(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
搬送対象物が搭載される第1ハンドおよび第2ハンドと、前記第1ハンドが先端側に回動可能に連結される第1アームと、前記第2ハンドが先端側に回動可能に連結される第2アームと、前記第1アームの基端側および前記第2アームの基端側が回動可能に連結される共通アームと、前記共通アームが回動可能に連結される本体部とを備え、前記搬送対象物を搬送する水平多関節型の産業用ロボットにおいて、
前記共通アームは、前記本体部に連結されるベース部と、前記第1アームの基端側が連結される第1アーム連結部と、前記第2アームの基端側が連結される第2アーム連結部とを備え、
前記ベース部と前記第1アーム連結部と前記第2アーム連結部とは、別体で形成され、
前記第1アーム連結部および前記第2アーム連結部は、前記ベース部に着脱可能に固定されていることを特徴とする産業用ロボット。
前記第1アームに対して前記第1ハンドを回動させるとともに前記共通アームに対して前記第1アームを回動させる第1モータと、前記第2アームに対して前記第2ハンドを回動させるとともに前記共通アームに対して前記第2アームを回動させる第2モータとを備え、
前記第1モータは、前記第1アーム連結部に固定され、前記第2モータは、前記第2アーム連結部に固定されていることを特徴とする請求項2記載の産業用ロボット。
前記第1アームと前記共通アームとの連結部分である第1関節部を構成するとともに前記第1モータに連結される第1減速機と、前記第2アームと前記共通アームとの連結部分である第2関節部を構成するとともに前記第2モータに連結される第2減速機とを備え、
上下方向から見たときに、前記第1モータの軸心と前記第1減速機の軸心とがずれており、前記第2モータの軸心と前記第2減速機の軸心とがずれていることを特徴とする請求項3記載の産業用ロボット。
前記第1アームに対して前記第1ハンドを回動させるとともに前記共通アームに対して前記第1アームを回動させる第1モータと、前記第2アームに対して前記第2ハンドを回動させるとともに前記共通アームに対して前記第2アームを回動させる第2モータとを備え、
前記第1モータは、前記第1アーム連結部に固定され、前記第2モータは、前記第2アーム連結部に固定され、
前記第1モータの少なくとも一部および前記第2モータの少なくとも一部は、前記共通アームの下面から下側へ突出するとともに、上下方向から見たときに、前記第1モータおよび前記第2モータは、前記本体部よりも前記本体部の外周側に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の産業用ロボット。
上下方向から見たときに、前記共通アームに対する前記第1アームの回動中心と、前記本体部に対する前記共通アームの回動中心と、前記共通アームに対する前記第2アームの回動中心とを順次結ぶ線は、V字をなしていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の産業用ロボット。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハを搬送する産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、半導体ウエハが搭載される第1ハンドおよび第2ハンドと、第1ハンドが先端側に回動可能に連結される第1アームと、第2ハンドが先端側に回動可能に連結される第2アームと、第1アームの基端側および第2アームの基端側が回動可能に連結される共通アームと、共通アームが回動可能に連結される本体部とを備えている。また、この産業用ロボットは、第1アームに対して第1ハンドを回動させるとともに共通アームに対して第1アームを回動させる第1回動機構と、第2アームに対して第2ハンドを回動させるとともに共通アームに対して第2アームを回動させる第2回動機構とを備えている。
【0003】
第1回動機構は、本体部の一部を構成する中実回転軸と、中実回転軸を回動させるモータと、共通アームの内部に配置され中実回転軸の上端側に固定される第1プーリと、共通アームに固定される第1固定軸と、第1固定軸に回動可能に保持されるとともに共通アームの内部に配置され第1アームの基端側に固定される第2プーリと、第1プーリと第2プーリとに架け渡されるベルトと、第1固定軸の上端側に固定され第1アームの内部に配置される第3プーリと、第1アームの先端側に固定される第2固定軸と、第2固定軸に回動可能に保持されるとともに第1アームの内部に配置され第1ハンドに固定される第4プーリと、第3プーリと第4プーリとに架け渡されるベルトとを備えている。
【0004】
同様に、第2回動機構は、本体部の一部を構成する中空回転軸と、中空回転軸を回動させるモータと、共通アームの内部に配置され中空回転軸の上端側に固定される第5プーリと、共通アームに固定される第3固定軸と、第3固定軸に回動可能に保持されるとともに共通アームの内部に配置され第2アームの基端側に固定される第6プーリと、第5プーリと第6プーリとに架け渡されるベルトと、第2固定軸の上端側に固定され第2アームの内部に配置される第7プーリと、第2アームの先端側に固定される第4固定軸と、第4固定軸に回動可能に保持されるとともに第2アームの内部に配置され第2ハンドに固定される第8プーリと、第7プーリと第8プーリとに架け渡されるベルトとを備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、第1アームの基端側に固定される第2プーリが、共通アームに固定される第1固定軸に回動可能に保持されているため、産業用ロボットの組立後に、水平方向に対する共通アームの傾きを調整することで、水平方向に対する第1アームの傾きを調整することが可能である。また、この産業用ロボットでは、第2アームの基端側に固定される第6プーリが、共通アームに固定される第3固定軸に回転可能に保持されているため、産業用ロボットの組立後に、水平方向に対する共通アームの傾きを調整することで、水平方向に対する第2アームの傾きを調整することが可能である。
【0007】
しかしながら、この産業用ロボットでは、第1固定軸および第3固定軸が共通アームに固定されているため、水平方向に対する第1アームの傾きを調整すると、水平方向に対する第2アームの傾きが変わり、水平方向に対する第2アームの傾きを調整すると、水平方向に対する第1アームの傾きが変わる。すなわち、この産業用ロボットでは、産業用ロボットの組立後に、水平方向に対する第1アームの傾きと水平方向に対する第2アームの傾きとを個別に調整することは困難である。
【0008】
そこで、本発明の課題は、第1アームの基端側および第2アームの基端側が回動可能に連結される共通アームを備える産業用ロボットにおいて、産業用ロボットの組立後であっても、容易に、水平方向に対する第1アームの傾きと水平方向に対する第2アームの傾きとを個別に調整することが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、搬送対象物が搭載される第1ハンドおよび第2ハンドと、第1ハンドが先端側に回動可能に連結される第1アームと、第2ハンドが先端側に回動可能に連結される第2アームと、第1アームの基端側および第2アームの基端側が回動可能に連結される共通アームと、共通アームが回動可能に連結される本体部とを備え、
搬送対象物を搬送する水平多関節型の産業用ロボットにおいて、共通アームは、本体部に連結されるベース部と、第1アームの基端側が連結される第1アーム連結部と、第2アームの基端側が連結される第2アーム連結部とを備え、ベース部と第1アーム連結部と第2アーム連結部とは、別体で形成され、第1アーム連結部および第2アーム連結部は、ベース部に着脱可能に固定されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の産業用ロボットでは、本体部に連結されるベース部と、第1アームの基端側が連結される第1アーム連結部と、第2アームの基端側が連結される第2アーム連結部とが別体で形成され、第1アーム連結部および第2アーム連結部は、ベース部に着脱可能に固定されている。そのため、本発明では、産業用ロボットの組立後に、ベース部に対する第1アーム連結部の固定位置や傾きを調整することで、水平方向に対する第1アームの傾きを調整しても、水平方向に対する第2アームの傾きは変動しない。また、産業用ロボットの組立後に、ベース部に対する第2アーム連結部の固定位置や傾きを調整することで、水平方向に対する第2アームの傾きを調整しても、水平方向に対する第1アームの傾きは変動しない。したがって、本発明では、産業用ロボットの組立後であっても、容易に、水平方向に対する第1アームの傾きと水平方向に対する第2アームの傾きとを個別に調整することが可能になる。
【0011】
本発明において、たとえば、ベース部は、上下方向から見たときの形状が細長い長方形状となる直方体状に形成され、第1アーム連結部および第2アーム連結部は、上下方向から見たときの形状が略L形状となるブロック状に形成され、上下方向から見たときに、第1アーム連結部は、ベース部の長手方向の一端に固定され、第2アーム連結部は、ベース部の長手方向の他端に固定されている。上下方向から見たときの第1アーム連結部および第2アーム連結部の形状が略L形状となっていると、切削加工によって共通アームを一体で製造する場合に、共通アームを製造するために必要な材料の大きさが大きくなるおそれがあるが、本発明では、ベース部と第1アーム連結部と第2アーム連結部とが別体で形成されているため、切削加工によって共通アームを製造する場合に、共通アームを製造するために必要な材料の大きさを小さくすることが可能になる。したがって、共通アームを低コストで製造することが可能になる。
【0012】
本発明において、産業用ロボットは、たとえば、第1アームに対して第1ハンドを回動させるとともに共通アームに対して第1アームを回動させる第1モータと、第2アームに対して第2ハンドを回動させるとともに共通アームに対して第2アームを回動させる第2モータとを備え、第1モータは、第1アーム連結部に固定され、第2モータは、第2アーム連結部に固定されている。この場合には、第1モータおよび第2モータが本体部の内部に配置されている場合と比較して、第1モータの動力伝達機構の構成および第2モータの動力伝達機構の構成を簡素化することが可能になる。
【0013】
また、この場合には、産業用ロボットは、第1アームと共通アームとの連結部分である第1関節部を構成するとともに第1モータに連結される第1減速機と、第2アームと共通アームとの連結部分である第2関節部を構成するとともに第2モータに連結される第2減速機とを備え、上下方向から見たときに、第1モータの軸心と第1減速機の軸心とがずれており、第2モータの軸心と第2減速機の軸心とがずれていることが好ましい。このように構成すると、第1モータと第1減速機とが同軸上に配置されている場合と比較して、第1モータの配置の自由度を高めることが可能になる。また、第2モータと第2減速機とが同軸上に配置されている場合と比較して、第2モータの配置の自由度を高めることが可能になる。また、このように構成すると、第1減速機や第2減速機が、その径方向の中心に貫通孔が形成された中空減速機であれば、エアチューブや配線ケーブルを貫通孔に通すことが可能になる。
【0014】
本発明において、上下方向から見たときに細長い長方形状をなすベース部の短辺に平行な直線であって本体部に対する共通アームの回動中心を通過する直線を仮想線とすると、たとえば、上下方向から見たときに、第1アーム連結部と第2アーム連結部とは、仮想線に対して線対称に形成されている。
【0015】
本発明において、産業用ロボットは、第1アームに対して第1ハンドを回動させるとともに共通アームに対して第1アームを回動させる第1モータと、第2アームに対して第2ハンドを回動させるとともに共通アームに対して第2アームを回動させる第2モータとを備え、第1モータは、第1アーム連結部に固定され、第2モータは、第2アーム連結部に固定され、第1モータの少なくとも一部および第2モータの少なくとも一部は、共通アームの下面から下側へ突出するとともに、上下方向から見たときに、第1モータおよび第2モータは、本体部よりも本体部の外周側に配置されていることが好ましい。
【0016】
このように構成すると、第1モータが第1アーム連結部に固定され、第2モータが第2アーム連結部に固定されているため、本体部の内部に第1モータおよび第2モータが配置されている場合と比較して、本体部の高さを低くすることが可能になる。また、このように構成すると、第1モータの少なくとも一部および第2モータの少なくとも一部が共通アームの下面から下側へ突出しているため、第1モータの全体および第2モータの全体が共通アームの内部に配置されている場合と比較して、共通アームの高さを低くすることが可能になる。さらに、このように構成すると、上下方向から見たときに、第1モータおよび第2モータが本体部よりも本体部の外周側に配置されているため、第1モータおよび第2モータが上下方向で本体部と重なっている場合と比較して、上下方向における本体部と共通アームとの距離を近づけることが可能になる。したがって、第1ハンドおよび第2ハンドがアクセス可能な最低高さ(パスライン)を低くすることが可能になる。
【0017】
本発明において、上下方向から見たときに、共通アームに対する第1アームの回動中心と、本体部に対する共通アームの回動中心と、共通アームに対する第2アームの回動中心とを順次結ぶ線は、V字をなしていることが好ましい。このように構成すると、第1ハンドと第2ハンドとを上下方向で重ねることが可能になる。したがって、第1ハンドによる搬送対象物の搬入搬出動作の方向と、第2ハンドによる搬送対象物の搬入搬出動作の方向とが同じ方向である場合に、たとえば、第1ハンドによる搬送対象物の搬出動作終了後に、本体部に対して共通アームを回動させなくても、第2ハンドによる搬送対象物の搬入動作を開始することが可能になる。その結果、産業用ロボットのタクトタイムを短縮することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明では、第1アームの基端側および第2アームの基端側が回動可能に連結される共通アームを備える産業用ロボットにおいて、産業用ロボットの組立後であっても、容易に、水平方向に対する第1アームの傾きと水平方向に対する第2アームの傾きとを個別に調整することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の斜視図である。
図2は、
図1に示す産業用ロボット1の平面図である。
図3は、
図1に示す産業用ロボット1の正面図である。
【0022】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である半導体ウエハ(図示省略)を搬送するためのロボットであり、図示を省略する半導体の製造システムに組み込まれて使用される。このロボット1は、半導体ウエハが搭載される2個のハンド4、5と、ハンド4が先端側に回動可能に連結されるアーム6と、ハンド5が先端側に回動可能に連結されるアーム7と、アーム6、7の基端側が回動可能に連結される共通アーム8と、共通アーム8が回動可能に連結される本体部9とを備えている。
【0023】
ハンド4は、ハンド5よりも下側に配置されている。アーム6は、ハンド4よりも下側に配置されている。アーム7は、ハンド5よりも上側に配置されている。共通アーム8は、アーム6よりも下側に配置されている。また、共通アーム8は、本体部9よりも上側に配置されている。本形態のハンド4は第1ハンドであり、ハンド5は第2ハンドであり、アーム6は第1アームであり、アーム7は第2アームである。
【0024】
本体部9は、略円筒状に形成されている。この本体部9は、上側本体部12と、上側本体部12を上下動可能に保持する下側本体部13とを備えている。上側本体部12の内部には、共通アーム8を回動させる回動機構(図示省略)と、この回動機構と一緒に共通アーム8を昇降させる昇降機構(図示省略)とが配置されている。下側本体部13の内部には、上側本体部12を昇降させる昇降機構(図示省略)が配置されている。
【0025】
共通アーム8は、上下方向から見たときの形状が細長い略長方形状となるブロック状に形成されている。また、共通アーム8は、中空状に形成されている。上下方向から見たときの共通アーム8の長さは、本体部9の外径よりも長くなっている。アーム6、7は、上下方向から見たときの形状が細長い長円形状となるとともに上下方向の厚さが薄いブロック状に形成されている。本形態では、アーム6の長さとアーム7の長さとが等しくなっている。また、アーム6、7は、中空状に形成されている。本形態のアーム6、7および共通アーム8は、切削加工で形成されている。
【0026】
アーム6の基端側は、上下方向から見たときの形状が細長い略長方形状となる共通アーム8の一端側に回動可能に連結され、アーム7の基端側は、共通アーム8の他端側に回動可能に連結されている。アーム6と共通アーム8との連結部分は、関節部14となっている。アーム7と共通アーム8との連結部分は、関節部15となっている。本形態の関節部14は第1関節部であり、関節部15は第2関節部である。
【0027】
また、ロボット1は、アーム6に対してハンド4を回動させるとともに共通アーム8に対してアーム6を回動させる駆動機構16(
図4参照)と、アーム7に対してハンド5を回動させるとともに共通アーム8に対してアーム7を回動させる駆動機構17(
図4参照)とを備えている。以下、共通アーム8の具体的な構成および駆動機構16、17の構成について説明する。
【0028】
(共通アームおよび駆動機構の構成)
図4は、
図1に示す共通アーム8および駆動機構16、17の構成を説明するための断面図である。
図5は、
図1に示す共通アーム8の平面図である。
【0029】
共通アーム8は、本体部9に連結されるベース部20と、アーム6の基端側が連結される第1アーム連結部21と、アーム7の基端側が連結される第2アーム連結部22とを備えている。ベース部20と第1アーム連結部21と第2アーム連結部22とは別体で形成されており、ベース部20と第1アーム連結部21と第2アーム連結部22とが固定されて一体化されることで共通アーム8が構成されている。本形態では、第1アーム連結部21および第2アーム連結部22がベース部20に着脱可能に固定されている。また、上述のように、共通アーム8は切削加工で形成されており、共通アーム8を構成するベース部20、第1アーム連結部21および第2アーム連結部22は切削加工で形成されている。
【0030】
ベース部20は、上下方向から見たときの形状が細長い長方形状となるとともに上下方向の厚さが薄いブロック状に形成されている。ベース部20の中心には、上側本体部12の内部に配置される回動機構を構成する中空減速機の出力軸が固定されている。
図5に示すように、上下方向から見たときの形状が細長い長方形状となるベース部20の長手方向(ベース部20の長辺に平行な方向、
図5のX方向)を左右方向とし、左右方向に直交するベース部20の短手方向(ベース部20の短辺に平行な方向、
図5のY方向)を前後方向とすると、左右方向におけるベース部20の両端には、第1アーム連結部21および第2アーム連結部22のそれぞれを固定するための固定部20aが形成されている。固定部20aの上面は、ベース部20の、固定部20aを除いた部分の上面よりも低くなっている。なお、以下の説明では、
図5のY1方向側を「前」側とし、Y2方向側を「後(後ろ)」側とする。
【0031】
図5に示すように、第1アーム連結部21および第2アーム連結部22は、上下方向から見たときの形状が略L形状となるブロック状に形成されている。第1アーム連結部21は、左右方向におけるベース部20の一端に固定され、第2アーム連結部22は、左右方向におけるベース部20の他端に固定されている。また、
図5に示すように、上下方向から見たときに前後方向に平行な直線であって本体部9に対する共通アーム8の回動中心C1を通過する直線を仮想線L1とすると、上下方向から見たときに、第1アーム連結部21と第2アーム連結部22とは、仮想線L1に対して線対称に形成されている。
【0032】
図4に示すように、第1アーム連結部21には、略円筒状の筒部21aが形成され、第2アーム連結部22には、略円筒状の筒部22aが形成されている。筒部21aの一部は、ベース部20よりも下側に突出している。筒部22aは、ベース部20よりも上側に突出している。また、筒部21a、22aの一部は、ベース部20の後端面よりも後ろ側へ突出しており、第1アーム連結部21および第2アーム連結部22は、上述のように、上下方向から見たときの形状が略L形状となるブロック状に形成されている。また、筒部21aの一部が下側に突出し、筒部22aが上側へ突出しているため、第1アーム連結部21および第2アーム連結部22の前後方向から見たときの形状も略L形状となっている。
【0033】
また、第1アーム連結部21および第2アーム連結部22には、ベース部20の固定部20aに載置されて固定される被固定部21b、22bが形成されている。被固定部21b、22bは、固定部20aに載置された状態で、複数のネジ24によって固定部20aに着脱可能に固定されている。また、被固定部21b、22bと固定部20aとは、位置決めピン25によって位置決めされている(
図4参照)。
【0034】
被固定部21bが固定部20aに固定された状態では(すなわち、第1アーム連結部21がベース部20に固定された状態では)、上下方向において、第1アーム連結部21の上面とベース部20の上面とが略一致している。また、被固定部21bが固定部20aに固定された状態では、前後方向において、第1アーム連結部21の前端面とベース部20の前端面とが略一致し、被固定部21bの後端面とベース部20の後端面とが略一致している。
【0035】
同様に、被固定部22bが固定部20aに固定された状態では(すなわち、第2アーム連結部22がベース部20に固定された状態では)、上下方向において、第2アーム連結部22の下面とベース部20の下面とが略一致している。また、被固定部22bが固定部20aに固定された状態では、前後方向において、第2アーム連結部22の前端面とベース部20の前端面とが略一致し、被固定部22bの後端面とベース部20の後端面とが略一致している。
【0036】
駆動機構16は、アーム6に対してハンド4を回動させるとともに共通アーム8に対してアーム6を回動させるモータ27と、モータ27に連結される減速機28とを備えている。駆動機構17は、アーム7に対してハンド5を回動させるとともに共通アーム8に対してアーム7を回動させるモータ29と、モータ29に連結される減速機30とを備えている。モータ29は、モータ27と同形状かつ同仕様のモータである。減速機30は、減速機28と同形状かつ同仕様の減速機である。本形態のモータ27は第1モータであり、モータ29は第2モータである。また、減速機28は第1減速機であり、減速機30は第2減速機である。
【0037】
減速機28は、その径方向の中心に貫通孔が形成された中空減速機である。この減速機28は、その軸心と第1アーム連結部21の筒部21aの軸心とが一致するように配置されている。減速機28の軸心は、共通アーム8に対するアーム6の回動中心C2と一致しており、減速機28は、関節部14を構成している。モータ27は、第1アーム連結部21に固定されている。また、モータ27は、減速機28よりも前側に配置されている。すなわち、上下方向から見たときに、モータ27の軸心と減速機28の軸心とがずれている。また、モータ27の大半部分は、第1アーム連結部21の下端よりも下側へ突出している。すなわち、モータ27の大半部分は、共通アーム8の下面から下側へ突出している。また、モータ27は、上下方向から見たときに、本体部9よりも本体部9の外周側に配置されており、
図3に示すように、モータ27の大半部分は、水平方向において、本体部9と重なっている。
【0038】
モータ27の出力軸は、上側へ突出しており、この出力軸には、プーリ(図示省略)が固定されている。
図4に示すように、減速機28の入力軸の下端側には、プーリ33が固定されている。プーリ33は、第1アーム連結部21の筒部21aの内部に配置されている。モータ27の出力軸に固定されるプーリとプーリ33とにはベルト(図示省略)が架け渡されている。減速機28の出力軸には、アーム6の基端側が固定され、減速機28のケースは、筒部21aの内周側に固定されている。減速機28の入力軸の上端側には、プーリ34が固定されている。プーリ34は、アーム6の基端側の内部に配置されている。ハンド4には、アーム6の先端側の内部に配置されるプーリ(図示省略)が固定されている。このプーリとプーリ34とにはベルト35が架け渡されている。なお、ハンド4に固定されるプーリは、アーム6の先端側に固定される固定軸に回動可能に保持されている。
【0039】
減速機30は、その径方向の中心に貫通孔が形成された中空減速機である。この減速機30は、その軸心と第2アーム連結部22の筒部22aの軸心とが一致するように配置されている。減速機30の軸心は、共通アーム8に対するアーム7の回動中心C3と一致しており、減速機30は、関節部15を構成している。モータ29は、第2アーム連結部22に固定されている。また、モータ29は、減速機30よりも前側に配置されている。すなわち、上下方向から見たときに、モータ29の軸心と減速機30の軸心とがずれている。また、モータ29の下端側の一部は、第2アーム連結部22の下端よりも下側へ突出している。すなわち、モータ29の下端側の一部は、共通アーム8の下面から下側へ突出している。また、モータ29は、上下方向から見たときに、本体部9よりも本体部9の外周側に配置されており、
図3に示すように、モータ29の下端側の一部は、水平方向において、本体部9と重なっている。
【0040】
モータ29の出力軸は、上側へ突出しており、この出力軸には、プーリ(図示省略)が固定されている。
図4に示すように、減速機30の入力軸の下端側には、プーリ36が固定されている。プーリ36は、第2アーム連結部22の筒部22aの内部に配置されている。モータ29の出力軸に固定されるプーリとプーリ36とにはベルト(図示省略)が架け渡されている。減速機30の出力軸には、アーム7の基端側が固定され、減速機30のケースは、筒部22aの内周側に固定されている。減速機30の入力軸の上端側には、プーリ37が固定されている。プーリ37は、アーム7の基端側の内部に配置されている。ハンド5には、アーム7の先端側の内部に配置されるプーリ(図示省略)が固定されている。このプーリとプーリ37とにはベルト38が架け渡されている。なお、ハンド5に固定されるプーリは、アーム7の先端側に固定される固定軸に回動可能に保持されている。
【0041】
本形態では、
図5に示すように、上下方向から見たときに、回動中心C1と回動中心C2と回動中心C3とが1つの直線上に配置されていない。すなわち、上下方向から見たときに、回動中心C2と回動中心C1と回動中心C3とを順次結ぶ線は、V字をなしている。すなわち、本形態のロボット1は、いわゆるブーメラン型のロボットである。また、本形態では、アーム6、7の先端側が最も後ろ側に配置された状態(
図1、
図2に示す状態)では、ハンド4とハンド5とが上下方向で完全に重なっている。
【0042】
なお、上述のように、モータ29は、モータ27と同形状かつ同仕様のモータであり、減速機30は、減速機28と同形状かつ同仕様の減速機である。また、駆動機構16を構成するプーリ33等の各部品と、駆動機構17を構成するプーリ36等の各部品とは、同形状かつ同仕様のものである。すなわち、本形態では、駆動機構16と駆動機構17とは共通の部品によって構成されている。また、本形態では、共通の部品によって構成される駆動機構16と駆動機構17とが上下方向にずれた状態で配置されている。すなわち、本形態では、駆動機構16と駆動機構17とは、互いにその配置高さを変えることで共通化されている。
【0043】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、共通アーム8を構成するベース部20と第1アーム連結部21と第2アーム連結部22とが別体で形成されており、第1アーム連結部21および第2アーム連結部22がベース部20に着脱可能に固定されている。そのため、本形態では、ロボット1の組立後に、ベース部20に対する第1アーム連結部21の固定位置や傾きを調整することで、水平方向に対するアーム6の傾きを調整しても、水平方向に対するアーム7の傾きは変動しない。また、ロボット1の組立後に、ベース部20に対する第2アーム連結部22の固定位置や傾きを調整することで、水平方向に対するアーム7の傾きを調整しても、水平方向に対するアーム6の傾きは変動しない。したがって、本形態では、ロボット1の組立後であっても、容易に、水平方向に対するアーム6の傾きと水平方向に対するアーム7の傾きとを個別に調整することが可能になる。
【0044】
また、本形態では、ベース部20と第1アーム連結部21と第2アーム連結部22とが別体で形成されているため、筒部21a、22aの一部がベース部20の後端面よりも後ろ側へ突出するように共通アーム8が形成されていても、左右方向に細長いベース部20を直方体状に形成すれば良い。したがって、本形態では、切削加工によって製造される共通アーム8が一体で形成されている場合と比較して、共通アーム8を製造するために必要な材料の大きさを小さくすることが可能になり、その結果、共通アーム8の製造コストを低減することが可能になる。
【0045】
本形態では、モータ27は、第1アーム連結部21に固定され、モータ29は、第2アーム連結部22に固定されている。そのため、本形態では、モータ27、29が本体部9の内部に配置されている場合と比較して、駆動機構16、17の構成を簡素化することが可能になる。すなわち、モータ27、29が本体部9の内部に配置されている場合には、モータ27、29の動力を本体部9から左右方向の外側へ伝達した後に、さらに後ろ側に伝達するための構成を共通アーム8の内部に設ける必要があるが、本形態では、モータ27、29の動力を伝達するプーリ33、36等を設ければ良い。したがって、本形態では、モータ27、29が本体部9の内部に配置されている場合と比較して、駆動機構16、17の構成を簡素化することが可能になる。
【0046】
また、本形態では、モータ27が第1アーム連結部21に固定され、モータ29が第2アーム連結部22に固定されているため、モータ27、29が本体部9の内部に配置されている場合と比較して、本体部9の高さを低くすることが可能になる。また、本形態では、モータ27の大半部分およびモータ29の下端側の一部が共通アーム8の下面から下側へ突出しているため、モータ27、29の全体が共通アーム8の内部に配置されている場合と比較して、共通アーム8の高さを低くすることが可能になる。さらに、本形態では、モータ27、29が、上下方向から見たときに本体部9よりも本体部9の外周側に配置されており、モータ27の大半部分およびモータ29の下端側の一部が、水平方向において本体部9と重なっているため、モータ27、29が上下方向で本体部9と重なっている場合と比較して、上下方向における本体部9と共通アーム8との距離を近づけることが可能になる。したがって、本形態では、ハンド4、5がアクセス可能な最低高さ(パスライン)を低くすることが可能になる。
【0047】
本形態では、関節部14を構成する減速機28の軸心とモータ27の軸心とがずれている。そのため、本形態では、モータ27と減速機28とが同軸上に配置されている場合と比較して、モータ27の配置の自由度を高めることが可能になる。同様に、本形態では、関節部15を構成する減速機30の軸心とモータ29の軸心とがずれているため、モータ29と減速機30とが同軸上に配置されている場合と比較して、モータ29の配置の自由度を高めることが可能になる。また、本形態では、減速機28の軸心とモータ27の軸心とがずれているため、中空減速機である減速機28の貫通孔に、エアチューブや配線ケーブルを通すことが可能になる。同様に、本形態では、減速機30の軸心とモータ29の軸心とがずれているため、中空減速機である減速機30の貫通孔に、冷却用のエアチューブや配線ケーブルを通すことが可能になる。
【0048】
本形態では、ハンド4は、アーム6の上側に配置され、ハンド5は、アーム7の下側に配置されている。そのため、本形態では、アーム6とアーム7との干渉を防止しつつ、上下方向におけるハンド4とハンド5との間隔を狭くすることが可能になる。また、本形態では、上下方向におけるハンド4とハンド5との間隔を狭くすることが可能になるため、ハンド4の上側に配置されるハンド5がアクセス可能な最低高さ(パスライン)を低くすることが可能になる。
【0049】
本形態では、上下方向から見たときに、共通アーム8に対するアーム6の回動中心C2と、本体部9に対する共通アーム8の回動中心C1と、共通アーム8に対するアーム7の回動中心C3とを順次結ぶ線はV字をなしている。そのため、本形態では、上述のように、アーム6、7の先端側が最も後ろ側に配置された状態において、ハンド4とハンド5とが上下方向で完全に重なる。したがって、本形態では、ハンド4による半導体ウエハの搬入搬出動作の方向と、ハンド5による半導体ウエハの搬入搬出動作の方向とが同じ方向である場合に、たとえば、ハンド4による半導体ウエハの搬出動作終了後に、本体部9に対して共通アーム8を回動させなくても、ハンド5による半導体ウエハの搬入動作を開始することが可能になる。その結果、本形態では、ロボット1のタクトタイムを短出することが可能になる。
【0050】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0051】
上述した形態では、第1アーム連結部21および第2アーム連結部22は、上下方向から見たときの形状が略L形状となるブロック状に形成されている。この他にもたとえば、第1アーム連結部21および第2アーム連結部22は、上下方向から見たときの形状が略長方形状等となるブロック状に形成されても良い。この場合には、共通アーム8は、たとえば、上下方向から見たときの形状が細長い略長方形状となるブロック状に形成される。また、この場合には、上下方向から見たときに、回動中心C1と回動中心C2と回動中心C3とが1つの直線上に配置されても良い。また、共通アーム8は、上下方向から見たときの形状が略V形状となるように形成されても良い。
【0052】
上述した形態では、モータ27は第1アーム連結部21に固定され、モータ29は第2アーム連結部22に固定されている。この他にもたとえば、モータ27、29は本体部9の内部に配置されても良い。また、上述した形態では、モータ27、29の一部は共通アーム8の下面から下側へ突出しているが、モータ27、29の全体が共通アーム8の内部に配置されても良い。さらに、上述した形態では、モータ27、29は、上下方向から見たときに本体部9よりも本体部9の外周側に配置されているが、モータ27、29は、上下方向で本体部9と重なるように配置されても良い。
【0053】
上述した形態において、アーム6、7は、互いに回動可能な2個のアーム部によって構成されても良い。また、上述した形態では、第1アーム連結部21と第2アーム連結部22とは、仮想線L1に対して線対称に形成されているが、第1アーム連結部21と第2アーム連結部22とは、仮想線L1に対して線対称に形成されていなくても良い。また、上述した形態では、上下方向から見たときに、モータ27の軸心と減速機28の軸心とがずれているが、モータ27と減速機28とが同軸上に配置されても良い。同様に、上述した形態では、上下方向から見たときに、モータ29の軸心と減速機30の軸心とがずれているが、モータ29と減速機30とが同軸上に配置されても良い。また、上述した形態では、ロボット1によって搬送される搬送対象物は半導体ウエハであるが、ロボット1は、液晶ディスプレイ用のガラス基板等の他の搬送対象物を搬送しても良い。