(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マイクロコントローラーユニット(20)は聴覚信号制御手段に接続され、該聴覚信号制御手段は、前記測定された強度が前記事前定義された強度と異なるとき聴覚信号を生成する聴覚信号提供手段を制御する、請求項1に記載のデバイス。
前記デバイスの各使用中に複数のパラメーターを記録する少なくとも1つのモニタリング手段を更に備え、該モニタリング手段は、前記電気回路に接続され、少なくとも1つのセンサー及び/又は前記記録されたパラメーターを格納する少なくとも1つの記憶手段を設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデバイス。
前記パラメーターは、前記デバイスによって行われる治療セッションの回数、治療セッションの総時間、全てのセッションを通して使用された最大パルス強度、全てのセッションを通して最も多く使用されたパルス強度、全てのセッションを通して人に伝達された全電荷、又はそれらの任意の組合せを含むリストから選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
前記供給されたパルスに対する前記人の身体的反応を記録する少なくとも1つのバイオフィードバック手段を更に備え、該バイオフィードバック手段は、該デバイスの前記電極に接続され、かつ前記記録された身体的反応を前記人によって知覚されるバイオフィードバック信号に変換する少なくとも1つの変換手段を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデバイス。
前記電気回路は、150マイクロ秒〜450マイクロ秒の持続時間で強度の最大の増大が0 mAから20 mAであり、レートが40マイクロアンペア/秒以下であり、強度の段階的増大が50マイクロアンペアを超えない電気パルスを発生させるのに好適な、プログラム可能な信号発生器を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載のデバイス。
片頭痛、緊張、頭痛、群発性頭痛、持続性片側頭痛、SUCNT、慢性発作性片側頭痛、三叉神経痛、顔面神経障害、結合組織炎、慢性痛、うつ病、気分循環症、心的外傷後ストレス症候群、脳しんとう後症候群、昏睡、不安、振戦、失語症、強迫性障害(OCD)、不眠症、睡眠障害、睡眠時無呼吸症候群、睡眠過剰、てんかん、転倒発作、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発硬化症、脳卒中及び小脳症候群を含む、神経学的障害の電気療法治療に用いられる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、三叉神経の経皮的電気刺激のためのデバイス及び方法に関する。
【0020】
別段定義しない限り、技術用語及び科学用語を含む、本発明を開示するために使用する全ての用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるような意味を有する。更なる指針により、本発明の教示をよりよく理解するように用語の定義が含まれる。
【0021】
本明細書で使用される以下の用語は、以下の意味を有する。
【0022】
本明細書で使用される数量を特定していない単数形("A","an", and "the")は、別途文脈により明確に指示されない限り、単数及び複数の両方の指示物を意味する。例えば、「区画(a compartment)」は1又は2以上の区画を意味する。
【0023】
本明細書においてパラメーター、量、期間等の計測可能な値に対する言及で使用される「約(About)」は、規定値より±20%以下、好ましくは±10%以下、より好ましくは±5%以下、更に好ましくは±1%以下、そして更に好ましくは±0.1%以下の変動を包含することを意味し、そのような変動は、開示される本発明を実施するのに適切である範囲にある。しかしながら、修飾語句「約」が言及する値そのものは具体的に開示されることも理解される。
【0024】
本明細書で使用される「含む、備える("Comprise,""comprising," and "comprises" and "comprised of")」は、「包含する、含有する("include", "including", "includes" or"contain", "containing", "contains")」と同義であり、例えば構成要素のその前に列挙される語の存在を明示する総称又は無制限の用語であって、この技術分野において既知又は本明細書に開示される追加の特定されていない構成要素、特徴、要素、部材、工程の存在を排除又は除外するものではない。
【0025】
終点による数値範囲の記述は、その範囲内に含まれる全ての数及び端数を包含し、同様に記述された終点も包含される。
【0026】
第1の態様では、本発明は、三叉神経の経皮的電気刺激のためのデバイスを提供する。本デバイスは、以下を備える。
−少なくとも1つの電極対11、12を備える長尺対称支持体10。この支持体は、眼窩上領域20において人の顔の額に適用され、それにより、三叉神経の眼枝の滑車上神経及び眼窩上神経の求心性経路を覆うのに好適である。各電極対11、12は粘着性導電性ゲルと接触し、この導電性ゲルは、この支持体を額に取り付けるためにこの支持体10の1つの面を少なくとも部分的に覆い、絶縁中心ゾーンを除く2つの側方ゾーン13、14に塗布され、それにより、各側方ゾーンは電極対のうちの一方の電極を備える。
−事前定義された強度を有する電気パルスを電極対11、12に供給する少なくとも1つの電気回路。
−供給されたパルスの強度を測定する少なくとも1つの測定手段。この測定手段は、電気回路に接続されている。測定手段は、連続モード又は不連続モードでパルスの強度を測定する。不連続モードとは、1秒間から2分間まで変化する所定の期間によって分離される測定を指す。
【0027】
好ましくは、パルスの事前定義された強度は、1 mAから35 mA、5 mAから30 mA、10 mAから25 mA及び13 mAから20 mAである。より好ましくは、事前定義された強度は約16 mAである。
【0028】
好ましい実施形態では、測定手段は聴覚信号制御手段に接続され、この聴覚信号制御手段は、測定された強度が事前定義された強度と異なるとき聴覚信号を生成する聴覚信号提供手段を制御する。聴覚信号制御手段は、電極対に電気パルスを供給する電気回路の一部とする及び/又はその電気回路に接続することができる、電気回路とすることができる。上記測定手段、聴覚信号制御手段及び聴覚信号提供手段は、好ましくは、デバイス内に組み込まれる。
【0029】
デバイスは、それにより、デバイスが使用されているときは必ずパルス強度の連続的なモニタリングを可能にする。測定されたパルス強度が事前定義された強度外である場合、電気回路は、電極対に電気パルスを供給するのを停止し、及び/又は聴覚信号提供手段が起動され、それにより、使用者に対してデバイスが作動していないことを通知する聴覚信号が生成される。パルス強度の連続的な測定により、電流がそれ以上流れることができず、使用者の頭部にパルスが送達されなくなる、あらゆる接続問題を検出することができる。
【0030】
好ましい実施形態では、測定手段は、パルスの強度を測定する少なくとも1つのセンサーを備える。測定手段は、当業者には既知であるパルス強度を測定する他の任意の手段とすることができる。
【0031】
好ましい実施形態では、粘着性導電性ゲルは、支持面の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、更により好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%を覆う。ゲルは、好ましくは、デバイスの支持面の最大99%、好ましくは90%、より好ましくは80%、更により好ましくは70%及び最も好ましくは60%を覆う。好ましくは、横の広がりLの方向においてデバイスの先端に位置する支持領域には、ゲルがない。上記領域は、各々、支持面の1%から20%、好ましくは5%から15%、より好ましくは10%を表す。これにより、使用者は、導電性ゲルと接触することなく、使用後に自身の額からデバイスを容易に取り除くことができる。これにより、使用者に対する健康(health)安全レベルが向上する。
【0032】
好ましい実施形態では、デバイスは、使用者が刺激パラメーターを適合させることができるように構築される。これは、デバイスの外面に、使用者が上記パラメーターを適合させるのに用いることができる少なくとも1つのボタン及び/又は少なくとも1つの画面を設けることによって、達成することができる。パルス幅、周波数、及び強度のプロファイル(勾配、達した最大強度及びセッションの持続時間)は、それらが、それぞれ1 Hzから250 Hz、2 μ秒から500 μ秒、1 mAから25 mAである許容範囲内に留まるとすれば、独立して対処することができる。使用者は、パルス強度を増減させ、それにより刺激勾配を定義することができる。上記勾配は、次のセッション中に更に使用されるために、デバイスによって自動的に記録される。刺激勾配は、使用者によって再び変更されるまで、デバイスによって保存される。
【0033】
好ましい実施形態では、デバイスは、このデバイスの各使用中に複数のパラメーターをモニタリング及び/又は記録する少なくとも1つのモニタリング手段を備える。このモニタリング手段は、電気回路に接続され、少なくとも1つのセンサー、及び/又はモニタリング及び/又は記録されたパラメーターを格納する少なくとも1つの記憶手段を設けられている。記憶手段は、任意の揮発性(例えば、RAM)又は不揮発性(例えば、フラッシュFRAM)メモリとすることができる。好ましい実施形態では、パラメーターは、デバイスによって行われた治療セッションの回数、治療セッションの総時間、全てのセッションを通して使用された最大パルス強度、全てのセッションを通して頻繁に使用されたパルス強度、全てのセッションを通して使用者に伝達された全電荷、各セッションに対するセッションの開始時刻及び停止時刻、1つのセッション中に達した最大強度、中断が発生した場合、それが所望の中断であったか若しくは偶発的な中断であったか、そのセッション中に伝達された全電荷、1つのセッション中の複数の瞬間における強度、又はそれらの任意の組合せを含むリストから選択される。
【0034】
上記パラメーターは、使用者、及び/又は医師等の医療従事者によって取得可能である。好ましい実施形態では、上記パラメーターは、各セッションの最後に格納される。セッションとは、中断なしにデバイスが使用されている時間を指す。デバイスはまた、コンピューターに接続することもでき、それにより、デバイスの使用中に上述したパラメーターをリアルタイムに連続的にモニタリングすることができる。パラメーターのモニタリングは、1つのセッション中に不連続とすることもできる。デバイスとコンピューターとの間の接続により、さらに、刺激パラメーターを再プログラミングすること等により、治療を適合させることができる。
【0035】
収集及び/又は保存されたパラメーターにより、治療に対するコンプライアンスを評価することができる。この情報は、治療の成功に非常に関連する。それによりまた、医療従事者が、収集されたパラメーター及び/又は治療の段階に基づいて、使用者に対してより適合されたアドバイスを提供することができる。
【0036】
好ましい実施形態では、デバイスは、供給されたパルスに対する人の身体的反応を記録する少なくとも1つのバイオフィードバック手段を備える。このバイオフィードバック手段は、電気パルスに対する頭部筋肉の反応、及び特にこの筋肉の活動電位を記録する。デバイスのバイオフィードバック手段はまた、パルス供給がない場合に筋肉の電気活動も記録することができる。この測定は、使用者に対して、自身のリラクゼーションのレベルに関して通知するバイオフィードバックを提供する。
【0037】
好ましい実施形態では、バイオフィードバック手段は、デバイスの電極に接続され、記録された身体的反応を使用者によって知覚されるバイオフィードバック信号に変換する少なくとも1つの変換手段を備える。上記バイオフィードバック信号は、使用者によって知覚可能な視覚信号及び/又は聴覚信号であることが好ましい。
【0038】
好ましくは、視覚信号は、発光ダイオード(LED)又は当業者に既知である他の任意の手段等、少なくとも1つの発光手段から発生する。発光手段は、発せられる視覚信号が使用者によって知覚可能であるように、デバイスに位置決めされる。聴覚信号は、少なくとも1つの可聴ビープを含む。好ましくは、ビープ及び/又は発光の周波数は、身体的反応に対して、すなわち頭部の筋肉の電位活動に対して反比例する。これにより、使用者に対して、治療の有効性及び/又は自身のリラクゼーション状態に対する情報に関するリアルタイムバイオフィードバックが提供される。使用者は、ビープ及び/又は発光の間隔が増大する際に、自身がリラックスしていることを見る及び/又は聞くことができる。使用者は、任意の刺激/パルスが存在しない場合又は存在する場合に自身のリラクゼーション状態を追跡する。
【0039】
図2に、本発明によるデバイスを示す。長尺対称要素10は、眼窩上領域20において、顔の上部で横方向に適用される、2つの接触電極11、12を備える。支持体の表面に塗布された粘着性導電性ゲルと接触している電極11、12の各々。上記導電性ゲルは、絶縁中心ゾーン(図示せず)を除き、少なくとも部分的に支持体10を覆って、2つの所与の側方ゾーン13、14に塗布される。デバイスはまた、低電圧電気パルスによって上記電極11、12に電力を供給する電気回路も含む。
【0040】
本発明によれば、電極支持体10は、対象者とは無関係に、三叉神経の眼枝1の滑車上神経2及び眼窩上神経3の求心性経路の興奮を可能にするように選択された形状及びサイズを有する。
【0041】
本発明の好ましい実施形態によれば、電極支持体は、高さH1の中心部を有し、高さH1は外側部の各々の高さH2より高く、支持体が顔面に正しく位置決めされると、2つの外側部の上端は、中心部の高さよりわずかに低い高さにある。
【0042】
好ましくは、電極支持体は、寸法に関して、70 mm〜115 mmの長さ又は横の広がりLと、15 mm〜50 mmの中心部の高さH1と、5 mm〜20 mmの外側部の各々の高さH2とを有する。より好ましくは、長さLは、約95 mmの値を有し、中心部の高さH1は、約30 mmの値を有し、外側部の各々の高さH2は、約10 mmの値を有する。
【0043】
好ましい実施形態では、本発明による電極は、有効でありかつ痛みを制限するように設計されている。有効であるためには、全ての患者の右及び左の滑車上神経及び眼窩上神経の刺激を、患者の頭蓋の周囲の長さに関わらず可能にしなければならない。痛みを制限するためには、(侵害性の)痛みを知覚する神経線維の興奮を低減させるように、可能な限り最小の表面積を有していなければならない。
図2に、電極10の全体的な形状を概略的に示す。それは、横方向に細長く、対称的であり、電極の2つの端部の高さより高い中心高さを有する。
【0044】
電極10の寸法は、長さLが70 mm〜115 mmであって最適な値は95 mmであり、中心部の高さH1は15 mm〜50 mmであって最適な値は30 mmであり、外側部の高さH2は5mm〜20 mmであって最適な値は10 mmである。当業者が考案する可能性がある他の全ての形状及び/又はサイズは、標的神経(左及び右の眼窩上及び滑車上神経)の求心性経路が刺激されるのを可能にしないため、効果がないか、又は更なる痛みをもたらす。
【0045】
図3に、本発明のデバイス及び/又は方法で使用される電気回路の実施形態を示す。この図では、PWRは電源出力を指し、SWはキー押下ボタン入力を指し、BUZZはブザードライバー出力を指し、PWMは高電圧ドライバー出力を指し、HVは高電圧入力測定値を指し、POSは正のパルス電流ドライバー出力を指し、NEGは負のパルス電流ドライバー出力を指し、LOADはパルス電流測定値を指し、OUT1は正の刺激接続を指し、OUT2は負の刺激接続を指す。
【0046】
好ましい実施形態では、電気回路は、少なくとも1つのFLASH及び/又はRAMメモリと少なくとも1つの双方向デジタル入出力とを含む、少なくとも1つのマイクロコントローラーユニット20(MCU)を備える。MCU20は、アナログデジタル変換器(ADC)及び1つ以上のタイマーを更に備える。好ましくは、MCU20は、約2.4ボルトの調整電圧で動作する。電気回路は、バッテリー式デバイスに適切であるように、スタンバイ電流が低く電力消費量が非常に低い。好ましくは、MCU20は、内部で較正されるメインクロックを備え、それにより、外部の接着剤構成要素が避けられる。任意選択的に、電気回路は、デバイスに電力を供給するのに好適な2つのアルカリLR03-AAA電池21を備える。他の電源を使用することができるが、それらは、以下、「バッテリー」と呼ぶことにする。好ましくは、このバッテリーは、容易に電気回路に導入されかつ電気回路から取り除かれる。ブザー26は、回路のMCUに接続することができ、このブザーは、デバイスによって命令されると聴覚信号を提供する。測定手段は、MCUに接続されたソフトウェアとすることができる。接続は、電極をMCUに接続する接点に取り付けられた回路への入力ポートを使用する。好ましい実施形態では、MCUは、供給されるパルスの強度を測定し、聴覚信号制御手段、それにより聴覚信号自体を制御する。
【0047】
好ましい実施形態では、電気回路は、150マイクロ秒〜450マイクロ秒の持続時間で強度の最大の増大が0 mAから20 mAであり、レートが40マイクロアンペア/秒以下であり、強度の段階的増大が50マイクロアンペアを超えないパルスを発生させるのに好適な、プログラム可能な信号発生器を備える。好ましくは、パルスの持続時間は約250マイクロ秒である。好ましくは、強度の段階的増大は約30マイクロアンペアである。
【0048】
更なる好ましい実施形態では、プログラム可能な信号発生器は、高電圧発生器(HVG)22及び電流パルス発生器23(CPG)を備える。このHVGは、バッテリーによって供給される電力を高電圧の電気信号に変換するようになっている。この高電圧は、最大100 V又はそれより低い任意の値に達することができる。これは、皮膚を通して神経を刺激するために十分な電流を生成するために必要とされる。HVG22は、上記高電圧の電気信号をCPG23に供給することができ、CPG23は、これらの高電圧の電気信号を所望の持続時間及び強度の電気パルスに変換することができる。好ましくは、HVG22は、MCU20によって電子的に操作されるようになっている。より好ましくは、MCU20は、HVG22によって生成される高電圧の電気信号をモニタリングし、高電圧発生器を連続的に調整するのに好適である。これは、HVG22からMCU20のADCへの接続によって可能であり、それにより、MCU20は、所望の電気信号の値と生成された電気信号の値とを比較することができる。
【0049】
CPG23は、パルスを発生させるのに好適である。好ましくは、このCPG23は、少なくとも2つのトランジスターを備える。MCU20は、一方又は両方のトランジスターを起動するために、2つのトランジスターの各々のベース端子に電気的に接続される。これにより、電流がOUT1からOUT2へ又はOUT2からOUT1に流れることができる。電流は、トランジスターのコレクターからエミッターに、その後電極に流れる。MCUはまた、一方のトランジスター又は両方のトランジスターに電圧を供給することにより、CPG23を電気的に操作するのにも好適である。HVG22は、一方又は両方のトランジスターのコレクター端子に電気的に接続される。好ましくは、エミッター端子は、電極のうちの一方に電気的に接続される。スイッチング電源(SMPS)においてトランジスターを使用することにより、トランジスターは、低損失の完全オン状態と完全オフ状態との間で連続的に切り替わることができる一方で、高損失の遷移おいて非常にわずかな時間しか費やさず、それら両方により、消費エネルギーが最小限になり、急なパルスの発生が可能になる。MCUのタイマーは、パルス幅とパルス間の間隔とを制御するために好適である。好ましくは、CPGによってMCUにフィードバック信号が提供され、それにより、MCUは、このフィードバック信号を測定するようになっている。この信号は、デジタル又はアナログとすることができる。アナログ信号は、MCUのADCによってデジタルに変換し、所望のパルスの値と比較することができる。所望のパルスと実際のパルスとの間にずれが見つかった場合、(i)所望のパルスを提供するために、MCUによって調整を行うことができ、又は(ii)電気回路は自動的に機能を停止する。
【0050】
電気回路は、制御ボタン25等、少なくとも1つの制御手段を備える。このボタンは、使用者がアクセス可能である。制御手段は、MCU20を制御するのに好適である。制御手段25を動作させることにより、使用者は、MCUをオン又はオフにし、及び/又はデバイスの動作設定を選択することができる。この制御手段は、ボタン、スイッチ、レバー又は他の任意の要素とすることができる。制御手段25は、供給電圧調整器24に電力を供給して、MCUに電力を提供する。さらに、この制御手段25は、制御するためにMCUに電気的に接続される。供給電圧調整器24には、バッテリーによって電力を供給することができる。フィードバックシステムが、MCUを供給電圧調整器24に電気的に接続して、供給電圧調整器24に電力を供給し続け、それにより、MCUがそれ自体を停止させると判断するか、又はボタンからMCUへの電気接続を通してボタンによって他の方法で命令されない限り、供給電圧発生器は、バッテリーからMCUに電力を提供することができる。
【0051】
好ましい実施形態では、電気回路は装置に組み込まれ、この装置は、長尺対称支持体10に機械的に接続可能である。この支持体は、装置との機械的接続を確実にする少なくとも1本の突出するピンを備える。ピンは、好ましくは、長尺対称支持体の絶縁中心ゾーンに位置決めされる。装置は、少なくとも2つの突出する接触バンド又はパッドを備える。このバンドは、好ましくは、電気回路から突出しており、電極対の各電極に適合及び/又は接触するように意図されている。
【0052】
両接触バンドの間で、装置の中心部は、中空であり、長尺対称支持体のピンが嵌まる凹部を設けられている。この凹部は、その底部(鼻に対して近位側)で幅が広く、その頂部(鼻に対して遠位側)で幅が狭く、それにより、使用者は、装置を対称支持体に容易に取り付けて接続することができる。利点として、ピンは、装置の凹部の狭い部分に固定することができる、膨らんだ丸い頭部で終端する短い軸を備える。
【0053】
好ましくは、装置は、2つの好適なアームによって前方では鼻に後方では耳に載る眼鏡のフレームと同様に設計されている。電子回路及び/又はバッテリー等の任意の電源は、デバイスの中空部に配置することができる。眼鏡のフレームの形状の装置の安定性は、3つの点、すなわち、耳に載る両アーム及び眉間に貼り付けられた電極によって提供される。これは、安定性の第3の点が、鼻の鼻梁によって又は鼻に載るプレートによって提供される従来の眼鏡のフレームとは異なる。この後者のシステムは、鼻のサイズ及び形状に関して人によるばらつきにより、接触パッドが常に電極の導電性面に正確に位置決めされるとは限らないため、本発明のデバイスには適していない。
【0054】
好ましい実施形態では、電気回路は装置に組み込まれ、この装置は、長尺対称支持体(10)に磁気的に接続可能である。長尺対称支持体は、好ましくは、一方の面に、皮膚に付着するために導電性粘着性ゲルを設けられた、平坦な支持要素の形状を有する。装置は、電極を通して、電流をそれぞれ身体に対して生成するか又は身体から受け取ることができる。好ましくは、装置は、装置に設けられた永久磁石を用いて電極支持体に接続可能である。対称支持体は、電極の長手方向に沿って配置された2つの円形磁化可能ゾーンを備える。磁化可能ゾーンのそれぞれの中心は、装置の2つの磁石のそれぞれの中心と同じ間隔を有し、それにより、対称支持体と装置との間の磁気結合が可能になる。
【0055】
好ましくは、磁石は、導電性であるか、又は導電体でコーティングされている。磁石は、皮膚と接触するように意図された側とは反対側の電極対の各々の側に位置する磁化可能金属ゾーンと協働することができる。これにより、直接装置から電極対へ及びその逆の電流の流れが確実になる。
【0056】
好ましい実施形態では、対称支持体は、ゲル層の最上部に配置された、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの磁化可能金属を備える。上記ゲル層の上に炭素層が施される。好ましくは、炭素層の上に、銀層が配置される。好ましくは、この銀層の上に、綿又はポリウレタンの層が配置される。綿又はポリウレタンの層は、装置の磁石と銀層との間の電気接続を可能にする導電性領域を備える。磁化可能金属片は、矩形窓と位置合せされる。
【0057】
好ましい実施形態では、装置は、円形、三角形、正方形、矩形又は四辺形であるケースを有する。装置は、実質的に平坦であり、最大1.5 cm、好ましくは最大1 cmの高さを有する。高さとは、この装置が使用されるときに、皮膚に対して装置の最も近位の箇所を皮膚から装置の最も遠位にある箇所から分離する距離を指す。この装置の重量は、少なくとも1グラム、好ましくは少なくとも2グラム、より好ましくは少なくとも3グラム、最も好ましくは最大5グラム、及び最大20グラム、好ましくは最大15グラム、より好ましくは最大12グラム、最も好ましくは最大10グラムである。
【0058】
好ましくは、磁化可能金属ゾーンは、強磁性面からなる。この面は、鉄、コバルト、ニッケル、それらの合金のうちの1つ又はそれらの任意の組合せを含む。
【0059】
好ましくは、各永久磁石は、希土類合金磁石である。この希土類合金磁石は、好ましくは、ネオジム−鉄−ホウ素磁石又はサマリウム−コバルト磁石である。希土類合金磁石は、好ましくは、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、金、銀、エポキシ樹脂又はそれらの任意の組合せの層でコーティングされる。希土類合金磁石は、30 MGOe〜52 MGOeに含まれる最大エネルギー積BHmaxを有する。
【0060】
好ましい実施形態では、各永久磁石は、軸が、電極と接触するように意図された電子装置の面に対して垂直である、円筒状である。
【0061】
神経線維を刺激するために、TENS鎮痛電気療法は、通常、文献において最も好ましいものとして記載される矩形パルスを用いる。従来技術は、矩形パルスの持続時間は、標的神経線維、すなわちパルスによって刺激しなければならない神経線維のクロナキシー(chronaxy:時値)と等しいか又は近くなければならない。クロナキシーは、刺激をもたらすために必要な最小強度(又は基電流(rheobase))の2倍の電流の印加の最短持続時間である。このように、組織に与えられる対応する電気エネルギーは最小である。TENSデバイスの主な製造業者(CefarCompex)によって使用される最上位の器具はまた、センサーシステムを用いて、神経線維のクロナキシーを測定し、その後、矩形パルスの持続時間を、測定されたクロナキシーと等しくするように調整する。パルスの持続時間が、標的神経線維のクロナキシーと等しい値に調整されるとき、伝達される電気エネルギーが最小であることは、このように、CefarCompexの理論的電気療法のマニュアルに記載されている。
【0062】
標的神経線維は、本発明では、眼窩上神経及び滑車上神経の感覚求心性経路である。これらのタイプAβの感覚線維のクロナキシーは、30 μs(マイクロ秒)〜100 μsであって、平均は50 μsである。この理由で、大部分のTENS鎮痛電気療法デバイスは、持続時間が30 μs〜100 μsであって通常は約50 μsである矩形パルスを用いる。本出願人の臨床試験では、これらのパルス持続時間は患者に対して非常に苦痛であったことが確証され、予期したものとは対照的に、未知の理由で、はるかに長いパルスの方がはるかにより快適であることが発見された。
【0063】
本発明によれば、好適なパルス持続時間は、150 μs〜450 μsであって最適な値は250 μsであり、すなわち、最新技術によるTENS鎮痛電気療法デバイスで通常用いられるパルス持続時間より3倍〜9倍長い。
【0064】
眼窩上神経及び滑車上神経の感覚求心性経路を有効に刺激するために達成しなければならない強度は、8 mA〜18 mAにあることが知られている。強度の調整は、通常、TENSデバイスによって数分間行われる。関心のある領域では、この強度の増大は苦痛であり、それにより、8 mA〜18 mAに位置する有効な治療の強度に達することが困難になり、実際には不可能になる。
【0065】
神経系は、その痛覚の閾値を変更することによって、所与の感覚に慣れる。これは、耐性のメカニズムである。耐性の現象を利用することにより、痛みをもたらすことなく強度を非常に漸進的に増大させることが可能である。それは、神経系に対して、強度を非常にわずかに増大させる前に、その強度が痛み閾値未満のままであるように、その痛覚の閾値を上昇させるという問題である。これを行うことにより、神経系は、その痛覚閾値を変更する。
【0066】
上述した臨床試験では、耐性のメカニズムを利用することによって苦痛の感覚を阻止することができる、強度の増大の勾配が、7分間で17 mAの値未満、すなわち、40μA/秒(マイクロアンペア/秒)以下の強度の増大の速度でなければならないことが確証された。これは、強度の段階的増大もまた調整される限り当てはまる(後述する)。上述したものより急峻な強度の増大の勾配により痛みがもたらされ、より緩やかな勾配は耐えられることになる。
【0067】
強度の増大は段階的にもたらされる。この段階は、パルスを発生させる電子システムによって決まる。1つのパルスから次のパルスへの強度の段階的増大が高すぎる場合、対象者は、この急な強度の増大、したがって痛みを知覚する。
【0068】
上述した臨床試験により、1つのパルスから次のパルスへの強度の段階的増大の値は、50 μAを超えてはならず、最適な値は30 μAであることが確証された。1つのパルスから次のパルスへの強度の段階的増大が50 μA未満である場合、対象者は、強度の急な増大を知覚せず、痛みを感じない。
【0069】
第2の態様では、本発明は、三叉神経の経皮的電気刺激方法を提供する。本方法は、
−少なくとも1つの電極対を備える電極支持体を眼窩上領域において人の額に取り付け、それにより、三叉神経の眼枝の滑車上神経及び眼窩上神経の求心性経路を覆うステップであって、各電極対は、支持体の1つの面を少なくとも部分的に覆い、それによりこの支持体を額に取り付ける、粘着性導電性ゲルと接触する、ステップと、
−事前定義された強度を有する電気パルスを生成し電極対に供給するステップと、
−上記電極対に供給されたパルスの強度を測定するステップと、
を含む。好ましくは、事前定義されたパルスの強度は、1 mAから35 mA、5 mAから30 mA、10 mAから25 mA及び13 mAから20 mAである。より好ましくは、事前定義された強度は約16 mAである。
【0070】
本発明の方法に対して、上述した任意の実施形態によるデバイスを使用することができる。本方法に対して記載した任意の実施形態はまたデバイスにも適用可能でありその逆も可能であることが理解されるべきである。
【0071】
好ましい実施形態では、電極支持体は粘着性である。好ましくは、電気パルスは、プログラム可能な信号発生器によって生成され、電気パルスの強度は、治療に用いられるデバイスに設けられた測定手段によって測定される。
【0072】
好ましい実施形態では、測定されたパルス強度が事前定義された強度と異なるとき、聴覚信号が生成される。この場合、電気パルスは、生成されずかつ電極対に供給されなくなる。これは、デバイスが使用されているときは必ずパルス強度の連続的なモニタリングが確実になるため、有利である。測定されたパルス強度が事前定義された強度外である場合、電気回路は、電極対に電気パルスを供給するのを停止し、及び/又は聴覚信号提供手段が起動され、それにより、使用者に対してデバイスが作動していないことを通知する聴覚信号が生成される。パルス強度を連続的に測定することにより、電流がそれ以上流れることができなくなり、使用者の頭部にパルスが送達されなくなる、あらゆる接続問題を検出することができる。
【0073】
好ましい実施形態では、パルスの強度の測定は、連続モードで又は不連続モードで行われる。不連続モードとは、1秒間から2分間まで変化する所定の期間によって分離された測定を指す。
【0074】
好ましい実施形態では、本方法は、デバイスの各使用中に複数のパラメーターを記録するステップを更に含む。これらのパラメーターは、使用されたデバイスに組み込まれている少なくとも1つのモニタリング手段を用いて記録される。パラメーターは、デバイスによって行われる治療セッションの回数、治療セッションの総時間、全てのセッションを通して使用された最大パルス強度、全てのセッションを通して頻繁に使用されたパルス強度、全てのセッションを通して人に伝達された全電荷、又はそれらの任意の組合せを含むリストから選択される。
【0075】
上記パラメーターは、各セッションの最後に格納することができる。セッションとは、中断なしにデバイスが使用されている時間を指す。デバイスはまた、コンピューターに接続することもでき、それにより、各セッション中に上述したパラメーターをリアルタイムに連続的にモニタリング及び/又は記録することができる。パラメーターのモニタリング及び/又は記録は、1つのセッション中に不連続とすることもできる。これは、時間枠が2回の連続するモニタリング及び/又は記録を分離して、パラメーターが繰返しモニタリング及び/又は記録されることを意味する。デバイスとコンピューターとの間の接続により、更に、刺激パラメーターを再プログラミングすること等により、治療を適合させることができる。適合は、使用者又は医療従事者によってリアルタイムに行うことができる。上記適合はまた、セッションの開始前に、及び先行するセッション中に記録されたパラメーターを分析した後にも行うことができる。
【0076】
収集及び/又は保存されたパラメーターにより、治療に対するコンプライアンスを評価することができる。この情報は、治療の成功に非常に関連する。それによりまた、医療従事者が、収集されたパラメーター及び/又は治療の段階に基づいて、使用者に対してより適合されたアドバイスを提供することができる。
【0077】
好ましい実施形態では、本方法は、供給されたパルスに対する人の身体的反応を記録し、それにより、使用者にバイオフィードバックを提供するステップを更に含む。身体的反応は、使用されたデバイスに組み込まれている少なくとも1つのバイオフィードバック手段及び/又は使用者の額に配置されるのに好適な少なくとも1つの電極を用いて、記録することができる。バイオフィードバック手段及び電極は、互いに接続可能である。身体的反応とは、供給される電気パルスに対する頭部筋肉の反応、特に、これらの筋肉の活動電位を指す。
【0078】
好ましくは、記録された身体的反応は、バイオフィードバック信号に変換される。この信号は、好ましくは、使用者が知覚可能な視覚信号及び/又は聴覚信号であり、それにより、治療の展開に関する情報が提供される。これは、バイオフィードバック手段に、記録された身体的反応を使用者によって知覚されるバイオフィードバック信号に変換する少なくとも1つの変換手段を設けることにより、達成することができる。
【0079】
身体的反応は、連続的に記録されるか又は定期的に記録される。定期的にとは、身体的反応が不連続で記録され、それにより、時間枠が2回の連続した記録を分離することを意味する。
【0080】
使用されるデバイスに、発光ダイオード(LED)等の好適な発光手段及び/又は聴覚放出手段を設けることができる。聴覚信号は、少なくとも1つの可聴ビープを含むことができる。好ましくは、ビープ及び/又は発光の周波数は、身体的反応に対して、すなわち頭部の筋肉の電位活動に対して反比例する。これにより、使用者に対して、治療の有効性に関するリアルタイムバイオフィードバックが提供される。使用者は、ビープ及び/又は発光の間隔が増大する際に、自身がリラックスしていることを見る及び/又は聞くことができる。
【0081】
本発明は、緊張性頭痛及び片頭痛等の頭痛の電気療法治療の方法であって、
−少なくとも1つの電極対を備える電極支持体を眼窩上領域において人の額に取り付け、それにより、三叉神経の眼枝の滑車上神経及び眼窩上神経の求心性経路を覆うステップであって、各電極対は、支持体の1つの面を少なくとも部分的に覆い、それによりこの支持体を額に取り付ける、粘着性導電性ゲルと接触する、ステップと、
−事前定義された強度を有する電気パルスを生成し電極対に供給するステップと、
−上記電極対に供給されたパルスの強度を測定するステップと、
を含む方法を更に提供する。
【0082】
三叉神経の経皮的電気刺激方法に対して上述した全ての実施形態及び/又はステップはまた、頭痛の電気療法治療の方法にも適用可能であり及び/又はその一部であることが理解されるべきである。
【0083】
好ましくは、電気パルスは、矩形であり、150マイクロ秒〜450マイクロ秒、好ましくは250マイクロ秒の持続時間を有し、強度の最大の増大は0 mAから20 mAであり、レートは40マイクロアンペア/秒以下であり、上記強度の増大は、50マイクロアンペアを超えない、好ましくは30マイクロアンペアの段階的増大によって生成され、上記電気信号は、緊張性頭痛及び片頭痛を治療するために電極に印加される。
【0084】
本発明はまた、結合組織炎の電気療法治療の方法であって、
−少なくとも1つの電極対を備える電極支持体を眼窩上領域において人の額に取り付け、それにより、三叉神経の眼枝の滑車上神経及び眼窩上神経の求心性経路を覆うステップであって、各電極対は、支持体の1つの面を少なくとも部分的に覆い、それによりこの支持体を額に取り付ける、粘着性導電性ゲルと接触する、ステップと、
−事前定義された強度を有する電気パルスを生成し電極対に供給するステップと、
−上記電極対に供給されたパルスの強度を測定するステップと、
を含む方法を提供する。
【0085】
三叉神経の経皮的電気刺激方法に対して上述した全ての実施形態及び/又はステップはまた、結合組織炎の電気療法治療の方法にも適用可能であり及び/又はその一部であることが理解されるべきである。
【0086】
結合組織炎は、慢性広範囲痛症及びアロディニア(異痛症)によって特徴付けられる医学的状態である。今日まで、結合組織炎の治療には3種類の薬物、すなわち、三環系抗うつ薬、セロトニン・ノルエピネフリン(norepinephrine:ノルアドレナリン)再取込み阻害剤及びガバペンチン類が用いられている。これらの薬物は、中枢神経系(CNS)には有効である。しかしながら、これらの薬物の使用に対して、幾つかの副作用及び低有効性が記録されている(約3分の1の人にしか意味のある改善が達成されなかった)。したがって、CNSに有効であり、結合組織炎の治療に有効である一方で、いかなる副作用も著しく低下させる及び/又はいかなる副作用もない治療に対して重要な必要性がある。
【0087】
本発明は、結合組織炎の治療に対して三叉神経の簡単かつ単純な外部神経刺激(e-TNS)を提供する。好ましい実施形態では、刺激に使用されるパルスは、10 μs〜1000 μs、好ましくは20 μs〜800 μs、より好ましくは30 μs〜600 μs、更により好ましくは50 μs〜500 μs、最も好ましくは約250 μsの幅を有する矩形の二相パルスである。
【0088】
好ましい実施形態では、パルス周波数は、10 Hz〜300 Hz、好ましくは20Hz〜200 Hz、より好ましくは30 Hz〜150 Hz、最も好ましくは約120 Hzである。
【0089】
好ましい実施形態では、パルスの強度は、1 mA〜50 mA、好ましくは2 mA〜40 mA、より好ましくは3 mA〜30mA、更により好ましくは4 mA〜28 mA、最も好ましくは5 mA〜25 mAである。好ましくは、強度は、40 μA/秒未満の勾配で徐々に増大する。
【0090】
本発明により、頭痛の治療又は結合組織炎の治療に対して、電気療法治療及び薬物治療の組合せも提供される。本発明の電気療法治療と本技術分野において既知の薬物を、逐次及び/又は交互及び/又は同時モードで組み合わせることができる。
【0091】
好ましい実施形態では、本発明の任意の実施形態において記載されるような方法及び/又はデバイスは、限定されないが、片頭痛、緊張、頭痛、群発性頭痛、持続性片側頭痛、SUCNT、慢性発作性片側頭痛、三叉神経痛、顔面神経障害、結合組織炎、慢性痛、うつ病、気分循環症、心的外傷後ストレス症候群、脳しんとう後症候群、昏睡、不安、振戦、失語症、強迫性障害(OCD)、不眠症、睡眠障害、睡眠時無呼吸症候群、睡眠過剰、てんかん、転倒発作、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発硬化症、脳卒中及び小脳症候群を含む、神経学的障害の電気療法治療(electrotherapeutictreatment)に用いられる。
【0092】
好ましい実施形態では、本発明の方法及び/又はデバイスは、限定されないが、前兆のある及び前兆のない片頭痛、反復性片頭痛、慢性片頭痛、緊張型頭痛、慢性連日性頭痛、新規発症性持続性連日性頭痛、薬物乱用頭痛、群発性頭痛、後頭神経痛、三叉神経痛、持続性片側頭痛、外傷後頭痛及び脳しんとう後片頭痛を含む、慢性又は反復性の一次性頭痛及び二次性頭痛の治療に用いられる。好ましい実施形態では、本発明の方法及び/又はデバイスは、結合組織炎の治療に用いられる。
【0093】
本発明の任意の実施形態によるデバイスは、頭痛を防止及び/又は治療するために用いられる。デバイスは、将来の頭痛の発作又は発現を防止するために、頭痛発現の間に用いることができる。デバイスはまた、発作を止める(頓挫療法)ため又は痛みを軽減する(鎮痛)ために、片頭痛発作又は頭痛発現中にも用いることができる。デバイスは、しんとう若しくは外傷又は任意の医学的疾患若しくは事象の後に後遺症を予防するために同様に用いることができる。
【0094】
本発明の任意の実施形態によるデバイス及び/又は方法は、予防のため及び/又は頓挫療法のため、単独で用いることができる。上記デバイス及び/又は方法はまた、予防又は頓挫の薬物療法と組み合わせて用いることもできる。予防療法では、デバイス及び/又は方法の使用により、薬物療法の予防作用が補強される。頓挫又は鎮痛療法では、デバイス及び/又は方法の使用により、薬物療法の頓挫又は鎮痛効果が補強される。上述した治療のうちの任意のものにおいて、デバイス及び/又は方法の使用により、薬物療法のみが用いられる治療と比較して、より低用量の薬物療法又はより副作用の少ない薬物療法の使用が可能になる。
【0095】
更なる態様では、本発明は、上述したようなデバイスと使用者に対する取扱説明を含むリーフレットとを備えるキットを提供する。
【0096】
本発明について、その好ましい実施形態を参照して記載したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者により、多くの変更及び改変を行うことができる。