特許第6606521号(P6606521)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606521
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】姿勢安定型の流路壁内調査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/954 20060101AFI20191031BHJP
   E03F 7/00 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   G01N21/954 A
   E03F7/00
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-32148(P2017-32148)
(22)【出願日】2017年2月23日
(65)【公開番号】特開2018-136249(P2018-136249A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2018年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】391047190
【氏名又は名称】岡三リビック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】230121968
【弁護士】
【氏名又は名称】堀米 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100080056
【弁理士】
【氏名又は名称】西郷 義美
(73)【特許権者】
【識別番号】591139895
【氏名又は名称】株式会社ゲット
(73)【特許権者】
【識別番号】393003505
【氏名又は名称】復建調査設計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100080056
【弁理士】
【氏名又は名称】西郷 義美
(72)【発明者】
【氏名】鳥飼 貴人
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】今井田 敏宏
【審査官】 田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−308916(JP,A)
【文献】 特開平05−069879(JP,A)
【文献】 特開2011−194957(JP,A)
【文献】 特開2011−106177(JP,A)
【文献】 米国特許第05524567(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第103144748(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
E03F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも撮像手段が搭載された装置本体を備え、流路壁内を流れる流体に浮かんで移動しつつ前記流路壁内を調査する流路壁内調査装置において、
前記流路壁内の調査中に前記装置本体の姿勢を定位置に保持可能な姿勢安定部材を設け
前記姿勢安定部材が可撓性の線状素材からなり、
前記姿勢安定部材の先端が流路壁の底面に接することで前記装置本体の姿勢を定位置に保持することを特徴とする姿勢安定型の流路壁内調査装置。
【請求項2】
前記姿勢安定部材には錨部材を設け、錨部材と流下路の底面との間に発生する摩擦力によって前記装置本体の姿勢及び前記装置本体が移動する速度を調整することを特徴とする請求項1に記載の姿勢安定型の流路壁内調査装置。
【請求項3】
少なくとも前記装置本体の後部または前部に前記姿勢安定部材を上下方向に向けて揺動自在に連結したことを特徴とする請求項1又は2に記載の姿勢安定型の流路壁内調査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、姿勢安定型の流路壁内調査装置に係り、流路壁内を調査する姿勢安定型の流路壁内調査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤に埋設した水道管や下水管、トンネル水路壁等の流路壁内の点検や調査は、流路壁内調査装置などの各種装置を用いて行われている。
流路壁内調査装置には、装置本体に撮像手段(ビデオカメラ)や照明具(蛍光灯)などを搭載し、調査対象の流路壁内に投入され、そして、流路壁内の調査の終了後に回収されるものがある。
流路壁内調査装置による流路壁内の調査方法においては、流路壁内で上流側から下流側へ流れる流体に浮かんで移動しつつ、流路壁の内面を撮影し、そして、撮影した映像に基づいて流路壁内を調査している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−198377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、流路壁内調査装置が流体に浮かんで移動することから、流路壁内調査装置の姿勢が不安定になり易く、流路壁の内面を的確に撮影することが困難であり、撮影した映像に不備が発生しやすいことから、改善が望まれていた。
【0005】
そこで、この発明は、流路壁内を安定した姿勢で移動することができる姿勢安定型の流路壁内調査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、少なくとも撮像手段が搭載された装置本体を備え、流路壁内を流れる流体に浮かんで移動しつつ前記流路壁内を調査する流路壁内調査装置において、前記流路壁内の調査中に前記装置本体の姿勢を定位置に保持可能な姿勢安定部材を設け、前記姿勢安定部材が可撓性の線状素材からなり、前記姿勢安定部材の先端が流路壁の底面に接することで前記装置本体の姿勢を定位置に保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、流路壁内で流体に浮かんで移動する流路壁内調査装置が、姿勢安定部材によってその姿勢が定位置に保持されることから、流路壁内を安定した姿勢で移動することができ、流路壁の内面を的確に撮影し、そして、撮影した映像に不備が発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は流路壁内の流路壁内調査装置の移動状態を示す側面図である。(実施例1)
図2図2図1の流路壁内調査装置の拡大側面図である。(実施例1)
図3図3は流路壁内調査装置の左前側からの斜視図である。(実施例1)
図4図4は流路壁内調査装置の正面側からの斜視図である。(実施例1)
図5図5は流路壁内調査装置の背面側からの斜視図である。(実施例1)
図6図6は姿勢安定部材の連結機構の平面図である。(実施例1)
図7図7は姿勢安定部材の連結機構の側面図である。(実施例1)
図8図8は姿勢安定部材が下方へ揺動した際の側面図である。(実施例1)
図9図9は流路壁内調査装置の側面図である。(実施例2)
図10図10は流路壁内調査装置の平面図である。(実施例3)
図11図11は流路壁内調査装置の側面図である。(実施例4)
図12図12は流路壁内調査装置の側面図である。(実施例5)
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明は、流路壁の内面を的確に撮影し、撮影した映像に不備が発生するのを防止する目的を、流路壁内調査装置の装置本体に姿勢安定部材を設けて実現するものである。
【実施例1】
【0010】
図1図8は、この発明の実施例1を示すものである。
図3図5に示すように、姿勢安定型の流路壁内調査装置1は、装置本体2を備える。装置本体2は、底部3と、底部3上の台部4とで構成される。
装置本体2の台部4上には、前部位で、撮像ユニット5が搭載される。撮像ユニット5は、撮像手段として、所定の間隔に配置された複数個(例えば4個)のビデオカメラ6を備える。
装置本体2の台部4上には、撮像ユニット5の後方で、必要箇所に電力を供給するバッテリユニット7が搭載される。
装置本体2の台部4には、左右両側で、照明ユニット8・8が搭載される。照明ユニット8は、照明具(蛍光灯)9を備える。
装置本体2の台部4には、左右両側で、照明ユニット8の近傍で取手具10・10が備えられる。
装置本体2の台部4には、図2に示すように、ビデオカメラ6及び照明具9を作動制御するための制御ユニット(コンピュータ装置)11が備えられる。制御ユニット11は、制御手段12Aと、ビデオカメラ6で撮影した映像を記憶する記憶手段(メモリ)12B とを備える。
【0011】
図1図2に示すように、流路壁内調査装置1は、流路壁(例えば、トンネル水路壁)13内の空間である流下路14の流体(例えば、水)に浮かんで移動して流路壁13内を調査するために用いられるものであり、底部3が水面Gの下方で流体中に沈んで位置し、台部4が水面Gよりも上方に位置する。
流路壁13内の上面・側面は、装置本体2の照明具9によって照らされる。
【0012】
装置本体2には、流路壁13内の調査中に装置本体2の姿勢を定位置に保持可能な姿勢安定部材15が設けられる。
姿勢安定部材15は、この実施例1では、所定の剛性及び柔軟性を有する可撓性の線状素材であって、例えば、FRP(繊維強化プラスチック)や、ピアノ線などからなり、一端部15Aと他端部15Bとを備える。
また、姿勢安定部材15は、例えば、比重が流体の比重よりも大きい素材からなる。
【0013】
姿勢安定部材15の一端部15Aは、装置本体2の後部で且つ略中央部位に、連結機構16によって上下方向で揺動自在に連結される。姿勢安定部材15の他端部15Bは、自由端となっている。
図6図7に示すように、連結機構16は、装置本体2の後部に固定した固定側ブラケット17と、固定側ブラケット17に対して回動自在な可動側ブラケット18とからなる。可動側ブラケット18は、固定側ブラケット17に連結ボルト19・ナット20で取り付けられる。
固定側ブラケット17には、水平方向で連結ボルト19を挿通するための固定側ボルト孔21が形成される。可動側ブラケット18は、図6に示すように、平面視で、断面U字形状に形成され、一側部22と、他側部23と、一側部22と他側部23とを接続する中央部24とから構成される。一側部22・他側部23には、水平方向で連結ボルト19を挿通するための可動側ボルト孔25・25が形成される。中央部24には、姿勢安定部材15の一端部15Aを挿通するための取付孔26が形成される。この場合、姿勢安定部材15の一端部15Aで姿勢安定部材15の直径よりも大きな径の係止部27は、可動側ブラケット18内に配置され、可動側ブラケット18に係止される。
【0014】
姿勢安定部材15は、図2に示すように、水深H以上の長さLに設定され(L>H)、装置本体2が水面Gに浮かんだ状態において、先端である他端部15Bが流下路14の底面に接する。
また、姿勢安定部材15は、図8に示すように、連結機構16の固定側ブラケット17に対して可動側ブラケット18が相対的に回動することから、上下方向で揺動自在に連結される。
しかし、姿勢安定部材15は、図6に示すように、その素材の性質からして、他端部15Bの左右方向へ変位が、中心線Cに対して範囲θ・θに制限される。この範囲θは、素材の種類にもよって異なるが、極めて少ないものである。一方、姿勢安定部材15は、その素材の性質からして、たとえ、左右方向へ変位した場合でも、常に、真っ直ぐな状態になろうと復元するものである。
【0015】
次に、この実施例1の作用について説明する。
図1に示すように、流路壁内調査装置1は、流路壁13の投入口13Aから流路壁13内の流下路14に投入され、流下路14の流体の水面Gに浮かぶ。そして、制御手段12Aは、ビデオカメラ6の作動を開始する。
そして、流路壁内調査装置1は、上流側から下流側へ自然流下する流下路14の流体に浮かんで移動しつつ、制御手段12Aがビデオカメラ6を作動することによって流路壁13の内面を撮影する。ビデオカメラ6が撮影した映像は、記憶手段12Bに記憶される。
このとき、流路壁内調査装置1は、姿勢安定部材15の他端部15Bが流下路14の底面に接し且つ上下方向で揺動自在であり、しかも、左右方向への変位が範囲θ・θで極めて少ないことから、その姿勢が安定しつつ下流側へ移動する。
その後、流路壁内調査装置1は、下流側の回収ネット28によって回収され、流路壁13の回収口13Bから地上に回収される。
そして、調査作業員は、記憶手段12Bに記憶された映像に基づいて、流路壁13内の変状損傷などを調査する。
【0016】
この結果、この実施例1においては、流路壁13内で流体に浮かんで移動する流路壁内調査装置1が、姿勢安定部材15によってその姿勢が保持されることから、流路壁13内を安定した姿勢で移動することができ、流路壁13の内面を的確に撮影し、そして、撮影した映像に不備が発生するのを防止することができる。
【0017】
図9は、この発明の実施例2を示すものである。
以下の実施例では、上述の実施例1に同一機能を果たす箇所には、同一符号を付して説明する。
この実施例2の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、流路壁内調査装置1の装置本体2の後部に連結された姿勢安定部材15の先端である他端部15Bには、錨部材29を取り付けた。錨部材29は、所定の重量を備え、流下路14の底面に接して装置本体2の姿勢及び装置本体2が移動する速度を調整可能なものである。
この実施例2の構造によれば、流路壁内調査装置1が流体に浮かんで移動する際に、錨部材29が流下路14の底面に接しつつ移動することから、錨部材29と流下路14の底面との間に発生する摩擦力によって流路壁内調査装置1の姿勢がさらに安定される。
【0018】
図10は、この発明の実施例3を示すものである。
この実施例3の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、流路壁内調査装置1の装置本体2の後部には、左右方向で両端部位に2本の姿勢安定部材15R−1・15R−2を連結した。姿勢安定部材15R−1・15R−2は、同一の高さ位置で、且つ平行に配置される。この場合、姿勢安定部材15R−1・15R−2の装置本体2の後部での連結は、上記の実施例1の連結機構16と同一構造なので、ここでは、その説明を省略する。
この実施例3の構造によれば、流路壁内調査装置1が移動する際に、流路壁内調査装置1が左右方向で両端部位の姿勢安定部材15R−1・15R−2で保持されることから、流路壁内調査装置1の姿勢がさらに安定される。
【0019】
図11は、この発明の実施例4を示すものである。
この実施例4の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、流路壁内調査装置1の装置本体2には、前部の略中央部位で姿勢安定部材15Fを連結した。この場合、姿勢安定部材15Fの装置本体2の前部での連結は、上記の実施例1の連結機構16と同一構造なので、ここでは、その説明を省略する。
この実施例4の構造によれば、流路壁内調査装置1が移動する際に、流路壁内調査装置1が前部から後部に向かって変位する姿勢安定部材15Fで保持されることから、流路壁内調査装置1の姿勢が安定される。
【0020】
図12は、この発明の実施例5を示すものである。
この実施例5の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、流路壁内調査装置1の装置本体2には、後部の略中央部位で姿勢安定部材15Rを連結するとともに、前部の略中央部位で姿勢安定部材15Fを連結した。姿勢安定部材15Rは、例えば、比重が流体の比重よりも大きい素材からなる。また、姿勢安定部材15Fは、例えば、比重が流体の比重よりも小さい素材からなる。この場合、装置本体2の後部及び前部での姿勢安定部材15R・15Fの連結は、上記の実施例1の連結機構16と同一構造なので、ここでは、その説明を省略する。
この実施例5の構造によれば、流路壁内調査装置1が移動する際に、流路壁内調査装置1が後部の姿勢安定部材15Rと前部の姿勢安定部材15Fとで保持されることから、流路壁内調査装置1の姿勢がさらに安定される。
【産業上の利用可能性】
【0021】
この発明に係る姿勢安定型の流路壁内調査装置を、各種の調査方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 姿勢安定型の流路壁内調査装置
2 装置本体
3 装置本体の底部
4 装置本体の台部
5 撮像ユニット
6 ビデオカメラ
7 バッテリユニット
8 照明ユニット
9 照明具
10 取手具
11 制御ユニット
12A 制御手段
12B 記憶手段
13 流路壁
14 流下路
15 姿勢安定部材
16 連結機構
17 固定側ブラケット
18 可動側ブラケット
流下路の底面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12