソレノイドケース20を示した図であり、(b)が電磁ソレノイドケース20を(a)とは異なる方向から視た図である。
図8は、電磁ソレノイド60の可動鉄芯61に固定されたロック用当接部30を示した斜視図である。
図9は、電磁ソレノイド60が通電されることによってロック用当接部30が複数の歯11に当接された状態で、ドア120を開ける方向への歯付き従動プーリ―10の回転によって歯11から負荷される力が可動鉄芯61の吸引方向にかかることを説明するための図である。
図10は、歯付き従動プーリー10が自動ドア装置100の左右どちら側に配置されるか、または、自動ドア装置100の入口開口がドア120の左右どちら側に配置されるかによって、自動ドアロック機構1の向きを変化させて組み付けることを説明するための図である。
なお、
図2、
図3、
図4、
図5、
図9に示した回転方向を示す矢印Oは、ドア120が開く方向での歯付き従動プーリ―10および従動プーリ―143の回転方向を示している。
また、
図7は、電磁ソレノイドケース20にコイル62が保持収容されている。
また、
図10では、ドア120を開く回転方向を示す矢印を「open」と表記し、ドア120を閉じる回転方向を示す矢印を「close」と表記している。
【0019】
本発明の実施例1に係る自動ドアロック機構1は、自動ドア装置100に組み込まれるものである。
自動ドア装置100は、
図1に示すように、自動ドア装置100の骨格を構成する本体フレーム110と、出入り口を開閉可能に移動されるドア120と、ドア120に近づいた人や物を検出する不図示のセンサと、ドア120を吊持するドア吊持部130と、ドア120を開閉駆動する駆動機構140と、ドア120と駆動機構140とを連結する連結具150と、自動ドアロック機構1と、センサから出力された信号に基づいて駆動機構140および自動ドアロック機構1を制御する制御部160と、を有する。
【0020】
本体フレーム110は、例えば、アルミニウム材からなり、複数のメーカーによって各種形状の異なるものが市販されている。
【0021】
この本体フレーム110のフロント部分には不図示の点検カバーが本体フレーム110に着脱可能に取り付けられている。
点検カバーは、本体フレーム110から取り外すことによって開いた開口を利用して本体フレーム110の内部に配置された各機構を容易にメンテナンスすることができるようになっている。
【0022】
センサは、ドア120に近づいた人や物を検出してドア120の開閉制御に必要な信号を制御部160に出力するものである。
このセンサは、例えば、自動ドア装置100のフロント部分に取り付けられている。
【0023】
ドア吊持部130は、連結具150に設けられた戸車151のガイド部分となるレール131を含んでドア120を吊持する部分である。
【0024】
連結具150は、ドア120を駆動ベルト144の回転駆動を利用して開閉移動可能にするため、ドア120と駆動ベルト144とを連結する部分である。
【0025】
この連結具150は、ドア120の上端面に連結された状態でドア120の上方位置に配置されるように設けられた戸車151がドア吊持部130のレール131に載置されることによってドア120をドア吊持部130に吊持させるようになっている。
【0026】
駆動機構140は、
図1に示すように、駆動モータ141と、駆動モータ141に連結された駆動プーリー142と、駆動プーリー141とドア120の開閉方向で離れた位置に配置された従動プーリー143と、駆動プーリー142および従動プーリー143に架け渡された駆動ベルト144と、を有する。
【0027】
自動ドアロック機構1は、駆動ベルト144が架け渡される駆動モータ141側の駆動プーリ―142、および、駆動ベルト144によって駆動プーリ―142の動力が伝達される従動プーリー143のうち、従動プーリー143に回転軸90を同じくして連結された歯付き従動プーリー10と、電磁ソレノイド60を保持するケースであり、電磁ソレノイド60の可動鉄芯61の移動方向で固定位置が調整可能に歯付き従動プーリー10の周辺に配置される電磁ソレノイドケース20と、歯付き従動プーリー10の複数の歯11に当接可能に階段状に形成された階段状当接部30aを有し、可動鉄芯61の先端部に設けられたロック用当接部30と、を有する。
【0028】
歯付き従動プーリー10は、従動プーリ―143と回転軸90を同じくしているので、従動プーリ―143の回転に連動して回転するものである。
この歯付き従動プーリ―10は、全周に渡って複数の歯11が形成されており、この歯11がロック用当接部30に当接される部分になる。
【0029】
なお、歯付き従動プーリー10と従動プーリ―143との間には、歯付き従動プーリー10と従動プーリ―143とを仕切る仕切りプレート70が配置されている。
この仕切りプレート70は、後述の固定プレート80に複数の支持棒71を介してネジ止め固定されるようになっている。
【0030】
電磁ソレノイドケース20は、電磁ソレノイド60のコイル62を保持収容する枠状部材であり、可動鉄芯61の移動方向に対向配置された可動鉄芯挿通壁部21および底壁部22と、一対の側壁部23、23と、を有する。
【0031】
可動鉄芯挿通壁部21は、可動鉄芯61が挿通される開口21aが形成されている。
また、可動鉄芯挿通壁部21は、外表面が可動鉄芯61をコイル62の内方から外方に向けて引き出すための力を負荷するためのバネ63が載置される面になっている。
なお、バネ63は、この実施例1では、いわゆる電池バネを用いているが、その他の弾性部材であっても構わない。
【0032】
可動鉄芯挿通壁部21と底壁部22とは、コイル62との間隔を小さく抑えてコイル62を略挟持する間隔で対向配置されている。このため、電磁ソレノイドケース20は、可動鉄芯61の移動方向での寸法をコンパクトに抑えることができるようになっている。
【0033】
一対の側壁部23、23は、一方の側壁部23が歯付き従動プーリー10の回転軸90の不図示の軸受が設けられた後述する固定プレート80に固定される側の壁になっている。
なお、この実施例1では、側壁部23は、固定プレート80にネジ止め固定されるようにネジ挿通孔が形成されている。
【0034】
このような電磁ソレノイドケース20は、可動鉄芯61の移動方向での寸法がコンパクトになっているため、可動鉄芯61の移動方向での固定プレート80への取付け位置の調整範囲を広い領域で確保することができる。
【0035】
ロック用当接部30は、当接される歯付き従動プーリー10の複数の歯11に対応させて複数の板状部材31を重ね合わせた部材である。
より具体的には、ロック用当接部30は、歯付き従動プーリー10の歯11の寸法およびピッチに対応した等しい厚さの3枚の板状部材31が、歯11の寸法およびピッチに対応させた幅で歯11との当接部分となる端部が階段状になるようにずらして重ね合わされることによって階段状当接部30aを形成している。
この実施例1では、ロック用当接部30は、階段状当接部30aが、歯付き従動プーリー10の連続する3つの歯11のそれぞれに当接されるように3段になっている。
【0036】
重ね合される3枚の板状部材31のうち、最下段に配置される板状部材31は、可動鉄芯61に固定される部分であり、ネジ止め固定するためのネジ挿通孔が形成されている。
【0037】
このようなロック用当接部30は、電磁ソレノイド60が通電状態で、歯付き従動プーリー10の複数の歯11に当接され(
図3参照)、電磁ソレノイド60が非通電状態で、歯付き従動プーリー10の複数の歯11から離れるようになっている(
図5参照)。
【0038】
より具体的には、電磁ソレノイド60が通電状態になると、可動鉄芯61が電磁ソレノイドケース20に保持収容されたコイル62の内方に吸引されることによって、可動鉄芯挿通壁部21の外表面からの可動鉄芯61の突出量が短くなる。
この状態では、可動鉄芯挿通壁部21の外表面に載置されたバネ63が可動鉄芯挿通壁部21とロック用当接部30との間で弾性的に圧縮された状態になっている。
【0039】
このようにして可動鉄芯挿通壁部21の外表面からの可動鉄芯61の突出量が短くなり、ロック用当接部30が複数の歯11に当接されることによって、歯付き従動プーリ―10のドア120を開く方向への回転が阻止されるため、歯付き従動プーリ―10に回転軸90を同じくして連結された従動プーリー143もドア120を開く方向への回転が阻止される。
【0040】
なお、電磁ソレノイド60が通電されることによってロック用当接部30が複数の歯11に当接された状態では、
図9に示すように、ドア120を開ける方向への歯付き従動プーリ―10の回転によって歯11から負荷される力が可動鉄芯61の吸引方向にかかる。
このため、自動ドアロック機構1は、電磁ソレノイド60の吸引力が弱い場合であっても、ロック用当接部30を複数の歯11に当接させた状態を保持することができるようになっている。
また、自動ドアロック機構1は、ロック用当接部30を複数の歯11に当接させることができるため、ドア120を安定して施錠することができる。
【0041】
電磁ソレノイド60が非通電状態になると、可動鉄芯61が電磁ソレノイドケース20に収容されたコイル62の吸引力から解放される。
可動鉄芯61がコイル62の吸引力から解放されると、可動鉄芯挿通壁部21とロック用当接部30との間で弾性的に圧縮された状態のバネ63が弾性的に復元されながらロック用当接部30を押し上げることによって、可動鉄芯挿通壁部21の外表面からの可動鉄芯61の突出量が長くなる。
このように可動鉄芯挿通壁部21の外表面からの可動鉄芯61の突出量が長くなることによって、ロック用当接部30が複数の歯11から離れ、歯付き従動プーリ―10の回転が自由になるため、歯付き従動プーリ―10に回転軸90を同じくして連結された従動プーリー143も回転が自由になる。
【0042】
なお、この実施例1では、自動ドアロック機構1、および、歯付き従動プーリー10に連結された従動プーリ―143が固定プレート80に軸支されるようになっている。
より具体的には、固定プレート80は、従動プーリ―143および歯付き従動プーリー10の共通の回転軸90を軸支する不図示の軸受が設けられている。
【0043】
また、この実施例1では、上述の仕切りプレート70にも、回転軸90を軸支する不図示の軸受が設けられており、対向配置された二つの軸受によって回転軸90を軸支するようになっている。
【0044】
また、固定プレート80は、電磁ソレノイドケース20が電磁ソレノイド60の可動鉄芯61の移動方向で固定位置が調整可能に固定されるようになっている。
固定プレート80は、電磁ソレノイドケース20が電磁ソレノイド60の可動鉄芯61の移動方向で固定位置が調整し易いように、例えば、ネジ止め用のネジ挿通孔を可動鉄芯61の移動方向を長手方向とする長穴形状にすると良い。
【0045】
このように自動ドアロック機構1は、固定プレート80が自動ドア装置100の本体フレーム110に直接、あるいは、台座(不図示)を介して固定されることによって、自動ドア装置100に組み込まれる。
【0046】
なお、自動ドアロック機構1は、
図10に示すように、歯付き従動プーリー10が自動ドア装置100の左右どちら側に配置されるか、または、自動ドア装置100の入口開口がドア120の左右どちら側に配置されるかによって、ドア120を開閉する歯付き従動プーリー10の回転方向が異なるため、その仕様の変化に応じて取り付け向きを変化させて組み付けられる。
【0047】
制御部160は、ボックス内にマイクロコンピュータが収容されており、不図示の電線によって、上述したセンサ、駆動機構140の駆動モータ141、および、自動ドアロック機構1の電磁ソレノイド60に接続されている。
なお、制御部160は、従来技術の電磁ソレノイド60を用いたドアロック機構と同様に、施錠時には、電磁ソレノイド60を通電し、解錠時には、電磁ソレノイド60を非通電とするように制御するため、従来技術の電磁ソレノイド60を用いたドアロック機構の制御部をそのまま用いることができる。
このため、顧客は、制御部160の変更をしなくても、従来の電磁ソレノイド60を用いたドアロック機構を用いるか、この実施例1の自動ドアロック機構1を用いるかを選択することができる。
【0048】
この制御部160は、センサからドア120に近づいた人や物を検知した旨の信号を受信すると、ドア120を120開くように駆動モータ141を駆動制御する。
制御部160は、ドア120を閉じた状態から開く場合、自動ドアロック機構1の電磁ソレノイド60を非通電状態にして、ドア120を解鍵する。
ドア120を開くように駆動モータ141が駆動されることによって、駆動プーリー142および駆動プーリー142に駆動ベルト144を介して繋がる従動プーリ―143がドア120を開く方向に回転される。
【0049】
また、制御部160は、ドア120を開くように制御した後、不図示の安全光線スイッチによってドア120を通過中の人や物を検知しない旨の信号を受信すると、ドア120を閉じるように駆動モータ141を駆動制御する。
これにより駆動プーリー142および駆動プーリー142に駆動ベルト144を介して繋がる従動プーリ―143がドア120を閉じる方向に回転される。
【0050】
制御部160は、ドア120が閉じた場合、自動ドアロック機構1の電磁ソレノイド60を通電状態にしてドア120を施錠する。
【0051】
このような自動ドアロック機構1が組み込まれた自動ドア装置100は、センサおよび安全光線スイッチによる検知信号によって自動ドアロック機構1によるドア120の施錠および解錠を行うだけでなく、停電時には、電磁ソレノイド60が非通電となり、ドア120を解錠するようになっている。
【0052】
本発明の実施例1に係る自動ドアロック機構1は、駆動モータ141側の駆動プーリ―142でなく、従動プーリー143側に設けられることによって、駆動モータ141の種類に応じて設置スペースを確保する必要がなく、しかも、電磁ソレノイド60を自動ドア装置100の複数の仕様に共有する場合であっても、可動鉄芯61の移動方向で電磁ソレノイドケース20の固定位置を調整することによって、可動鉄芯61のストローク量をできる限り短くした状態で、ロック用当接部30を複数の歯11に当接させ、あるいは、複数の歯11から離すことができるので、電磁ソレノイド60を用いたドアロック機構の設置スペースの確保が容易であり、かつ、電磁ソレノイド60の吸引効率を高めるとともに騒音を抑えることができる。
【0053】
また、本発明の実施例1に係る自動ドアロック機構1は、ロック用当接部30が、電磁ソレノイド60が通電状態で複数の歯11に当接され、電磁ソレノイド60が非通電状態で複数の歯11から離れるので、停電時に解錠するドアロック機構として用いることができる。
【0054】
また、本発明の実施例1に係る自動ドアロック機構1は、ロック用当接部30が、電磁ソレノイド60が通電されて複数の歯11に当接された状態で、ドア120を開ける方向への歯付き従動プーリ―10の回転によって歯11から負荷される力が可動鉄芯61の吸引方向にかかるようになっているので、電磁ソレノイド60の吸引力が低いものであっても、確実に施錠することができる。
【0055】
また、本発明の実施例1に係る自動ドアロック機構1は、ロック用当接部30が、歯付き従動プーリー10の当接される複数の歯11に応じて複数の板状部材31を重ね合わせた部材であるので、板状部材31の重ね合わせ数、あるいは、板状部材31の厚さを調整することによって、ロック用当接部30と複数の歯11との当接状態を容易に調整することができる。
【0056】
(変形例)
次に、
図11を用いて本発明の実施例1に係る自動ドアロック機構1の変形例について説明する。
図11は、変形例に係る自動ドアロック機構1Vの概略図である。
なお、
図11に示した回転方向を示す矢印Oは、ドア120が開く方向での歯付き従動プーリ―10および従動プーリ―143の回転方向を示している。
【0057】
変形例の自動ドアロック機構1Vは、ロック用当接部40が歯付き従動プーリー10の連続する複数の歯11に当接するのでなく、連続する歯11の間の歯11を飛ばして複数の歯11に当接するようになっている点で、実施例1の自動ドアロック機構1と異なる。
また、変形例の自動ドアロック機構1Vは、ロック用当接部40が歯付き従動プーリー10の3つの歯11に当接するのでなく、2つの歯11に当接するようになっている点でも、実施例1の自動ドアロック機構1と異なる。
すなわち、実施例1と変形例との構成上の違いからも明らかなように、本発明の自動ドアロック機構1、2は、ロック用当接部30、40が歯付き従動プーリー10の2つ以上の歯11に当接されるようになっていればよい。
なお、その他の構成は実施例1と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付しその説明を省略している。
【0058】
変形例の自動ドアロック機構1Vは、ロック用当接部40が厚さの異なる2枚の板状部材41a、41bを歯11との当接部分となる端部が階段状になるようにずらして重ね合わせている。
ロック用当接部40は、最下段の板状部材41bの厚さを最上段の板状部材41aに比して厚くして、最下段の板状部材41bが当接される歯11と、最上段の板状部材41aが当接される歯11との間の歯11を飛ばして2つの歯11に当接されるようになっている。
【0059】
この変形例1の自動ドアロック機構1Vは、実施例1の自動ドアロック機構1と同様に、駆動モータ141側の駆動プーリ―142でなく、従動プーリー143側に設けられることによって、駆動モータ141の種類に応じて設置スペースを確保する必要がなく、しかも、電磁ソレノイド60を自動ドア装置100の複数の仕様に共有する場合であっても、可動鉄芯61の移動方向で電磁ソレノイドケース20の固定位置を調整することによって、可動鉄芯61のストローク量をできる限り短くした状態で、ロック用当接部40を複数の歯11に当接させ、あるいは、複数の歯11から離すことができるので、電磁ソレノイド60を用いたドアロック機構の設置スペースの確保が容易であり、かつ、電磁ソレノイド60の吸引効率を高めるとともに騒音を抑えることができる。
【0060】
(実施例2)
次に、
図12−
図14を用いて本発明の実施例2に係る自動ドアロック機構2について説明する。
図12は、本発明の実施例2に係る自動ドアロック機構2が組み込まれた自動ドア装置200の概略図である。
図13は、実施例2に係る自動ドアロック機構2の概略図であり、(a)がロック用当接部50が歯付き従動プーリー10の複数の歯11に当接した状態を示した図であり、(b)がロック用当接部50が歯付き従動プーリー10の複数の歯11から離れた状態を示した図である。
図14は、歯付き従動プーリー10が自動ドア装置200の左右どちら側に配置されるか、または、自動ドア装置200の入口開口がドア120の左右どちら側に配置されるかによって、自動ドアロック機構2の向きを変化させて組み付けることを説明するための図である。
なお、
図13に示した回転方向を示す矢印Oは、ドア120が開く方向での歯付き従動プーリ―10および従動プーリ―143の回転方向を示している。
また、
図14では、ドア120を開く回転方向を示す矢印を「open」と表記し、ドア120を閉じる回転方向を示す矢印を「close」と表記している。
【0061】
実施例2の自動ドアロック機構2は、停電時に施錠する構成になっている点で、実施例1の自動ドアロック機構1と異なる。
なお、その他の構成は実施例1と同様であり、実施例と同一構成部分には同一符号を付しその説明を省略している。
【0062】
この実施例2の自動ドアロック機構2は、電磁ソレノイド60が非通電状態で、ロック用当接部50が、歯付き従動プーリー10の複数の歯11に当接され、電磁ソレノイド60が通電状態で、ロック用当接部50が、歯付き従動プーリー10の複数の歯11から離れるようになっている。
【0063】
ロック用当接部50は、
図13に示すように、重ね合された3枚の板状部材51a、51b、51cのうち、最下段の板状部材51cがZ状に屈曲された屈曲部51dを有して、可動鉄芯61の端部に固定されるようになっている。
【0064】
このような自動ドアロック機構2は、電磁ソレノイド60が非通電状態になると、可動鉄芯61が電磁ソレノイドケース20に収容されたコイル62の吸引力から解放される。
【0065】
可動鉄芯61がコイル62の吸引力から解放されると、可動鉄芯挿通壁部21とロック用当接部50との間で弾性的に圧縮された状態のバネ63が弾性的に復元されながらロック用当接部50を押し上げることによって、可動鉄芯挿通壁部21の外表面からの可動鉄芯61の突出量が長くなる。
【0066】
このようにして可動鉄芯挿通壁部21の外表面からの可動鉄芯61の突出量が長くなり、ロック用当接部50が複数の歯11に当接されることによって、歯付き従動プーリ―10のドア120を開く方向への回転が阻止されるため、歯付き従動プーリ―10に回転軸90を同じくして連結された従動プーリー143もドア120を開く方向への回転が阻止される。
【0067】
電磁ソレノイド60が通電状態になると、可動鉄芯61が電磁ソレノイドケース20に保持収容されたコイル62の内方に吸引されることによって、可動鉄芯挿通壁部21の外表面からの可動鉄芯61の突出量が短くなる。
この状態では、可動鉄芯挿通壁部21の外表面に載置されたバネ63が可動鉄芯挿通壁部21とロック用当接部50との間で弾性的に圧縮された状態になっている。
【0068】
このようにして可動鉄芯挿通壁部21の外表面からの可動鉄芯61の突出量が短くなることによって、ロック用当接部50が複数の歯11から離れ、歯付き従動プーリ―10の回転が自由になるため、歯付き従動プーリ―10に回転軸90を同じくして連結された従動プーリー143も回転が自由になる。
【0069】
この実施例2の自動ドアロック機構2を組み込んだ自動ドア装置100の制御部170は、センサからドア120に近づいた人や物を検知した旨の信号を受信すると、ドア120を開くように駆動モータ141を駆動制御する。
制御部170は、ドア120を閉じた状態から開く場合、自動ドアロック機構2の電磁ソレノイド60を通電状態にして、ドア120を開鍵する。
ドア120を開くように駆動モータ141が駆動されることによって、駆動プーリー142および駆動プーリー142に駆動ベルト144を介して繋がる従動プーリ―143がドア120を開く方向に回転される。
【0070】
また、制御部170は、ドア120を開くように制御した後、不図示の安全光線スイッチによってドア120を通過中の人や物を検知しない旨の信号を受信すると、ドア120を閉じるように駆動モータ141を駆動制御する。
これにより駆動プーリー142および駆動プーリー142に駆動ベルト144を介して繋がる従動プーリ―143がドア120を閉じる方向に回転される。
【0071】
制御部170は、ドア120が閉じた場合、自動ドアロック機構2の電磁ソレノイド60を非通電状態にしてドア120を施錠する。
【0072】
このような自動ドアロック機構2が組み込まれた自動ドア装置200は、センサおよび安全光線スイッチによる検知信号によって自動ドアロック機構2によるドア120の施錠および解錠を行うだけでなく、停電時には、電磁ソレノイド60が非通電となり、ドア120を施錠するようになっている。
このため、停電時に室内側から人為的にドアを解錠することができるように解錠用の治具を備えておくとよい。
【0073】
なお、ドア120が完全に閉じた状態で停電になった場合、ドア120が開く方向へ歯付き従動プーリ―10が回転されることを自動ドアロック機構2が阻止するので、ドア120は完全に閉じた状態を保持して開かないようになっている。
一方、この状態では、ドア120を閉じる方向への歯付き従動プーリ―10の回転が自由になっているものの、ドア120が完全に閉じた状態になっているので、結果的に、ドア120は動かないようになっている。
【0074】
また、ドア120が完全に開いた状態で停電になった場合、不図示のストッパーによってドア120が完全に開いた位置からそれ以上開かないようになっている。しかも、ドア120が開く方向へ歯付き従動プーリ―10が回転されることを自動ドアロック機構2が阻止するので、ドア120は完全に開いた位置からそれ以上開かないようになっている。
一方、この状態では、ドア120を閉じる方向への歯付き従動プーリ―10の回転が自由になっているので、ドア120を手動で完全に閉じることができるようになっている。
【0075】
また、ドア120が半開きの状態で停電になった場合、ドア120が開く方向へ歯付き従動プーリ―10が回転されることを自動ドアロック機構2が阻止するので、ドア120は半開きの位置からそれ以上開かないようになっている。
一方、この状態では、ドア120を閉じる方向への歯付き従動プーリ―10の回転が自由になっているので、ドア120を手動で完全に閉じることができるようになっている。
【0076】
本発明の実施例2に係る自動ドアロック機構2は、駆動モータ141側の駆動プーリ―142でなく、従動プーリー143側に設けられることによって、駆動モータ141の種類に応じて設置スペースを確保する必要がなく、しかも、電磁ソレノイド60を自動ドア装置200の複数の仕様に共有する場合であっても、可動鉄芯61の移動方向で電磁ソレノイドケース20の固定位置を調整することによって、可動鉄芯61のストローク量をできる限り短くした状態で、ロック用当接部50を複数の歯11に当接させ、あるいは、複数の歯11から離すことができるので、電磁ソレノイド60を用いたドアロック機構の設置スペースの確保が容易であり、かつ、電磁ソレノイド60の吸引効率を高めるとともに騒音を抑えることができる。
【0077】
また、本発明の実施例2に係る自動ドアロック機構2は、ロック用当接部50が、電磁ソレノイド60が非通電状態で複数の歯11に当接され、電磁ソレノイド60が通電状態で複数の歯11から離れるので、停電時に施錠するドアロック機構として用いることができる。
【0078】
なお、本発明の実施例1、および実施例2に係る自動ドアロック機構1、1V、2は、ロック用当接部30、40、50が板状部材を重ね合わるものを例示したが、これに限らず、ロック用当接部30、40、50が樹脂によって一体成形されたものを用いても構わない。
【0079】
以上、本発明者によってなされた発明を、上述した発明の実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した発明の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。