(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平らな面である塗布平面が形成された平面部と、前記平面部と連続した端面部であって曲面及び前記平面部の前記塗布平面と平行でない平面の少なくとも一方を有する塗布端面が形成された端面部と、を有する塗布対象物の、前記塗布平面及び前記塗布端面に塗布物質が塗布された塗布物質塗布済対象物を製造する方法であって;
前記塗布物質を、少なくとも前記塗布平面に沿って供給する塗布物質供給工程と;
前記塗布端面に供給された前記塗布物質又は前記塗布平面から移動してきた前記塗布物質を所定の厚さで前記塗布端面を覆うように調整する端面部塗布物質調整工程とを備え;
前記端面部塗布物質調整工程は、公転軸線回りに前記塗布対象物を回転させることで前記塗布物質を展延させるように構成された;
塗布物質塗布済対象物の製造方法。
前記端面部塗布物質調整工程の前に、前記塗布平面に対して前記遠心力による前記塗布物質の移動の方向の下流側で前記塗布対象物に取り付けられる治具であって、前記塗布対象物に取り付けられたときに前記塗布端面と連続した面を形成する連接面を有する治具を、前記塗布対象物に取り付ける治具取付工程を備え;
前記端面部塗布物質調整工程は、前記公転軸線回りの前記塗布対象物の回転によって、前記塗布物質を、前記塗布端面を越えて前記連接面に到達するまで展延させるように構成された;
請求項2に記載の塗布物質塗布済対象物の製造方法。
平らな面である塗布平面が形成された平面部と、前記平面部と連続した端面部であって曲面及び前記平面部の前記塗布平面と平行でない平面の少なくとも一方を有する塗布端面が形成された端面部と、を有する塗布対象物の、前記塗布平面及び前記塗布端面に塗布物質が塗布された塗布物質塗布済対象物を製造する方法であって;
前記塗布物質を、少なくとも前記塗布平面に沿って供給する塗布物質供給工程と;
前記塗布端面に供給された前記塗布物質又は前記塗布平面から移動してきた前記塗布物質を所定の厚さで前記塗布端面を覆うように調整する端面部塗布物質調整工程とを備え;
前記端面部塗布物質調整工程は、前記塗布平面及び前記塗布端面を覆う覆合部材を前記塗布対象物に嵌め込むことで、前記塗布対象物と前記覆合部材との間に充填された前記塗布物質を所定の厚さに調整するように構成された;
塗布物質塗布済対象物の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂液等の塗布物質を塗布する対象である塗布対象物として、光ディスク等の基板以外のもの(例えば保護ガラス等)があり、その形状には、平らな面が形成された平面部が大部分を占め、平面部の端が面取りされて曲面等に形成されたものがある。そして、このような塗布対象物に塗布物質を塗布する際に、平面部のみならず面取りされた端の部分にも所定の厚さで塗布物質を塗布するように要求されることがある。しかしながら、特許文献1に記載されたスピンコート法では、面取りされた端の部分に塗布された塗布物質を所定の厚さとすることが難しかった。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、平面部に加えて端面部を所定の厚さの塗布物質で覆うことができる塗布物質塗布済対象物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る塗布物質塗布済対象物の製造方法は、例えば
図1乃至
図3を参照して示すと、平らな面である塗布平面Tsp(
図2(B)参照)が形成された平面部Tfと、平面部Tfと連続した端面部Teであって曲面及び平面部Tfの塗布平面Tspと平行でない平面の少なくとも一方を有する塗布端面Tsc(
図2(B)参照)が形成された端面部Teと、を有する塗布対象物Tの、塗布平面Tsp及び塗布端面Tscに塗布物質Rが塗布された塗布物質塗布済対象物を製造する方法であって;塗布物質Rを、少なくとも塗布平面Tspに沿って供給する塗布物質供給工程(S2)と;塗布端面Tscに供給された塗布物質R又は塗布平面Tspから移動してきた塗布物質Rを所定の厚さで塗布端面Tscを覆うように調整する端面部塗布物質調整工程(S3〜S5)とを備える。
【0007】
このように構成すると、平面部に加えて端面部を所定の厚さの塗布物質で覆うことができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る塗布物質塗布済対象物の製造方法は、例えば
図1(B)及び
図3を参照して示すと、上記本発明の第1の態様に係る塗布物質塗布済対象物の製造方法において、端面部塗布物質調整工程(S3〜S5)は、公転軸線25回りに塗布対象物Tを回転させることで塗布物質Rを展延させるように構成されている。
【0009】
このように構成すると、公転軸線回りの回転に伴う遠心力によって、端面部に対して塗布物質を概ね均一に塗布することが可能になる。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係る塗布物質塗布済対象物の製造方法は、例えば
図1(B)に示すように、上記本発明の第2の態様に係る塗布物質塗布済対象物の製造方法において、公転軸線25は、塗布物質Rの塗布端面Tsc(例えば
図2参照)に沿った塗布平面Tsp(例えば
図2参照)から離れる方向の移動を伴う遠心力を生じさせる塗布対象物Tの回転の軸線である。
【0011】
このように構成すると、塗布平面から塗布端面にわたって滑らかにつながった塗布物質の膜を形成することができる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係る塗布物質塗布済対象物の製造方法は、例えば
図1、
図2、
図5を参照して示すと、上記本発明の第3の態様に係る塗布物質塗布済対象物の製造方法において、端面部塗布物質調整工程の前に、塗布平面Tspに対して遠心力による塗布物質Rの移動の方向の下流側で塗布対象物Tに取り付けられる治具19であって、塗布対象物Tに取り付けられたときに塗布端面Tscと連続した面を形成する連接面19fを有する治具19を、塗布対象物Tに取り付ける治具取付工程を備え;端面部塗布物質調整工程は、公転軸線25回りの塗布対象物Tの回転によって、塗布物質Rを、塗布端面Tscを越えて連接面19fに到達するまで展延させるように構成されている。
【0013】
このように構成すると、端面部全体を所定の厚さの塗布物質で覆うことができる。
【0014】
また、本発明の第5の態様に係る塗布物質塗布済対象物の製造方法は、例えば
図1及び
図3を参照して示すと、上記本発明の第2の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係る塗布物質塗布済対象物の製造方法において、塗布物質Rが所定の増粘処理により粘度が増加する液状の物質で構成され;端面部塗布物質調整工程(S3〜S5)は、所定の厚さとなった塗布物質Rに所定の増粘処理を施す増粘工程(S4)を含んで構成されている。
【0015】
このように構成すると、端面部の塗布物質を所定の厚さに保ったまま余分な塗布物質の処理を行うことができる。
【0016】
また、本発明の第6の態様に係る塗布物質塗布済対象物の製造方法は、例えば
図6を参照して示すと、上記本発明の第1の態様に係る塗布物質塗布済対象物の製造方法において、端面部塗布物質調整工程は、塗布平面Tsp及び塗布端面Tscを覆う覆合部材Cを塗布対象物Tに嵌め込むことで、塗布対象物Tと覆合部材Cとの間に充填された塗布物質Rを所定の厚さに調整するように構成されている。
【0017】
このように構成すると、塗布対象物と覆合部材とを、所定の厚さの塗布物質を介して貼り合わせることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、平面部に加えて端面部を所定の厚さの塗布物質で覆うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
まず
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る塗布物質塗布済対象物の製造方法を実施するための塗布装置1を説明する。
図1は、塗布装置1の概略構成図であり、
図1(A)は塗布物質Rの塗布時の態様を例示する図、
図1(B)は塗布物質R展延時の態様を例示する図である。塗布装置1は、塗布物質Rが塗布される塗布対象物T(以下、単に「対象物T」という。)の主たる面を構成する平面部Tfと端の部分を構成する端面部Teとを所定の厚さの塗布物質Rで覆うようにするのに適した装置であり、塗布器11と、UV照射器15と、公転板21と、自転板31と、制御装置50とを備えている。塗布装置1の説明に先立ち、本実施の形態で塗布物質Rが塗布される対象物Tについて説明する。
【0022】
図2(A)は対象物Tの斜視図、
図2(B)は
図2(A)のB−B矢視における対象物Tの縦断面図である。対象物Tは、本実施の形態では、全体として、平面視が長方形で、厚さのある板状に形成されている。ここでは、説明の便宜上、対象物Tを、主要な部分である平面部Tfと、端の部分である端面部Teとに区別することとする。平面部Tfは、塗布物質Rが塗布される表面が平らな面で形成されており、この平らな面を塗布平面Tspということとする。端面部Teは、塗布物質Rが塗布される表面である塗布端面Tscが、塗布平面Tspと連続しているが、塗布平面Tspとは同一平面上にはない。塗布端面Tscは、典型的には、曲面か、塗布平面Tspに対して平行でない平面か、これらの組み合わせで形成されている。換言すれば、対象物Tは、塗布面Tsが、端面部Teで面取りされている。塗布面Tsは、塗布物質Rが塗布される面であり、塗布平面Tsp及び塗布端面Tscを含んでいる。なお、塗布端面Tscを形成し得る曲面は、曲率が一定であってもなくてもよく、接平面Vt(曲面に接する仮想平面であって、曲面上にある任意の曲線における接線が平面をつくるもの)が塗布平面Tspと同一平面上になければよい。塗布端面Tscを形成し得る曲面は、曲率半径が1mmや0.5mm程に小さくなる場合や、5mmや10mm程の場合がある。対象物Tは、塗布平面Tspの反対側の裏面Trが、本実施の形態では塗布平面Tspに対して平行な平面に形成されているが、塗布平面Tspに対して平行ではない平面に形成されていてもよく、平面でなくてもよい。
【0023】
塗布面Tsに塗布される塗布物質Rは、所定の粘度を有する液体状物質であり、コーティング剤や接着剤等の用途で用いることができる。塗布物質Rは、典型的には、ウェットコーティングに適したものである。所定の粘度は、塗布物質Rの用途に応じて決まり、典型的には遠心力が作用したときに広がるように変形する粘度である。また、塗布物質Rは、本実施の形態では、紫外線が照射されると粘度が増加する性質を有している。さらに、塗布物質Rは、粘度の増加によって流動性を失いゲル状になるように構成されている。以下の説明において対象物Tの構成に言及しているときは適宜
図2を参照することとする。
【0024】
再び
図1に戻って塗布装置1の説明を続ける。塗布器11は、塗布物質Rを塗布面Tsに供給するものである。換言すれば、塗布器11は、塗布装置1における塗布物質供給部として機能する。塗布器11は、本実施の形態では、塗布物質Rを塗布平面Tspに対して均一に塗布することができるように構成されており、アプリケーター、バーコーター、ダイコーター、スリットコーター等が用いられる。状況によっては、塗布器11は、塗布物質Rをスプレーするものであってもよい。塗布器11は、塗布平面Tspに沿って移動することができるように構成されており、本実施の形態では水平移動することができるように構成されている。
【0025】
UV照射器15は、紫外線を照射するものであり、塗布装置1における増粘処理部として機能する。UV照射器15は、本実施の形態では、主部15fと端部15eとを有している。主部15f及び端部15eは、本実施の形態では、断面がコの字状で一面が開口した直方体状の箱部材15cに取り付けられている。主部15fは、箱部材15cの内側の底面に取り付けられている。端部15eは、箱部材15cの内側の底面から垂直に延びる側面に取り付けられている。主部15f及び端部15eは、対象物Tを、塗布平面Tspが主部15fに対向するように配置したときに、塗布端面Tscに対向する位置に端部15eが来るような配置で、箱部材15cに取り付けられている。UV照射器15は、照射する紫外線の強度を調節することができるように構成されている。また、UV照射器15は、対象物Tとの距離を変えることができるように移動可能に構成されており、本実施の形態では水平移動することができるように構成されている。UV照射器15が水平移動可能に構成されていることにより、塗布端面Tscに照射される紫外線の範囲を変えることができる。なお、塗布端面Tscに照射される紫外線の範囲を変える構成として、移動可能な箱部材15cに主部15f及び端部15eを取り付ける構成に代えて、UV照射器15による紫外線の照射範囲をマスキングで限定する構成としてもよく、UV照射器15を移動可能なUVレーザーで構成して指定の位置にのみ紫外線を照射する構成としてもよく、ミラーを用いてUVライトを制御する構成としてもよい。
【0026】
公転板21は、対象物Tに塗布物質Rを塗布する際に、対象物Tの位置を定めるための部材である。公転板21は、板状の部材で形成されている。公転板21は、対象物Tの裏面Trを包含する大きさに形成された底部21bと、底部21bの一端から垂直に立ち上がる壁部21wとを有している。底部21bの、自転板31を介して対象物Tが載置される側の面は、平面に形成されている。壁部21wの、底部21bに接続された端部とは反対側の端部には、公転軸23が取り付けられている。公転軸23は、棒状の部材であり、典型的には、底部21bの面に対して平行に、かつ、底部21bが存在するのとは反対側に延びるように、壁部21wに取り付けられている。公転軸23は、中実又は中空の円柱又は断面が多角形の角柱を用いることができ、その軸線である公転軸線25回りに回転することができるように構成されている。公転軸23の、壁部21wに接続された端部とは反対側の端部には、公転軸23を公転軸線25回りに回転させる公転モータ(不図示)が設けられている。また、公転板21は、底部21bの面が水平となる状態と垂直となる状態との間で移動することができるように構成されている。本実施の形態では、底部21bの面が水平の状態(
図1(A)参照)において、公転軸23の延長線上にある壁部21wの部分を貫通すると共に公転軸線25に直交して水平に延びる仮想軸線21a回りに公転板21が回動することができるように構成されている。公転板21の底部21bの面が垂直となる状態(
図1(B)参照)に公転板21が移動したときに、底部21bとUV照射器15の主部15fとが対向する位置関係になるように、UV照射器15及び公転板21が配置されている。
【0027】
自転板31は、対象物Tを、公転板21の底部21bの面に沿って回転させるための部材である。自転板31は、板状の部材が、対象物Tの裏面Trを包含する大きさに形成されて構成されている。自転板31は、板状の部材の表面31s及び裏面31rが、共に平らに形成されている。自転板31は、裏面31rが公転板21の底部21bの面に対向するように配置されている。自転板31の表面31sには、対象物Tに塗布物質Rを塗布する際に、対象物Tの裏面Trが対向するようにして対象物Tが載置されるようになっている。自転板31は、裏面31rに、自転軸33の一端が取り付けられている。自転軸33は、棒状の部材であり、自転板31の裏面31rに対して垂直に延びるように自転板31に取り付けられている。自転軸33は、中実又は中空の円柱又は断面が多角形の角柱を用いることができ、その軸線である自転軸線35回りに回転することができるように構成されている。自転軸33は、典型的には、自転軸線35(これを延長した仮想直線を含む)が、自転板31の重心並びに表面31s及び裏面31rそれぞれの図心を通るように、自転板31に取り付けられている。自転軸33は、公転板21を貫通して延びており、公転板21の貫通孔の部分において軸受け(不図示)に支持された構成とすると、構造が安定して好ましい。自転軸33の、自転板31に接続された端部とは反対側の端部には、自転軸33を自転軸線35回りに回転させる自転モータ(不図示)が設けられている。
【0028】
制御装置50は、塗布装置1の動作を制御する機器である。制御装置50は、塗布器11と有線又は無線で電気的に接続されており、対象物Tに向けた塗布物質Rの供給流量の調節(供給を停止している流量0を含む)及び塗布器11の水平方向への移動を制御することができるように構成されている。また、制御装置50は、UV照射器15と有線又は無線で電気的に接続されており、UV照射器15からの紫外線照射の有無及び照射する紫外線の強度を調節することができると共に、箱部材15cの移動を制御することができるように構成されている。また、制御装置50は、公転板21と有線又は無線で電気的に接続されており、公転板21を底部21bの面が水平となる状態(
図1(A)参照)と垂直となる状態(
図1(B)参照)との間で移動させることができるように構成されている。また、制御装置50は、公転モータ(不図示)及び自転モータ(不図示)のそれぞれと有線又は無線で電気的に接続されており、公転軸23の公転軸線25回りの回転及び自転軸33の自転軸線35回りの回転をそれぞれ個別に制御することができるように構成されている。
【0029】
引き続き
図3を参照して、本発明の実施の形態に係る、塗布物質塗布済対象物(塗布物質Rを塗布済の対象物Tであり(以下「塗布済対象物TR」という。)の製造方法を説明する。
図3は、塗布済対象物TRの製造過程を示すフローチャートである。以下、これまで説明した塗布装置1(
図1参照)を用いた塗布済対象物TRの製造方法を説明するが、塗布装置1以外の装置を用いて製造してもよい。以下の塗布装置1を用いた塗布済対象物TRの製造方法の説明は、塗布装置1の作用の説明を兼ねている。以下の説明において、塗布装置1及び/又は対象物Tの構成に言及しているときは、適宜
図1及び/又は
図2を参照することとする。以下に説明する例では、塗布平面Tsp及び塗布端面Tscの全体にわたって均一に塗布物質Rを塗布することとする。
【0030】
塗布済対象物TRの製造を開始するにあたり、制御装置50は、公転板21の底部21bの面が水平の状態になるようにする。この状態で、水平になっている自転板31の表面31sに対象物Tを載置する(S1)。対象物Tの自転板31への載置は、塗布装置1にロボットハンド(不図示)を設けてそのロボットハンドで行うこととしてもよく、人手で行うこととしてもよい。いずれにしても、対象物Tの塗布面Tsが上を向くように(裏面Trが自転板31の表面31sに接するように)して対象物Tが自転板31の表面31s上に載置され、このとき、自転軸線35(これを延長した仮想直線を含む)が対象物Tの重心を貫通する位置に対象物Tを載置するのが好ましい。また、公転軸線25(これを延長した仮想直線を含む)が、塗布平面Tspに平行になることが好ましい。また、公転軸線25は、本実施の形態では、対象物Tに対して公転板21の底部21bの反対側に離れて塗布平面Tspに対向しているか(このとき公転軸線25は塗布端面Tscより塗布平面Tspに近い位置にある)、塗布平面Tspに接触している状態になっている。
【0031】
対象物Tを自転板31に載置したら、制御装置50は、塗布器11を制御して、塗布器11から適量の塗布物質Rを出しながら、塗布器11を塗布平面Tspの直上の位置で塗布平面Tspの一端から他端まで塗布平面Tspに沿って移動させることで、塗布物質Rを塗布平面Tspに塗布する(塗布物質供給工程:S2)。この態様で塗布平面Tspに塗布物質Rを塗布器11で塗布することで、塗布平面Tsp全体に一括して概ね均一に塗布物質Rを塗布することができる。ここで、「概ね均一」としたのは、塗布平面Tspへの塗布物質Rの塗布が完了したときに、塗布始めと塗布終わりの両端部において他の部分よりも厚さが増す液だまりが形成されることを考慮したものである。この、塗布面Tsへの塗布物質Rの塗布は、ウェットコーティングの一形態である。塗布平面Tspへの塗布が完了したときの対象物T上の塗布物質Rは、典型的には
図4(A)に示すように塗布平面Tspには均一に塗布されて液だまりの部分が塗布端面Tsc(端面部Te)に存在するようになるが、
図4(B)に示すように液だまりを含む塗布された塗布物質R全体が塗布平面Tsp内に収まるようにしてもよい。本実施の形態では、塗布器11によって塗布平面Tsp及び塗布端面Tscの全体にわたって塗布物質Rを均一に塗布することが難しいので、塗布物質供給工程(S2)に続いて以下の措置を取ることとしている。
【0032】
塗布平面Tspへの塗布物質Rの塗布が完了したら、制御装置50は、塗布器11を公転軸23とは反対側に退避させたうえで、公転板21を、底部21bの面が垂直の状態(
図1(B)参照)になるように移動させる。この移動が完了すると、塗布物質Rが塗布された塗布平面Tspに対向する位置にUV照射器15の主部15fが存在していることとなる。その後、制御装置50は、公転軸線25回りの公転板21の回転を開始する(S3)。公転板21が公転軸線25回りに回転すると、塗布平面Tspに塗布された塗布物質Rの両端部の液だまり部分が、公転軸線25回りの回転に伴って生じた遠心力によって、塗布平面Tspから離れる方向(自転板31に近づく方向)に、塗布端面Tsc上を展延していく。このとき、公転軸線25は、塗布端面Tscの塗布物質Rに作用する遠心力を大きくする観点からは対象物Tから離れているとよく、塗布装置1の大型化を抑制する観点からは対象物Tに近い方がよいところ、これらを比較考量して公転軸線25と対象物Tとの距離を設定するとよい。塗布物質Rが塗布端面Tsc上を公転軸線25回りの回転に伴う遠心力によって展延することで、塗布端面Tscにも塗布物質Rを均一に塗布することができる。なお、このとき、塗布平面Tspが垂直になっている(塗布平面Tspの法線が水平になっている)ので液状の塗布物質Rは下方に集まりがちになって上方の塗布端面Tscと下方の塗布端面Tscとで厚さが異なる場合があると共に、公転軸線25回りの回転に伴って塗布面Ts上に作用する遠心力が公転軸線25からの距離に応じて異なることに起因して塗布物質Rの展延状態が不均一になる場合がある。この不都合を回避するために、本実施の形態では、制御装置50が、公転板21を公転軸線25回りに回転させている途中で、適宜、自転板31を自転軸線35回りに回転させて、重力の影響を極力均一化すると共に塗布面Ts上に作用する遠心力が極力均一になるようにしている。
【0033】
制御装置50は、公転軸線25回りの公転板21の回転によって展延した塗布物質Rに対して、適宜のタイミングで、UV照射器15から紫外線を照射させて、塗布物質Rの粘度を増加させる(増粘工程:S4)。ここで、適宜のタイミングは、塗布面Tsに塗布された塗布物質Rの厚さが所望の厚さになったとき(本実施の形態では塗布平面Tspに均一に塗布された塗布物質Rの厚さと同程度になったとき)である。塗布物質Rの、紫外線が照射された部分は、紫外線の強さ及び照射時間に応じて粘度が増加して行き、典型的には、最終的に流動性を失いつつ弾性を有するゲル状になる。なお、見方によっては、流動性を失ったゲルは「粘度」という概念になじまないとも考えられるが、粘度とは流体のねばりの度合いであること、流体とは剪断応力の大きさに応じて連続的に変形する物体の総称であって物体の三態様のうちもっぱら気体と液体が該当するがプラズマや塑性を持つ固体を含める場合があること、及び固体と流体との区別は曖昧ではあるが一応粘度の大きさでこれらは分けられることに鑑み、本明細書では、ゲルは液体の粘度が高まったものの一形態であると解釈する。なお、塗布済対象物TRとして求められる条件によっては粘性を完全に失うまで塗布物質Rを固化させる場合もあることから、本実施の形態では、粘度を増加させることには粘性を失うまで固化させることも含まれる。UV照射器15からの紫外線の照射によって塗布物質Rの粘度を増加させる程度は、厚さを変えるような流動が塗布物質Rに生じない程度であれば足りる。塗布された塗布物質Rに紫外線を照射して塗布物質Rの粘度を増加させることで、塗布された塗布物質R厚さが重力や遠心力等によって変化することを回避することができ、安定した厚さの塗布物質Rの膜を形成することができる。UV照射器15による紫外線の照射を行う際、公転板21の公転軸線25回りの回転によって塗布平面Tspの端部付近の塗布物質Rは塗布平面Tspから離れる方向に塗布端面Tsc上を徐々に展延していくので、UV照射器15の端部15eを、最初は塗布端面Tscから外れたところに位置させておき、塗布物質Rの展延に追随して移動させるようにするとよい。本実施の形態では、塗布物質Rの特性及び公転板21の回転速度等をふまえてあらかじめ求められている塗布物質Rの展延速度に基づいて、UV照射器15の移動速度を決定することとしている。なお、
図3のフローチャートでは、説明の便宜上、公転軸線25回りの公転板21の回転を開始(S3)した後にUV照射器15による紫外線の照射(S4)を行うこととしているが、公転板21を回転させる前に塗布器11の塗布によって塗布平面Tspには塗布物質Rが均一に塗布されている場合は、塗布平面Tsp上の均一に塗布されている塗布物質Rに対して公転板21の回転の前に紫外線を照射して粘度を増加させてもよい。また、UV照射器15で紫外線を照射して塗布物質Rの粘度を増加させる際、塗布物質Rの材質やUV照射器15と対象物Tとの距離等に応じて紫外線の強度や照射時間等を適切に調節するとよい。
【0034】
UV照射器15で紫外線を照射しているときに、制御装置50は、塗布物質Rの展延が完了したか否かを判断する(S5)。本実施の形態では、対象物Tの塗布平面Tspの全体が均一の厚さの塗布物質Rで覆われて紫外線の照射による増粘が終了したことをもって展延が完了したと判断することとしている。塗布物質Rの展延が完了したか否かを判断する工程(S5)において、展延が完了していない場合は再び塗布物質Rの展延が完了したか否かを判断する工程(S5)に戻る。他方、展延が完了している場合は、制御装置50は、公転軸線25回りの公転板21の回転速度を上昇させ(S6)、塗布端面Tscに作用する遠心力を強める。塗布端面Tscに作用する遠心力を強めることにより、余分な塗布物質Rを吹き飛ばして除去することができる。なお、回転速度を上昇させることに代えて、又は回転速度を上昇させることと共に、公転半径(公転軸線25と塗布端面Tscとの距離)を広げることで遠心力を強めることとしてもよい。塗布端面Tscに作用する遠心力を強めて余分な塗布物質Rを除去したら、制御装置50は、公転軸線25回りの公転板21の回転を停止する(S7)。以上の工程で、塗布済対象物TRの製造が完了する。本実施の形態では、
図3に示すフローチャートにおいて、公転軸線25回りの公転板21の回転を開始(S3)から、塗布物質Rの展延が完了したか否かを判断する工程(S5)において展延が完了したと判断するまでが、端面部塗布物質調整工程に相当する。
【0035】
以上で説明したように、本実施の形態に係る塗布済対象物TRの製造方法によれば、主要な平面部Tfと面取りされた端面部Teとを有する対象物Tに対して、塗布平面Tspには塗布器11によって塗布物質Rを均一な厚さで迅速に塗布し、塗布端面Tscには公転軸線25回りの公転板21の回転によって塗布物質Rを展延させて均一な厚さに塗布するので、比較的短い時間で塗布面Ts全体に塗布物質Rを均一に塗布することができると共に、余分となる塗布物質Rの量を抑制することができて塗布物質Rの廃棄量を抑制することができる。また、塗布物質Rの均一に塗布された部分の粘度を順次増加させていくので、均一となった塗布物質Rの厚さが公転板21の回転に伴う遠心力によって変わってしまうことを抑制することができる。
【0036】
次に
図5を参照して、第1の変形例に係る塗布済対象物TRの製法を説明する。この、第1の変形例では、自転板31と対象物Tとの間に治具19を設けている。治具19は、対象物Tの裏面Trと同じ形状の上面19aと、上面19aに対して交差する連接面19fとを有すると共に、所定の厚さを有している。連接面19fは、治具19の上面19aを対象物Tの裏面Trに合わせて治具19を対象物Tに取り付けたときに、対象物Tの塗布端面Tscと連続するようになっている。換言すると、上面19aと裏面Trとを合わせて治具19を対象物Tに取り付けると、治具19と対象物Tとが全体として滑らかな輪郭となる。対象物Tを取り付けた治具19を自転板31の表面31sに設置したときの、自転軸線35が延びる方向における連接面19fの長さが、治具19の所定の厚さに相当する。治具19の所定の厚さは、公転板21を公転軸線25回りに回転させて塗布物質Rを展延させた際の塗布物質Rの先端の液だまりの長さよりも大きいことが好ましく、当該液だまりの長さの1.5倍〜2倍程度であることがより好ましく、当該液だまりの長さの2倍よりも大きくてもよい。このように構成された治具19は、本変形例では、
図3に示すフローチャートにおける自転板31の表面31sに対象物Tを載置する工程(S1)の際に、対象物Tに取り付けられたうえで(治具取付工程)、対象物Tが取り付けられた治具19を自転板31の表面31sに載置することとしている。このように、治具取付工程は、
図3に示すフローチャートの公転軸線25回りの公転板21の回転を開始する工程(S3)の前に行われており、本変形例ではさらに塗布物質供給工程(S2)の前に行われている。本変形例のように、対象物Tに治具19を上述の要領で取り付けたうえで公転板21を公転軸線25回りに回転させて塗布物質Rを展延させることにより、遠心力によって塗布面Tsを移動する塗布物質Rの液だまりが、塗布端面Tscから治具19の連接面19fに移るため、より確実に塗布端面Tsc全体に塗布物質Rを均一の厚さで塗布することが可能になる。なお、塗布物質Rの粘度を増加させなくても塗布物質Rを所望の厚さで塗布することができる場合は、増粘工程を省略してもよい。
【0037】
次に
図6を参照して第2の変形例に係る塗布物質塗布済対象物の製法を説明する。この、第2の変形例では、製造されるものが、対象物Tに対して塗布物質Rを介してカバーCが嵌め込まれた貼付部材となっている。この貼付部材は、塗布面Tsに塗布物質Rが塗布された対象物TをカバーCで覆うことで、カバーCと塗布面Tsとの間に所定の厚さの塗布物質Rの層が形成されることになる。カバーCは、対象物Tの塗布面Tsを覆う部材であり、覆合部材に相当する。カバーCは、本変形例では、塗布面Ts全体を覆うことができるように、その内面が塗布面Tsよりも大きく形成されている。カバーCは、高精度に加工されている場合はその内面の輪郭が概ね対象物Tの塗布面Tsの輪郭と相似となるが、加工精度が低い場合はその内面の輪郭が対象物Tの塗布面Tsの輪郭に対して相似とならない場合がある(特に端面部Teに対応する部分の曲率等)。本変形例では、対象物TとカバーCとの間を塗布物質Rで充填することにより、カバーCの加工誤差を埋めることが可能になる。
【0038】
図6に示す、第2の変形例に係る貼付部材の製法では、まず、
図6(A)に示すように、対象物Tの塗布面Tsに塗布物質Rを供給する(塗布物質供給工程)。このとき、本変形例では、対象物Tを公転及び/又は自転させる予定がないため、公転板21(
図1参照)や自転板31(
図1参照)に載置しなくてよい。塗布物質供給工程では、典型的には塗布器11によって塗布物質Rが塗布面Tsに塗布されることとなり、塗布平面Tspには塗布物質Rが均一に塗布されることが好ましく、塗布端面Tscの一部又は全部には塗布物質Rの塗布(供給)が不均一でもよい。ここで、塗布平面Tspに塗布物質Rが均一に塗布されるとは、最終的に貼付部材となったときに品質に支障がない程度に均一に塗布されていれば足りる。塗布面Tsに塗布物質Rを塗布したら、
図6(B)に示すように、均一になっている塗布平面Tspに塗布された塗布物質Rに、UV照射器15で紫外線を照射して、塗布平面Tspに塗布された塗布物質Rの粘度を増加させる(増粘工程)。このとき、マスク15mを使用する等の措置により、所望の厚さになっていない塗布端面Tscに供給された塗布物質Rに紫外線があたらないようにするとよい。これにより、均一に塗布された塗布平面Tsp部分の塗布物質Rの厚さが変化することを回避することができ、安定した厚さの塗布物質Rの膜を形成することができる。次に
図6(C)に示すように、塗布面Tsに塗布物質Rが供給された対象物T及びカバーCを真空チャンバ41の内部に入れ、真空下で、塗布面Tsに塗布物質Rが供給された対象物Tに対してカバーCを嵌め込む。真空チャンバ41内の真空度は、対象物TにカバーCが嵌め込まれたときに、対象物TとカバーCとの間に、悪影響を生じさせる気泡が生じないようにすることができる程度でよい。塗布面Tsに塗布物質Rが供給された対象物Tに対してカバーCを嵌め込むと、塗布面TsとカバーCとの間の隙間に塗布物質Rが充填され、端面部Teに存在する塗布物質Rのうちの過剰な分はカバーCが嵌め込まれる方向(塗布平面Tspから離れる方向)に移動して裏面Tr側から流出する。対象物TにカバーCを嵌め込むことにより、平面部Tfに存在する塗布物質Rは増粘させた際の均一の厚さが固定され、端面部Teに存在する塗布物質Rは塗布端面Tscと対象物Tとの隙間に相当する所定の厚さに調整される。本変形例では、対象物TをカバーCで覆って端面部Teの塗布物質Rを所定の厚さに調整することが、端面部塗布物質調整工程に相当する。所定の厚さは、意図した厚さであればよく、一定の厚さでなくてもよい。換言すれば、所定の厚さは、部位(平面部Tfか端面部Teか)によって厚さが異なっていてもよい。本変形例によれば、カバーCの加工精度が高くない場合であっても、所望の厚さの塗布物質Rの層を有する貼付部材を製造することができる。なお、塗布物質Rが塗布された対象物TにカバーCを嵌め込むことを真空環境下以外の場所(典型的には大気圧下)で行っても差し支えない場合は、真空下で行わなくてもよく、その場合は真空チャンバ41を利用するには及ばない。
【0039】
以上の説明では、対象物Tが、平面視(平面形状)が長方形であるとしたが、正方形や三角形や五角形等の多角形であってもよく、円形や楕円形であってもよい。
【0040】
以上の説明では、塗布物質Rが紫外線の照射によって粘度が増加する特性を有しており、所定の増粘処理がUV照射器15による塗布物質Rへの紫外線照射であるとしたが、塗布物質Rが熱硬化性樹脂(熱応答性樹脂)である場合は、所定の増粘処理として塗布物質Rを(ヒータ等で)加熱すればよい。あるいは、塗布物質Rが、加熱すると粘度が小さくなる特性を有している場合は、
図3に示すフローの公転軸線25回りの公転板21の回転速度を上昇させる工程(S6)において紫外線を照射していない部分の塗布物質Rを加熱すると、余分な塗布物質Rを吹き飛ばしやすくなって好適である。
【0041】
以上の説明では、塗布済対象物TRの製造過程及び貼付部材(
図6参照)の製造過程において、対象物Tに塗布した塗布物質Rの厚さが変化することを回避するために紫外線照射等の所定の増粘処理を行うこととしたが、所定の増粘処理を行わなくても完成品(塗布物質塗布済対象物)に支障がない場合は、所定の増粘処理(
図3のフローにおいては工程S4)を省略することができる。
【0042】
以上の説明(
図6に示す態様を除く)では、自転板31を備えていることとしたが、自転軸線35回りに自転板31を回転させなくても塗布面Tsに供給された塗布物質Rの偏りが生じない場合は、自転板31を省略してもよい。
【0043】
以上の説明(
図6に示す態様を除く)では、塗布端面Tsc上における塗布物質Rの展延が完了したときに、塗布物質Rを吹き飛ばして除去するために公転軸線25回りの公転板21の回転速度を上昇させる(S6)こととしたが、塗布物質Rを吹き飛ばさなくても差し支えない場合は、公転軸線25回りの公転板21の回転速度を上昇させる工程(S6)を省略してもよい。
【0044】
以上の説明では、対象物Tが、裏面Trに対して塗布平面Tspが最も高い位置に存在する全体として凸状であるとしたが、塗布平面Tspが凹んだ位置に形成され、塗布平面Tspから一段高い位置(裏面Trから遠ざかる位置)に向けて塗布平面Tspを囲むように立ち上がる内側壁に塗布端面Tscが形成された凹状であってもよい。このとき、公転軸線25は、公転軸線25回りの対象物Tの回転によって塗布物質Rが塗布端面Tscに沿う方向に移動する遠心力を生じさせることができる位置に設ければよいが、塗布端面Tsc上の塗布物質Rを塗布平面Tspから離れる方向に移動させるようにする場合は、塗布平面Tspに対して塗布端面Tscの反対側に位置することするのが好ましく、典型的には、塗布平面Tspの近傍の位置(塗布平面Tspに接した位置か塗布平面Tspから塗布端面Tsc側にわずかに離れた位置)、塗布平面Tspと裏面Trとの間位置、裏面Trに接した位置、裏面Trよりも対象物Tから離れた位置のいずれかに設定される。なお、対象物Tが凹状の場合に、公転軸線25回りの対象物Tの回転によって塗布端面Tscに沿って移動する塗布物質Rが塗布平面Tspに近づく方向に移動するように、公転軸線25の位置を設定してもよい。
【0045】
以上の説明では、本発明の実施の形態に係る塗布物質塗布済対象物の製造方法を、一例として各図を用いて説明したが、当該製造方法や対象物等の各部の構成、構造、数、配置、形状、材質などに関しては、上記具体例に限定されず、当業者が適宜選択的に採用したものも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に包含される。
【解決手段】平らな面である塗布平面が形成された平面部Tfと、平面部Tfと連続した端面部Teであって曲面及び平面部Tfの塗布平面と平行でない平面の少なくとも一方を有する塗布端面が形成された端面部Teと、を有する塗布対象物Tの、塗布平面及び塗布端面に塗布物質Rが塗布された塗布物質塗布済対象物を製造する方法であって、塗布物質Rを、少なくとも塗布平面に沿って供給する塗布物質供給工程と、塗布端面に供給された塗布物質R又は塗布平面から移動してきた塗布物質Rを、塗布平面から離れる方向に向かって所定の厚さで塗布端面を覆うように調整する端面部塗布物質調整工程と、を備える。