特許第6606291号(P6606291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6606291窒素系硫化水素スカベンジャーおよびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606291
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】窒素系硫化水素スカベンジャーおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20191031BHJP
   B01D 53/52 20060101ALI20191031BHJP
   B01D 53/77 20060101ALI20191031BHJP
   C10G 21/20 20060101ALI20191031BHJP
   C10G 29/20 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   B01D53/14 210
   B01D53/52 220
   B01D53/77
   C10G21/20
   C10G29/20
【請求項の数】12
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-535847(P2018-535847)
(86)(22)【出願日】2016年12月23日
(65)【公表番号】特表2019-507211(P2019-507211A)
(43)【公表日】2019年3月14日
(86)【国際出願番号】IB2016057994
(87)【国際公開番号】WO2017118894
(87)【国際公開日】20170713
【審査請求日】2018年9月6日
(31)【優先権主張番号】201621000847
(32)【優先日】2016年1月8日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】509270317
【氏名又は名称】ドルフ ケタール ケミカルズ (インディア)プライヴェート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】サブラマニヤム,マヘッシ
【審査官】 上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−508349(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0171721(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0004393(US,A1)
【文献】 特開平07−258664(JP,A)
【文献】 特開昭58−124519(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0029510(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/00−99/00
B01D 53/14−53/22、53/38−53/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄含有化合物を含む炭化水素中の硫化水素をスカベンジングするための硫化水素スカベンジング添加剤組成物であって、該添加剤組成物は、少なくとも:
(A)少なくとも1種の窒素系硫化水素スカベンジャー;および
(B)少なくとも1種の脂肪族第3級アミン、
の組み合わせを含み、
ここで、窒素系硫化水素スカベンジャーは、トリアジン系硫化水素スカベンジャーを含み;
ここで、脂肪族第3級アミンは、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレン−ジアミン(THEED)、TIPAのエチレンオキシド(EO)誘導体(EO−TIPA)、TIPAのプロピレンオキシド(PO)誘導体(PO−TIPA)、エチレンジアミンのエチレンオキシド(EO)誘導体(EO−EDA)、エチレンジアミンのプロピレンオキシド(PO)誘導体(PO−EDA)、またはこれらの混合物を含み;
ここで、前記組成物は:
a)モノエタノールアミン(MEA);
b)ジエタノールアミン(DEA);および
c)トリエタノールアミン(TEA)、
を含まない、
添加剤組成物。
【請求項2】
トリアジン系硫化水素スカベンジャーが、モノエタノールアミントリアジン(MEAT)系硫化水素スカベンジャーを含む、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項3】
組成物が、ノニルフェノール(NP)のオキシド誘導体をさらに含む、請求項1または2に記載の添加剤組成物。
【請求項4】
ノニルフェノールのオキシド誘導体が、ノニルフェノールのエチレンオキシド(EO)誘導体(EO−NP)またはノニルフェノールのプロピレンオキシド(PO)誘導体(PO−NP)、またはこれらの混合物を含む、請求項3に記載の添加剤組成物。
【請求項5】
硫黄含有化合物を含む炭化水素が、原油、燃料油、酸性ガス、アスファルトおよび精製された製品を含む群から選択される炭化水素ストリームを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の添加剤組成物。
【請求項6】
硫黄含有化合物が、硫化水素、メルカプタン、またはこれらの混合物を含む組成物を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の添加剤組成物。
【請求項7】
以下:
(a)炭化水素;および
(b)硫化水素スカベンジング添加剤組成物、
を含み、
ここで、硫化水素スカベンジング添加剤組成物は、少なくとも:
(A)少なくとも1種の窒素系硫化水素スカベンジャー;および
(B)少なくとも1種の脂肪族第3級アミン、
の組み合わせを含み、
ここで、炭化水素は、硫黄含有化合物を含み;
ここで、窒素系硫化水素スカベンジャーは、トリアジン系硫化水素スカベンジャーを含み;
ここで、脂肪族第3級アミンは、請求項1に記載されたものである、
組成物。
【請求項8】
トリアジン系硫化水素スカベンジャーが、モノエタノールアミントリアジン(MEAT)系硫化水素スカベンジャーを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が、ノニルフェノール(NP)のオキシド誘導体をさらに含む、請求項7または8に記載の組成物。
【請求項10】
ノニルフェノールのオキシド誘導体が、ノニルフェノールのエチレンオキシド(EO)誘導体(EO−NP)またはノニルフェノールのプロピレンオキシド(PO)誘導体(PO−NP)、またはこれらの混合物を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
硫黄含有化合物を含む炭化水素中の硫化水素をスカベンジングするための方法であって、ここで、前記方法は、炭化水素を、硫化水素スカベンジング添加剤組成物と接触させることを含み、ここで、硫化水素スカベンジング添加剤組成物は、請求項1〜6のいずれか一項に記載されたものである、方法。
【請求項12】
硫黄含有化合物を含む炭化水素中の硫化水素をスカベンジングするための硫化水素スカベンジング添加剤組成物を使用する方法であって、ここで、前記方法は、炭化水素に、請求項1〜6のいずれか一項に記載された硫化水素スカベンジング添加剤組成物を添加することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野:
本発明は、一般に、窒素系硫化水素スカベンジャーおよびその使用方法、および炭化水素ストリームを含む炭化水素から硫化水素をスカベンジングするための方法に関する。
特に、トリアジン系硫化水素スカベンジャーを含む窒素系硫化水素スカベンジャーおよびその使用方法、および炭化水素ストリームを含む炭化水素から硫化水素をスカベンジングするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景:
炭化水素または炭化水素ストリーム中の硫化水素の有毒性は産業においてよく知られ、年間かなりの出費および労力が費やされて、その含有量を安全なレベルまで減少させる。多くの規制により、パイプラインガスが4ppm以下の硫化水素を含むことが要求されている。
【0003】
大規模製造設備においては、硫化水素を含むストリームを処理するための再生システムを取り付けることが一般的により経済的である。これらのシステムは典型的には、吸収タワー中で使用される化合物を用いて製造されたストリームを接触させて、硫化水素および例えば時には二酸化炭素およびメルカプタンなどの他の有毒物質を選択的に吸収する。吸収化合物は次いで、システム中で再生されて再使用される。典型的な硫化水素吸収物質には、アルカノールアミン、ヒンダードアミンなどの、すなわち、窒素含有化合物が含まれる。しかしながら、かかるアプローチは、発展段階の現場には、または小規模製造の現場においては経済的に可能ではない。
【0004】
例えばトリアジン、特にモノエタノールアミントリアジン(以降、「モノエタノールアミントリアジン」は、「MEAトリアジン」または「MEAT」と称され得;「トリアジン」および「モノエタノールアミントリアジン」は、集合的に「トリアジン類」と称され得る)などの窒素含有化合物が、硫化水素スカベンジャーとして知られている(PCT公報番号 WO90/07467;および米国特許出願公開第2004/0096382号明細書および米国特許出願公開第2011/0220551号明細書参照)。
【0005】
しかしながら、硫化水素スカベンジャーとしてのトリアジン類の使用は、困難および問題に見舞われる。例えばトリアジン類は、液体炭化水素ストリーム、および乾燥ガスストリーム中で硫化水素をスカベンジングするのに実質的には有効ではない。さらにまた、トリアジン類の使用により、特にカルシウムイオンおよび溶存二酸化炭素を含む海水中でスケール生成がもたらされ得る。スケール生成の問題を克服するために、酸をフラッシュして生成したスケールを除去しなければならない。したがって、工業は、窒素系硫化水素スカベンジャー、すなわち、トリアジン類の量を最小化することを目標としている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の必要性:
したがって、改善された添加剤組成物の必要性が存在し、これは少なくとも実質的に低減された量の窒素系硫化水素スカベンジャーを含み、また実質的に低減された量が要求され、これに限定されないが、硫化水素およびメルカプタン、特に炭化水素ストリームを含む炭化水素中の硫化水素を含む、硫黄含有化合物のスカベンジングに好適であり、従来技術の上記問題の1つまたは2つ以上を克服し、ここで、添加剤組成物は、室温でのみならず、より高い温度でも硫黄含有化合物をスカベンジングすることができる。
【0007】
本発明により解決されるべき問題:
したがって、本発明はまず、いかなる問題も生じさせずに、これに限定されないが、硫化水素およびメルカプタン、特に炭化水素ストリームを含む炭化水素中の硫化水素を含む、硫黄含有化合物をスカベンジングするための改善された添加剤組成物を提供することにより、上記の存在する工業上の問題の1つまたは2つ以上に対する解決法を提供することを目的とし、ここで、添加剤組成物は、実質的に低減された量の窒素系硫化水素スカベンジャーを含み、また実質的に低減された量が要求され、ここで、添加剤組成物は、室温でのみならず、より高い温度でも硫黄含有化合物をスカベンジングすることができる。
【0008】
本発明の目的:
したがって、本発明の主な目的は、これに限定されないが、硫化水素およびメルカプタン、特に炭化水素ストリームおよびアスファルトを含む炭化水素中の硫化水素を含む、硫黄含有化合物をスカベンジングするための改善された添加剤組成物を提供することであり、これは少なくとも従来技術の上記で検討された問題を減らし、ここで、添加剤組成物は、実質的に低減された量の窒素系硫化水素スカベンジャー、すなわち、トリアジン類を含み、また実質的に低減された量が要求され、ここで、添加剤組成物は、室温でのみならず、より高い温度でも硫黄含有化合物をスカベンジする。
【0009】
これはまた、本発明の添加剤組成物を用いることにより、これに限定されないが、硫化水素およびメルカプタン、特に炭化水素ストリームおよびアスファルトを含む炭化水素中の硫化水素を含む硫黄含有化合物をスカベンジングするための方法を提供することが本発明の目的であり、前記添加剤組成物は、実質的に低減された量の窒素系硫化水素スカベンジャー、すなわち、トリアジン類を含み、また実質的に低減された量で使用されて硫黄含有化合物をスカベンジし、ここで、添加剤組成物は、室温でのみならず、より高い温度でも硫黄含有化合物をスカベンジする。
【0010】
これはまた、これに限定されないが、硫化水素およびメルカプタン、特に炭化水素ストリームおよびアスファルトを含む炭化水素中の硫化水素を含む硫黄含有化合物をスカベンジングするための本発明の添加剤組成物を使用する方法を提供することが本発明の目的であり、ここで、添加剤組成物は、実質的に低減された量の窒素系硫化水素スカベンジャー、すなわち、トリアジン類を含み、それにより、組成物およびその使用を経済的で工業的に好ましく利便性を有するものにする。
本発明の他の目的および利点は、本発明の範囲を限定することを意図しない例に関連して読まれる際に、以下の説明からより明らかとなるであろう。
【0011】
本発明の説明および好ましい態様:
従来技術の上記問題を克服し、本発明の上記目的を達成することを目指して、本発明者は、これに限定されないが、硫化水素およびメルカプタンを含む硫黄含有化合物を含む炭化水素を少なくとも、(a)少なくとも1種の窒素系硫化水素スカベンジャー;および(b)少なくとも1種の脂肪族第3級アミンを含む少なくとも1種の脂肪族アミンの組み合わせを含む添加剤組成物により処理する場合には、硫化水素を含む硫黄含有化合物がスカベンジされるか、または除去されることを見出した。
【0012】
従来技術の上記問題を克服し、本発明の上記目的を達成することを目指して、本発明者はまた、本発明の添加剤組成物が、実質的に低減された量の窒素系硫化水素スカベンジャー、すなわち、トリアジン類を含み、および/または実質的に低減された量で使用される場合であっても、硫黄含有化合物のスカベンジングが達成されることを見出した。
【0013】
従来技術の上記問題を克服し、本発明の上記目的を達成することを目指して、本発明者はさらに、本発明の添加剤組成物が、室温でのみならず、より高い温度でも硫黄含有化合物をスカベンジングすることを見出した。
したがって、主な態様において、本発明は、これに限定されないが、硫化水素およびメルカプタンを含む硫黄含有化合物を含む炭化水素中の硫化水素をスカベンジングするための硫化水素スカベンジング添加剤組成物に関し、ここで、該添加剤組成物は、少なくとも、(a)少なくとも1種の窒素系硫化水素スカベンジャー;および(b)少なくとも1種の脂肪族第3級アミンを含む少なくとも1種の脂肪族アミンの組み合わせを含み、ここで、窒素系硫化水素スカベンジャーは、トリアジン系硫化水素スカベンジャーを含む。
【0014】
したがって、別の態様において、本発明は、これに限定されないが、硫化水素およびメルカプタンを含む硫黄含有化合物を含む炭化水素中の硫化水素をスカベンジングするための方法に関し、ここで、前記方法は、少なくとも、(a)少なくとも1種の窒素系硫化水素スカベンジャー;および(b)少なくとも1種の脂肪族第3級アミンを含む少なくとも1種の脂肪族アミンの組み合わせを含む硫化水素スカベンジング添加剤組成物を添加することを含み、ここで、窒素系硫化水素スカベンジャーは、炭化水素へのトリアジン系硫化水素スカベンジャーを含む。
【0015】
したがって、なお別の態様において、本発明は、少なくとも、(a)少なくとも1種の窒素系硫化水素スカベンジャー;および(b)少なくとも1種の脂肪族第3級アミンを含む少なくとも1種の脂肪族アミンの組み合わせを含む硫化水素スカベンジング添加剤組成物を使用する方法に関し、ここで、窒素系硫化水素スカベンジャーは、これに限定されないが、硫化水素およびメルカプタンを含む硫黄含有化合物を含む炭化水素中の硫化水素をスカベンジングするためのトリアジン系硫化水素スカベンジャーを含み、ここで、前記方法は、炭化水素を添加剤組成物で処理して、硫化水素を含む硫黄含有化合物をスカベンジすることを含む。
【0016】
したがって、なお別の態様において、本発明は、これに限定されないが、硫化水素およびメルカプタンを含む硫黄含有化合物を含む炭化水素中の硫化水素をスカベンジングするための組成物に関し、ここで、前記組成物は、少なくとも、(A)炭化水素;および(B)硫化水素スカベンジング添加剤組成物の組み合わせを含み、ここで、硫化水素スカベンジング添加剤組成物は、少なくとも、(a)少なくとも1種の窒素系硫化水素スカベンジャー;および(b)少なくとも1種の脂肪族第3級アミンを含む少なくとも1種の脂肪族アミンの組み合わせを含み、ここで、窒素系硫化水素スカベンジャーは、トリアジン系硫化水素スカベンジャーを含む。
【0017】
本発明の好ましい態様の1つに従い、窒素系硫化水素スカベンジャーは、トリアジン系硫化水素スカベンジャーを含む。
本発明の好ましい態様の1つに従い、トリアジン類は、モノエタノールアミントリアジン(MEAT)系硫化水素スカベンジャーを含む(comprise)(または含む(include))。
本発明の好ましい態様の1つに従い、あらゆる活性のMEATを使用してもよい。
【0018】
本発明の好ましい態様の1つに従い、MEATは、32%活性または50%活性であってもよく、またはその供給者/製造者により供給され得るとおりのものであってもよい。
本発明の好ましい態様の1つに従い、脂肪族第3級アミンは、トリイソプロパノールアミン(TIPA)を含む。
本発明の好ましい態様の1つに従い、脂肪族第3級アミンは、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレン−ジアミン(THEED)を含む。
【0019】
本発明の好ましい態様の1つに従い、脂肪族第3級アミンは、TIPAのエチレンオキシド(EO)誘導体またはエトキシル化されたTIPA(EO−TIPA)を含む。
本発明の好ましい態様の1つに従い、脂肪族第3級アミンは、TIPAのプロピレンオキシド(PO)誘導体またはプロポキシル化されたTIPA(PO−TIPA)を含む。
本発明の好ましい態様の1つに従い、脂肪族第3級アミンは、エチレンジアミンのエチレンオキシド(EO)誘導体またはエトキシル化されたEDA(EO−EDA)を含む。
【0020】
本発明の好ましい態様の1つに従い、脂肪族第3級アミンは、エチレンジアミンのプロピレンオキシド(PO)誘導体またはプロポキシル化されたEDA(PO−EDA)を含む。
本発明の別の好ましい態様に従い、脂肪族第3級アミンは、トリ−イソプロパノールアミン(TIPA)、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレン−ジアミン(THEED)、TIPAのエチレンオキシド(EO)誘導体(EO−TIPA)、TIPAのプロピレンオキシド(PO)誘導体(PO−TIPA)、エチレンジアミンのエチレンオキシド(EO)誘導体(EO−EDA)、エチレンジアミンのプロピレンオキシド(PO)誘導体(PO−EDA)、またはこれらの混合物を含む。
【0021】
本発明の好ましい態様の1つに従い、脂肪族第3級アミンの混合物を、本発明の脂肪族第3級アミン、すなわち、TIPA、THEED、EO−TIPA、PO−TIPA、EO−EDA、およびPO−EDAの1種または2種以上をあらゆる重量(またはモル)比で混合することにより得てもよい。
本発明の好ましい態様の1つに従い、エトキシル化されたTIPA(EO−TIPA)を、1モルのTIPAを少なくとも1モルのエチレンオキシド(EO)と反応させることにより得てもよい。
【0022】
例えば、エトキシル化されたTIPAを、1モルのTIPAを1〜50モルのエチレンオキシド(EO)と反応させることにより得てもよい。
例えば、エトキシル化されたTIPAは:
以降で「TIPA−5モル EO」または「TI5E」と称され得る、5モルのエチレンオキシド(EO)によりエトキシル化されたTIPA;
以降で「TIPA−10モル EO」または「TI10E」と称され得る、10モルのエチレンオキシド(EO)によりエトキシル化されたTIPA;
以降で「TIPA−15モル EO」または「TI15E」と称され得る、15モルのエチレンオキシド(EO)によりエトキシル化されたTIPA;
以降で「TIPA−20モル EO」または「TI20E」と称され得る、20モルのエチレンオキシド(EO)によりエトキシル化されたTIPA;
以降で「TIPA−25モル EO」または「TI25E」と称され得る、25モルのエチレンオキシド(EO)によりエトキシル化されたTIPA;
以降で「TIPA−30モル EO」または「TI30E」と称され得る、30モルのエチレンオキシド(EO)によりエトキシル化されたTIPA、
を含んでもよい。
【0023】
本発明の好ましい態様の1つに従い、プロポキシル化されたTIPA(PO−TIPA)を、1モルのTIPAを少なくとも1モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得てもよい。
例えば、プロポキシル化されたTIPAを、1モルのTIPAを1〜50モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得てもよい。
【0024】
例えば、プロポキシル化されたTIPAは:
以降で「TIPA−5モル PO」または「TI5P」と称され得る、5モルのプロピレンオキシド(PO)によりプロポキシル化されたTIPA;
以降で「TIPA−10モル PO」または「TI10P」と称され得る、10モルのプロピレンオキシド(PO)によりプロポキシル化されたTIPA;
以降で「TIPA−15モル PO」または「TI15P」と称され得る、15モルのプロピレンオキシド(PO)によりプロポキシル化されたTIPA;
以降で「TIPA−20モル PO」または「TI20P」と称され得る、20モルのプロピレンオキシド(PO)によりプロポキシル化されたTIPA;
以降で「TIPA−25モル PO」または「TI25P」と称され得る、25モルのプロピレンオキシド(PO)によりプロポキシル化されたTIPA;
以降で「TIPA−30モル PO」または「TI30P」と称され得る、30モルのプロピレンオキシド(PO)によりプロポキシル化されたTIPA、
を含んでもよい。
【0025】
本発明の好ましい態様の1つに従い、エトキシル化されたEDA(EO−EDA)を、1モルのEDAを少なくとも1モルのエチレンオキシド(EO)と反応させることにより得てもよい。
例えば、エトキシル化されたEDAを、1モルのEDAを1〜50モルのエチレンオキシド(EO)と反応させることにより得てもよい。
例えば、エトキシル化されたEDAは:
以降で「EDA−5モル EO」または「EDA5E」と称され得る、5モルのエチレンオキシド(EO)によりエトキシル化されたEDA;
以降で「EDA−10モル EO」または「EDA10E」と称され得る、10モルのエチレンオキシド(EO)によりエトキシル化されたEDA;
以降で「EDA−15モル EO」または「EDA15E」と称され得る、15モルのエチレンオキシド(EO)によりエトキシル化されたEDA;
以降で「EDA−20モル EO」または「EDA20E」と称され得る、20モルのエチレンオキシド(EO)によりエトキシル化されたEDA;
以降で「EDA−25モル EO」または「EDA25E」と称され得る、25モルのエチレンオキシド(EO)によりエトキシル化されたEDA;
以降で「EDA−30モル EO」または「EDA30E」と称され得る、30モルのエチレンオキシド(EO)によりエトキシル化されたEDA、
を含んでもよい。
【0026】
本発明の好ましい態様の1つに従い、プロポキシル化されたEDA(PO−EDA)を、1モルのEDAを少なくとも1モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得てもよい。
例えば、プロポキシル化されたEDAを、1モルのEDAを1〜50モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得てもよい。
【0027】
例えば、プロポキシル化されたEDAは:
以降で「EDA−5モル PO」または「EDA5P」と称され得る、5モルのプロピレンオキシド(PO)によりプロポキシル化されたEDA;
以降で「EDA−10モル PO」または「EDA10P」と称され得る、10モルのプロピレンオキシド(PO)によりプロポキシル化されたEDA;
以降で「EDA−15モル PO」または「EDA15P」と称され得る、15モルのプロピレンオキシド(PO)によりプロポキシル化されたEDA;
以降で「EDA−20モル PO」または「EDA20P」と称され得る、20モルのプロピレンオキシド(PO)によりプロポキシル化されたEDA;
以降で「EDA−25モル PO」または「EDA25P」と称され得る、25モルのプロピレンオキシド(PO)によりプロポキシル化されたEDA;
以降で「EDA−30モル PO」または「EDA30P」と称され得る、30モルのプロピレンオキシド(PO)によりプロポキシル化されたEDA、
を含んでもよい。
【0028】
従来技術の上記問題を克服し、本発明の上記目的を達成することを目指して、本発明者はまた、本発明の硫化水素スカベンジング添加剤組成物が、ノニルフェノール(NP)のオキシド誘導体をさらに含む場合には、本発明の添加剤組成物が実質的に低減された量の窒素系硫化水素スカベンジャー、すなわち、トリアジン類を含む場合、および/または実質的に低減された量で使用される場合であっても、硫黄含有化合物のスカベンジングがまた達成されることを見出した。
【0029】
したがって、本発明の別の態様に従い、本発明の添加剤組成物は、少なくとも1種のノニルフェノール(NP)のオキシド誘導体をさらに含んでもよい。
本発明の好ましい態様の1つに従い、ノニルフェノールのオキシド誘導体は、ノニルフェノールのエチレンオキシド(EO)誘導体(EO−NP)、ノニルフェノールのプロピレンオキシド(PO)誘導体(PO−NP)、またはこれらの混合物を含んでもよい。
【0030】
本発明の好ましい態様の1つに従い、本発明の組成物は、脂肪族第2級アミン、脂肪族ジアミン、脂肪族第1級アミン、脂肪族モノアミン、特にモノエタノールアミン(MEA)を含むモノアルカノールアミン、およびトリエタノールアミン(TEA)を含むアルカノールアミンを含まない。
【0031】
本発明の好ましい態様の1つに従い、炭化水素は、これに限定されないが、原油、燃料油、酸性ガス、アスファルトおよび貯蔵タンク、容器およびパイプラインに含まれる精製された製品を含む炭化水素ストリームを含む(comprise)(を含む(include))。
本発明の好ましい態様の1つに従い、硫化水素含有化合物は、硫黄含有化合物、またはメルカプタン、またはこれらの混合物を含む(comprise)(を含む(include))。
【0032】
したがって、本発明の好ましい態様の1つに従い、スカベンジングの方法または炭化水素ストリームを含む炭化水素中の硫化水素をスカベンジングするための本発明の添加剤組成物の使用方法の実施において、スカベンジング添加剤組成物を、実質的にその中の硫化水素をスカベンジするのに十分な濃度で炭化水素またはガスストリームまたは炭化水素ストリームに添加する。
【0033】
本発明の好ましい態様の1つに従い、本発明は、硫化水素をスカベンジングするための組成物に関し、ここで、前記組成物は:
(a)硫黄含有化合物を含む炭化水素;および
(b)硫化水素スカベンジング添加剤組成物、
を含み、
ここで、硫化水素スカベンジング添加剤組成物は、少なくとも:
(A)少なくとも1種の窒素系硫化水素スカベンジャー;および
(B)少なくとも1種の脂肪族第3級アミン、
の組み合わせを含み、
ここで、窒素系硫化水素スカベンジャーは、トリアジン系硫化水素スカベンジャーを含み;
ここで、脂肪族第3級アミンは、本願においてに記載された1種である。
【0034】
本発明の好ましい態様の1つに従い、本発明はまた、硫黄含有化合物を含む炭化水素中の硫化水素をスカベンジングするための硫化水素スカベンジング添加剤組成物に関し、ここで、該添加剤組成物は、少なくとも:
(a)少なくとも1種の窒素系硫化水素スカベンジャー;および
(b)少なくとも1種の脂肪族第3級アミン、
の組み合わせを含み、
ここで、窒素系硫化水素スカベンジャーは、トリアジン系硫化水素スカベンジャーを含み;
ここで、脂肪族第3級アミンは:
(i)トリ−イソプロパノールアミン(TIPA);
(ii)N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレン−ジアミン(THEED);
(iii)TIPAのエチレンオキシド誘導体(EO−TIPA);
(iv)TIPAのプロピレンオキシド誘導体(PO−TIPA);
(v)エチレンジアミンのエチレンオキシド誘導体(EO−EDA);
(vi)エチレンジアミンのプロピレンオキシド誘導体(PO−EDA);または
(vii)これらの混合物、
を含む。
【0035】
本発明の好ましい態様の1つに従い、本発明はまた、硫黄含有化合物を含む炭化水素中の硫化水素をスカベンジングするための硫化水素スカベンジング添加剤組成物に関し、ここで、該添加剤組成物は:
a)モノエタノールアミン(MEA);
b)ジエタノールアミン(DEA);および
c)トリエタノールアミン(TEA)、
を含まない。
【0036】
本発明の好ましい態様の1つに従い、また硫黄含有化合物を含む炭化水素中の硫化水素をスカベンジングするための方法に関し、ここで、前記方法は、炭化水素を、本発明の硫化水素スカベンジング添加剤組成物と接触させることを含み、ここで、硫化水素スカベンジング添加剤組成物は、少なくとも:
(A)少なくとも1種の窒素系硫化水素スカベンジャー;および
(B)少なくとも1種の脂肪族第3級アミン、
の組み合わせを含み、
ここで、窒素系硫化水素スカベンジャーは、トリアジン系硫化水素スカベンジャーを含む。
【0037】
本発明の好ましい態様の1つに従い、また硫黄含有化合物を含む炭化水素中の硫化水素をスカベンジングするための本発明の硫化水素スカベンジング添加剤組成物の使用方法に関し、ここで、前記方法は、炭化水素に本発明の硫化水素スカベンジング添加剤組成物を添加することを含み、ここで、硫化水素スカベンジング添加剤組成物は、少なくとも:
(A)少なくとも1種の窒素系硫化水素スカベンジャー;および
(B)少なくとも1種の脂肪族第3級アミン、
の組み合わせを含み、
ここで、窒素系硫化水素スカベンジャーは、トリアジン系硫化水素スカベンジャーを含む。
【0038】
本発明の好ましい態様の1つに従い、硫化水素スカベンジングを、好適な温度で行ってもよい。
本願で参照される上記の説明および以下でサポートされる例から、以下が留意され得る:
硫化水素をスカベンジングするためのトリアジン系硫化水素スカベンジャーを含む窒素系硫化水素スカベンジャーの効率は、室温でおよび高温の両方で本発明の脂肪族第3級アミンの添加により実質的に増加する。
【0039】
硫化水素スカベンジングのためのトリアジン系硫化水素スカベンジャーを含む窒素系硫化水素スカベンジャーの効率の増加は、室温のものと比較して高温での本発明の脂肪族第3級アミンの添加によるものが実質的にずっと高い。
本発明を、ここで本発明の範囲を限定することを意図しないが、組み込まれて本発明の利点および実施されるベストモードを例示した、以下の例の補助により説明する。以下の例はまた、本発明のスカベンジング添加剤組成物の驚くべきおよび予測されない効果(相乗効果)を実証する。
【0040】

本願の例において、以下の略語が使用される:
MEATは、モノエタノールアミントリアジンであり、50%または32%のその2種の濃度で用いられ;
TIPAは、トリイソプロパノールアミンであり;
EO−TIPAは、TIPAのエチレンオキシド(EO)誘導体であり;
PO−TIPAは、TIPAのプロピレンオキシド(PO)誘導体であり;
THEEDは、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレン−ジアミンであり;
EDAは、エチレンジアミンであり;
EO−EDAは、EDAのエチレンオキシド(EO)誘導体であり;
PO−EDAは、EDAのプロピレンオキシド(PO)誘導体であり;
NPは、ノニルフェノールであり;
EO−NPは、NPのエチレンオキシド(EO)誘導体であり;
PO−NPは、NPのプロピレンオキシド(PO)誘導体であり;
【0041】
「TIPA−4モル PO」または「TI4P」としても記載され得る、「TIPA−PO 4モル」は、TIPAのプロピレンオキシド(PO)誘導体であり、1モルのTIPAを4モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得られ;
「TIPA−8モル PO」または「TI8P」としても記載され得る、「TIPA−PO 8モル」は、TIPAのプロピレンオキシド(PO)誘導体であり、1モルのTIPAを8モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得られ;
「TIPA−10モル PO」または「TI10P」としても記載され得る、「TIPA−PO 10モル」は、TIPAのプロピレンオキシド(PO)誘導体であり、1モルのTIPAを10モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得られ;
【0042】
「TIPA−16モル PO」または「TI16P」としても記載され得る、「TIPA−PO 16モル」は、TIPAのプロピレンオキシド(PO)誘導体であり、1モルのTIPAを16モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得られ;
「TIPA−20モル PO」または「TI20P」としても記載され得る、「TIPA−PO 20モル」は、TIPAのプロピレンオキシド(PO)誘導体であり、1モルのTIPAを20モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得られ;
「TIPA−25モル PO」または「TI25P」としても記載され得る、「TIPA−PO 25モル」は、TIPAのプロピレンオキシド(PO)誘導体であり、1モルのTIPAを25モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得られ;
【0043】
「TIPA−30モル PO」または「TI30P」としても記載され得る、「TIPA−PO 30モル」は、TIPAのプロピレンオキシド(PO)誘導体であり、1モルのTIPAを30モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得られ;
「TIPA−10モル EO」または「TI10E」としても記載され得る、「TIPA−EO 10モル」は、TIPAのエチレンオキシド(EO)誘導体であり、1モルのTIPAを10モルのエチレンオキシド(EO)と反応させることにより得られる。
【0044】
「TIPA−15モル EO」または「TI15E」としても記載され得る、「TIPA−EO 15モル」は、TIPAのエチレンオキシド(EO)誘導体であり、1モルのTIPAを15モルのエチレンオキシド(EO)と反応させることにより得られる。
「TIPA−20モル EO」または「TI20E」としても記載され得る、「TIPA−EO 20モル」は、TIPAのエチレンオキシド(EO)誘導体であり、1モルのTIPAを20モルのエチレンオキシド(EO)と反応させることにより得られる。
【0045】
「TIPA−20.8モル EO」または「TI208E」としても記載され得る、「TIPA−EO 20.8モル」は、TIPAのエチレンオキシド(EO)誘導体であり、1モルのTIPAを20.8モルのエチレンオキシド(EO)と反応させることにより得られる。
「TIPA−26モル EO」または「TI26E」としても記載され得る、「TIPA−EO 26モル」は、TIPAのエチレンオキシド(EO)誘導体であり、1モルのTIPAを26モルのエチレンオキシド(EO)と反応させることにより得られる。
【0046】
「NP−16モル EO」または「NP16E」としても記載され得る、「NP−EO 16モル」は、ノニルフェノール(NP)のエチレンオキシド(EO)誘導体であり、1モルのノニルフェノール(NP)を16モルのエチレンオキシド(EO)と反応させることにより得られる。
「NP−20モル EO」または「NP20E」としても記載され得る、「NP−EO 20モル」は、ノニルフェノール(NP)のエチレンオキシド(EO)誘導体であり、1モルのノニルフェノール(NP)を20モルのエチレンオキシド(EO)と反応させることにより得られる。
【0047】
「NP−40モル EO」または「NP40E」としても記載され得る、「NP−EO 40モル」は、ノニルフェノール(NP)のエチレンオキシド(EO)誘導体であり、1モルのノニルフェノール(NP)を40モルのエチレンオキシド(EO)と反応させることにより得られる。
「NP−40モル PO」または「NP40P」としても記載され得る、「NP−PO 40モル」は、ノニルフェノール(NP)のプロピレンオキシド(PO)誘導体であり、1モルのノニルフェノール(NP)を40モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得られる。
【0048】
「EDA−8モル PO」または「EDA8P」としても記載され得る、「EDA−PO 8モル」は、エチレンジアミン(EDA)のプロピレンオキシド(PO)誘導体であり、1モルのEDAを8モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得られる。
「EDA−16モル PO」または「EDA16P」としても記載され得る、「EDA−PO 16モル」は、エチレンジアミン(EDA)のプロピレンオキシド(PO)誘導体であり、1モルのEDAを16モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得られる。
【0049】
「EDA−20モル PO」または「EDA20P」としても記載され得る、「EDA−PO 20モル」は、エチレンジアミン(EDA)のプロピレンオキシド(PO)誘導体であり、1モルのEDAを20モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得られる。
「EDA−25モル PO」または「EDA25P」としても記載され得る、「EDA−PO 25モル」は、エチレンジアミン(EDA)のプロピレンオキシド(PO)誘導体であり、1モルのEDAを25モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得られる。
【0050】
「EDA−31モル PO」または「EDA31P」としても記載され得る、「EDA−PO 31モル」は、エチレンジアミン(EDA)のプロピレンオキシド(PO)誘導体であり、1モルのEDAを31モルのプロピレンオキシド(PO)と反応させることにより得られる。
約400ダルトンの分子量を有するポリプロピレングリコール(PPG400);
約1000ダルトンの分子量を有するポリプロピレングリコール(PPG1000);
約2000ダルトンの分子量を有するポリプロピレングリコール(PPG2000);
約3000ダルトンの分子量を有するポリプロピレングリコール(PPG3000);
約4000ダルトンの分子量を有するポリプロピレングリコール(PPG4000);
これらは、プロピレンオキシド製のポリマーである。
約200ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコール(PEG200);
約400ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコール(PEG400);
約600ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコール(PEG600)。
これらは、エチレンオキシド製のポリマーである。
【0051】
当業者は、当該技術分野において知られるとおり、本発明の組成物の活性含有投入量(active content dosage)および構成成分(成分)の比を計算し得る。例えば、以下のとおりである:
【表1】
合計活性投入量=160+17.5=177.5ppm
MEAT寄与=160/177.5×100=90.14≒90%であり;
TIPA−PO寄与=17.5/177.5×100=9.86≒10%である。
【0052】
したがって、MEAT(32%)および「TIPA−PO 30モル」の重量比は、90:10であろう。
上記の方法を適用することにより、そのppm投入量から本願の例において用いられるとおり、当業者は、重量比を計算し得る。
本願の例に使用される添加剤の平均分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用することによりダルトンで計算し得る。例えば、本発明において使用される添加剤アミンのいくつかの平均分子量を、その範囲を限定するいかなる意図もなく、単なる情報の目的で以下で表にまとめる。
【0053】
【表2】
【0054】
S蒸気の濃度がブランクサンプル中で2000ppmに到達するまで、HSガスを100mlのケロシン中にパージした[ブランク−I]。得られた溶液に、以下の表に与えられたとおりのトリアジンからなる従来技術の添加剤および本発明の添加剤組成物の投入量を添加し、%でHSスカベンジング能力を15分間50℃で測定した。蒸気中の残留H2Sを、ガス検出器チューブ(Unifos)により検出した。結果を以下の表に示す。
【0055】
個別のアミンのいくつかの硫化水素スカベンジング効率をまた、10ppm、100ppmおよび200ppmの投入量について測定した。本願の例の組成物において、アミンは50ppm未満の量で添加されているので、10ppm、100ppmおよび200ppmの投入量でのこれらの比較試験は、個別のアミンが硫化水素スカベンジング有効性を有するか否かを知るのに十分であることが留意され得る。個別のアミンは、硫化水素スカベンジング有効性を有しなことが見出された。
【0056】
【表3】
【0057】
同様に、32%活性および50%活性のMEATの硫化水素スカベンジング効率をまた測定した。MEATは硫化水素(HS)スカベンジング効率を有することが見出されたが、実質的に低いことが見出された。
【表4】
【表5】
【0058】
本発明のMEAT(50%活性)およびアミンの組み合わせを含む本発明の組成物の硫化水素スカベンジング効率を、種々の温度で、すなわち、室温(26℃)で、および60℃、80℃および100℃で測定し、表に提示した。MEATの硫化水素スカベンジング効率は、驚くべきことにおよび予測されないことに、本発明のアミンの添加により増加し、それにより、本発明の組成物の相乗効果が確認されることが見出された。
【0059】
【表6】
【0060】
本発明のMEAT(50%活性)およびアミンの組み合わせを含む本発明の組成物の硫化水素スカベンジング効率をまた、50℃の温度で、異なる持続時間、すなわち、1時間、2時間、4時間、6時間、および48時間について測定し、表に提示した。MEATの硫化水素スカベンジング効率は、驚くべきことにおよび予測されないことに、本発明のアミンの添加によりより長い持続時間後であっても増加し、それにより、本発明の組成物の相乗効果が確認されることが見出された。
【0061】
【表7】
【0062】
比較の目的のために、MEAT(50%活性)および(GPCによりダルトンで測定されたとおりの)種々の分子量のPGGおよびPEGの組み合わせを含む組成物、および従来技術の添加剤BKC(ベンザルコニウム第4級アンモニウム塩)の硫化水素スカベンジング効率をまた、種々の温度で、すなわち、室温(26℃)で、および60℃、80℃および100℃で測定し、表に提示した。MEATの硫化水素スカベンジング効率は、PPG、PEG、従来技術の添加剤BKCの添加により極めてわずかだが増加し、それにより、PPGおよびPPGは相乗効果を有しないことが確認されることが見出された。
【0063】
【表8】
【0064】
本発明のMEAT(50%活性)およびアミンの組み合わせを含む本発明の組成物の硫化水素スカベンジング効率をまた、50℃の温度で、15分間の持続時間で測定し、ジエチルアミン(DEA、これは「−OH」基を含むが、第2級アミンである)、トリメチルアミン(TEA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA、これは、第2級のモノアミンであるが、−OH基を含まない)と比較し、表に提示した。MEATの硫化水素スカベンジング効率は、驚くべきことにおよび予測されないことに、本発明のアミンの添加によりより短い15分間の持続時間後であっても増加し、それにより、本発明の組成物の相乗効果が確認されることが見出された。
【0065】
例えば、MEATおよびTIPAを含む組成物について全ての投入量で、硫化水素スカベンジング効率が実質的に増加し、特に700ppmの投入量でH2Sスカベンジングについての%効率は70%から95%に増加し、900ppmの投入量での増加は、77.5%から>99.5%である。MEATおよびPO−TIPAを含む本発明の組成物について、同一の相乗効果が見出された。同様に、MEATおよびTHEEDを含む本発明の組成物について全ての投入量で実質的に増加し、特に700ppmの投入量でH2Sスカベンジングについての%効率は、70%から87.5%に増加し、900ppmの投入量での増加は、77.5%から95%である。
【0066】
反対に、MEATおよびDEAを含む比較組成物は、全ての投入量について増加を示さなかった。例えば、700ppmの投入量でのH2Sスカベンジングについての%効率は、極めてわずかに70%から72.5%に増加し、900ppmの投入量では増加せず、すなわち、77.5%のままである。
【0067】
同様に、MEATおよびTEAを含む別の比較組成物も、全ての投入量について増加を示さなかった。例えば、700ppmの投入量でのH2Sスカベンジングについての%効率は、極めてわずかに70%から75%に増加し、900ppmの投入量では増加せず、すなわち、77.5%のままである。
同様に、MEATおよびTEPAを含む別の比較組成物も、全ての投入量について増加を示さなかった。例えば、700ppmの投入量でのH2Sスカベンジングについての%効率は、わずかに70%から75%に増加し、900ppmの投入量ではまた、わずかに77.5%から80%に増加する。
【0068】
【表9】
【0069】
本発明のMEAT(32%活性)およびアミンの組み合わせを含む本発明の組成物の硫化水素スカベンジング効率をまた、50℃の温度で、15分間の持続時間で測定し、表1017に提示した。MEATの硫化水素スカベンジング効率は、驚くべきことにおよび予測されないことに、本発明のアミンの添加により増加し、それにより、本発明の組成物の相乗効果が確認されることが見出された。
【0070】
【表10】
10におけるデータは、TIPAのMEATへの添加により、相乗効果(パーセント(%)の硫化水素スカベンジング効率の増加)が見られることを確認する。
【0071】
【表11】
11におけるデータは、ノニルフェノール(NP)の(エチレン)オキシド誘導体のMEATおよびTIPAの組み合わせへの添加により、相乗効果(パーセント(%)の硫化水素スカベンジング効率の増加)が見られることを確認する。
【0072】
【表12】
12におけるデータは、TIPA−POのMEATへの添加により、およびノニルフェノール(NP)の(エチレン)オキシド誘導体のMEATおよびTIPA−POの組み合わせへの添加により、相乗効果(パーセント(%)の硫化水素スカベンジング効率の増加)が見られることを確認する。
【0073】
【表13】
13におけるデータは、TIPA−POのMEATへの添加により、相乗効果(パーセント(%)の硫化水素スカベンジング効率の増加)が見られることを確認する。
【0074】
【表14】
14におけるデータは、TIPA−POのMEATへの添加により、およびノニルフェノール(NP)の(プロピレン)オキシド誘導体のMEATおよびTIPA−POの組み合わせへの添加により、相乗効果(パーセント(%)の硫化水素スカベンジング効率の増加)が見られることを確認する。
【0075】
【表15】
15におけるデータは、ノニルフェノール(NP)の(エチレン)オキシド誘導体のMEATおよびTIPA−EOの組み合わせへの添加により、相乗効果(パーセント(%)の硫化水素スカベンジング効率の増加)が見られることを確認する。
【0076】
【表16】
16におけるデータは、EDA−POのMEATへの添加により、およびノニルフェノール(NP)の(エチレン)オキシド誘導体のMEATおよびEDA−POの組み合わせへの添加により、相乗効果(パーセント(%)の硫化水素スカベンジング効率の増加)が見られることを確認する。
【0077】
【表17】
17におけるデータは、EDA−POおよびNP−POのMEATへの添加により、相乗効果(パーセント(%)の硫化水素スカベンジング効率の増加)が見られることを確認する。
【0078】
上記の例は、従来技術に対して本発明の相乗効果、すなわち、驚くべきおよび予測されない効果を確認する。
したがって、上記の実験は、窒素系組成物が、HSをスカベンジングすることができることを確認する。しかしながら、窒素系HSスカベンジャーおよび1種または2種以上の脂肪族第3級アミンの組み合わせを含む、本発明の組成物が使用される場合には、窒素系HSスカベンジャーのHSスカベンジング効率は、驚くべきことにおよび予測されないことに実質的に増加し、本発明のスカベンジング添加剤組成物の相乗効果が確認される。
【0079】
上記の実験上の知見により、本願により提供される硫化水素スカベンジング添加剤組成物の驚くべき予測されない技術的効果および利点、および相乗的特性が確認される。
上記の知見によりまた、本発明の組成物が、従来技術のおよび比較添加剤および組成物に対し、技術的利点および驚くべき効果を有することが確認される。
【0080】
本発明を、本発明の範囲を限定することを意図しないが、単なる例示的なものである上記の例の補助により説明してきたことが留意され得る。
さらに、従来技術の添加剤(すなわち、トリアジン)の量が実質的に低減されて所望のスカベンジング効率を達成したので、本発明の組成物は、より経済的で環境に優しい。
本願において用いられる用語「約」は、特許請求の範囲に記載された範囲を拡張することを意図するものではないが、組み入れられて、本発明の分野の許容し得る実験誤差のみを含むものであることが留意され得る。