【課題を解決するための手段】
【0023】
解決策として、本発明は、独立請求項1の特徴を有する方法および独立請求項7の特徴を有するデバイスを提案する。本発明の有利な実施形態は、それぞれの従属請求項において指定され、述べられる特徴および利点は、実質的に方法とデバイスとの両方にあてはまり得る。
【0024】
したがって、安全システムの少なくとも1つの安全チェーン内でのデータ処理およびデータ送信を監視する方法であって、前記安全システムは、全体的な安全機能を提供し、モジュラーの形で、少なくとも2つのサブシステム・モジュールから構成され、少なくとも前記2つのサブシステム・モジュールは、データ転送チャネルに接続され、それぞれが部分的な安全機能を提供し、機能安全データ処理および/またはデータ送信のために構成される、方法が提案される。この方法は、
− 機能安全データを入手するためにサブシステム・モジュールのうちの第1のサブシステム・モジュールによってデータを処理するステップと、
− データ処理および/または送信の安全関連の特徴を表す属性、特に総応答時間に関する第1の実特性値を第1のサブシステム・モジュールによって判定するステップと、
− 機能安全データおよび第1の実特性値を第1のサブシステム・モジュールからサブシステム・モジュールのうちの第2のサブシステム・モジュールに送信し、機能安全データおよび第1の実特性値を第2のサブシステム・モジュールによって受信するステップと、
− 安全関連の特性を表す属性に関する第2の実特性値を第2のサブシステム・モジュールによって判定するステップと、
− 安全関連の特性を表す属性に関する第3の実特性値を入手するために、第1の実特性値および第2の実特性値を第2のサブシステム・モジュールによって処理するステップと、
− 安全関連の特性を表す属性に関する公称特性値を第2のサブシステム・モジュールによって判定するステップと、
− 第2のサブシステム・モジュールによって、第3の実特性値を安全関連の特性を表す属性に関する公称特性値と比較し、比較の結果に応じて、
− 比較の結果が肯定である場合には、機能安全データをさらに処理し、かつ/または転送し、
− 比較の結果が否定である場合には、事前に定義された安全反応をトリガする
ステップと
を含む。
【0025】
用語「データ転送チャネル」が、必ずしもバス・システムの存在を要求しないことに留意されたい。本発明の範囲内には、バス・システムを介して連結されないデータ送信用のモジュールを有するサブシステム・モジュール、たとえばモジュラー機械がある。用語「データ転送チャネル」の範囲内の1つの可能な代替案は、たとえば、それらが接続される「データ転送チャネル」がそれぞれの内部の相互接続されたバックプレーン・バスから構成されるサブシステム・モジュールである。したがって、サブシステム・モジュールは、たとえば、内部バックプレーン・バスを有するモジュラー・デバイスとすることもできる。
【0026】
特に好ましくは、安全システムの安全チェーン内のデータ処理およびデータ送信が、周期的に実行されることと、方法のステップが周期的に実行されることとが企図されている。
【0027】
さらに、その方法を実行するためのデバイスであって、機能安全データ処理および/またはデータ送信のために構成された安全なハードウェア構成要素および/またはソフトウェア構成要素を含むデバイスが提案される。本発明は、安全なハードウェア構成要素および/またはソフトウェア構成要素が、
− 機能安全データを入手するためにデータを処理し、
− データ処理および/またはデータ送信の安全関連の特徴を表す属性に関する第1の実特性値を判定し、
− 機能安全データおよび第1の実特性値を送信するように適合されるという事実によって区別される。
その代わりにまたはそれに加えて、ハードウェア構成要素および/またはソフトウェア構成要素は、
− データ処理および/またはデータ送信の安全関連の特徴を表す属性に関する送信された機能安全データおよび第1の実特性値を受信し、
− 安全関連の特性を表す属性に関する第2の実特性値を判定し、
− 安全関連の特性を表す属性に関する第3の実特性値を入手するために、第1の実特性値および第2の実特性値を処理し、
− 安全関連の特性を表す属性に関する公称特性値を判定し、
− 第3の実特性値を安全関連の特性を表す属性に関する公称特性値と比較し、
− 比較の結果に応じて、
− 比較の結果が肯定である場合には、機能安全データをさらに処理し、かつ/または転送し、
− 比較の結果が否定である場合には、事前に定義された安全反応をトリガする
ように適合される。
【0028】
特に好ましくは、デバイスは、安全な入力モジュール、安全な出力モジュール、安全なPLCモジュール、安全な論理モジュール、または安全な結合モジュールとして構成される。
【0029】
したがって、本発明によれば、部分的な安全機能を提供する各サブシステム・モジュールは、機能安全データ(たとえば、「緊急停止作動」)を有利に送信するだけではなく、たとえば残りのSILパーセンテージ、信号またはデータの年齢もしくは現実性、または総応答時間などの安全関連の特徴を表す属性に関して、たとえばセットされたフィルタ時間、信号の品質、内部処理時間、転送時間、送信の品質、SILの自身のパーセンテージなどの実特性値の形のさらなる情報によってそれらを補足もし、この追加情報は、部分的な安全機能を提供する安全チェーン内のダウンストリーム・サブシステム・モジュールによって受信され、たとえばデータが既に古すぎるか否か、またはSILのうちのあまりに多くが既に消費済みであるか否かに関して、そこで処理され、評価されるか公称特性値と比較される。
【0030】
これは、サブシステム・モジュールがそれ自体のSIL特性値を機能安全データと一緒にダウンストリーム・サブシステム・モジュールに送信し、このダウンストリーム・サブシステム・モジュールが、受信されたSIL特性値をそれ自体のSIL特性値と比較し、機能安全データをより低いSIL特性値と一緒に転送することを提案するのみである、前述のDE 10 2015 103 740に対する本発明の重大な相違でもある。
【0031】
対照的に、本発明によれば、データ送信および/またはデータ処理の安全関連の特徴を表す属性に関する実特性値を機能安全データと一緒に受信するサブシステム・モジュールは、受信するサブシステム・モジュール自体によって判定されるさらなる実特性値と一緒に、受信された実特性値を処理するか再計算し、その後、計算された実特性値を公称特性値と比較し、比較の結果に応じて、チャネルまたはモジュールのシャットダウンなどの安全反応をトリガするか、受信された機能安全データおよび計算された実特性値を使用するさらなる処理および/または転送を実行することが企図されている。
【0032】
本発明は、多数の利点を提供する。最も重要なことに、本発明は、集中化された位置での追加ハードウェアの必要なしに、進行中の動作中にモジュラー安全システム内の安全チェーンの簡単な監視を可能にする。
【0033】
したがって、安全性に関してすべての新しい構成または変更された構成を前もって再計算する必要がもはやないので、本発明は、モジュラー安全システムの柔軟性に大きく寄与する。この点で、本発明は、たとえば、更新された安全性考慮の必要なしに、変更された構成が、機械または設備の元々のリスク査定または安全性検証から、要求される安全関係特性値を厳守し続けることを保証する。これは、特に、モジュラー機械または設備のプラニング、機械製造業者のプラニング、および進行中の生産における動作のプラニングを単純化する。
【0034】
さらに、本発明による監視は、全体的な安全機能の「静的」構成を有する「静的な」安全システム、設備、または機械においても機能し続ける。この場合に、本発明による監視は、たとえば、データ処理および/またはデータ送信の徐々に進行する劣化さえもが検出されるという利点を操作者に提供し、したがって、データ処理およびデータ送信の品質および安全性は、要求される限度内またはパラメータ化された限度内に必ず留まる。
【0035】
さらなる利点は、この方法が周期的に実行され得、その結果、すべての新しい通信またはデータ送信サイクルに関して、安全チェーン内のデータ処理およびデータ送信が、少なくとも1つであるが好ましくは複数の安全関連の特徴を表す属性に関して監視され得るようになることである。
【0036】
本発明の有利な実施形態によれば、第2のサブシステム・モジュールによる、第2のサブシステム・モジュールからサブシステム・モジュールのうちのさらなるサブシステム・モジュールへの機能安全データの転送の前に、安全関連の特徴を表す属性の第5の実特性値を入手するために、安全関連の特徴を表す属性の第4の実特性値が、判定され、第3の実特性値と一緒に処理されることと、この第5の実特性値が、第1の実特性値として提供されることと、機能安全データおよびこの第1の実特性値が、この第2のサブシステム・モジュールからさらなるサブシステム・モジュールに転送されることとが企図されている。
【0037】
好ましい実施形態によれば、公称特性値の判定は、公称特性値をメモリから読み出すことを含む。
【0038】
特に好ましい実施形態によれば、実特性値のうちの少なくとも1つを判定することは、度量衡的な形で実特性値を獲得することまたはメモリから実特性値を読み出すことを含む。
【0039】
本発明の別の実施形態では、送信することは、機能安全データおよび第1の実特性値を、共有されるプロトコル固有データ・エリア内で一緒に、または別々のプロトコル固有データ・エリア内で互いに別々に、基礎になる安全なデータ転送プロトコルに従って送信することを含む。この場合には、特に透過的な形で、本発明を既存の(安全)プロトコルに統合することがさらに可能である。しかし、本発明を実施する新しい(安全)プロトコルを提供することも可能である。
【0040】
本発明の上記のおよびさらなる特徴および利点は、添付図面を参照して下で説明される例示的実施形態から明白になる。