【実施例】
【0170】
以下、具体的な実施例を用いて本発明について説明するが、それらの実施例は本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0171】
一般的な実験手順
本明細書中のスキームにおける構造の可変部分に関する定義は、本明細書に詳述されている式の中の対応する位置の可変部分の定義に対応している。
【0172】
1または1aの合成
【化274】
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【0173】
鏡像異性的に純粋な化合物1または1aの調製方法を開示する。1または1aの合成は、以下に示す合成例(スキーム1〜4)を用いて達成してもよい。2,5−ジブロモピリジンと2−ブロモジフルオロ酢酸エチルとの反応で開始してエステル2−Brを生成することにより、前駆体ケトン3−Brの調製を行う。このエステルをモルホリンと反応させてモルホリンアミド2b−Brを得、次いでアリール化してケトン3−Brを得る。
【0174】
スキーム1:ケトン3−Brの合成
【化275】
[この文献は図面を表示できません]
【0175】
ケトン3は、対応する置換2−ブロモピリジンから開始するスキーム1に記載されている類似した方法で調製してもよく、当該技術分野で知られ、かつ本明細書に引用されている参考文献に含まれている合成変換(スキーム2)に従って調製することができる。
【0176】
スキーム2:ケトン3の合成
【化276】
[この文献は図面を表示できません]
【0177】
あるいは、スキーム3に従い、アミノアルコール±4bまたは±1−6を用いて、化合物1(または1a、1の鏡像異性体またはそれらの混合物)を調製することができる。好適な溶媒または溶媒混合物(例えば、DMSOまたはTHF)中、塩基(例えば、カリウムt−ブトキシド)の存在下で、ケトン3および1−4をトリメチルスルホキソニウムヨージド(TMSI)と反応させることにより、エポキシド4および5を調製することができる。また、スキーム3に示すように、好適な溶媒系(例えば、有機/水性溶媒混合物)中、遷移金属触媒(例えば、(dppf)PdCl
2、dppf=1,1’−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)の存在下および塩基(例えば、KHCO
3、K
2CO
3、Cs
2CO
3またはNa
2CO
3など)の存在下で、(4−トリフルオロメトキシフェニル)ボロン酸(または対応するボロン酸アルキルまたはボロン酸ピナコールなど)とクロスカップリングさせることにより、ピリジン化合物3、4、±4b、4bまたは6のいずれかを対応する4−CF
3O−Ph類似体(例えば、1−4、5、±1−6、1−6*または1、対応する鏡像異性体またはそれらの混合物)に変換することができる。次いで、好適な溶媒(例えば、MeOH、EtOHまたは水)中でのアンモニアを用いるアンモニア媒介エポキシド開環により、エポキシド4および5をアミノアルコール±4bおよび±1−6に変換することができる。次いで、好適な溶媒(例えば、アセトニトリル、イソプロパノール、EtOHまたはそれらの混合物あるいはこれらのいずれかと水またはMeOHとの混合物、好ましくはアセトニトリルまたはアセトニトリルとMeOHとの混合物、例えば、90:10、85:15または80:20混合物)中でキラル酸(例えば、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸またはジ−p−トルオイル酒石酸など)に曝露して化合物4b(または4c、4bの鏡像異性体またはそれらの混合物)あるいは1−6*(または1−7*、1−6*の鏡像異性体またはそれらの混合物)を得ることにより、ラセミのアミノアルコール±4bおよび±1−6を鏡像異性的に濃縮することができる。その後のオルトギ酸トリメチルおよび酢酸ナトリウムの酢酸溶液の存在下でのTMS−アジドによる処理により、化合物20(または20a、20の鏡像異性体またはそれらの混合物)あるいは1(または1a、1の鏡像異性体またはそれらの混合物)を得る(米国特許第4,426,531号)。
【0178】
スキーム3:TMSIエポキシ化法による1または1aの合成
【化277】
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【0179】
スキーム4に示すように、本明細書に示されている方法のいずれかにより調製した化合物1(または1a、1の鏡像異性体またはそれらの混合物)を、式IX(またはIXa、IXの鏡像異性体またはそれらの混合物)のスルホン酸塩に変換することができる。これは、a)化合物1(または1a、1の鏡像異性体またはそれらの混合物)、結晶化溶媒または結晶化溶媒混合物(例えば、EtOAc、iPrOAc、EtOH、MeOH、アセトニトリルまたはそれらの組み合わせ)およびスルホン酸:
【化278】
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(例えば、Z=Ph、p−トリル、MeまたはEt)を組み合わせる工程、b)混合物を適当な結晶化共溶媒または結晶化共溶媒混合物(例えば、ペンタン、メチルt−ブチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、トルエンまたはそれらの組み合わせ)で希釈する工程、およびc)混合物を濾過して式IX(またはIXa、IXの鏡像異性体またはそれらの混合物)のスルホン酸塩を得る工程により達成することができる。
【0180】
スキーム4:化合物1または1aのスルホン酸塩の合成
【化279】
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【0181】
実施例1:1−(2,4−ジフルオロフェニル)−2,2−ジフルオロ−2−(5−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリジン−2−イル)エタノン(1−4)の調製
【0182】
1a:2−(5−ブロモピリジン−2−イル)−2,2−ジフルオロ酢酸エチル(2)
方法の開発
【化280】
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【0183】
表1は、反応系の全収率および純度によって測定した場合の全体的な変換性能に対する試薬および反応物のそれぞれの相対的割合の効果、温度の効果および溶媒変更の効果を示す。
【表1】
[この文献は図面を表示できません]
【0184】
2−Brを調製するための典型的な手順
銅(45μm、149g、0.198モル、2.5当量)を、凝縮器、熱電対およびオーバーヘッドスターラーを備えた3Lの三口丸底フラスコの中に入れた。DMSO(890mL、2−ブロモ−2,2−ジフルオロ酢酸エチルに基づき4.7体積)および14mLの濃硫酸を添加し、混合物を30分間撹拌した。撹拌時間中に混合物を約31℃まで自己加熱させた。この内容物を23℃に冷却した後、2,5−ジブロモピリジン1(277g、1.17モル、1.5当量)を反応混合物に添加した。この内容物の温度を10分間の撹拌時間中に16℃に低下させた。2−ブロモ−2,2−ジフルオロ酢酸塩(190g、0.936モル、1.0当量)を一度で添加し、混合物を10分間撹拌した。フラスコの内容物を35℃に温め、内部温度を35〜38℃に18時間維持した。インプロセスHPLC法では72%の所望の2−Brが確認された。温かい反応混合物を濾紙で濾過し、回収した固体を300mLの35℃のDMSOで洗浄した。次いで、この固体を450mLのn−ヘプタンおよび450mLのMTBEで洗浄した。回収した濾液を約10℃に冷却し、900mLの冷たい20%NH
4Cl水溶液にゆっくりと添加し、添加中に内部温度を16℃未満に維持した。15分間撹拌した後、層を安定させて分離した。水層を2×450mLの1:1=MTBE:n−ヘプタン混合物で抽出した。1つにまとめた有機層を2×450mLの20%NH
4Cl水溶液および200mLの20%NaCl水溶液で洗浄した。有機層を50gのMgSO
4で乾燥し、溶媒を除去して2−Brを暗色油として得た。油の重量=183g(70重量%の収率)、HPLC純度(面積%)=85%。
1H NMR (400 MHz, d
6-DMSO): δ8.86 (m, 1H), 8.35 (dd, J= 8.4, 2.3Hz, 1H), 7.84 (dd, J= 8.3, 0.6Hz, 1H), 4.34 (q, J= 7.1Hz, 2H), 1.23 (t, J= 7.1Hz, 3H). MS m/z 280 (M+H
+), 282 (M+2+H
+).
【0185】
1b:2−(5−ブロモピリジン−2−イル)−2,2−ジフルオロ−1−モルホリノエタノン(2b−Br)
方法の開発
【化281】
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【0186】
表2は、反応系の全収率および純度によって測定した場合の全体的な変換性能に対する試薬および反応物のそれぞれの相対的割合の効果および溶媒変更の効果を示す。
【表2】
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【0187】
2−Brを2b−Brに変換するための典型的な手順
粗製のエステル2−Br(183g、0.65モル)を1.5Lのn−ヘプタンに溶解し、凝縮器、オーバーヘッドスターラーおよび熱電対を備えた5Lの三口丸底フラスコに移した。モルホリン(248g、2.85モル、4.4当量)をこのフラスコに入れ、混合物を60℃に温め、16時間撹拌した。インプロセスHPLCでは1%未満のエステル2−Brが確認された。反応混合物を22〜25℃に冷却し、混合物を4℃に冷却し続けながら1.5LのMTBEを添加し、700mLの30重量%クエン酸水溶液にゆっくりと添加した。添加中に反応混合物の温度を15℃未満に維持した。反応系を約14℃で1時間撹拌し、次いで層を分離した。有機層を400mLの30重量%クエン酸水溶液で洗浄し、次いで400mLの9%NaHCO
3水溶液で洗浄した。565gの反応混合物が残るまで溶媒をゆっくりと除去した。オーバーヘッド撹拌によりこの混合物を約16時間撹拌した。スラリーを濾過し、固体を250mLのn−ヘプタンで洗浄した。2b−Brの重量=133g。HPLC純度(面積%):98%。これは2,5−ジブロモピリジンから44%の全収率である。
1H NMR (400 MHz, d
6-DMSO): δ8.86 (d, J= 2.3Hz, 1H), 8.34 (dd, J= 8.5, 2.3Hz, 1H), 7.81 (dd, J = 8.5, 0.5Hz, 1H), 3.63-3.54 (m, 4H), 3.44-3.39 (m, 2H), 3.34-3.30 (m, 2H). MS m/z 321 (M+H
+), 323 (M+2+H
+).
【0188】
1c:2−(5−ブロモピリジン−2−イル)−1−(2,4−ジフルオロフェニル)−2,2−ジフルオロエタノン(3−Br)
方法の開発
【化282】
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【0189】
表3は、反応系の全収率および純度によって測定した場合の全体的な変換性能に対する試薬および反応物のそれぞれの相対的割合の効果および温度変更の効果を示す。
【表3】
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【0190】
2b−Brを3−Brに変換するための典型的な手順
グリニャール形成
削り状マグネシウム(13.63g、0.56モル)を凝縮器、熱電対、添加漏斗および撹拌子を備えた三口丸底フラスコに入れた。540mLの無水テトラヒドロフラン、次いで1−ブロモ−2,4−ジフルオロベンゼン(16.3mL、0.144モル)を添加した。この内容物を22〜25℃で撹拌し、44℃まで自己加熱させた。添加中に内部温度を40〜44℃に維持する速度で1−ブロモ−2,4−ジフルオロベンゼン(47mL、0.416モル)を反応混合物に添加した。添加が完了したら混合物を2時間撹拌し、撹拌時間中に約25℃に放冷した。この混合物を22〜25℃に維持し、1−ブロモ−2,4−ジフルオロベンゼンの添加が完了した後3〜4時間以内に使用した。
【0191】
カップリング反応
化合物2b−Br(120g、0.0374モル)を凝縮器、熱電対およびオーバーヘッドスターラーを備えた三口丸底フラスコに入れた。600mLの無水テトラヒドロフランを添加した。透明な溶液が得られるまでフラスコの内容物を22℃で撹拌した。この溶液を0〜5℃に冷却した。次いで、反応温度を0〜2℃に維持しながら、先に調製したグリニャール試薬溶液をゆっくりと添加した。反応の進行をHPLCで監視した。45分後のインプロセスチェックでは1%未満のアミド2b−Brの残留が確認された。添加中に温度を18℃未満に維持しながら2NのHCl水溶液(600mL、3体積)をゆっくりと添加した。反応系を30分間撹拌し、層を分離した。水層を240mLのMTBEで抽出した。1つにまとめた有機層を240mLの9%NaHCO
3水溶液および240mLの20%NaCl水溶液で洗浄した。有機層を28gのMgSO
4で乾燥し、溶媒を除去して3−Br(137g)を琥珀色の油として得た。HPLC純度(面積%)=約90%。
1H NMR (400 MHz, d
6-DMSO): δ8.80 (d, J= 2.2Hz, 1H), 8.41 (dd, J= 8.3, 2.3Hz, 1H), 8.00 (m, 2H), 7.45 (m, 1H), 7.30 (m, 1H). MS m/z 348 (M+H
+), 350 (M+2+H
+).
【0192】
1d:1−(2,4−ジフルオロフェニル)−2,2−ジフルオロ−2−(5−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリジン−2−イル)エタノン(1−4)
【化283】
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【0193】
3−Brを1−4に変換するための典型的な手順
250mLの反応器の中に、THF(45mL)、水(9.8mL)、ブロモピリジン3−Br(6.0g、17.2ミリモル)、4−(トリフルオロメトキシ)フェニルボロン酸(3.57g、17.3ミリモル)およびNa
2CO
3(4.55g、42.9ミリモル)を入れた。撹拌した混合物を窒素で15分間パージした。触媒(CH
2Cl
2付加物としてPd(dppf)Cl
2、0.72g、0.88ミリモル)を添加し、反応混合物を65℃に加熱し、2.5時間維持した。熱を遮断し、反応混合物を20〜25℃に放冷し、一晩撹拌した。HPLC分析では約90%のケトン1−4/水和物が確認され、未反応のブロモピリジン3−Brは確認されなかった。MTBE(45mL)およびDI−H
2O(20mL)を添加し、失活させた反応系を45分間撹拌した。混合物をセライトプラグ(3g)に通して固体を除去し、MTBE(25mL)で洗い流した。濾液を分離漏斗に移し、水層を排出した。有機層を20%塩水(25mL)で洗浄し、2つの部分に分けた。両方をロータリーエバポレーター(rotovap)で濃縮して油(7.05gおよび1.84g、合計8.89g、100%超の収率、HPLC純度:約90%)を得た。多い方の分割量を使用してケトン1−4をそのまま生成した。少ない方の分割量をDCM(3.7g、2部)に溶解し、SiO
2パッド(5.5g、3部)の上に置いた。フラスコをDCM(1.8g)で洗い流し、この流出物をパッドに添加した。このパッドをDCM(90mL)で溶離し、回収した濾液を濃縮して油(1.52g)を得た。これにヘプタン(6g、4部)を添加し、混合物を撹拌した。この油を結晶化し、スラリーを得た。スラリーを20〜25℃で一晩撹拌した。固体を真空濾過により単離し、ケークをヘプタン(約1.5mL)で洗浄した。ケークを真空オーブン(40〜45℃)でN
2スイープ(N
2 sweep)により乾燥した。60.1%の収率(分割量の大きさに対して補正)、99.9%のHPLC純度で0.92gのケトン1−4を得た。
【0194】
TMSIエポキシ化法
3d:2−((2−(2,4−ジフルオロフェニル)オキシラン−2−イル)ジフルオロメチル)−5−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリジン(5)
【化284】
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【0195】
1−4を5に変換するための典型的な手順
t−BuOK(2.22g、19.9ミリモル)、TMSI(4.41g、20.0ミリモル)およびTHF(58.5mL)を反応フラスコに入れ、濁った混合物を撹拌した。DMSO(35.2mL)を添加し、透明化している混合物を20〜25℃で30分間撹拌した後、1〜2℃に冷却した。ケトン1−4(粗製、5.85g、13.6ミリモル)をTHF(7.8mL)に溶解し、温度を1.5〜2.0℃に維持しながら、この1−4溶液を12.75分かけてTMSI混合物に添加した。この反応系を0〜2℃に維持した。1時間後、HPLC分析のために試料を採取し、HPLCでは77.6%のエポキシド5が確認され、未反応のケトン1−4は確認されなかった。温度を5℃未満に維持しながら1NのHCl(17.6mL)をゆっくりと添加して反応系を失活させた。5分後に、8%のNaHCO
3(11.8mL)を5℃未満でゆっくりと添加してpH8を得た。反応混合物を分離漏斗に移し、層を分離した。水層をMTBE(78mL)で抽出し、1つにまとめた有機層を20%NaCl(2×20mL)で洗浄した。濃縮後、7.36gの暗色油を得た。粗製の油のHPLCでは、この油が75%のエポキシド5を含むことが確認された。この油をDCM(14.7g、2部)に溶解し、この溶液をSiO
2パッド(22g、3部)上に置いた。フラスコをDCM(7.4g、1部)で洗い流し、この流出物をパッドの上に置いた。このパッドをDCM(350mL)で溶離して琥珀色の濾液を得た。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、フラスコ内に空間があれば、ヘプタン(100mL)を添加した。39.4gがフラスコ内に残るまで混合物を濃縮し、固体を形成させた。懸濁液を20〜25℃で70分間撹拌した。固体を真空濾過で単離し、ケークをヘプタン(10mL)で洗浄し、かつ漏斗上で吸引乾燥した。真空オーブン(40〜45℃)でN
2スイープにより乾燥した後、ブロモピリジン3から55.1%の収率、99.8%のHPLC純度で3.33gの固体を得た。
【0196】
3e:3−アミノ−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−1−(5−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリジン−2−イル)プロパン−2−オール(±1−6)
【化285】
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【0197】
方法の開発
表8は、反応系の全収率および純度によって測定した場合の全体的な変換性能に対する試薬および反応物のそれぞれの相対的割合の効果、溶媒変更の効果および温度変更の効果を示す。
【表4】
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【0198】
5を±1−6に変換するための典型的な手順
エポキシド5(2.17g、4.89ミリモル)をメタノール(48mL)およびアンモニア水溶液(19.5mL)を含むガラス圧力管内で1つにまとめた。この管を密閉し、撹拌しながら54℃に維持した油浴に入れた。15時間後、この管を油浴から取り出し、冷却し、反応系からHPLCのために試料を採取し、HPLCでは93.6%のアミノアルコール±1−6および6.0%のジ付加物が確認された。この反応系にMTBE(48mL)および20%NaCl(20mL)を添加した。層を分離し、水層をMTBE(20mL)で抽出した。1つにまとめた有機層をH
2O(20mL)で洗浄し、ロータリーエバポレーターフラスコに移した。ヘプタン(20mL)を添加し、16.9gがフラスコ内に残るまでこの溶液を濃縮した。H
2O層がフラスコ内に現われ、ピペットで取り出し、12.8gを得た。化合物1−6シードを添加し、結晶化する混合物を20〜25℃で一晩撹拌した。濾過する前にフラスコを氷浴で2時間冷却し、単離した固体を冷たいヘプタン(5mL)で洗浄し、漏斗上で吸引乾燥した。真空オーブン(40〜45℃)で数時間乾燥した後、60.8%の収率、98.0%のHPLC純度で1.37gのアミノアルコール±1−6を得た。
【0199】
3f:3−アミノ−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−1−(5−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリジン−2−イル)プロパン−2−オール(1−6*または1−7*)
【化286】
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【0200】
方法の開発
表9は、各種キラル酸/溶媒の組み合わせの調査を行った最初の選別を示す。0.1ミリモルのアミノアルコール±1−6、1当量のキラル酸および1mLの溶媒を用いて表9内の全ての項目を生成した。
【表5】
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【0201】
表9における最良の結果は酒石酸およびジ−p−トルオイル酒石酸を用いて得られたため、表10は、これらの2種類のキラル酸と各種溶媒との組み合わせを用いる集中選別による結果を示す。0.2ミリモルのアミノアルコール±1−6、87体積の溶媒を用いて表10内の全ての項目を生成し、各項目を51℃で1時間の加熱に曝露し、室温に冷却し、室温で24時間撹拌した。
【表6】
[この文献は図面を表示できません]
【0202】
表10内のジ−p−トルオイル酒石酸を用いる3つの項目のそれぞれにより、酒石酸と比較した場合より高レベルの鏡像異性体濃縮が得られた。従って、鏡像異性体濃縮をさらに最適化するための努力を、ジ−p−トルオイル酒石酸を用いる条件に集中した(表11)。
【表7】
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【0203】
表12は、DPPTA分割から得られた鏡像体過剰率(表11)を、ACN/MeOH中でスラリー化することによりさらに増加させることができることを実証している。
【表8】
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【0204】
±1−6を1−6*または1−7*に変換するための典型的な手順
(この実験手順は、±1−6の分割について記載しているが、1−6または1−7のDPPTA分割のために使用される条件は本質的に同じである)
アミノアルコール±1−6(7.0g、15ミリモル)をアセトニトリル(84mL)とメタノール(21mL)との混合物に溶解した。(D)−DPTTA(5.89g、15ミリモル)を添加し、反応系を50℃に温め、2.5時間維持した。次いで、熱を除去し、懸濁液を放冷し、20〜25℃で65時間撹拌した。この懸濁液を氷浴で冷却し、さらに2時間撹拌した。固体を真空濾過で単離し、ケークを冷たい8:2のACN/MeOH(35mL)で洗浄した。50℃で乾燥した後、5.18gの1−6*または1−7*/DPPTA塩を単離した(HPLC純度=99.0、ee=74)。
【0205】
1−6*または1−7*/DPPTA塩(5.18g)を8:2のACN/MeOH(68mL)と共に1つにまとめ、この懸濁液を50℃に加熱し、20分間維持した。20〜25℃に冷却した後、混合物を16時間撹拌した。固体を真空濾過で単離し、ケークを冷たい8:2のACN/MeOH(30mL)で洗浄し、漏斗上で吸引乾燥した。2.82gの1−6*または1−7*/DPPTA塩を44.4%の収率(粗製の±1−6から)、97.5のeeで得た。得られた固体を遊離塩基化して1−6*または1−7*をDPPTA塩と同じアキラルおよびキラル純度で得た。
【0206】
実施例4:2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−3−(1H−テトラゾール−1−イル)−1−(5−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリジン−2−イル)プロパン−2−オール(1または1a)の調製
【化287】
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【0207】
化合物1または1aを生成するために使用した手順は、米国特許第4,426,531号に記載されているとおりである。表13は、TMS−シアノヒドリン法およびTMSI−エポキシ化法の両方から生成したアミノアルコール1−6*または1−7*に対して行ったこの手順の効率的かつ定量的な性質を示す。
【表9】
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【0208】
実施例5:2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−3−(1H−テトラゾール−1−イル)−1−(5−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリジン−2−イル)プロパン−2−オールのベンゼンスルホン酸塩(1−BSAまたは1a−BSA)
【化288】
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【0209】
1または1aを1−BSAまたは1a−BSAに変換するための典型的な手順
46.6gの化合物1または1aを酢酸エチル(360ml)に溶解した。この溶液を極小繊維ガラスフィルタで濾過し、オーバーヘッドスターラー、凝縮器およびJ−Kem熱電対を備えた2Lの反応フラスコに入れた。医薬品グレードのベンゼンスルホン酸(BSA、14.39g、1当量)を酢酸エチル(100ml)に溶解した。BSA溶液を極小繊維ガラスフィルタで濾過し、撹拌した1または1a溶液に一度で添加した。混合物を60〜65℃に温め、温め期間中に1または1a/BSA塩の沈殿が生じた。スラリーを60〜65℃に60分間維持した。懸濁液をゆっくりと22℃に放冷し、20〜25℃で16時間撹拌した。n−ヘプタン(920ml)を一度に入れ、懸濁液を22℃でさらに90分間撹拌した。スラリーを濾過し、回収した固体をn−ヘプタン(250ml)で洗浄した。単離した固体を50℃の真空オーブンに16時間入れた。52.26g(86%の収率)の1または1aのベンゼンスルホン酸塩を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6 + D
20): 89.16 (s, 1H), 8.95 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.26 (dd, J = 8.2, 2.3 Hz, 1H), 7.96-7.89 (m, 2H), 7.66-7.61 (m, 2H), 7.59 (dd, J = 8.3, 0.4 Hz, 1H), 7.53 (br d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.38-7.15 (m, 5H), 6.90 (dt, J = 8.3, 2.5 Hz, 1H), 5.69 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 5.15 (d, J = 15.2 Hz, 1H).
【0210】
さらなる結果を表14に示す。
【表10】
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【0211】
図1〜
図2は、TMSI−エポキシ化法により調製した1−BSAまたは1a−BSAの分析データを含んでいる。
【0212】
実施例6:5−ブロモ−2−((2−(2,4−ジフルオロフェニル)オキシラン−2−イル)ジフルオロメチル)ピリジン(4−Br)
【化289】
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【0213】
3−Brを4−Brに変換するための典型的な手順
KOtBu(41.7g、0.372モル、1.05当量)およびトリメチルスルホキソニウムヨージド(85.7g、0.389モル、1.1当量)をオーバーヘッドスターラー、熱電対および添加漏斗を備えた3Lの三口丸底フラスコに入れた。このフラスコに1.2Lの無水THFおよび740mLのDMSOを添加し、22〜25℃で70分間撹拌した。この内容物を0℃に冷却した。粗製のケトン3を250mLの無水THFに溶解し、添加中に反応温度を3℃未満に維持しながらケトン3−Br溶液を反応混合物に20分かけてゆっくりと添加し、0℃で1時間撹拌した。インプロセスHPLCでは1%未満のケトン3−Brの残留が確認された。添加中に反応温度を6℃未満に維持しながら200mLの1NのHClをゆっくりと添加した。30分間撹拌した後、層を分離し、375mLのMTBEで水層を抽出した。1つにまとめた有機層を375mLの9%NaHCO
3水溶液および375mLの20%NaCl水溶液で洗浄した。溶媒を除去して4−Brを褐色の蝋状固体として得た。粗製のエポキシド4−Brの重量=124.6g。
1H NMR (400 MHz, d
6-DMSO) : δ8.82 (d, J= 2.3Hz, 1H), 8.21 (dd, J= 8.3, 2.3Hz, 1H), 7.50 (dd, J= 8.3, 0.5Hz, 1H), 7.41 (m, 1H), 7.25 (m, 1H), 7.10 (m,1H), 3.40 ( d, J= 4.5Hz, 1H), 3.14 (m, 1H). MS m/z 362 (M+H
+), 364 (M+2+H
+).
【0214】
実施例7:3−アミノ−1−(5−ブロモピリジン−2−イル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロプロパン−2−オール(4b−Br)
【化290】
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【0215】
4−Brを4b−Brに変換するための典型的な手順
粗製のエポキシド4−Br(54.4g、0.15モル)を、撹拌子を備えたSCHOTT社製オートクレーブボトルの中に入れた。550mLのMeOHをこのボトルに添加し、22〜25℃で90分間撹拌した。濃縮したNH
4OH(550mL、7.98モル、53当量)をエポキシド4−Br溶液に添加した。このボトルを密閉し、55℃の油浴に入れた。混合物を55℃で17時間撹拌した。このボトルを油浴から取り出し、22〜25℃に冷却した。インプロセスHPLCでは1%未満のエポキシド4−Brの残留が確認された。362g(37%)の反応生成量が残るまで溶媒を回転蒸発により除去した。500mLのMTBEを添加し、混合物を8℃に冷却した。添加中に反応温度を8〜12℃に維持しながら500mLの6NのHClをゆっくりと添加した。10分間撹拌した後、層を分離した。MTBE層を350mLの6NのHClで抽出した。1つにまとめた水層を250mLのMTBEおよび2×250mLのヘプタンで洗浄した。250mLのMTBEを水層に添加し、混合物を2℃に冷却した。344gのKOHを500mLの水に溶解した。温度を19℃未満に維持しながら、KOH溶液を反応混合物に1時間かけてゆっくりと添加した。15分間撹拌した後、層を分離した。水層を250mLのMTBEで抽出した。1つにまとめた有機層を250mLの20%NaCl水溶液で洗浄し、溶媒を除去して±4b−Brを暗色油として得た。粗製のアミノアルコール±4b−Brの重量=46.0g。HPLC純度(面積%)=92%。
1H NMR (400 MHz, d
6-DMSO): δ8.67 (d, J= 2.2Hz, 1H), 8.15 (dd, J= 8.6, 2.4Hz, 1H), 7.46 (m, 1H), 7.40 (dd, J= 8.5, 0.7Hz, 1H), 7.10 (m, 1H), 7.00 (m,1H), 3.37 (dd, J= 13.7, 2.1Hz, 1H), 3.23 (dd, J= 13.7, 2.7, 1H). MS m/z 379 (M+H
+), 381 (M+2+H
+).
【0216】
実施例8:3−アミノ−1−(5−ブロモピリジン−2−イル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロプロパン−2−オール(4b−Brまたは4c−Br)
【化291】
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【0217】
4−Brを4b−Brまたは4c−Brに変換するための典型的な手順
粗製のアミノアルコール±4b−Br(42.4、0.11モル)を、425mLの8:2=IPA:CH
3CNに溶解した。この溶液を凝縮器、オーバーヘッドスターラーおよび熱電対を備えた1Lの三口丸底フラスコに入れた。このフラスコにジ−p−トルオイル−L−酒石酸(21.6g、0.056モル、0.5当量)を入れ、この内容物を52℃に温めた。反応混合物を52℃で5時間撹拌し、22〜25℃に冷却し、12時間撹拌した。スラリーを5〜10℃に冷却し、90分間撹拌した。混合物を濾過し、回収した固体を80mLの冷たいCH
3CNで洗浄した。固体を45〜50℃の真空オーブンで乾燥した。アミノアルコール/DPTTA塩の重量=17.4g。HPLCによる化学純度(面積%)=98.5%、キラルHPLC=98.0%ee。
【0218】
13.60gのアミノアルコール/DPTTA塩を、撹拌子を有する250mLのフラスコの中に入れ、ここに100mLのMTBEおよび100mLの10%K
2CO
3水溶液を添加した。完全な溶解が観察されるまで反応系を撹拌した。層を分離し、水層を50mLのMTBEで抽出した。1つにまとめたMTBE層を50mLの20%NaCl水溶液で洗浄し、溶媒を除去して8.84(98%)の4b−Brまたは4c−Brを淡黄色の油として得た。
【0219】
実施例9:3−アミノ−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,1−ジフルオロ−1−(5−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)ピリジン−2−イル)プロパン−2−オール(1−6*または1−7*)
【化292】
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【0220】
4b−Brまたは4c−Brを1−6*または1−7*に変換するための典型的な手順
アミノアルコール4b−Brまたは4c−Br(8.84g、0.023モル、1当量)を73mLのn−プロパノールに溶解した。この溶液を、凝縮器、熱電対、撹拌子およびセプタムを備えた250mLの三口丸底フラスコに移した。17mLの水を添加し、22〜25℃で5分間撹拌した。この反応系にK
2CO
3(9.67g、0.07モル、3当量)、4−(トリフルオロメトキシ)フェニルボロン酸(5.76g、0.028モル、1.2当量)、およびCH
2Cl
2付加物としてのPd(dppf)Cl
2(0.38g、0.47ミリモル、0.02当量)をフラスコに添加した。混合物を窒素で10分間パージした後、次いで、反応系を85〜87℃に温め、85〜87℃で16時間撹拌した。HPLC分析では1%未満のアミノアルコール4b−Brまたは4c−Brの残留が確認された。混合物を22〜25℃に冷却し、次いで、115mLのMTBEおよび115mLの水を添加し、30分間撹拌した。層を分離し、有機層を2×60mLの20%NaCl水溶液で洗浄した。溶媒を除去して12.96g(121%の収率)の1−6*または1−7*を粗製の暗色油として得た。なお、この油は、残留している溶媒、Pdおよびボロン酸不純物を含んでいる。
1H NMR (400 MHz, d
6-DMSO): δ8.90 (d, J= 2.2Hz, 1H), 8.22 (dd, J= 8.3, 2.3Hz, 1H), 7.91 (m, 2H), 7.54 (m, 4H), 7.14 (m, 1H), 7.02 (m, 1H), 3.41 (m, 1H), 3.27 (dd, J= 14.0, 2.7, 1H). MS m/z 461 (M+H
+).
【0221】
参照による組み込み
本出願の全体にわたって引用されている全ての参考文献(文献、取得済特許、公開特許出願および同時係属中の特許出願を含む)の内容全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0222】
均等物
当業者であれば、本明細書に記載されている本発明の具体的な実施形態の多くの均等物を知っているか、日常の実験のみを用いて確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されるものとする。