(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0013】
図1には、本発明の第一実施形態の縦葺き屋根材1が示されている。本実施形態の縦葺き屋根材1は、縦葺き用の屋根材である。縦葺き屋根材1は、
図3Dに示す本発明の第一実施形態の屋根構造のように、ねじ等の固定具4で打ち付けられる吊子2を用いて、屋根下地3上に取り付けられる。
【0014】
縦葺き屋根材1は、例えば、片流れ屋根に設置される。以下では、片流れ屋根の水上側を棟側とし、水下側を軒側とし、軒棟方向に対して直交し且つ片流れ屋根の屋根面に沿う方向を左右方向とし、片流れ屋根の屋根面に対して直交する方向を上下方向として、各構成について説明する。つまり、
図1においては、矢印X1で示す方向が棟側であり、その反対方向が軒側であり、矢印Y1で示す方向が右方向であり、その反対方向が左方向であり、矢印Z1で示す方向が上方向であり、その反対方向が下方向である。
【0015】
縦葺き屋根材1は、矩形板状の本体部10と、上方に突出し下方に開口するように溝状に折れ曲がったカバー部11と、被係止部12と、水返し部13とを備える。カバー部11は、本体部10の左右方向の一端部(本実施形態では左端部)に連続する。被係止部12は、カバー部11のうち本体部10から離れた側の端部(本実施形態では左端部)から本体部10に向けて突出している。水返し部13は、本体部10の左右方向の他端部(本実施形態では右端部)から上方(本実施形態では右上方向)に突出している。カバー部11及び水返し部13は、本体部10の軒棟方向に亘って位置し、被係止部12は、カバー部11の軒棟方向に亘って位置する。つまり、縦葺き屋根材1は、軒棟方向に亘って、
図2に示す断面形状を有する。
【0016】
カバー部11は、本体部10の左端部から上方に突出する第一側板部14と、第一側板部14の上端部から左方向に突出する天板部15と、天板部15の左端部から下方に突出する第二側板部16とを有する。第一側板部14、天板部15及び第二側板部16はいずれも、矩形板状である。第一側板部14と第二側板部16とは、互いに略平行である。天板部15は、本体部10に対して略平行である。第二側板部16の上下長さは、第一側板部14の上下長さよりもやや短い。
【0017】
カバー部11は、
図3Cに示すように、縦葺き屋根材1を屋根下地3上に載せた状態で、屋根下地3との間で吊子2が収められるスペースS1を形成する。スペースS1は、吊子2が収まる第一スペースS2と、第一スペースS2の側方(本実施形態では右方)に位置する第二スペースS3とを含む。第二スペースS3は、屋根下地3から上方に突出する部材(本実施形態では後述する瓦棒50と心木52とキャップ53)を収めるための空間である。
【0018】
被係止部12は、
図1及び
図2に示すように、カバー部11の第二側板部16の下端部から右方向に突出している。被係止部12は、その左右方向の中央部に、上方に突出するように折れ曲がった引掛け部17を有する。そして、被係止部12は、その先端部(右端部)が上側に折り返された形状となっている。被係止部12は、先端側の下端120の高さ位置が、基部側の下端121の高さ位置よりもやや下方に位置するように設けられている。なお、被係止部12は、その先端部(右端部)が折り返しされていない形状であってもよい。
【0019】
縦葺き屋根材1は、例えば、矩形のシート状の金属板を、ロール成形機を用いて折り曲げ加工することで形成される。前記金属板は、溶融亜鉛アルミ合金めっき鋼板やカラー鋼板等である。前記金属板としては、例えば、左右幅が914mmや1000mmや1060mmのものが用いられる。また、前記金属板としては、例えば、厚みが0.35mmのものが用いられる。また、前記金属板としては、例えば、軒棟方向の長さが約10mのものが用いられる。なお、前記金属板の左右幅や厚みや軒棟方向の長さは、上記のサイズに限定されない。
【0020】
縦葺き屋根材1は、例えば、カバー部11の左右幅L1が100mm、本体部10の左右方向の働き幅L2が230mm以上(
図2では230mm)、縦葺き屋根材1全体の左右方向の働き幅L3が330mm以上(
図2では330mm)となるように形成される。ここで、上記の左右方向の働き幅とは、屋根下地3上に取り付けた状態で上方に露出する部位の左右幅を意味する。そして、縦葺き屋根材1は、カバー部11の上下長さL4が31mm、被係止部12の左右幅L5が14mm、被係止部12の引掛け部17の上端から基部側の下端121までの上下長さL6が5mmとなるように形成される。そして、縦葺き屋根材1は、被係止部12の先端側の下端120が基部側の下端121よりも1mm下方に位置するように形成される。そして、縦葺き屋根材1は、軒棟方向の長さL7が、例えば、約10mとなるように形成される。なお、縦葺き屋根材1の軒棟方向の長さL7は、搬送車にて搬送可能な範囲で適宜設定してもよいし、また、屋根下地3の軒棟方向の長さと略同じとなるように適宜設定してもよい。
【0021】
なお、縦葺き屋根材1の各長さL1〜L6はそれぞれ、設置箇所に合わせて適宜設定可能である。また、縦葺き屋根材1の被係止部12の基部側の下端121は、先端側の下端120よりも1mm以上、上方に位置していてもよい。
【0022】
吊子2は、
図3B〜D及び
図4A〜Cに示すように、固定具4で打ち付けられる矩形板状の固定部20と、固定部20の左右方向の一端部(本実施形態では左端部)から延長した係止部21とを有する。吊子2は、例えば、縦葺き屋根材1よりも肉厚の鋼板で形成される。
【0023】
固定部20は、上下方向に貫通する挿通孔を有する。この挿通孔に、固定具4が打ち込まれる。固定部20の下面には、シール部材6がブチルテープ等で貼り付けられている。シール部材6は、例えば、粘着性を有するパッキンである。
【0024】
係止部21は、縦葺き屋根材1の被係止部12を係止可能な形状に形成されている。本実施形態では、係止部21は、固定部20の左端部から上方(本実施形態では左上方)に突出した立ち上がり片部22と、立ち上がり片部22の上端部から左方向に突出した抑え片部23を有する。抑え片部23は、左寄りの部分に、下方に突出するように折れ曲がった抜け止め部24を有する。抑え片部23は、抜け止め部24よりも左側の部分が、左側ほど上方に位置するように傾斜している。
【0025】
屋根下地3は、野地板30と、その上面を覆うルーフィングとで構成される。ルーフィングは、フェルトにアスファルトをしみこませた防水材等である。なお、屋根下地3は、上面に防水処理が施された野地板30のみで構成され、ルーフィングを有さないものであってもよい。
【0026】
本実施形態では、屋根下地3上には、瓦棒葺き屋根5が設置されている。瓦棒葺き屋根5は、左右の端部に立ち上がった形状の瓦棒50を有する溝板51と、左右に並ぶ溝板51の隣接する瓦棒50間に配される心木52と、左右に並ぶ溝板51の隣接する瓦棒50とその間の心木52とを覆うキャップ53とを有する。瓦棒葺き屋根5は、溝板51、心木52及びキャップ53をそれぞれ複数有する。左右に並ぶ心木52は、溝板51の左右幅分だけ離れて位置する。なお、瓦棒葺き屋根5は、心木52の代わりに通し吊子を有するものであってもよい。通し吊子は、軒棟方向に長尺なものであり、底板とその左右の端部から上方に突出した側板とを有する。また、瓦棒葺き屋根5は、上記の通し吊子や心木52を有さず、左右に並ぶ溝板51の隣接する瓦棒50間に空きスペースを形成したものであってもよい。
【0027】
続いて、本実施形態の屋根構造の施工方法の一例について説明する。
【0028】
まず、左右に並ぶ2枚の溝板51のうち左側の溝板51上に、屋根材100を載せる。ここで、屋根材100は、縦葺き屋根材1と同じものであってもよいし、縦葺き屋根材1とは異なる他の形状のものであってもよい。屋根材100は、縦葺き屋根材1の本体部10と同形状の本体部101と、水返し部13と同形状の水返し部102を少なくとも有する。
【0029】
次いで、屋根材100の本体部101上に、吊子2の固定部20を載せる。このとき、吊子2の固定部20は、本体部101の右端部上に載せる。次いで、固定部20に上方から固定具4を打ち込んで、吊子2と屋根材100とを、
図3Bに示すように、溝板51を介して屋根下地3上に固定する。
【0030】
次いで、縦葺き屋根材1を、左右に並ぶ2枚の溝板51のうち右側の溝板51上に本体部10が位置し、屋根材100上に固定された吊子2と、左右に並ぶ2枚の溝板51の隣接する2つの瓦棒50とがカバー部11の内側のスペースS1に収まるように、屋根下地3上に載せる。ここで、縦葺き屋根材1を、被係止部12が屋根材100上の吊子2の係止部21の左側に距離を置いて位置するように、屋根下地3上に載せる。このとき、縦葺き屋根材1の被係止部12は、先端側の下端120が屋根材100に当たり、基部側の下端121が屋根材100との間に上下方向に隙間を介して位置する。
【0031】
次いで、
図4A〜Cに示すように、縦葺き屋根材1を右方向に移動させて、被係止部12を、屋根材100上の吊子2の係止部21に係止させる。このとき、被係止部12の引掛け部17が係止部21の抜け止め部24を右側に乗り越えることで、被係止部12が係止部21に係止される。被係止部12が係止部21に係止された状態では、被係止部12は、係止部21の抑え片部23によって下方に押されて、被係止部12の基部側の下端121も屋根材100に当たる。
【0032】
次いで、
図3Cに示すように、縦葺き屋根材1の本体部10の右端部上に、他の吊子2の固定部20を載せ、この固定部20に上方から固定具4を打ち込んで、他の吊子2と縦葺き屋根材1とを、溝板51を介して屋根下地3上に固定する。
【0033】
次いで、同様の手順で、
図3Dに示すように、他の縦葺き屋根材1を屋根下地3上に固定する。
【0034】
上記の手順を繰り返すことで、瓦棒葺き屋根5上には、複数の縦葺き屋根材1が左右方向に並んで取り付けられる。このとき、瓦棒葺き屋根5の各瓦棒50、各心木52、及び各キャップ53はそれぞれ、その上に設置された各縦葺き屋根材1のカバー部11内の第二スペースS3に収められる。そして、各溝板51は、縦葺き屋根材1や屋根材100によって覆われる。また、各屋根材1,100上に取り付けた吊子2はそれぞれ、その上に設置された各縦葺き屋根材1のカバー部11内の第一スペースS2に収められる。
【0035】
以上のように本実施形態の屋根構造では、縦葺き屋根材1が、瓦棒葺き屋根5を全体的に覆うように屋根下地3上に取り付けられる。したがって、本実施形態の縦葺き屋根材1は、瓦棒葺き屋根5の改修に用いることができる。また、本実施形態の縦葺き屋根材1は、瓦棒50を覆うカバー部11が、溝板51上に載せる板状の本体部10と一体に設けられているため、従来例のように別体に設けたものに比べて、部品点数を少なくでき、施工性が向上したものとなっている。
【0036】
また、本実施形態の屋根構造では、強風のときなどに、
図5の実線で示すように、カバー部11の右端部が上方に浮き上がる場合がある。しかし、このとき、本実施形態の屋根構造では、吊子2の係止部21の抜け止め部24によって、縦葺き屋根材1の被係止部12の引掛け部17が抜け出ることが抑制される。また、本実施形態の屋根構造では、上方に浮き上がったカバー部11の右端部は、自重により、元の位置へと戻ることができる。したがって、本実施形態の屋根構造は、強風に対する耐性を有するものとなっている。
【0037】
また、本実施形態の縦葺き屋根材1は、右端部の水返し部13が、上方に折れ曲がったシンプルな形状であるため、右端部をフラットに戻すことや下方に折り曲げることや切断することが簡単に行える。そのため、本実施形態の縦葺き屋根材1は、屋根下地3上のうち妻側の端部(右端部)の形状に合わせて切断したり、妻側の端部(右端部)を包むように下方に折り返したりすることが簡単に行える。
【0038】
また、本実施形態の屋根構造では、被係止部12が係止部21に係止された状態で、被係止部12の先端側の下端120と基部側の下端121がそれぞれ屋根材100に当たり、被係止部12と屋根材100との間に減圧空間が形成される。これにより、本実施形態の屋根構造では、カバー部11内のうち被係止部12よりも右側の領域に雨水が浸入することが抑制される。また、本実施形態の屋根構造では、吊子2の固定部20の下面に設けたシール部材6によって、屋根材100や縦葺き屋根材1に打ち込まれた固定具4の周囲から屋根下地3へと雨水が浸入することも抑制できる。また、本実施形態の屋根構造では、水返し部102によって、雨水が水返し部102よりも右側の屋根下地3上へ至ることが抑制される。
【0039】
なお、上述した本実施形態の屋根構造では、吊子2を本体部10,101の右端部上に設置する例について説明したが、吊子2の設置位置は、縦葺き屋根材1のカバー部11内に吊子2と瓦棒50が収まる範囲で、適宜変更可能である。したがって、本実施形態の屋根構造では、縦葺き屋根材1とその左右に並ぶ屋根材100とは、重ね代を変えて働き幅を調整することが可能である。
【0040】
続いて、
図6に示す本発明の第二実施形態の屋根構造について説明する。第二実施形態の屋根構造においても、第一実施形態と同様の縦葺き屋根材1が用いられる。なお、第二実施形態の屋根構造について、第一実施形態の屋根構造と同様の構成については図中に同じ符号を付けて、詳しい説明を省略する。
【0041】
本実施形態の屋根構造では、屋根下地3上には瓦棒葺き屋根5が設置されておらず、縦葺き屋根材1上に機能パネル7を取り付けるための取付具8が、屋根下地3上に固定されている。機能パネル7は、太陽光発電パネル等である。
【0042】
取付具8は、縦葺き屋根材1を介して機能パネル7を支持する天板部80と、天板部80の軒棟方向の端部からそれぞれ下方に延長された脚部81と、各脚部81の下端部から軒棟方向外側に延長された固定部82とを有する。固定部82には、上下方向に貫通する挿通孔が設けられており、この挿通孔には、固定部82を屋根下地3に固定するねじ等の固定具83が打ち込まれる。また、取付具8は、天板部80の左右方向の端部からそれぞれ下方に延長された補強片84を有する。天板部80には、縦葺き屋根材1を介して機能パネル7が載置され、その上方からドリルねじ等の固定具9が打ち込まれ、これにより、機能パネル7は天板部80に固定される。
【0043】
取付具8は、機能パネル7の取付位置に合わせて、屋根下地3上に複数取り付けられる。例えば、取付具8は、機能パネル7の軒棟方向の両端部の下方となる箇所に、2つずつ左右方向に距離をおいて配置される。
【0044】
本実施形態の屋根構造の施工方法は、上述した第一実施形態の屋根構造の施工方法と略同じであるため、詳しい説明を省略する。本実施形態の屋根構造の施工方法では、瓦棒50ではなく取付具8に合わせて、屋根材100,縦葺き屋根材1を設置する。また、本実施形態の屋根構造の施工方法では、溝板51を介してではなく屋根下地3に直接、屋根材100,縦葺き屋根材1を固定する。
【0045】
本実施形態の屋根構造では、上面に複数の取付具8が固定された屋根下地3上に、複数の縦葺き屋根材1が左右方向に並んで取り付けられる。そして、複数の取付具8はそれぞれ、その上に設置された各縦葺き屋根材1のカバー部11内の第二スペースS3に収められる。そして、複数の取付具8間の屋根下地3はそれぞれ、縦葺き屋根材1や屋根材100によって覆われる。また、各屋根材1,100の上に取り付けた吊子2はそれぞれ、その上に設置された各縦葺き屋根材1のカバー部11内の第一スペースS2に収められる。
【0046】
以上のように本実施形態の屋根構造では、上面に複数の取付具8が固定された屋根下地3を全体的に覆うように、縦葺き屋根材1が屋根下地3上に取り付けられる。したがって、本実施形態の縦葺き屋根材1は、機能パネル7の設置に対応した屋根材として用いることができる。また、本実施形態の縦葺き屋根材1は、取付具8を覆うカバー部11が、屋根下地3上に載せる板状の本体部10と一体に設けられているため、従来例のように別体に設けたものに比べて、部品点数を少なくでき、施工性が向上したものとなっている。
【0047】
続いて、
図7に示す本発明の第三実施形態の屋根構造について説明する。第三実施形態の屋根構造においても、第一実施形態と同様の縦葺き屋根材1が用いられる。なお、第三実施形態の屋根構造について、第一実施形態の屋根構造と同様の構成については図中に同じ符号を付けて、詳しい説明を省略する。
【0048】
本実施形態の屋根構造では、屋根下地3上には上方に突出する部材(瓦棒50や取付具8)が設置されていない。
【0049】
本実施形態の屋根構造の施工方法は、上述した第一実施形態の屋根構造の施工方法と略同じであるため、詳しい説明を省略する。本実施形態の屋根構造の施工方法では、屋根材100,縦葺き屋根材1は、屋根下地3の左右方向の縁に合わせる等して、屋根下地3上に固定する。また、本実施形態の屋根構造の施工方法では、溝板51を介してではなく屋根下地3に直接、屋根材100,縦葺き屋根材1を固定する。
【0050】
本実施形態の屋根構造では、上面に上方に突出する部材が設置されていない屋根下地3上に、複数の縦葺き屋根材1が左右方向に並んで取り付けられる。屋根下地3は全体的に、縦葺き屋根材1や屋根材100によって覆われる。各屋根材1,100の上に取り付けた吊子2はそれぞれ、その上に設置された各縦葺き屋根材1のカバー部11内の第一スペースS2に収められる。
【0051】
本実施形態の屋根構造では、カバー部11内の第二スペースS3は、屋根下地3のうち屋根材100や縦葺き屋根材1の本体部10で覆われていない箇所の乾燥用の通気スペースとして利用することができる。また、本実施形態の縦葺き屋根材1は、カバー部11が、屋根下地3上に載せる板状の本体部10と一体に設けられているため、従来例のように別体に設けたものに比べて、部品点数を少なくでき、施工性が向上したものとなっている。
【0052】
また、本実施形態の屋根構造では、吊子2の設置位置は、縦葺き屋根材1のカバー部11内に吊子2が収まる範囲で、左右方向に適宜変更可能である。したがって、本実施形態の屋根構造では、縦葺き屋根材1とその左右に並ぶ他の屋根材100とは、第一実施形態の屋根構造に比べて、重ね代を大きく変えて働き幅を大きく調整することが可能である。
【0053】
以上まとめると、本発明の縦葺き屋根材1は、上述した第一乃至第三実施形態の縦葺き屋根材1のように、下記の構成を備えることを特徴とする。
【0054】
すなわち、本発明の縦葺き屋根材1は、係止部21を有する吊子2を用いて、屋根下地3上に取り付けられる縦葺き屋根材1である。本発明の縦葺き屋根材1は、板状の本体部10と、上方に突出し下方に開口するように溝状に折れ曲がったカバー部11と、被係止部12とを備える。カバー部11は、本体部10の左右方向の一端部に連続する。被係止部12は、カバー部11のうち本体部10から離れた側の端部から本体部10に向けて突出している。カバー部11は、屋根下地3との間で吊子2が収まるスペースS1を形成し、被係止部12は、吊子2の係止部21に係止されるものである。
【0055】
以上のように本発明の縦葺き屋根材1は、屋根下地3への取り付けに用いる吊子2が収められるカバー部11が、板状の本体部10と一体に設けられている。そのため、本発明の縦葺き屋根材1は、従来例のように別体に設けたものに比べて、部品点数を少なくでき、施工性が向上したものとなっている。
【0056】
また、本発明の縦葺き屋根材1は、上述した第一及び第二実施形態の縦葺き屋根材1のように、上記の構成に加えて、更に下記の構成を備えることが好ましい。
【0057】
すなわち、本発明の縦葺き屋根材1は、スペースS1が、吊子2が収まる第一スペースS2と、第一スペースS2の側方に位置する第二スペースS3とを含む。本発明の縦葺き屋根材1は、第二スペースS3に、屋根下地3から上方に突出する部材が収まる状態で、屋根下地3上に取り付けられるものである。
【0058】
以上のような構成とすることで、本発明の縦葺き屋根材1は、上方に突出する部材が設置された屋根下地3上に取り付けることができ、汎用性の高いものとなっている。
【0059】
また、本発明の屋根構造は、上述した第一乃至第三実施形態の屋根構造のように、下記の構成を備えることを特徴とする。
【0060】
すなわち、本発明の屋根構造は、縦葺き屋根材1とその左右方向に配される他の屋根材100とを、固定具4で打ち付けられる吊子2を用いて屋根下地3上に取り付けた屋根構造である。縦葺き屋根材1は、板状の本体部10と、上方に突出し下方に開口するように溝状に折れ曲がったカバー部11と、被係止部12とを備える。カバー部11は、本体部10の左右方向の一端部に連続する。被係止部12は、カバー部11のうち本体部10から離れた側の端部から本体部10に向けて突出している。カバー部11は、屋根下地3との間で吊子2が収まるスペースS1を形成するものである。吊子2は、固定具4で他の屋根材100上に打ち付けられる固定部20と、固定部20の左右方向の一端部から延長した係止部21とを備える。縦葺き屋根材1は、他の屋根材100上に固定された吊子2がスペースS1に収まり、吊子2の係止部21に被係止部12が係止される状態で、屋根下地3上に取り付けられる。
【0061】
以上のように本発明の屋根構造では、縦葺き屋根材1は、屋根下地3への取り付けに用いる吊子2が収められるカバー部11が板状の本体部10と一体に設けられたものである。そのため、本発明の屋根構造では、従来例のように別体に設けたものに比べて、部品点数を少なくできて、施工性が向上したものとなっている。
【0062】
また、本発明の屋根構造は、上述した第一実施形態の屋根構造のように、上記の構成に加えて、更に下記の構成を備えることが好ましい。
【0063】
すなわち、本発明の屋根構造は、屋根下地3上には、瓦棒葺き屋根5が設置され、スペースS1が、吊子2が収まる第一スペースS2と、第一スペースS2の側方に位置する第二スペースS3とを含む。本発明の屋根構造では、縦葺き屋根材1は、第二スペースS3に瓦棒葺き屋根5の瓦棒50が収まる状態で、屋根下地3上に取り付けられる。
【0064】
以上のように本発明の屋根構造は、縦葺き屋根材1が、瓦棒葺き屋根5が設置された屋根下地3上に取り付け可能なものであるため、瓦棒葺き屋根5の改修構造として好適に用いることができる。
【0065】
あるいは、本発明の屋根構造は、上述した第二実施形態の屋根構造のように、上記の構成に加えて、更に下記の構成を備えることが好ましい。
【0066】
すなわち、本発明の屋根構造は、屋根下地3上には、縦葺き屋根材1上に機能パネル7を取り付けるための取付具8が設置され、スペースS1は、吊子2が収まる第一スペースS2と、第一スペースS2の側方に位置する第二スペースS3とを含む。本発明の屋根構造では、縦葺き屋根材1は、第二スペースS3に取付具8が収まる状態で、屋根下地3上に取り付けられる。
【0067】
以上のような構成とすることで、本発明の屋根構造では、縦葺き屋根材1が、機能パネル7を取り付けるための取付具8が設置された屋根下地3上に取り付け可能なものである。そのため、本発明の屋根構造は、太陽光発電パネル等の機能パネル7の設置に適した屋根構造として好適に用いることができる。
【0068】
また、本発明の屋根の施工方法は、上述した第一乃至第三実施形態の屋根の施工方法のように、下記の構成を備えることを特徴とする。
【0069】
すなわち、本発明の屋根の施工方法は、縦葺き屋根材1とその左右方向に配される他の屋根材100とを、固定具4で打ち付けられる吊子2を用いて屋根下地3上に取り付ける屋根の施工方法である。縦葺き屋根材1は、板状の本体部10と、上方に突出し下方に開口するように溝状に折れ曲がったカバー部11と、被係止部12とを備える。カバー部11は、本体部10の左右方向の一端部に連続する。被係止部12は、カバー部11のうち本体部10から離れた側の端部から本体部10に向けて突出している。カバー部11は、屋根下地3との間で吊子2が収まるスペースS1を形成するものである。吊子2は、固定具4で他の屋根材100上に打ち付けられる固定部20と、固定部20の左右方向の一端部から延長した係止部21とを備える。本発明の屋根の施工方法では、他の屋根材100上に設置した吊子2の固定部20を固定具4で打ち付けて、他の屋根材100を屋根下地3上に固定する。そして、本発明の屋根の施工方法では、他の屋根材100上の吊子2がスペースS1に収まり、吊子2の係止部21に被係止部12が係止される状態で、縦葺き屋根材1を屋根下地3上に取り付ける。
【0070】
以上のように本発明の屋根の施工方法では、縦葺き屋根材1として、屋根下地3への取り付けに用いる吊子2が収められるカバー部11が、板状の本体部10と一体に設けられたものを用いる。そのため、本発明の屋根の施工方法では、従来例のように別体に設けたものを用いる場合に比べて、部品点数を少なくできて、施工性が向上する。
【0071】
また、本発明の屋根の施工方法は、上述した第一及び第二実施形態の屋根の施工方法のように、上記の構成に加えて、更に下記の構成を備えることが好ましい。
【0072】
すなわち、本発明の屋根の施工方法では、スペースS1は、吊子2が収まる第一スペースS2と、第一スペースS2の側方に位置する第二スペースS3とを含む。本発明の屋根の施工方法では、第二スペースS3に、屋根下地3から上方に突出する部材が収まる状態で、縦葺き屋根材1を屋根下地3上に取り付ける。
【0073】
以上のような構成とすることで、本発明の屋根の施工方法では、上方に突出する部材が設置された屋根下地3上に縦葺き屋根材1を取り付けることができ、汎用性の高い施工方法となっている。
【0074】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。