【実施例1】
【0028】
以下に、本発明の第1実施例である補装具用回動式ダンパ100を備えた補装具の一例である肘装具EOについて、
図1に基づいて説明し、補装具用回動式ダンパ100について、
図2乃至
図6(C)に基づいて説明する。
ここで、
図1は、本発明の第1実施例である補装具用回動式ダンパ100を備えた補装具の一例である肘装具EOの斜視図であり、
図2は、本発明の第1実施例である補装具用回動式ダンパ100の斜視図であり、
図3(A)は、
図2に示す符号3Aから視た平面図であり、
図3(B)は、
図3(A)に示す符号3B−3Bで視た断面図であり、
図3(C)は、
図2に示す符号3Cから視た底面図であり、
図4(A)は、本発明の第1実施例のケースの底面図であり、
図4(B)は、
図4(A)に示す符号4B−4Bで視た断面図であり、
図5(A)は、本発明の第1実施例のロータの平面図であり、
図5(B)は、
図5(A)に示す符号5B−5Bで視た断面図であり、
図5(C)は、本発明の第1実施例のロータの底面図であり、
図6(A)は、本発明の第1実施例のカバーの平面図であり、
図6(B)は、
図6(A)に示す符号6B−6Bで視た断面図であり、
図6(C)は、本発明の第1実施例のカバーの底面図である。
なお、本明細書において、
図2に示す符号3A側から視た図を平面図とし、
図2に示す符号3C側から視た図を底面図とする。
【0029】
本発明の第1実施例である補装具の一例である肘装具EOは、
図1に示すように、身体の一部分である前腕にあてがわれる第1装着体としての前腕装着体FAと、この前腕装着体FAに対して回動自在に連結して前腕と別異の部分である上腕および肩にあてがわれる第2装着体としての上腕装着体UAと、前腕装着体FAと上腕装着体UAとの相対的な運動エネルギーを吸収する補装具用回動式ダンパ100とを備えている。
前腕装着体FAは、前腕用ストラップFA1によって前腕に固定され、上腕装着体UAは、上腕用ストラップUA1によって上腕に固定されるように設けられている。
補装具用回動式ダンパ100は、装着者が目視しながらこの補装具用回動式ダンパ100の全部または一部を交換などして減衰力を調整しやすいように、肘装具EOの装着時の外側、すなわち、右腕用であれば右側に設けられている。
【0030】
補装具用回動式ダンパ100は、
図2乃至
図6(C)に示すように、金属製のケース110と、合成樹脂製のロータ120と、粘性流体130と、金属製のカバー140と、弾性ゴムで形成されたケース側Oリング150Aと、同じく弾性ゴムで形成されたカバー側Oリング150Bとを備えている。
このうち、ケース110は、前腕装着体FAおよび上腕装着体UAの一方である前腕装着体FAに取付けられている。
具体的に、ケース110は、ロータ120を収容する両端面部が開口した円筒状のケース本体部111と、このケース本体部111の一方の端面部の外周面に形成されたケース鍔部112とを備えている。
【0031】
このうち、ケース本体部111は、ケース側ロータ挿通穴111aと、内側環状凹溝111bと、外側環状凹溝111cと、カバー取付雌ねじ溝111dと、シールケース内周面111eとを有している。
ケース側ロータ挿通穴111aは、ケース本体部111における回動軸方向一端側に形成されてロータ120の一部が挿通するように構成されている。
内側環状凹溝111bは、ケース本体部111のケース内側に形成され、粘性流体130を収容するように構成されている。
外側環状凹溝111cは、同じくケース内側で内側環状凹溝111bより外側に形成され、粘性流体130を収容するように構成されている。
【0032】
カバー取付雌ねじ溝111dは、ケース本体部111における回動軸方向他端側に形成されてカバー140と螺合するように構成されている。
シールケース内周面111eは、ケース側Oリング150Aの外周側と接触するように設けられている。
ケース鍔部112には、ねじ穴112aが一例として回動方向Rに等間隔で3つ配設され、ケース110が、一例として前腕装着体FAにねじ留めされるように構成されている。
【0033】
また、ロータ120は、前腕装着体FAおよび上腕装着体UAの他方である上腕装着体UAに取付けられてケース110に対して相対回動可能にケース内に収容されている。
具体的に、ロータ120は、円筒状のロータ本体部121と、ロータ外周面121dに円板状のロータ鍔部122とを備えている。
このうち、ロータ本体部121は、軸嵌合穴121aと、シールケース側ロータ本体外周面121bと、シールカバー側ロータ本体外周面121cとを有している。
そして、ロータ本体部121の回動軸方向一端側のシールケース側ロータ本体外周面121b側がケース側ロータ挿通穴111aに挿通し、回動軸方向他端側のシールカバー側ロータ本体外周面121c側が後述するカバー140のカバー側ロータ挿通穴141に挿通するように構成されている。
【0034】
軸嵌合穴121aは、一例として上腕装着体UAに形成された装着体側回動軸AXが嵌合するように構成されている。
シールケース側ロータ本体外周面121bは、ケース側Oリング150Aの内周側と接触するように設けられている。
シールカバー側ロータ本体外周面121cは、カバー側Oリング150Bの内周側と接触するように設けられている。
【0035】
ロータ鍔部122は、内側環状凸条122aと、外側環状凸条122bと、バイパス部としてのバイパススリット122cと、鍔貫通穴122dとを有している。
このうち、内側環状凸条122aは、ケース110の内側環状凹溝111bと隙間を空けて粘性流体130を介して凹凸係合するように設置されている。
外側環状凸条122bは、内側環状凸条122aより外側に形成され、ケース110の外側環状凹溝111cと隙間を空けて粘性流体130を介して凹凸係合するように設置されている。
【0036】
バイパススリット122cは、ケース110の内側環状凹溝111bと外側環状凹溝111cとを横断して接続するように、相対回動の中心を基準とした放射方向に延設され、一例として回動方向Rに等間隔で3つ配設されている。
鍔貫通穴122dは、ロータ鍔部122を回動軸方向Xに貫通するように形成され、一例として回動方向Rに等間隔で3つ配設されている。
【0037】
粘性流体130は、ケース110とロータ120との間隙に介在し、ケース110に対してロータ120が相対回動したとき、粘性流体130が、ケース110側とロータ120側との間で回動方向Rに働く剪断力で粘性抵抗を発生させるように構成されている。
本実施例の粘性流体130は、例えば、30〜420の可塑度を有したシリコーン系未加硫ゴムなどのシリコーン系粘性剤である。
【0038】
カバー140は、ケース110内に収容されたロータ120を覆うようにケース110のケース鍔部112側に取付けられている。
具体的に、カバー140は、カバー側ロータ挿通穴141と、カバー取付雄ねじ溝142と、シールカバー内周面143と、カバー取付用凹部144とを有している。
このうち、カバー側ロータ挿通穴141には、前述したようにロータ本体部121の回動軸方向他端側のシールカバー側ロータ本体外周面121c側が挿通するように構成されている。
【0039】
カバー取付雄ねじ溝142は、カバー140の外周縁に形成され、ケース110のカバー取付雌ねじ溝111dと螺合するように構成されている。
シールカバー内周面143は、カバー側Oリング150Bの外周側と接触するように設けられている。
カバー取付用凹部144は、一例として回動方向Rに等間隔で4つ配設され、カバー140をケース110に対して回動させて着脱する際に治具などの工具がカバー取付用凹部144に嵌合するように構成されている。
【0040】
ケース側Oリング150Aは、ケース110のシールケース内周面111eとロータ120のシールケース側ロータ本体外周面121bとの間に設置されている。
同様に、カバー側Oリング150Bは、カバー140のシールカバー内周面143とロータ120のシールカバー側ロータ本体外周面121cとの間に設置されている。
【0041】
ケース側Oリング150Aおよびカバー側Oリング150Bより外周側で、
図3(B)に示すように、ケース110に設けられたケース側ロータ接触面111fとロータ120に設けられたロータ側ケース接触面122eとが接触して、この接触箇所が環状となっているとともに、同様に、カバー140に設けられたカバー側ロータ接触面145とロータ120に設けられたロータ側カバー接触面122fとが接触して、この接触箇所が環状となって、ロータ鍔部122とケース本体部111との間およびロータ鍔部122とカバー140との間の粘性流体130が封止されている。
そして、ケース側Oリング150Aおよびカバー側Oリング150Bが、粘性流体130を補助的にさらに封止するように構成されている。
【0042】
本実施例では、前腕装着体FAに取付けられるケース110と、上腕装着体UAに取付けられてケース110に対して相対回動可能にケース内に収容されるロータ120と、ケース110とロータ120との間隙に介在する粘性流体130とを備え、ケース110に対してロータ120が相対回動したとき、粘性流体130がケース110側とロータ120側との間で回動方向Rに働く剪断力で粘性抵抗(粘性剪断抵抗力)を発生させる構成である。
これにより、所謂、粘性剪断タイプの回動式ダンパとなり粘性流体130の粘度がオイルと比べて非常に高くなった場合においても使用可能であるため、装着者のリハビリ中において粘性流体130の漏れ等の心配がなくなる。
【0043】
さらに、本実施例では、ロータ120が、ケース110に対して脱着自在に取付けられ、ケース110およびロータ120が、前腕装着体FAおよび上腕装着体UAに対して脱着自在に取付けられ、ケース110およびロータ120の少なくとも一方が、交換自在に設けられている。
これにより、粘性流体130へ剪断抵抗力を与える表面積が変更自在となってケース110に対してロータ120が相対回動したとき、ケース110側とロータ120側との間で回動方向Rに働く剪断力で発生する粘性抵抗の大きさが変更自在となる。
つまり、装着者のリハビリ中の進捗状況に応じて減衰力が調整自在となる。
また、本実施例では、前述したように、粘性流体130が、シリコーン系粘性剤である場合においては、粘性流体130の粘度が従来のオイルの粘度と比べて非常に高くなるため、抵抗力が大きくなる。
【0044】
さらに、本実施例では、一例として、ケース110およびロータ120の少なくとも一方であるロータ120における粘性流体130と接触する外側環状凸条122bの内周側側面122baおよび外周側側面122bbにシボ状加工が施されている。
これにより、粘性流体130と、シボ状面である内周側側面122baおよび外周側側面122bbとの摩擦係数が大きくなるため、更に抵抗力が増大する。
【0045】
また、本実施例では、一例として、ケース110およびロータ120の少なくとも一方であるロータ120の外側環状凸条122bの頂面122bcに、粘性流体130と接触する微小な粘性流体滑り止め溝が形成されている。
そして、頂面122bcの微小な粘性流体滑り止め溝の向きが、相対回動の中心を基準とした放射方向に設けられている。
これにより、粘性流体130と頂面122bcとの間におけるスリップを回避して減衰力を安定させることができる。
【0046】
本実施例では、ケース110およびロータ120の一方であるケース110が、粘性流体130を収容する複数の環状凹溝としての内側環状凹溝111bおよび外側環状凹溝111cを有している。
そして、ケース110およびロータ120の他方であるロータ120が、ケース110の内側環状凹溝111bおよび外側環状凹溝111cに粘性流体130を介してそれぞれ凹凸係合する環状凸条としての内側環状凸条122aおよび外側環状凸条122bを有している。
これにより、凹凸係合しないときと比べて、粘性流体130の剪断領域が広くなる。
【0047】
さらに、本実施例では、ロータ120が、ケース110の内側環状凹溝111bと外側環状凹溝111cとを接続するバイパス部であるバイパススリット122cを有している。
これにより、ケース110の内側環状凹溝111b内の粘性流体130の圧力と外側環状凹溝111c内の粘性流体130の圧力との間の差によって粘性流体130がロータ120のバイパススリット122cを介して内側環状凹溝111bと外側環状凹溝111cとの間を移動する。
つまり、内側環状凹溝111bと外側環状凹溝111cとの間の粘性流体130の過多・過少が無くなり補装具用回動式ダンパ100の減衰力が安定する。
【0048】
なお、本実施例では、ロータ120にバイパススリット122cを設けたが、バイパススリット122cを設けないことにより、ロータ120の外側環状凸条122bの外周側側面122bbが、ケース110のケース内周壁の全周に亘って同心状に対向配置するロータ周壁となるように構成してもよい。
これにより、ケース110に対してロータ120が相対回動したとき、粘性流体130がケース110側とロータ120側との間で生じる回動方向Rの粘性抵抗領域が全周域に亘って発生する。
【0049】
また、本実施例では、ロータ120に鍔貫通穴122dが設けられている。
これにより、ロータ鍔部122とケース110の内側環状凹溝111bおよび外側環状凹溝111cとの間の粘性流体130の圧力と、ロータ鍔部122とカバー140との間の粘性流体130の圧力との差によって粘性流体130が鍔貫通穴122dを介してロータ120のロータ鍔部122とケース110の内側環状凹溝111bおよび外側環状凹溝111cとの間であるケース110側と、ロータ鍔部122とカバー140との間であるカバー140側との間を移動する。
つまり、ロータ鍔部122を基準としたケース110側とカバー140側との間の粘性流体130の過多・過少が無くなり補装具用回動式ダンパ100の減衰力がより一層安定する。
【0050】
このようにして得られた本発明の第1実施例である補装具用回動式ダンパ100は、第1装着体としての前腕装着体FAおよび第2装着体としての上腕装着体UAの一方である前腕装着体FAに取付けられるケース110と、前腕装着体FAおよび上腕装着体UAの他方である上腕装着体UAに取付けられてケース110に対して相対回動可能にケース内に収容されるロータ120と、ケース110とロータ120との間隙に介在する粘性流体130とを備え、ケース110に対してロータ120が相対回動したとき、粘性流体130がケース110側とロータ120側との間で回動方向Rに働く剪断力で粘性抵抗を発生させる構成であることにより、装着者のリハビリテーションにおいて身体の屈伸動作や湾曲動作などに伴って過度の衝撃が負荷されてもロータ120とケース110との間隙に介在する粘性流体130が前腕装着体FAと上腕装着体UAとの相対的な運動エネルギーを減衰制御して身体における補装具の装着箇所である肘に生じる過度の衝撃を吸収緩和するとともに耐衝撃力に優れたダンパ機能を長期に亘って発揮することができる。
【0051】
また、ケース110およびロータ120の少なくとも一方が、交換自在に設けられていることにより、装着者のリハビリ中の進捗状況に応じて減衰力を容易に調整することができる。
さらに、粘性流体130が、シリコーン系粘性剤である場合には、容易に剪断力に起因する粘性抵抗を発生させることができる。
また、ケース110およびロータ120の少なくとも一方であるロータ120が、粘性流体130と接触する外側環状凸条122bの内周側側面122baおよび外周側側面122bbにシボ状面を有していることにより、粘性流体130と内周側側面122baおよび外周側側面122bbとの間におけるスリップを回避して減衰力を安定させることができる。
【0052】
さらに、ケース110およびロータ120の少なくとも一方であるロータ120の外側環状凸条122bの頂面122bcが、粘性流体滑り止め溝を有し、頂面122bcの粘性流体滑り止め溝の向きが、相対回動の中心を基準とした放射方向であることにより、粘性流体130と頂面122bcとの間におけるスリップを回避して減衰力を安定させることができる。
【0053】
また、ケース110およびロータ120の一方であるケース110が、粘性流体130を収容する複数の環状凹溝としての内側環状凹溝111bおよび外側環状凹溝111cを有し、ケース110およびロータ120の他方であるロータ120が、内側環状凹溝111bおよび外側環状凹溝111cに粘性流体130を介してそれぞれ凹凸係合する環状凸条としての内側環状凸条122aおよび外側環状凸条122bと、内側環状凹溝111bと外側環状凹溝111cとを接続するバイパス部であるバイパススリット122cとを有していることにより、ケース110の内側環状凹溝111bと外側環状凹溝111cとの間の粘性流体130の過多・過少を無くして減衰力を安定させることができるなど、その効果は甚大である。
【実施例4】
【0062】
続いて、第4実施例として、本発明の補装具用回動式ダンパ400が組み込まれた体幹装具TLOについて、
図9に基づいて説明する。
ここで、
図9は、本発明の補装具用回動式ダンパ400を備えた補装具の一例である体幹装具TLOの斜視図である。
第4実施例の補装具用回動式ダンパ400は、第1実施例の補装具用回動式ダンパ100と同じであり、多くの要素について第1実施例の補装具用回動式ダンパ100と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略する。
【0063】
従来、胸椎や腰椎の外傷、疾患、術後の外固定用装具には、布や合成繊維で作製された軟性または金属や合成樹脂で作製された硬性のフレームと、胸部および腰部に締め付けて安静固定する紐やマジックテープ(登録商標)とからなるいわゆるコルセットの構造が知られている。
また従来、腰部装着体としての腰部取付け部材と、腰部取付け部材の両側面に設けられた枢軸に枢支されて前後方向に揺動し得るアーチ状のアームを有する上部装着体としての胸部押圧体との間に、アームの中間部に設けられ胸部押圧体を胸部に押圧するための押圧力を付与する付勢ばね部およびリンク機構とからなる押圧力付与部が知られている(例えば、国際公開第2014/054097号の特に、段落0021から段落0041、
図1から
図4参照)。
【0064】
しかしながら、いわゆるコルセットの構造は、胸椎や腰椎を安静固定することを前提としているため、補助器具として用いた場合、安静固定を不要とする部位を前後左右方向に揺動自在にすることはできなかった。
また、上述した従来の押圧力付与部(国際公開第2014/054097号)は、体幹を前後方向に揺動自在にすることを前提としているため、側弯症を予防・矯正する用途への活用にあたり、単に付勢ばね部およびリンク機構とからなる押圧力付与部の構造を体幹の左右両側面から前後面(腹背面)に移動させたとしても、左方向もしくは右方向の一方に押圧力を付与する構造となり、体幹の左右方向への側屈には対応困難であるという問題があった。
【0065】
そこで、本実施例の体幹装具TLOは、
図9に示すように、腰部にあてがわれる第1装着体としての腰部装着体LPと、胸部にあてがわれる第2装着体としての上部装着体TPと、腰部装着体LPと上部装着体TPとの相対的な運動エネルギーを吸収する補装具用回動式ダンパ400と、上部装着体TPと補装具用回動式ダンパ400とを連結する上部装着体側連結部TPBと、腰部装着体LPと補装具用回動式ダンパ400とを連結する腰部装着体側連結部LPBとを備えている。
【0066】
すなわち、上部装着体TPおよび上部装着体側連結部TPBと、腰部装着体LPおよび腰部装着体側連結部LPBとは、補装具用回動式ダンパ400を介して左右に回動自在に連結している。
なお、上部装着体側連結部TPBと腰部装着体側連結部LPBとの少なくとも一方には、上部装着体TPと腰部装着体LPとを装着者の体幹に合わせて装着するため、長さ調整機構を設けても良い。
【0067】
上部装着体側連結部TPBには、腰部装着体LPに対して前後方向に揺動自在とする蝶番が設けられている。
上部装着体TPには、胸部からのズレ落ちを防止する肩ベルトと胸部に固定する胸部固定帯とが設けられている。
腰部装着体LPには、腰部からのズレ落ちを防止する腰部固定帯が設けられている。
肩ベルトは、例えば、肩パッドと紐やマジックテープ(登録商標)とで構成されている。
【0068】
胸部固定帯および腰部固定帯は、例えば、紐やマジックテープ(登録商標)で製作されている。
補装具用回動式ダンパ400は、装着者がこの補装具用回動式ダンパ400を交換などして減衰力を調整しやすいように体幹装具TLOの装着時の正面側、すなわち、腹部側に設けられている。
補装具用回動式ダンパ400のケースは、腰部装着体LPおよび上部装着体TPの一方である上部装着体TPにねじ留めされて取付けられている。
また、補装具用回動式ダンパ400のロータには、一例として腰部装着体LPに形成された装着体側回動軸AXが嵌合している。
【0069】
補装具用回動式ダンパ400は、装着者が目視しながらこの補装具用回動式ダンパ400の全部または一部を交換などして減衰力を調整しやすいように、体幹装具TLOの装着時の前側に設けられている。
なお、補装具用回動式ダンパ400より胸装着体側には、装着者が前屈できるように、ヒンジTPHが設置されている。
【0070】
本実施例では、補装具用回動式ダンパ400が体幹装具TLOに用いられている。
これにより、体幹に生じた左右方向への側屈動作時による衝撃が加わった際、ケースに対するロータの回動に伴い、粘性流体がケース側とロータ側との間で相対回動方向に働く剪断力で粘性抵抗を発生させてこの粘性抵抗が運動エネルギーの減衰力となる。
その結果、ロータとケースとの間隙に介在する粘性流体が腰部装着体LPと上部装着体TPとの相対的な運動エネルギーを減衰制御して胸部および腰部(特に、胸椎および腰椎)に生じる過度の衝撃を吸収緩和する耐衝撃性に優れたダンパ機能を長期に亘って発揮することができる。
【0071】
また、体幹を左右方向に側屈動作させることによってケースに対してロータが相対回動したとき、粘性流体がケース側とロータ側との間で回動方向に働く剪断力で粘性抵抗を発生させてこの粘性抵抗が矯正力となる。
その結果、側屈させた側に圧迫感を発生させて姿勢反射の一つである立ち直り反射が生じ、側弯症の弯曲を予防・矯正することができる。
【0072】
さらに、回動式ダンパであることにより、従来のような付勢ばね部の操作レバーを持ち上げて引張コイルばねを伸張させることによる急激な付勢力の発生がなくなる。
その結果、装着者に体幹装具TLOを装着する際の負荷調整が不要であり、装着時間を短縮することができるなど、その効果は甚大である。