特許第6606237号(P6606237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6606237
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】保持装置及びその取付構造
(51)【国際特許分類】
   A47B 81/00 20060101AFI20191031BHJP
   F16B 45/00 20060101ALI20191031BHJP
   A47G 29/00 20060101ALN20191031BHJP
【FI】
   A47B81/00 F
   F16B45/00 A
   !A47G29/00 H
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-146462(P2018-146462)
(22)【出願日】2018年8月3日
【審査請求日】2019年2月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】駒倉 昌和
(72)【発明者】
【氏名】千田 大貢
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−014748(JP,A)
【文献】 特開平08−232935(JP,A)
【文献】 特開2011−021731(JP,A)
【文献】 特開平08−205987(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105147024(CN,A)
【文献】 中国実用新案第202184588(CN,U)
【文献】 実開昭54−044132(JP,U)
【文献】 特開平09−313329(JP,A)
【文献】 実開昭54−092257(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3066639(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 81/00
F16B 45/00
A47G 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の壁面に埋め込まれ且つ第1ネジ穴を有するインサート部材と、先端部に前記インサート部材の第1ネジ穴に螺合可能な雄ネジ部が、また基端側にフック部がそれぞれ設けられた雄ネジ部材とを備え、通常状態では前記雄ネジ部と前記第1ネジ穴との螺合締結によって前記雄ネジ部材が前記インサート部材に一体的に取り付けられてフック部材となる取付具を用い、前記インサート部材から螺合締結の解除により取り外された状態の前記雄ネジ部材と、該雄ネジ部材とは異なり、かつ雄ネジ部材と同じネジ径を有していて前記インサート部材の第1ネジ穴に螺合締結可能な固定ネジ部材とにより前記壁面に取り付けられ物品を前記壁面に保持するための保持装置であって、
前記壁面に取付固定されるベース部材と、該ベース部材に取付固定される保持部材とを備え、
前記ベース部材は、前記固定ネジ部材が挿通されて前記インサート部材の前記第1ネジ穴に螺合されることで、前記壁面に取付固定され、
前記ベース部材には、前記固定ネジ部材の挿通位置とは異なる位置に、前記雄ネジ部材が螺合可能で前記第1ネジ穴と同じネジ穴径を有する少なくとも1つの第2ネジ穴が設けら
前記保持部材は、前記ベース部材に挿通されて前記インサート部材の前記第1ネジ穴に螺合される前記固定ネジ部材が挿通されかつ前記雄ネジ部材が挿通されて前記ベース部材の前記第2ネジ穴に螺合締結されることで、前記ベース部材に取付固定される固定部と、該固定部に連結され、前記物品を保持する保持部と、を有することを特徴とする保持装置
【請求項2】
請求項1に記載した保持装置において、
前記ベース部材は、前記固定ネジ部材が挿通可能な貫通孔が設けられた板状体からなり、
前記保持部材の前記固定部に中心孔が設けられ、
前記固定ネジ部材は、前記ベース部材の貫通孔及び前記固定部の中心孔に挿通されて前記インサート部材の第1ネジ穴に螺合締結されていることを特徴とする保持装置
【請求項3】
請求項に記載した保持装置において、
前記ベース部材における前記第2ネジ穴の数は複数であり、
前記保持部材の前記固定部に複数の孔部が前記複数の第2ネジ穴に対応して設けられ、
前記雄ネジ部材は、前記固定部の1つの孔部に挿通されて前記保持部材の1つの第2ネジ穴に螺合締結されている一方、
前記雄ネジ部材と同じネジ径を有する補助固定ネジが、前記固定部の残りの孔部に挿通されて前記保持部材の残りの第2ネジ穴に螺合締結されており、
前記保持部材は、前記固定部に、前記雄ネジ部材及び補助固定ネジが複数の前記第2ネジ穴に螺合締結されることで、前記ベース部材に取付固定されていることを特徴とする保持装置
【請求項4】
請求項3に記載した保持装置において、
前記ベース部材の前記第2ネジ穴は2つであり、該2つの第2ネジ穴が前記ベース部材の前記貫通孔を間に挟んで前記貫通孔と直線に並んだ位置に配置されていることを特徴とする保持装置
【請求項5】
請求項3に記載した保持装置において、
前記ベース部材の前記第2ネジ穴は3つ以上であり、前記3つ以上の第2ネジ穴が前記ベース部材の前記貫通孔を取り囲むような位置に配置されていることを特徴とする保持装置
【請求項6】
請求項2〜のいずれか1項に記載した保持装置において、
前記ベース部材は、中心に前記貫通孔が設けられている円板状であることを特徴とする保持装置
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載した保持装置において、
前記ベース部材の厚さは20mm以上であることを特徴とする保持装置
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載した保持装置において、
前記保持部は、固定部側から分岐されて互いに離れた位置で前記物品を載置する複数の載置部を有することを特徴とする保持装置
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項に記載した保持装置において、
前記保持部は、重量20kg以下の物品を保持可能であることを特徴とする保持装置
【請求項10】
請求項1〜のいずれか1項に記載した保持装置において、
前記保持部は、状部分又は板状部分の少なくとも一方を含む物品の前記棒状部分又は板状部分を保持可能であることを特徴とする保持装置
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載した保持装置が、前記壁面に取り付けられたことを特徴とする保持装置の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁面に、物品を載置して保持するための保持装置と、それを壁面に取り付けた取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物の壁面に物品を保持して壁面を利用する技術として、特許文献1に示されているものが知られている。特許文献1の壁掛けタイプのマガジンラックでは、マガジン収納領域を形成する線材フレーム取付用のパネルの裏面に面材側のフック片を、壁面に壁面側フック片をそれぞれ固定し、上下の面材側及び壁面側のフック片同士の係合によってパネルを壁面に支持するようにしている。
【0003】
特許文献1のマガジンラックは、設置するためにネジ等で壁面に穴をあけることとなる。そのため、上記のマガジンラックが一旦取り付けられると、それらを取り外した後にも壁に穴があいたままとなり、取り外した後に建物の美観が損なわれてしまう。それを避けるには、壁面にあいた穴を元通りに埋める修復工事が必要となる。
【0004】
そこで、本発明の出願人は、特許文献2において、建物の美観を保ちつつ、その建物の一部である壁などに、物品を吊り下げたり引っ掛けて保持できるようにするために、建物の施工時に壁などに挿入しておくことができるインサート部材と、物品を吊り下げるためのフック部材とを分離できるハンガーフックを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−155658号公報
【特許文献2】特願2017−254508号明細書及び図面
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、比較的大きい物品を壁面に保持する保持部材では、壁面への取付部分にかかる荷重のバランスを保つために複数箇所を固定するのが好ましい。
【0007】
しかし、特許文献2の発明のように、物品の保持部材を壁面に取付固定するためのインサート部材が予め壁面に挿入されている場合、建物の美観を保つことができる反面、インサート部材が予め挿入された位置でしか物品の保持部材を取付固定することができない。このため、比較的大きい物品を複数箇所で固定する保持部材については、インサート部材が挿入された位置のみで1箇所しか固定できず、安定性を確保するのに難があり、改良の余地がある。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、保持装置に改良を加え、建物の美観を保ちつつ、物品を保持する保持部材を安定して壁面に取り付けられるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、物品を保持するための保持部材をベース部材に固定し、このベース部材を壁面に取付固定するようにした。
【0010】
具体的に、第1の発明は、建物内の壁面に埋め込まれ且つ第1ネジ穴を有するインサート部材と、先端部に前記インサート部材の第1ネジ穴に螺合可能な雄ネジ部が、また基端側にフック部がそれぞれ設けられた雄ネジ部材とを備え、通常状態では前記雄ネジ部と前記第1ネジ穴との螺合締結によって前記雄ネジ部材が前記インサート部材に一体的に取り付けられてフック部材となる取付具を用い、前記インサート部材から螺合締結の解除により取り外された状態の前記雄ネジ部材と、該雄ネジ部材とは異なり、かつ雄ネジ部材と同じネジ径を有していて前記インサート部材の第1ネジ穴に螺合締結可能な固定ネジ部材とにより、前記壁面に取り付けられ物品を前記壁面に保持するための保持装置であって、前記壁面に取付固定されるベース部材と、該ベース部材に取付固定される保持部材とを備えている。前記ベース部材は、前記固定ネジ部材が挿通されて前記インサート部材の前記第1ネジ穴に螺合されることで、前記壁面に取付固定され、前記ベース部材には、前記固定ネジ部材の挿通位置とは異なる位置に、前記雄ネジ部材が螺合可能で前記第1ネジ穴と同じネジ穴径を有する少なくとも1つの第2ネジ穴が設けられている。前記保持部材は、前記ベース部材に挿通されて前記インサート部材の前記第1ネジ穴に螺合される前記固定ネジ部材が挿通されかつ前記雄ネジ部材が挿通されて前記ベース部材の前記第2ネジ穴に螺合締結されることで、前記ベース部材に取付固定される固定部、及び該固定部に連結され前記物品を保持する保持部、を有する保持部材、を備えたことを特徴とする。
【0011】
この第1の発明では、建物内の壁面に埋め込まれたインサート部材と、先端部にインサート部材に螺合締結可能な雄ネジ部が、また基端側にフック部がそれぞれ設けられた雄ネジ部材とを備えた取付具が用いられ、取付具は、通常状態では雄ネジ部材がインサート部材に一体的に取り付けられてフック部材となっている。そして、物品を保持する保持部材は、インサート部材から螺合締結の解除により取り外された状態の雄ネジ部材と、雄ネジ部材とは異なり、かつ雄ネジ部材と同じネジ径を有していてインサート部材の第1ネジ穴に螺合締結可能な固定ネジ部材とにより前記壁面に取り付けられる。この保持部材は、壁面に取付固定されるベース部材と、そのベース部材に取付固定される保持部材とを備え、ベース部材には、インサート部材の第1ネジ穴に螺合される固定ネジ部材が挿通され保持部材にベース部材の第2ネジ穴に螺合締結される雄ネジ部材挿通されるので、この保持部材をベース部材に対して固定ネジ部材及び雄ネジ部材の複数の位置で固定することができる。また、ベース部材は固定ネジ部材に挿通されて壁面に取付固定される。従って、保持部材を安定させて壁面に取付固定することができる。
【0012】
また、ベース部材は、壁面に埋め込まれたインサート部材に固定ネジ部材によって固定されているので、保持部材を壁面に取り付けるために、壁面に別途穴をあける必要がなく、建物の美観を保つことができる。
【0013】
さらに、保持部材は、取付具の雄ネジ部材を用いてベース部材に取付固定される。このため、雄ネジ部材は、保持装置を壁面に取付固定しないときには、インサート部材の第1ネジ穴に螺合締結させて壁面に取付固定しておくことができるので、紛失する虞がない。
【0014】
また、雄ネジ部材は、基端側にフック部が設けられたフック部材であるため、フック部材は、保持装置を壁面に取付固定しないときには、壁面のインサート部材に螺合締結させておくことで紛失しないだけでなく、壁面に物を吊り下げ又は引っ掛けるための壁面用フックとして利用できる。また、フック部材を壁面に取り付けておくことは、壁面の外観を違和感がないものとし、建物の美観の上でも好ましい。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、前記ベース部材は、前記固定ネジ部材が挿通可能な貫通孔が設けられた板状体からなり、前記保持部材の前記固定部に中心孔が設けられ、前記固定ネジ部材は、前記ベース部材の貫通孔及び前記固定部の中心孔に挿通されて前記インサート部材の第1ネジ穴に螺合締結されていることを特徴とする。
【0016】
この第2の発明では、固定ネジ部材がベース部材の貫通孔と保持部材の固定部の中心孔とに挿通されてインサート部材の第1ネジ穴に螺合締結されるので、ベース部材及び保持部材は一体となって壁面に取付固定される。すなわち、共通した固定ネジ部材を用いるので、少ない部品で効率よくベース部材及び保持部材を壁面に取付固定することができる。
【0017】
また、ベース部材は板状体であるから、板状体の厚さの分だけ保持部材は壁面から離れて取付固定される。このため、保持部材保持される物品が壁面に当たって、壁面を傷つける虞が少なくなる。従って、建物の美観を保つことができる。
【0018】
第3の発明は、第2の発明において、前記ベース部材における前記第2ネジ穴の数は複数であり、前記保持部材の前記固定部に複数の孔部が前記複数の第2ネジ穴に対応して設けられ、前記雄ネジ部材は、前記固定部の1つの孔部に挿通されて前記保持部材の1つの第2ネジ穴に螺合締結されている一方、前記雄ネジ部材と同じネジ径を有する補助固定ネジが、前記固定部の残りの孔部に挿通されて前記保持部材の残りの第2ネジ穴に螺合締結されており、前記保持部材は、前記固定部に、前記雄ネジ部材及び補助固定ネジが複数の前記第2ネジ穴に螺合締結されることで、前記ベース部材に取付固定されていることを特徴とする。
【0019】
この第3の発明では、保持部材は固定ネジ部材と、雄ネジ部材と、補助固定ネジとによってベース部材に固定されるので、保持部材を安定させて壁面に取付固定することができる。
【0020】
第4の発明は、第3の発明において、前記ベース部材の前記第2ネジ穴は2つであり、その2つの第2ネジ穴が前記ベース部材の前記貫通孔を間に挟んで前記貫通孔と直線上に並んだ位置に配置されていることを特徴とする。
【0021】
この第4の発明では、ベース部材の2つの第2ネジ穴は貫通孔を間に挟んで直線上に並んだ位置に配置されているので、保持部材の中心孔及び2つの孔部も、ベース部材の貫通孔及び第2ネジ穴とそれぞれ対応する位置に配置される。このため、保持部材は、雄ネジ部材及び補助固定ネジが、固定ネジ部材を挟んだ両側の位置に挿通され、ベース部材に取付固定されることとなる。従って、物品及び物品を保持した保持部材の重量による荷重は、固定ネジ部材、雄ネジ部材及び補助固定ネジにかかり、このうち、固定ネジ部材が、その荷重の重心に近くなる。この結果、保持部材の重心に近い部分が、固定ネジ部材によって壁面に固定されることとなり、保持部材を安定させて壁面に取付固定することができる。
【0022】
第5の発明は、第3の発明において、前記ベース部材の前記第2ネジ穴は3つ以上であり、その3つ以上の第2ネジ穴が前記ベース部材の前記貫通孔を取り囲むような位置に配置されていることを特徴とする。
【0023】
この第5の発明では、ベース部材の3つ以上の第2ネジ穴は貫通孔を取り囲むような位置に配置されているので、保持部材の中心孔及び3つ以上の孔部も、ベース部材の貫通孔及び第2ネジ穴とそれぞれ対応する位置に配置される。このため、保持部材は、雄ネジ部材及び補助固定ネジが、固定ネジ部材を取り囲む位置に挿通され、ベース部材に取付固定されることとなる。従って、物品及び物品を保持した保持部材の重量による荷重は、固定ネジ部材、雄ネジ部材及び補助固定ネジにかかり、このうち、固定ネジ部材が、これらの荷重の重心に近くなる。この結果、第4の発明と同様に、保持部材の重心に近い部分が、固定ネジ部材によって壁面に固定されることとなり、保持部材を安定させて壁面に取付固定することができる
【0024】
の発明は、第〜第のいずれか1つの発明において、前記ベース部材は、中心に前記貫通孔が設けられている円板状であることを特徴とする。
【0025】
この第の発明では、貫通孔は、円板状のベース部材の中心に形成されていることから、ベース部材は、貫通孔を中心に回転させても見た目の形状は変わらない。このため、固定ネジ部材が貫通孔に挿通されてベース部材が壁面に取付固定された状態で、ベース部材が固定ネジ部材を中心に回転したとしても、壁面の外観の違和感が少ない。すなわち、建物の美観を保つことができる。
【0026】
の発明は、第1〜第のいずれか1つの発明において、ベース部材の厚さは20mm以上であることを特徴とする。
【0027】
この第の発明では、円板の厚さである20mm以上の距離、保持部材は壁面から離れて取付固定される。このため、物品が壁面に当たって、壁面を傷つける虞が少なくなる。従って、建物の美観を保つことができる。
【0028】
の発明は、第1〜第のいずれか1つの発明において、前記保持部は、固定部側から分岐されて互いに離れた位置で前記物品を載置する複数の載置部を有することを特徴とする。
【0029】
この第の発明では、保持部は物品を載置する載置部を有するので、物品を載置部に載置するという簡単な操作で保持することができる。また、載置部は複数であり、互いに離れた位置に位置していることから、比較的大きい物品であっても保持しやすい。
【0030】
の発明は、第1〜第のいずれか1つの発明において、前記保持部は、重量20kg以下の物品を保持可能であることを特徴とする。
【0031】
この第の発明では、最大20kgの重い物品も壁面に保持することができる。
【0032】
10の発明は、第1〜第のいずれか1つの発明において、前記保持部は、状部分又は板状部分の少なくとも一方を含む物品の前記棒状部分又は板状部分を保持可能であることを特徴とする。
【0033】
この第10の発明では、棒状部分又は板状部分の少なくとも一方を含む、比較的大きくて重い物品を保持できる。
【0034】
11の発明は、第1〜第10のいずれか1つの発明の保持装置が、前記壁面に取り付けられたことを特徴とする。
【0035】
この第11の発明では、第1〜第10のいずれかの発明の作用効果を奏する保持装置を壁面に取付固定することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によると、保持部材をベース部材に対して固定ネジ部材及び雄ネジ部材の複数の位置で固定することができる。従って、保持部材を安定させて壁面に取付固定することができる。また、ベース部材は、壁面に埋め込まれたインサート部材に固定ネジ部材によって固定されているので、保持部材を壁面に取り付けるために、壁面に別途穴をあける必要がなく、建物の美観を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、本発明の実施形態1に係る保持装置に物品として自転車を載置して保持した状態を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態1に係る保持装置の取付構造の垂直断面図である。
図3図3は、実施形態1に係る保持装置の分解図である。
図4図4は、実施形態1に係る保持装置のベース部材を示す正面図である。
図5図5は、実施形態2に係る保持装置に物品としてサーフボードを載置して保持した状態を示す図1相当図である。
図6図6は、実施形態2に係る保持装置を示す図2相当図である。
図7図7は、実施形態2に係る保持装置のベース部材を示す図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0039】
(実施形態1)
図1図3は、本発明の実施形態1に係る保持装置1の取付構造を示す。この取付構造では、フレーム(棒状部分)を含む自転車2(物品)を建物内の壁面Wに対して載置支持して、壁面Wから所定の距離離して保持する保持装置1が取付具Hによって壁面Wに取り付けられている。
【0040】
−取付具−
取付具Hは、建物内の壁面Wに埋め込まれているインサート部材3と、通常状態でこのインサート部材3に螺合締結されるフック部材(雄ネジ部材)4とを備えており、両部材3,4は共に鋼製である。インサート部材3は、壁面Wに穿設された取付穴5に螺合して取付固定されている。インサート部材3は、その基端面を壁面Wに露出させており、この基端面には第1ネジ穴3aが設けられている。
【0041】
フック部材4は、先端側がインサート部材3の第1ネジ穴3aに螺合締結される雄ネジ部4aとなっている。また、フック部材4は、基端側がフック部4bとなっている。このため、フック部材4を壁面Wに取付固定されたインサート部材3の第1ネジ穴3aに螺合締結させることにより、フック部4bに物を引っ掛けたり、吊したりして、使用することができるようになっている。
【0042】
取付穴5は、壁面Wにおいて、内部に柱などの頑丈な部材が配置されている位置に穿設されており、インサート部材3は、その柱などの頑丈な部材にまで到達するように挿入される。インサート部材3は、例えば、455mm間隔で配置された複数の柱にそれぞれ到達するように取付固定されている。このようにして、インサート部材3は、頑丈な柱などによって強固に支持された状態で壁面Wに取付固定される。
【0043】
保持装置
保持装置1を壁面Wに取り付ける場合には、フック部材4は、インサート部材3から取り外して、保持装置1を壁面Wに取り付けるために用いる。
【0044】
図2及び図3に示すように、保持装置1は、壁面Wに取付固定される木製で円板状のベース部材6と、このベース部材6に取付固定される金属製の保持部材7と、を備えている。図4はベース部材6を示す。ベース部材6の厚さは20mm以上であり、例えば30mmである。
【0045】
ベース部材6には、円板の中心にベース部材6の表裏面を貫通する貫通孔6aが設けられている。図2及び図3において、8はインサート部材3の第1ネジ穴3aに螺合締結可能な固定ネジ部材であり、この固定ネジ部材8のネジ長さはフック部材4の雄ネジ部4aよりも長く、ベース部材6に後述の固定部9を加えた厚さよりも長くなっている。ベース部材6は、この固定ネジ部材8を貫通孔6aに挿通させ、固定ネジ部材8がインサート部材3の第1ネジ穴3aに螺合されることで、壁面Wに取付固定されている。
【0046】
また、図3に示すように、ベース部材6の表面には、貫通孔6aの上下の位置に第2ネジ穴6b,6bが設けられている。具体的には、ベース部材6が木製であるので、その表面において貫通孔6aの上下位置に穴を開けて鬼目ナットN,Nを打ち込むことで、その鬼目ナットN内の穴部により第2ネジ穴6bを構成している。なお、下側の第2ネジ穴6bから貫通孔6aまでの距離は、上側の第2ネジ穴6bから貫通孔6aまでの距離よりも長い。この第2ネジ穴6b,6bは貫通孔6aを間に挟んで貫通孔6aと直線に並んだ位置に配置されている。この第2ネジ穴6b,6bは、後述するように、いずれか一方に取付具Hのフック部材4の雄ネジ部4aを螺合させることができるようになっている。
【0047】
保持部材7は、ベース部材6に取付固定される板状の固定部9と、この固定部9に溶接されて一体的に連結された、自転車2を載置するための保持部10と、を有する。固定部9には、ベース部材6の貫通孔6aと対応する位置に中心孔9aが、またベース部材6の第2ネジ穴6b,6bと対応する位置に孔部9b,9bがそれぞれ貫通して設けられている。なお、中心孔9aの位置は、固定部9の略中央である。
【0048】
保持部10は、固定部9に溶接された接続部10a,10aと、この接続部10a,10aから二股状に左右に分かれて略水平方向に延びたアーム10b,10bと、これらアーム10b,10bの先端に設けられ、互いに離れた位置で自転車2を載置する載置部10c,10cとを有している。載置部10c,10cは、自転車2のフレームなどの棒状部分を載置するように鈎状に形成されている。アーム10b,10bは、先端側が互いに離れる方向に延びており、載置部10c,10cは互いに離れた位置に位置する。
【0049】
そして、図3に示すように、保持部材7の固定部9の中心孔9aに固定ネジ部材8が挿通されて、その固定ネジ部材8はインサート部材3の第1ネジ穴3aに螺合されている。また、取付具Hのフック部材4が下側の孔部9bに挿通されて、ベース部材6の第2ネジ穴6bに螺合締結されている。このことにより、保持部材7が壁面Wに取付固定されている。前述のように、この固定ネジ部材8は、ベース部材6の貫通孔6aにも挿通されていることから、保持部材7は、固定ネジ部材8によってベース部材6と一体となって壁面Wに取付固定されている。
【0050】
さらに、保持部材7の固定部9の上側の孔部9bに、補助固定ネジ11が挿通され、この補助固定ネジ11がベース部材6の上側の第2ネジ穴6bに螺合締結されており、このことで、保持部材7がベース部材6に固定されている。以上のように、保持部材7は、固定ネジ部材8、フック部材4、及び補助固定ネジ11の3つの部材によって3箇所でベース部材6に固定されている。
【0051】
尚、保持装置1によって壁面Wに載置支持される自転車2(物品)の重量は20kg以下が望ましい。
【0052】
以上のように、この実施形態においては、自転車2を保持する保持部材7は、ベース部材6に挿通されてインサート部材3の第1ネジ穴3aに螺合される固定ネジ部材8と、ベース部材6の第2ネジ穴6bに螺合締結されるフック部材4とが挿通される。従って、この保持部材7をベース部材6に対して固定ネジ部材8及びフック部材4の複数の位置で固定することができる。また、ベース部材6は固定ネジ部材8に挿通されて壁面Wに取付固定される。この結果、保持部材7を安定させて壁面Wに取付固定することができる。
【0053】
また、ベース部材6は、壁面Wに埋め込まれたインサート部材3に固定ネジ部材8によって固定されているので、保持部材7を壁面Wに取り付けるために、壁面Wに別途穴をあける必要がなく、建物の美観を保つことができる。
【0054】
また、固定ネジ部材8がベース部材6の貫通孔6aと保持部材7の固定部9の中心孔9aとに挿通されてインサート部材3の第1ネジ穴3aに螺合締結されるので、ベース部材6及び保持部材7は一体となって壁面Wに取付固定される。すなわち、共通した固定ネジ部材8を用いるので、少ない部品で効率よくベース部材6及び保持部材7を壁面Wに取付固定することができる。
【0055】
また、ベース部材6の形状は円板であるから、円板の厚さの分だけ保持部材7は壁面Wから離れて取付固定される。このため、自転車2が壁面Wに当たって、壁面Wを傷つける虞が少なくなる。従って、建物の美観を保つことができる。
【0056】
また、保持部材7は、取付具Hのフック部材4を用いてベース部材6に取付固定される。フック部材4は、保持装置1を壁面Wに取付固定しない通常状態のときには、インサート部材3の第1ネジ穴3aに螺合締結させて壁面Wに取付固定しておくことができるので、紛失する虞がない。
【0057】
また、保持部材7は固定ネジ部材8と、フック部材4と、補助固定ネジ11とによってベース部材6に固定されるので、保持部材7を安定させて壁面Wに取付固定することができる。
【0058】
また、ベース部材6の2つの第2ネジ穴6b,6bは貫通孔6aを間に挟んで直線に並んだ位置に配置されている。そして、保持部材7の固定部9の中心孔9a及び孔部9b,9bは、ベース部材6の貫通孔6a及び第2ネジ穴6b,6bとそれぞれ対応する位置に配置されている。このため、保持部材7は、フック部材4及び補助固定ネジ11が、固定ネジ部材8を挟んだ両側の位置に挿通され、ベース部材6に取付固定されることとなる。従って、自転車2及び保持部材7の重量による荷重は、固定ネジ部材8、フック部材4及び補助固定ネジ11にかかり、このうち、固定ネジ部材8が、これらの荷重の重心に近くなる。その結果、保持部材7の重心に近い部分が、固定ネジ部材8によって壁面Wに固定されることとなり、保持部材7を安定させて壁面Wに取付固定することができる。
【0059】
また、インサート部材3の第1ネジ穴3aに螺合され、保持部材7をベース部材6に取付固定するためにも用いられる取付具Hの雄ネジ部材として、基端側にフック部4bが設けられたフック部材4を用いる。このため、フック部材4は、保持部材1を壁面Wに取付固定しないときには、壁面Wのインサート部材3に螺合締結させておくことで紛失しないだけでなく、壁面Wに物を吊り下げ又は引っ掛けるための壁面用フックとして利用できる。また、フック部材4を壁面Wに取り付けておくことは、壁面Wの外観を違和感がないものとし、建物の美観の上でも好ましい。
【0060】
また、ベース部材6の貫通孔6aは、円板状のベース部材6の中心に形成されていることから、ベース部材6は、貫通孔6aを中心に回転させても見た目の形状は変わらない。このため、固定ネジ部材8が貫通孔6aに挿通されてベース部材6が壁面Wに取付固定された状態で、ベース部材Wが固定ネジ部材8を中心に回転したとしても、壁面Wの外観の違和感が少ない。すなわち、建物の美観を保つことができる。
【0061】
また、ベース部材6の厚さは20mm以上であることから、保持部材7は壁面Wから離れて取付固定される。このため、自転車2が壁面Wに当たって、壁面Wを傷つける虞が少なくなる。従って、建物の美観を保つことができる。
【0062】
また、保持部材7の保持部10は自転車2を載置する2つの載置部10c,10cを有し、この載置部10c,10cは、自転車2のフレームなどの棒状部分を支持できるように鈎状に形成されていることから、自転車2を載置部10c,10cに簡単に載置することができる。
【0063】
また、2つの載置部10c,10cは互いに離れた位置に位置していることから、自転車2のような比較的大きい物品であっても載置しやすい。また、最大20kgの重い自転車も保持できる。
【0064】
また、この実施形態に係る保持装置1の取付構造によって、上記の作用効果を奏する保持装置1を壁面Wに取付固定することができる。
【0065】
(実施形態2)
図5及び図6は、実施形態2に係る保持装置1の取付構造を示す。この取付構造では、棒状部分を含む物品に加え、サーフボード14などの長い板状の物品をも建物内の壁面Wに対して支持して、壁面Wに近づけて保持する保持装置1が、取付具Hによって壁面Wに取り付けられている。このため、保持部材7及び保持部材7をベース部材6に取付固定する構造が、実施形態1とは異なっている。以下、実施形態1と共通する構成については説明を省略する。
【0066】
図7に示すように、ベース部材6に設けられた第2ネジ穴6b,6bの位置は、貫通孔6aの上下に貫通孔6aから等間隔の位置とされている。
【0067】
保持部材7は、ベース部材6に取付固定される板状の固定部9と、この固定部9に連結される保持部16とを備えている。固定部9には、固定部9に対して垂直に配置された2枚の板状のブラケット15,15が連結されている。このブラケット15,15には左右水平に延びる軸部17を介して保持部16が揺動可能に支持されている。保持部16は、この軸部17の中央から略下方にむかって延び左右方向を幅とする細長い板状の連結部16aを有し、この連結部16aの下端部に左右2つの載置部16c,16cが、上端部にてブラケット15と平行なピン16bによって下部を左右方向に接離するように揺動可能に重なって連結されている。載置部16c,16cは、サーフボード14などの板状の物品を載置できるように上下に長い鈎状に形成されている。なお、保持部材7は金属製であるが、載置部16c,16cは、載置されるサーフボード14を傷つけないように軟らかいゴムなどで覆われている。
【0068】
以上のように、この実施形態では、保持部16の載置部16c,16cは上下に長い鈎状に形成されているので、棒状部分を含む物品に加え、サーフボード14などの板状の物品をも載置することができる。
【0069】
(その他の実施形態)
上記各実施形態において、ベース部材6には第2ネジ穴が2つ配置されているとしたが、3つ以上の第2ネジ穴6b,6b,…が貫通孔6aを取り囲むような位置に配置されているとしてもよい。
【0070】
例えば、図4に二点鎖線で追加して示すように、貫通孔6aの左右に1つずつの第2ネジ穴6b,6bを加えて、合計4つの第2ネジ穴6b,6b,…が設けられていてもよい。そして、保持部材7の固定部9の、第2ネジ穴6b,6b,…と対応する位置に、4つの孔部9b,9b,…が設けられることで、取付具Hを構成する1つのフック部材4をいずれかの孔部9bに挿通させ且つ3つの補助固定ネジ11,11,11を残りの孔部9b,9b,9bに挿通させ、これらを第2ネジ穴6b,6b,…に螺合締結させることができる。これによって、保持部材7をベース部材6に対して安定して取付固定することができる。
【0071】
また、ベース部材6の4つの第2ネジ穴6b,6b,…は貫通孔6aを取り囲むような位置に配置されている。そして、保持部材7の中心孔9a及び4つの孔部9b,9b,…も、ベース部材6の貫通孔6a及び第2ネジ穴6b,6b,…とそれぞれ対応する位置に配置される。このため、保持部材7は、フック部材4及び補助固定ネジ11,11,11が、固定ネジ部材8を取り囲む位置に挿通され、ベース部材6に取付固定されることとなる。従って、物品及び保持部材7の重量による荷重は、固定ネジ部材8、フック部材4及び補助固定ネジ11,11,11にかかり、このうち、固定ネジ部材8が、これらの荷重の重心に近くなる。この結果、保持部材7の重心に近い部分が、固定ネジ部材8によって壁面Wに固定されることとなり、保持部材7を安定させて壁面Wに取付固定することができる。
【0072】
また、保持装置1によって保持できる物品は、上記各実施形態で例示した物品以外にも、スノーボード、スキー板、スケートボードなどの、板状部分を含む種々の物品や、釣竿、竹刀、薙刀、ラクロスのスティック、ホッケーのスティック、テニスラケット、野球のバットなどの、棒状部分を含む種々の物品であってもよく、板状部分又は板状部分の少なくとも一方を含む物品であれば必要に応じて保持することができる。
【0073】
また、保持部材7の保持部10は、上記各実施形態で示したものに限られない。例えば、一対の載置部10c,10cが互いに近づくことで、上下方向に延びる棒状部分を挟むようにしてもよい。より具体的には、例えば、一対の載置部10c,10が、垂直にしたギターのネック(棒状部分)を挟んで上端部のヘッド等にて引っ掛けた状態で載置するように構成してもよい。これによって、ギターを保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、保持装置及びその取付構造として利便性が高く、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0075】
W 壁面
保持装置
2 自転車(物品)
取付具
3 インサート部材
3a 第1ネジ穴
4 フック部材(雄ネジ部材)
4a 雄ネジ部
4b フック部
5 取付穴
6 ベース部材
6a 貫通孔
6b 第2ネジ穴
N 鬼目ナット
保持部材
8 固定ネジ部材
9 固定部
9a 中心孔
9b 孔部
10 保持部
10c 載置部
11 補助固定ネジ
14 サーフボード(物品)
16 保持部
16c 載置部
【要約】
【課題】建物の美観を保ちつつ、格納部材を安定して壁面に取り付けられるようにする。
【解決手段】格納装置1は、建物内の壁面Wに埋め込まれ且つ第1ネジ穴3aを有するインサート部材3と、インサート部材3の第1ネジ穴3aに螺合締結されるフック部材4とを備えた取付具Hにより、壁面Wに取り付けられ、自転車2を壁面Wに対して支持して格納する。格納装置1は、固定ネジ部材8が挿通されてインサート部材3の第1ネジ穴3aに螺合されることで、壁面Wに取付固定され、フック部材4が螺合可能な第2ネジ穴6b,6bが設けられたベース部材6と、固定ネジ部材8が挿通されてインサート部材3の第1ネジ穴3aに螺合されるとともにフック部材4が挿通されてベース部材6の第2ネジ穴6bに螺合締結されることで、ベース部材6に取付固定される固定部9と、固定部9に連結された自転車2を格納する格納部10と、を有する格納部材7と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7