特許第6606306号(P6606306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6606306発泡成形品、及び、発泡成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6606306
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】発泡成形品、及び、発泡成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/00 20060101AFI20191031BHJP
   B29C 44/02 20060101ALI20191031BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20191031BHJP
   B29C 45/56 20060101ALI20191031BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20191031BHJP
【FI】
   B29C44/00 D
   B29C44/02
   B29C45/00
   B29C45/56
   B29K105:04
【請求項の数】4
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-503375(P2019-503375)
(86)(22)【出願日】2019年1月11日
(86)【国際出願番号】JP2019000719
【審査請求日】2019年1月21日
(31)【優先権主張番号】特願2018-3440(P2018-3440)
(32)【優先日】2018年1月12日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005061
【氏名又は名称】バンドー化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市来 智仁
(72)【発明者】
【氏名】阿由葉 稔
(72)【発明者】
【氏名】奥野 泰正
(72)【発明者】
【氏名】松本 早紀
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−328297(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/073165(WO,A1)
【文献】 特開2017−094538(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/104217(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00
B29C 44/02
B29C 45/00
B29C 45/56
B29K 105/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、側面部とを備え、
前記底部は、第一のスキン層と、第一の発泡層と、帯状樹脂層と、第二の発泡層と、第二のスキン層とをこの順に有する断面を有し、
前記底部の径は、20mm以上であり、
前記底部の厚さは、2.0mm以上であり、
前記底部と前記側面部との成す角は、40°以上、89°以下であり、
前記底部の前記側面部が配置された側と反対側の面から、前記側面部の上端までの長さをA、前記底部の径をBとするとき、下記式(1)を満たすことを特徴とする発泡成形品。
B/3≦A≦3B (1)
【請求項2】
更に、前記底部と前記側面部との間に、曲面部を備えることを特徴とする請求項1に記載の発泡成形品。
【請求項3】
溶融樹脂を金型内のキャビティに充填する工程と、
前記キャビティに充填された前記溶融樹脂が固化し終わる前に、前記金型の一部を移動させて前記キャビティの容積を拡大させる工程とを有し、
前記キャビティは、発泡成形品の底部を成形する第一領域と、前記発泡成形品の側面部を成形する第二領域とを含み、
容積拡大後の前記キャビティにおいて、
前記第一領域の径は、20mm以上であり、
前記第一領域の厚さは、2.0mm以上であり、
前記第一領域と前記第二領域との成す角は、40°以上、89°以下であり、
前記第一領域の前記第二領域が配置された側と反対側の面から、前記第二領域の端部までの長さをC、前記第一領域の径をDとするとき、下記式(2)を満たすことを特徴とする発泡成形品の製造方法。
D/3≦C≦3D (2)
【請求項4】
更に、前記キャビティは、前記第一領域と前記第二領域との間に、前記発泡成形品の曲面部を形成する第三領域を含むことを特徴とする請求項3に記載の発泡成形品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡成形品、及び、発泡成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡成形品としては、樹脂組成物を溶融させ、金型に射出した後に発泡させたものが挙げられる。このような発泡成形品は、軽量化、コスト削減ができ、また、断熱性をもたせることができる。そのため、日用品、家庭用電化製品、食品用容器等の様々な用途に用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、スキン層、低発泡層、高発泡層の少なくとも3種類の層をこの順に含有する発泡成形体であって、スキン層、低発泡層、高発泡層が実質的に同じ熱可塑性樹脂からなり、スキン層の空隙率が1%未満で、低発泡層の空隙率が1%以上40%未満で、高発泡層の空隙率が40%以上であり、低発泡層の近傍の高発泡層に存在する気泡の厚み方向の径(Da1)と該厚み方向と垂直な方向の径(Da2)との比(Da1/Da2)が1〜4であり、高発泡層の厚み方向中心近傍の気泡の厚み方向の径(Db1)と該厚み方向と垂直な方向の径(Db2)との比(Db1/Db2)が4を超え10以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡成形体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−59224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、発泡成形品の性能として、軽量性に加えて、耐熱性、強度、断熱性等が求められている。本発明者は、軽量性、耐熱性、強度、断熱性を兼ね備えた発泡成形品として、発泡層と、上記発泡層の両面に形成されたスキン層とを有する発泡成形品に着目した。しかしながら、上記発泡層とスキン層とを有する発泡成形品は、耐衝撃性が不充分であり、更なる検討の余地があった。
【0006】
本発明者は、発泡成形品の耐衝撃性を向上させるために、種々の検討を行い、発泡成形品の断面構造を、第一のスキン層と、第一の発泡層と、帯状樹脂層と、第二の発泡層と、第二のスキン層とをこの順に有する5層構造とすることで、耐衝撃性が向上することを見出した。しかしながら、上記5層構造を有する発泡成形品は、耐衝撃性が向上する一方で、発泡成形品の中央が大きく膨れることがあった。図12は、中央に膨れが発生した発泡成形品を模式的に示した断面図である。図12に示したように、発泡成形品の外縁は、スキン層により構成されるが、発泡成形品の中央は発泡層と帯状樹脂層が形成されるため、大きく膨れ、所望の厚さに制御された発泡成形品を得ることは困難であった。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、優れた耐衝撃性を有し、かつ、膨れの発生が抑制された発泡成形品、及び、該発泡成形品の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記膨れの発生を抑制するために検討を行い、発泡成形品を、底部と、側面部により構成することで、上記底部に発生する膨れを抑制できることを見出した。更に、上記底部の径、上記底部の厚さ、上記底部と上記側面部との成す角を特定範囲とし、上記底部の径と、上記底部の上記側面部が配置された側と反対側の面から、上記側面部の上端までの長さとの関係を特定の条件とすることで、効果的に上記底部の膨れを抑制できることを見出したことにより、上記課題をみごとに解決できることに想到し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明の一態様は、底部と、側面部とを備え、上記底部は、第一のスキン層と、第一の発泡層と、帯状樹脂層と、第二の発泡層と、第二のスキン層とをこの順に有する断面を有し、上記底部の径は、20mm以上であり、上記底部の厚さは、2.0mm以上であり、上記底部と上記側面部との成す角は、40°以上、89°以下であり、上記底部の上記側面部が配置された側と反対側の面から、上記側面部の上端までの長さをA、前記底部の径をBとするとき、下記式(1)を満たす発泡成形品である。
B/3≦A≦3B (1)
【0010】
上記発泡成形品は、更に、上記底部と上記側面部との間に、曲面部を備えてもよい。
【0011】
本発明の別の一態様は、溶融樹脂を金型内のキャビティに充填する工程と、上記キャビティに充填された上記溶融樹脂が固化し終わる前に、上記金型の一部を移動させて上記キャビティの容積を拡大させる工程とを有し、上記キャビティは、発泡成形品の底部を成形する第一領域と、上記発泡成形品の側面部を成形する第二領域とを含み、容積拡大後の上記キャビティにおいて、上記第一領域の径は、20mm以上であり、上記第一領域の厚さは、2.0mm以上であり、上記第一領域と上記第二領域との成す角は、40°以上、89°以下であり、上記第一領域の上記第二領域が配置された側と反対側の面から、上記第二領域の端部までの長さをC、上記第一領域の径をDとするとき、下記式(2)を満たす発泡成形品の製造方法である。
D/3≦C≦3D (2)
【0012】
更に、上記キャビティは、上記第一領域と上記第二領域との間に、上記発泡成形品の曲面部を形成する第三領域を含んでもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、優れた耐衝撃性を有し、かつ、膨れの発生が抑制された発泡成形品、及び、該発泡成形品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1の発泡成形品の第一例を模式的に示した斜視図である。
図2図1に示した発泡成形品のX−X´線を含む断面を模式的に示した図である。
図3】実施形態1の発泡成形品の第二例を模式的に示した断面図である。
図4】実施形態1の発泡成形品の第三例を模式的に示した斜視図である。
図5図4に示した発泡成形品のZ−Z´線を含む断面を模式的に示した図である。
図6】実施形態1の発泡成形品の第四例を模式的に示した断面図である。
図7図2、3、5及び6に示した発泡成形品のY−Y´線を含む断面を拡大して示した図である。
図8】(a)は、実施形態2の発泡成形品の製造方法における、溶融樹脂を金型内のキャビティに充填する工程を説明する模式図であり、(b)は、実施形態2の発泡成形品の製造方法における、コアバック工程を説明する模式図である。
図9】金型内のキャビティ形状の一例を模式的に示した断面図である。
図10】金型内のキャビティ形状の他の一例を模式的に示した断面図である。
図11】超臨界射出成形装置を用いて発泡成形品を製造する方法の一例を説明する模式図である。
図12】中央に膨れが発生した発泡成形品を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
実施形態1では、本発明に係る発泡成形品について説明する。実施形態1に示す発泡成形品は、底部と、側面部とを備え、上記底部は、第一のスキン層と、第一の発泡層と、帯状樹脂層と、第二の発泡層と、第二のスキン層とをこの順に有する断面を有し、上記底部の径は、20mm以上であり、上記底部の厚さは、2.0mm以上であり、上記底部と上記側面部との成す角は、40°以上、89°以下であり、上記底部の上記側面部が配置された側と反対側の面から、上記側面部の上端までの長さをA、上記底部の径をBとするとき、下記式(1)を満たす。
B/3≦A≦3B (1)
【0016】
以下に、図1及び図2を用いて、実施形態1の発泡成形品の全体形状を説明する。図1は、実施形態1の発泡成形品の第一例を模式的に示した斜視図である。図2は、図1に示した発泡成形品のX−X´線を含む断面を模式的に示した図である。
【0017】
図1及び図2に示したように、実施形態1の発泡成形品10Aは、底部11と、側面部12とを備える。側面部12を有さない場合は、発泡成形品の外縁がスキン層のみにより構成されるため、発泡粒子の成長が阻害され、発泡成形品の厚み方向に対する発泡層及び帯状樹脂層の形成が抑制される。一方で、発泡成形品の中央部では、発泡粒子の成長が阻害されないため、厚み方向に発泡層及び帯状樹脂層が成長する。そのため、図12に示したように、発泡成形品の中央が大きく膨らみ、所望の厚さに制御された発泡成形品が得られない。側面部12を配置すると、側面部12の上端はスキン層のみにより構成されるが、側面部12の底部11側では、発泡粒子の成長が可能であり、発泡層及び/又は帯状樹脂層の形成が阻害されない。そのため、側面部12を配置することで、底部の外縁でも発泡層及び帯状樹脂層の形成が阻害されないため、底部の全体に渡って厚み方向に均一に発泡させることができる。
【0018】
底部11と側面部12との成す角θ1は、40°以上、89°以下である。上記角θ1が40°未満であると、側面部12が底部11の外縁を抑える力が弱くなり、底部11の膨らみを充分に抑制できない。一方、上記角θ1が89°を超えると、側面部12が底部11の厚み方向に対して垂直に配置されるため、底部11の外縁において発泡粒子の成長が阻害され、発泡層及び帯状樹脂層の形成が抑制される。また、金型から発泡成形品を取り出し難くなる。上記θ1のより好ましい下限は45°であり、更に好ましい下限は70°であり、より好ましい上限は85°である。上記角θ1とは、底部11と接する面と、側面部12の外表面(底部から離れた側)を通る直線との成す角である。
【0019】
底部11は、底部11の側面部12が配置された側と反対側の面(以下、底部の底面ともいう)が平面であってもよいし、側面部12が配置された側に湾曲した曲面であってもよい。底部11の底面が平面である場合、該底面とは、本発明の発泡成形品をある平面に静置した状態で、上記のある平面と接する部分をいう。底部11の底面が曲面である場合、該底面とは、本発明の発泡成形品をある平面に静置した状態で、上記のある平面と接する環状部分、及び、該環状部分に囲まれた内側部分をいう。上記のある平面と接する面の範囲、又は、上記のある平面と接する線に囲まれた範囲を、「底部の平面形状」ともいう。図1及び図2に示した発泡成形品10Aは、底部11の底面が平面である発泡成形品の例示である。図3は、実施形態1の発泡成形品の第二例を模式的に示した断面図である。図3に示した発泡成形品10Bは、底部11の底面が、側面部12が配置された側に湾曲した曲面である発泡成形品の例示である。
【0020】
底部11の平面形状としては、円、楕円、多角形、複数の円弧が結合した形状(瓢箪形、三つ葉形、四つ葉形等)、円弧と直線とが結合した形状(涙型、ハート型等)等が挙げられる。上記多角形の各角は、丸みを帯びてもよい。
【0021】
底部11の径Bは、20mm以上である。底部11の径が20mm未満であると、底部11における発泡力が減少するため、帯状樹脂層3が形成されない。そのため、スキン層/発泡層/スキン層の3層構造となり、断熱性及び耐衝撃性が低下する。上記底部11の径の上限は、例えば、400mmである。底部11の径が400mmを超えると、射出成形する際に、樹脂注入口から底部11の外縁までの距離が長くなり、溶融樹脂が固化するタイミングの差異が大きくなることから、例えば、発泡層及び帯状樹脂層の形成前に側面部12が固化してしまい、底部11との境界で厚み差によるシワが発生するおそれがある。上記底部11の径のより好ましい下限は40mmであり、より好ましい上限は200mmである。
【0022】
上記底部11の径Bとは、平面視における底部11の最大長である。例えば、底部11の平面形状が円である場合には、上記底部11の径Bは円の直径であり、底部11の平面形状が楕円である場合には、上記底部11の径Bは楕円の長径である。底部11の平面形状が、正方形、長方形、ひし形等の多角形である場合には、上記底部11の径Bは最長の対角線の長さである。
【0023】
底部11の厚さTは、2.0mm以上である。底部11の厚さTが2.0mm未満であると、充分な発泡が得られず、スキン層/発泡層/スキン層の3層構造となり、断熱性及び耐衝撃性が低下する。上記厚さTは、15.0mm以下であることが好ましい。上記厚さTが厚すぎると、強度の低下による変形が大きくなることがある。上記厚さTの好ましい下限は3.0mmであり、より好ましい下限は4.0mmであり、より好ましい上限は13.0mmであり、更に好ましい上限は10.0mmである。上記底部11の厚さTとは、第一のスキン層の外表面(第一のスキン層の第一の発泡層と反対側の面)から、第二のスキン層の外表面(第二のスキン層の第二の発泡層と反対側の面)までの厚さである。上記底部11の厚さTは、底部11の厚さの平均値を用いることができる。底部11において、最も厚い部分と最も薄い部分の厚み差が、1.0mm未満であることが好ましく、0.6mm未満であることがより好ましい。
【0024】
実施形態1の発泡成形品は、底部11の側面部12が配置された側と反対側の面から、側面部12の上端までの長さをA、底部11の径をBとするとき、下記式(1)を満たす。上記長さAは、言い換えると、発泡成形品をある平面に静置した状態で、上記のある平面と接する部分から、側面部12の上端までの高さをいう。
B/3≦A≦3B (1)
【0025】
B/3>Aであると、側面部12の高さが低すぎるため、底部11の外縁での発泡層及び帯状樹脂層の形成が充分にできず、底部11の全体に渡って厚み方向に均一に発泡させることができない。一方、A>3Bであると、側面部12の高さが高すぎるため、側面部12の底部11側の部分と側面部12の上端とで、溶融樹脂が固化するタイミングの差異が大きくなり、側面部12の表面にシワ等が発生してしまうことがある。側面部12の高さが一定ではない場合、側面部12の全周において、上記Aは上記式(1)の範囲内である。
【0026】
側面部12は、底部11の外縁の全周に配置されることが好ましい。側面部12を底部11の外縁の全周に配置することで、底部11の中央に発生する膨れをより効果的に抑制することができる。図1では、底部の平面形状が円であり、側面部12が底部11の外縁の全周に配置される場合を例示した。上記底部11の外縁とは、底部11を平面視した場合の底部11の外周である。例えば、底部11の平面形状が円、楕円である場合には、上記底部11の外縁は円周である。底部11の平面形状が、正方形、長方形、ひし形である場合には、上記底部11の外縁は四辺である。
【0027】
側面部12は、底部11の第一のスキン層側、及び、第二のスキン層側のいずれか一方に配置されることが好ましい。言い換えると、側面部12が底部11の一方の面側のみに配置されることが好ましい。図1〜3では、側面部11が底部11の第一のスキン層側のみに配置される場合を例示した。側面部12の断面形状は、直線を含むことが好ましい。
【0028】
更に、底部11と側面部12との間に、曲面部13が設けられてもよい。曲面部13が設けられることで、底部11の外縁でも発泡層及び帯状樹脂層が形成されやすくなるため、底部11の全体に渡って厚み方向により均一に発泡させることができる。図4は、実施形態1の発泡成形品の第三例を模式的に示した斜視図である。図5は、図4に示した発泡成形品のZ−Z´線を含む断面を模式的に示した図である。図4及び図5に示した発泡成形品10Cは、曲面部13を備え、かつ、底部11の底面が平面である発泡成形品の例示である。図6は、実施形態1の発泡成形品の第四例を模式的に示した断面図である。図6に示した発泡成形品10Dは、曲面部13を備え、かつ、底部11の底面が、側面部12が配置された側に湾曲した曲面である発泡成形品の例示である。
【0029】
曲面部13の曲率半径Rは、10mm以上、50mm以下であることが好ましい。上記曲率半径Rは、曲面部13の外側の外表面の曲率半径をいい、図5及び図6では、第二のスキン層の外表面の曲率半径である。
【0030】
実施形態1に係る発泡成形品は、例えば、機器等の筐体(ハウジング)、保護カバー、皿状の容器、食品用容器、搬送用トレー等に用いることができる。
【0031】
以下に、図7を用いて、実施形態1に係る発泡成形品の断面構造を説明する。図7は、図2、3、5及び6に示した発泡成形品のY−Y´線を含む断面を拡大して示した図である。図7に示したように、実施形態1に係る発泡成形品の底部11は、第一のスキン層1と、第一の発泡層2と、帯状樹脂層3と、第二の発泡層4と、第二のスキン層5とをこの順に有する断面を有する。実施形態1に係る発泡成形品は、外表面が第一及び第二のスキン層1及び5で覆われているため、強度が高い。また、第一及び第二の発泡層2及び4、並びに、帯状樹脂層3を有するため、軽量であり、かつ、優れた断熱性を有する。更に、実施形態1に係る発泡成形品は、帯状樹脂層3を有するため、優れた耐衝撃性を有する。このような5層構造とすることで、実施形態1に係る発泡成形品は、軽量であり、優れた断熱性及び耐衝撃性を有する。本明細書中、発泡成形品の断面とは、発泡成形品の厚さ方向の断面をいう。
【0032】
第一及び第二のスキン層1及び5は、実施形態1に係る発泡成形品の外表面を形成する層である。以下、スキン層は、樹脂中に実質的に気泡(発泡粒子)を包含しない領域を指す。第一及び第二のスキン層1及び5の密度は、例えば、0.85〜1.6g/cmである。両面に第一のスキン層1と第二のスキン層5とを有することで、実施形態1に係る発泡成形品は高い強度と耐熱性を有する。
【0033】
第一及び第二のスキン層1及び5の厚さは、例えば、50μm〜550μmである。第一及び第二のスキン層1及び5の厚さが50μm未満であると、発泡成形品の強度が不充分となるおそれがある。一方、第一及び第二のスキン層1及び5の厚さが550μmを超えると、充分な耐衝撃性が得られないおそれがある。上記スキン層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定することができる。上記走査型電子顕微鏡としては、例えば、日立ハイテクノロジーズ社製の「S−4800」等が挙げられる。
【0034】
第一のスキン層1と第二のスキン層5とは、密度及び厚さの各々について、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0035】
第一及び第二の発泡層2及び4は、樹脂中に多数の気泡(発泡粒子)を包含する領域を指す。上記発泡層の密度は、例えば、0.65g/cm以下である。実施形態1に係る発泡成形品は、内部に第一及び第二の発泡層2及び4が存在することで、軽量化できるだけではなく、熱が伝わり難くなるため、断熱性に優れる。
【0036】
第一及び第二の発泡層2及び4は、平均粒子径が20μm〜700μmの発泡粒子を含むことが好ましい。上記平均粒子径が20μm未満であると、帯状樹脂層3が形成され難くなり、充分な耐衝撃性が得られないおそれがある。一方、上記平均粒子径が700μmを超えると、充分な強度が得られなくなるおそれがある。上記発泡粒子は、それぞれの発泡粒子が樹脂に囲まれた独立気泡であることが好ましい。上記発泡粒子の平均粒子径は、発泡成形品の第一及び第二の発泡層2及び4の断面を観察した場合に、任意に選択した100個の発泡粒子の平均粒子径である。上記発泡粒子の粒子径は、走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。実施形態1に係る発泡成形品は、断面を観察した場合に、上記発泡層の1mm×1mmの範囲に発泡粒子が100個以上含まれることが好ましい。
【0037】
第一及び第二の発泡層2及び4の厚さは、例えば、100μm〜10mmである。上記発泡層の厚さが100μm未満であると、発泡成形品の断熱性が不充分となるおそれがある。一方、上記発泡層の厚さが10mmを超えると、発泡成形品の強度が不充分となるおそれがある。上記発泡層の厚さは、走査型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
【0038】
第一の発泡層2と第二の発泡層4とは、密度、発泡粒子の平均粒子径及び厚さの各々について、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0039】
帯状樹脂層3は、樹脂が帯状(繊維状)に形成された層である。帯状樹脂層3を構成する複数の帯状樹脂が、帯状樹脂層3を挟んで配置される第一の発泡層2と第二の発泡層4との間を架橋することで、実施形態1に係る発泡成形品の耐衝撃性を向上させることができる。また、帯状樹脂層3により、第一のスキン層1及び第一の発泡層2と、第二の発泡層4及び第二のスキン層5とが繋がっているため、第一のスキン層1の外表面及び第二のスキン層5の外表面のいずれか一方のみに除電処理をすることで、除電処理した外表面とその反対面を含めた発泡成形品の表面全体から静電気を除去できるため、生産性が向上する。上記除電処理としては、イオナイザーを用いる方法、金属製の除電ブラシを用いる方法、コロナ放電を行う方法等が挙げられる。
【0040】
帯状樹脂層3に含まれる複数の帯状樹脂は、略一定方向に延伸していることが好ましい。上記帯状樹脂は、発泡成形品の外表面に対して、90°±45°の角度を成すことが好ましい。上記外表面とは、第一のスキン層1の第一の発泡層2と反対側の面、又は、第二のスキン層5の第二の発泡層4と反対側の面をいう。例えば、発泡成形品の底部11の底面が平面である場合には、上記帯状樹脂は、該底部において、発泡成形品の外表面に対して、略90°の角度を成すことが好ましい。なお、上記発泡成形品の外表面に対する帯状樹脂の角度は、200μm×200μmの範囲の帯状樹脂層3に含まれる帯状樹脂の平均角度である。
【0041】
実施形態1に係る発泡成形品の側面部12の断面構造は、特に限定されないが、外表面がスキン層であることが好ましい。側面部12は、第一のスキン層1と、第一の発泡層2と、帯状樹脂層3と、第二の発泡層4と、第二のスキン層5とをこの順に有する断面を有してもよい。
【0042】
発泡成形品が曲面部13を有する場合、曲面部13の断面構造は、特に限定されないが、外表面がスキン層であることが好ましい。曲面部13は、第一のスキン層1と、第一の発泡層2と、帯状樹脂層3と、第二の発泡層4と、第二のスキン層5とをこの順に有する断面を有してもよい。
【0043】
実施形態1に係る発泡成形品は、樹脂組成物を射出成形した射出発泡成形品であることが好ましい。上記樹脂組成物は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂を主成分として含むものが好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ乳酸(PLA)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジぺート(PBSA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等が好ましい。上記樹脂組成物全体に対する上記熱可塑性樹脂の含有量は、例えば、50重量%以上である。
【0044】
上記樹脂組成物は、二種以上の熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、少なくとも一種が結晶性ポリマーであることがより好ましい。結晶性ポリマーを含むことで、樹脂組成物を溶融して得られる溶融樹脂を射出成形する際に、化学発泡剤由来のガス、又は、超臨界流体が溶融樹脂から放出され難くなるため、少ない発泡剤で高発泡の発泡成形品を得ることができる。上記結晶性ポリマーは、示差走査熱量測定において、明確な融解ピークを有するポリマーであればよい。上記結晶性ポリマーとしては、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール等が挙げられる。
【0045】
上記熱可塑性樹脂は、更に、酸変性ポリオレフィン等を含有してもよい。上記酸変性ポリオレフィンとしては、例えば、ポリオレフィンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のエステル、又は、不飽和カルボン酸の無水物を付加反応することによって得られるものが挙げられる。不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、及び、イタコン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸のエステルとしては、例えば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、及び、フマル酸モノメチルエステル等が挙げられる。不飽和カルボン酸の無水物としては、例えば、無水イタコン酸、及び、無水マレイン酸等が挙げられる。上記酸変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン等の無水マレイン酸変性ポリオレフィン、グリシジルメタクリレート変性ポリオレフィン等が好適に用いられる。上記酸変性ポリオレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
上記樹脂組成物は、上記熱可塑性樹脂の他に、タルク、マイカ、モンモリロナイト等の層状ケイ酸塩;炭酸カルシウム、グラスファイバー、セルロース繊維等のフィラーを含有してもよい。
【0047】
上記樹脂組成物としては、ポリオレフィン、ポリ乳酸及び酸変性ポリオレフィンの混合物が好適に用いられる。ポリオレフィンとポリ乳酸とは互いに溶解しない非相溶系のポリマー同士であるため、混合しても互いに溶解せず、界面が形成される。したがって、超臨界流体を用いた発泡において、その界面を発泡起点(発泡核)として用いることができる。一方で、均一に発泡した発泡成形品を製造するためには、発泡させる前の樹脂組成物を均一に分散することが求められる。このため、酸変性ポリオレフィンを添加することで、ポリオレフィンとポリ乳酸を相溶化し、分散性を向上させる。これにより、発泡成形品の内部に、多数の微細な気泡(粒子径の小さい発泡粒子)を均一に存在させることができ、断熱性、強度及び軽量性等の特性に優れた発泡成形品を製造できる。
【0048】
上記発泡成形品は、その表面等に、模様、色彩又は文字等の装飾を施してもよい。このような装飾を施す場合、上記樹脂組成物に顔料フィラー、カラーマスターバッチ等を添加してもよい。
【0049】
<実施形態2>
実施形態2では、本発明に係る発泡成形品の製造方法について説明する。実施形態2に示す発泡成形品の製造方法は、溶融樹脂を金型内のキャビティに充填する工程と、上記キャビティに充填された上記溶融樹脂が固化し終わる前に、上記金型の一部を移動させて上記キャビティの容積を拡大させる工程(以下、「コアバック工程」ともいう)とを有し、上記キャビティは、発泡成形品の底部を成形する第一領域と、上記発泡成形品の側面部を成形する第二領域とを含み、容積拡大後の上記キャビティにおいて、上記第一領域の径は、20mm以上であり、上記第一領域の厚さは、2.0mm以上であり、上記第一領域と上記第二領域との成す角は、40°以上、89°以下であり、上記第一領域の上記第二領域が配置された側と反対側の面から、上記第二領域の端部までの長さをC、上記第一領域の径をDとするとき、下記式(2)を満たす。
D/3≦C≦3D (2)
【0050】
以下に、図8を用いて、実施形態2の発泡成形品の製造方法について説明する。図8(a)は、実施形態2の発泡成形品の製造方法における、溶融樹脂を金型内のキャビティに充填する工程を説明する模式図であり、コアバック前の状態を示す。図8(b)は、実施形態2の発泡成形品の製造方法における、コアバック工程を説明する模式図であり、コアバック後の状態を示す。
【0051】
上記溶融樹脂を金型内のキャビティに充填する工程は、上記溶融樹脂を金型に設けられた樹脂注入口から上記キャビティに充填する。図8(a)に示したように、射出成形装置のノズル24から注入された溶融樹脂40は、ランナ103を通って、金型の樹脂注入口104からキャビティ110に充填される。
【0052】
金型としては、通常、凸形状を有する雄型101と凹形状を有する雌型102を有し、雄型101と雌型102を嵌合させた状態で形成される空隙が、溶融樹脂40が充填されるキャビティ110となる。雄型101及び/又は雌型102の少なくとも一部分は、上記キャビティの容積を増大させる方向に可動することが好ましい。樹脂注入口104は、雄型101と雌型102のいずれに設けられてもよい。
【0053】
上記溶融樹脂40としては、例えば、発泡剤と樹脂組成物とを含むものが挙げられる。上記樹脂組成物としては、発泡成形品の組成として例示した樹脂組成物を用いることができる。
【0054】
上記発泡剤としては、化学発泡剤を用いてもよいし、物理発泡剤を用いてもよいし、上記化学発泡剤と上記物理発泡剤とを併用してもよい。上記化学発泡剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)等が挙げられる。上記物理発泡剤としては、例えば、超臨界流体が挙げられる。上記超臨界流体としては、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの超臨界流体が用いられる。なかでも、二酸化炭素又は窒素の超臨界流体が好ましい。発泡性に優れることから、窒素の超臨界流体がより好ましい。
【0055】
上記射出成形は、超臨界流体と樹脂組成物とを含む溶融樹脂40を射出成形する超臨界射出成形であることがより好ましい。上記溶融樹脂40としては、例えば、溶融した樹脂組成物に超臨界流体を含浸させたものが挙げられ、樹脂組成物と超臨界流体との単一相溶解物であることが好ましい。このような溶融樹脂40は、従来公知の超臨界流体発生機により生成した超臨界流体を、溶融した樹脂組成物に高圧力下で注入し、更に攪拌することで作製できる。
【0056】
図9は、金型内のキャビティ形状の一例を模式的に示した断面図である。金型100Aは、図1及び図2に示した上記発泡成形品10Aを製造するための金型の一例である。キャビティ110は、発泡成形品10Aの底部11を成形する第一領域111と、発泡成形品10Aの側面部12を成形する第二領域112とを含む。上記発泡成形品10Aの形状は、コアバック後(容積拡大後)の金型100Aのキャビティ110の形状によって規定される。
【0057】
容積拡大前のキャビティ110において、上記第一領域111の径Dは、20mm以上であることが好ましい。
【0058】
容積拡大前のキャビティ110において、上記第一領域111の厚さTは、0.4mm以上であることが好ましく、0.6mm以上であることがより好ましい。得られる発泡成形品10Aの外観を向上させる観点からは、上記厚さTは、4.0mm以下であることが好ましく、3.5mm以下であることがより好ましく、3.0mm以下であることが更に好ましく、2.5mm以下であることが特に好ましい。容積拡大前の上記第一領域111の厚さTが厚いと、キャビティ110内部で溶融樹脂40の固化速度が低下することに加えて、発泡ガス量及び発泡圧力の増大により、発泡成形品10Aの表面に微細な膨れやシワが発生することがある。上記微細な膨れやシワは、スキン層に発生する表面部分の外観不良であり、底部11の端部と中央部とで発泡粒子の成長量が異なることにより発生する「膨れ」とは異なるものである。
【0059】
容積拡大前のキャビティ110において、上記第一領域111と上記第二領域112との成す角θ2は、40°以上、89°以下であることが好ましい。
【0060】
容積拡大前のキャビティ110において、上記第一領域111の上記第二領域112が配置された側と反対側の面から、上記第二領域112の端部までの長さをC、上記第一領域の径をDとするとき、下記式(3)を満たすことが好ましい。
D/3≦C≦3D (3)
【0061】
上記キャビティ110に充填された上記溶融樹脂40が固化し終わる前に、上記金型の一部を移動させて上記キャビティの容積を拡大させる工程(コアバック工程)では、例えば、図8(b)に示したように、溶融樹脂40の冷却固化が進行する前に雄型101を後退させ、キャビティ110を拡張することで圧力低下を加速させ、キャビティ110内での溶融樹脂40の発泡を促進する。金型内での圧力損失により、超臨界流体は臨界圧力に達した時点で気体へ相転移し、溶融樹脂40内で気泡が発生することになる。上記コアバック工程では、溶融樹脂40の一部又は全部が溶融している状態でキャビティ110を強制的に広げることにより、急激な圧力減少を引き起こし、発泡量を大幅に増大させることができる。これにより、キャビティ110に充填された溶融樹脂40の内部全体にわたって気泡を形成することができる。
【0062】
キャビティ110の容積を拡大する際には、雄型101及び/又は雌型102の少なくとも一部分を移動させるが、雄型101が可動側であり、かつ雌型102が固定側である場合等には、雄型101全体を移動させてキャビティ110の容積を拡大することが好ましい。雄型101及び/又は雌型102の移動方向は、上記帯状樹脂層3に含まれる複数の帯状樹脂の延伸方向とほぼ同方向となる。
【0063】
コアバック後(容積拡大後)のキャビティ110の形状は、発泡成形品10Aの形状を規定する。したがって、図9における第一領域111の径Dは、図2に示した径Bと同一であり、第一領域111の厚さTは、図2に示した厚さTと同一であり、第一領域111の第二領域112が配置された側と反対側の面から、第二領域112の端部までの長さCは、図2に示した高さAと同一であり、第一領域111と第二領域112との成す角θ2は、図2に示した角θ1と同一である。
【0064】
容積拡大後のキャビティ110において、第一領域111の径Dは、20mm以上である。第一領域111の径Dが20mm未満であると、底部11における発泡力が減少するため、帯状樹脂層3が形成されない。そのため、スキン層/発泡層/スキン層の3層構造となり、断熱性及び耐衝撃性が低下する。上記第一領域111の径Dの上限は、例えば、400mmである。第一領域111の径Dが400mmを超えると、射出成形する際に、樹脂注入口104から第二領域112の端部までの距離が長くなり、溶融樹脂40が固化するタイミングの差異が大きくなることから、例えば、側面部12の第一及び第二の発泡層2及び4と帯状樹脂層3が形成される前に、側面部12の第一及び第二のスキン層1及び5が固化してしまい、底部11と側面部12との境界で厚み差によるシワが発生するおそれがある。上記第一領域111の径Dのより好ましい下限は40mmであり、より好ましい上限は200mmである。容積拡大後の第一領域111の径Dは、容積拡大後の第一領域111の平面視における最大長であり、第二領域112が配置された面と反対側の面の最大長をいい、上記発泡成形品の底部11の径Bに対応する。
【0065】
容積拡大後のキャビティ110において、第一領域111の厚さTは、2.0mm以上である。上記厚さTが2.0mm未満であると、発泡成形品は充分な発泡が得られず、スキン層/発泡層/スキン層の3層構造となり、断熱性及び耐衝撃性が低下する。上記厚さTは、15.0mm以下であることが好ましい。上記厚さTが15.0mmを超えると、得られる発泡成形品の底部11の表面が波打ち、美観が低下することがある。また、上記厚さTが厚すぎると、キャビティ110内部で溶融樹脂40の固化速度が低下することに加えて、発泡ガス量及び発泡圧力の増大により、発泡成形品の表面に微細な膨れやシワが発生することがある。上記厚さTの好ましい下限は3.0mmであり、より好ましい下限は4.0mmであり、より好ましい上限は13.0mmであり、更に好ましい上限は10.0mmである。容積拡大後の第一領域111の厚さTは、容積拡大後の第一領域111の厚さTをいい、上記発泡成形品の底部11の厚さTに対応する。
【0066】
樹脂注入口104は、第一領域111に配置されることが好ましく、平面視において、第一領域111の中心に配置されることがより好ましい。樹脂注入口104を第一領域111に配置した場合、得られた発泡成形品は、底部11に樹脂注入口104の痕を有する。
【0067】
容積拡大後のキャビティ110において、第一領域111と第二領域112との成す角θ2は、40°以上、89°以下である。上記角θ2が40°未満であると、得られる発泡成形品の側面部12が底部11の外縁を抑える力が弱くなり、底部11の膨らみを充分に抑制できない。一方、上記角θ2が89°を超えると、側面部12が第一領域111の厚み方向に対して垂直に配置されるため、第一領域111の外縁において、得られる発泡成形品の発泡粒子の成長が阻害され、第一及び第二の発泡層2及び4と帯状樹脂層3の形成が抑制される。また、金型から発泡成形品を取り出し難くなる。上記角θ2のより好ましい下限は45°であり、更に好ましい下限は70°であり、より好ましい上限は85°である。第一領域111と第二領域112との成す角θ2は、上記発泡成形品の底部11と側面部12との成す角θ1に対応する。
【0068】
実施形態2の発泡成形品の製造方法は、容積拡大後のキャビティ110において、第一領域111の第二領域112が配置された側と反対側の面から、第二領域112の端部までの長さをC、第一領域111の径をDとするとき、下記式(2)を満たす。上記第二領域112の端部とは、発泡成形品の側面部12の上端に対応し、上記第一領域111が配置された側と反対側の端部をいう。
D/3≦C≦3D (2)
【0069】
D/3>Cであると、第二領域112の高さが低すぎるため、第一領域111の外縁において、第一及び第二の発泡層2及び4と帯状樹脂層3の形成が充分にできず、得られる発泡成形品の底部11の全体に渡って厚み方向に均一に発泡させることができない。一方、C>3Dであると、第二領域112の高さが高すぎるため、第二領域112の第一領域111側の部分と第一領域111とは反対側の端部とで、溶融樹脂40が固化するタイミングの差異が大きくなり、側面部12の表面にシワ等が発生してしまうことがある。
【0070】
第二領域112は、第一領域111の外縁の全周に配置されることが好ましい。第二領域112を第一領域111の外縁の全周に配置することで、得られる発泡成形品の底部11の中央に発生する膨れをより効果的に抑制することができる。
【0071】
更に、キャビティ110は、第一領域111と第二領域112との間に、発泡成形品の曲面部13を形成する第三領域113を含んでもよい。図10は、金型内のキャビティ形状の他の一例を模式的に示した断面図である。金型100Bは、図4及び図5に示した上記発泡成形品10Cを製造するための金型の一例である。
【0072】
第三領域113の曲率半径Rは、10mm以上、50mm以下であることが好ましい。上記曲率半径Rは、第三領域113における雌型102の曲率半径をいう。
【0073】
上記コアバックは、キャビティ110への溶融樹脂40の充填が完了した直後(充填完了後0秒)〜充填完了後5秒以内に開始されることが好ましい。金型の移動速度(コアバック速度)は、0.5mm/秒以下であることが好ましい。上記コアバック速度の下限は、溶融樹脂40が固化するまでに第一領域111の厚さTを所望の厚さにできれば、特に限定されないが、例えば、0.1mmである。コアバックによる金型の隙間距離の拡大量(コアバック量)は、0.5mm〜10mmであることが好ましい。なお、発泡成形では、スキン層が完全に固化する前の柔らかい状態で、内部からの発泡圧により過度に押されている場合には、コアバック後でも発泡成形品が収縮することがある。また、溶融樹脂40に含まれる超臨界流体が相転移したガスが金型と溶融樹脂40との間に滞留し、第一及び第二の発泡層2及び4と帯状樹脂層3の成長を妨げることがある。そのため、コアバック前のキャビティ110の厚さとコアバック量との合計と、コアバック後のキャビティ110の厚さ及び発泡成形品のサイズとは一致しないこともある。
【0074】
得られる発泡成形品の断熱性には、底部11、側面部12及び曲面部13の厚みと、各部の発泡倍率が影響し、発泡成形品の厚みが厚く、かつ、発泡倍率が高いほど、発泡成形品の断熱性が向上する。発泡倍率(%)は、例えば、(コアバック後の第一領域111の厚さT)÷(コアバック前の第一領域111の厚さT)×100で表される。発泡成形品の厚みとしては、例えば、底部11の厚さが5mm以上であることが好ましい。発泡倍率は400%以上であることが好ましい。底部11の厚さが5mm以上であり、かつ、発泡倍率が400%以上であることがより好ましい。
【0075】
実施形態2の発泡成形品の製造方法は、樹脂組成物を溶融し、上記樹脂組成物に超臨界状態の流体を含浸させて溶融樹脂を調製する工程を有してもよい。超臨界流体と樹脂組成物とを含む溶融樹脂を作製すること、及び、溶融樹脂を発泡させつつ成形することは、例えば、射出成形機と超臨界流体発生機とが連結された超臨界射出成形装置を用いて行うことができる。超臨界射出成形装置としては、例えば、MuCell射出成形機(「MuCell」はTrexel.Inc.の登録商標)等が挙げられる。
【0076】
図11は、超臨界射出成形装置を用いて発泡成形品を製造する方法の一例を説明する模式図である。図11に示した超臨界射出成形装置200では、ホッパ21、加熱シリンダ22、スクリュ23及びノズル24を備える射出成形機に、ボンベ25、超臨界流体発生部26及び注入制御部27を備える超臨界流体発生機が連結されている。
【0077】
ホッパ21は、投入された樹脂材料を貯蔵する容器を備えており、容器底部の開閉式の開口部から適量の樹脂材料を加熱シリンダ22内に落下させる。ホッパ21に投入される樹脂材料としては、例えば、押出機を用いて、複数種の原料の混合物を溶融混練して作製した樹脂組成物のペレットが挙げられる。押出機としては特に限定されず、単軸又は多軸の各種押出機を用いることができるが、例えば、200℃以上の設定温度とした二軸押出機が好ましい。混練方法としては、すべての原料を一括して混練してもよく、任意の原料を混練した後、残りの原料を添加して混練してもよい。加熱シリンダ22は、円筒状の空間内部を加熱できるものであり、樹脂材料を溶融させることができる。
【0078】
ボンベ25には、超臨界流体の原料となる不活性ガスが封入されている。不活性ガスは、ボンベ25から超臨界流体発生部26に送られ、超臨界流体となる。超臨界流体は、超臨界流体発生部26から注入制御部27を介して加熱シリンダ22内に投入される。注入制御部27において、加熱シリンダ22内で溶融した樹脂材料に対する超臨界流体の充填量を制御する。
【0079】
スクリュ23は、加熱シリンダ22内を回転しながら移動可能に構成されており、溶融した樹脂材料及び超臨界流体を混合しながら加熱シリンダ22の先端に向けて押し出す。この混合により、溶融した樹脂材料と超臨界流体との単一相溶解物(超臨界流体を含む溶融樹脂)が形成される。超臨界流体を含む溶融樹脂は、スクリュ23によって押し出されてノズル24側に搬送され、ノズル24から適量ずつ、金型100に射出される。
【0080】
実施形態2の発泡成形品の製造方法は、更に、上記コアバック工程後に金型100から取り出した発泡成形品に加工を施してもよい。上記加工としては、例えば、発泡成形品の側面部12を切除してもよい。これにより、底部11のみからなる平板状の発泡成形品や、実施形態1に係る発泡成形品とは側面部12の高さが異なる発泡成形品に加工することができる。
【実施例】
【0081】
以下、本発明について実施例を掲げてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0082】
(実施例1)
下記表1に示した材料を、下記表1に示した配合比でドライブレンドし、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、「TEX30」)を使って温度設定220℃で混練し、ペレット状の発泡用樹脂組成物を得た。
【0083】
【表1】
【0084】
得られたペレット状の発泡用樹脂組成物を、超臨界発生装置を搭載した射出成形機(東芝機械株式会社製)に投入し、温度240℃に設定したシリンダ内で溶融させつつ、得られた溶融樹脂に窒素(N)の超臨界流体を、充填量0.3重量%、充填圧力16MPaの条件で混入させた。なお、超臨界流体の充填量(単位:重量%)は、下記式(4)で計算することができる。
超臨界流体の充填量(単位:重量%)=[(超臨界流体の流量×超臨界流体の流入時間×換算係数27.8)÷発泡用樹脂組成物の重量]×100 (4)
【0085】
上記溶融樹脂を注入する金型としては、図9に示したような、曲面部を形成する第三領域を含まず、発泡成形品の底部を成形する第一領域111と、発泡成形品の側面部を成形する第二領域112とを含むキャビティ110を形成する金型を用いた。上記金型は、凹型が固定側、凸型が移動側であり、コアバック前のキャビティの形状は下記表2に示した通りであった。
【0086】
超臨界流体を混入した溶融樹脂は、射出速度100mm/秒、スクリュ背圧15MPaの条件で、金型内のキャビティに注入された。金型温度は45℃とした。溶融樹脂のキャビティへの充填が完了した直後のタイミングで、コアバックを実施した。具体的には、コアバック速度を0.3mm/秒とし、金型の雄型を8mm後退させ、キャビティの容積を拡大させることにより、溶融樹脂の発泡を促進した。コアバック後のキャビティの形状は下記表3に示した通りであった。溶融樹脂の固化が完了した後、発泡成形品を取り出した。得られた発泡成形品は、図1及び図2に示したような、曲面部を有さず、底部11と側面部12とを有し、かつ、上記底部11の底面が平面である発泡成形品であった。また、上記底部11の平面形状は円であった。得られた発泡成形品の形状は、下記表4に示した通りであった。底部11の厚みは、任意に選んだ10か所の厚みの平均値とした。
【0087】
(実施例2〜9及び比較例1〜8)
実施例1と同様の溶融樹脂を用い、以下の実施例及び比較例に係る発泡成形品を作製した。それぞれ、コアバック前のキャビティの形状は下記表2に示した通りであり、コアバック後のキャビティの形状は下記表3に示した通りであり、得られた発泡成形品の形状は、下記表4に示した通りであった。なお、表2と表3におけるコアバック前後の寸法を区別しやすいように、コアバック前の寸法は記号のダッシュを付して表示した。また、コアバック量を表3のようにし、コアバック速度を0.5mm/秒以下の範囲で調整したこと以外は、実施例1と同様にして、超臨界射出成形を行った。
【0088】
実施例2〜6及び比較例1〜3、5〜8は、実施例1と同様に、図9に示したような金型を用いて、図1及び図2に示したような、曲面部を有さず、底部11と側面部12とを有し、かつ、上記底部11の底面が平面である発泡成形品を作製した。上記底部11の平面形状は円であった。
【0089】
実施例7は、図6に示したような、底部11と側面部12と曲面部13とを有し、かつ、上記底部11の底面は、上記側面部12が配置された側に湾曲した曲面である発泡成形品であった。上記底部11の平面形状は円であった。
【0090】
実施例8は、図10に示したような金型を用い、図4及び図5に示したような、底部11と側面部12と曲面部13とを有し、かつ、上記底部11の底面が平面である発泡成形品であった。上記底部11の平面形状は円であった。
【0091】
実施例9は、図3に示したような、曲面部を有さず、底部11と側面部12とを有し、かつ、上記底部11の底面は、上記側面部12が配置された側に湾曲した曲面である発泡成形品であった。上記底部11の平面形状は円であった。
【0092】
比較例4では、側面部及び曲面部を有さない平板状の金型を用い、平板状の発泡成形品を作製した。
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
実施例及び比較例の発泡成形品について、底部の層構造及び底部の膨れの有無を確認した。また、以下の方法で、断熱性及び耐衝撃性を評価した。評価結果を下記表4に示した。
【0096】
<底部の層構造>
実施例及び比較例の発泡成形品を、それぞれ、底部に対して垂直な面で切断し、底部の断面を観察した。上記断面の観察は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製の「S−4800」)を用いた。表4中、「5層」とは、底部の断面がスキン層/発泡層/帯状樹脂層/発泡層/スキン層の5層構造を有する場合であり、「3層」とは、底部の断面がスキン層/発泡層/スキン層の3層構造を有する場合である。底部の断面が5層である場合に、本発明の発泡成形品として適合とした。
【0097】
<底部の膨れの有無>
実施例及び比較例の発泡成形品を目視にて観察し、底部の中央に膨れが発生していないかを確認した。底部において最も厚い部分と最も薄い部分の厚み差が、0.6mm未満であった場合を○、0.6mm以上、1.0mm未満であった場合を△、1.0mm以上であった場合を×とした。
【0098】
<断熱性>
実施例及び比較例の発泡成形品の片面に、それぞれ、黒体スプレー(タスコジャパン株式会社製、「THI−1B」)を吹き付けた後、黒体スプレーに含まれる溶剤を室内で12時間以上、24時間以下放置することで乾燥させ、黒く着色された測定用試料を作製した。黒く着色した面が上向きとなるように、各測定用試料を100mlの沸騰した熱水中に浮かべ、3分後に各測定用試料の上記黒く着色した面の表面温度を測定した。上記表面温度は、赤外放射温度計(日本アビオニクス株式会社製の「TVS−200」)を用い、放射率を0.94に調整して測定した。表面温度が60℃以下であった場合を◎とし、60℃より高く65℃以下であった場合を○とし、65℃より高かった場合を×とした。
【0099】
<耐衝撃性>
実施例及び比較例の発泡成形品を、それぞれ平面に静置し、1mの高さから、直径15mm、重さ4.5gのガラス玉を落下させた。一個の発泡成形品に対して、ガラス玉を3回落下させ、3回落下させた後の発泡成形品の状態を目視にて観察した。発泡成形品が破損しなかった場合を○とし、発泡成形品が破損した場合を×とした。
【0100】
【表4】
【0101】
実施例1〜9では、いずれも、5層構造を有し、軽量であり、優れた断熱性及び耐衝撃性を有する発泡成形品が得られた。また、実施例1〜9に係る発泡成形品は、いずれも膨れの発生が抑制されたものであった。実施例6では、発泡成形品の底部の表面に僅かな膨れが観察されたが、発泡成形品の断熱性及び耐衝撃性に影響を与えるものではなかった。膨れの発生が抑制されていることに加え、実施例1、2及び5では、発泡成形品の厚みが厚く、かつ、発泡倍率が高いことから、断熱性がより向上したと考えられる。
【0102】
B/3>Aである比較例1、側面部を有さない比較例4、及び、底部と側面部との成す角が40°未満である比較例5は、底部の端部における発泡層及び/又は帯状樹脂層の形成が不充分であるため、底部の中央部に膨れが発生したと考えられる。底部の厚さが2.0mm未満である比較例2、3及び7は、底部の厚さが薄いために、帯状樹脂層が形成されず、3層構造になったと考えられる。比較例3及び6は、A>3Bであり、側面部の高さが高すぎるため、側面部の底部側と端部とで溶融樹脂が固化するタイミングの差異が大きくなり、側面部の表面にシワが発生した。比較例8は、底部の径が20mm未満であり、底部における発泡力が小さかったため、帯状樹脂層が形成されず、3層構造になったと考えられる。
【符号の説明】
【0103】
1:第一のスキン層
2:第一の発泡層
3:帯状樹脂層
4:第二の発泡層
5:第二のスキン層
10A、10B、10C、10D:発泡成形品
11:底部
12:側面部
13:曲面部
21:ホッパ
22:加熱シリンダ
23:スクリュ
24:ノズル
25:ボンベ
26:超臨界流体発生部
27:注入制御部
40:溶融樹脂
100、100A、100B:金型
101:雄型
102:雌型
103:ランナ
104:樹脂注入口
110:キャビティ
111:キャビティの第一領域
112:キャビティの第二領域
113:キャビティの第三領域
200:超臨界射出成形装置

【要約】
本発明は、優れた耐衝撃性を有し、かつ、膨れの発生が抑制された発泡成形品、及び、該発泡成形品の製造方法を提供する。本発明の発泡成形品は、底部と、側面部とを備え、上記底部は、第一のスキン層と、第一の発泡層と、帯状樹脂層と、第二の発泡層と、第二のスキン層とをこの順に有する断面を有し、上記底部の径は、20mm以上であり、上記底部の厚さは、2.0mm以上であり、上記底部と上記側面部との成す角は、40°以上、89°以下であり、上記底部の上記側面部が配置された側と反対側の面から、上記側面部の上端までの長さをA、上記底部の径をBとするとき、B/3≦A≦3Bを満たす。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12