特許第6606334号(P6606334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6606334粘着剤組成物、粘着剤層、粘着シート、粘着剤層付光学部材、および画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606334
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】粘着剤組成物、粘着剤層、粘着シート、粘着剤層付光学部材、および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/06 20060101AFI20191031BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20191031BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   C09J133/06
   C09J7/38
   C09J11/08
【請求項の数】8
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-33772(P2015-33772)
(22)【出願日】2015年2月24日
(65)【公開番号】特開2016-155911(P2016-155911A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2017年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100121636
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌靖
(72)【発明者】
【氏名】竿本 建次郎
(72)【発明者】
【氏名】外山 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】保井 淳
(72)【発明者】
【氏名】木村 智之
(72)【発明者】
【氏名】森本 有
(72)【発明者】
【氏名】藤原 秀三
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−056963(JP,A)
【文献】 特開2013−203854(JP,A)
【文献】 特開2014−162834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル系ポリマーと、環状分子と該環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子と該直鎖状分子から該環状分子が脱離しないように該直鎖状分子の両端に配置される封鎖基とを有するポリロタキサンとを含む、粘着剤組成物であって、
該(メタ)アクリル系ポリマーは、芳香族環構造を有さないモノマー由来の構造単位と、芳香族環構造を有するモノマー由来の構造単位とを含み、
該(メタ)アクリル系ポリマー中の、該芳香族環構造を有するモノマー由来の構造単位の含有割合が、重量割合で、1重量%〜35重量%である
粘着剤組成物。
【請求項2】
前記粘着剤組成物中の、前記(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合が、重量割合で、70重量%〜98重量%である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記粘着剤組成物中の、前記ポリロタキサンの含有割合が、重量割合で、2重量%〜30重量%である、請求項1または2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記芳香族環構造を有するモノマーが、ベンジルアクリレートおよびフェノキシエチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1からまでのいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
請求項1からまでのいずれかに記載の粘着剤組成物から構成される粘着剤層。
【請求項6】
請求項に記載の粘着剤層と基材層とを含む、粘着シート。
【請求項7】
請求項に記載の粘着剤層と光学部材とを含む、粘着剤層付光学部材。
【請求項8】
請求項に記載の粘着剤層付光学部材を少なくとも1つ含む、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物に関する。本発明は、また、その粘着剤組成物から構成される粘着剤層、その粘着剤層を含む粘着シートおよび粘着剤層付光学部材に関する。本発明は、また、そのような粘着剤層付光学部材を少なくとも1つ含む画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
応力緩和性と耐久性に優れる粘着剤層を構成する粘着剤組成物として、特定のポリロタキサンを含む粘着剤組成物が報告されている(特許文献1)。この特定のポリロタキサンは、アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社のスライドリングマテリアルとして知られるセルム(登録商標)スーパーポリマーと称される特殊なポリマーであり、環状分子と該環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子と該直鎖状分子から該環状分子が脱離しないように該直鎖状分子の両端に配置される封鎖基とを有するポリロタキサンである。
【0003】
このような特定のポリロタキサンを含む粘着剤組成物から構成される粘着剤層を光学部材に適用する場合には、該光学部材の光学特性を低下させないために、該粘着剤層のヘイズ値を低くすることが要求される。
【0004】
このような要求に対し、上記のような特定のポリロタキサンに加えて、カルボキシル基を有さない(メタ)アクリル酸エステル系重合体とカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含む、粘着剤組成物(特許文献2)、上記のような特定のポリロタキサンに加えて、キレート化合物を含む、粘着剤組成物(特許文献3)が報告されている。
【0005】
しかしながら、特許文献2や特許文献3で報告されている粘着剤組成物においては、該粘着剤組成物から構成される粘着剤層のヘイズ値は、十分に低くできていない。特許文献2においては、実施例25個の中で、ヘイズ値が1.0以上のものは23個、ヘイズ値が1.5以上のものは11個、ヘイズ値が2.0以上のものは5個も存在するため、効果が十分と言えるものではない。特許文献3においては、実施例21個の中で、ヘイズ値が1.0以上のものは21個全て、ヘイズ値が1.5以上のものは17個、ヘイズ値が2.0以上のものは9個も存在するため、効果が十分と言えるものではない。
【0006】
また、特許文献2や3で報告されている粘着剤組成物においては、ヘイズを抑制するために新たに添加された成分は粘着剤層の架橋形成には関与しないため、ゲル分率が十分に上がらない、もしくは添加された成分が粘着剤層表面にブリードアウトして粘着特性に影響を及ぼすという問題が生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−224133号公報
【特許文献2】特開2013−056962号公報
【特許文献3】特開2013−203854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、応力緩和性と耐久性に優れるとともに十分に低いヘイズ値を発現できる粘着剤層を構成する粘着剤組成物を提供することにある。また、そのような粘着剤組成物から構成される粘着剤層を提供することにある。さらに、そのような粘着剤層を含む粘着シートおよび粘着剤層付光学部材を提供することにある。また、そのような粘着剤層付光学部材を少なくとも1つ含む画像表示装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の粘着剤組成物は、
(メタ)アクリル系ポリマーと、環状分子と該環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子と該直鎖状分子から該環状分子が脱離しないように該直鎖状分子の両端に配置される封鎖基とを有するポリロタキサンとを含む、粘着剤組成物であって、
該(メタ)アクリル系ポリマーは、芳香族環構造を有さないモノマー由来の構造単位と、芳香族環構造を有するモノマー由来の構造単位とを含む。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記粘着剤組成物中の、上記(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合が、重量割合で、70重量%〜99.9重量%である。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記粘着剤組成物中の、上記ポリロタキサンの含有割合が、重量割合で、0.1重量%〜30重量%である。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記(メタ)アクリル系ポリマー中の、上記芳香族環構造を有するモノマー由来の構造単位の含有割合が、重量割合で、1重量%〜35重量%である。
【0013】
好ましい実施形態においては、上記芳香族環構造を有するモノマーが、ベンジルアクリレートおよびフェノキシエチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種を含む。
【0014】
本発明の粘着剤層は、本発明の粘着剤組成物から構成される。
【0015】
本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤層と基材層とを含む。
【0016】
本発明の粘着剤層付光学部材は、本発明の粘着剤層と光学部材とを含む。
【0017】
本発明の画像表示装置は、本発明の粘着剤層付光学部材を少なくとも1つ含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、応力緩和性と耐久性に優れるとともに十分に低いヘイズ値を発現できる粘着剤層を構成する粘着剤組成物を提供することができる。また、そのような粘着剤組成物から構成される粘着剤層を提供することができる。さらに、そのような粘着剤層を含む粘着シートおよび粘着剤層付光学部材を提供することができる。また、そのような粘着剤層付光学部材を少なくとも1つ含む画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
≪粘着剤組成物≫
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系ポリマーと、環状分子と該環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子と該直鎖状分子から該環状分子が脱離しないように該直鎖状分子の両端に配置される封鎖基とを有するポリロタキサンとを含む。以下、本明細書において、本発明の粘着剤組成物に含まれる上記(メタ)アクリル系ポリマーを単に「(メタ)アクリル系ポリマー」と称し、本発明の粘着剤組成物に含まれる上記ポリロタキサンを単に「ポリロタキサン」と称する。
【0020】
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよび/またはメタクリロイルを意味する。
【0021】
本発明の粘着剤組成物中の、(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合は、重量割合で、好ましくは70重量%〜99.9重量%であり、より好ましくは75重量%〜99.5重量%であり、さらに好ましくは80重量%〜99重量%であり、特に好ましくは85重量%〜99重量%である。本発明の粘着剤組成物中の(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合を上記範囲内に調整することにより、応力緩和性と耐久性により優れるとともに一層十分に低いヘイズ値を発現できる粘着剤層を構成する粘着剤組成物を提供し得るとともに、そのような粘着剤組成物から構成される粘着剤層、そのような粘着剤層を含む粘着シートおよび粘着剤層付光学部材を提供し得る。
【0022】
本発明の粘着剤組成物中の、ポリロタキサンの含有割合は、重量割合で、好ましくは0.01重量%〜30重量%であり、より好ましくは0.05重量%〜25重量%であり、さらに好ましくは1重量%〜20重量%であり、特に好ましくは1重量%〜15重量%である。本発明の粘着剤組成物中のポリロタキサンの含有割合を上記範囲内に調整することにより、応力緩和性と耐久性により優れるとともに一層十分に低いヘイズ値を発現できる粘着剤層を構成する粘着剤組成物を提供し得るとともに、そのような粘着剤組成物から構成される粘着剤層、そのような粘着剤層を含む粘着シートおよび粘着剤層付光学部材を提供し得る。
【0023】
<(メタ)アクリル系ポリマー>
(メタ)アクリル系ポリマーは、芳香族環構造を有さないモノマー由来の構造単位と、芳香族環構造を有するモノマー由来の構造単位とを含む。好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマーは、芳香族環構造を有さないモノマー由来の構造単位と、芳香族環構造を有するモノマー由来の構造単位とからなる。(メタ)アクリル系ポリマーが、芳香族環構造を有さないモノマー由来の構造単位と、芳香族環構造を有するモノマー由来の構造単位とを含むことにより、応力緩和性と耐久性に優れるとともに十分に低いヘイズ値を発現できる粘着剤層を構成する粘着剤組成物を提供し得るとともに、そのような粘着剤組成物から構成される粘着剤層、そのような粘着剤層を含む粘着シートおよび粘着剤層付光学部材を提供し得る。
【0024】
「モノマー由来の構造単位」とは、重合反応によるモノマー由来の繰り返し構造単位であり、例えば、モノマーが「Ra(Rb)=Rc(Rd)」で表されるとき、該モノマー由来の構造単位は「−Ra(Rb)−Rc(Rd)−」である。ここで、Ra、Rb、Rc、Rdは、モノマーの不飽和二重結合に結合した任意の基である。
【0025】
(メタ)アクリル系ポリマー中の、芳香族環構造を有するモノマー由来の構造単位の含有割合は、重量割合で、好ましくは1重量%〜35重量%であり、より好ましくは3重量%〜30重量%であり、さらに好ましくは5重量%〜28重量%であり、特に好ましくは8重量%〜25重量%であり、最も好ましくは10重量%〜23重量%である。(メタ)アクリル系ポリマー中の芳香族環構造を有するモノマー由来の構造単位の含有割合を上記範囲内に調整することにより、応力緩和性と耐久性に優れるとともに一層十分に低いヘイズ値を発現できる粘着剤層を構成する粘着剤組成物を提供し得るとともに、そのような粘着剤組成物から構成される粘着剤層、そのような粘着剤層を含む粘着シートおよび粘着剤層付光学部材を提供し得る。
【0026】
なお、本発明においては、(メタ)アクリル系ポリマー中の、芳香族環構造を有するモノマー由来の構造単位の含有割合は、実質的に、(メタ)アクリル系ポリマーを製造するために用いられる全モノマー成分中の芳香族環構造を有するモノマーの含有割合と同じであるとして扱う。
【0027】
(メタ)アクリル系ポリマー中の、芳香族環構造を有さないモノマー由来の構造単位の含有割合は、重量割合で、好ましくは65重量%〜99重量%であり、より好ましくは70重量%〜97重量%であり、さらに好ましくは72重量%〜95重量%であり、特に好ましくは75重量%〜92重量%であり、最も好ましくは77重量%〜90重量%である。(メタ)アクリル系ポリマー中の芳香族環構造を有さないモノマー由来の構造単位の含有割合を上記範囲内に調整することにより、応力緩和性と耐久性に優れるとともに一層十分に低いヘイズ値を発現できる粘着剤層を構成する粘着剤組成物を提供し得るとともに、そのような粘着剤組成物から構成される粘着剤層、そのような粘着剤層を含む粘着シートおよび粘着剤層付光学部材を提供し得る。
【0028】
なお、本発明においては、(メタ)アクリル系ポリマー中の、芳香族環構造を有さないモノマー由来の構造単位の含有割合は、実質的に、(メタ)アクリル系ポリマーを製造するために用いられる全モノマー成分中の芳香族環構造を有さないモノマーの含有割合と同じであるとして扱う。
【0029】
芳香族環構造を有さないモノマーとしては、不飽和二重結合を有する重合性モノマーであって、芳香族環構造を有さないものであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なモノマーを採用し得る。芳香族環構造は、単環構造であっても良いし、複環(縮合環)構造であっても良い。
【0030】
芳香族環構造を有さないモノマーとしては、接着性や耐熱性の改善を目的に、例えば、(メタ)アクリロイル基またはビニル基などの不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有する、1種類以上の共重合モノマーが挙げられる。
【0031】
このような共重合モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマー;などが挙げられる。
【0032】
また、このような共重合モノマーとして、改質目的の改質モノマーが挙げられる。このような改質モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド、N−アクリロイルモルホリンなどのスクシンイミド系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー;などが挙げられる。
【0033】
さらに、このような改質モノマーとして、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマー;なども挙げられる。さらに、このような改質モノマーとして、例えば、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテルなども挙げられる。
【0034】
さらに、共重合モノマーとして、ケイ素原子を含有するシラン系モノマーが挙げられる。このようなシラン系モノマーとしては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0035】
また、共重合モノマーとして、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物などの、(メタ)アクリロイル基、ビニル基などの不飽和二重結合を2個以上有する多官能性モノマー;ポリエステル骨格、エポキシ骨格、ウレタン骨格に(メタ)アクリロイル基、ビニル基などの不飽和二重結合を2個以上付加した、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート;などが挙げられる
【0036】
芳香族環構造を有さないモノマーとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸またはその塩(ナトリウム塩やカリウム塩など)等の(メタ)アクリル系モノマーを主モノマーとして含む。芳香族環構造を有さないモノマー中の(メタ)アクリル系モノマーの含有割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%〜100重量%、さらに好ましくは90重量%〜100重量%、特に好ましくは95重量%〜100重量%である。芳香族環構造を有さないモノマー中の(メタ)アクリル系モノマーの含有割合を上記範囲内に調整することにより、応力緩和性と耐久性に優れるとともに一層十分に低いヘイズ値を発現できる粘着剤層を構成する粘着剤組成物を提供し得るとともに、そのような粘着剤組成物から構成される粘着剤層、そのような粘着剤層を含む粘着シートおよび粘着剤層付光学部材を提供し得る。
【0037】
(メタ)アクリル系モノマーとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸またはその塩(ナトリウム塩やカリウム塩など)が挙げられる。
【0038】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0039】
炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルの中でも、好ましくは、炭素数が2〜20のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは炭素数が4〜18のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
【0040】
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0041】
芳香族環構造を有さないモノマーは、好ましくは、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む。この場合、芳香族環構造を有さないモノマー中の、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有割合は、重量割合で、好ましくは50重量%〜99.999重量%であり、より好ましくは70重量%〜99.99重量%であり、さらに好ましくは80重量%〜99.9重量%であり、特に好ましくは90重量%〜99.5重量%であり、最も好ましくは95重量%〜99.5重量%である。芳香族環構造を有さないモノマー中の炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有割合を上記範囲内に調整することにより、応力緩和性と耐久性に優れるとともに一層十分に低いヘイズ値を発現できる粘着剤層を構成する粘着剤組成物を提供し得るとともに、そのような粘着剤組成物から構成される粘着剤層、そのような粘着剤層を含む粘着シートおよび粘着剤層付光学部材を提供し得る。
【0042】
芳香族環構造を有さないモノマーは、好ましくは、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを含む。この場合、芳香族環構造を有さないモノマー中の、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルの含有割合は、重量割合で、好ましくは0.001重量%〜50重量%であり、より好ましくは0.01重量%〜30重量%であり、さらに好ましくは0.1重量%〜20重量%であり、特に好ましくは0.5重量%〜10重量%であり、最も好ましくは0.5重量%〜5重量%である。芳香族環構造を有さないモノマー中の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルの含有割合を上記範囲内に調整することにより、応力緩和性と耐久性に優れるとともに一層十分に低いヘイズ値を発現できる粘着剤層を構成する粘着剤組成物を提供し得るとともに、そのような粘着剤組成物から構成される粘着剤層、そのような粘着剤層を含む粘着シートおよび粘着剤層付光学部材を提供し得る。
【0043】
芳香族環構造を有さないモノマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸またはその塩(ナトリウム塩やカリウム塩など)を含む。この場合、芳香族環構造を有さないモノマー中の、(メタ)アクリル酸またはその塩(ナトリウム塩やカリウム塩など)の含有割合は、重量割合で、好ましくは0重量%〜50重量%であり、より好ましくは0.01重量%〜40重量%であり、さらに好ましくは0.1重量%〜30重量%であり、特に好ましくは0.5重量%〜20重量%であり、最も好ましくは1重量%〜10重量%である。芳香族環構造を有さないモノマー中の(メタ)アクリル酸またはその塩(ナトリウム塩やカリウム塩など)の含有割合を上記範囲内に調整することにより、応力緩和性と耐久性に優れるとともに一層十分に低いヘイズ値を発現できる粘着剤層を構成する粘着剤組成物を提供し得るとともに、そのような粘着剤組成物から構成される粘着剤層、そのような粘着剤層を含む粘着シートおよび粘着剤層付光学部材を提供し得る。
【0044】
芳香族環構造を有するモノマーとしては、不飽和二重結合を有する重合性モノマーであって、芳香族環構造を有するものであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なモノマーを採用し得る。芳香族環構造は、単環構造であっても良いし、複環(縮合環)構造であっても良い。
【0045】
芳香族環構造を有するモノマーとしては、例えば、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化β−ナフトールアクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに、例えば、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−ナフトエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチルアクリレート、2−(4−メトキシ−1−ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、チオールアクリレート、ピリジルアクリレート、ピロールアクリレート、フェニルアクリレート、ポリスチリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。芳香族環構造を有するモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0046】
芳香族環構造を有するモノマーは、好ましくは、ベンジルアクリレートおよびフェノキシエチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種を含む。芳香族環構造を有するモノマーがベンジルアクリレートおよびフェノキシエチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種を含むことにより、応力緩和性と耐久性に優れるとともに一層十分に低いヘイズ値を発現できる粘着剤層を構成する粘着剤組成物を提供し得るとともに、そのような粘着剤組成物から構成される粘着剤層、そのような粘着剤層を含む粘着シートおよび粘着剤層付光学部材を提供し得る。
【0047】
(メタ)アクリル系ポリマーは、任意の適切な方法によって製造し得る。(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法としては、例えば、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれでも良い。なお、溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合の例としては、例えば、窒素などの不活性ガス気流下で、重合開始剤を加え、通常、50〜70℃程度で、5〜30時間程度の反応条件で行われる溶液重合などが挙げられる。
【0048】
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なものを適宜選択し得る。なお、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は、例えば、重合開始剤の使用量、連鎖移動剤の使用量、反応条件などにより制御可能であり、これらの種類に応じて適宜、それらの使用量などが調整される。
【0049】
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
重合開始剤は、単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
【0051】
重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル系ポリマーを製造するために用いられる全モノマー成分100重量部に対して、好ましくは0.005重量部〜1重量部であり、より好ましくは0.02重量部〜0.5重量部である。
【0052】
なお、重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを用いて(メタ)アクリル系ポリマーを製造するには、重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル系ポリマーを製造するために用いられる全モノマー成分100重量部に対して、好ましくは0.06重量部〜0.2重量部であり、より好ましくは0.08重量部〜0.175重量部である。
【0053】
連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどが挙げられる。連鎖移動剤は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0054】
連鎖移動剤の使用量は、(メタ)アクリル系ポリマーを製造するために用いられる全モノマー成分100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以下である。
【0055】
乳化重合する場合に用いる乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤;などが挙げられる。これらの乳化剤は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0056】
さらに、乳化剤として、プロペニル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性官能基が導入された反応性乳化剤を用いることもできる。このような反応性乳化剤としては、例えば、アクアロンHS−10、HS−20、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(以上、いずれも第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE10N(旭電化工社製)などがある。反応性乳化剤は、重合後にポリマー鎖に取り込まれるため、耐水性が良くなり、好ましい。
【0057】
乳化剤の使用量は、(メタ)アクリル系ポリマーを製造するために用いられる全モノマー成分100重量部に対して、重合安定性や機械的安定性の観点から、好ましくは0.3重量部〜5重量部であり、より好ましくは0.5重量部〜1重量部である。
【0058】
上記に記載の方法で得られ得る、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーは、通常、重量平均分子量が50万〜300万の範囲である。耐久性、特に耐熱性を考慮すれば、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは70万〜270万であり、より好ましくは80万〜250万である。本発明における(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量が50万よりも小さいと、耐熱性の点で好ましくない。また、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量が300万よりも大きくなると、塗工するための粘度に調整するために多量の希釈溶剤が必要となり、コストアップとなることから好ましくない。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
【0059】
<ポリロタキサン>
ポリロタキサンは、環状分子と該環状分子の開口部を貫通する直鎖状分子と該直鎖状分子から該環状分子が脱離しないように該直鎖状分子の両端に配置される封鎖基とを有する。
【0060】
環状分子としては、その開口部に直鎖状分子が串刺し状に包接され、直鎖状分子上で移動可能な分子であり、水酸基または活性エネルギー線重合性基を有するものであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な環状分子を採用し得る。なお、本明細書において、「環状分子」の「環状」は、実質的に「環状」であることを意味する。すなわち、直鎖状分子上で移動可能であれば、環状分子は完全には閉環でなくてもよい。
【0061】
環状分子の具体例としては、環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミン、環状ポリアミン等の環状ポリマー、および、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等のシクロデキストリンが好ましく挙げられる。なかでも、比較的入手が容易であり、かつ、封鎖基の種類を多数選択できることから、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等のシクロデキストリンが好ましい。環状分子は、ポリロタキサン中で2種以上混在していてもよい。
【0062】
ポリロタキサンにおいて、上記環状分子は、好ましくは、水酸基を有する。また、このような水酸基の一部が、他の基によって置換されていても良い。このような他の基としては、例えば、親水性化基、疎水性化基、光反応性基などが挙げられる。
【0063】
直鎖状分子としては、環状分子に包接され、共有結合等の化学結合でなく機械的な結合で一体化することができる分子または物質であって、直鎖状のものであれば、特に限定されない。なお、本明細書において、「直鎖状分子」の「直鎖」は、実質的に「直鎖」であることを意味する。すなわち、直鎖状分子上で環状分子が移動可能であれば、直鎖状分子は分岐鎖を有していてもよい。
【0064】
直鎖状分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアクリル酸エステル、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が好ましい。直鎖状分子は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0065】
直鎖状分子の数平均分子量は、1000〜300000であることが好ましく、2000〜200000であることがより好ましく、4000〜100000であることがさらに好ましい。
【0066】
封鎖基は、環状分子が直鎖状分子により串刺し状になった形態を保持し得る基であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な基を採用し得る。このような基としては、例えば、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類、アントラセン類、数平均分子量1000〜1000000の高分子の主鎖または側鎖などが挙げられる。封鎖基は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0067】
ポリロタキサンにおいて、環状分子が直鎖状分子により串刺し状に包接される際に環状分子が最大限に包接される量(最大包接量)を100%とした場合、環状分子は好ましくは0.1%〜60%、より好ましくは1%〜50%、さらに好ましくは5%〜40%の量で直鎖状分子に串刺し状に包接される。なお、環状分子の最大包接量は、直鎖状分子の長さと環状分子の厚さとにより、決定することができる。例えば、直鎖状分子がポリエチレングリコールであり、環状分子がα−シクロデキストリン分子の場合、最大包接量は、実験的に求められている(Macromolecules 1993, 26, 5698−5703 参照)。
【0068】
ポリロタキサンとしては、例えば、特開2005−154675号公報、特開2009−270119号公報、WO2009/145073等に記載のポリロタキサンを採用し得る。
【0069】
ポリロタキサンは、例えば、特開2005−154675号公報、特開2009−270119号公報、WO2009/145073等に記載の方法によって得られ得る。また、市販品(例えば、アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社製の「セルム(登録商標)スーパーポリマー」シリーズ)を採用することもできる。
【0070】
<架橋剤>
本発明の粘着剤組成物には、架橋剤が含有されていても良い。このような架橋剤としては、例えば、有機系架橋剤や多官能性金属キレートなどが挙げられる。
【0071】
有機系架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤などが挙げられる。多官能性金属キレートは、多価金属原子が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、例えば、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Tiなどが挙げられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子などが挙げられ、有機化合物としては、例えば、アルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物などが挙げられる。
【0072】
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤が好ましい。イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアネート、水添されたキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート;これらジイソシアネートに由来するポリイソシアネート化合物;これらジイソシアネートをトリメチロールプロパンなどと付加したアダクト体;これらジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート体;ヘキサメチレンジイソシアネートと水または3級アルコールの反応物であるビュレット体;これらジイソシアネートに、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどを付加反応させた、ウレタンプレポリマー型のイソシアネート;などを挙げることができる。
【0073】
イソシアネート系架橋剤としては、好ましくは、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアネート、水添されたキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート;これらジイソシアネートに由来するポリイソシアネート化合物;が挙げられる。
【0074】
ジイソシアネートとしては、より好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートである。
【0075】
ジイソシアネートに由来するポリイソシアネート化合物としては、より好ましくは、ポリオール変性ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリオール変性水添キシリレンジイソシアネート、トリマー型水添キシリレンジイソシアネート、ポリオール変性イソホロンジイソシアネートである。
【0076】
イソシアネート系架橋剤としては、水酸基との反応が、特にポリマーに含まれる酸や塩基を触媒のような働きをさせて迅速に進むために架橋の早さに寄与し得る点で、ジイソシアネートに由来するポリイソシアネート化合物が特に好ましい。
【0077】
架橋剤が用いられる場合、その量は、重量割合で、(メタ)アクリル系ポリマーに対して、好ましくは0.001重量%〜10重量%であり、より好ましくは0.01重量%〜5重量%であり、さらに好ましくは0.03重量%〜3重量%であり、特に好ましくは0.03重量%〜2重量%であり、最も好ましくは0.05重量%〜1.5重量%である。架橋剤の使用割合を上記範囲内に調整することにより、適度な架橋反応を生じさせることができ、応力緩和性と耐久性により優れるとともに一層十分に低いヘイズ値を発現できる粘着剤層を構成する粘着剤組成物を提供し得るとともに、そのような粘着剤組成物から構成される粘着剤層、そのような粘着剤層を含む粘着シートおよび粘着剤層付光学部材を提供し得る。
【0078】
<その他の成分>
本発明の粘着剤組成物は、その他の成分を含んでいても良い。本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な添加剤が含有されていても良い。このような添加剤としては、例えば、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などが挙げられる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、添加剤として還元剤を加えてレドックス系としてもよい。
【0079】
本発明の粘着剤組成物には、シランカップリング剤を含有させることできる。シランカップリング剤を含有させることにより、本発明の粘着剤組成物の耐久性を向上させることができる。
【0080】
シランカップリング剤としては、具体的には、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤;などが挙げられる。
【0081】
シランカップリング剤として、一般式:−SiR3−a(式中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基であり、Mは水酸基または加水分解性基であり、aは0〜2の整数である。ただし、Rが複数存在するとき複数のRは互いに同一であっても異なっていても良く、Mが複数存在するとき複数のMは互いに同一であっても異なっていても良い。)で表される反応性シリル基およびアセトアセチル基を有するものも挙げられる。上記のような反応性シリル基およびアセトアセチル基を有するシランカップリング剤の市販品としては、例えば、綜研化学社製のA100などが挙げられる。
【0082】
シランカップリング剤は、1種のみで使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0083】
シランカップリング剤の含有量としては、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.001重量部〜5重量部が好ましく、0.01重量部〜1重量部がより好ましく、0.02重量部〜1重量部がさらに好ましく、0.05重量部〜0.6重量部が特に好ましい。シランカップリング剤の含有量を上記のような範囲に調整することにより、本発明の粘着剤組成物の耐久性を向上させ、液晶セルなどの光学部材への接着力を適度に保持し得る。
【0084】
しかしながら、本発明の粘着剤組成物は、その他の成分を含まなくても、応力緩和性と耐久性に優れるとともに低いヘイズ値を発現できる粘着剤層を構成する粘着剤組成物を提供し得るとともに、そのような粘着剤組成物から構成される粘着剤層、そのような粘着剤層を含む粘着シートおよび粘着剤層付光学部材を提供し得る。したがって、ゲル分率の低下やブリードアウトを抑制するためにも、必要以上にその他の成分が含まれないことが好ましい。
【0085】
本発明の粘着剤組成物により、粘着剤層が形成され得るが、粘着剤層の形成にあたっては、架橋剤全体の添加量を調整することとともに、架橋処理を行う際の架橋処理温度や架橋処理時間の影響を十分考慮することが好ましい。
【0086】
使用する架橋剤によって、架橋処理温度や架橋処理時間は調整が可能である。架橋処理温度は170℃以下であることが好ましい。
【0087】
架橋処理は、粘着剤層の乾燥工程時の温度で行ってもよいし、乾燥工程後に別途架橋処理を行う架橋処理工程を設けて行ってもよい。
【0088】
架橋処理時間に関しては、生産性や作業性を考慮して設定することができる。このような架橋処理時間としては、好ましくは0.2分間〜20分間であり、より好ましくは0.5分間〜10分間である。
【0089】
粘着剤層の一例として、粘着剤層付偏光フィルムにおける粘着剤層の場合、偏光フィルムの少なくとも片面に、本発明の粘着剤組成物により粘着剤層を形成する。
【0090】
粘着剤層を形成する方法としては、例えば、本発明の粘着剤組成物を剥離処理したセパレーターなどに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を形成した後に偏光フィルムに転写する方法、または偏光フィルムに本発明の粘着剤組成物を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を偏光フィルムに形成する方法などが挙げられる。なお、本発明の粘着剤組成物の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えても良い。
【0091】
<粘着剤組成物の製造方法>
本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法によって製造し得る。このような製造方法としては、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーとポリロタキサンと必要に応じて他の成分とを、必要に応じて任意の適切な溶剤とともに、攪拌機等に投入して撹拌・混合し、さらに、必要に応じて架橋剤を添加して撹拌する方法が挙げられる。
【0092】
≪粘着剤層≫
本発明の粘着剤層は、本発明の粘着剤組成物から構成される。
【0093】
本発明の粘着剤層は、好ましくは、本発明の粘着剤組成物を硬化させることによって形成される。
【0094】
本発明の粘着剤層は、好ましくは、本発明の粘着剤組成物を任意の適切な基材上に塗工して、硬化させることにより、形成させることができる。
【0095】
硬化の手段としては、任意の適切な手段を採用し得る。例えば、熱硬化、光硬化である。
【0096】
本発明の粘着剤層の厚みとしては、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。このような粘着剤層の厚みとしては、好ましくは0.1μm〜100μmであり、より好ましくは2μm〜50μmであり、さらに好ましくは2μm〜40μmであり、特に好ましくは5μm〜35μmである。
【0097】
本発明の粘着剤層のヘイズ値は、好ましくは1.0未満であり、より好ましくは0.95以下であり、さらに好ましくは0.90以下であり、さらに好ましくは0.85以下であり、さらに好ましくは0.80以下であり、特に好ましくは0.75以下であり、最も好ましくは0.70以下である。
【0098】
≪粘着シート≫
本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤層と基材層とを含む。本発明の粘着シートは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を含んでいても良い。本発明の粘着シートは、好ましくは、本発明の粘着剤層と基材層との積層体である。
【0099】
本発明の粘着シートの厚みとしては、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。このような粘着シートの厚みとしては、好ましくは10μm〜1000μmであり、より好ましくは10μm〜500μmであり、さらに好ましくは20μm〜500μmであり、特に好ましくは30μm〜400μmである。
【0100】
基材層は、単層でも良いし、2層以上の積層体であっても良い。基材層は、延伸されたものであっても良い。
【0101】
基材層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な基材層を採用し得る。このような基材層の材料としては、例えば、プラスチック、紙、金属フィルム、不織布などが挙げられる。好ましくは、プラスチックである。基材層は、1種の材料から構成されていても良いし、2種以上の材料から構成されていても良い。例えば、2種以上のプラスチックから構成されていても良い。
【0102】
上記プラスチックとしては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、オレフィンモノマーの単独重合体、オレフィンモノマーの共重合体などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、例えば、ホモポリプロピレン;エチレン成分を共重合成分とするブロック系、ランダム系、グラフト系等のプロピレン系共重合体;リアクターTPO;低密度、高密度、リニア低密度、超低密度等のエチレン系重合体;エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合体;などが挙げられる。
【0103】
基材層は、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含有し得る。基材層に含有され得る添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、充填剤、顔料などが挙げられる。基材層に含有され得る添加剤の種類、数、量は、目的に応じて適切に設定され得る。特に、基材層の材料がプラスチックの場合は、劣化防止等を目的として、上記の添加剤のいくつかを含有することが好ましい。耐候性向上等の観点から、添加剤として特に好ましくは、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤が挙げられる。
【0104】
本発明の粘着シートは、粘着剤層の表面に剥離ライナーを備えていても良い。
【0105】
剥離ライナーとしては、任意の適切なセパレーターを採用し得る。このような剥離ライナーとしては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材;などが挙げられる。
【0106】
本発明の粘着シートは、任意の適切な方法で製造し得る。このような製造方法としては、例えば、本発明の粘着剤組成物を剥離ライナーなどに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去させる方法が挙げられる。本発明の粘着剤組成物の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。このような工程において、本発明の粘着剤組成物を乾燥させる方法としては、目的に応じて任意の適切な方法が採用され得る。このような方法としては、好ましくは、本発明の粘着剤組成物を塗布して得られる塗布膜を加熱乾燥する方法が挙げられる。このような方法における加熱乾燥温度は、好ましくは40℃〜200℃であり、より好ましくは50℃〜180℃であり、さらに好ましくは70℃〜170℃である。加熱乾燥温度を上記の範囲内に調整することによって、優れた粘着特性を有する粘着シートを得ることができる。加熱乾燥時間としては、任意の適切な時間が採用され得る。このような加熱乾燥時間は、好ましくは5秒〜20分であり、より好ましくは5秒〜10分であり、さらに好ましくは10秒〜5分である。
【0107】
粘着剤層の形成方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法が挙げられる。
【0108】
≪粘着剤層付光学部材≫
本発明の粘着剤層付光学部材は、本発明の粘着剤層と光学部材とを含む。本発明の粘着剤層付光学部材は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を含んでいても良い。本発明の粘着剤層付光学部材は、好ましくは、本発明の粘着剤層と光学部材との積層体である。
【0109】
本発明の粘着剤層付光学部材の厚みとしては、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。このような粘着剤層付光学部材の厚みとしては、好ましくは10μm〜1000μmであり、より好ましくは30μm〜750μmであり、さらに好ましくは40μm〜500μmであり、特に好ましくは50μm〜400μmである。
【0110】
光学部材は、単層でも良いし、2層以上の積層体であっても良い。光学部材は、延伸されたものであっても良い。
【0111】
光学部材としては、例えば、偏光板、位相差板、光学補償板、輝度向上板、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置などが挙げられる。
【0112】
本発明の粘着剤層付光学部材は、粘着剤層の表面に剥離ライナーを備えていても良い。
【0113】
剥離ライナーとしては、任意の適切なセパレーターを採用し得る。このような剥離ライナーとしては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材;などが挙げられる。
【0114】
≪画像表示装置≫
本発明の粘着剤層付光学部材は、好ましくは、液晶表示装置等の画像表示装置の形成に用いられるものが使用され、その種類としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な種類を採用し得る。すなわち、本発明の画像表示装置は、本発明の粘着剤層付光学部材を少なくとも1つ含む。光学部材としては、好ましくは、偏光板が挙げられる。偏光板は任意の適切な方法で製造し得る。
【0115】
偏光板としては、偏光子の片面または両面に透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。偏光子としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な偏光子を採用し得る。このような偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルムなどがあげられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さとしては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な厚さを採用し得る。このような厚さとしては、好ましくは5μm〜80μmである。
【0116】
透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(例えば、ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0117】
透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50重量%〜100重量%であり、より好ましくは50重量%〜99重量%であり、さらに好ましくは60重量%〜98重量%であり、特に好ましくは70重量%〜97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%未満の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。
【0118】
偏光子の片面または両面には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされる。偏光子の少なくとも一方の面には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていても良い。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などが挙げられる。
【0119】
偏光子と透明保護フィルムとの接着処理には、接着剤が用いられる。接着剤としては、例えば、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステルなどが挙げられる。接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、好ましくは、0.5重量%〜60重量%の固形分を含有する。上記の他、偏光子と透明保護フィルムとの接着剤としては、例えば、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤などが挙げられる。電子線硬化型接着剤は、上記各種の透明保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。また本発明で用いる接着剤には、金属化合物フィラーを含有させることができる。
【0120】
偏光板は、他の光学フィルムと積層することができる。他の光学フィルムとしては、例えば、反射板、反透過板、位相差板(1/2や1/4などの波長板を含む)、視覚補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置などの形成に用いられることのある光学層となるものが挙げられる。これらは偏光板に、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
【0121】
偏光板に光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置などの製造過程で順次別個に積層する方式においても形成することができる。このような光学フィルムとして、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業などに優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層などの任意の適切な接着手段を用いうる。偏光板と光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて任意の適切な配置角度とすることができる。
【0122】
本発明の粘着剤層付光学部材は、液晶表示装置などの各種画像表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行い得る。すなわち、液晶表示装置は、一般に、液晶セルなどの表示パネルの片側または両側に粘着剤層付偏光板を配置すること、および必要に応じて照明システムなどの構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより形成され得る。表示パネルの両側に粘着剤層付偏光板を設ける場合、それらは同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。液晶セルとしては、例えば、TN型、STN型、π型、VA型、IPS型などの任意の適切なタイプを採用し得る。
【0123】
液晶表示装置の形成に際しては、例えば、拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなど、任意の適切な部品を、任意の適切な位置に、1層または2層以上配置することができる。
【実施例】
【0124】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。また、実施例において、特に明記しない限り、「部」および「%」は重量基準である。なお、「重量」は「質量」と読み替えても良い。
【0125】
なお、表1における略号の意味は下記の通りである。
BA:ブチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
AA:アクリル酸(三菱化学株式会社製)
NVP:N−ビニルピロリドン(株式会社日本触媒製)
HEA:ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
HBA:ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
BzA:ベンジルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
PEA:フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
【0126】
<重量平均分子量Mwの測定>
得られた(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。サンプルは、試料をジメチルホルムアミドに溶解して0.1重量%の溶液とし、これを一晩静置した後、0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した濾液を用いた。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・カラム:東ソー社製、Super AWM−H、AW4000、AW2500
・カラムサイズ;各6.0mmφ×150mm
・溶離液:30mM−臭化リチウム、30mM−リン酸のジメチルホルムアミド溶液
・流量:0.4ml/min
・検出器:示差屈折計(RI)
・カラム温度:40℃
・注入量:20μl
【0127】
<ヘイズ値の測定>
得られた粘着シートをマイクロスライドガラス(厚み1.0mmt〜1.2mmt、松浪硝子工業社製、品番S1112)に貼り合せた。このようにマイクロスライドガラスに貼り合された粘着シートの片側にあるセパレーターを剥がし、ヘイズメーター(HM−150、murakami color research laboratory製)によって、粘着剤層のヘイズ値を測定した。
【0128】
<粘着剤層付光学部材の外観評価>
得られた粘着剤層付偏光板を、10inchの液晶パネルにクロスニコルになるように両面貼り合せし、バックライト(B/L)点灯後、液晶駆動後の外観を目視観察した。
○・・・実用上外観に問題なし
×・・・外観に影響し問題あり
【0129】
〔合成例1〕
(スライドリングマテリアル溶液の調製)
アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社製のスライドリングマテリアル(セルム(登録商標)スーパーポリマー、品番:SH3400P)(直鎖状分子:ポリエチレングリコール、環状分子:ヒドロキシプロピル基およびカプロラクトン鎖を有するα−シクロデキストリン、封鎖基:アダマンタン基,重量平均分子量(Mw)=60万、水酸基価=72mgKOH/g、固形分濃度100質量%)を酢酸エチルと混合し、50℃に温調して、60min撹拌しながら溶解させ、スライドリングマテリアルの11重量%酢酸エチル溶液を調製した。
【0130】
〔実施例1〕
(アクリル系ポリマーの調製)
攪拌機、温度計、還流冷却器、および窒素導入管を備えた反応容器に、表1に示した配合割合(重量割合)で配合したモノマー:100重量部、酢酸エチル:200重量部、および、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル:0.1重量部を仕込み、反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。その後、窒素雰囲気下中で撹拌しながら、反応溶液を60℃に昇温し、12時間反応させた後、室温まで冷却した。これにより、重量平均分子量(Mw)=204万のアクリル系ポリマー(1)の酢酸エチル溶液を得た。得られたアクリル系ポリマー(1)の酢酸エチル溶液に、さらに酢酸エチルを加え、アクリル系ポリマー(1)の固形分が12重量%になるように希釈し、アクリル系ポリマー(1)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を得た。
【0131】
(粘着剤組成物の製造)
合成例1で得られたスライドリングマテリアルの11重量%酢酸エチル溶液と、アクリル系ポリマー(1)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を、アクリル系ポリマー(1)/スライドリングマテリアル=90/10(重量比)となるように反応容器中で配合し、撹拌機によって撹拌・混合を行った。その後、反応容器中に、イソシアネート系架橋剤(コロネートHX、日本ポリウレタン工業社製)を、アクリル系ポリマー(1)とスライドリングマテリアルの合計の固形分100重量部に対して0.6重量部投入し、再度撹拌し、粘着剤組成物(1)を得た。
【0132】
(粘着剤層および粘着シートの製造)
粘着剤組成物(1)を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製,MRF38)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが23μmになるように塗布し、155℃で1分間乾燥を行い、粘着剤層(1)を有する粘着シート(1)を形成した。
結果を表1に示した。
【0133】
(粘着剤層付光学部材の製造)
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを、速度比の異なるロール間において、30℃、0.3%濃度のヨウ素溶液中で1分間染色しながら、3倍まで延伸した。その後、60℃、4%濃度のホウ酸、10%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に0.5分間浸漬しながら総合延伸倍率が6倍まで延伸した。次いで、30℃、1.5%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に10秒間浸漬することで洗浄した後、50℃で4分間乾燥行い、偏光子を得た。得られた偏光子の両面に、けん化処理した厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムをポリビニルアルコール系接着剤により貼り合せて偏光板を作成した。また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムの代わりに、厚さ30μmのアクリル系フィルム(ラクトン変性アクリル系樹脂フィルム)を用いて、上記と同様に、偏光板(B)を作成した。また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムの代わりに、厚さ60μmのノルボルネン系フィルム(ゼオノアフィルムZB12、日本ゼオン社製)を用いて、上記と同様に、偏光板(C)を作成した。次いで、上記偏光板(A)〜(C)のそれぞれに、粘着シート(1)から粘着剤層(1)を移着させ、粘着剤層付偏光板(1A)〜(1C)を作製した。粘着剤層付偏光板(1A)は、偏光板(A)に、粘着シート(1)から粘着剤層(1)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(1B)は、偏光板(B)に、粘着シート(1)から粘着剤層(1)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(1C)は、偏光板(C)に、粘着シート(1)から粘着剤層(1)を移着させたものである。
結果を表1に示した。
【0134】
〔実施例2〕
(アクリル系ポリマーの調製)
表1に示した配合割合(重量割合)で配合したモノマーを用いた以外は、実施例1と同様に行い、重量平均分子量(Mw)=200万のアクリル系ポリマー(2)の酢酸エチル溶液を得た。得られたアクリル系ポリマー(2)の酢酸エチル溶液に、さらに酢酸エチルを加え、アクリル系ポリマー(2)の固形分が12重量%になるように希釈し、アクリル系ポリマー(2)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を得た。
【0135】
(粘着剤組成物の製造)
アクリル系ポリマー(1)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)に代えてアクリル系ポリマー(2)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、粘着剤組成物(2)を得た。
【0136】
(粘着剤層および粘着シートの製造)
得られた粘着剤組成物(2)を、セパレーター(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製,MRF38)の上に、アプリケーターで乾燥後の膜厚が23μmになるように塗布し、155℃に調整したオーブンに1分間投入して溶媒を乾燥させることで、粘着剤層(2)を有する粘着シート(2)を作製した。
結果を表1に示した。
【0137】
(粘着剤層付光学部材の製造)
粘着剤層(1)に代えて粘着剤層(2)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、粘着剤層付偏光板(2A)〜(2C)を作製した。粘着剤層付偏光板(2A)は、偏光板(A)に、粘着シート(2)から粘着剤層(2)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(2B)は、偏光板(B)に、粘着シート(2)から粘着剤層(2)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(2C)は、偏光板(C)に、粘着シート(2)から粘着剤層(2)を移着させたものである。
結果を表1に示した。
【0138】
〔実施例3〕
(アクリル系ポリマーの調製)
表1に示した配合割合(重量割合)で配合したモノマーを用いた以外は、実施例1と同様に行い、重量平均分子量(Mw)=92万のアクリル系ポリマー(3)の酢酸エチル溶液を得た。得られたアクリル系ポリマー(3)の酢酸エチル溶液に、さらに酢酸エチルを加え、アクリル系ポリマー(3)の固形分が12重量%になるように希釈し、アクリル系ポリマー(3)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を得た。
【0139】
(粘着剤組成物の製造)
アクリル系ポリマー(1)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)に代えてアクリル系ポリマー(3)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、粘着剤組成物(3)を得た。
【0140】
(粘着剤層および粘着シートの製造)
得られた粘着剤組成物(3)を、セパレーター(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製,MRF38)の上に、アプリケーターで乾燥後の膜厚が23μmになるように塗布し、155℃に調整したオーブンに1分間投入して溶媒を乾燥させることで、粘着剤層(3)を有する粘着シート(3)を作製した。
結果を表1に示した。
【0141】
(粘着剤層付光学部材の製造)
粘着剤層(1)に代えて粘着剤層(3)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、粘着剤層付偏光板(3A)〜(3C)を作製した。粘着剤層付偏光板(3A)は、偏光板(A)に、粘着シート(3)から粘着剤層(3)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(3B)は、偏光板(B)に、粘着シート(3)から粘着剤層(3)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(3C)は、偏光板(C)に、粘着シート(3)から粘着剤層(3)を移着させたものである。
結果を表1に示した。
【0142】
〔比較例1〕
(アクリル系ポリマーの調製)
表1に示した配合割合(重量割合)で配合したモノマーを用いた以外は、実施例1と同様に行い、重量平均分子量(Mw)=220万のアクリル系ポリマー(C1)の酢酸エチル溶液を得た。得られたアクリル系ポリマー(C1)の酢酸エチル溶液に、さらに酢酸エチルを加え、アクリル系ポリマー(C1)の固形分が12重量%になるように希釈し、アクリル系ポリマー(C1)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を得た。
【0143】
(粘着剤組成物の製造)
アクリル系ポリマー(1)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)に代えてアクリル系ポリマー(C1)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、粘着剤組成物(C1)を得た。
【0144】
(粘着剤層および粘着シートの製造)
得られた粘着剤組成物(C1)を、セパレーター(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製,MRF38)の上に、アプリケーターで乾燥後の膜厚が23μmになるように塗布し、155℃に調整したオーブンに1分間投入して溶媒を乾燥させることで、粘着剤層(C1)を有する粘着シート(C1)を作製した。
結果を表1に示した。
【0145】
(粘着剤層付光学部材の製造)
粘着剤層(1)に代えて粘着剤層(C1)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、粘着剤層付偏光板(C1A)〜(C1C)を作製した。粘着剤層付偏光板(C1A)は、偏光板(A)に、粘着シート(C1)から粘着剤層(C1)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(C1B)は、偏光板(B)に、粘着シート(C1)から粘着剤層(C1)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(C1C)は、偏光板(C)に、粘着シート(C1)から粘着剤層(C1)を移着させたものである。
結果を表1に示した。
【0146】
〔比較例2〕
(アクリル系ポリマーの調製)
表1に示した配合割合(重量割合)で配合したモノマーを用いた以外は、実施例1と同様に行い、重量平均分子量(Mw)=160万のアクリル系ポリマー(C2)の酢酸エチル溶液を得た。得られたアクリル系ポリマー(C2)の酢酸エチル溶液に、さらに酢酸エチルを加え、アクリル系ポリマー(C2)の固形分が12重量%になるように希釈し、アクリル系ポリマー(C2)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を得た。
【0147】
(粘着剤組成物の製造)
アクリル系ポリマー(1)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)に代えてアクリル系ポリマー(C2)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、粘着剤組成物(C2)を得た。
【0148】
(粘着剤層および粘着シートの製造)
得られた粘着剤組成物(C2)を、セパレーター(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製,MRF38)の上に、アプリケーターで乾燥後の膜厚が23μmになるように塗布し、155℃に調整したオーブンに1分間投入して溶媒を乾燥させることで、粘着剤層(C2)を有する粘着シート(C2)を作製した。
結果を表1に示した。
【0149】
(粘着剤層付光学部材の製造)
粘着剤層(1)に代えて粘着剤層(C2)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、粘着剤層付偏光板(C2A)〜(C2C)を作製した。粘着剤層付偏光板(C2A)は、偏光板(A)に、粘着シート(C2)から粘着剤層(C2)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(C2B)は、偏光板(B)に、粘着シート(C2)から粘着剤層(C2)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(C2C)は、偏光板(C)に、粘着シート(C2)から粘着剤層(C2)を移着させたものである。
結果を表1に示した。
【0150】
〔比較例3〕
(アクリル系ポリマーの調製)
表1に示した配合割合(重量割合)で配合したモノマーを用いた以外は、実施例1と同様に行い、重量平均分子量(Mw)=110万のアクリル系ポリマー(C3)の酢酸エチル溶液を得た。得られたアクリル系ポリマー(C3)の酢酸エチル溶液に、さらに酢酸エチルを加え、アクリル系ポリマー(C3)の固形分が12重量%になるように希釈し、アクリル系ポリマー(C3)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を得た。
【0151】
(粘着剤組成物の製造)
アクリル系ポリマー(1)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)に代えてアクリル系ポリマー(C3)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、粘着剤組成物(C3)を得た。
【0152】
(粘着剤層および粘着シートの製造)
得られた粘着剤組成物(C3)を、セパレーター(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製,MRF38)の上に、アプリケーターで乾燥後の膜厚が23μmになるように塗布し、155℃に調整したオーブンに1分間投入して溶媒を乾燥させることで、粘着剤層(C3)を有する粘着シート(C3)を作製した。
結果を表1に示した。
【0153】
(粘着剤層付光学部材の製造)
粘着剤層(1)に代えて粘着剤層(C3)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、粘着剤層付偏光板(C3A)〜(C3C)を作製した。粘着剤層付偏光板(C3A)は、偏光板(A)に、粘着シート(C3)から粘着剤層(C3)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(C3B)は、偏光板(B)に、粘着シート(C3)から粘着剤層(C3)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(C3C)は、偏光板(C)に、粘着シート(C3)から粘着剤層(C3)を移着させたものである。
結果を表1に示した。
【0154】
〔比較例4〕
(アクリル系ポリマーの調製)
表1に示した配合割合(重量割合)で配合したモノマーを用いた以外は、実施例1と同様に行い、重量平均分子量(Mw)=95万のアクリル系ポリマー(C4)の酢酸エチル溶液を得た。得られたアクリル系ポリマー(C4)の酢酸エチル溶液に、さらに酢酸エチルを加え、アクリル系ポリマー(C4)の固形分が12重量%になるように希釈し、アクリル系ポリマー(C4)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を得た。
【0155】
(粘着剤組成物の製造)
アクリル系ポリマー(1)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)に代えてアクリル系ポリマー(C4)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、粘着剤組成物(C4)を得た。
【0156】
(粘着剤層および粘着シートの製造)
得られた粘着剤組成物(C4)を、セパレーター(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製,MRF38)の上に、アプリケーターで乾燥後の膜厚が23μmになるように塗布し、155℃に調整したオーブンに1分間投入して溶媒を乾燥させることで、粘着剤層(C4)を有する粘着シート(C4)を作製した。
結果を表1に示した。
【0157】
(粘着剤層付光学部材の製造)
粘着剤層(1)に代えて粘着剤層(C4)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、粘着剤層付偏光板(C4A)〜(C4C)を作製した。粘着剤層付偏光板(C4A)は、偏光板(A)に、粘着シート(C4)から粘着剤層(C4)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(C4B)は、偏光板(B)に、粘着シート(C4)から粘着剤層(C4)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(C4C)は、偏光板(C)に、粘着シート(C4)から粘着剤層(C4)を移着させたものである。
結果を表1に示した。
【0158】
〔比較例5〕
(アクリル系ポリマーの調製)
表1に示した配合割合(重量割合)で配合したモノマーを用いた以外は、実施例1と同様に行い、重量平均分子量(Mw)=84万のアクリル系ポリマー(C5)の酢酸エチル溶液を得た。得られたアクリル系ポリマー(C5)の酢酸エチル溶液に、さらに酢酸エチルを加え、アクリル系ポリマー(C5)の固形分が12重量%になるように希釈し、アクリル系ポリマー(C5)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を得た。
【0159】
(粘着剤組成物の製造)
アクリル系ポリマー(1)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)に代えてアクリル系ポリマー(C5)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、粘着剤組成物(C5)を得た。
【0160】
(粘着剤層および粘着シートの製造)
得られた粘着剤組成物(C5)を、セパレーター(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製,MRF38)の上に、アプリケーターで乾燥後の膜厚が23μmになるように塗布し、155℃に調整したオーブンに1分間投入して溶媒を乾燥させることで、粘着剤層(C5)を有する粘着シート(C5)を作製した。
結果を表1に示した。
【0161】
(粘着剤層付光学部材の製造)
粘着剤層(1)に代えて粘着剤層(C5)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、粘着剤層付偏光板(C5A)〜(C5C)を作製した。粘着剤層付偏光板(C5A)は、偏光板(A)に、粘着シート(C5)から粘着剤層(C5)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(C5B)は、偏光板(B)に、粘着シート(C5)から粘着剤層(C5)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(C5C)は、偏光板(C)に、粘着シート(C5)から粘着剤層(C5)を移着させたものである。
結果を表1に示した。
【0162】
〔参考例1〕
(アクリル系ポリマーの調製)
表1に示した配合割合(重量割合)で配合したモノマーを用いた以外は、実施例1と同様に行い、重量平均分子量(Mw)=204万のアクリル系ポリマー(R1)の酢酸エチル溶液を得た。得られたアクリル系ポリマー(R1)の酢酸エチル溶液に、さらに酢酸エチルを加え、アクリル系ポリマー(R1)の固形分が12重量%になるように希釈し、アクリル系ポリマー(R1)の酢酸エチル溶液(固形分=12重量%)を得た。
【0163】
(粘着剤組成物の製造)
合成例1で得られたスライドリングマテリアルを用いずに、アクリル系ポリマー(1)を、そのまま粘着剤組成物(R1)とした。
【0164】
(粘着剤層および粘着シートの製造)
得られた粘着剤組成物(R1)を、セパレーター(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製,MRF38)の上に、アプリケーターで乾燥後の膜厚が23μmになるように塗布し、155℃に調整したオーブンに1分間投入して溶媒を乾燥させることで、粘着剤層(R1)を有する粘着シート(R1)を作製した。
結果を表1に示した。
【0165】
(粘着剤層付光学部材の製造)
粘着剤層(1)に代えて粘着剤層(R1)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、粘着剤層付偏光板(R1A)〜(R1C)を作製した。粘着剤層付偏光板(R1A)は、偏光板(A)に、粘着シート(R1)から粘着剤層(R1)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(R1B)は、偏光板(B)に、粘着シート(R1)から粘着剤層(R1)を移着させたものである。粘着剤層付偏光板(R1C)は、偏光板(C)に、粘着シート(R1)から粘着剤層(R1)を移着させたものである。
結果を表1に示した。
【0166】
【表1】
【0167】
表1の結果から、芳香族環構造を有するモノマーを最適な配合で含有させることで、ヘイズが大幅に抑制できるがわかった。また、外観評価はスライドリングマテリアルを入れない状態とほぼ同等の見栄えに改善できることも確認された。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明の粘着剤組成物、粘着剤層、粘着シート、粘着剤層付光学部材、および画像表示装置は、例えば、光学分野において利用可能である。