(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606280
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】流量調節とインペラの軸方向シフトによるサージ抑制を行う遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/052 20060101AFI20191031BHJP
F04D 29/058 20060101ALI20191031BHJP
F04D 29/28 20060101ALI20191031BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20191031BHJP
F04D 27/02 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
F04D29/052
F04D29/058
F04D29/28 P
F04D29/66 H
F04D27/02 E
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-517185(P2018-517185)
(86)(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公表番号】特表2018-529881(P2018-529881A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】US2016054717
(87)【国際公開番号】WO2017059219
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2018年6月4日
(31)【優先権主張番号】14/873,671
(32)【優先日】2015年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512271022
【氏名又は名称】ダイキン アプライド アメリカズ インコーポレィティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】ホサイン,エムディ アンワー
(72)【発明者】
【氏名】梅田 信弘
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 孝寿
【審査官】
大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−231826(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/012491(WO,A1)
【文献】
米国特許第2405048(US,A)
【文献】
国際公開第2009/056987(WO,A2)
【文献】
米国特許第6591612(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 27/02
F04D 29/052、29/058
F04D 29/28、29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チラーにおいて使用されるように適合された遠心圧縮機であって、
入口部分及び出口部分を有するケーシングと、
前記入口部分に配置された入口案内羽根と、
前記入口案内羽根の下流に配置され、軸方向を規定する回転軸周りに回転可能であり、少なくとも第1の流量位置と第2の流量位置との間において前記軸方向に沿って前記ケーシング内で調節可能に設けられたインペラと、
前記インペラを回転させるように配置及び構成されたモータと、
前記モータによって回転されるように配置及び構成され、前記インペラが取り付けられているシャフトと、
前記インペラの下流で前記出口部分に配置されたディフューザであって、前記出口部分の出口ポートが前記インペラと前記ディフューザとの間に位置している、ディフューザと、を備え、
前記第1の流量位置及び前記第2の流量位置のうち一方は流量100%位置であり、前記第1の流量位置及び前記第2の流量位置のうち他方は流量<100%位置であり、
前記インペラは、前記流量<100%位置において、前記流量100%位置よりも、前記出口ポートとの前記軸方向の重なりが少ない、
遠心圧縮機。
【請求項2】
少なくとも前記第1の流量位置及び前記第2の流量位置の間において前記インペラの調節を制御するように構成されたインペラ軸方向位置制御機構を更に備える、
請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記インペラ軸方向位置制御機構は、前記シャフトに装着されたスラスト軸受を備え、前記スラスト軸受は、少なくとも前記第1の流量位置及び前記第2の流量位置の間において前記インペラが移動するように前記ケーシング内で調節可能に設けられている、
請求項2に記載の遠心圧縮機。
【請求項4】
前記スラスト軸受はスラスト磁気軸受であり、前記スラスト磁気軸受に対する電流の流れを調節することによって調節可能である、
請求項3に記載の遠心圧縮機。
【請求項5】
前記シャフトは、ラジアル磁気軸受によって回転可能に支持されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の遠心圧縮機。
【請求項6】
前記インペラ軸方向位置制御機構は、前記遠心圧縮機の少なくとも1つの運転パラメータに基づいて、前記スラスト磁気軸受の調節を制御するようにプログラミングされたコントローラを更に備える、
請求項4に記載の遠心圧縮機。
【請求項7】
前記遠心圧縮機の前記少なくとも1つの動作パラメータは、前記インペラの入口における圧力及び前記ディフューザ内の圧力の少なくとも一方を含む、
請求項6に記載の遠心圧縮機。
【請求項8】
前記遠心圧縮機の前記少なくとも1つの動作パラメータは、前記インペラの入口における圧力と前記ディフューザ内の圧力との差を含む、
請求項7に記載の遠心圧縮機。
【請求項9】
前記インペラは、前記軸方向に沿って無数の流量位置の間で前記ケーシング内に調節可能に設けられている、
請求項1から8のいずれか1項に記載の遠心圧縮機。
【請求項10】
前記ディフューザは、ディフューザ羽根を含まない、
請求項1から9のいずれか1項に記載の遠心圧縮機。
【請求項11】
前記ディフューザは、調節可能な案内羽根を含まない、
請求項1から10のいずれか1項に記載の遠心圧縮機。
【請求項12】
前記入口案内羽根は、調節可能ではない、
請求項1から11のいずれか1項に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、遠心圧縮機に関する。より詳細には、本発明は、サージ制御をする遠心圧縮機に関する。
【0002】
チラーシステムは、媒体から熱を取り除く冷凍機械又は装置である。通常、水などの液体が媒体として使用され、チラーシステムは、蒸気圧縮冷凍サイクルにおいて動作する。そして、この液体は、熱交換器を循環することによって、空気又は機器を必要に応じて冷却することができる。これには必ず副生成物として冷媒による廃熱が生成されるため、この廃熱を周囲に排熱するか、効率を高めるために回収して加熱に用いるかが必要となる。従来のチラーシステムは、多くの場合、遠心圧縮機を利用する。この遠心圧縮機をターボ圧縮機と呼ぶことが多い。したがって、これらのチラーシステムをターボチラーと呼ぶことができる。あるいは、例えばスクリュー圧縮機等のその他の種類の圧縮機を利用することもできる。
【0003】
従来の(ターボ)チラーにおいて、冷媒が遠心圧縮機において圧縮されてから熱交換器に送られると、熱交換器に置いて冷媒と熱交換媒体(液体)との間で熱交換がおこる。この熱交換器において冷媒が凝縮するため、この熱交換器は凝縮器と呼ばれる。結果として、熱が媒体(液体)に移るため、媒体が加熱される。凝縮器を出る冷媒は、膨張弁によって膨張されてから別の熱交換器に送られ、熱交換器に置いて冷媒と熱交換媒体(液体)との間で熱交換がおこる。この熱交換器において冷媒が加熱される(蒸発する)ため、この熱交換器は蒸発器と呼ばれる。結果として、熱が媒体(液体)から冷媒に伝達され、液体が冷却される。そして、蒸発器からの冷媒は遠心圧縮機に戻され、このサイクルが繰り返される。多くの場合、利用される液体は、水である。
【0004】
従来の遠心圧縮機は基本的に、ケーシングと、入口案内羽根と、インペラと、ディフューザと、モータと、各種センサと、コントローラとを備える。冷媒は、入口案内羽根、インペラ、及びディフューザを順に流れる。したがって、入口案内羽根は、遠心圧縮機のガス吸気ポートに連結され、ディフューザは、インペラのガス出口ポートに連結される。入口案内羽根は、インペラに入る冷媒ガスの流量を制御する。インペラは、一般に冷媒ガスの圧力を変更することなく、その速度を上げる。ディフューザは、冷媒の速度を変更することなくその圧力を上げる。モータは、インペラを回転させる。コントローラは、モータ、入口案内羽根、及び膨張弁を制御する。こうして、冷媒は、従来の遠心圧縮機において圧縮される。入口案内羽根は、調節可能であり、モータ速度は、システムの容量を調節するために典型的には調節可能である。更に、このディフューザを、システムの容量を更に調節するために調節可能とすることができる。コントローラは、モータ、入口案内羽根、及び膨張弁を制御する。このコントローラはさらに、ディフューザ等のあらゆる制御可能な追加構成要素を制御することができる。
【0005】
圧縮機より後方の圧力が圧縮機出口圧力よりも高いと、流体が圧縮機内に戻る、又は逆流さえする傾向にある。その結果、流体圧力が低下し、入口圧力が増加し、流れが再び反転する。サージと呼ばれるこの現象は、周期的に繰り返し発生する。サージが起こると、圧縮機はそのピークヘッドを維持する能力を失い、システム全体が不安定となる。圧縮機速度の変化又は入口案内羽根角度の変化中のサージ点の集合は、サージラインと称される。通常の条件下では、圧縮機は、サージラインの右側で動作する。しかし、始動中/緊急停止中は、流れが低減するため、動作点がサージラインに向かって移動する。動作点がサージラインに近づく条件になると、インペラ及びディフューザで流れの再循環が起こる。流れの再循環は、流れの分離を起こすため、最終的に吐出圧力の低下をもたらし、この状態で吸込みから排出への流れが再開する。サージングが起こると、圧縮機が、そのユニットの最大許容温度を超える点まで過熱しかねない。また、サージングによって、ロータが能動側から非能動側へ前後にシフトするため、スラスト軸受に損傷を起こしかねない。これが圧縮機のサージサイクルとして定義されるものである。
【0006】
したがって、サージを制御する技術が開発されている。例えば、特開平5−263796号を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の遠心圧縮機において、上記の技術又はその他の周知の技術によってサージが予測されると、圧縮機コントローラは、各種パーツを制御することによってサージを制御することができる。例えば、入口案内羽根及び/又は排出ディフューザ羽根が制御される、又は圧縮機の速度が上げられることによって、サージを制御することができる。これらの技術は比較的良好に機能しているが、これらのシステムが付加的な部品を要するため、コストを引き上げてしまう。更に、これらの技術は圧縮機の性能を低下しかねない。
【0008】
したがって、本発明の1つの目的は、性能を低下することなくサージを制御する遠心圧縮機を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、過度に複雑な構造及び/又は追加パーツなしでサージを制御する遠心圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的の1つ以上は、基本的に、以下のような、チラーにおいて使用されるように適合された遠心圧縮機を提供することによって達成可能である。この遠心圧縮機は、入口部分よび出口部分を有するケーシングと、入口部分に配置された入口案内羽根と、入口案内羽根の下流に配置され、軸方向を規定する回転軸周りに回転可能であり、少なくとも第1の流量位置と第2の流量位置との間において軸方向に沿ってケーシング内で調節可能に実装されたインペラと、インペラを回転させるように配置及び構成されたモータと、インペラの下流で出口部分に配置されたディフューザであって、このとき出口部分の出口ポートがインペラとディフューザとの間に位置している、ディフューザと、を備える。
【0011】
本発明の上記及びその他の目的、特徴、態様、及び効果は、以下の記載から当業者に明らかとなろう。以下の記載では、添付の図面と合わせて好適な実施形態を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
ここで、本開示の一部を構成する添付の図面を参照する。
【0013】
【0014】
【
図2】
図1に示すチラーの遠心圧縮機の斜視図であり、説明のため一部を切り取り、その断面を示している。
【0015】
【
図3】
図2に示した遠心圧縮機のインペラ、モータ、及び磁気軸受の縦断面図である。
【0016】
【
図4】
図1〜
図3に示す遠心圧縮機の軸受、インペラ、ケーシング、ディフューザ入口の一部を示す概略縦断面図であり、インペラは、ディフューザ入口を部分的に開口する(<100%)軸方向位置にある。
【0017】
【
図5】
図1〜
図4に示す遠心圧縮機の軸受、インペラ、ケーシング、ディフューザ入口の一部を示す概略縦断面図であり、インペラはディフューザ入口を完全に開口する(100%)軸方向位置にある。
【0018】
【
図6】回転磁気軸受のシャフトの軸方向図であり、ラジアル磁気軸受の場所を示している。
【0019】
【
図7】遠心圧縮機の3種類の毎分回転数(rpm)に対する流量と比べてヘッドを示すグラフであり、サージラインも示している。
【0020】
【
図8】
図2及び
図3に示したスラスト磁気軸受の部分断面平面図である。
【0021】
【0022】
【
図10】運転容量を増加することによってサージを制御する方法を示すフロー図である。
【0023】
【
図11】
図1及び
図2に示したチラーシステムのチラーコントローラの概略図である。
【0024】
【
図12】
図1及び
図2に示したチラーシステムの磁気軸受アセンブリ、磁気軸受制御セクション61、サージ予測セクション62、及びサージ制御セクション63の関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで、選択した実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態の説明は単なる例示であり、添付の請求項及びそれらの均等物で定義される本発明を限定するためのものではないことは、本開示から当業者に明らかであろう。
【0026】
まず
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るチラーシステム10を説明する。チラーシステム10は、好ましくは、従来の方法で冷却水及びチラー水を利用する水冷チラーである。本開示に示すチラーシステム10は、単段チラーシステムである。ただし、チラーシステム10が多段チラーシステムでもよいことは、本開示から当業者に明らかであろう。チラーシステム10は、基本的に、コントローラ20と、圧縮機22と、凝縮器24と、膨張弁26と、蒸発器28とを備え、これらの構成要素は互いに直列に接続されてループ冷凍サイクルを形成している。更に、
図1に示すように、この回路に亘って各種センサS及びTが配置されている。チラーシステム10は、本発明に従ってサージを制御する点を除き、従来のものである。
【0027】
図1〜
図3を参照すると、この例示実施形態において、圧縮機22は遠心圧縮機である。この例示実施形態の遠心圧縮機22は、基本的に、ケーシング30と、入口案内羽根32と、インペラ34と、ディフューザ36と、モータ38と、磁気軸受アセンブリ40とを備え、従来の各種センサ(一部のみ図示)も備えている。コントローラ20は、以下で更に詳細に説明するように、各種センサから信号を受信し、入口案内羽根32、モータ38、及び磁気軸受アセンブリ40を従来の方法で制御する。冷媒は、入口案内羽根32、インペラ34、及びディフューザ36の中を順に流れる。入口案内羽根32は、インペラ34に入る冷媒ガスの流量を従来の方法で制御する。インペラ34は、一般に冷媒ガスの圧力を変更することなく、その速度を増加させる。モータ速度によって、冷媒ガスの速度の増加量が決まる。ディフューザ36は、冷媒速度を変更することなく冷媒圧力を増加させる。モータ38は、シャフト42を介してインペラ34を回転させる。磁気軸受アセンブリ40は、シャフト42を磁気的に支持する。このようにして、冷媒は遠心圧縮機22で圧縮される。ケーシングは、入口部分31a及び出口部分31bを有する。出口部分31bの出口ポート37は、ディフューザ36に至る。
【0028】
この例示実施形態において、チラーシステム10は、従来の方法でサージを予測する。例えば、米国特許第5095714号を参照されたい。しかし、チラーシステム10は、サージを予測する際、本発明に従いサージを制御する。特に、コントローラ20は、以下でより詳細に説明するように、磁気軸受アセンブリ40に送られる電流を制御することによって、インペラ34の軸方向位置を制御する。
【0029】
図2〜
図3を参照すると、磁気軸受アセンブリ40は従来のものである。したがって、本発明に関連する内容を除き、ここにおいて詳細に説明及び/又は図示しない。つまり、本発明から逸脱することなく好適な磁気軸受であればいずれも使用可能であることは、当業者に明らかである。
図2からわかるように、磁気軸受アセンブリ40は、好ましくは、第1のラジアル磁気軸受44と、第2のラジアル磁気軸受46と、アキシャル(スラスト)磁気軸受48とを備える。いずれの場合においても、少なくとも1つのラジアル磁気軸受44又は46は、シャフト42を回転可能に支持する。スラスト磁気軸受48は、スラストディスク45に作用することによって、回転軸Xに沿ってシャフト42を支持する。スラスト磁気軸受48は、シャフト42に装着されたスラストディスク45を備える。スラストディスク45は、回転軸Xに直交する方向にシャフト42から径方向に延び、シャフト42に固定されている。回転軸Xに沿ったシャフト42の位置(軸方向位置)は、本発明に従って、スラストディスク45の軸方向位置によって制御される。第1及び第2のラジアル磁気軸受44、46を、モータ38の対向する軸方向端部に配してもよいが、モータ38に対して同じ軸方向端部に配することも可能である(不図示)。以下でより詳細に説明する各種センサは、磁気軸受44、46、48に対するシャフト42の径方向及び軸方向位置を検知し、従来の方法で信号を磁気軸受制御セクション61に送信する。磁気軸受制御セクション61は、次に、従来の方法で、磁気軸受44、46、48に送信される電流を制御することによって、シャフト42を正しい位置に維持する。磁気軸受アセンブリ40の磁気軸受44、46、48等の磁気軸受及び磁気軸受アセンブリの動作は、当該技術分野において周知であるため、磁気軸受アセンブリ40について、本発明に従ったサージ制御に関する内容を除き、ここでは詳細に説明及び/又は図示しない。
【0030】
磁気軸受アセンブリ40は、好ましくは、能動型磁気軸受44、46、48の組み合わせであり、非接触型位置センサ54、56、58を利用してシャフト位置を監視し、シャフト位置を示す信号を磁気軸受制御セクション61に送信する。したがって、磁気軸受44、46、48はそれぞれ、好ましくは、能動型磁気軸受である。磁気軸受制御セクション61は、この情報を使用することによって、磁気アクチュエータへの所要電流を調節し、径方向及び軸方向の両方において適切なロータ位置を維持する。能動型磁気軸受は当該技術分野において周知であるため、本発明に従ったサージ制御に関する内容を除き、ここでは詳細に説明及び/又は図示しない。
【0031】
図1、
図2、及び
図11を参照すると、コントローラ20は、磁気軸受制御セクション61と、サージ予測セクション62と、サージ制御セクション63と、可変周波数ドライブ64と、モータ制御セクション65と、入口案内羽根制御セクション66と、膨張弁制御セクション67とを備える。磁気軸受制御セクション61、サージ予測セクション62、サージ制御セクション63、可変周波数ドライブ64、モータ制御セクション65、及び入口案内羽根制御セクション66は、圧縮機22のI/Oインターフェース50に電気的に連結される遠心圧縮機制御部分のパーツを形成している。
【0032】
磁気軸受制御セクション61は、磁気軸受アセンブリ40のいくつかの部分に接続され、コントローラ20の様々なセクションと通信しているため、コントローラ20の様々なセクションは、圧縮機22のセンサ54,56,58から信号を受信し、計算を行い、磁気軸受アセンブリ40等の圧縮機22のパーツに制御信号を送信することができる。同様に、コントローラ20の様々なセクションは、センサS、Tから信号を受信し、計算を行い、圧縮機22(例えば、モータ)及び膨張弁26に制御信号を送信することができる。制御セクション及び可変周波数ドライブ64は、別個のコントローラであっても、又は本開示に記載するパーツの制御を実行するようにプログラミングされたチラーコントローラの単にセクションであってもよい。言い換えると、本開示で説明するように、1つ以上のコントローラがチラーシステム10のパーツの制御を実行するようにプログラミングされている限り、本発明から逸脱することなく、制御セクション、制御部分、及び/又はコントローラ20の厳密な数、場所、及び/又は構造が変更可能であることは、本開示から当業者に明らかである。
【0033】
コントローラ20は、従来のものであり、したがって、少なくとも1つのマイクロプロセッサ又はCPUと、入力/出力(I/O)インターフェースと、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)と、リード・オンリ・メモリ(ROM)と、(一時又は永久)記憶装置とを備え、1つ以上の制御プログラムを実行することによってチラーシステム10を制御するようにプログラミングされたコンピュータ可読媒体を形成している。コントローラ20は、任意で、キーパッド等のユーザからの入力を受信する入力インターフェースと、ユーザに対して各種パラメータを表示するために使用される表示装置とを備えてもよい。これらのパーツ及びプログラミングは、サージ制御に関する内容以外は従来のものであるため、実施形態の理解に必要である場合を除き、ここでは詳細に説明しない。
【0034】
磁気軸受制御セクション61は、通常、磁気軸受アセンブリ40のセンサ54、56、58から信号を受信し、磁気軸受44、46、48に電気信号を送信することによって、従来の方法でシャフト42を所望の位置に維持する。より具体的には、磁気軸受制御セクション61は、サージが予測されていない通常動作の間、磁気軸受制御プログラムを実行することによって、従来の方法でシャフト42を所望の位置に維持するようにプログラミングされている。しかし、サージが予測されたら、シャフト42の軸方向位置を、サージ制御セクション62及びアキシャル磁気軸受48を使用して調節することができる。したがって、シャフト42に固定されるインペラ34の軸方向位置は、以下でより詳細に説明するように、ディフューザ36に対して調節可能である。
【0035】
可変周波数ドライブ64及びモータ制御セクション65は、少なくとも1つのモータセンサ(不図示)から信号を受信し、モータ38の回転速度を制御して、従来の方法で圧縮機22の容量を制御する。より具体的には、可変周波数ドライブ64及びモータ制御セクション65は、従来の方法で圧縮機22の容量を制御するため、モータ38の回転速度を制御するモータ制御プログラムを1つ以上実行するようにプログラミングされている。入口案内羽根制御セクション66は、少なくとも1つの入口案内羽根センサ(不図示)から信号を受信し、入口案内羽根32の位置を制御して、従来の方法で圧縮機22の容量を制御する。より具体的には、入口案内羽根制御セクション66は、従来の方法で圧縮機22の容量を制御するため、入口案内羽根32の位置を制御する入口案内羽根制御プログラムを実行するようにプログラミングされている。膨張弁制御セクション67は、膨張弁26の開度を制御することによって、従来の方法でチラーシステム10の容量を制御する。より具体的には、膨張弁制御セクション67は、従来の方法でチラーシステム10の容量を制御するため、膨張弁26の開度を制御する膨張弁制御プログラムを実行するようにプログラミングされている。モータ制御セクション65及び入口案内羽根制御セクション66は協働し、膨張弁制御セクション67と共に、従来の方法でチラーシステム10の全容量を制御する。コントローラ20は、センサS、並びに、任意でセンサTから信号を受信することによって、従来の方法で全容量を制御する。任意のセンサTは、温度センサである。センサSは、好ましくは、上記制御を行うために従来の方法で使用される、従来の圧力センサ及び/又は温度センサである。
【0036】
各磁気軸受44は、複数のアクチュエータ74と、少なくとも1つの増幅器84とを備える。同様に、各磁気軸受46は、複数のアクチュエータ76と、少なくとも1つの増幅器86とを備える。同じく、各磁気軸受48は、複数のアクチュエータ78と、少なくとも1つの増幅器88とを備える。各磁気軸受44、46、48の増幅器84、86、88は、その数のアクチュエータを制御するマルチチャンネル増幅器であってもよいし、各アクチュエータ74、76、78に対して個別の増幅器を備えていてもよい。いずれの場合においても、増幅器84、86、88は、各磁気軸受44、46、48のアクチュエータ74、76、78に電気的に接続される。
【0037】
図11及び
図12を参照すると、磁気軸受制御セクション61は、サージ制御セクション63に電気的に接続され、サージ制御セクション63から信号を受信する。磁気軸受制御セクション61は、シャフト42の所望の軸方向位置を磁気軸受48のシフト可能な範囲内の任意の箇所に調節することができる。磁気軸受制御セクション61は、シャフト42の軸方向位置を調節するため、磁気軸受48の増幅器88に対する電気信号を調節するようにプログラミングされている。磁気軸受48は、2つのチャンネルを有し、磁気軸受48の各アクチュエータ78を独立に制御する増幅器88を有してもよいし、又は磁気軸受48の各アクチュエータ78に対応する固有の増幅器88を有していてもよい。磁気軸受48のアクチュエータ78は、磁力を働かせてスラストディスク45に作用する。磁気軸受48のアクチュエータ78は、電流に基づいて磁力を発生する。したがって、この磁力は、以下で更に詳細に説明するように、各アクチュエータ78に供給される電流量を制御することによって、様々に制御可能である。
【0038】
例示の実施形態において、磁気軸受48は、スラストディスク45と、スラストディスク45の対向面に配された2つのアクチュエータ78と、スラストディスク45の対向面に配された2つの位置センサ58と、2つのアクチュエータ78に電気的に接続された増幅器88と、磁気軸受制御セクション61とを備える。磁気軸受制御セクション61は、コントローラ20の増幅器88、位置センサ58、及びその他の部分に電気的に接続される。各アクチュエータ78は、増幅器88からそれぞれの電流を受信する。それぞれ電流は、磁気軸受制御セクション61によって決定され、信号で増幅器88に伝達される。磁気軸受48のアクチュエータ78は、2つのアクチュエータ78の合力が平衡に至る軸方向位置にスラストディスク45を付勢する。通常動作の間、シャフト42は、
図5に示すように流量が100%である軸方向位置に配置される。
【0039】
本発明の磁気軸受制御セクション61は、少なくとも1つの外部信号を受信するように設けられる点で、従来の磁気軸受コントローラと異なる。この少なくとも1つの外部信号は、所望の軸方向位置への調節を示し、サージが予測されることに応答して必要となる調節信号である。磁気軸受制御セクション61は、この調節信号を受信し、磁気軸受48の増幅器88に出力される、磁気軸受48のアクチュエータ78に供給される電流量を示す信号を調節するようにプログラミングされている。言い換えると、本発明の磁気軸受制御セクション61は、受信する調節信号に基づいてシャフト42の軸方向位置を調節する。
【0040】
チラー10のその他の全ての態様が一定である場合、その入口に対するインペラ34の軸方向位置によって、インペラ34から出る冷媒の流量及び冷媒流れの速度が決定される。この冷媒の流量はまた、圧縮機22の容量に影響を与える。シャフト42が磁気軸受48のシフト可能な範囲内の任意の箇所にシフト可能であり、インペラ34がシャフト42に装着されているため、インペラ34も軸方向において無数の位置にシフト可能である。インペラの軸方向位置はそれぞれ、固有の流量及び固有の速度をもたらす。したがって、圧縮機のインペラ34からの冷媒の流量及び速度は、無限に調節可能である。
図4は、流量が100%未満であるインペラ34の軸方向位置を示し、この位置は、ディフューザ36に対して最も近接する位置(
図5参照)を除く、シフト可能な範囲内の任意の箇所であってもよい。
図5は、流量が100%であるインペラ34の軸方向位置を示し、このインペラ34は、シフト可能な範囲の、ディフューザ36に最も近接した箇所に配置されている。
【0041】
サージ制御セクション63は、サージ予測セクション62からの信号受信時にサージを制御するようにプログラミングされている。サージ予測セクション62からの信号は、サージが起こるとの予測を示す。サージ予測セクション62は、米国特許第5095714号で説明される例などの従来の方法でサージを予測しても、本開示に照らして明らかであるように、本発明の範囲を逸脱することなくその他の任意の手法を用いてサージを予測してもよい。しかし、この例示実施形態では、サージ制御セクション63は、インペラ34の軸方向位置を調節することによって(本開示に示す複数の図では右側にインペラを移動することによって)、即ち
図5に示す流量100%位置から、開きが少なくなる流量<100%位置(
図4においてのみ図示)に向かって調節することによって、サージを制御する。軸方向でインペラ34をいっぱいに位置調節してもサージ予測セクション62で予測されたサージの除去に不十分な場合には、本開示で説明及び図示する手法に加えて、モータ38の回転速度の増加及び/又は入口案内羽根の調節等の他の従来の手法を任意に使用可能である。ただし、ここに開示するインペラ34の軸方向位置調節から実現されるサージ制御を用いれば、1つ以上の従来のサージ制御手法を回避及び/又は省くことができる。例えば、ディフューザ羽根を用いるサージ制御を省くことができる。
【0042】
サージ制御セクション63は、軸受制御セクション61に電気的に接続される。サージ制御セクション63は、磁気軸受制御セクション61に調節信号を送信して、サージを制御する。より具体的には、サージ制御セクション63は、シャフト42を軸方向にシフトすることによってサージを制御する。より具体的には、サージ制御セクション63は、インペラ34の軸方向位置への調節を示す調節信号を出力するようにプログラミングされている。この調節は、調節可能範囲の一部に対応する。例えば、各調節は、調節可能範囲の5%、10%、又は15%になり得る。したがって、サージ制御セクション63は、インペラ34を段階的にシフトすると発生する圧縮機22の流量を調節することによってサージを制御するようにプログラミングされている。
【0043】
サージ制御セクション63は、通常の動作位置(
図5に例示)から多数の調節位置(
図4に1つのみ例示)にインペラ34の軸方向位置を調節するようにプログラミングされている。前述のような段階的な調節は、本開示に従ってインペラの軸方向位置を調節できる方法の単なる一例である。これに代えて、調節信号は、サージ制御セクション63が算出するような予測サージの制御にどのくらいシフト量が必要かの決定、又は、以下で更に詳細に説明するようなマップ等の所定値に基づいて、サージ制御セクション63から磁気軸受制御セクション61に送信される単一の調節量を示してもよい。
【0044】
サージ制御セクション63は、インペラ34の位置の調節量を決定するようにプログラミングされている。サージ制御セクション63は、圧縮機22の少なくとも1つの動作パラメータに基づいて調節量を決定するようにプログラミングされている。より具体的には、サージ制御セクション63は、本開示に照らして明らかであるように、予測サージに基づいて対象流量を決定するようにプログラミングされている。例えば、対象流量は、インペラ34の入口における冷媒の圧力、及び、ディフューザ内の冷媒の圧力のうち少なくとも一方に基づいて決定可能である。サージ制御セクション63が対象流量を決定すると、サージ制御セクション63は、次に、その対象流量をもたらすインペラ34の軸方向位置への調節量を算出する。するとサージ制御セクション63は、インペラ34の軸方向位置へのその調節量を示す信号を磁気軸受制御セクション61に送信する。非限定的な例として、サージは、冷媒の速度を増加させることによって制御可能である。冷媒の速度が増加すると、動作範囲が広がる。したがって、サージ制御セクション63は、調節可能範囲の一部に対応する調節信号を生成することができる。例えば、調節信号から得られる各調節量を、調節可能範囲の5%、10%、又は15%とすることができる。
【0045】
上記調節信号に応答して、磁気軸受制御セクション61は、通常の動作位置からその調節位置に軸方向にインペラをシフトさせる。通常の動作位置では第1流量であり、調節位置では第2流量となる。非限定的な例として、第1流量は、
図5に示すように圧縮機22のピーク流量(100%)であり、第2流量は、
図4に示すように圧縮機22のピーク流量未満である。調節信号も、サージ制御セクション63が実行するようにプログラミングされているサージ制御方法に基づいて決定される異なる流量に依存する。サージの予測に基づいて必要な調節量を算出する各種方法を使用可能であることは、本開示に照らして当業者に明らかである。
【0046】
図4及び
図5を参照すると、流量は、インペラ34を出る冷媒の速度に影響を与える。インペラ34の通常の動作位置において、間隙Cは小さく、冷媒がインペラを出るギャップGは大きい。
図4〜
図5において、圧縮機のこの間隙及び構造は、理解しやすいように大幅に簡素化されている。この通常配置(
図5)において、インペラ32から出る冷媒の流量は通常であり、速度も通常である。
図4に示すように、サージが起こるとの予測に応答してインペラ34がシフトすると、ギャップGが通常の動作位置と比較すると小さくなる。調節後の配置では、インペラ32から出る冷媒の流量は、通常配置における冷媒の流量よりも少なく、冷媒の速度は、通常配置における冷媒の速度よりも大きくなる。間隙Cも拡大するが、
図2から分かるように、間隙Cはインペラに冷媒を供給する入口案内羽根からの好適なシールとなることから、間隙Cはインペラ34を出る冷媒の流量及び速度への影響を与えない。冷媒の流量及び速度の違いは、調節後の配置で狭くなったギャップGの結果である。本開示に照らして明らかなように、また上述したように、一般に、間隙Cに対する変化は冷媒の流量及び速度に対する変化を妨げることはない。
【0047】
第2流量及び第2速度(インペラ34の調節位置)は、いくつかの手法で決定可能である。一実施形態において、サージ制御セクション63は、流量を段階的に調節可能である。例えば、サージ制御セクション63がサージ予測セクション62から信号を受信した場合に、サージ制御セクションは、インペラ34の位置を調節することによって、流量を5%調節することができる。サージ制御セクション63が流量を5%調節した後、サージ予測セクション62がサージを予測すると、サージ制御セクション63は、インペラ34の位置調節により、流量を10%調節する。この流量の段階的調節のサイクルは、サージ予測セクション62によるサージ予測がなくなるか、サージ制御セクション63が最大調節量に至るまで継続される。
【0048】
あるいは、第2流量及び第2速度(インペラ34の調節位置)を、サージの予測量に基づいてサージ制御セクション63によって決定してもよい。言い換えると、サージ制御セクション63は、サージ予測セクション62がサージ量Xを予測する場合、サージ量Xに見合う調節量を決定するようにプログラミングされてもよい。サージ量Xに見合う調節量に基づいて、サージ制御部は、その調節量に基づいて調節信号を生成し、インペラ34の位置を調節することができる。
【0049】
また、第2流量及び第2速度(インペラ34の調節位置)を、所定量に基づいてサージ制御セクション63によって決定してもよい。例えば、調節量を、静的値、又は所定のマップに基づくものにすることができる。サージ制御セクション63は、サージ制御セクション63がサージを予測する信号を受信し、インペラ34の位置を所定値に調節するたびに、デフォルトで所定の静的調節量となってもよい。あるいは、サージ制御セクション63は、所定マップに基づいて調節量を決定してもよい。この所定マップは、サージ予測セクション62がサージを予測した時点又は継続時間に対する調節量を示し、インペラ34の位置を所定マップに基づいて決定した位置に調節することができる。このような所定マップは大抵、実験から生成されてコントローラ20にプログラミングされる。
【0050】
従来、入口案内羽根制御セクション66は、入口案内羽根32を制御することによって、インペラへの冷媒ガスの流量を制御する。例えば、案内羽根制御セクションは、システムの対象容量を決定し、対象容量に至るために必要な案内羽根32の調節量を決定し、対象容量を達成するように案内羽根32を制御して、サージを制御することができる。しかし、調節可能な案内羽根32は、従来のチラーシステムを複雑にし、それが搭載される従来のチラーシステムでは1つの破損点となる。同じく、遠心圧縮機には調節可能なディフューザ羽根を利用しているものがあるが、この羽根を省略することができる。
【0051】
ここに記載する技術を用いてサージを制御することによって、チラーシステム10は、入口案内羽根/案内羽根制御セクション、及び/又は、調節可能なディフューザ案内羽根を介してサージを制御するものには限定されなくなる。更に、その他の調節構造も省略できる、又は不要とできる可能性がある。言い換えると、ディフューザは、ディフューザ羽根(調節可能なディフューザ羽根)(不図示)を有さなくてもよい。あるいは、入口案内羽根を、固定し、調節可能としなくてもよい(不図示)。案内羽根32をなくすことによって、チラーシステム10の信頼性が増加し、コストを削減することができる。
【0052】
図7を参照すると、サージは、圧縮機における定常流の完全な崩壊であり、通常、低流量時に起こる。
図7は、サージラインSLを示し、このラインは、rpm1、rpm2、及びrpm3におけるサージ点S1、S2、S3をそれぞれ繋いている。これらの点は、圧縮機によって生成される圧力がその圧縮機下流のパイプ圧力を下回っているピーク点である。これらの点は、サージサイクルの開始を示す。破線PAは、サージ制御ラインを示している。ラインPAとラインSLとの間に距離があると、サージ制御方法が非効率であることになる。サージ制御ラインPAとサージラインSLとの差を低減することによって、圧縮機22をより効率的に制御することができる。上記サージ制御方法の1つの利点は、新規のサージ制御方法を提供すること、これにより、これまでの方法と比べてサージ制御ラインPAをサージラインSLに近づけられることである。
<用語の一般的解釈>
【0053】
本発明の範囲を理解するにあたって、ここで使用する用語「含む/備える(comprising)」及びその派生語は、上記で述べた特徴、要素、部品、群、数値、及び/又は工程の存在を明記するものであるが、述べていないその他の特徴、要素、部品、群、数値、及び/又は工程の存在を除外しない非限定的用語であることを意図している。また、上記は、用語「備える/含む/有する(including、having)」及びその派生語等の同様の意味を有する単語にも適用される。さらに、用語「パーツ(part)」、「セクション(section)」、「部分(portion)」、「部材(member)」、「要素(element)」は、単数形で使用されていても、単数複数双方の意味を有し得る。
【0054】
部品、セクション、装置等が実行する動作又は機能の説明のためにここで使用する用語「検出」は、物理的な検出を要するものではなく、その動作又は機能を実行するための決定、測定、モデリング、予測、演算等を含む。
【0055】
装置の部品、セクション、又はパーツの説明のためにここで使用する用語「構成される」は、所望の機能を実行するために構築及び/又はプログラミングされたハードウェア及び/又はソフトウェアを含む。
【0056】
ここで使用する「略(substantially)」、「約(about)」、「およそ(approximately)」等の度合いを示す用語は、最終結果が実質的に変わらないような被修飾語の妥当な偏移量を意味する。
【0057】
本発明を説明するために特定の実施形態のみを選択してきたが、ここでは、添付の請求項において定義される発明の範囲を逸脱することなく種々の変更及び修正が可能であることは、本開示から当業者に明らかである。例えば、各種部品のサイズ、形状、場所、又は向きは、必要又は所望に応じて変更可能である。互いに直接的に接続又は接触するように示されている部品は、それらの間に中間構造体を配してもよい。単一要素の機能を、2つの要素で実行可能であり、その逆も同様である。一実施形態の構造及び機能を、別の実施形態で用いてもよい。特定の実施形態に全ての利点が同時に含まれていなくてもよい。従来技術と比べて固有の特徴はすべて、単独としてもその他の特徴と組み合わせとしても、これら1つ以上の特徴によって具体化される構造的及び/又は機能的概念を含む、本出願人による更なる発明の別個の記載として見なされるべきものである。したがって、本発明に係る実施形態の上記説明は、単なる例示であり、添付の請求項及びそれらの均等物によって定義される発明の限定を目的とするものではない。