特許第6606557号(P6606557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6606557C9ORF72発現を調節するための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606557
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】C9ORF72発現を調節するための組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20191031BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20191031BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20191031BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20191031BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20191031BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20191031BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20191031BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20191031BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20191031BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20191031BHJP
   C07H 21/04 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   C12N15/113 ZZNA
   A61K31/7125
   A61K48/00
   A61P43/00 111
   A61P21/00
   A61P25/02
   A61P25/28
   A61P25/16
   A61P43/00 105
   A61P25/00
   A61P25/22
   C07H21/04 ZCSP
【請求項の数】11
【全頁数】96
(21)【出願番号】特願2017-546618(P2017-546618)
(86)(22)【出願日】2016年4月15日
(65)【公表番号】特表2018-512127(P2018-512127A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】US2016027747
(87)【国際公開番号】WO2016168592
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2019年4月15日
(31)【優先権主張番号】62/148,691
(32)【優先日】2015年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/239,400
(32)【優先日】2015年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/232,941
(32)【優先日】2015年9月25日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595104323
【氏名又は名称】アイオーニス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Ionis Pharmaceuticals,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100163784
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 健志
(72)【発明者】
【氏名】リゴ,フランク
【審査官】 清野 千秋
(56)【参考文献】
【文献】 Christopher J. Donnelly et al.,Neuron,2013年,Vol.80,p.415-428
【文献】 Giulietta Riboldi et al.,Mol Neurobiol,2014年,Vol.50,p.721-732
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/113
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】
(配列番号33)
またはその塩に従う、修飾オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
以下の式:
【化2】
(配列番号33)
に従う、修飾オリゴヌクレオチド。
【請求項3】
前記式のナトリウム塩である、請求項1に記載の修飾オリゴヌクレオチド。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の修飾オリゴヌクレオチド、及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項5】
薬学的に許容される希釈剤を含み、該薬学的に許容される希釈剤がリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
医薬組成物が、前記修飾オリゴヌクレオチド及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)のみからなる、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、
該修飾オリゴヌクレオチドが、5’ウイングセグメント、中央のギャップセグメント、及び3’ウイングセグメントからなるギャップマーであり、
5’ウイングセグメントが、4個の2’−O−メトキシエチルヌクレオシドからなり、
中央のギャップセグメントが、8個のβ−D−デオキシリボヌクレオシドからなり、
3’ウイングセグメントが、6個の2’−O−メトキシエチルヌクレオシドからなり、
該修飾オリゴヌクレオチドが核酸塩基配列5’−GCCCCTAGCGCGCGACTC−3’(配列番号33)を有し、各シトシンが5−メチルシトシンであり、該修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合が、5’から3’に、soosssssssssooossであり、ここで、各sはホスホロチオエート結合であり、各oはホスホジエステル結合である、上記化合物。
【請求項8】
修飾オリゴヌクレオチドが共役基に共有結合している、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の化合物、及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項10】
薬学的に許容される希釈剤を含み、該薬学的に許容される希釈剤がリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
医薬組成物が、前化合物及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)のみからなる、請求項9に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、配列表とともに電子形式で出願されている。この配列表は、2016年4月15日に作成された104KbのサイズのBIOL0269WOSEQ_ST25.txtという名前のファイルとして提供される。この配列表の電子形式の情報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
細胞及び動物におけるC9ORF72mRNA及びタンパク質の発現を調節するための組成物及び方法が提供される。そのような組成物及び方法は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型痴呆(FTD)、大脳皮質基底核変性症症候群(CBD)、非定型パーキンソン症候群、及びオリーブ橋小脳変性症(OPCD)などの神経変性疾患の治療、予防、改善、またはその進行の遅延に有用である。
【背景技術】
【0003】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、概して発症後2〜3年以内に呼吸不全による死亡を引き起こす進行性麻痺によって臨床的に特徴付けられる致命的な神経変性疾患である(Rowland and Shneider, N.Engl.J.Med.,2001,344,1688−1700)。ALSは西欧諸国では3番目に高頻度に認められる神経変性疾患(Hirtz et al.,Neurology,2007,68,326−337)であり、現在のところ有効な治療法はない。症例の約10%は家族性の性質であるが、患者が集団の全体を通じてランダムに存在すると考えられるため、この疾患と診断された患者の大半は散発性と分類される(Chio et al.,Neurology、2008、70、533−537)。臨床学的、遺伝学的、及び疫学的データに基づいて、ALS及び前頭側頭型痴呆(FTD)が、中枢神経系全体のTDP−43陽性封入体の存在によって病理学的に特徴付けられる疾患の重なり合う連続体を示すと認識されることが多くなっている(Lillo and Hodges,J.Clin.Neurosci.,2009,16,1131−1135;Neumann et al.,Science,2006,314,130−133)。
【0004】
現在までに、典型的な家族性ALSの原因となるいくつかの遺伝子、例えばSOD1、TARDBP、FUS、OPTN、及びVCPが発見されている(Johnson et al.,Neuron,2010,68,857−864;Kwiatkowski et al.,Science,2009,323,1205−1208;Maruyama et al.,Nature,2010,465,223−226;Rosen et al.,Nature,1993,362,59−62;Sreedharan et al.,Science,2008,319,1668−1672;Vance et al.,Brain,2009,129,868−876)。近年では、ALS、FTD、及びALS−FTDの複数の症例を含む家系の連鎖解析によって、疾患に関する重要な遺伝子座が第9染色体の短腕上に存在することが示唆された(Boxer et al.,J. Neurol. Neurosurg.Psychiatry,2011,82,196−203;Morita et al.,Neurology,2006,66,839−844;Pearson et al. J. Nerol.,2011,258,647−655;Vance et al.,Brain,2006,129,868−876)。C9ORF72遺伝子における変異は、ALS及びFTDの最も一般的な遺伝学的原因である。ALS−FTDを引き起こす突然変異は、C9ORF72遺伝子の第1のイントロンにおける大きなヘキサヌクレオチド(GGGGCC)反復配列の伸張である(Renton et al.,Neuron,2011,72,257−268;DeJesus−Hernandez et al.,Neuron,2011,72,245−256)。C9ORF72遺伝子をカバーする創設者ハプロタイプが、この領域に関係している大多数の症例で存在している(Renton et al.,Neuron,2011,72,257−268)。染色体9p21上にあるこの遺伝子座は、家族性ALSのほぼ半分、及び405人のフィンランド人患者の同齢集団におけるすべてのALS症例のほぼ4分の1を占める(Laaksovirta et al, Lancet Neurol., 2010, 9, 978−985)。
【0005】
C9ORF72遺伝子をカバーする創設者ハプロタイプが、この領域に関係している大多数の症例に存在する。
【0006】
そのような神経変性疾患を治療する有効な治療法は、現在のところ存在しない。したがって、そのような神経変性疾患を治療するための組成物及び方法を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0007】
特定の実施形態は、細胞、組織、及び動物においてC9ORF72mRNA及びタンパク質の発現を阻害する方法、化合物、及び組成物を提供する。特定の実施形態は、細胞、組織、及び動物においてC9ORF72mRNA及びタンパク質のレベルを低減する方法、化合物、及び組成物を提供する。特定の実施形態は、C9ORF72核酸を標的とするアンチセンス化合物を提供する。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は修飾オリゴヌクレオチドである。特定の実施形態において、該修飾オリゴヌクレオチドは一本鎖である。
【0008】
特定の実施形態において、C9ORF72関連の反復関連非ATG翻訳(RAN翻訳)生成物が減少する。特定の実施形態において、C9ORF72関連のRAN翻訳産物は、ポリ(グリシン−プロリン)、ポリ(グリシン−アラニン)、及びポリ(グリシン−アルギニン)である。特定の実施形態において、特定のC9ORF72mRNA変異体は、選択的に低下する。特定の実施形態において、選択的に低下するC9ORF72mRNA変異体は、イントロン1を含むmRNA前駆体からプロセシングされた変異体である。特定の実施形態において、イントロン1はヘキサヌクレオチド反復伸長を含む。特定の実施形態において、選択的に減少するC9ORF72mRNA変異体は、C9ORF72病原性関連mRNA変異体である。特定の実施形態において、C9ORF72病原性関連mRNA変異体は、NM_001256054.1(配列番号1)である。特定の実施形態において、ヘキサヌクレオチド反復伸長は、C9ORF72関連疾患に関連する。特定の実施形態において、ヘキサヌクレオチド反復伸長は、C9ORF72ヘキサヌクレオチド反復伸長関連疾患に関連する。特定の実施形態において、ヘキサヌクレオチド反復伸長は、少なくとも30のGGGGCC反復、30超のGGGGCC反復、100超GGGGCC反復、500超のGGGGCC反復、または1000超のGGGGCC反復を含む。特定の実施形態において、ヘキサヌクレオチド反復伸長は核内フォーカスと関連する。特定の実施形態において、C9ORF72関連RAN翻訳産物は、核内フォーカスと関連する。特定の実施形態において、C9ORF72関連のRAN翻訳産物は、ポリ(グリシン−プロリン)、ポリ(グリシン−アラニン)、及びポリ(グリシン−アルギニン)である。特定の実施形態において、本明細書に記載される組成物及び方法は、C9ORF72mRNAレベル、C9ORF72タンパク質レベル、C9ORF72RAN翻訳産物、及び核内フォーカスを減少させることに有用である。特定の実施形態において、本明細書に記載される組成物及び方法は、C9ORF72病原性関連mRNA変異体を選択的に減少させることに有用である。そのような減少は、時間依存的または用量依存的に生じ得る。
【0009】
C9ORF72に関連した疾患、障害、及び病態の予防、治療、改善、及びその進行の遅延に有用な方法も提供する。特定の実施形態において、そのようなC9ORF72に関連した疾患は、神経変性疾患である。特定の実施形態において、神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型痴呆(FTD)、大脳皮質基底核変性症症候群(CBD)、非定型パーキンソン症候群、及びオリーブ橋小脳変性症(OPCD)である。
【0010】
そのような疾患は、共通して1つ1つまたは複数の危険因子、原因、または結果を有し得る。神経変性疾患、特にALS及びFTDの発症の特定の危険因子及び原因には、遺伝素因及び高齢が含まれる。
【0011】
特定の実施形態において、治療方法は、C9ORF72アンチセンス化合物を、それを必要とする個体に投与することを含む。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は一本鎖修飾オリゴヌクレオチドである。特定の実施形態において、一本鎖の修飾オリゴヌクレオチドは、C9ORF72核酸と相補的である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前述の一般的な説明及び以下の発明を実施するための形態はどちらも例示的かつ説明的なものであるにすぎず、特許請求される発明を限定するものではないと理解すべきである。本明細書において、単数形の使用は、別途明確に記述されない限り、複数形を含む。本明細書で使用されるとき、「or(または)」の使用は、別途記述されない限り、「and/or(及び/または)」を意味する。さらに、本明細書で使用されるとき、「and(及び)」の使用は、別途記述されない限り、「and/or(及び/または)」を意味する。さらに、「including(〜を含む)」という用語、ならびに「includes(〜を含む)」及び「included(含まれる)」等の他の形態の使用は、限定的なものではない。また、「要素」または「成分」等の用語は、別途明確に記述されない限り、1つのユニットを含む要素及び成分、ならびに1超のサブユニットを含む要素及び成分の両方を包含する。
【0013】
本発明の化合物は、1つまたは複数の水素、炭素、窒素、酸素または硫黄の原子が同じ元素の安定同位体で置き換えられている、開示された化合物の変異を含む。
【0014】
本明細書で使用される節の見出しは、単に構成目的のものであり、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書中で使用される節の見出しは、構成上の目的のためであり、記載する主題を限定するものとして解釈されるべきではない。この開示に引用されたすべての文献または該文献の一部には、限定されるものではないが、特許、特許出願、公開特許出願、論説、書籍、論文、ならびに、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)及び他のデータ等のデータベースを通じて入手可能なGENBANKアクセッション番号及び関連配列情報、及び、本明細書中の開示全体にわたって言及される他のデータが含まれ、これらは、本明細書で考察する文書の部分を参照することにより、その全体が明示的に本明細書に組み込まれる。
【0015】
定義
特別な定義が与えられない限り、本明細書に記載する分析化学、合成有機化学、ならびに医化学及び製薬化学に関連して用いられる命名法、ならびにそれらの手順及び技法は、周知であり、当技術分野で一般に使用されるものである。化学合成及び化学分析には、標準的技法を使用することができる。別途示されない限り、以下の用語は、以下の意味を有する。
【0016】
「2’−O−メトキシエチル」(2’−MOE及び2’−OCHCH−OCH及びMOEともいう)は、フラノース環の2’位のO−メトキシ−エチル修飾を指す。2’−O−メトキシエチル修飾糖は、修飾糖である。
【0017】
「2’−MOEヌクレオシド」(2’−O−メトキシエチルヌクレオシドともいう)は、MOE修飾糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0018】
「2’置換ヌクレオシド」は、HまたはOH以外のフラノース環の2’位に置換基を含むヌクレオシドを意味する。特定の実施形態において、2’置換ヌクレオシドは、二環式糖修飾を有するヌクレオシドを含む。
【0019】
「5−メチルシトシン」とは、5’位に結合したメチル基で修飾されたシトシンを意味する。5−メチルシトシンは、修飾核酸塩基である。
【0020】
「同時に投与される」とは、患者において2つの医薬品の薬理学的効果が同時に現れる任意の様式でのこれらの2つの薬剤を共投与することを指す。同時投与は、これら両方の医薬品が、単一の医薬組成物で、同一の剤形で、または同一の投与経路によって投与されることを必要としない。これら両方の医薬品の効果が同時に現われなくてもよい。効果は、ある期間の重複しか必要とせず、共に広範囲に及ぶ必要はない。
【0021】
「投与」は、動物に医薬品を提供することを意味し、医療専門家及び自己投与による投与を含むが、これに限定されない。
【0022】
「改善」とは、状態または疾患の少なくとも1つの指標の重症度の軽減、遅延、停止、無効化を指す。指標の重症度は、当業者に知られている主観的尺度または客観的尺度によって決定することができる。
【0023】
「動物」とは、ヒト、またはマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、及び非ヒト霊長類(サル及びチンパンジーを含むが、これらに限定されない)を含むが、これらに限定されない非ヒト動物を指す。
【0024】
「抗体」とは、何らかの方法で抗原と特異的に反応することで特徴付けられる分子を指し、抗体及び抗原が各々他方について定義される。抗体は、完全抗体分子、または重鎖、軽鎖、Fab領域、及びFc領域などの、その任意のフラグメントもしくは領域を指す場合がある。
【0025】
「アンチセンス活性」とは、アンチセンス化合物のその標的核酸へのハイブリダイゼーションに起因する任意の検出可能または測定可能な活性を意味する。特定の実施形態において、アンチセンス活性は、標的核酸またはそのような標的核酸によってコードされるタンパク質の量または発現の減少である。
【0026】
「アンチセンス化合物」とは、水素結合により標的核酸へのハイブリダイゼーションを経ることのできるオリゴマー化合物を意味する。アンチセンス化合物の例として、一本鎖化合物及び二本鎖化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、ssRNA、及び占有に基づく(ocupancy−based)化合物が挙げられる。
【0027】
「アンチセンス阻害」とは、アンチセンス化合物の不在下における標的核酸レベルと比較した、標的核酸に相補的なアンチセンス化合物の存在下における標的核酸レベルの低下を意味する。
【0028】
「アンチセンス機構」とは、化合物と標的核酸とのハイブリダイゼーションを伴う機構すべてであり、そのハイブリダイゼーションの結果または効果が、標的分解または標的占拠のいずれかであり、それに伴い、例えば、転写またはスプライシングを伴う細胞機構が同時に停止する。
【0029】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」とは、標的核酸の対応するセグメントへのハイブリダイゼーションを可能にする核酸塩基配列を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを意味する。
【0030】
「塩基相補性」とは、標的核酸におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの核酸塩基と対応する核酸塩基との正確な塩基対形成(すなわち、ハイブリダイゼーション)についての能力のことをいい、対応する核酸塩基間のワトソン−クリック型、フーグスティーン型、または逆フーグスティーン型の水素結合により媒介される。
【0031】
「二環式糖」とは、2個の原子の架橋により修飾されたフラノース環を意味する。二環式糖は、修飾糖である。
【0032】
「二環式ヌクレオシド」(また、BNA)とは、糖環の2つの炭素原子を接続する架橋を含むことで二環式環構造を形成している糖部分を有する、ヌクレオシドを意味する。特定の実施形態において、架橋は糖環の4’炭素と2’炭素とを繋ぐ。
【0033】
「C9ORF72アンチセンス転写物」は、C9ORF72遺伝子の非コード鎖(また、アンチセンス鎖及び鋳型鎖)から産生された転写物を意味する。C9ORF72アンチセンス転写物は、C9ORF72遺伝子のコード鎖(センス鎖でもある)から産生される、標準的に転写された「C9ORF72センス転写物」とは異なる。特定の実施形態において、C9ORF72アンチセンス転写産物は、配列番号18である。
【0034】
「C9ORF72アンチセンス転写物特異的阻害剤」とは、分子レベルでC9ORF72アンチセンス転写物及び/またはその発現産物の発現を特異的に阻害することができる任意の薬剤を指す。本明細書で用いられる「特異的」とは、非標的転写物をかなりの程度まで減少させることなくC9ORF72アンチセンス転写物の発現を減少または阻害することを意味する(例えば、C9ORF72アンチセンス転写物特異的阻害剤は、C9ORF72アンチセンス転写物の発現を減少させるが、C9ORF72感受性転写物の発現をかなりの程度まで低下させない)。C9ORF72アンチセンス転写物特異的阻害剤は、アンチセンス化合物、siRNA、アプタマー、抗体、ペプチド、小分子、ならびにC9ORF72アンチセンス転写物及び/またはその発現産物、例えばC9ORF72アンチセンス転写物関連RAN翻訳産物の発現を阻害することができる他の薬剤を含む。
【0035】
「C9ORF72関連疾患」とは、任意のC9ORF72核酸またはその発現産物に関連した任意の疾患を意味する。そのような疾患には、神経変性疾患が含まれ得る。そのような神経変性疾患には、ALS及びFTDが含まれ得る。特定の実施形態において、C9ORF72関連疾患は、ヘキサヌクレオチド反復伸長によって引き起こされる(またはそれに関連する)。特定の実施形態において、ヘキサヌクレオチド反復伸長は、少なくとも30回、30回超、100回超、500回超、または1000回超反復されるGGGGCC、GGGGGG、GGGGGCまたはGGGGCGを含んでもよい。
【0036】
「C9ORF72関連RAN翻訳産物」とは、RAN翻訳(すなわち、反復関連の、かつ非ATG依存的な翻訳)を介して翻訳される異常ペプチドまたはジペプチドポリマーを意味する。特定の実施形態において、C9ORF72関連のRAN翻訳産物は、ポリ(グリシン−プロリン)、ポリ(グリシン−アラニン)、及びポリ(グリシン−アルギニン)のいずれかである。
【0037】
「C9ORF72核酸」とは、C9ORF72をコードしている任意の核酸を意味する。例えば、ある特定の実施形態において、C9ORF72核酸は、C9ORF72をコードしているDNAの塩基配列、イントロン及びエクソンを含むゲノムDNAを含むC9ORF72をコードしているDNAから転写されるRNA配列(すなわち、mRNA前駆体)、ならびにC9ORF72をコードしているmRNA配列を含む。「C9ORF72 mRNA」とは、C9ORF72タンパク質をコードするmRNAを意味する。
【0038】
「C9ORF72病原性関連mRNA変異体」とは、ヘキサヌクレオチド反復を含んでいるC9ORF72mRNA前駆体変異体からプロセシングされたC9ORF72mRNA変異体を意味する。C9ORF72mRNA前駆体は、mRNA前駆体の転写がエクソン1Aの開始部位からエクソン1Bの開始部位までの領域、例えば、ゲノム配列のヌクレオチド1107〜1520で開始されるときに(配列番号2、ヌクレオシド27535000〜27565000から切断されたGENBANK寄託番号NT_008413.18の補体)、ヘキサヌクレオチド反復を含む。特定の実施形態において、C9ORF72病原性関連mRNA変異体のレベルを測定して、試料中のヘキサヌクレオチド反復を含有するC9ORF72mRNA前駆体のレベルを決定する。
【0039】
「C9ORF72特異的阻害剤」は、C9ORF72 mRNA及び/またはC9ORF72タンパク質の発現を分子レベルで特異的に阻害することができる任意の薬剤を指す。例えば、C9ORF72特異的阻害剤には、核酸(アンチセンス化合物を含む)、siRNA、アプタマー、抗体、ペプチド、小分子、ならびにC9ORF72 mRNA及び/またはC9ORF72タンパク質の発現を阻害することができる他の薬剤が含まれる。同様に、特定の実施形態において、C9ORF72特異的阻害剤は、動物における他の分子過程に影響を与え得る。
【0040】
「キャップ構造」または「末端キャップ部分」とは、アンチセンス化合物のいずれかの末端に組み込まれている化学的修飾を意味する。
【0041】
「cEt」または「拘束エチル(constrained ethyl)」とは、4’炭素と2’炭素とを接続する架橋を含む糖部分を有する二環式ヌクレオシドを意味し、ここで、架橋は式4’−CH(CH)−O−2’を有する。
【0042】
「拘束エチルヌクレオシド」(同様にcEtヌクレオシド)とは、4’−CH(CH)−O−2’架橋を含む二環式糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0043】
「化学的に異なる領域」とは、同一のアンチセンス化合物の別の領域とは何らかの点で化学的に異なるアンチセンス化合物の領域を指す。例えば、2’−O−メトキシエチルヌクレオシドを有する領域は、2’−O−メトキシエチル修飾を有しないヌクレオシドを有する領域とは化学的に異なる。
【0044】
「キメラアンチセンス化合物」とは、各々が複数のサブユニットを持つ少なくとも2つの化学的に異なる領域を有するアンチセンス化合物を意味する。
【0045】
「共投与」とは、個体への2つ以上の医薬品の投与を意味する。これらの2つ以上の医薬品は、単一の医薬組成物中に存在し得るか、または別個の医薬組成物中に存在し得る。これらの2つ以上の医薬品の各々は、同一または異なる投与経路で投与され得る。共投与は、並行投与または連続投与を包含する。
【0046】
「相補性」とは、第1の核酸及び第2の核酸の核酸塩基間で対合する能力を意味する。
【0047】
「comprise(含む)」、「comprises(含む)」、及び「comprising(含んでいる)」は、示された1つの工程もしくは要素または複数の工程もしくは要素の群の包含を意味するが、他の任意の工程もしくは要素または複数の工程もしくは要素の群の除外を意味するものではないと理解される。
【0048】
「連続した核酸塩基」とは、互いに直接隣接した核酸塩基を意味する。
【0049】
「設計」または「設計されている」とは、選択された核酸分子と特異的にハイブリダイズするオリゴマー化合物を設計するプロセスのことに言及する。
【0050】
「希釈剤」とは、薬理学的活性を欠くが、薬学的に必要であるか、または望ましい組成物中の成分を意味する。例えば、注入される薬物において、希釈剤は、液体、例えば、生理食塩水であり得る。
【0051】
「用量」とは、単回投与で提供されるか、または特定の期間に提供される医薬品の特定の量を意味する。特定の実施形態において、用量は、1、2、またはそれ1つまたは複数のボーラス、錠剤、または注入で投与され得る。例えば、特定の実施形態において、皮下投与が所望される場合、所望の用量は、単回注入では容易に提供されない体積を必要とし、それ故に、2回1つまたは複数注入して所望の用量を達成することができる。特定の実施形態において、医薬品は、輸液によって長期間にわたって、または連続して投与される。用量は、1時間、1日、1週間、または1ヵ月当たりの医薬品の量として記載してもよい。
【0052】
活性の調整または状態の治療もしくは予防に関連する「有効量」とは、そのような調整、治療、または予防を必要とする対象に対して、そのような効果の調整、またはその状態の治療もしくは予防もしくは改善に有効である単回投与または連続投与の一部としてのいずれかで、その量の医薬品を投与することを意味する。有効な量は、治療される個体の健康及び身体状態、治療される個体の分類群、組成物の製剤、個体の病状の評価、ならびに他の関連因子によって個体間で異なり得る。
【0053】
「有効性」とは、所望の効果を生じさせる能力を意味する。
【0054】
「発現」は、遺伝子のコード化情報を細胞内に存在して作用する構造に変換させる全ての機能を含む。そのような構造には、転写及び翻訳の生成物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
「Focus(フォーカス)」または「foci(フォーカス)」とは、C9ORF72転写産物を含む核または細胞質体を意味する。特定の実施形態において、フォーカスは少なくとも1つのC9ORF72転写産物を含む。特定の実施形態において、C9ORF72フォーカスは、以下のヘキサヌクレオチド反復:GGGGCC、GGGGGG、GGGGGC、及び/またはGGGGCG、のいずれかを含む転写産物を含む。
【0056】
「完全に相補的な」または「100%相補的な」とは、第1の核酸の各核酸塩基が、第2の核酸の第塩基配列中に相補的な核酸塩基を有することを意味する。特定の実施形態において、第1の核酸は、アンチセンス化合物であり、標的核酸は、第2の核酸である。
【0057】
「ギャップマー」とは、RNase H切断を支援する複数のヌクレオシドを有する内部領域が1個1つまたは複数のヌクレオシドを有する外部領域間に位置付けられるキメラアンチセンス化合物を意味し、内部領域を含むこれらのヌクレオシドは、外部領域を含むヌクレオシドまたは複数のヌクレオシドとは化学的に異なる。内部領域は、「ギャップ」と称され得、外部領域は、「ウイング」と称され得る。
【0058】
「ヘキサヌクレオチド反復伸長」とは、少なくとも2回繰り返される、一連の6個の塩基(例えば、GGGGCC、GGGGGG、GGGGCG、またはGGGGGC)を意味する。特定の実施形態において、ヘキサヌクレオチド反復伸長はC9ORF72核酸のイントロン1に位置してもよい。特定の実施形態において、病原性ヘキサヌクレオチド反復伸長は、C9ORF72核酸中のGGGGCC、GGGGGG、GGGGGCまたはGGGGCGの少なくとも30、30超、100超、500超、または1000超の反復を含み、疾患と関連する。特定の実施形態において、反復は連続的である。特定の実施形態において、反復は1つまたは複数の核酸塩基によって中断される。特定の実施形態において、野生型ヘキサヌクレオチド反復伸長には、C9ORF72核酸中のGGGGCC、GGGGGG、GGGGCG、またはGGGGGCの23以下の反復が含まれる。特定の実施形態において、反復は連続的である。特定の実施形態において、反復は1つまたは複数の核酸塩基によって中断される。
【0059】
「ハイブリダイゼーション」とは、相補的核酸分子のアニーリングを意味する。特定の実施形態において、相補的核酸分子には、アンチセンス化合物及び標的核酸が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、相補的核酸分子はアンチセンスオリゴヌクレオチド及び標的核酸を含むが、これに限定されるものではない。
【0060】
「C9ORF72関連疾患を有する動物を識別する」とは、C9ORF72関連疾患と診断されている動物、またはC9ORF72関連疾患を発症しやすい動物を識別することを意味する。C9ORF72関連疾患を発症しやすい個体として、C9ORF72関連疾患を発症する1つまたは複数の危険因子を持つ個体が挙げられ、そのような個体には1つまたは複数のC9ORF72関連疾患の個人歴もしくは家族歴または遺伝的素因を持つ個体が含まれる。そのような識別は、個体の病歴を評価すること、及び標準的な臨床試験もしくは評価、例えば遺伝子検査を含む任意の方法によって、達成することができる。
【0061】
「直接隣接する」は、直接隣接する要素間に、介在要素が存在しないことを意味する。
【0062】
「個体」とは、治療または療法のために選択されたヒトまたは非ヒト動物を意味する。
【0063】
「C9ORF72を阻害する」とは、C9ORF72mRNA及び/またはタンパク質のレベルまたは発現を低減させることを意味する。特定の実施形態において、C9ORF72mRNA及び/またはタンパク質レベルは、アンチセンスオリゴヌクレオチド等のC9ORF72アンチセンス化合物の不在下におけるC9ORF72mRNA及び/またはタンパク質の発現のレベルと比較して、C9ORF72を標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、C9ORF72を標的にするアンチセンス化合物の存在下、阻害される。
【0064】
「発現または活性を阻害する」とは、発現または活性の減少または阻止を指し、必ずしも発現または活性の完全な排除を示すわけではない。
【0065】
「ヌクレオシド間結合」とは、ヌクレオシド間の化学結合を指す。
【0066】
「連結したヌクレオチド」とは、ヌクレオシド間結合によって一緒に結合した隣接するヌクレオチドを意味する。
【0067】
「ロックド核酸」もしくは「LNA」または「LNAヌクレオシド」とは、ヌクレオシド糖単位の4’位と2’位との間の2つの炭素原子を連結している架橋を有し、それによって二環式糖を形成する核酸単量体を意味する。そのような二環式糖の例として、限定されるものではないが、以下に示すように、(A)α−L−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)LNA、(B)β−D−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)LNA,(C)エチレンオキシ(4’−(CH−O−2’)LNA、(D)アミノオキシ(4’−CH−O−N(R)−2’)LNA、及び(E)オキシアミノ(4’−CH−N(R)−O−2’)LNAが挙げられる。
【化1】
【0068】
本明細書では、LNA化合物として、限定されるものではないが、糖の4’位と2’位との間に少なくとも1つの架橋を有する化合物が挙げられ、各々の架橋は、独立して、−[C(R)(R)]−、−C(R)=C(R)−、−C(R)=N−、−C(=NR)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−,−Si(R−、−S(=O)−及び−N(R)−から独立して選択される1個または2〜4個の結合基を含み、式中、xは、0、1、または2であり、nは、1、2、3、または4であり、各R1及びR2は、独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C20アリール、置換C−C20アリール、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C−C脂環式ラジカル、置換C−C脂環式ラジカル、ハロゲン、OJ、NJ、SJ、N、COOJ、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、CN、スルホニル(S(=O)−J)、またはスルホキシル(S(=O)−J)であり、各J及びJは、独立して、H、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C20アリール、置換C−C20アリール、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、C−C12アミノアルキル、置換C−C12アミノアルキル、または保護基である。
【0069】
LNAの定義内に包含される4’−2’架橋基の例として、限定されるものではないが、式:−[C(R)(R)]−、−[C(R)(R)]−O−、−C(R)−N(R)−O−または−C(R)−O−N(R)−の1つが挙げられる。さらに、LNAの定義内に包含される他の架橋基は、4’−CH−2’、4’−(CH−2’、4’−(CH−2’、4’−CH−O−2’、4’−(CH−O−2’、4’−CH−O−N(R)−2’、及び4’−CH−N(R)−O−2’−架橋であり、式中、R及びRの各々は、独立して、H、保護基、またはC〜C12アルキルである。
【0070】
本発明に係るLNAの定義内に包含されるものには、リボシル糖環の2’−ヒドロキシ基が糖環の4’炭素原子に結合し、それによってメチレンオキシ(4’−CH−O−2’)架橋を形成して二環式糖部分を形成する、LNAも含まれる。架橋を、2’酸素原子と4’炭素原子とを結合するメチレン(−CH−)基にすることもでき、それに対してメチレンオキシ(4’−CH−O−2’)LNAという用語が用いられる。さらに、この位置にエチレン架橋基を有する二環式糖部分の場合、エチレンオキシ(4’−CHCH2−O−2’)LNAという用語が用いられる。メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)LNAの異性体であるα−L−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)もまた、本明細書では、LNAの定義内に包含される。
【0071】
「ミスマッチ」または「非相補的核酸塩基」とは、第1の核酸の核酸塩基が第2の核酸または標的核酸の対応する核酸塩基と対合することができない場合を指す。
【0072】
「修飾ヌクレオシド間結合」は、天然に存在するヌクレオシド間結合(すなわち、ホスホジエステルヌクレオシド間結合)の置換または任意の変化を指す。
【0073】
「修飾核酸塩基」とは、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、またはウラシル以外の任意の核酸塩基を意味する。「非修飾核酸塩基」とは、プリンが、アデニン(A)及びグアニン(G)をベースとし、ピリミジンがチミン(T)、シトシン(C)、及びウラシル(U)をベースとすることを意味する。
【0074】
「修飾ヌクレオシド」は、独立して、1つの修飾糖部分及び/または修飾された核酸塩基を有するヌクレオシドを意味する。
【0075】
「修飾ヌクレオチド」は、独立して、1つの修飾糖部分、修飾ヌクレオシド間結合及び/または修飾された核酸塩基を有するヌクレオチドを意味する。
【0076】
「修飾オリゴヌクレオチド」とは、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合、修飾糖、及び/または修飾核酸塩基を含むオリゴヌクレオチドを意味する。
【0077】
「修飾糖」とは、天然糖部分の置換及び/または何らかの変化を意味する。
【0078】
「モノマー」とは、オリゴマーの1つの単位を意味する。モノマーとして、限定されるものではないが、天然に存在するかまたは修飾されるかに関わらず、ヌクレオシド及びヌクレオチドが挙げられる。
【0079】
「モチーフ」とは、アンチセンス化合物における非修飾及び修飾されたヌクレオシドのパターンを意味する。
【0080】
「天然糖部分」とは、DNA(2’−H)またはRNA(2’−OH)に見られる糖部分を意味する。
【0081】
「天然に存在するヌクレオシド間結合」とは、3’→5’ホスホジエステル結合を意味する。
【0082】
「非相補的核酸塩基」とは、互いで水素結合を形成せず、さもなければハイブリダイゼーションを支持しない一対の核酸塩基のことをいう。
【0083】
「核酸」とは、モノマーヌクレオチドからなる分子を指す。核酸には、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、一本鎖核酸、二本鎖核酸、低分子干渉リボ核酸(siRNA)、及びマイクロRNAs(miRNA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
「核酸塩基」とは、別の核酸塩基と対合することができる複素環部分を意味する。
【0085】
「核酸塩基相補性」とは、核酸塩基がもう1つの核酸塩基と塩基対合することを指す。例えば、DNAにおいて、アデニン(A)は、チミン(T)に相補的である。例えば、RNAにおいて、アデニン(A)は、ウラシル(U)に相補的である。特定の実施形態において、相補的核酸塩基とは、アンチセンス化合物の核酸塩基であって、その標的核酸の核酸塩基と塩基対合することができるものを指す。例えば、アンチセンス化合物のある特定の位置の核酸塩基が、標的核酸のある特定の位置の核酸塩基と水素結合することができる場合、オリゴヌクレオチド及び標的核酸との間の水素結合の位置は、その核酸塩基対において相補的であると見なされる。
【0086】
「核酸塩基配列」とは、任意の糖、結合、及び/または核酸塩基修飾から独立した連続した核酸塩基の順序を意味する。
【0087】
「ヌクレオシド」とは、糖に連結された核酸塩基を意味する。
【0088】
「ヌクレオシド模倣物」は、糖または糖と塩基を置換するために用いられる構造を含み、例えば、モルホリノ、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、ビシクロ、またはトリシクロ糖模倣物、例えば、非フラノース糖単位を有するヌクレオシド模倣物等のオリゴマー化合物の1つまたは複数の位置での結合を必ずしも含むわけではない。「ヌクレオチド模倣物」は、ヌクレオシドを置換するために用いられる構造と、例えば、ペプチド核酸またはモルホリノ(−N(H)−C(=O)−O−または他の非ホスホジエステル結合によって連結されたモルホリノ)等のオリゴマー化合物の1つまたは複数の位置での結合とを含む。糖代替物は、わずかに広義であるヌクレオシド模倣体という用語と重複するが、糖単位(フラノース環)のみの置き換えを指すことを意図する。本明細書に提供されるテトラヒドロピラニル環は、糖代替物の例を示すものであり、フラノース糖基が、テトラヒドロピラニル環系で置き換えられている。「模倣体」とは、糖、核酸塩基、及び/またはヌクレオシド間結合と置換される基のことを指す。通常、模倣体は、糖または糖ヌクレオシド間結合の組合せの代わりに使用され、核酸塩基は選択された標的へのハイブリダイゼーションのために維持される。
【0089】
「ヌクレオチド」とは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合したリン酸基を有するヌクレオシドを意味する。
【0090】
「オフターゲット効果」は、意図された標的核酸以外のRNAまたは遺伝子のタンパク質発現の調節と関連する、不必要または有害な生物学的影響のことを指す。
【0091】
「オリゴマー化合物」または「オリゴマー」とは、連結されたモノマー型サブユニットのポリマーであって、少なくとも核酸分子の一領域にハイブリダイズすることができるものを意味する。
【0092】
「オリゴヌクレオチド」とは、各々が互いに独立して、修飾され得るかまたは修飾され得ない連結したヌクレオシドのポリマーを意味する。
【0093】
「非経口投与」とは、注入(例えば、大量瞬時投与)または輸液を介する投与を意味する。非経口投与には、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、腹腔内投与、または頭蓋内投与、例えば、髄腔内もしくは脳室内投与が含まれる。
【0094】
「ペプチド」とは、アミド結合によって少なくとも2つのアミノ酸を連結することによって形成される分子を意味する。本明細書では、限定されることなく、ペプチドとはポリペプチド及びタンパク質のことを指す。
【0095】
「医薬品」とは、個体に投与されたときに治療的利益を提供する物質を意味する。例えば、特定の実施形態において、C9ORF72を標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬品である。
【0096】
「薬学的に許容される誘導体」は、本明細書中で述べられる化合物の薬学的に許容される塩類、複合体、プロドラッグ、または異性体を含む。
【0097】
「薬学的に許容される塩」とは、アンチセンス化合物の生理学的にかつ薬学的に許容される塩、すなわち、親オリゴヌクレオチドの所望の生物学的活性を保持し、かつそれに望ましくない毒物学的影響を与えない塩を意味する。
【0098】
「ホスホロチオエート結合」とは、ホスホジエステル結合が非架橋酸素原子のうちの1つを硫黄原子と置き換えることによって修飾されるヌクレオシド間の結合を意味する。ホスホロチオエート結合は、修飾ヌクレオシド間結合である。
【0099】
「部分」とは、定義された数の核酸の連続した(すなわち、連結した)核酸塩基を意味する。特定の実施形態において、部分は、定義された数の標的核酸の連続した核酸塩基である。特定の実施形態において、部分は、定義された数のアンチセンス化合物の連続した核酸塩基である。
【0100】
「予防する(“prevent”または“preventing”)」とは、数分から数日、数週間から数ヶ月、または不確定の期間の間、疾患、障害、もしくは状態の発生もしくは発症を遅延させるか、または未然に防ぐことを指す。
【0101】
「プロドラッグ」は、内因性酵素または他の化学物質または条件の作用によって、体内または細胞内で活性形態に変換される不活性な形態で調製される治療薬を意味する。
【0102】
「予防的有効量」は、予防的なまたは予防上の利点を動物に付与する医薬品の量のことを指す。
【0103】
「領域」は、少なくとも1つの同定可能な構造、機能、または特徴を有する標的核酸の一部分と定義される。
【0104】
「リボヌクレオチド」とは、ヌクレオチドの糖部分の2’位にヒドロキシを有するヌクレオチドを意味する。リボヌクレオチドは様々な置換基のいずれかも修飾することができる。
【0105】
「塩」とは、アンチセンス化合物の生理学的にかつ薬学的に許容される塩、すなわち、親オリゴヌクレオチドの所望の生物学的活性を保持し、かつそれに望ましくない毒物学的影響を与えない塩を意味する。
【0106】
「セグメント」は、標的核酸内の領域のさらに小さな部分または下位部分と定義される。
【0107】
本明細書で教示されるアンチセンスオリゴヌクレオチドの「短縮型」または「切断型」バージョンは、1、2またはそれ1つまたは複数のヌクレオシドが欠失している。
【0108】
「副作用」とは、所望の作用以外の治療に起因する生理学的応答を意味する。特定の実施形態において、副作用には、限定されるものではないが、注入部位反応、肝機能検査異常、腎機能異常、肝臓毒性、腎臓毒性、中枢神経系異常及びミオパシーが含まれる。
【0109】
「一本鎖オリゴヌクレオチド」とは、相補鎖にハイブリダイズされないオリゴヌクレオチドを意味する。「一本鎖修飾オリゴヌクレオチド」とは、相補鎖にハイブリダイズされない修飾オリゴヌクレオチドを意味する。
【0110】
本明細書で用いられる「部位」とは、標的核酸の範囲内の固有の核酸塩基位置と定義される。
【0111】
「進行を遅延させる」とは、疾患の進行を減少させることを意味する。
【0112】
「特異的にハイブリダイズ可能」とは、所望の効果を誘導するのに十分な程度の相補性をアンチセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸との間に有するとともに、特異的結合が所望される条件下、すなわち、生体内アッセイ及び治療処置の場合には生理学的条件下で、非標的核酸に対する効果を最小限に示すかまたは全く示さない、アンチセンス化合物を指す。
【0113】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」は、オリゴマー化合物がその標的配列にハイブリダイズするが、最小数の他の配列にハイブリダイズする条件を指す。
【0114】
「対象」とは、治療または療法のために選択されたヒトまたは非ヒト動物を意味する。
【0115】
「標的」とは、調節が所望されるタンパク質を指す。
【0116】
「標的遺伝子」とは、標的をコードしている遺伝子を指す。
【0117】
「Targeting(標的とする)」または「Targeted(標的にされる)」とは、標的核酸に特異的にハイブリダイズし、かつ所望の効果を引き起こすアンチセンス化合物の設計及び選択のプロセスを意味する。
【0118】
「標的核酸」、「標的RNA」、ならびに「標的RNA転写産物」及び「核酸標的」とは、すべて、アンチセンス化合物によって標的とされ得る核酸を指す。
【0119】
「標的領域」とは、1つまたは複数のアンチセンス化合物が標的にする標的核酸の一部分を意味する。
【0120】
「標的セグメント」とは、アンチセンス化合物が標的にする標的核酸のヌクレオチドの配列を意味する。「5’標的部位」は、標的セグメントの5’最末端のヌクレオチドを指す。「3’標的部位」は、標的セグメントの3’最末端のヌクレオチドを指す。
【0121】
「治療有効量」とは、個体に治療効果をもたらす医薬品の量を意味する。
【0122】
「treat(治療する)」または「treating(治療する)」または「治療(treatment)」とは、組成物を投与して、障害または状態の変化または改善をもたらすことを意味する。
【0123】
「非修飾核酸塩基」とは、プリン塩基であるアデニン(A)及びグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基である(T)、シトシン(C)、及びウラシル(U)を意味する。
【0124】
「非修飾ヌクレオチド」とは、天然に存在する核酸塩基、糖部分、及びヌクレオシド間結合からなるヌクレオチドを意味する。特定の実施形態において、非修飾ヌクレオチドは、RNAヌクレオチド(すなわち、β−D−リボヌクレオシド)またはDNAヌクレオチド(すなわち、β−D−デオキシリボヌクレオシド)である。
【0125】
「ウイングセグメント」とは、強化された阻害活性、増大した標的核酸への結合親和性、またはin vivoのヌクレアーゼによる分解に対する抵抗性等のオリゴヌクレオチドの特性を付加するために修飾された複数のヌクレオシドを意味する。
【0126】
特定の実施形態
特定の実施形態は、全C9ORF72 mRNA及びタンパク質の発現を低下させるための組成物及び方法を提供する。
【0127】
特定の実施形態は、C9ORF72病原性関連mRNA変異体を低減するための組成物及び方法を提供する。
【0128】
特定の実施形態は、C9ORF72に関連する疾患を治療する、予防する、改善する、またはその進行を遅延させるための方法を、それを必要とする個体において提供する。また、C9ORF72に関連する疾患の治療、予防、または改善のための医薬の調製方法も企図されている。C9ORF72関連疾患には、神経変性疾患が含まれる。特定の実施形態において、神経変性疾患は、ALSまたはFTDであり得る。特定の実施形態において、神経変性疾患は家族性または散発性であり得る。
【0129】
本開示は、以下の付番された非限定的実施形態を提供した。
【0130】
実施形態1.12〜30の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含み、配列番号22〜55の核酸塩基配列のいずれかの、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、または少なくとも20の連続した核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する化合物。
【0131】
実施形態2.該修飾オリゴヌクレオチドの核塩基配列は、配列番号1または2に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補的である、実施形態1の化合物。
【0132】
実施形態3.該修飾オリゴヌクレオチドは一本鎖修飾オリゴヌクレオチドである、実施形態1または2のいずれかに記載の化合物。
【0133】
実施形態4.該修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む、実施形態1〜3のいずれかに記載の化合物。
【0134】
実施形態5.該少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態4に記載の化合物。
【0135】
実施形態6.該修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホジエステル結合を含む、実施形態4及び5に記載の化合物。
【0136】
実施形態7.各修飾ヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態5に記載の化合物。
【0137】
実施形態8.少なくとも1つのヌクレオシドが修飾核酸塩基を含む、実施形態1〜7のいずれかに記載の化合物。
【0138】
実施形態9.該修飾核酸塩基が5−メチルシトシンである、実施形態8に記載の化合物。
【0139】
実施形態10.少なくとも1つの修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシドが修飾糖を含む、実施形態1〜9のいずれかに記載の化合物。
【0140】
実施形態11.該修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドが修飾糖を含む、実施形態10に記載の化合物。
【0141】
実施形態12.該少なくとも1つの修飾糖が二環式糖である、実施形態10または11に記載の化合物。
【0142】
実施形態13.該二環式糖が糖の4’位と2’位との間の化学架橋を含み、該化学架橋は4’−CH(R)−O−2’及び4’−(CH−O−2’から選択され、式中、Rは独立してH、C−Cアルキル、及びC−Cアルコキシである、実施形態12に記載の化合物。
【0143】
実施形態14.該化学架橋が4’−CH(R)−O−2’であり、Rがメチルである、実施形態13に記載の化合物。
【0144】
実施形態15.該化学架橋が4’−CH(R)−O−2’であり、RがHである、実施形態13に記載の化合物。
【0145】
実施形態16.該化学架橋が4’−CH(R)−O−2’であり、Rが−CH−O−CHである、実施形態13に記載の化合物。
【0146】
実施形態17.該少なくとも1つの修飾糖が2’−O−メチルエチル基を含む、実施形態10または11に記載の化合物。
【0147】
実施形態18.該修飾オリゴヌクレオチドがギャップマーである、実施形態1〜10または12〜16のいずれかに記載の化合物。
【0148】
実施形態19.該ギャップマーは3−8−7 MOEギャップマー、3−10−7 MOEギャップマー、4−8−6 MOEギャップマー、4−10−6 MOEギャップマー、6−10−4 MOEギャップマー、6−8−4 MOEギャップマー、7−8−3 MOEギャップマー、または7−10−3 MOEギャップマーのいずれかである、実施形態18に記載の化合物。
【0149】
実施形態20.該修飾オリゴヌクレオチドは、次のいずれかのパターン:soossssssssssooooss、sooossssssssssoooss、sooooossssssssssoss、soooooossssssssssss、soooosssssssssooss、sooosssssssssoooss、sooooosssssssssoss、soosssssssssoooss、soooosssssssssoss、sosssssssssooooss、またはsooooosssssssssssのヌクレオシド間結合を含み、式中、
s=ホスホロチオエート結合であり、
o=ホスホジエステル結合である、請求項5に記載の化合物。
【0150】
実施形態19.先行実施形態のいずれかに記載の化合物またはその塩及び薬学的に許容される担体または希釈剤の少なくとも一方を含む組成物。
【0151】
実施形態20.C9ORF72アンチセンス転写産物特異的阻害剤をさらに含む、実施形態19に記載の組成物。
【0152】
実施形態21.該C9ORF72アンチセンス転写産物特異的阻害剤はアンチセンス化合物である、実施形態20に記載の組成物。
【0153】
実施形態22.該アンチセンス化合物が修飾オリゴヌクレオチドである、実施形態21に記載の組成物。
【0154】
実施形態23.該修飾オリゴヌクレオチドが一本鎖である、実施形態22に記載の組成物。
【0155】
実施形態24.該修飾オリゴヌクレオチドが、C9ORF72アンチセンス転写産物に少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%相補的である核酸塩基配列を有する、実施形態22または23に記載の組成物。
【0156】
実施形態25.該C9ORF72アンチセンス転写産物は、配列番号18の核酸塩基配列を有する、実施形態24に記載の組成物。
【0157】
実施形態26.先行実施形態のいずれかに記載の化合物または組成物を動物に投与することを含む、方法。
【0158】
実施形態27.該動物がヒトである、実施形態26に記載の方法。
【0159】
実施形態28.該化合物の投与が、C9ORF72関連疾患を予防する、治療する、改善する、またはその進行を遅延させる、実施形態26及び27に記載の方法。
【0160】
実施形態29.該C9ORF72関連疾患がヘキサヌクレオチド反復伸長によって引き起こされる、実施形態28に記載の方法。
【0161】
実施形態30.該C9ORF72関連疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型痴呆(FTD)、大脳皮質基底核変性症症候群(CBD)、非定型パーキンソン症候群、及びオリーブ橋小脳変性症(OPCD)である、実施形態28に記載の方法。
【0162】
実施形態31.該投与が核内フォーカスを減少させる、実施形態26〜30に記載の方法。
【0163】
実施形態32.該投与が、C9ORF72関連RAN翻訳産物の発現を減少させる、実施形態26〜31に記載の方法。
【0164】
実施形態33.該C9ORF72関連のRAN翻訳産物は、ポリ(グリシン−プロリン)、ポリ(グリシン−アラニン)、及びポリ(グリシン−アルギニン)のいずれかである、実施形態32に記載の方法。
【0165】
実施形態34.神経変性疾患を治療するための医薬品の製造のための、実施形態1〜33のいずれかに記載の化合物または組成物の使用。
【0166】
実施形態35.以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドまたはその塩からなる化合物。
【化2】
【0167】
実施形態36.以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドのナトリウム塩からなる組成物。
【化3】
【0168】
実施形態37.以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドまたはその塩からなる化合物。
【化4】
【0169】
実施形態38.以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドのナトリウム塩からなる組成物。
【化5】
【0170】
実施形態39.以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドまたはその塩からなる化合物。
【化6】
【0171】
実施形態40.以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドのナトリウム塩からなる組成物。
【化7】
【0172】
実施形態41.以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドまたはその塩からなる化合物。
【化8】
【0173】
実施形態42.以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドのナトリウム塩からなる組成物。
【化9】
【0174】
実施形態43.哺乳類におけるヒトC9ORF72 mRNAまたはタンパク質の発現を減少させることができる、実施形態1〜25または35〜42のいずれかに記載の化合物または組成物。
【0175】
実施形態44.筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型痴呆(FTD)、大脳皮質基底核変性症症候群(CBD)、非定型パーキンソン症候群、またはオリーブ橋小脳変性症(OPCD)のいずれかの少なくとも1つの症状を改善することができる、実施形態1〜25または35〜42のいずれかに記載の化合物または組成物。
【0176】
実施形態45.ALSの症状が運動障害、不安、及び脱神経のいずれかである、実施形態44に記載の化合物または組成物。
【0177】
実施形態46.疾患の進行を遅延させることができる、実施形態1〜25または35〜42のいずれかに記載の化合物または組成物。
【0178】
実施形態47.生存期間を延長することができる、実施形態1〜25または35〜42のいずれかに記載の化合物または組成物。
【0179】
実施形態48.C9ORF72関連RAN翻訳産物を減少させることができる、実施形態1〜25または35〜42のいずれかに記載の化合物または組成物。
【0180】
実施形態49.C9ORF72病原性関連mRNA変異体を選択的に減少させることができる、実施形態1〜25または35〜42のいずれかに記載の化合物または組成物。
【0181】
実施形態50.核内フォーカスを減少させることができる、実施形態1〜25または35〜42のいずれかに記載の化合物または組成物。
【0182】
実施形態51.以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドまたはその塩からなる化合物。
【化10】
【0183】
実施形態52.実施形態51に記載の化合物を動物に投与することを含む、方法。
【0184】
実施形態53.該動物がヒトである、実施形態52に記載の方法。
【0185】
実施形態54.該投与がC9ORF72を阻害する、実施形態53に記載の方法。
【0186】
実施形態55.該投与が、C9ORF72関連疾患を予防する、治療する、改善する、またはその進行を遅延させる、実施形態53に記載の方法。
【0187】
実施形態56.該C9ORF72関連疾患がヘキサヌクレオチド反復伸長によって引き起こされる、実施形態55に記載の方法。
【0188】
実施形態57.該C9ORF72関連疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型痴呆(FTD)、大脳皮質基底核変性症症候群(CBD)、非定型パーキンソン症候群、またはオリーブ橋小脳変性症(OPCD)のいずれかである、実施形態55に記載の方法。
【0189】
実施形態58.該投与が核内フォーカスを減少させる、実施形態53に記載の方法。
【0190】
実施形態59.該投与が、C9ORF72関連RAN翻訳産物の発現を減少させる、実施形態53に記載の方法。
【0191】
実施形態60.該C9ORF72関連のRAN翻訳産物は、ポリ(グリシン−プロリン)、ポリ(グリシン−アラニン)、及びポリ(グリシン−アルギニン)のいずれかである、実施形態59に記載の方法。
【0192】
実施形態61.以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドのナトリウム塩からなる組成物。
【化11】
【0193】
実施形態62.実施形態60に記載の組成物を動物に投与することを含む、方法。
【0194】
実施形態63.該動物がヒトである、実施形態62に記載の方法。
【0195】
実施形態64.該投与がC9ORF72を阻害する、実施形態63に記載の方法。
【0196】
実施形態65.該投与が、C9ORF72関連疾患を予防する、治療する、改善する、またはその進行を遅延させる、実施形態62に記載の方法。
【0197】
実施形態66.該C9ORF72関連疾患がヘキサヌクレオチド反復伸長によって引き起こされる、実施形態65に記載の方法。
【0198】
実施形態67.該C9ORF72関連疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型痴呆(FTD)、大脳皮質基底核変性症症候群(CBD)、非定型パーキンソン症候群、またはオリーブ橋小脳変性症(OPCD)のいずれかである、実施形態65に記載の方法。
【0199】
実施形態68.該投与が核内フォーカスを減少させる、実施形態63に記載の方法。
【0200】
実施形態69.該投与が、C9ORF72関連RAN翻訳産物の発現を減少させる、実施形態63に記載の方法。
【0201】
実施形態70.該C9ORF72関連のRAN翻訳産物は、ポリ(グリシン−プロリン)、ポリ(グリシン−アラニン)、及びポリ(グリシン−アルギニン)のいずれかである、実施形態69に記載の方法。
【0202】
アンチセンス化合物
オリゴマー化合物として、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチドアナログ、オリゴヌクレオチド模倣物、アンチセンス化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、及びsiRNAが挙げられるが、これらに限定されない。オリゴマー化合物は、標的核酸に対して「アンチセンス」であってもよく、これは、水素結合を介して標的核酸へのハイブリダイゼーションを受けることができることを意味する。
【0203】
特定の実施形態において、アンチセンス化合物は、5’から3’方向に書かれた場合に標的とする標的核酸の標的セグメントの逆相補体を含む核酸塩基配列を有する。特定のそのような実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’から3’方向に書かれた場合、標的とする標的核酸の標的セグメントの逆相補体を含む核酸塩基配列を有する。
【0204】
特定の実施形態において、C9ORF72核酸を標的とするアンチセンス化合物は、長さが12〜30のサブユニットである。換言すれば、そのようなアンチセンス化合物は、12〜30個の連結したサブユニットである。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は、8〜80、12〜50、15〜30、18〜24、19〜22または20個の連結したサブユニットである。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、または80の長さの連結したサブユニット、または上記の値のいずれか2つで定義される範囲である。いくつかの実施形態において、アンチセンス化合物はアンチセンスオリゴヌクレオチド及び連結したサブユニットはヌクレオシドである。
【0205】
特定の実施形態において、C9ORF72核酸を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、短縮または切断される。例えば、単一のサブユニットが、5’末端から欠失してもよく(5’切断)、または代替として、3’末端から欠失してもよい(3’切断)。C9ORF72核酸を標的とする短縮または切断されたアンチセンス化合物は、2つのサブユニットがアンチセンス化合物の5’末端から欠失していてもよく、代替として、2つのサブユニットが、アンチセンス化合物の3’末端から欠失していてもよい。あるいは、例えば1つのヌクレオチドが5’末端から欠失し、1つのヌクレオシドが3’末端から欠失しているアンチセンス化合物において、欠失したヌクレオシドはアンチセンス化合物全体に分散していてもよい。
【0206】
延長されたアンチセンス化合物に単一の付加サブユニットが存在する場合、付加サブユニットは、アンチセンス化合物の5’または3’末端に位置してもよい。2つ以上の付加サブユニットが存在する場合、付加されたサブユニットは互いに隣接してもよく、例えば、あるアンチセンス化合物では、2つのサブユニットが、アンチセンス化合物の5’末端に付加され(5’付加)、または代替として、3’末端に付加されている(3’付加)。あるいは、付加されたサブユニットは、例えば、5’末端に付加される1つのサブユニット及び3’末端に付加される1つのサブユニットを有するアンチセンス化合物において、アンチセンス化合物全体に分散されていてもよい。
【0207】
活性を排除することなく、アンチセンスオリゴヌクレオチド等のアンチセンス化合物の長さを増加しもしくは減少させ、かつ/またはミスマッチ塩基を導入することができる。例えば、Woolf et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7305−7309,1992)において、13〜25核酸塩基長の一連のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、標的RNAの切断を誘導するその能力について、卵母細胞注入モデルで試験された。末端近くに8個または11個のミスマッチ塩基を含む25核酸塩基長のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ミスマッチを含まないアンチセンスオリゴヌクレオチドほどではなかったものの、標的mRNAの特異的切断を導くことができた。同様に、標的特異的切断が、13核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチド(1つまたは3つのミスマッチを有するものを含む)を使用して達成された。
【0208】
Gautschi et al(J.Natl.Cancer Inst.93:463−471,March 2001)は、bcl−2 mRNAに対して100%の相補性を有し、かつbcl−xL mRNAに対して3つのミスマッチを有するオリゴヌクレオチドが、in vitro及びin vivoでbcl−2とbcl−xL両方の発現を低減できることを実証した。さらに、このオリゴヌクレオチドはin vivoで強力な抗腫瘍活性も示した。
【0209】
Maher及びDolnick(Nuc.Acid.Res.16:3341−3358,1988)は、一連のタンデム14核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチド、ならびにそれぞれ2つまたは3つの該タンデムアンチセンスオリゴヌクレオチドの配列で構成される28核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチド及び42核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドを、ヒトDHFRの翻訳を停止させるその能力について、ウサギ網状赤血球アッセイで試験した。3つの14核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドのそれぞれは単独で、28核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは42核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドよりもレベルは低かったものの、翻訳を阻害することができた。
【0210】
アンチセンス化合物モチーフ
特定の実施形態において、C9ORF72核酸を標的とするアンチセンス化合物が、強化された阻害活性、標的核酸に対する増加した結合親和性、またはin vivoヌクレアーゼによる分解に対する耐性等といった性質を該アンチセンス化合物に付与するためにパターンまたはモチーフで配置された化学修飾サブユニットを有する。
【0211】
キメラアンチセンス化合物は、典型的には、ヌクレアーゼ分解に対する増加した耐性、増加した細胞取り込み、標的核酸に対する増加した結合親和性、及び/または増加した阻害活性が付与されるように修飾された少なくとも1つの領域を含有する。キメラアンチセンス化合物の第2の領域は、例えばRNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼRNase Hの基質として役立ててもよい。
【0212】
ギャップマーモチーフを有するアンチセンス化合物は、キメラアンチセンス化合物と考えられる。ギャップマーでは、RNaseH切断を支持する複数のヌクレオチドを有する内部領域が、内部領域のヌクレオシドとは化学的に異なる複数のヌクレオチドを有する外部領域の間に配置されている。ギャップマーモチーフを有するアンチセンスオリゴヌクレオチドの場合、ギャップセグメントは一般にエンドヌクレアーゼ切断の基質として機能し、一方、ウイングセグメントは修飾ヌクレオシドを含む。特定の実施形態において、ギャップマーの領域は、各別個の領域を含む糖部分のタイプによって区別される。ギャップマーの領域を区別するために使用される糖部分のタイプとして、いくつかの実施形態において、β−D−リボヌクレオシド、β−D−デオキシリボヌクレオシド、2’−修飾ヌクレオシド(そのような2’−修飾ヌクレオシドとして、例えば2’−MOEや2’−O−CH等を挙げることができる)、及び二環式糖修飾ヌクレオシド(そのような二環式糖修飾ヌクレオシドとして4’−(CH)n−O−2’架橋(式中、n=1またはn=2及び4’−CH−O−CH−2’である)を有するものを挙げることができる)が挙げられる。好ましくは、各別個の領域は、均一な糖部分を含む。ウイングギャップ−ウイングモチーフは、しばしば「X−Y−Z」と記載されるが、この場合、「X」は5’ウイング領域の長さを表し、「Y」はギャップ領域の長さを表し、「Z」は3’ウイング領域の長さを表す。本明細書で「X−Y−Z」と記述されるギャップマーは、ギャップセグメントが5’ウイングセグメント及び3’ウイングセグメントのそれぞれと直接隣接して配置されるような構成を有する。したがって、5’ウイングセグメントとギャップセグメントの間にも、ギャップセグメントと3’ウイングの間にも、介在ヌクレオチドは存在しない。本明細書に記載のアンチセンス化合物のいずれも、ギャップマーモチーフを有し得る。いくつかの実施形態において、X及びZが同じであり、他の実施形態において、それらが異なる。好ましい実施形態において、Yは8〜15個のヌクレオチドである。X、Y、またはZは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30個またはそれ1つまたは複数のヌクレオチドのいずれかで有り得る。したがって、本明細書に記載されるギャップマーは例えば、5−10−5、5−10−4、4−10−4、4−10−3、3−10−3、2−10−2、5−9−5、5−9−4、4−9−5、5−8−5、5−8−4、4−8−5、5−7−5、4−7−5、5−7−4または4−7−4を含むが、これらに限定されない。
【0213】
特定の実施形態において、アンチセンス化合物は、ウイングギャップまたはギャップ−ウイングの形態、すなわち、ギャップマー配置に関して上述したようなX−YまたはY−Z配置を有する、「ウイングマー」モチーフを有する。したがって、本明細書に記載されるウイングの構成は例えば、5−10、8−4、4−12、12−4、3−14、16−2、18−1、10−3、2−10、1−10、8−2、2−13、5−13、5−8、または6−8を含むが、これらに限定されない。
【0214】
特定の実施形態において、C9ORF72核酸を標的とするアンチセンス化合物は、5−10−5ギャップマーモチーフを有する。
【0215】
特定の実施形態において、C9ORF72核酸を標的とするアンチセンス化合物は、5−8−5ギャップマーモチーフを有する。
【0216】
特定の実施形態において、C9ORF72核酸を標的にするアンチセンス化合物は、eeekkdddddddkkeee、eekkddddddddkkeee、ekddddddddekekeee、kekeddddddddekeke、及びekekddddddddkekeeのいずれかのパターンで、糖の修飾を有し、式中、
e=2’−O−メトキシエチル修飾ヌクレオシド、
d=2’−デオキシヌクレオシド、かつ
k=cEtヌクレオシドである。
【0217】
特定の実施形態において、C9ORF72核酸を標的とするアンチセンス化合物は、ギャップ縮小モチーフを有する。特定の実施形態において、C9ORF72核酸を標的とするギャップ縮小アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5、4、3、2、または1個の化学修飾ヌクレオシドのウイングセグメントに直接隣接して、かつそれらの間に位置付けられる、9、8、7、または6個の2’−デオキシヌクレオチドのギャップセグメントを有する。特定の実施形態において、化学修飾は二環式糖を含む。特定の実施形態において、二環式糖は、4’−(CH−O−2’架橋(式中、nは1または2である)及び4’−CH−O−CH−2’から選択される、4’〜2’架橋を含む。特定の実施形態において、二環式糖は、4’−CH(CH)−O−2’架橋を含む。特定の実施形態において、化学修飾は、非二環式2’−修飾糖部分を含む。特定の実施形態において、非二環式2’−修飾糖部分は、2’−O−メチルエチル基または2’−O−メチル基を含む。
【0218】
標的核酸、標的領域及びヌクレオチド配列
C9ORF72をコードするヌクレオチド配列として、限定されるものではないが、以下のもの、すなわち、GENBANK受託番号NM_001256054.1の補体(配列番号1として本明細書に組み込まれる)、核酸塩基27535000〜27565000が切断されたGENBANK受託番号NT_008413.18の補体(配列番号2として本明細書に組み込まれる)、GENBANK受託番号BQ068108.1(配列番号3として本明細書に組み込まれる)、GENBANK受託番号NM_018325.3(配列番号4として本明細書に組み込まれる)、GENBANK受託番号DN993522.1(配列番号5として本明細書に組み込まれる)、GENBANK受託番号NM_145005.5(配列番号6として本明細書に組み込まれる)、GENBANK受託番号DB079375.1(配列番号7として本明細書に組み込まれる)、GENBANK受託番号BU194591.1(配列番号8として本明細書に組み込まれる)、配列識別子4141_014_A(配列番号9として本明細書に組み込まれる)、配列識別子4008_73_A(配列番号10として本明細書に組み込まれる)、及びヌクレオシド8522000〜8552000が切断されたGENBANK受託番号NW_001101662.1(配列番号11として本明細書に組み込まれる)が挙げられる。
【0219】
本明細書に含まれる実施例の各配列番号に記載される配列は、糖部分に対する任意の修飾、ヌクレオシド間結合、または核酸塩基に対する任意の修飾に依存しないことが理解される。このように、配列番号によって定義されたアンチセンス化合物は、独立して、糖部分に対する1つまたは複数の修飾、ヌクレオシド間結合、または核酸塩基を含むことができる。Isis番号(Isis番号)によって定義されるアンチセンス化合物は、核酸塩基配列及びモチーフの組み合わせを示す。
【0220】
特定の実施形態において、標的領域は、標的核酸の構造的に定義された領域である。例えば、標的領域は、3’UTR、5’UTR、エクソン、イントロン、エクソン/イントロン接合部、コーディング領域、翻訳開始領域、翻訳終結領域、または他の定義された核酸領域を含んでいてもよい。C9ORF72の構造的に定義された領域は、NCBI等の配列データベースからの寄託番号によって得ることができ、そのような情報は、参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、標的領域は、同一の標的領域内の1つの標的セグメントの5’標的部位から、標的領域内の別の標的セグメントの3’標的部位までの配列を含んでいてもよい。
【0221】
標的化は、所望の効果が生じるように、アンチセンス化合物がハイブリダイズする少なくとも1つの標的セグメントの決定を含む。特定の実施形態において、所望の効果は、mRNA標的核酸レベルの減少である。特定の実施形態において、所望の効果は、標的核酸または標的核酸に関連する表現型の変化によりコードされるタンパク質のレベルの減少である。
【0222】
標的領域は、1つまたは複数の標的セグメントを含んでいてもよい。標的領域内の複数の標的セグメントは重複してもよい。あるいは、それらは重複していなくてもよい。特定の実施形態において、標的領域内の標的セグメントは、約300個以下のヌクレオチドにより分離される。特定の実施形態において、標的領域内の標的セグメントは、いくつかのヌクレオチドによって分離され、すなわち、標的核酸上の約250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、もしくは10個以下のヌクレオチド、または前述の値のいずれか2つによって定義される範囲のヌクレオチドで分離される。特定の実施形態において、標的領域内の標的セグメントは、標的核酸上の5個以下のヌクレオチド、または約5個のヌクレオチドで分離される。特定の実施形態において、標的セグメントは連続する。本明細書に列挙される5’標的部位または3’標的部位のいずれかである開始核酸を有する範囲によって定義される標的領域が意図される。
【0223】
適切な標的セグメントは、5’UTR、コーディング領域、3’UTR、イントロン、エクソン、またはエクソン/イントロン接合内に見出すことができる。開始コドンまたは終止コドンを含む標的セグメントも、適切な標的セグメントである。適切な標的セグメントは、特に、開始コドンまたは終始コドン等の特定の構造的に定義された領域を除外してもよい。
【0224】
適切な標的セグメントの決定は、ゲノム全体にわたる、標的核酸の配列と他の配列との比較を含むことができる。例えば、BLASTアルゴリズムは、異なる核酸間の類似性の領域を同定するために使用することができる。この比較により、選択された標的核酸(すなわち、非標的またはオフターゲット配列)以外の配列に非特異的にハイブリダイズし得るアンチセンス化合物配列を選択することを防ぐことができる。
【0225】
標的領域内のアンチセンス化合物の(例えば、標的核酸レベルの減少率によって定義されているように)活性の変化があってもよい。特定の実施形態において、C9ORF72 mRNAレベルの減少は、C9ORF72発現の阻害の指標となる。C9ORF72タンパク質のレベルの減少もまた、標的mRNA発現の阻害の指標となる。伸長C9ORF72 RNAフォーカスの存在の低減は、C9ORF72発現の阻害を示す。さらに、表現型の変化は、C9ORF72発現の阻害の指標である。例えば、運動機能及び呼吸の改善は、C9ORF72発現の阻害を示し得る。
【0226】
ハイブリダイゼーション
いくつかの実施形態において、本明細書に開示するアンチセンス化合物とC9ORF72核酸との間でハイブリダイゼーションが起こる。最も一般的なハイブリダイゼーションのメカニズムは、核酸分子の相補的核酸塩基間での水素結合形成(例えばワトソン−クリック型、フーグスティーン型または逆フーグスティーン型水素結合形成)を伴う。
【0227】
ハイブリダイゼーションは、様々な条件下で起こり得る。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、ハイブリダイズさせようとする核酸分子の性質及び組成によって決定する。
【0228】
配列が標的核酸に特異的にハイブリダイズ可能かどうかを判定する方法は、当該技術分野で周知である。特定の実施形態において、本明細書中に提供するアンチセンス化合物は、C9ORF72核酸と特異的にハイブリダイズする。
【0229】
相補性
アンチセンス化合物の十分な数の核酸塩基が、標的核酸の対応する核酸塩基と水素結合することができ、それにより所望の効果(例えばC9ORF72核酸等の標的核酸のアンチセンス阻害)が生じることになる場合、そのアンチセンス化合物と標的核酸とは互いに相補的である。
【0230】
アンチセンス化合物が依然として標的核酸に特異的にハイブリダイズすることがきることを前提として、アンチセンス化合物とC9ORF72核酸の間で非相補的核酸塩基が許容される場合がある。さらに、アンチセンス化合物は、介在セグメントまたは隣接セグメントがハイブリダイゼーション事象に関与しないように、C9ORF72核酸の1つまたは複数のセグメントにハイブリダイズしてもよい(例えばループ構造、ミスマッチ、またはヘアピン構造)。
【0231】
特定の実施形態において、本明細書中に提供するアンチセンス化合物またはその特定特定部分は、C9ORF72核酸、その標的領域、標的セグメント、または特定特定部分に対して、70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%相補的である。標的核酸に対するアンチセンス化合物の相補性パーセントは、常法を使って決定することができる。
【0232】
例えば、アンチセンス化合物の20核酸塩基中18核酸塩基が標的領域に相補的であり、それゆえに特異的にハイブリダイズするアンチセンス化合物は、90パーセントの相補性を示す。この例では、残りの非相補的核酸塩基はクラスタ化してもよいし、残りの非相補的核酸塩基に相補的核酸塩基が散在していてもよく、また、互いに連続している必要も、相補的核酸塩基と連続している必要もない。したがって、標的核酸と完全に相補的な2つの領域と隣接する4つの非相補的核酸塩基を有する18核酸塩基長のアンチセンス化合物は、標的核酸に対して77.8%の総相補性を有し、したがって本発明の範囲に包含される。標的核酸の一領域に対するアンチセンス化合物の相補性パーセントは、通常当技術分野において知られているBLASTプログラム(basic local alignment search tool)及びPowerBLASTプログラム(basic local alignment search tool)及びPowerBLASTプログラム(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,1990,215,403 410;Zhang and Madden,Genome Res.,1997,7,649 656)を使用して決定することができる。相同性パーセント、配列同一性パーセントまたは配列相補性パーセントは、例えばSmithとWatermanのアルゴリズム(Adv.Appl.Math.,1981,2,482489)を使用するGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix,Genetics Computer Group,University Research Park,Madison Wis.)により、デフォルト設定を使用して決定することができる。
【0233】
特定の実施形態において、本明細書中に提供するアンチセンス化合物またはその特定部分が、標的核酸またはその特定部分に完全に相補的(すなわち100%相補的)である。例えばアンチセンス化合物は、C9ORF72核酸、またはその標的領域、またはその標的セグメントもしくは標的配列に完全に相補的であり得る。本明細書で使用される「完全に相補的」とは、アンチセンス化合物の各核酸塩基が、標的核酸の対応する核酸塩基と正確に塩基対合できることを意味する。例えば、20核酸塩基アンチセンス化合物は、そのアンチセンス化合物に完全に相補的な標的核酸の対応する20核酸塩基部分が存在する限り、400核酸塩基長の標的配列に対して完全に相補的である。完全に相補的なものもまた、第1及び/または第2核酸の特定部分を参照して使用することもできる。例えば、30核酸塩基アンチセンス化合物の20核酸塩基部分は、400核酸塩基長の標的配列に対して「完全に相補的」であることができる。30核酸塩基オリゴヌクレオチドの20核酸塩基部分は、標的配列が対応する20核酸塩基部分(その各核酸塩基がアンチセンス化合物の該20核酸塩基部分に相補的であるもの)を有する限り、標的配列に対して完全に相補的である。同時に、該30核酸塩基アンチセンス化合物全体は、該アンチセンス化合物の残りの10核酸塩基も標的配列に相補的であるかどうかに応じて、標的配列に対して完全に相補的である場合も、そうでない場合もある。
【0234】
非相補的核酸塩基の場所は、アンチセンス化合物の5’末端または3’末端であることができる。あるいは、非相補的核酸塩基(複数可)が、アンチセンス化合物の内部位置にあってもよい。2つ以上の非相補的核酸塩基が存在する場合、それらは連続して(すなわち連結されて)いてもよいし、不連続であってもよい。一実施形態において、非相補的核酸塩基が、ギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドのウイングセグメント内に位置する。
【0235】
特定の実施形態において、最長12、13、14、15、16、17、18、19、または20核酸塩基長のアンチセンス化合物が、C9ORF72核酸等の標的核酸またはその特定部分と比較して、4つ以下、3つ以下、2つ以下、または1つ以下の非相補的核酸塩基(複数可)を含む。
【0236】
特定の実施形態において、最長12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30核酸塩基長のアンチセンス化合物が、C9ORF72核酸等の標的核酸またはその特定部分と比較して、6つ以下、5つ以下、4つ以下、3つ以下、2つ以下、または1つ以下の非相補的核酸塩基(複数可)を含む。
【0237】
本明細書に提供するアンチセンス化合物には、標的核酸の一部分に相補的なものも含まれる。本明細書で使用される「一部分」とは、標的核酸の一領域または一セグメント内の定義された数の連続する(すなわち連結された)核酸塩基を指す。「一部分」は、アンチセンス化合物の、定義された数の連続する核酸塩基も指し得る。特定の実施形態において、アンチセンス化合物が、ある標的セグメントの少なくとも8核酸塩基部分に相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物が、ある標的セグメントの少なくとも9核酸塩基部分に相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物が、ある標的セグメントの少なくとも10核酸塩基部分に相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物が、ある標的セグメントの少なくとも11核酸塩基部分に相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物が、ある標的セグメントの少なくとも12核酸塩基部分に相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物が、ある標的セグメントの少なくとも13核酸塩基部分に相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物が、ある標的セグメントの少なくとも14核酸塩基部分に相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物が、ある標的セグメントの少なくとも15核酸塩基部分に相補的である。ある標的セグメントの少なくとも9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20核酸塩基部分もしくはそれ1つまたは複数の核酸塩基部分、またはこれらの値のうちの任意の2つによって画定される範囲に相補的なアンチセンス化合物も企図される。
【0238】
同一性
本明細書中に提供するアンチセンス化合物は、ある特定ヌクレオチド配列、配列番号、もしくは具体的なIsis番号によって表される化合物、またはその一部分に対して、定義されたの同一性パーセントも有し得る。本明細書で使用されるアンチセンス化合物は、同じ核酸塩基対合能を有する場合、本明細書に開示する配列と同一である。例えば、ウラシルとチミジンはどちらもアデニンと対合するので、開示したDNA配列中のチミジンの代わりにウラシルを含有するRNAは、該DNA配列と同一であるとみなされるであろう。本明細書に記載するアンチセンス化合物の短縮型及び延長型、ならびに本明細書中に提供するアンチセンス化合物と比較して非同一塩基を有する化合物も企図される。非同一塩基は互いに隣接してもよいし、アンチセンス化合物全体に散在していてもよい。アンチセンス化合物のパーセント同一性は、比較対象である配列と比較して同一塩基対合を有する塩基の数に従って計算される。
【0239】
特定の実施形態において、アンチセンス化合物またはその一部分が、本明細書に開示するアンチセンス化合物もしくは配列番号、またはその一部分の1つまたは複数と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。
【0240】
特定の実施形態において、アンチセンス化合物の一部分を、標的核酸の等長部分と比較する。特定の実施形態において、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25核酸塩基部分を、標的核酸の等長部分と比較する。
【0241】
特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドの一部分を、標的核酸の等長部分と比較する。特定の実施形態において、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25核酸塩基部分を、標的核酸の等長部分と比較する。
【0242】
修飾
ヌクレオシドは塩基−糖の組み合わせである。ヌクレオシドの核酸塩基(塩基としても知られる)部分は、通常、複素環式塩基部分である。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合で連結されたリン酸基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドの場合は、リン酸基を、糖の2’、3’または5’ヒドロキシル部分に連結することができる。隣接するヌクレオシドを共有結合で互いに連結してオリゴヌクレオチド形成することにより、線状ポリマー状のオリゴヌクレオチドを形成する。一般に、オリゴヌクレオチド構造内では、リン酸基は、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合を形成しているとみなされている。
【0243】
アンチセンス化合物の修飾には、ヌクレオシド間結合、糖部分、または核酸塩基の置換または改変が包含される。修飾アンチセンス化合物は、例えば、強化された細胞取り込み、核酸標的に対する強化された親和性、ヌクレアーゼの存在下での増加した安定性、増加した阻害活性といった望ましい性質ゆえに、ネイティブ型より好ましいことが多い。
【0244】
化学修飾ヌクレオシドは、短縮型または切断型アンチセンスオリゴヌクレオチドの、その標的核酸に対する結合親和性を増加させるために使用することもできる。結果として、そのような化学修飾ヌクレオシドを有する短いアンチセンス化合物で、匹敵する結果を得ることができる場合が多い。
【0245】
修飾ヌクレオシド間結合
RNA及びDNAの天然に存在するヌクレオシド間結合は、3’→5’ホスホジエステル結合である。1つまたは複数の修飾(すなわち天然に存在しない)ヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物は、例えば、強化された細胞取り込み、核酸標的に対する強化された親和性、及びヌクレアーゼの存在下での増加した安定性等といった望ましい性質ゆえに、天然に存在するヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物よりも選択されることが多い。
【0246】
修飾ヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドには、リン原子が保持されているヌクレオシド間結合と、リン原子を有さないヌクレオシド間結合とが含まれる。代表的なリン含有ヌクレオシド間結合には、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホラミデート、及びホスホロチオエートが含まれるが、これらに限定されない。リン含有結合及び非リン含有結合を調製する方法は、周知である。
【0247】
特定の実施形態において、C9ORF72核酸を標的とするアンチセンス化合物が、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド間結合を含む。特定の実施形態において、修飾ヌクレオシド間結合は、アンチセンス化合物全体にわたって分散される。特定の実施形態において、修飾ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物の各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。特定の実施形態において、C9ORF72核酸を標的とするアンチセンス化合物は、少なくとも1つのホスホジエステル結合及び少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む。
【0248】
特定の実施形態において、C9ORF72核酸を標的とするアンチセンス化合物は、soooossssssssssooss、sooosssssssssooss、soosssssssssoossとsosssssssssooossのいずれかのパターンで、ヌクレオシド間結合を含み、式中、
s=ホスホロチオエート結合、及び、
o=ホスホジエステル結合である。
【0249】
修飾糖部分
本発明のアンチセンス化合物は、場合によっては、糖基が修飾されているヌクレオシドを1つまたは複数含有し得る。そのような糖修飾ヌクレオシドは、強化されたヌクレアーゼ安定性、増加した結合親和性、または他の何らかの有益な生物学的性質を、アンチセンス化合物に付与し得る。特定の実施形態において、ヌクレオシドが化学修飾リボフラノース環部分を含む。化学修飾リボフラノース環の例には、置換基の付加(5’置換基、2’置換基、非ジェミナル環原子の架橋による二環式核酸(BNA)の形成、S、N(R)、またはC(R)(R)(R、R及びRは、それぞれ独立してH、C−C12アルキルまたは保護基である)によるリボシル環酸素原子の置き換え、及びそれらの組み合わせ等があるが、これらに限定されない。化学修飾糖の例としては、2’−F−5’−メチル置換ヌクレオシド(開示されている他の5’,2’−ビス置換ヌクレオシドについては、PCT国際出願WO2008/101157(公開日2008年8月21日)を参照されたい)、またはSによるリボシル環酸素原子の置き換え及び2’位におけるさらなる置換(米国特許出願公開US2005−0130923(公開日2005年6月16日)参照)、あるいはBNAの5’−置換(PCT国際出願WO2007/134181(公開日2007年11月22日)参照、この場合はLNAが例えば5’−メチル基または5’−ビニル基で置換されている)等がある。
【0250】
修飾糖部分を有するヌクレオシドの例として、限定されることなく、5’−ビニル、5’−メチル(RまたはS)、4’−S、2’−F、2’−OCH、2’−OCHCH、2’−OCHCHF及び2’−O(CHOCH置換基を含むヌクレオシドが挙げられる。2’位での置換基はまた、アリル、アミノ、アジド、チオ、O−アリル、O−C−C10アルキル、OCF、OCHF、O(CHSCH、O(CH−O−N(R)(R)、O−CH−C(=O)−N(R)(R)、及びO−CH−C(=O)−N(R)−(CH−N(R)(R)から選択され得、ここで、各R、R、及びRは、独立して、Hであるか、または置換もしくは非置換C−C10アルキルである。
【0251】
本明細書で使用される「二環式ヌクレオシド」とは、二環式糖部分を含む修飾ヌクレオシドを指す。二環式ヌクレオシド(BNA)の例には、4’リボシル環原子と2’リボシル環原子の間に架橋を含むヌクレオシド等があるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、本明細書で提供されるアンチセンス化合物には、1つまたは複数のBNAヌクレオシドが含まれ、該架橋は、以下の式:4’−(CH)−O−2’(LNA)、4’−(CH)−S−2’、4’−(CH)2−O−2’(ENA)、4’−CH(CH)−O−2’及び4’−C−H(CHOCH)−O−2’(及びその類似体、2008年7月15日に発行された米国特許第7,399,845号を参照)、4’−C(CH)(CH)−O−2’(及びその類似体、PCT/US2008/068922(2009年1月8日に公開されたWO/2009/006478)を参照)、4’−CH−N(OCH)−2’(及びその類似体、PCT/US2008/064591(2008年12月11日に公開されたWO/2008/150729)を参照)、4’−CH−O−N(CH)−2’(2004年9月2日公開された公開米国特許出願US2004−0171570を参照)、4’−CH−N(R)−O−2’(式中、RはH、C−C12アルキルまたは保護基である(2008年9月23日に発行された米国特許第7,427,672号を参照)、4’−CH−C−(H)(CH)−2’(Chattopadhyaya et al., J. Org. Chem., 2009, 74, 118−134を参照)、及び4’−CH−C−(=CH)−2’(及びその類似体、PCT/US2008/066154(2008年12月8日に公開されたWO2008/154401を参照)の1つを含む。
【0252】
さらなる二環式ヌクレオシドは、公開された文献に報告されている(例えば、Srivastava et al.,J.Am.Chem.Soc.,2007,129(26)8362−8379、Frieden et al.,Nucleic Acids Research,2003,21,6365−6372、Elayadi et al.,Curr.Opinion Invens. Drugs,2001,2,558−561、Braasch et al.,Chem.Biol.,2001,8,1−7、Orum et al.,Curr.Opinion Mol.Ther.,2001,3,239−243、Wahlestedt et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2000,97,5633−5638、Singh et al.,Chem.Commun.,1998,4,455−456、Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607−3630、Kumar et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219−2222、Singh et al.,J.Org.Chem.,1998,63,10035−10039、米国特許第7,399,845号、同第7,053,207号、同第7,034,133号、同第6,794,499号、同第6,770,748号、同第6,670,461号、同第6,525,191号、同第6,268,490号、米国特許出願公開第US2008−0039618号、同第US2007−0287831号、同第US2004−0171570号、米国特許出願第12/129,154号、同第61/099,844号、同第61/097,787号、同第61/086,231号、同第61/056,564号、同第61/026,998号、同第61/026,995号、同第60/989,574号、国際出願第WO2007/134181号、同第WO2005/021570号、同第WO2004/106356号、同第WO94/14226号、ならびにPCT国際出願第PCT/US2008/068922号、同第PCT/US−2008/−06−6154号、及び同第PCT/US2008/064591号を参照されたい)。例えばα−L−リボフラノース及びβ−D−リボフラノース等の1つまたは複数の立体化学的糖配置を有する前述の二環式ヌクレオシドのそれぞれを調製することができる(PCT国際出願PCT/DK98/00393(1999年3月25日に公開されたWO99/14226)を参照されたい)。
【0253】
本明細書で使用される「単環式ヌクレオシド」とは、二環式糖部分ではない修飾糖部分を含むヌクレオシドを指す。特定の実施形態において、ヌクレオシドの糖部分または糖部分類似体が、任意の位置で修飾または置換されていてもよい。
【0254】
本明細書で使用される「4’−2’二環式ヌクレオシド」または「4’→2’二環式ヌクレオシド」とは、フラノース環の2つの炭素原子をつなぐ架橋を含むフラノース環を含み、該橋が糖環の2’炭素原子と4’炭素原子をつなぐ、二環式ヌクレオシドを指す。
【0255】
特定の実施形態において、BNAヌクレオシドの二環式糖部分は、限定されるものではないが、ペントフラノシル糖部分の4’位と2’位との間に少なくとも1つの架橋を有する化合物を含む。ここで、そのような架橋は、独立して、−[C(R)(R)]n−、−C(R)=C(R)−、−C(R)=N−、−C(=O)−、−C(=NR)−、−C(=S)−、−O−、−Si(R2−、−S(=O)−、及び−N(R)−から独立して選択される1個または1〜4個の結合基を含み、式中、xは、0、1、または2であり;nは、1、2、3、または4であり、各R及びRは、独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C20アリール、置換C−C20アリール、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C−C脂環式ラジカル、置換C−C脂環式ラジカル、ハロゲン、OJ、NJ、SJ、N、COOJ、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、CN、スルホニル(S(=O)−J)、またはスルホキシル(S(=O)−J)であり、
各J及びJは、独立して、H、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C20アリール、置換C−C20アリール、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、C−C12アミノアルキル、置換C−C12アミノアルキル、または保護基である。
【0256】
特定の実施形態において、二環式糖部分の架橋は、−[C(R)(R)]−、−[C(R)(R)]−O−、−C(R)−N(R)−O−または−C(R)−O−N(R)−である。特定の実施形態において、架橋基は、4’−CH2−2’、4’−(CH−2’、4’−(CH−2’、4’−CH2−O−2’、4’−(CH−O−2’、4’−CH−O−N(R)−2’、及び4’−CH−N(R)−O−2’−であり、式中、Rは、独立して、H、保護基、またはC−C12アルキルである。
【0257】
特定の実施形態において、二環式ヌクレオシドは、異性体構成によってさらに定義される。例えば、4’−(CH)−O−2’架橋を含むヌクレオシドは、α−L配置またはβ−D配置で有り得る。従来、α−L−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNAは、以前に、アンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれており、そのアンチセンスオリゴヌクレオチドはアンチセンス活性を示した(Frieden et al.,Nucleic Acids Research,2003,21,6365−6372)。
【0258】
特定の実施形態において、二環式ヌクレオシドは、4’から2’架橋を有するものを含み、式中、そのような架橋は、これらに限定されないが、α−L−4’−(CH)−O−2’、β−D−4’−CH−O−2’、4’−(CH−O−2’、4’−CH−O−N(R)−2’、4’−CH−N(R)−O−2’、4’−CH(CH)−O−2’、4’−CH−S−2’、4’−CH−N(R)−2’ 、4’−CH−CH(CH)−2’及び4’−(CH−2’を含み、式中、RはH、保護基、またはC−C12アルキルである。
【0259】
特定の実施形態において、二環式ヌクレオシドは式:
【化12】
を有し、式中、
Bxが、複素環式塩基部分であり、
−Q−Q−Q−は−CH−N(R)−CH−、−C(=O)−N(R)−CH−、−CH−O−N(R)−、−CH−N(R)−O−または、
N(R)−O−CHであり;
はC−C12アルキルまたはアミノ保護基であり、かつ
及びTは、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分または支持媒体への共有結合である。
【0260】
特定の実施形態において、二環式ヌクレオシドは式:
【化13】
を有し、式中、
Bxが、複素環式塩基部分であり、
及びTは、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分または支持媒体への共有結合であり、
はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、置換C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、置換C−Cアルキニル、アシル、置換アシル、置換アミド、チオールまたは置換チオールである。
【0261】
一実施形態において、置換基の各々は、独立して、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシル、OJ、NJ、SJ、N、OC(=X)J、及びNJC(=X)NJであり、式中、J、J及びJは独立して、H、C−Cアルキル、または置換C−C及びXはOまたはNJから独立して選択される置換基でモノまたはポリ置換される。
【0262】
特定の実施形態において、二環式ヌクレオシドは式:
【化14】
を有し、式中、
Bxが、複素環式塩基部分であり、
及びTは、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分または支持媒体への共有結合であり、
はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、置換C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、置換C−Cアルキニルまたは置換アシル(C(=O)−)である。
【0263】
特定の実施形態において、二環式ヌクレオシドは式:
【化15】
を有し、式中、
Bxが、複素環式塩基部分であり、
及びTは、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分または支持媒体への共有結合であり、
はC−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニルまたは置換C−Cアルキニルであり;
各q、q、q、及びqは独立して、H、ハロゲン、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニルまたは置換C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、置換C−Cアルコキシ、アシル、置換アシル、C−Cアミノアルキルまたは置換C−Cアミノアルキルである。
【0264】
特定の実施形態において、二環式ヌクレオシドは式:
【化16】
を有し、式中、
Bxが、複素環式塩基部分であり、
及びTは、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分または支持媒体への共有結合であり、
、q、q及びqはそれぞれ、独立して、水素、ハロゲン、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C12アルコキシ、置換C−C12アルコキシ、OJ、SJ、SOJ、SO、NJ、N、CN、C(=O)OJ、C(=O)NJ、C(=O)J、O−C(=O)NJ、N(H)C(=NH)NJ、N(H)C(=O)NJまたはN(H)C(=S)NJであり;
またはq及びqは一緒に、=C(q)(q)であり;
及びqはそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、C−C12アルキルまたは置換C−C12アルキルである。
【0265】
オリゴマー化及び核酸認識特性と共に、4’−CH−O−2’架橋を有するアデニン、シトシン、グアニン、5−メチル−シトシン、チミン及びウラシル二環式ヌクレオシドの合成及び調製が記載されている(Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607−3630)。二環式ヌクレオシドの合成はまた、WO98/39352号及びWO99/14226号に記載されている。
【0266】
4’−CH−O−2’及び4’−CH−S−2’のような4’から2’への架橋基を有する種々の二環式ヌクレオシドの類似体も調製されている(Kumar et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219−2222)。核酸ポリメラーゼの基質として使用するための二環式ヌクレオシドを含むオリゴデオキシリボヌクレオチド二本鎖の調製も説明されている(Wengel et al.,WO99/14226)。さらに、新規の構造的に制限された高親和性オリゴヌクレオチド類似体である2’−アミノ−BNAの合成は、当該技術分野において説明されている(Singh et al.,J.Org.Chem.,1998,63,10035−10039)。加えて、2’−アミノ−及び2’−メチルアミノ−BNAも調製されており、相補的なRNA鎖及び相補的DNA鎖を有するそれらの二重鎖の熱安定性が、以前に報告されている。
【0267】
特定の実施形態において、二環式ヌクレオシドは式:
【化17】
を有し、式中、
Bxが、複素環式塩基部分であり、
及びTは、それぞれ独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分または支持媒体への共有結合であり、
各q、q、q及びqはそれぞれ、独立して、H、水素、ハロゲン、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C12アルコキシ、置換C−C12アルコキシ、OJ、SJ、SOJ、SO、NJ、N、CN、C(=O)OJ、C(=O)NJ、C(=O)J、O−C(=O)NJ、N(H)C(=NH)NJ、N(H)C(=O)NJまたはN(H)C(=S)NJであり;及び
及びqまたはq及びq一緒に、=C(q)(q)であり、式中、q及びqはそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、C〜C12アルキル、または置換C−C12アルキルである。
【0268】
4’−(CH−2’架橋及びアルケニル類似体架橋4’−CH=CH−CH−2’を有する1つの炭素環式二環式ヌクレオシドが説明されている(Frier et al.,Nucleic Acids Research,1997,25(22),4429−4443、及びAlbaek et al.,J.Org.Chem.,2006,71,7731−7740)。炭素環式二環式ヌクレオシドの合成及び調製も、それらのオリゴマー化及び生化学的試験と共に説明されている(Srivastava et al.,J.Am.Chem.Soc.2007,129(26),8362−8379)。
【0269】
特定の実施形態において、以下に示すように、二環式ヌクレオシドとして、(A)α−L−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA、(B)β−D−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA、(C)エチレンオキシ(4’−(CH)2−O−2’)BNA、(D)アミノオキシ(4’−CH−O−N(R)−2’)BNA、(E)オキシアミノ(4’−CH−N(R)−O−2’)BNA、(F)メチル(メチレンオキシ)(4’−CH(CH)−O−2’)BNA、(拘束エチルまたはcEtとも呼ばれる)、(G)メチレン−チオ(4’−CH−S−2’)BNA、(H)メチレン−アミノ(4’−CH−N(R)−2’)BNA、(I)メチル炭素環(4’−CH−CH(CH)−2’)BNA、(J)プロピレン炭素環(4’−(CH)3−2’)BNA、及び(K)ビニルBNAが挙げられるが、これらに限定されない。
【化18】
式中、Bxは塩基部分であり、Rは独立して、H、保護基、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシである。
【0270】
本明細書で使用される「修飾テトラヒドロピランヌクレオシド」または「修飾THPヌクレオシド」という用語は、通常のヌクレオシド中のペントフラノシル残基の代わりに六員テトラヒドロピラン「糖」が使用されているヌクレオシドを意味し、糖代用物と呼ばれる場合もある。修飾THPヌクレオシドには、当技術分野においてヘキシトール核酸(HNA)、アニトール(anitol)核酸(ANA)、マニトール(manitol)核酸(MNA)(Leumann,Bioorg.Med.Chem.,2002,10,841−854を参照されたい)またはフルオロHNA(F−HNA)と呼ばれる、以下に示すテトラヒドロピラン環系を有するものが含まれるが、これらに限定されない。
【化19】
【0271】
特定の実施形態において、以下の式:
【化20】
を有する糖代用物が選択され、式中、
Bxが、複素環式塩基部分であり、
及びTはそれぞれ、独立して、テトラヒドロピランヌクレオシド類似体をオリゴマー化合物に連結するヌクレオシド間連結基であり、またはT及びTのうちの1つはテトラヒドロピランヌクレオシド類似体をオリゴマー化合物またはオリゴヌクレオチドに連結するヌクレオシド間連結基であり、T及びTの他方は、H、ヒドロキシル保護基、連結共役基または5’もしくは3’末端基であり、
、q、q、q、q、q及びqはそれぞれ、独立して、H、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニルまたは置換C−Cアルキニルであり;及び
及びRの1方は水素であり、他方はハロゲン、置換または非置換アルコキシ、NJ、SJ、N、OC(=X)J、OC(=X)NJ、NJC(=X)NJ及びCNから選択され、式中、XはO、S、またはNJであり、各J、J及びJはそれぞれ、独立して、HまたはC−Cアルキルである。
【0272】
特定の実施形態において、q、q、q、q、q、q及びqはそれぞれHである。特定の実施形態において、q、q、q、q、q、q及びqの少なくとも1つはH以外である。特定の実施形態において、q、q、q、q、q、q及びqの少なくとも1つはメチルである。特定の実施形態において、R及びRの一方がFであるTHPヌクレオシドが提供される。特定の実施形態において、Rはフルオロ、RはHであり;Rはメトキシ、RはHであり、及びRはメトキシエトキシ、RはHである。
【0273】
特定の実施形態において、糖代用物が、5超の原子及び1超のヘテロ原子を有する環を含む。例えば、モルホリノ糖部分を含むヌクレオシド、及びオリゴマー化合物におけるそれらの使用が説明されている(例えばBraasch et al.,Biochemistry,2002,41,4503−4510、ならびに及び米国特許第5,698,685号、同第5,166,315号、同第5,185,444号、及び同第5,034,506号を参照されたい)。本明細書で使用される「モルホリノ」という用語は、以下の式:を有する糖代用物を意味する。
【化21】
特定の実施形態において、例えば、上記モルホリノ構造の様々な置換基を付加するか改変することによって、モルホリノが修飾されていてもよい。そのような糖代用物を本明細書では「修飾モルホリノ」と称される。
【0274】
2’−F−5’−メチル置換ヌクレオシド(他の開示された5’,2’−ビス置換ヌクレオシドについては、2008年8月21日に公開されたPCT国際出願第WO2008/101157号を参照のこと)、ならびにリボシル環酸素原子のSでの置換及び2’位でのさらなる置換(2005年6月16日に公開された米国特許出願第US2005−0130923号を参照のこと)、または代替として二環式核酸の5’−置換(4’−CH−O−2’二環式ヌクレオシドが5’位で5’−メチルまたは5’−ビニル基でさらに置換される、2007年11月22日に公開されたPCT国際出願第WO2007/134181号を参照のこと)等であるが、これらに限定されない修飾の組み合わせも提供される。炭素環式二環式ヌクレオシドの合成及び調製も、それらのオリゴマー化及び生化学的試験と共に説明されている(Srivastava et al.,J.Am.Chem.Soc.2007,129(26),8362−8379を参照のこと)。
【0275】
特定の実施形態において、アンチセンス化合物が、天然に存在するヌクレオシド中のペントフラノシル残基の代わりに六員シクロヘキセニルを有するヌクレオシドである修飾シクロヘキセニルヌクレオシドを1つまたは複数含む。修飾シクロヘキセニルヌクレオシドとしては、当該技術分野において説明されているものが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、権利者が共通である、2010年4月10日公開の公開PCT出願WO2010/036696号、Robeyns et al.,J.Am.Chem.Soc.,2008,130(6),1979−1984、;Horvath et al.,Tetrahedron Letters,2007,48,3621−3623、Nauwelaerts et al.,J.Am.Chem.Soc.,2007,129(30),9340−9348、Gu et al.,,Nucleosides,Nucleotides&Nucleic Acids,2005,24(5−7),993−998、Nauwelaerts et al.,Nucleic Acids Research,2005,33(8),2452−2463、Robeyns et al.,Acta Crystallographica,Section F:Structural Biology and Crystallization Communications,2005,F61(6),585−586、Gu et al.,Tetrahedron,2004,60(9),2111−2123、Gu et al.,Oligonucleotides,2003,13(6),479−489、Wang et al.,J.Org.Chem.,2003,68,4499−4505、Verbeure et al.,Nucleic Acids Research,2001,29(24),4941−4947、Wang et al.,J.Org.Chem.,2001,66,8478−82、Wang et al.,Nucleosides,Nucleotides & Nucleic Acids,2001,20(4−7),785−788、Wang et al.,J.Am.Chem.,2000,122,8595−8602、公開PCT出願WO06/047842号及び公開PCT出願WO01/049687号、また、各文献の本文は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。特定の修飾シクロヘキセニルヌクレオシドは式Xを有する。
【化22】
式中、該少なくとも1つの式Xのシクロヘキセニルヌクレオシド類似体のそれぞれについて、独立して、
Bxが、複素環式塩基部分であり、
及びTはそれぞれ、独立して、シクロヘキセニルヌクレオシド類似体をアンチセンス化合物に連結するヌクレオシド間連結基であり、またはT及びTのうちの1つはテトラヒドロピランヌクレオシド類似体をアンチセンス化合物に連結するヌクレオシド間連結基であり、T及びTの他方は、H、ヒドロキシル保護基、連結共役基または5’もしくは3’末端基であり、
、q、q、q、q、q、q、q及びqはそれぞれ、独立して、H、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、置換C−Cアルキニルまたは他の糖置換基である。
【0276】
多くの他の単環式、二環式及び三環式環系が当該分野で公知であり、本明細書で提供されるようなオリゴマー化合物への取り込みのためにヌクレオシドを修飾するために使用され得る糖代用物として適切である(例えば、総説については、Leumann,Christian J.Bioorg.&Med.Chem.,2002,10,841−854を参照されたい)。そのような環系は、それらの活性をさらに増強するために様々な追加の置換を受けてもよい。
【0277】
本明細書で使用される「2’−修飾糖」とは、2’位で修飾されたフラノシル糖を意味する。特定の実施形態において、そのような修飾が、ハライド、例えば、限定するわけではないが、置換及び無置換アルコキシ、置換及び無置換チオアルキル、置換及び無置換アミノアルキル、置換及び無置換アルキル、置換及び無置換アリール、ならびに置換及び無置換アルキニルから選択される置換基を含む。特定の実施形態において、2’修飾は、O[(CHO]CH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHF、O(CHONH、OCHC(=O)N(H)CH、及びO(CH)nON[(CHCHを含むが、これらに限定されない置換基から選択され、式中、n及びmは、1〜約10である。他の2’−置換基は、C−C12アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリルまたはO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、F、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、アンチセンス化合物の薬物動態特性を改良するための基または薬力学的性質を改良するための基、及び類似する性質を有する他の置換基から選択することもできる。特定の実施形態において、修飾ヌクレオシドが2’−MOE側鎖を含む(Baker et al.,J.Biol.Chem.,1997,272,11944−12000)。そのような2’−MOE置換は、無修飾ヌクレオシド、ならびに他の修飾ヌクレオシド、例えば2’−O−メチル、O−プロピル、及びO−アミノプロピルと比較して、改良された結合親和性を有するものであると説明されている。2’−MOE置換基を有するオリゴヌクレオチドは、in vivo用途に有望な特徴を持つ遺伝子発現のアンチセンス阻害剤であることも示されている(Martin,Helv.Chim.Acta,1995,78,486−504、Altmann et al.,Chimia,1996,50,168−176、Altmann et al.,Biochem.Soc.Trans.,1996,24,630−637、及びAltmann et al.,Nucleosides Nucleotides,1997,16,917−926)。
【0278】
本明細書で使用される「2’−修飾」または「2’−置換」は、2’位にHまたはOH以外の置換基を含む糖を含むヌクレオシドを指す。2’−修飾ヌクレオシドには、糖環の2つの炭素原子をつなぐ架橋が糖環の2’炭素ともう1つの炭素とをつないでいる二環式ヌクレオシド、及び非架橋2’置換基、例えばアリール、アミノ、アジド、チオ、O−アリール、O−C−C10アルキル、−OCF3、O−(CH−O−CH、2’−O(CHSCH、O−(CH−O−N(Rm)(Rn)、またはO−CH−C(=O)−N(Rm)(Rn)(式中、各Rm及びRnは、独立して、Hまたは置換または無置換C−C10アルキルである)を有するヌクレオシド等があるが、これらに限定されない。2’−修飾ヌクレオシドは、例えば糖の他の位置及び/または核酸塩基に、他の修飾をさらに含んでもよい。
【0279】
本明細書で使用される「2’−F」とは、糖環の2’位にフルオロ基を含む糖を含むヌクレオシドを指す。
【0280】
本明細書で使用される「2’−OMe」または「2’−OCH」または「2’−O−メチル」または「2’−メトキシ」とは、それぞれ、糖環の2’位に−OCH基を含む糖を含むヌクレオシドを指す。
【0281】
本明細書で使用される「MOE」または「2’−MOE」または「2’−OCHCHOCH」または「2’−O−メトキシエチル」はそれぞれ、糖環の2’位に−OCHCHOCH基を含む糖を含むヌクレオシドを指す。
【0282】
修飾糖の調製方法は、当業者に公知である。そのような修飾糖の調製を教示する代表的な米国特許の一部には、例えば、限定するわけではないが、U.S.4,981,957、U.S.5,118,800、U.S.5,319,080、U.S.5,359,044、U.S.5,393,878、U.S.5,446,137、U.S.5,466,786、U.S.5,514,785、U.S.5,519,134、U.S.5,567,811、U.S.5,576,427、U.S.5,591,722、U.S.5,597,909、U.S.5,610,300、U.S.5,627,053、U.S.5,639,873、U.S.5,646,265、U.S.5,670,633、U.S.5,700,920、U.S.5,792,847及びU.S.6,600,032、ならびに国際出願PCT/US2005/019219(出願日2005年6月2日)(2005年12月22日に公開されたWO2005/121371)等があり、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0283】
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」とは、複数の連結されたヌクレオシドを含む化合物を指す。特定の実施形態において、該複数のヌクレオシドのうちの1つまたは複数が修飾されている。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドが、1つまたは複数のリボヌクレオシド(RNA)及び/またはデオキシリボヌクレオシド(DNA)を含む。
【0284】
修飾糖部分を有するヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分(天然、修飾またはそれらの組み合わせ)は、適切な核酸標的とのハイブリダイゼーションのために維持される。
【0285】
特定の実施形態において、アンチセンス化合物が、修飾糖部分を有する1つまたは複数のヌクレオシドを含む。特定の実施形態において、修飾糖部分が2’−MOEである。特定の実施形態において、2’−MOE修飾ヌクレオシドがギャップマーモチーフで配置される。特定の実施形態において、修飾糖部分が、(4’−CH(CH)−O−2’)架橋基を有する二環式ヌクレオシドである。特定の実施形態において、該(4’−CH(CH)−O−2’)修飾ヌクレオシドが、ギャップマーモチーフのウイング全体にわたって配置される。
【0286】
医薬組成物を処方するための組成物及び方法
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬組成物または製剤の調製のために、薬学的に許容される活性物質または不活性物質と混合することができる。組成物及び医薬組成物を製剤化するための方法は、投与経路、疾患の程度、または投与される用量を含むが、これらに限定されないいくつかの基準に依存する。
【0287】
C9ORF72核酸を標的とするアンチセンス化合物は、アンチセンス化合物を適切な薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせることによって、医薬組成物に利用することができる。薬学的に許容される希釈剤は、リン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。PBSは、非経口で送達される組成物における使用に適した希釈剤である。したがって、一実施形態において、本明細書に記載の方法で使用されるのは、C9ORF72核酸を標的とするアンチセンス化合物及び薬学的に許容される希釈剤を含む医薬組成物である。特定の実施形態において、薬学的に許容される希釈剤はPBSである。特定の実施形態において、アンチセンス化合物はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0288】
アンチセンス化合物を含む医薬組成物は、ヒトを含む動物への投与時に、生物学的に活性な代謝産物またはその残基を(直接的または間接的に)提供することができる、そのようなエステルの任意の薬学的に許容される塩、エステルもしくはそのようなエステルの塩、または任意の他のオリゴヌクレオチドを包含する。したがって、例えば、本開示は、アンチセンス化合物の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、そのようなプロドラッグの薬学的に許容される塩、及び他の生物学的等価物を対象とする。好適な薬学的に許容される塩には、ナトリウム塩及びカリウム塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0289】
プロドラッグは、体内で内因性ヌクレアーゼによって切断されて活性アンチセンス化合物を形成するアンチセンス化合物の一方または両方の末端におけるさらなるヌクレオシドの組み込みを含み得る。
【0290】
共役アンチセンス化合物
アンチセンス化合物は、得られたアンチセンスオリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞取り込みを増強する1つまたは複数の部分または共役体に共有結合させることができる。典型的な共役基には、コレステロール部分及び脂質部分が含まれる。追加の共役基には、炭水化物、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸塩、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン及び色素が含まれる。
【0291】
アンチセンス化合物はまた、アンチセンス化合物の一方または両方の末端に概して結合されて、例えばヌクレアーゼ安定性等の特性を向上させる1つまたは複数の安定化基を有するように修飾することもできる。安定化基には、キャップ構造が含まれる。これらの末端修飾は、エキソヌクレアーゼ分解から得た末端核酸を有するアンチセンス化合物を保護し、細胞内での送達及び/または局在化に役立つことができる。キャップは、5’末端(5’キャップ)または3’末端(3’キャップ)に存在し得るか、または両方の末端に存在し得る。キャップ構造は当該業界において公知であり、例えば逆デオキシ脱塩基キャップが含まれる。アンチセンス化合物の一方または両方の末端をキャップしてヌクレアーゼ安定性を付与するために使用することができるさらなる3’及び5’−安定化基には、2003年1月16日公開のWO03/004602に開示されているものが含まれる。
【0292】
細胞培養及びアンチセンス化合物処理
アンチセンス化合物がC9ORF72核酸のレベル、活性または発現に与える効果は、様々な細胞型でin vitroで試験を行うことができる。このような分析に使用する細胞型は、商業供給業者(例えば、American Type Culture Collection,Manassus,VA、Zen−Bio,Inc.,Research Triangle Park,NC、Clonetics Corporation,Walkersville,MD)から入手可能であり、市販の試薬(例えば、Invitrogen Life Technologies,Carlsbad,CA)を使用して、供給業者の指示書に従って培養する。例示的な細胞種としては、HepG2細胞、Hep3B細胞、及び初代肝細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0293】
アンチセンスオリゴヌクレオチドのin vitro試験
アンチセンスオリゴヌクレオチドでの細胞の処理のための方法が本明細書に記載され、これは、他のアンチセンス化合物での処理のために適宜修正することができる。
【0294】
一般に、細胞が培養物中で約60〜80%コンフルエンスに達した時に、アンチセンスオリゴヌクレオチドで細胞を処理する。
【0295】
培養細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入するためによく使用される試薬の1つに、カチオン性脂質トランスフェクション試薬LIPOFECTIN(Invitrogen,Carlsbad,CA)がある。アンチセンスオリゴヌクレオチドをOPTI−MEM1中のLIPOFECTINと混合し、所望の最終濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチド及び100nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドにつき典型的には2〜12ug/mLのLIPOFECTIN濃度を達成する。
【0296】
培養細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入するために使用される別の試薬は、LIPOFECTIN(Invitrogen,Carlsbad,CA)を含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドをOPTI−MEM1還元血清培地中のLIPOFECTAMINEと混合し、所望の濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチド及び100nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドにつき典型的には2〜12ug/mLのLIPOFECTAMINE濃度を達成する。
【0297】
培養細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入するために使用される別の技術として、エレクトロポレーションが挙げられる。
【0298】
細胞は、常法により、アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理される。細胞は典型的にはアンチセンスオリゴヌクレオチド処理の16〜24時間後に採取され、その時点で、標的核酸のRNAレベルまたはタンパク質レベルが、当技術分野に知られておりかつ本明細書に記載する方法によって測定される。一般に、複数の複製試料で処理を行う場合は、反復した処理の平均としてデータを表す。
【0299】
使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度は、細胞株ごとに異なる。特定の細胞株に最適なアンチセンスオリゴヌクレオチド濃度を決定する方法は、当該技術分野で周知である。エレクトロポレーションによるトランスフェクションの場合は、典型的に、1nM〜300nMの範囲の濃度で、アンチセンスオリゴヌクレオチドが使用される。エレクトロポレーションによるトランスフェクションの場合は、それより高い625nM〜20,000nMの範囲の濃度で、アンチセンスオリゴヌクレオチドが使用される。
【0300】
RNA単離
RNA分析は、全細胞RNAまたはポリ(A)+mRNAで行うことができる。RNA単離の方法は当技術分野では周知である。RNAは、当技術分野において周知の方法を使って、例えば、製造者が推奨するプロトコルに従って、TRIZOL)試薬(Invitrogen,Carlsbad,CA)を使用することによって、調製される。
【0301】
標的レベルまたは発現の阻害の分析
C9ORF72核酸のレベルまたは発現の阻害は、当技術分野で周知の様々な方法でアッセイすることができる。例えば、標的核酸レベルは、例えばノーザンブロット分析、競合的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、または定量的リアルタイムPCRによって定量化することができる。RNA分析は、全細胞RNAまたはポリ(A)+ mRNAに対して行うことができる。RNA単離の方法は当技術分野では周知である。ノーザンブロット分析は、また当該技術分野では典型的なものである。定量的リアルタイムPCRは、製造者の指示書に従って、PE−Applied Biosystems,Foster City,CAから入手可能な市販のABI PRISM7600、7700、または7900配列検出システムを使用して好都合に達成することができる。
【0302】
標的RNAレベルの定量的リアルタイムPCR分析
標的RNAレベルの定量化は、製造業者の説明書に従ってABI PRISM7600、7700、または7900配列検出システム(PE−Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて定量的リアルタイムPCRによって達成することができる。定量的リアルタイムPCRの方法は当技術分野で周知である。
【0303】
リアルタイムPCRの前に、単離されたRNAは、逆転写酵素(RT)反応に供され、リアルタイムPCR増幅のための基質として使用される相補的DNA(cDNA)を生成する。RT及びリアルタイムPCR反応は、同じサンプルウェル中で連続的に実施する。RT及びリアルタイムPCR試薬は、Invitrogen(Carlsbad,CA)から入手する。RTリアルタイムPCR反応は、当業者に周知の方法によって実施される。
【0304】
リアルタイムPCRによって得られる遺伝子(またはRNA)標的量は、シクロフィリンA等の、発現が一定である遺伝子の発現レベルのいずれかを用いて、またはRIBOGREEN(Invitrogen、Inc.Carlsbad,CA)を用いて全RNAを定量することによって正規化される。シクロフィリンAの発現は、リアルタイムPCRによって、多重化を標的と同時にまたは別個に実行することによって定量化する。全RNAは、RIBOGREENRNA定量試薬(Invitrogen,Inc.Eugene,OR)を用いて定量される。RIBOGREENによるRNA定量化の方法は、Jones,L.J.,et al,(Analytical Biochemistry,1998,265,368−374)に教示されている。CYTOFLUOR4000機器(PE−Applied Biosystems)は、RIBOGREEN蛍光を測定するために使用する。
【0305】
プローブ及びプライマーは、C9ORF72核酸にハイブリダイズするように設計する。リアルタイムPCRプローブ及びプライマーの設計方法は、当該分野で周知であり、PRIMER EXPRESSソフトウェア(Applied Biosystems,Foster City,CA)等のソフトウェアの使用を含んでもよい。
【0306】
タンパク質レベルの分析
C9ORF72核酸のアンチセンス阻害は、C9ORF72タンパク質レベルを測定することによって評価することができる。C9ORF72のタンパク質レベルは、免疫沈降、ウエスタンブロット分析(イムノブロッティング)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、定量タンパク質アッセイ、タンパク質活性アッセイ(例えば、カスパーゼ活性アッセイ)、免疫組織化学、免疫細胞化学または蛍光活性化細胞選別(FACS)等の当該技術分野で周知の様々な方法で評価または定量化することができる。標的に対する抗体を同定し、抗体のMSRSカタログ(Aerie Corporation,Birmingham,MI)等の種々のソースから得ることができるか、または当該技術で周知の従来のモノクローナルまたはポリクローナル抗体生成法で調製することができる。マウス、ラット、サル、及びヒトC9ORF72の検出に有用な抗体は市販されている。
【0307】
アンチセンス化合物のin vivo試験
アンチセンス化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、それらがC9ORF72の発現を阻害し、表現型の変化、例えば運動機能及び呼吸の改善をもたらす能力を評価するために、動物において試験する。特定の実施形態において、運動機能は、動物においてロータロッド、握力、棒登り、オープンフィールド行動、バランスビーム、後肢足跡試験によって測定される。特定の実施形態において、呼吸は、動物において全身プレチスモグラフ、侵襲的抵抗(invasive resistance)、及びコンプライアンス測定によって測定される。正常な動物、または実験的疾患モデルで、試験を実施してもよい。動物への投与では、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)または人工脳脊髄液(aCSF)等の薬学的に許容される希釈剤中で製剤化する。投与には、腹腔内、静脈内、及び皮下といった非経口の投与経路、ならびに脳室内または髄腔内といった中枢投与経路が含まれる。アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与量及び投薬頻度の計算は、当業者の能力の範囲内のものであり、投与経路及び動物の体重等の要因に依存する。アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた治療期間の後、RNAをCNS組織またはCSFから単離し、C9ORF72核酸発現の変化を測定する。
【0308】
C9ORF72の標的化
本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNAプロセシングの任意の段階においてC9ORF72核酸とハイブリダイズし得る。例えば、mRNA前駆体または成熟mRNAに相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドが、本明細書に記載される。さらに、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、C9ORF72核酸の任意の要素とハイブリダイズし得る。例えば、C9ORF72核酸のエクソン、イントロン、5’UTR、3’UTR、反復領域、ヘキサヌクレオチド反復伸長、スプライスジャンクション、エクソン:エクソンスプライスジャンクション、エクソンスプライシングサイレンサー(ESS)、エクソンスプライシングエンハンサー(ESE)、エクソン1a、エクソン1b、エクソン1c、エクソン1d、エクソン1e、エクソン2、エクソン3、エクソン4、エクソン5、エクソン6、エクソン7、エクソン8、エクソン9、エクソン10、エクソン11、イントロン1、イントロン2、イントロン3、イントロン4、イントロン5、イントロン6、イントロン7、イントロン8、イントロン9、またはイントロン10に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドが、本明細書に記載される。
【0309】
特定の実施形態において、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、C9ORF72のすべての変異体とハイブリダイズする。特定の実施形態において、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、C9ORF72の特定の変異体と選択的にハイブリダイズする。特定の実施形態において、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヘキサヌクレオチド反復伸長を含有するC9ORF72の変異体と選択的にハイブリダイズする。特定の実施形態において、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヘキサヌクレオチド反復を含有するmRNA前駆体と選択的にハイブリダイズする。特定の実施形態において、ヘキサヌクレオチド反復伸長を含有するC9ORF72のmRNA前駆体変異体には、配列番号1〜3及び6〜10が含まれる。特定の実施形態において、そのようなヘキサヌクレオチド反復伸長は、GGGGCC、GGGGGG、GGGGGC、またはGGGGCGのいずれかの少なくとも24の反復を含む。
【0310】
特定の実施形態において、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、C9ORF72のすべての変異体の発現を阻害する。特定の実施形態において、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、C9ORF72のすべての変異体の発現を同等に阻害する。特定の実施形態において、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、C9ORF72の1つまたは複数の変異体の発現を選択的に阻害する。特定の実施形態において、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヘキサヌクレオチド反復伸長を含有するC9ORF72の変異体の発現を選択的に阻害する。特定の実施形態において、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヘキサヌクレオチド反復を含むmRNA前駆体変異体の発現を選択的に阻害する。特定の実施形態において、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、C9ORF72病原性関連mRNA変異体の発現を選択的に阻害する。特定の実施形態において、ヘキサヌクレオチド反復伸長を含有するC9ORF72のmRNA前駆体変異体には、配列番号1〜3及び6〜10が含まれる。特定の実施形態において、そのようなヘキサヌクレオチド反復伸長は、GGGGCC、GGGGGG、GGGGGC、またはGGGGCGのいずれかの少なくとも24の反復を含む。特定の実施形態において、ヘキサヌクレオチド反復伸長は核内フォーカスを形成する。特定の実施形態において、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、核内フォーカスを低減させるのに有用である。核内フォーカスは、フォーカスを有する細胞のパーセント、ならびに細胞1つあたりのフォーカスの数に関して低減され得る。
【0311】
特定の病原性関連変異体の選択的阻害
本明細書中のいくつかの例において、プライマープローブセットRTS3905は、ヘキサヌクレオチド反復を含むmRNA前駆体変異体からプロセシングされたmRNA変異体(例えばNM_001256054.1)を検出する。ヘキサヌクレオチド反復を含む、mRNA前駆体からプロセシングされたmRNA変異体(すなわち、「C9ORF72病原性関連mRNA変異体」)。mRNA前駆体は、mRNA前駆体の転写がエクソン1Aの開始部位からエクソン1Bの開始部位までの領域、例えば、ゲノム配列のヌクレオチド1107〜1520(配列番号2、ヌクレオシド27535000〜27565000から切断されたGENBANK寄託番号NT_008413.18の補体)で開始されるときに、ヘキサヌクレオチド反復を含む。ヘキサヌクレオチド反復を含むmRNA前駆体変異体を選択的に標的にするために、この領域でオリゴヌクレオチドを設計した。RTS3905は、ヘキサヌクレオチド反復を含むmRNA前駆体変異体のmRNA産物(すなわちC9ORF72病原性関連mRNA変異体)を測定し、したがって、ヘキサヌクレオチド反復を含むmRNA前駆体変異体の低減を測定する。
【0312】
C9ORF72の特徴
本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、C9ORF72遺伝子の任意の要素内の、任意のプロセシング状態の、任意のC9ORF72変異体にハイブリダイズすることが可能である。例えば、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、エクソン、イントロン、5’UTR、3’UTR、反復領域、ヘキサヌクレオチド反復伸長、スプライス部位、エクソン:エクソンスプライス部位、エクソンのスプライシングサイレンサー(ESS)、エクソンのスプライシングサイレンサー(ESE)、エクソン1a、エクソン1b、エクソン1c、エクソン1d、エクソン1e、エクソン2、エクソン3、エクソン4、エクソン5、エクソン6、エクソン7、エクソン8、エクソン9、エクソン10、エクソン11、イントロン1、イントロン2、イントロン3、イントロン4、イントロン5、イントロン6、イントロン7、イントロン8、イントロン9、またはイントロン10にハイブリダイズすることが可能である。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下で説明される様々なC9ORF72変異体について、以下の表1〜5で特徴付けられたエクソンのいずれかを標的にすることが可能である。本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、以下で特徴付けられていない変異体を標的にすることが可能であり、そのような変異体はGENBANKにおいて特徴付けられる。さらに、本明細書に記載されるアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、エクソン以外の要素を標的にすることも可能であり、そのような要素はGENBANKにおいて特徴付けられる。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0313】
特定の適応症
特定の実施形態において、個体を治療する方法であって、本明細書に記載の1つまたは複数の医薬組成物を投与することを含む、方法が本明細書に提供される。特定の実施形態において、個体は神経変性疾患を有する。特定の実施形態において、個体は、神経変性疾患(限定されるものではないがALSまたはFTDを含む)を発症する危険性がある。特定の実施形態において、個体はC9ORF72関連疾患を有すると特定されている。特定の実施形態において、個体でのC9ORF72発現を予防的に減少させる方法が本明細書に提供される。特定の実施形態は、個体にC9ORF72核酸を標的とするアンチセンス化合物の治療有効量を個体に投与することによって、治療を必要とする個体を処置することを含む。
【0314】
一実施形態において、C9ORF72核酸を標的とするアンチセンス化合物の治療有効量の投与は、アンチセンス化合物の投与に対する個人の応答を決定するべく個体におけるC9ORF72レベルのモニタリングを伴う。アンチセンス化合物の投与に対する個体の応答は、治療的介入の量及び持続時間を決定するために医師が使用してもよい。
【0315】
特定の実施形態において、C9ORF72核酸を標的にするアンチセンス化合物の投与により、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは99%、またはこれらの値のいずれか2つによって定義される範囲でC9ORF72発現が減少する。特定の実施形態において、C9ORF72核酸を標的にするアンチセンス化合物の投与により、動物における運動機能及び呼吸が改善する。特定の実施形態において、C9ORF72アンチセンス化合物の投与により、運動機能及び呼吸が少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または99%、あるいは、これらの値のいずれか2つによって定義される範囲で改善する。
【0316】
特定の実施形態において、C9ORF72を標的にするアンチセンス化合物を含む医薬品組成物は、ALS及びFTDを含む神経変性疾患に罹患しているかまたは罹患しやすい患者を治療するための医薬品の調製に使用される。
【0317】
特定の併用療法
特定の実施形態において、本明細書に記載の1つまたは複数の医薬組成物は、1つまたは複数の他の医薬品と同時投与される。特定の実施形態において、そのような1つまたは複数の他の医薬品は、本明細書に記載される1つまたは複数の医薬組成物と同様の疾患、障害、または病態を治療するように、設計されている。特定の実施形態において、そのような1つまたは複数の他の医薬品は、本明細書に記載される1つまたは複数の医薬組成物と異なる疾患、障害、または病態を治療するように、設計されている。特定の実施形態において、そのような1つまたは複数の他の医薬品は、本明細書に記載の1つまたは複数の医薬組成物の望ましくない副作用を治療するように設計されている。特定の実施形態において、本明細書に記載される1つまたは複数の医薬組成物は、その他の医薬品の望ましくない効果を治療するために、別の医薬品と同時投与される。特定の実施形態において、本明細書に記載される1つまたは複数の医薬組成物は、併用効果を得るために、別の医薬品と同時投与される。特定の実施形態において、本明細書に記載される1つまたは複数の複数の医薬組成物は、相乗効果を得るために、別の医薬品と同時投与される。
【0318】
特定の実施形態において、本明細書に記載される1つまたは複数の医薬組成物及び1つまたは複数の他の医薬品が同時に投与される。特定の実施形態において、本明細書に記載される1つ1つまたは複数の医薬組成物及び1つ1つまたは複数の他の医薬品が異なる時間に投与される。特定の実施形態において、本明細書に記載される1つ1つまたは複数の医薬組成物及び1つ1つまたは複数の他の医薬品は、単一の製剤で一緒に調製される。特定の実施形態において、本明細書に記載される1つ1つまたは複数の医薬組成物及び1つ1つまたは複数の他の医薬品は、別々に調製される。
【0319】
特定の実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物と同時投与可能な医薬品として、リルゾール(Rilutek)、リオレサール(Lioresal)、及びデクスプラミペキソールが挙げられる。
【0320】
特定の実施形態において、本明細書に記載されるC9ORF72特異的阻害剤と同時投与可能な医薬品として、限定されるものではないが、追加のC9ORF72阻害剤が挙げられる。
【0321】
特定の実施形態において、本明細書に記載されるC9ORF72特異的阻害剤と同時投与可能な医薬品として、限定されるものではないが、C9ORF72アンチセンス転写産物特異的阻害剤が挙げられる。特定の実施形態において、C9ORF72アンチセンス転写産物特異的阻害剤はアンチセンス化合物である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は修飾オリゴヌクレオチドである。特定の実施形態において、該修飾オリゴヌクレオチドは一本鎖である。
【0322】
特定の実施形態において、同時投与される医薬品は、本明細書に記載される医薬組成物の投与の前に投与される。特定の実施形態において、同時投与される医薬品は、本明細書に記載される医薬組成物の投与の後に投与される。特定の実施形態において、同時投与される医薬品は、本明細書に記載される医薬組成物と同時に投与される。特定の実施形態において、同時投与される医薬品の用量は、同時投与される医薬品が単独で投与される場合の用量と同じである。特定の実施形態において、同時投与される医薬品の用量は、同時投与される医薬品が単独で投与された場合の用量よりも低い。特定の実施形態において、同時投与される医薬品の用量は、同時投与された薬剤が単独で投与された用量よりも多い。
【0323】
特定の実施形態において、第2の化合物の同時投与により第1の化合物の効果が向上し、それによって、これらの化合物の同時投与によりで、第1の化合物を単独で投与した場合の効果よりも大きい効果が得られる。他の実施形態において、同時投与により、化合物を単独で投与した場合の効果を相加した効果が得られる。特定の実施形態において、同時投与は、化合物を単独で投与した場合の効果の相乗効果をもたらす。特定の実施形態において、第1の化合物は、アンチセンス化合物である。特定の実施形態において、第2の化合物は、アンチセンス化合物である。
【0324】
特定の比較組成物
特定の実施形態において、本明細書に記載の化合物は、ISIS 576816、ISIS 576974、ISIS 577061、ISIS 577065、及び/またはISIS 577083よりも耐容性がある。ISIS 576816、ISIS 576974、ISIS 577061、ISIS 577065、及びISIS 577083は、WO2014/062691に記載される種々の試験においてC9ORF72 mRNAの高レベルの用量依存性低下を示したため、比較化合物として選択した。したがって、ISIS 576816、ISIS 576974、ISIS 577061、ISIS 577065、及びISIS 577083は、非常に有効で強力な化合物であるとみなされた。さらに、WO2014/062691に記載されているISIS 577065、ISIS 577056、及びISIS 576816は、本明細書に記載の化合物と構造的に類似している。例えば、ISIS 577065は、ISIS 801287との16核酸塩基重複を有し、ISIS 577056は、ISIS 806679との16核酸塩基重複を有し、ISIS 576816は、ISIS 802473(18−mer)との18核酸塩基重複を有し、ISIS 576816はISIS 802459との18核酸塩基重複を有している。
【0325】
特定の実施形態において、5−10−5 MOEギャップマーであるISIS 576816であって、(5’〜3’)GCCTTACTCTAGGACCAAGA(配列番号21として本明細書に組み込まれる)の配列を有し、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、各シトシンが5−メチルシトシンであり、ヌクレオシド1〜5及び16〜20の各々が2’−O−メトキシエチル基を含む(参照により本明細書に組み込まれるWO2014/062691に記載されている)、該ISIS 576816は、比較化合物である。ISIS 576816は、マウスにおける急性耐容性の試験において7.00の平均FOBスコアを達成した(以下の実施例3を参照)。本明細書に記載の特定の化合物は、ISIS 801287、ISIS 806679、ISIS 802473、及びISIS 802459を含む、マウスにおける急性耐容性の類似の試験(以下の実施例2参照)において、より低いFOBスコアを達成した。したがって、本明細書に記載の特定の化合物は、比較化合物ISIS 576816よりも耐容性が高い。
【0326】
特定の実施形態において、5−10−5 MOEギャップマーであるISIS 576974であって、(5’〜3’)GGGACACTACAAGGTAGTAT(配列番号56として本明細書に組み込まれる)の配列を有し、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各シトシンは5−メチルシトシンであり、ヌクレオシド1〜5及び16〜20の各々は2’−O−メトキシエチル基を含む(参照により本明細書に組み込まれるWO2014/062691に記載されている)、該ISIS 576974は、比較化合物である。ISIS 576974は、マウスにおける急性耐容性の試験において5.67の平均FOBスコアを達成した(以下の実施例3を参照)。本明細書に記載の特定の化合物は、ISIS 801287、ISIS 806679、ISIS 802473、及びISIS 802459を含む、マウスにおける急性耐容性の類似の試験(以下の実施例2参照)において、より低いFOBスコアを達成した。したがって、本明細書に記載の特定の化合物は、比較化合物ISIS 576974よりも耐容性が高い。
【0327】
特定の実施形態において、5−10−5 MOEギャップマーであるISIS 577061であって、(5’〜3’)TACAGGCTGCGGTTGTTTCC(配列番号57として本明細書に組み込まれる)の配列を有し、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各シトシンは5−メチルシトシンであり、ヌクレオシド1〜5及び16〜20の各々は2’−O−メトキシエチル基を含む(参照により本明細書に組み込まれるWO2014/062691に記載されている)、該ISIS 577061は、比較化合物である。ISIS 577061は、マウスにおける急性耐容性の試験において7.00の平均FOBスコアを達成した(以下の実施例3を参照)。本明細書に記載の特定の化合物は、ISIS 801287、ISIS 806679、ISIS 802473、及びISIS 802459を含む、マウスにおける急性耐容性の類似の試験(以下の実施例2参照)において、より低いFOBスコアを達成した。したがって、本明細書に記載の特定の化合物は、比較化合物ISIS 577061よりも耐容性が高い。
【0328】
特定の実施形態において、5−10−5 MOEギャップマーであるISIS 577065であって、(5’〜3’)CCCGGCCCCTAGCGCGCGAC(配列番号58として本明細書に組み込まれる)の配列を有し、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各シトシンは5−メチルシトシンであり、ヌクレオシド1〜5及び16〜20の各々は2’−O−メトキシエチル基を含む(参照により本明細書に組み込まれるWO2014/062691に記載されている)、該ISIS 577065は、比較化合物である。ISIS 577065は、マウスにおける急性耐容性の試験において6.00の平均FOBスコアを達成した(以下の実施例3を参照)。本明細書に記載の特定の化合物は、ISIS 801287、ISIS 806679、ISIS 802473、及びISIS 802459を含む、マウスにおける急性耐容性の類似の試験(以下の実施例2参照)において、より低いFOBスコアを達成した。したがって、本明細書に記載の特定の化合物は、比較化合物ISIS 577065よりも耐容性が高い。
【0329】
特定の実施形態において、5−10−5 MOEギャップマーであるISIS 577083であって、(5’〜3’)GGTAACTTCAAACTCTTGGG(配列番号59として本明細書に組み込まれる)の配列を有し、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各シトシンは5−メチルシトシンであり、ヌクレオシド1〜5及び16〜20の各々は2’−O−メトキシエチル基を含む(参照により本明細書に組み込まれるWO2014/062691に記載されている)、該ISIS 577083は、比較化合物である。ISIS 577083は、マウスにおける急性耐容性の試験において7.00の平均FOBスコアを達成した(以下の実施例3を参照)。本明細書に記載の特定の化合物は、ISIS 801287、ISIS 806679、ISIS 802473、及びISIS 802459を含む、マウスにおける急性耐容性の類似の試験(以下の実施例2参照)において、より低いFOBスコアを達成した。したがって、本明細書に記載の特定の化合物は、比較化合物ISIS 577083よりも耐容性が高い。
【0330】
特定の実施形態において、5−10−5 MOEギャップマーであるISIS 577056であって、(5’〜3’)AATCTTTATCAGGTCTTTTC(配列番号60として本明細書に組み込まれる)の配列を有し、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各シトシンは5−メチルシトシンであり、ヌクレオシド1〜5及び16〜20の各々は2’−O−メトキシエチル基を含む(参照により本明細書に組み込まれるWO2014/062691に記載されている)、該ISIS 577056は、比較化合物である。ISIS 577056は、マウスにおける急性耐容性の試験において6.5の平均FOBスコアを達成した(以下の実施例3を参照)。本明細書に記載の特定の化合物は、ISIS 801287、ISIS 806679、ISIS 802473、及びISIS 802459を含む、マウスにおける急性耐容性の類似の試験(以下の実施例2参照)において、より低いFOBスコアを達成した。したがって、本明細書に記載の特定の化合物は、比較化合物ISIS 577056よりも耐容性が高い。
【0331】
特定のヒト療法
本明細書に記載のヒトC9ORF72アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒト療法である。効力、有効性、及び/または耐容性の様々なパラメータが試験されている。そのようなパラメータとして、全C9ORF72RNA発現のin vitro阻害、C9ORF72病原性関連RNA変異体発現のin vitro阻害、in vitro用量反応(IC50)、関連組織(例えば、脳及び/もしくは脊髄)内にヒトC9ORF72導入遺伝子を含むトランスジェニック動物の全もしくは病原性RNA及び/もしくはタンパク質のin vivo阻害、マウスにおける耐容性、ラットにおける耐容性、ならびに/または霊長類における耐容性が挙げられる。測定可能な耐容性マーカーには、血液及び血清の化学パラメータ、CSF化学パラメータ、体重及び臓器重量、一般的観察及び/もしくは行動試験、ならびに/またはGFAP及び/もしくはAIF1等の生化学マーカーが挙げられる。急性または長期の耐容性を測定することができる。
【0332】
特定の組成物
1.ISIS 801287
特定の実施形態において、ISIS 801287は、4−8−6 MOEギャップマーとして特徴付けられるが、(5’〜3’)GCCCCTAGCGCGCGACTC(配列番号33として本明細書に組み込まれる)の配列を有し、ヌクレオシド1〜4及び13〜18の各々は、2’−O−メトキシエチルリボース修飾ヌクレオシドであり、ヌクレオシド5〜12の各々は2’−デオキシヌクレオシドであり、式中、ヌクレオシド2〜3、3〜4、13〜14、14〜15、及び15〜16の間のヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合であり、ヌクレオシド1〜2、4〜5、5〜6、6〜7、7〜8、8〜9、9〜10、10〜11、11〜12、12〜13、16〜17、及び17〜18の間のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各シトシンは5’−メチルシトシンである。
【0333】
特定の実施形態において、ISIS 801287は以下の化学表記:Ges mCeo mCeo mCes mCds Tds Ads Gds mCds Gds mCds Gds mCeo Geo Aeo mCes Tes mCeにより記載され、式中、
A=アデニン、
mC=5’−メチルシトシン
G=グアニン、
T=チミン、
e=2’−O−メトキシエチル修飾糖、
d=2’−デオキシヌクレオシド、
s=ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、かつ
o=ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0334】
特定の実施形態において、ISIS 801287は、以下の化学構造またはその塩によって記載される。
【化23】
【0335】
特定の実施形態において、ISIS 801287のナトリウム塩は、以下の化学構造によって記載される。
【化24】
【0336】
2.ISIS 806679
特定の実施形態において、ISIS 806679は、6−10−4 MOEギャップマーとして特徴付けられるが、(5’〜3’)GGTTAATCTTTATCAGGTCT(配列番号49として本明細書に組み込まれる)の配列を有し、ヌクレオシド1〜6及び17〜20の各々は、2’−O−メトキシエチルリボース修飾ヌクレオシドであり、ヌクレオシド7〜16各々は2’−デオキシヌクレオシドであり、式中、ヌクレオシド2〜3、3〜4、4〜5、5〜6、6〜7、及び17〜18の間のヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合であり、ヌクレオシド1〜2、7〜8、8〜9、9〜10、10〜11、11〜12、12〜13、13〜14、14〜15、15〜16、16〜17、18〜19、及び19〜20の間のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各シトシンは5’−メチルシトシンである。
【0337】
特定の実施形態において、ISIS 806679は以下の化学表記:Ges Geo Teo Teo Aeo Aeo Tds mCds Tds Tds Tds Ads Tds mCds Ads Gds Geo Tes mCes Teにより記載され、式中、
A=アデニン、
mC=5’−メチルシトシン
G=グアニン、
T=チミン、
e=2’−O−メトキシエチル修飾糖、
d=2’−デオキシヌクレオシド、
s=ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、及び、
o=ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0338】
特定の実施形態において、ISIS 806679は、以下の化学構造またはその塩によって記載される。
【化25】
【0339】
特定の実施形態において、ISIS 806679のナトリウム塩は、以下の化学構造によって記載される。
【化26】
【0340】
3.ISIS 802473
特定の実施形態において、ISIS 802473は、4−8−6 MOEギャップマーとして特徴付けられるが、(5’〜3’)GCCTTACTCTAGGACCAA(配列番号47として本明細書に組み込まれる)の配列を有し、ヌクレオシド1〜4及び13〜18の各々は、2’−O−メトキシエチルリボース修飾ヌクレオシドであり、ヌクレオシド5〜12の各々は2’−デオキシヌクレオシドであり、式中、ヌクレオシド2〜3、3〜4、13〜14、14〜15、及び15〜16の間のヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合であり、ヌクレオシド1〜2、4〜5、5〜6、6〜7、7〜8、8〜9、9〜10、10〜11、11〜12、12〜13、16〜17、及び17〜18の間のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各シトシンは5’−メチルシトシンである。
【0341】
特定の実施形態において、ISIS 802473は以下の化学表記:Ges mCeo mCeo Tes Tds Ads mCds Tds mCds Tds Ads Gds Geo Aeo mCeo mCes Aes Aeにより記載され、式中、
A=アデニン、
mC=5’−メチルシトシン
G=グアニン、
T=チミン、
e=2’−O−メトキシエチル修飾糖、
d=2’−デオキシヌクレオシド、
s=ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、及び、
o=ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0342】
特定の実施形態において、ISIS 802473は、以下の化学構造またはその塩によって記載される。
【化27】
【0343】
特定の実施形態において、ISIS 802473のナトリウム塩は、以下の化学構造によって記載される。
【化28】
【0344】
4.ISIS 802459
特定の実施形態において、ISIS 806679は、6−10−4 MOEギャップマーとして特徴付けられるが、(5’〜3’)GCCTTACTCTAGGACCAAGA(配列番号21して本明細書に組み込まれる)の配列を有し、ヌクレオシド1〜3及び14〜20の各々は、2’−O−メトキシエチルリボース修飾ヌクレオシドであり、ヌクレオシド4〜13の各々は2’−デオキシヌクレオシドであり、式中、ヌクレオシド2〜3、3〜4、14〜15、15〜16、16〜17、及び17〜18の間のヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合であり、ヌクレオシド1〜2、4〜5、5〜6、6〜7、7〜8、8〜9、9〜10、10〜11、11〜12、12〜13、13〜14、18〜19、及び19〜20の間のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各シトシンは5’−メチルシトシンである。
【0345】
特定の実施形態において、ISIS 802459は以下の化学表記:Ges mCeo mCeo Tds Tds Ads mCds Tds mCds Tds Ads Gds Gds Aeo mCeo mCeo Aeo Aes Ges Aeにより記載され、式中、
A=アデニン、
mC=5’−メチルシトシン
G=グアニン、
T=チミン、
e=2’−O−メトキシエチル修飾糖、
d=2’−デオキシヌクレオシド、
s=ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、及び、
o=ホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【0346】
特定の実施形態において、ISIS 802459は、以下の化学構造またはその塩によって記載される。
【化29】
【0347】
特定の実施形態において、ISIS 802459のナトリウム塩は、以下の化学構造によって記載される。
【化30】
【0348】
実施例
参照による非限定的な開示及び組み込み
本明細書に記載されるある特定の化合物、組成物、及び方法が特定の実施形態に従って具体的に記載されているが、以下の実施例は、本明細書に記載される化合物を例示する役割のみを果たし、それを限定するようには意図されていない。本出願に記載の参考文献の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0349】
実施例1:ヒトC9ORF72を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド
以下の表のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、MOEギャップマーとして設計した。各ギャップマーの中央のギャップセグメントは2’−デオキシヌクレオシドを含有し、2’−MOE基を各々含むヌクレオシドを含む5’末端及び3’末端の両方のウイングセグメントと隣接する。各ギャップマーの特定のモチーフは、ハイフンで区切られた3つの数字で表される下の表に列挙される。数字はそれぞれ、5’−ウイング、ギャップ、3’ウイングにおけるヌクレオシドの数を表す。各オリゴヌクレオチド全体にわたり、シトシン残基はすべて、5−メチルシトシンである。ギャップマーのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合とホスホジエステル結合との混合である。各ギャップマーのヌクレオシド間結合を、結合の縦列に示す。ここで、「o」はホスホジエステル結合を示し、「s」はホスホロチオエートを示す。
【0350】
以下の表に列挙される各アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書中で配列番号2(ヌクレオシド27535000〜27565000から切断されたGENBANK受託番号NT_008413.18の補体)として示されたヒトC9ORF72ゲノム配列を標的とする。「開始部位」は、ヒト遺伝子配列においてギャップマーが標的とする、5’最末端ヌクレオシドを示す。「終止部位」は、ヒト遺伝子配列においてギャップマーが標的とする、3’最末端ヌクレオシドを示す。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【0351】
実施例2:ヒトC9ORF72マウスを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの耐容性
上記のアンチセンスオリゴヌクレオチドをマウスで試験し、オリゴヌクレオチドの耐容性を評価した。野生型C57/B16マウスそれぞれに対して、以下の表に列挙するアンチセンスオリゴヌクレオチド700μgのICV単回投与を行った。各処置群は4匹のマウスからなった。注射後3時間の時点で、7つの基準に従って各マウスを評価した。7つの基準とは、(1)マウスは、利口で、警戒心があり、反応があること、(2)マウスは、刺激無しで、立位または円背位であったこと、(3)マウスは、刺激無しで、何らかの動作を示すこと、(4)マウスは、持ち上げられた後に前進動作を示すこと、(5)マウスは、持ち上げられた後に何らかの動作を示すこと、(6)マウスは、尾部つねりに応答すること、(7)通常呼吸であること、である。7つの異なる基準の各々について、各マウスに対して、基準に合致した場合には0、基準に合致しない場合には1のサブスコアを与えた。7つの基準すべてについて評価を行った後、各マウスについてサブスコアを合計し、各群の平均値を求めた。例えば、700μgのICV投与後3時間、マウスが利口で、警戒心があり、反応があり、さらに他のすべての基準を満たした場合、合計されたスコアは0となる。別のマウスが、700μgのICV投与後3時間、利口でなく、警戒心がなく、反応がないが、他の基準はすべて満たしていた場合、スコア1を与えられる。各々の処置群についての平均スコアとして、結果を示す。
【表7-1】
【表7-2】
【0352】
実施例3:WO2014/062691のオリゴヌクレオチドの耐容性
WO2014/062691に記載のオリゴヌクレオチドを、マウスにおける急性耐容性試験で試験した。3匹の野生型C57/BL6マウスの群を処理し、実施例2に記載の通りに分析した。試験されたオリゴヌクレオチドは、以下の表に列挙されたものを含み、完全ホスホロチオエート骨格を有する5−10−5 MOEギャップマーであり、各シトシンは5−メチルシトシンである。各オリゴヌクレオチドが標的とされる配列番号2の開始及び終止部位を示す。以下の表において、各々の処置群についての平均スコアとして結果を示す。これらの結果は、ISIS 576816、ISIS 576974、ISIS 577061、ISIS 577065、及びISIS 577083は耐容性が不十分であることを示している。
【表8】
【表9】
【0353】
実施例4:HepG2細胞におけるヒトC9ORF72 mRNA変異体のアンチセンス阻害
上記のアンチセンスオリゴヌクレオチドをin vitroでC9ORF72 mRNAに対するそれらの効果について試験する。1ウェルあたり20,000細胞密度の培養したHepG2細胞を、アンチセンスオリゴヌクレオチドでエレクトロポレーションする。約24時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、C9ORF72mRNAレベルを、定量的リアルタイムPCRによって測定する。ヒトプライマープローブセットRTS3905(本明細書に配列番号12として指定される順方向プライマー配列GGGTCTAGCAAGAGCAGGTG、本明細書に配列番号13として指定される逆方向プライマー配列GTCTTGGCAACAGCTGGAGAT、本明細書に配列番号14として指定されるプローブ配列TGATGTCGACTCTTTGCCCACCGC、−TAQ−manプライマープローブセット)を使用する。RTS3905は、ヘキサヌクレオチド反復を含むmRNA前駆体変異体からプロセシングされたmRNA変異体(例えばNM_001256054.1)を検出する。ヘキサヌクレオチド反復を含むmRNA前駆体からプロセシングされたmRNA変異体は、本明細書では「C9ORF72病原性関連mRNA変異体」である。mRNA前駆体は、mRNA前駆体の転写がエクソン1Aの開始部位からエクソン1Bの開始部位までの領域で開始されるときに(通常、ゲノム配列のヌクレオチド1107〜1520:配列番号2、ヌクレオシド27535000〜2756500から切断されたGENBANK寄託番号NT_008413.18の補体)、ヘキサヌクレオチド反復を含む。したがって、この領域で設計されたオリゴヌクレオチドは、ヘキサヌクレオチド反復を含むmRNA前駆体変異体を選択的に標的とする。RTS3905は、ヘキサヌクレオチド反復を含むmRNA前駆体変異体のmRNA産物(すなわちC9ORF72病原性関連mRNA変異体)を測定し、したがって、ヘキサヌクレオチド反復を含むmRNA前駆体変異体の低減を測定する。RIBOGREEN(登録商標)によって測定される場合、C9ORF72病原性関連mRNA変異体のレベルを、細胞の全RNA含量に対して正規化し、次いで正規化mRNA変異体レベルを、アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理していない細胞のものと比較する。
【0354】
実施例5:ヒトC9ORF72mRNA変異体の用量依存的アンチセンス阻害
上述のアンチセンスオリゴヌクレオチドをHepG2細胞において種々の用量で試験する。細胞を1ウェルあたり20,000細胞密度で播種し、アンチセンスオリゴヌクレオチドでエレクトロポレーションする。約16時間または24時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、C9ORF72mRNAレベルを、定量的リアルタイムPCRによって測定する。ヒトC9ORF72プライマープローブセットRTS3905を使用して、C9ORF72病原性関連mRNA変異体を測定する。RIBOGREEN(登録商標)により測定される、C9ORF72病原性関連mRNA変異体のレベルは、全RNA含量に従って調節される。各オリゴヌクレオチドの最大半量の阻害濃度(IC50)は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの個々の用量で観察されるmRNA変異体レベルの阻害に基づいて計算される。
【0355】
実施例6:LLC−MK2細胞におけるヒト−アカゲザル交差反応性アンチセンスオリゴヌクレオチドによるC9ORF72のアンチセンス阻害
アカゲザルC9ORF72核酸と完全に交差反応性である上記のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、in vitroでのアカゲザルC9ORF72 mRNAに対するそれらの効果について試験する。1ウェルあたり20,000細胞密度の培養したアカゲザルLLC−MK2細胞を、アンチセンスオリゴヌクレオチドでエレクトロポレーションする。約24時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、C9ORF72mRNAレベルを、定量的リアルタイムPCRによって測定する。プライマープローブセットRTS3750(配列番号15として本明細書に示される順方向配列TGTGACAGTTGGAATGCAGTGA、配列番号16として本明細書に示される順方向配列GCCACTTAAAGCAATCTCTGTCTTG、配列番号17として本明細書に示される逆方向配列TCGACTCTTTGCCCACCGCCA、−TAQ manプライマープローブセット)を使用して全C9ORF72mRNAレベルを測定する。RTS3750は、mRNA転写産物のエクソン2を標的にすることで、全mRNA転写産物を測定する。RIBOGREEN(登録商標)によって測定されるC9ORF72 mRNAレベルを全RNA含有量に従って調整し、次いで正規化mRNA変異体レベルを、アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理していない細胞のものと比較する。
【0356】
実施例7:LLC−MK2におけるヒトC9ORF72mRNA変異体の用量依存的アンチセンス阻害
上述のアンチセンスオリゴヌクレオチドをLLC−MK2細胞において種々の用量で試験する。細胞を1ウェルあたり20,000細胞密度で播種し、アンチセンスオリゴヌクレオチドでエレクトロポレーションする。約16時間または24時間の処理期間の後、RNAを細胞から単離し、C9ORF72mRNAレベルを、定量的リアルタイムPCRによって測定する。プライマープローブセットRTS3750を使用して、全C9ORF72 mRNAレベルを測定する。全RNA含有量に従ってC9ORF72 mRNAレベルを調整し、次いで正規化mRNA変異体レベルを、アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理していない細胞のものと比較する。
【0357】
実施例8:トランスジェニックマウスモデルにおけるヒトC9ORF72 mRNAのアンチセンス阻害
上記のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、エクソン1〜5を含む切断型ヒトC9ORF72遺伝子を発現する、本明細書においてC9B41及びC9B183と呼ばれる2つのBACトランスジェニックマウス系統において試験する。C9B41及びC9B183マウス系統の切断型ヒトC9ORF72遺伝子は、それぞれ110及び450のヘキサヌクレオチド反復を含む。各治療群の各マウスに350μgのアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与し、次いでヒトC9ORF72 RNAの発現レベルをRT−PCRにより分析する。用量応答も行われる。
【0358】
実施例9:患者線維芽細胞におけるC9ORF72 mRNAのアンチセンス阻害
上記のアンチセンスオリゴヌクレオチドをin vitroでC9ORF72 mRNAに対するそれらの効果について試験した。以下の表に列挙するアンチセンスオリゴヌクレオチドをプレートに添加してから、患者線維芽細胞F09−152を1ウェルあたり20,000細胞密度で添加した。細胞の添加後のアンチセンスオリゴヌクレオチドの最終濃度を以下の表に列挙する。30秒の振とう後、細胞をエレクトロポレーションし、次いでPrimariaでコートした培養プレートに移した。16時間後、RNAを細胞から単離し、全C9ORF72 mRNA(すなわちエクソン1Aから開始するmRNA及びエクソン1Bから開始するmRNA)及び病原性関連mRNAのレベル(実施例4を参照)をRT−qPCRによって測定した。ヒトプライマープローブセットRTS3750(実施例6を参照)及びRTS3905(実施例4を参照)を使用したところ、それぞれ全C9ORF72 mRNA及びC9ORF72病原関連mRNAが検出された。C9ORF72全mRNA及びC9ORF72病原性関連mRNA変異体のレベルを、RIBOGREEN(登録商標)によって測定される細胞の全RNA含量に対して正規化し、次いで正規化mRNAレベルを、アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理していない細胞のものと比較した。結果を以下の表に示す。「nd」の項目は決定されなかったことを意味する。標的がIC50を測定するほど十分に阻害されなかったため、「nd」として列挙されたIC50値は測定されなかった。結果は、以下に列挙する全てのオリゴヌクレオチドが病原性関連C9ORF72 mRNA変異体を阻害したことを示している。反復変異体mRNA前駆体を特異的に標的化しないオリゴヌクレオチドは、病原性関連C9ORF72 mRNA及び全C9ORF72 mRNAの両方を阻害した。反復変異体mRNA前駆体を特異的に標的とするオリゴヌクレオチドは、病原性関連C9ORF72 mRNAを選択的に阻害した。
【表10-1】
【表10-2】
【0359】
実施例10:トランスジェニックマウスモデルにおけるヒトC9ORF72 mRNAのアンチセンス阻害
上記のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、エクソン5及び110のヘキサヌクレオチド反復によるプロモーター領域を含むヒトC9ORF72遺伝子を発現するBACトランスジェニックマウス系統C9B41(実施例8を参照)において試験した。各処置群は、2〜3匹のマウスからなった。各マウスは、以下の表に列挙された350μgのアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはPBSの単一のICVBを受けた。2週間後、マウスを安楽死させ、ヒト病原性関連C9ORF72 mRNA変異体及び/または全ヒトC9ORF72 mRNAの発現レベルを、実施例9に記載のようにRT−qPCRによって分析した。病原性関連C9ORF72変異体mRNAレベルの分析は、C9ORF72反復変異体mRNA前駆体を特異的に標的化しないオリゴヌクレオチドについては完了しなかった。以下の表の結果は、PBS処置群についての正規化された平均に対する正規化されたヒトC9ORF72 mRNAの平均パーセントを示す。
【表11】
【表12】
【0360】
実施例11:トランスジェニックマウスモデルにおけるヒトC9ORF72 mRNAの用量依存的アンチセンス阻害
上記のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、エクソン1〜5を含む切断型ヒトC9ORF72遺伝子をそれぞれ発現する、2つのBACトランスジェニックマウス系統であるC9B41及びC9B183において試験した。C9B41及びC9B183マウス系統の切断型ヒトC9ORF72遺伝子は、それぞれ110及び450のヘキサヌクレオチド反復を含む(実施例8を参照)。各処置群は、2〜4匹のマウスからなった。各マウスは、以下の表に列挙された30μg、100μg、300μgまたは700μgのアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはPBSの単一のICVBを受けた。2週間後、マウスを安楽死させ、ヒト病原性関連C9ORF72 mRNA変異体、及び/または全ヒトC9ORF72 mRNAの発現レベルを、実施例9に記載のRT−qPCRによって分析した。以下の表の結果は、PBS処置群についての正規化された平均に対する正規化されたヒトC9ORF72 mRNAの平均パーセントを示す。100以上の値は、アンチセンスオリゴヌクレオチドがmRNAを減少させなかったこと、またはmRNAの量を増加させなかったことを意味する。
【表13】
【表14】
【0361】
実施例12:マウスにおけるヒトC9Orf72を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの耐容性
野生型C57/B16マウスそれぞれに対して、実施例2に記載のように、以下の表に列挙するアンチセンスオリゴヌクレオチド700μgのICV単回投与を行った。各処置群は4匹のマウスからなった。注射後8時間の時点で、7つの基準に従ってマウスを評価した。基準とは、(1)マウスは、利口で、警戒心があり、反応があったこと、(2)マウスは、刺激無しで、立位または円背位であったこと、(3)マウスは、刺激無しで、何らかの動作を示すこと、(4)マウスは、持ち上げられた後に、前進動作を示すこと、(5)マウスは、持ち上げられた後に何らかの動作を示すこと、(6)マウスは、尾部つねりに応答すること、(7)通常呼吸であること、である。7つの基準の各々について、マウスに対して、基準に合致した場合には0、基準に合致しない場合には1のサブスコアを与えた。7つの基準すべてについて評価を行った後、各マウスについてスコアを合計し、各処置群内で平均した。結果を以下の表に示す。
【0362】
動物を8週間目で屠殺した。各動物から皮質及び脊髄を採取し、RT−PCRを行った。同種移植炎症因子(AIF1)の発現レベルを、炎症の尺度として測定した。グリア細胞線維酸性タンパク質(GFAP)の発現レベルも、グリア細胞活性化の尺度として測定した。結果をGpadhに対して正規化し、以下の表のPBS対照(1.0)と比較して示す。「N.D.」は、実験が行われなかったため、データがなかったことを示す。アスタリスクは、対応する結果が1〜3匹のマウスの平均であることを示す。
【表15-1】
【表15-2】
【0363】
実施例13:ラットにおけるヒトC9ORF72を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの耐容性
SDラットを4匹または6匹からなる複数の群に分けた。ラットの各群の各ラットに対して、以下の表に示すオリゴヌクレオチド3mgの単回髄腔内(IT)投与を行った。IT投与後3時間及び8週間の時点で、各ラットを、7つの異なる身体部位の動作について評価した。体の7つの部位とは、(1)ラットの尾部、(2)ラットの後姿勢、(3)ラットの後肢、(4)ラットの後足、(5)ラットの前肢、(6)ラットの前姿勢、(7)ラットの頭部である。7つの異なる身体部位の各々について、各ラットに対して、身体部位が動作する場合には0、体の部位が麻痺している場合には1のサブスコアを与えた。7つの各身体部位について評価を行った後、各ラットについてサブスコアを合計し、各群の平均値を求めた。例えば、ラットの尾部、頭部、及び他の全ての評価された身体部位は、3mgのIT投与の3時間後に動作していた場合、合計スコア0を得ることになる。別のラットは、3mgのIT投与の3時間後に尾を動かさなかったが、他の全ての評価された身体部分が動作していた場合、スコアは1を得ることになる。塩類処理ラットには、概して、0のスコアを与える。範囲の上端のスコアは、急性毒性を示唆する。結果を各治療群の平均スコアとして以下の表に示す。
【0364】
動物を8週間目で屠殺した。各動物から皮質及び脊髄を採取し、RT−PCRを行った。AIF1の発現レベルを、炎症の尺度として測定した。(GFAP)の発現レベルも、グリア細胞活性化の尺度として測定した。アスタリスクは、対応する結果が2〜3匹のマウスの平均であることを示す。結果をGapdhに対して正規化し、以下の表のPBS対照(1.0)と比較して示す。
【表16】
【0365】
実施例14:非ヒト霊長類におけるヒトC9ORF72を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの耐容性
雌性カニクイザル(2〜6kg)に、髄腔内ボーラス注射(1mLの低速ボーラス、続いて0.25mLのフラッシュ)により、1、14及び28日目に35mgのアンチセンスオリゴヌクレオチドを3回投与した。各処置群には4匹のサルが含まれていた。最終投与の2週間後、動物を屠殺し、種々のCNS組織でRT−PCRを行った。AIF1の発現レベルを炎症の尺度として測定し、GFAPの発現レベルをグリア細胞活性化の尺度として測定した。結果をGADPHに対して正規化し、ISIS番号801287、802459、及び806679について、以下の表のPBS対照(1.0)と比較して提示した。
【表17】
ある態様において、本発明は以下であってもよい。
[態様1]12〜30の連結したヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含み、配列番号22〜55の核酸塩基配列のいずれかの、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、または少なくとも18の連続した核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する化合物。
[態様2]前記修飾オリゴヌクレオチドの核塩基配列は、配列番号1または2に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補的である、態様1に記載の化合物。
[態様3]前記修飾オリゴヌクレオチドは一本鎖修飾オリゴヌクレオチドである、態様1または2のいずれかに記載の化合物。
[態様4]前記修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む、態様1〜3のいずれかに記載の化合物。
[態様5]前記少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、態様4に記載の化合物。
[態様6]前記修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホジエステル結合を含む、態様4及び5に記載の化合物。
[態様7]各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、態様4に記載の化合物。
[態様8]少なくとも1つのヌクレオシドが修飾核酸塩基を含む、態様1〜7のいずれかに記載の化合物。
[態様9]前記修飾核酸塩基が5−メチルシトシンである、態様8に記載の化合物。
[態様10]少なくとも1つの修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシドが修飾糖を含む、態様1〜9のいずれかに記載の化合物。
[態様11]修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドが修飾糖を含む、態様10に記載の化合物。
[態様12]前記少なくとも1つの修飾糖が二環式糖である、態様10または11に記載の化合物。
[態様13]前記二環式糖が前記糖の4’位と2’位との間の化学架橋を含み、前記化学架橋は4’−CH(R)−O−2’及び4’−(CH−O−2’から選択され、式中、Rは独立してH、C−Cアルキル、及びC−Cアルコキシである、態様12に記載の化合物。
[態様14]前記化学架橋が4’−CH(R)−O−2’であり、Rがメチルである、態様13に記載の化合物。
[態様15]前記化学架橋が4’−CH(R)−O−2’であり、RがHである、態様13に記載の化合物。
[態様16]前記化学架橋が4’−CH(R)−O−2’であり、Rが−CH−O−CHである、態様13に記載の化合物。
[態様17]前記少なくとも1つの修飾糖が2’−O−メチルエチル基を含む、態様10または11に記載の化合物。
[態様18]前記修飾オリゴヌクレオチドがギャップマーである、態様1〜10または12〜16のいずれかに記載の化合物。
[態様19]前記ギャップマーは3−8−7 MOEギャップマー、3−10−7 MOEギャップマー、4−8−6MOEギャップマー、4−10−6 MOEギャップマー、6−10−4 MOEギャップマー、6−8−4MOEギャップマー、7−8−3MOEギャップマー、または7−10−3 MOEギャップマーのいずれかである、態様18に記載の化合物。
[態様20]前記修飾オリゴヌクレオチドは、次のいずれかのパターン:soossssssssssooooss, sooossssssssssoooss, sooooossssssssssoss, soooooossssssssssss, soooosssssssssooss, sooosssssssssoooss, sooooosssssssssoss, soosssssssssoooss, soooosssssssssoss, sosssssssssooooss, or sooooosssssssssssでヌクレオシド間結合を含み、式中、
s=ホスホロチオエート結合、及び、
o=ホスホジエステル結合である、態様5に記載の化合物。
[態様19]先行態様のいずれかに記載の化合物またはその塩及び薬学的に許容される担体または希釈剤の少なくとも一方を含む組成物。
[態様20]C9ORF72アンチセンス転写産物特異的阻害剤をさらに含む、態様19に記載の組成物。
[態様21]前記C9ORF72アンチセンス転写産物特異的阻害剤はアンチセンス化合物である、態様20に記載の組成物。
[態様22]前記アンチセンス化合物が修飾オリゴヌクレオチドである、態様21に記載の組成物。
[態様23]前記修飾オリゴヌクレオチドが一本鎖である、態様22に記載の組成物。
[態様24]前記修飾オリゴヌクレオチドがC9ORF72アンチセンス転写産物に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%相補的である核酸塩基配列を有する、態様22または23に記載の組成物。
[態様25]前記C9ORF72アンチセンス転写産物は、配列番号18の核酸塩基配列を有する、態様24に記載の組成物。
[態様26]先行態様のいずれかに記載の化合物または組成物を動物に投与することを含む、方法。
[態様27]前記動物がヒトである、態様26に記載の方法。
[態様28]前記化合物の投与が、C9ORF72関連疾患を予防する、治療する、改善する、またはその進行を遅延させる、態様26及び27に記載の方法。
[態様29]前記C9ORF72関連疾患がヘキサヌクレオチド反復伸長によって引き起こされる、態様28に記載の方法。
[態様30]前記C9ORF72関連疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型痴呆(FTD)、大脳皮質基底核変性症症候群(CBD)、非定型パーキンソン症候群、及びオリーブ橋小脳変性症(OPCD)である、態様28に記載の方法。
[態様31]前記投与が核内フォーカスを減少させる、態様26〜30に記載の方法。
[態様32]前記投与が、C9ORF72関連RAN翻訳産物の発現を減少させる、態様26〜31に記載の方法。
[態様33]前記C9ORF72関連のRAN翻訳産物は、ポリ(グリシン−プロリン)、ポリ(グリシン−アラニン)、及びポリ(グリシン−アルギニン)のいずれかである、態様32に記載の方法。
[態様34]神経変性疾患を治療するための医薬品の製造のための、態様1〜33のいずれかに記載の化合物または組成物の使用。
[態様35]以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドまたはその塩からなる化合物。
【化31】
[態様36]以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドのナトリウム塩からなる組成物。
【化32】
[態様37]以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドまたはその塩からなる化合物。
【化33】
[態様38]以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドのナトリウム塩からなる組成物。
【化34】
[態様39]以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドまたはその塩からなる化合物。
【化35】
[態様40]以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドのナトリウム塩からなる組成物。
【化36】
[態様41]以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドまたはその塩からなる化合物。
【化37】
[態様42]以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドのナトリウム塩からなる組成物。
【化38】
[態様43]哺乳類におけるヒトC9ORF72 mRNAまたはタンパク質発現を減少させることができる、態様1〜25または35〜42のいずれかに記載の化合物または組成物。
[態様44]筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型痴呆(FTD)、大脳皮質基底核変性症症候群(CBD)、非定型パーキンソン症候群、またはオリーブ橋小脳変性症(OPCD)のいずれかの少なくとも1つの症状を改善することができる、態様1〜25または35〜42のいずれかに記載の化合物または組成物。
[態様45]ALSの症状が運動障害、不安、及び脱神経のいずれかである、態様44に記載の化合物または組成物。
[態様46]疾患の進行を遅延させることができる、態様1〜25または35〜42のいずれかに記載の化合物または組成物。
[態様47]生存期間を延長することができる、態様1〜25または35〜42のいずれかに記載の化合物または組成物。
[態様48]C9ORF72関連RAN翻訳産物を減少させることができる、態様1〜25または35〜42のいずれかに記載の化合物または組成物。
[態様49]C9ORF72病原性関連mRNA変異体を選択的に減少させることができる、態様1〜25または35〜42のいずれかに記載の化合物または組成物。
[態様50]核内フォーカスを減少させることができる、態様1〜25または35〜42のいずれかに記載の化合物または組成物。
[態様51]以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドまたはその塩からなる化合物。
【化39】
[態様52]態様51に記載の化合物を動物に投与することを含む方法。
[態様53]前記動物がヒトである、態様52に記載の方法。
[態様54]前記投与がC9ORF72を阻害する、態様53に記載の方法。
[態様55]前記投与が、C9ORF72関連疾患を予防する、治療する、改善する、またはその進行を遅延させる、態様53に記載の方法。
[態様56]前記C9ORF72関連疾患がヘキサヌクレオチド反復伸長によって引き起こされる、態様55に記載の方法。
[態様57]前記C9ORF72関連疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型痴呆(FTD)、大脳皮質基底核変性症症候群(CBD)、非定型パーキンソン症候群、またはオリーブ橋小脳変性症(OPCD)のいずれかである、態様55に記載の方法。
[態様58]前記投与が核内フォーカスを減少させる、態様53に記載の方法。
[態様59]前記投与が、C9ORF72関連RAN翻訳産物の発現を減少させる、態様53に記載の方法。
[態様60]前記C9ORF72関連のRAN翻訳産物は、ポリ(グリシン−プロリン)、ポリ(グリシン−アラニン)、及びポリ(グリシン−アルギニン)のいずれかである、態様59に記載の方法。
[態様61]以下の式に従う修飾オリゴヌクレオチドのナトリウム塩からなる組成物。
【化40】
[態様62]態様60に記載の組成物を動物に投与することを含む、方法。
[態様63]前記動物がヒトである、態様62に記載の方法。
[態様64]前記投与がC9ORF72を阻害する、態様63に記載の方法。
[態様65]前記投与が、C9ORF72関連疾患を予防する、治療する、改善する、またはその進行を遅延させる、態様62に記載の方法。
[態様66]前記C9ORF72関連疾患がヘキサヌクレオチド反復伸長によって引き起こされる、態様65に記載の方法。
[態様67]前記C9ORF72関連疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、前頭側頭型痴呆(FTD)、大脳皮質基底核変性症症候群(CBD)、非定型パーキンソン症候群、またはオリーブ橋小脳変性症(OPCD)のいずれかである、態様65に記載の方法。
[態様68]前記投与が核内フォーカスを減少させる、態様63に記載の方法。
[態様69]前記投与が、C9ORF72関連RAN翻訳産物の発現を減少させる、態様63に記載の方法。
[態様70]前記C9ORF72関連のRAN翻訳産物は、ポリ(グリシン−プロリン)、ポリ(グリシン−アラニン)、及びポリ(グリシン−アルギニン)のいずれかである、態様69に記載の方法。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]