【実施例1】
【0010】
図1〜
図8は、この発明の実施例1を示すものである。
図3〜
図5に示すように、姿勢安定型の流路壁内調査装置1は、装置本体2を備える。装置本体2は、底部3と、底部3上の台部4とで構成される。
装置本体2の台部4上には、前部位で、撮像ユニット5が搭載される。撮像ユニット5は、撮像手段として、所定の間隔に配置された複数個(例えば4個)のビデオカメラ6を備える。
装置本体2の台部4上には、撮像ユニット5の後方で、必要箇所に電力を供給するバッテリユニット7が搭載される。
装置本体2の台部4には、左右両側で、照明ユニット8・8が搭載される。照明ユニット8は、照明具(蛍光灯)9を備える。
装置本体2の台部4には、左右両側で、照明ユニット8の近傍で取手具10・10が備えられる。
装置本体2の台部4には、
図2に示すように、ビデオカメラ6及び照明具9を作動制御するための制御ユニット(コンピュータ装置)11が備えられる。制御ユニット11は、制御手段12Aと、ビデオカメラ6で撮影した映像を記憶する記憶手段(メモリ)12B とを備える。
【0011】
図1、
図2に示すように、流路壁内調査装置1は、流路壁(例えば、トンネル水路壁)13内の空間である流下路14の流体(例えば、水)に浮かんで移動して流路壁13内を調査するために用いられるものであり、底部3が水面Gの下方で流体中に沈んで位置し、台部4が水面Gよりも上方に位置する。
流路壁13内の上面・側面は、装置本体2の照明具9によって照らされる。
【0012】
装置本体2には、流路壁13内の調査中に装置本体2の姿勢を定位置に保持可能な姿勢安定部材15が設けられる。
姿勢安定部材15は、この実施例1では、所定の剛性及び柔軟性を有する可撓性の線状素材であって、例えば、FRP(繊維強化プラスチック)や、ピアノ線などからなり、一端部15Aと他端部15Bとを備える。
また、姿勢安定部材15は、例えば、比重が流体の比重よりも大きい素材からなる。
【0013】
姿勢安定部材15の一端部15Aは、装置本体2の後部で且つ略中央部位に、連結機構16によって上下方向で揺動自在に連結される。姿勢安定部材15の他端部15Bは、自由端となっている。
図6、
図7に示すように、連結機構16は、装置本体2の後部に固定した固定側ブラケット17と、固定側ブラケット17に対して回動自在な可動側ブラケット18とからなる。可動側ブラケット18は、固定側ブラケット17に連結ボルト19・ナット20で取り付けられる。
固定側ブラケット17には、水平方向で連結ボルト19を挿通するための固定側ボルト孔21が形成される。可動側ブラケット18は、
図6に示すように、平面視で、断面U字形状に形成され、一側部22と、他側部23と、一側部22と他側部23とを接続する中央部24とから構成される。一側部22・他側部23には、水平方向で連結ボルト19を挿通するための可動側ボルト孔25・25が形成される。中央部24には、姿勢安定部材15の一端部15Aを挿通するための取付孔26が形成される。この場合、姿勢安定部材15の一端部15Aで姿勢安定部材15の直径よりも大きな径の係止部27は、可動側ブラケット18内に配置され、可動側ブラケット18に係止される。
【0014】
姿勢安定部材15は、
図2に示すように、水深H以上の長さLに設定され(L>H)、装置本体2が水面Gに浮かんだ状態において、先端である他端部15Bが流下路14の底面
Mに接する。
また、姿勢安定部材15は、
図8に示すように、連結機構16の固定側ブラケット17に対して可動側ブラケット18が相対的に回動することから、上下方向で揺動自在に連結される。
しかし、姿勢安定部材15は、
図6に示すように、その素材の性質からして、他端部15Bの左右方向へ変位が、中心線Cに対して範囲θ・θに制限される。この範囲θは、素材の種類にもよって異なるが、極めて少ないものである。一方、姿勢安定部材15は、その素材の性質からして、たとえ、左右方向へ変位した場合でも、常に、真っ直ぐな状態になろうと復元するものである。
【0015】
次に、この実施例1の作用について説明する。
図1に示すように、流路壁内調査装置1は、流路壁13の投入口13Aから流路壁13内の流下路14に投入され、流下路14の流体の水面Gに浮かぶ。そして、制御手段12Aは、ビデオカメラ6の作動を開始する。
そして、流路壁内調査装置1は、上流側から下流側へ自然流下する流下路14の流体に浮かんで移動しつつ、制御手段12Aがビデオカメラ6を作動することによって流路壁13の内面を撮影する。ビデオカメラ6が撮影した映像は、記憶手段12Bに記憶される。
このとき、流路壁内調査装置1は、姿勢安定部材15の他端部15Bが流下路14の底面
Mに接し且つ上下方向で揺動自在であり、しかも、左右方向への変位が範囲θ・θで極めて少ないことから、その姿勢が安定しつつ下流側へ移動する。
その後、流路壁内調査装置1は、下流側の回収ネット28によって回収され、流路壁13の回収口13Bから地上に回収される。
そして、調査作業員は、記憶手段12Bに記憶された映像に基づいて、流路壁13内の変状損傷などを調査する。
【0016】
この結果、この実施例1においては、流路壁13内で流体に浮かんで移動する流路壁内調査装置1が、姿勢安定部材15によってその姿勢が保持されることから、流路壁13内を安定した姿勢で移動することができ、流路壁13の内面を的確に撮影し、そして、撮影した映像に不備が発生するのを防止することができる。
【0017】
図9は、この発明の実施例2を示すものである。
以下の実施例では、上述の実施例1に同一機能を果たす箇所には、同一符号を付して説明する。
この実施例2の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、流路壁内調査装置1の装置本体2の後部に連結された姿勢安定部材15の先端である他端部15Bには、錨部材29を取り付けた。錨部材29は、所定の重量を備え、流下路14の底面
Mに接して装置本体2の姿勢及び装置本体2が移動する速度を調整可能なものである。
この実施例2の構造によれば、流路壁内調査装置1が流体に浮かんで移動する際に、錨部材29が流下路14の底面
Mに接しつつ移動することから、錨部材29と流下路14の底面
Mとの間に発生する摩擦力によって流路壁内調査装置1の姿勢がさらに安定される。
【0018】
図10は、この発明の実施例3を示すものである。
この実施例3の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、流路壁内調査装置1の装置本体2の後部には、左右方向で両端部位に2本の姿勢安定部材15R−1・15R−2を連結した。姿勢安定部材15R−1・15R−2は、同一の高さ位置で、且つ平行に配置される。この場合、姿勢安定部材15R−1・15R−2の装置本体2の後部での連結は、上記の実施例1の連結機構16と同一構造なので、ここでは、その説明を省略する。
この実施例3の構造によれば、流路壁内調査装置1が移動する際に、流路壁内調査装置1が左右方向で両端部位の姿勢安定部材15R−1・15R−2で保持されることから、流路壁内調査装置1の姿勢がさらに安定される。
【0019】
図11は、この発明の実施例4を示すものである。
この実施例4の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、流路壁内調査装置1の装置本体2には、前部の略中央部位で姿勢安定部材15Fを連結した。この場合、姿勢安定部材15Fの装置本体2の前部での連結は、上記の実施例1の連結機構16と同一構造なので、ここでは、その説明を省略する。
この実施例4の構造によれば、流路壁内調査装置1が移動する際に、流路壁内調査装置1が前部から後部に向かって変位する姿勢安定部材15Fで保持されることから、流路壁内調査装置1の姿勢が安定される。
【0020】
図12は、この発明の実施例5を示すものである。
この実施例5の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、流路壁内調査装置1の装置本体2には、後部の略中央部位で姿勢安定部材15Rを連結するとともに、前部の略中央部位で姿勢安定部材15Fを連結した。姿勢安定部材15Rは、例えば、比重が流体の比重よりも大きい素材からなる。また、姿勢安定部材15Fは、例えば、比重が流体の比重よりも小さい素材からなる。この場合、装置本体2の後部及び前部での姿勢安定部材15R・15Fの連結は、上記の実施例1の連結機構16と同一構造なので、ここでは、その説明を省略する。
この実施例5の構造によれば、流路壁内調査装置1が移動する際に、流路壁内調査装置1が後部の姿勢安定部材15Rと前部の姿勢安定部材15Fとで保持されることから、流路壁内調査装置1の姿勢がさらに安定される。