特許第6606458号(P6606458)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606458
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】車両用気流制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
   B62D37/02 Z
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-71178(P2016-71178)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-178169(P2017-178169A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】小林 竜也
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 巧
【審査官】 マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−44538(JP,A)
【文献】 実開平6−65045(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0345578(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ホイールにタイヤが取付けられて構成される車輪と、
前記車輪を収容するホイールハウスと、に設けられた車両用気流制御装置において、
前記ホイールハウスの壁部の少なくとも前記車輪の前後方向中央よりも前方寄り位置に設けられ、前記車輪の車両幅方向外側面部への走行気流の一部の吹出しを許容し、且つ気流の吹出し量を調整可能な吹出し量調整機構を備えた吹出し口と、
車体の少なくとも前記車輪の前後方向中央よりも後方寄り位置に設けられ、前記吹出し口への前記走行気流の一部の排出を許容し、且つ気流の排出量を調整可能な排出量調整機構を備えた排出口と、
前記車輪の転舵状態を検出又は推定する転舵状態検出又は推定部と、
前記検出又は推定された前記車輪の転舵状態が、前記タイヤ前部が車両幅方向外側に移動した外方転舵状態である場合に、前記吹出し口からの気流の吹出し量を低減させ、前記排出口からの気流の排出量を増加させるように制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする車両用気流制御装置。
【請求項2】
前記排出口は、前記ホイールハウスの壁部の少なくとも前記タイヤの上端部より下方に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用気流制御装置。
【請求項3】
前記吹出し口は、
前記走行気流の一部を取り込んで前記ホイールハウスの壁部まで送る走行気流取り込みダクトの開口部として前記ホイールハウスの壁部に形成され、
前記排出口は、
前記走行気流取り込みダクトから分岐されて走行気流の一部を前記ホイールハウスの壁部まで送る走行気流分岐ダクトの開口部として前記ホイールハウスの壁部に形成され、
前記吹出し量調整機構は、前記走行気流取り込みダクトの前記走行気流分岐ダクトとの分岐点より気流先方位置に配置され、
前記排出量調整機構は、前記走行気流分岐ダクトの前記走行気流取り込みダクトとの分岐点より気流先方位置に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の車両用気流制御装置。
【請求項4】
前記吹出し量調整機構及び前記排出量調整機構を兼ねる兼用流量調整機構を備え、
前記制御部は、
前記検出又は推定された前記車輪の転舵状態が前記外方転舵状態である場合に、前記兼用流量調整機構を作動して前記吹出し口から吹出される気流を低減すると同時にその低減させた量を前記排出口から排出させるように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用気流制御装置。
【請求項5】
前記走行気流の一部を取り込んで前記吹出し口まで送る走行気流取り込みダクトと、
前記走行気流取り込みダクトから分岐されて走行気流の一部を前記排出口まで送る走行気流分岐ダクトと、を備え、
前記兼用流量調整機構は、前記走行気流取り込みダクトと前記走行気流分岐ダクトとの分岐点に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の車両用気流制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用気流制御装置、特に、車両のホイールハウス近傍における車体側部(車両幅方向端部)の気流(空気の流れ)を制御する車両用気流制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用ホイールには開口部が形成されており、この開口部を通じて、走行気流の一部が車両用ホイールの車両幅方向内側から車両幅方向外側に通過する。この空気の流れによって、ブレーキ装置が冷却される効果が得られている。一方で、この車両用ホイールの開口部から流出する気流(以下、「ホイール開口部流出気流」と記す)が車体側部を流れる走行気流と干渉することが知られている。このホイール開口部流出気流と走行気流との干渉は、例えば走行抵抗の増大をもたらすことになる。
【0003】
そこで、下記特許文献1に記載された車両用気流制御装置では、ホイール開口部を開閉するシャッタを車両用ホイールに設け、例えば車両の走行状態に応じてホイール開口部を開閉制御する。このシャッタでホイール開口部を閉じればホイール開口部流出気流と走行気流の干渉を低減することができ、ホイール開口部を開けばブレーキ冷却効果が確保される。なお、例えばホイールハウスより車両前方のフェンダから走行気流の一部を取り入れ、その取り入れた走行気流の一部を車両用ホイールの車両幅方向外側端面に向けて吹出す気流制御構造も考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−126088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に記載される車両用気流制御装置では、シャッタを開けばホイール開口部流出気流と走行気流の干渉が増大し、シャッタを閉じればブレーキ冷却効果が低減するというトレードオフがある。これに対し、例えばホイールハウスより車両前方のフェンダから取り入れた走行気流の一部を車両用ホイールの車両幅方向外側端面に向けて吹出す気流制御構造では、ホイール開口部流出気流と走行気流との干渉を低減しながら、ブレーキ冷却効果を確保することが可能である。しかしながら、単に、フェンダから取り入れた走行気流の一部を車両用ホイールの車両幅方向外側端面に吹出すだけでは、車輪の転舵時、吹出す気流がタイヤの接地面に当たって剥離気流となる場合がある。このように車輪から剥離気流が生じると、その剥離気流と車体側部を流れる走行気流との干渉が生じてしまう。車輪からの剥離気流と車体側部を流れる走行気流との干渉は走行抵抗の増大をもたらす。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車輪の転舵時、車輪からの剥離気流と車体側部を流れる走行気流の干渉を低減可能な車両用気流制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、車両用ホイールにタイヤが取付けられて構成される車輪と、前記車輪を収容するホイールハウスと、に設けられた車両用気流制御装置において、前記ホイールハウスの壁部の少なくとも前記車輪の前後方向中央よりも前方寄り位置に設けられ、前記車輪の車両幅方向外側面部への走行気流の一部の吹出しを許容し、且つ気流の吹出し量を調整可能な吹出し量調整機構を備えた吹出し口と、車体の少なくとも前記車輪の前後方向中央よりも後方寄り位置に設けられ、前記吹出し口への前記走行気流の一部の排出を許容し、且つ気流の排出量を調整可能な排出量調整機構を備えた排出口と、前記車輪の転舵状態を検出又は推定する転舵状態検出又は推定部と、前記検出又は推定された前記車輪の転舵状態が、前記タイヤ前部が車両幅方向外側に移動した外方転舵状態である場合に、前記吹出し口からの気流の吹出し量を低減させ、前記排出口からの気流の排出量を増加させるように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、車輪の外方転舵時、すなわち、タイヤの前部が車体の外方に回動したときに、吹出し口からの気流の吹出し量が低減されることから、この吹出し気流がタイヤの外周面である接地面に当たって剥離気流となるのを低減することができる。その結果、車輪からの剥離気流と車体側部を流れる走行気流との干渉を低減することができる。その際、排出口からの気流が増加され、吹出し口からの流量を減らしたことによる不要な個所からの空気漏れなどを防止することができる。そして、この排出される排出気流は、車輪の前後方向中央よりも車両後方寄り位置から排出されることから、その排出気流と走行気流との干渉は回避される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用気流制御装置において、前記排出口は、前記ホイールハウスの壁部の少なくとも前記タイヤの上端部より下方に配置されたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、タイヤ、すなわち、車輪の存在により、排出口からの排出気流がそのまま車体側部に排出されるのを低減することができるから、排出口からの排出気流と走行気流との干渉をより的確に回避することができると共に、排出気流が車体下方に流れ込むことも回避することができる。すなわち、排出気流が車体下方に流れ込むことによって生じる車体揚力の増加も抑制される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両用気流制御装置において、前記吹出し口は、前記走行気流の一部を取り込んで前記ホイールハウスの壁部まで送る走行気流取り込みダクトの開口部として前記ホイールハウスの壁部に形成され、前記排出口は、前記走行気流取り込みダクトから分岐されて走行気流の一部を前記ホイールハウスの壁部まで送る走行気流分岐ダクトの開口部として前記ホイールハウスの壁部に形成され、前記吹出し量調整機構は、前記走行気流取り込みダクトの前記走行気流分岐ダクトとの分岐点より気流先方位置に配置され、前記排出量調整機構は、前記走行気流分岐ダクトの前記走行気流取り込みダクトとの分岐点より気流先方位置に配置されたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、吹出し口から吹出される気流と排出口から排出される排出気流の分配調整を分岐ダクトを用いた簡単な構成で行うことが可能である。これにより、タイヤの接地面に当たって剥離気流となるのを的確に低減することができると共に、その吹出し口から吹出される気流の低減分を排出口から確実に排出することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用気流制御装置において、前記吹出し量調整機構及び前記排出量調整機構を兼ねる兼用流量調整機構を備え、前記制御部は、前記検出又は推定された前記車輪の転舵状態が前記外方転舵状態である場合に、前記兼用流量調整機構を作動して前記吹出し口から吹出される気流を低減すると同時にその低減させた量を前記排出口から排出させるように制御することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、兼用流量調整機構を用いた簡易な構成により、車輪の外方転舵時に、吹出し口から吹出された気流がタイヤの接地面に当たって剥離気流となるのを確実に低減することができると共に、その吹出し口から吹出される気流の低減分を排出口から確実に排出することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の車両用気流制御装置において、前記走行気流の一部を取り込んで前記吹出し口まで送る走行気流取り込みダクトと、前記走行気流取り込みダクトから分岐されて走行気流の一部を前記排出口まで送る走行気流分岐ダクトと、を備え、前記兼用流量調整機構は、前記走行気流取り込みダクトと前記走行気流分岐ダクトとの分岐点に配置されたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、兼用流量調整機構をダクト分岐点に配置する簡易な構成により、吹出し口から吹出された気流がタイヤの接地面に当たって剥離気流となるのをより一層確実に低減することができると共に、その吹出し口から吹出される気流の低減分を排出口からより一層確実に排出することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、車輪の外方転舵時に、タイヤの接地面に当たって車輪からの剥離気流となる気流と車体側部を流れる走行気流との干渉を低減することができる。その際、排出口から排出気流として排出される走行気流の一部は、車輪の前後方向中央よりも後方寄り位置から排出されることから、不要個所からの漏れを防止すると共に排出気流と走行気流との干渉を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の車両用気流制御装置が適用された車両の一実施形態を示す車両前部概略平面図である。
図2図1の車両の車両前部概略側面図である。
図3図1の吹出し口の詳細図である。
図4図1の車両の気流作用の説明図である。
図5】従来の車両の気流作用の説明図である。
図6図1の車両の制御装置で行われる演算処理のフローチャートである。
図7図6の演算処理による作用の説明図である。
図8】本発明の車両用気流制御装置の異なる実施形態を示す車両前部概略平面図である。
図9図1の排出口がない車両の気流作用の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の実施の形態では、本発明を具体化するための装置や方法を例示する。しかしながら、本発明の技術的思想は、構成部品の材質や形状、配置等を下記に特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に技術的範囲内で種々の変更を加えることができる。
【0020】
以下に、本発明の車両用気流制御装置の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施形態の車両用気流制御装置が適用された車両の一例を示す車両前部概略平面図、図2は、図1の車両の車両前部概略側面図である。これらの図は、代表して車両前左部を示しており、車両前右部も略同様の構成となっている。この車両の前左部では、フロントフード1、前左フェンダ2の下方に前左ホイールハウス3が形成され、このホイールハウス3内に前左輪4が収容されている。この前左輪4は、他の車輪と同様に、車体に対してタイヤを支持する車両用ホイール5と、その車両用ホイール5の外周部(リム)に取付けられたタイヤ6を備えている。このうち、車両用ホイール5には、例えば図2に示すような長円形の開口部7が形成されている。また、車両用ホイール5の内部にあって車両幅方向内側には、図示しないブレーキ装置が設けられている。
【0021】
この前左ホイールハウス3の車両前方にあって車体下面には、前左輪4の一部を覆うようにフラップ8が下方向きに突設されている。このフラップ8は、例えば車輪、この場合は前左輪4に当たる気流(空気の流れ)を低減したり、或いは、その気流を整流したり、或いは、それらによって車両姿勢を安定したりする効果があるとされている。また、車体前端部、例えばフロントアンダースポイラ9の車両幅方向中央部には空気取入れ口10が設けられており、この空気取入れ口10に連続して、例えばエンジンに空気を供給するための車両前部ダクトが設けられている。
【0022】
この実施形態では、前左ホイールハウス3のうち、車両前後方向における前左輪4の中央(以下、「前左輪4の車両前後方向中央」と記す)よりも車両前方で且つ車両上下方向における前左輪4の中央(以下、「前左輪4の車両上下方向中央」と記す)より車両上方の位置に、後述するホイール開口部流出気流Bを押し流すための押し流し気流Aの吹出し口12が設けられている。この吹出し口12は、前左ホイールハウス3の車両幅方向外側端部に設けられている。また、この吹出し口12は、前述した車両前部ダクトから分岐された走行気流取り込みダクト11に接続されている。そのため、この吹出し口12は、前左輪(車輪)4の車両幅方向外側端面部に走行気流の一部を吹出すことができる。
【0023】
図3は、図1の吹出し口12の一例を示す詳細図である。この例では、前左ホイールハウス3の内張り、つまりホイールハウスライナ13の図示左上部(即ち、前左輪4の車両前後方向中央よりも車両前方で且つ前左輪4の車両上下方向中央より車両上方の位置)に開口部14を形成している。そして、このホイールハウスライナ13の開口部14に吹出しガイド部材15を取付け、その吹出しガイド部材15に走行気流取り込みダクト11を接続する。吹出しガイド部材15には、例えばスリット状の吹出し口12が形成されると共に、その吹出し口12の周囲に、押し流し気流Aの吹出し方向を決める方形筒状の気流ガイド壁16が設けられている。この気流ガイド壁16は、例えば方形筒体の内側壁面が前左輪4の下部に向けて斜め後下方向きになるように立設されている。
【0024】
そのため、車両の走行に伴って車両前部から取入れられ、車両前部ダクトから走行気流取り込みダクト11に取り込まれた走行気流の一部は吹出しガイド部材15の気流ガイド壁16に沿って流れ、これが吹出し口12から吹出される押し流し気流Aとなる。なお、この吹出し口12は、例えば車両上下方向に長いスリット形状とすることで、後述する押し流し気流Aを車両用ホイール5やタイヤ6の車両幅方向外側端面部に沿ったエアカーテン状とすることができる。
【0025】
この押し流し気流Aは、気流ガイド壁16によって、車両用ホイール5やタイヤ6の車両幅方向外側端面部に沿うように吹出される。このようにするためには、吹出し口12から吹出される押し流し気流Aがタイヤ6の車両幅方向外側端面(サイドウォール)と接地面(トレッド)の角部(ショルダ)に僅かに当たるようにするとよい。この押し流し気流Aの車輪側面に沿う流れ状態と、前述したエアカーテン状の流れ状態があいまって、後述するホイール開口部流出気流Bの押し流し効果が向上する。
【0026】
なお、この実施形態では、吹出しガイド部材15の気流ガイド壁16によって押し流し気流Aの吹出し方向を決定しているが、これ以外にも、例えば走行気流取り込みダクト11の気流方向端部を直接、吹出し口12とし、その吹出し口位置におけるダクト端部の向きを押し流し気流の吹出し方向に設定することでも達成可能である。また、フラップ状の吹出しガイドを設けることなどによっても押し出し気流の吹出し方向を設定することができる。
【0027】
そして、この実施形態では、気流方向規制部を構成する気流ガイド壁16によって、フラップ8より車両下方領域に在る前左輪(車輪)4の部分に向けて押し流し気流Aが吹出し口12から吹出される。この実施形態では、フラップ8の下端部は前左輪(車輪)4のタイヤ6より車両前方の車体下端部に相当する。従って、押し流し気流Aは、気流ガイド壁16によって、タイヤ6より車両前方の車体下端部よりも車両下方に在る前左輪(車輪)4の部分に向かうように気流方向規制される。また、吹出し口12は、前左ホイールハウス3のうち、前左輪4の車両前後方向中央よりも車両前方で且つ前左輪4の車両上下方向中央より車両上方に設けられている。従って、これらを総合すると、この実施形態における押し流し気流Aは、前左輪(車輪)下部の車両幅方向外側端面に向けて斜め後下方向きに吹出される。
【0028】
また、この実施形態では、走行気流取り込みダクト11を前左ホイールハウス3の車両幅方向内側に分岐して走行気流分岐ダクト24とし、その走行気流排気ダクト24の気流先方端部を前左ホイールハウス3の壁部に開口して排出口23としている。この排出口23は、後述するように、吹出し口12から吹出される押し流し気流Aを低減した際、その低減した走行気流分を排出気流Dとして排出するためのものである。この排出口23は、排出気流と走行気流との干渉を低減するため、少なくとも前左輪(車輪)4の前後方向中央よりも車両後方において前左ホイールハウス3に開口している必要がある。
【0029】
これは、後述する前左輪(車輪)4の外方転舵時に排出口23から排出される排出気流Dが車輪の前方を通って車体側方に流出するのを回避するためである。この実施形態では、前左輪(車輪)4の転舵中心軸(図中に×で示す)よりもやや車両後方において前左ホイールハウス3のホイールハウスライナに開口するようにしている。また、排出口23は、前左輪4(タイヤ6)の上端部より下方に配置することが望ましい。また、排出口23は、排出される排出気流の流速をできるだけ低減するために、開口面積を大きくするのが望ましい。
【0030】
また、この実施形態では、走行気流取り込みダクト11のうち、走行気流分岐ダクト24との分岐点より気流先方位置で且つ吹出し口12の気流手前位置に、吹出し口12からの気流の吹出し量を調整する吹出し量調整機構として、例えばバタフライバルブ形状の吹出し口閉塞用流量調整機構17を設けている。この吹出し口閉塞用流量調整機構17をアクチュエータ18によって作動することで、吹出し口12の気流手前側における走行気流取り込みダクト11の開度を調整し、これにより吹出し口12から吹き出される押し流し気流Aの流量を調整できるようにしている。
【0031】
また、この実施形態では、走行気流分岐ダクト24のうち、走行気流取り込みダクト11との分岐点より気流先方位置で且つ排出口23の気流手前位置に、排出口23からの気流の排出量を調整する排出量調整機構として、例えばバタフライバルブ形状の排出口開放用流量調整機構21を設けている。この排出口開放用流量調整機構21をアクチュエータ22によって作動することで、排出口23の気流手前側における走行気流分岐ダクト24の開度を調整し、これにより排出口23から排出される排出気流Dの流量を調整できるようにしている。なお、この実施形態では、吹出し口閉塞用流量調整機構17による走行気流取り込みダクト11の開度を常時開とし、排出口開放用流量調整機構21による走行気流分岐ダクト24の開度を常時閉としている。即ち、走行気流取り込みダクト11の全開状態が吹出し口閉塞用流量調整機構17の原位置であり、走行気流排気ダクト24の全閉状態が排出口開放用流量調整機構21の原位置である。
【0032】
これらの流量調整機構17、21のアクチュエータ18、22は、コントロールユニット(制御部)19によって作動状態が制御される。コントロールユニット19は、例えば周知のマイクロコンピュータなどのコンピュータシステムを備えて構成される。コンピュータシステムは、周知のように、プログラムに沿って演算処理を行う中央演算処理部やプログラムや演算処理結果を記憶する記憶部、各種センサからの入力信号を入力したり演算処理の結果を出力したりする入出力部などを備えて構成される。この実施形態では、例えば操舵角センサ20で検出されたステアリングホイールの操舵角に応じてアクチュエータ18、22の作動状態を制御し、走行気流取り込みダクト11及び走行気流分岐ダクト24の開度を調整することで吹出し口12から吹出される押し流し気流Aや排出口23から排出される排出気流Dの流量が調整される構成としている。ステアリングホイールの操舵角は、前左輪(車輪)の転舵角及び操舵方向を検出できるものであり、転舵の方向は車両直進時をニュートラルとして例えば右又は左方向で表され、転舵角は、例えば車両直進時を0として算出される。
【0033】
なお、この流量調整の制御入力としては、例えば直接的に検出された前輪の転舵角や、車両の走行方向を設定するための車載カメラなどの周辺認識装置からの周辺情報、或いはGPS(Global Positioning System)に基づくナビゲーションシステムと連動した運転支援装置からの運転支援情報などを用いることも可能である。例えば周辺認識装置で取得した周辺情報からは、例えば運転者が、どの方向に、どの程度、ステアリングホイールを操舵するかを推定することができ、推定された操舵の状態から車輪(前左輪)の転舵状態を推定することができる。同様に、運転支援情報からも、現時点より先の時点における車両の走行状態から車輪(前左輪)の転舵状態を推定することができる。即ち、直接的に検出される操舵角や転舵角などの転舵状態検出値に加えて、推定される転舵角などの転舵状態推定値も制御入力として用いることができる。
【0034】
図4は、図1図2の車両の気流作用の説明図である。前述したように、車両の走行に伴い、車両用ホイール5の開口部7からはホイール開口部流出気流Bが流出する。このホイール開口部流出気流Bは、車両の走行速度が大きいほど、走行気流の増大に伴って強く(多く且つ速く)流出する。また、例えば車両用ホイール5の車両幅方向外側部分における負圧の増大に伴って強く(多く且つ速く)流出する場合もある。また、このホイール開口部流出気流Bは、フラップ8より下方、つまりタイヤ6より車両前方における車体下端部より下方部位において、より強く(多く且つ速く)吹出される。
【0035】
この実施形態では、吹出し口12から、車輪下部の車両幅方向外側端面に向けて斜め後下方向きに押し流し気流Aが吹出される。この押し流し気流Aにより、ホイール開口部流出気流Bは車両用ホイール5の開口部7から流出すると直ちに斜め後下方向きに押し流される。従って、車体側部(車両幅方向端部)に沿って流れる走行気流Cとホイール開口部流出気流Bの干渉が低減される。また、ホイール開口部流出気流B自体、つまり車両用ホイール5の車両幅方向内側から車両用ホイール5を通過する気流自体が低減されるわけではないので、ブレーキ装置の冷却効果は確保される。
【0036】
図5は、従来の車両の気流作用の説明図である。この従来の車両では、ホイールハウス3の前上方から斜め後下方向きへの押し流し気流は吹出されない。そのため、ホイール開口部流出気流Bは、そのまま、車両幅方向外側に向けて流出する。このホイール開口部流出気流Bは、タイヤ6より車両前方の車両下端部より下方から強く流出し、そのホイール開口部流出気流Bが車体側部を流れる走行気流Cと干渉して乱流を発生する。この乱流成分が走行抵抗の増大につながる。なお、本実施形態の押し流し気流Aは、車輪下部に向けて後下方向きに吹出されているが、ホイール開口部流出気流Bと車体側部を流れる走行気流Cとの干渉を低減するため目的だけなら、押し流し気流Aを車輪の車両幅方向外側端面部に向けて吹出すようにすればよい。ちなみに、一般に、車体側面は車両前端部よりも車両後方において車両幅方向外側に広がっているため、車体側部を流れる走行気流Cは負圧になる傾向がある。
【0037】
次に、図1のコントロールユニット19で行われる演算処理について図6のフローチャートを用いて説明する。この演算処理は、予め設定されたサンプリング時間毎にタイマ割込み処理によって実行される。この演算処理では、まずステップS1で、操舵角センサ20によって検出されたステアリングホイールの操舵角を読込む。
【0038】
次にステップS2に移行して、読込まれたステアリングホイールの操舵角から前左輪(前右輪)4の転舵方向及び転舵角を算出する。
【0039】
次にステップS3に移行して、算出された前左輪(前右輪)4の転舵方向はタイヤ6の接地面が吹出し口12を覆う(塞ぐ)方向であるか否かを判定し、タイヤ6の接地面が吹出し口12を覆う場合にはステップS4に移行し、そうでない場合にはステップS7に移行する。なお、吹出し口12は、ホイールハウス3の壁部の車両幅方向外側端部に設けられているので、この吹出し口12がタイヤ6の接地面で覆われる前左輪4の転舵方向は、タイヤ6の前部が車両幅方向外側に移動する転舵状態を意味し、この転舵状態を外方転舵状態と定義する。また、外方転舵状態に転舵することを外方転舵ともいう。
【0040】
ステップS4では、算出された前左輪(前右輪)4の転舵角は押し流し気流低減制御閾値以上であるか否かを判定し、転舵角が押し流し気流低減制御閾値以上である場合にはステップS5に移行し、そうでない場合にはステップS7に移行する。
【0041】
ステップS5では、吹出し口閉塞用流量調整機構17を作動して押し流し気流Aを転舵角に応じた低減量だけ低減する制御、つまり吹出し口12の閉塞制御を行ってからステップS6に移行する。この制御態様としては、例えば転舵角が大きいほど低減量を大きくする手法などが挙げられる。
【0042】
ステップS6では、排出口開放用流量調整機構21を作動して排出口23を転舵角に応じた開放量だけ開放する制御を行ってから復帰する。この制御態様としては、例えば転舵角が大きいほど開放量を大きくする手法などが挙げられる。
【0043】
一方、ステップS7では、吹出し口閉塞用流量調整機構17を原位置に復帰して押し流し気流A(の流量)を最大状態に増加する制御、つまり吹出し口12の開放制御を行ってからステップS8に移行する。
【0044】
ステップS8では、排出口開放用流量調整機構21を原位置に復帰して排出口23を閉塞する制御を行ってから復帰する。
【0045】
この演算処理では、前左輪(前右輪)4の転舵方向が吹出し口12を覆う方向、つまり外方転舵状態で、且つその転舵角が押し流し気流低減制御閾値以上である場合に、転舵角に応じた低減量だけ押し流し気流Aを低減すると共に、転舵角に応じた開放量だけ排出口23を開放する。その結果、吹出し口12から吹出される押し流し気流Aが低減されると共に、その押し流し気流Aの低減分が排出口23から排出される。この排出口23の開放量は、凡そ押し流し気流Aの低減量に見合った制御量とするが、この実施形態の場合、排出口23からは、最大でも押し流し気流Aの低減量分の走行気流しか排出されないから、押し流し気流Aの低減量以上の流量が排出口23から排出されるように排出口23を開放すればよい。一方、前左輪(前右輪)4の転舵方向が吹出し口12を覆う方向でない場合や、その転舵角が押し流し気流低減制御閾値未満である場合には、吹出し口12を開放すると共に排出口23を閉塞する。
【0046】
すなわち、排出口23の排出気流量の調整は、吹出し口12から吹出される押し流し気流Aが低減されることに対する気流の分配を行っているものであり、これにより走行気流の圧力上昇による不要な箇所からの空気漏れ等を防止している。
【0047】
図7は、図6の演算処理によって、前左輪4の外方転舵時に、吹出し口12が閉塞され且つ排出口23が開放された状態の気流作用の説明図である。この状態では、吹出し口12から押し流し気流は吹出されず、その分が全て排出口23から排出される。排出口23は、排出気流Dの流速が小さくなるように開口面積を大きく設定しているので、排出口23から排出された排出気流Dは前左ホイールハウス3の車両幅方向内側壁から車両前後方向後壁に沿って流れ、ホイールハウス3からゆっくりと車体側部に排出される。このとき、排出口23からの排出気流Dは車体の下方、所謂床下に流れ込むことがないので、床下流の増大が回避され、その結果、車体揚力の増大を回避することができる。また、前左輪4(タイヤ6)の上端部より下方に排出口23を配置することにより、排出気流Dがそのまま車輪の上方を通って車体側部に排出されるのを防止することができる。排出気流Dがそのまま車体側部に排出されてしまうと、その排出気流Dと車体側部を流れる走行気流Cとが干渉してしまう。
【0048】
図9は、図1の走行気流分岐ダクト24や排出口23がない車両の気流作用の説明図である。走行気流分岐ダクトや排出口がない車両では、吹出し口12から押し流し気流Aが吹出し続けられる。その状態で、前左輪(車輪)4が外方転舵され、タイヤ6の接地面が吹出し口12を覆うと、押し出し気流Aが車輪4から剥離して剥離気流となる。この車輪からの剥離気流が車体側部を流れる走行気流Cと干渉して乱流が生じれば、走行抵抗の増大につながる。この実施形態では、タイヤ6の接地面が吹出し口12を覆うように前左輪(車輪)4が転舵された外方転舵状態の場合に、車輪剥離気流の原因となる押し流し気流Aを低減し、その低減分を排出口23から排出気流Dとして排出することで、車輪剥離気流と車体側部を流れる走行気流Cとの干渉を低減する。なお、押し流し気流Aの低減制御としては、例えば前左輪(車輪)4の転舵角が押し流し気流低減制御閾値以上となったら吹出し口12を全閉状態として押し流し気流Aを停止することなども挙げられる。ちなみに、押し流し気流Aの低減量を排出口から排出することなく、単に吹出し口12を全閉状態とすると、走行気流取り込みダクト11内に流入した走行気流の一部が、例えば床下などに漏れてしまうおそれがある。
【0049】
このように、この実施形態の車両用気流制御装置では、車両用ホイール5にタイヤ6が取付けられた前左輪(車輪)4をホイールハウス3に収容し、このホイールハウス3の壁部のうち、車輪4の前後方向中央の車両前方寄り位置には、タイヤ6の車両幅方向外側端面部に沿って押し流し気流Aを吹出す吹出し口12を設ける。また、ホイールハウス3の壁部のうち、車輪4の転舵中心軸の車両後方寄り位置には、吹出し口12への走行気流の一部の排出を許容する排出口23を設ける。そして、検出又は推定された車輪4の転舵状態からタイヤ6の接地面が吹出し口12を覆う外方転舵状態の場合に、吹出し口12から吹出される押し流し気流Aを低減し、その低減された分を排出口23から排出する。従って、車輪4の外方転舵時に、吹出し口12から吹出された押し流し気流Aがタイヤ6の接地面に当たって剥離気流となるのを低減することができ、その結果、車輪4からの剥離気流と車体側部を流れる走行気流Cとの干渉を低減することができる。また、排出口23から排出される排出気流Dは、車輪4の転舵中心軸より車両後方寄り位置からホイールハウス内に排出されるから、その排出気流Dと走行気流Cとの干渉も回避することが可能となる。
【0050】
また、タイヤ6の上端部より下方に排出口23を配置したことにより、排出口23からの排出気流Dがそのまま車体側部に排出されるのを低減することができ、排出口23からの排出気流Dと走行気流Cとの干渉を回避することができる。
【0051】
また、吹出し口12から吹出される気流を低減する吹出し口閉塞用流量調整機構17と、排出口23から排出される気流を増大する排出口開放用流量調整機構21と、検出又は推定された車輪4の転舵状態に応じて、吹出し口閉塞用流量調整機構17を作動して吹出し口12から吹出される気流を低減すると共に、排出口開放用流量調整機構21を作動して排出口23から排出される気流を増大するコントロールユニット19とを備える。これにより、車輪からの剥離気流Dの低減や吹出し口12から吹出される気流の低減分の排出口23からの排出を確実に行うことができる。
【0052】
また、走行気流の一部を取り込んで吹出し口12に供給する走行気流取り込みダクト11と、走行気流取り込みダクト11をホイールハウス3の車両幅方向内側に分岐して排出口23に連続する走行気流分岐ダクト24とを備える。そして、吹出し口閉塞用流量調整機構17は、走行気流取り込みダクト11の走行気流分岐ダクト24との分岐点より気流先方位置に配置する。また、排出口開放用流量調整機構21は、走行気流分岐ダクト24の走行気流取り込みダクト11との分岐点より気流先方位置に配置する。これにより、車輪からの剥離気流Dの低減や吹出し口12から吹出される気流の低減分の排出口23からの排出をより一層確実に行うことができる。
【0053】
図8は、本発明の車両用気流制御装置の異なる実施形態を示す車両前部概略平面図である。この車両の概略構成は、図1図2に示す車両の概略構成とほぼ同等であり、同等の構成には同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。この実施形態では、排出口23は、図1に示す実施形態よりも更に車両後方寄りでホイールハウス3の車体幅方向内側壁部に開口している。この他にも、排出口23としては、図8に二点鎖線で示すように、ホイールハウス3の壁部の車両後方において車体側部に開口するようにしてもよい。
【0054】
この実施形態では、前述した吹出し量調整機構と排出量調整機構を兼任する兼用流量調整機構として、走行気流取り込みダクト11と走行気流分岐ダクト24との分岐点に兼用流量調整機構25を配置した。この兼用流量調整機構25は、例えばフラップ型のバルブで構成され、例えば図に実線で示す走行気流分岐ダクト24の閉塞位置を原位置として、図に二点鎖線で示す走行気流取り込みダクト11の閉塞位置までアクチュエータ26によって作動するものである。この兼用流量調整機構25が走行気流分岐ダクト24の閉塞位置から走行気流取り込みダクト11の閉塞位置まで作動する間、吹出し口12から吹出される押し流し気流Aが低減されると共にその低減量分だけ排出口23から排出される排出気流Dが増大される。従って、コントロールユニット19は、例えば図6の演算処理において、検出又は推定された車輪4の転舵状態に応じて、前左輪(車輪)4の外方転舵時には、吹出し口12から吹出される押し流し気流Aを低減すると共に(同時に)排出口23から排出される排出気流Dが増大されるように、アクチュエータ26を駆動して兼用流量調整機構25を作動すればよい。
【0055】
このように、この実施形態の車両用気流制御装置では、吹出し口12から吹出される押し流し気流Aを低減すると共に排出口23から排出される排出気流Dを増大する兼用流量調整機構25を備え、コントロールユニット19は、検出又は推定された車輪4の転舵状態に応じて、兼用流量調整機構25を作動して吹出し口12から吹出される押し流し気流Aを低減すると共にその低減量分だけ排出口23から排出される排出気流Dを増大する。これにより、車輪からの剥離気流Dの低減や吹出し口12から吹出される気流の低減分の排出口23からの排出を確実に行うことができる。
【0056】
また、走行気流の一部を取り込んで吹出し口12に供給する走行気流取り込みダクト11と、走行気流取り込みダクト11をホイールハウス3の車両幅方向内側に分岐して排出口23に連続する走行気流分岐ダクト24を備え、走行気流取り込みダクト11と走行気流分岐ダクト24との分岐点に兼用流量調整機構25を配置する。これにより、車輪からの剥離気流Dの低減や吹出し口12から吹出される気流の低減分の排出口23からの排出をより一層確実に行うことができる。
【0057】
本発明が上記していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当とされる特許請求の範囲に記載された発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0058】
3 ホイールハウス
4 前左輪(車輪)
5 車両用ホイール
6 タイヤ
7 開口部
11 走行気流取り込みダクト
12 吹出し口
17 吹出し口閉塞用流量調整機構(吹出し量調整機構)
19 コントロールユニット(制御部)
20 操舵角センサ(転舵状態検出又は推定部)
21 排出口開放用流量調整機構(排出量調整機構)
23 排出口
24 走行気流分岐ダクト
25 兼用流量調整機構
A 押し流し気流(気流)
D 排出気流(気流)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9