(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レンズユニットは、前記ボスを複数備え、さらに、前記複数のボスの間をつなぐリブを備え、前記リブは、前記レンズの光軸の周囲の少なくとも一部に設けられることを特徴とする、請求項6に記載のカメラモジュール。
前記保持部材と接触する前記係合部材の少なくとも一部の面の法線は、前記レンズユニット側に向かう方向であって、且つ、前記レンズの光軸に平行な成分を有する、請求項1乃至7いずれか一項に記載のカメラモジュール。
前記レンズの光軸と前記撮像素子の受光面の中心を通る垂線とが一致し、且つ、レンズ21の結像位置が撮像素子31の受光面に一致する状態になるように、前記レンズユニットと前記保持部材とを位置合わせするステップをさらに有する、請求項15に記載のカメラモジュールの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態1)
以下の説明で用いられる図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
【0009】
[カメラモジュールの構造]
図1に示すように、カメラモジュール1は、レンズユニット2と保持部材3とを備える。レンズユニット2はレンズ21を有する。レンズ21は、レンズユニット2に固定されている。保持部材3は撮像素子31を有する。撮像素子31は、保持部材3に固定されている。保持部材3には、充填孔32が設けられる。保持部材3には、複数の充填孔32が設けられてよい。
図1においては、充填孔32は、3つ設けられている。レンズユニット2と保持部材3とは、3つの充填孔32によって、3点で固定されうる。充填孔32は、3つに限られるものではない。
【0010】
レンズユニット2と保持部材3とは、レンズ21と撮像素子31とが位置合わせされた状態で、充填孔32から接着剤が充填される。レンズユニット2と保持部材3とは、接着剤を硬化させることにより係合される。接着剤は例えばエポキシなどの樹脂であるがこれに限られない。接着剤は、光を照射することによって硬化する光硬化樹脂であってよい。光は、例えばUV光であってよいがこれに限られない。接着剤は、熱を加えることによって硬化する熱硬化樹脂であってよい。接着剤は、他の硬化樹脂であってよい。本願において、「係合」とは、2つ以上の部材がかかり合うことによって一体化し、互いの動きが規制されることを意味する。
【0011】
レンズ21と撮像素子31とが位置合わせされた状態とは、レンズ21の光軸5の方向及び光軸5に垂直な方向のそれぞれについて位置合わせされた状態である。レンズ21の光軸5の方向のことを、軸方向ともいう。レンズ21の光軸5に垂直な方向のことを、径方向ともいう。径方向について位置合わせされた状態とは、レンズ21の光軸5が撮像素子31の受光面の中心を通る垂線に一致した状態である。軸方向について位置合わせされた状態とは、レンズ21の結像位置が撮像素子31の受光面に一致した状態である。カメラモジュール1が対象とする被写体までの距離が無限遠とみなせる程度に遠い場合、レンズ21の結像位置は、レンズ21からその焦点距離だけ離れた位置に一致する。
【0012】
図2に示すように、レンズユニット2は、開口20、ボス22及び孔23を有す。開口20は、レンズ21に入射する光が撮像素子31に到達するために通過する部分である。開口20には、レンズ21とともに光学系を構成する1つ以上の他のレンズ、又は各種フィルタなどの光学材料が配置される。ボス22及び孔23は、保持部材3の充填孔32の位置に対応して3つ設けられている。ボス22は、少なくとも部分的に
図1に示した光軸5の方向に沿って突出している。孔23は、少なくとも部分的に光軸5の方向に沿って延びている。
【0013】
図3に示すように、カメラモジュール1は、接着剤が硬化してなる係合部材4をさらに備える。接着剤が硬化してなる係合部材4は、硬化樹脂の係合部材4ともいう。係合部材4は、少なくとも一部に、レンズ21の光軸5の方向と交差する面を備える。係合部材4は、レンズ21の光軸5の方向と交差する面で、レンズユニット2と保持部材3とを係合する。レンズユニット2のボス22は、保持部材3に対向する側に突出して設けられる。レンズユニット2のボス22及び孔23は、レンズ21の光軸5の方向と略同一の方向の軸を有してよいが、これに限られない。ボス22は、保持部材3に対向する側に面を有する。接着剤は、ボス22の、保持部材3に対向する側の面と保持部材3との間のスペース、及び孔23に充填される。充填された接着剤は、硬化して係合部材4となる。言い換えれば、係合部材4は、充填された接着剤が硬化されることによって生成される。ボス22の、保持部材3に対向する側の面は係合部材4と接する。
【0014】
図4に示すように、接着剤が硬化してなる係合部材4は、レンズユニット2と保持部材3との間、レンズユニット2の孔23の内部、保持部材3の充填孔32の内部、及び、保持部材3の第1の面に広がっている。保持部材3の第1の面は、レンズユニット2に対向する面と反対側の面である。レンズユニット2と保持部材3との間のスペースは、レンズユニット2からボス22が突出することによって狭まっている。ボス22が設けられた場合、レンズユニット2と保持部材3との間に充填される接着剤の量が少なくなりうる。
【0015】
図4において、係合部材4は、保持部材3の第1の面に存在する第1の部分と、レンズユニット2と保持部材3との間に存在する第2の部分とを含む。保持部材3の充填孔32の端部は、係合部材4の第1の部分と第2の部分とによって、光軸5の方向に挟持されている。充填孔32の端部は、保持部材3の少なくとも一部である。他の観点で表せば、保持部材3と接触する係合部材4の少なくとも一部の面のレンズユニット2から係合部材4へ向かう法線は、レンズユニット2側に向かう方向の成分であって、且つ、前記レンズ21の光軸5に平行な成分を有する。このような構造を有することによって、保持部材3と係合部材4とは、光軸5の方向に互いに動くことが妨げられる。
【0016】
図4においてはさらに、レンズユニット2に設けられた孔23は、雌ねじが切ってある。この雌ねじのねじ山は、孔23の内部に存在する係合部材4により、光軸5の方向に挟持され、光軸5の方向の動きが妨げられている。レンズユニット2の少なくとも一部又はレンズユニット2の孔23周りの内側面の少なくとも一部は、係合部材4により、光軸5の方向に挟持されている。他の観点で表せば、レンズユニット2と接触する係合部材4の少なくとも一部の面のレンズユニット2から係合部材4へ向かう法線は、光軸5に平行且つ保持部材3側に向かう方向の成分を有する。係合部材4の接着力に加えて、このような構造を有することによって、レンズユニット2と係合部材4とは、光軸5の方向に互いに動くことが妨げられる。孔23は、雌ねじが切られる代わりに、シボ加工が施されてよい。孔23にシボ加工が施される場合でも、レンズユニット2と係合部材4とは、光軸5の方向に互いに動くことが妨げられる。孔23に雌ねじが切ってある場合、孔23に充填されて硬化された係合部材4は、孔23の内部において樹脂ねじの形態をとっているともいえる。
【0017】
レンズユニット2と保持部材3とはそれぞれ、係合部材4と係合することによって、互いに光軸5の方向、すなわち軸方向に動くことが妨げられる。この結果、レンズ21と撮像素子31との間の距離が保たれ、軸方向に位置合わせされた状態が保たれる。レンズユニット2と保持部材3とが互いに軸方向に動こうとする場合、係合部材4には圧縮力又は引っ張り力が加わる。
【0018】
レンズユニット2及び保持部材3はそれぞれ、孔23の内部及び充填孔32の内部に係合部材4が存在することによって、光軸5に垂直な方向、すなわち径方向への動きを妨げられる。この結果、レンズ21の光軸5と撮像素子31の受光面の中心を通る垂線とが一致した状態が保たれ、径方向に位置合わせされた状態が保たれる。レンズユニット2と保持部材3とが互いに径方向へ動こうとする場合、係合部材4にはせん断力が加わる。
【0019】
レンズユニット2と保持部材3とが係合されている構成について、他の観点で表すと、レンズユニット2及び保持部材3にはそれぞれ第1の係合部及び第2の係合部が設けられる。係合部材4は、第1の係合部と第2の係合部とを光軸5の方向に連結している。第1の係合部は、レンズユニット2に設けられた孔23に対応する。第2の係合部は、保持部材3に設けられた充填孔32に対応する。
【0020】
孔23に対応する第1の係合部は、レンズユニット2と係合部材4とが光軸5の方向に互いに動くことを規制する規制形状を有する孔部である。充填孔32に対応する第2の係合部は、保持部材3を貫通する貫通孔である。
【0021】
係合部材4は、第1の係合部に対応する孔部と第2の係合部に対応する貫通孔とを連通するものであるともいえる。係合部材4は、孔部が有する規制形状により光軸5の方向への移動が規制されているともいえる。
【0022】
係合部材4は、レンズユニット2及び保持部材3の係合を、これらとの界面の接着力ではなく、係合部材4自体に加わる引っ張り力、圧縮力、又はせん断力で保ってよい。界面の接着力よりも係合部材4を構成する硬化した接着剤自体の耐力の方が大きい場合、
図4に示した構造は単に接着するよりも強い係合力を示す。
【0023】
このようにすることで、レンズユニット2と保持部材3とは、位置合わせ後に外力を加えずに固定されうる。レンズユニット2と保持部材3との固定時の位置ずれが防がれうる。ねじ又はビス等の部材が用いられなくてよい。ねじ又はビス等の部材を配置するスペースが省かれる場合、自由度の高い設計が可能となる。
【0024】
[カメラモジュールの製造方法]
カメラモジュール1の製造方法は、
図5に示されるフローチャートに沿って実施される。レンズユニット2と保持部材3との径方向の位置合わせが行われる(ステップS2)。レンズユニット2と保持部材3とは、
図1に示すようにレンズ21の光軸5が撮像素子31の受光面の中心を通る垂線に一致するように、それぞれ動かされてよい。
【0025】
レンズユニット2と保持部材3との軸方向の位置合わせが行われる(ステップS4)。レンズ21と撮像素子31との間の距離は、レンズ21の結像位置が撮像素子31の受光面に一致するように決定される。レンズユニット2と保持部材3とは、レンズ21と撮像素子31との間の距離が合うように、それぞれ動かされてよい。
【0026】
ステップS2及びステップS4で行われるレンズユニット2と保持部材3との位置合わせは、一方のみを動かして、他方を固定して行われてよいし、両方を動かして行われてよい。ステップS2とステップS4の順序は、入れ替えられてよい。ステップS2及びステップS4は、例えば6軸調整が可能な装置がレンズユニット2及び/又は保持部材3を動かすことによって行われてよい。6軸調整が可能な装置は、例えばロボットであってよい。
【0027】
レンズユニット2と保持部材3とが仮押さえされる(ステップS6)。仮押さえは、レンズユニット2と保持部材3とが位置合わせされた状態のまま保持するために行われてよい。仮押さえは、例えば位置合わせに用いられた装置によって引き続いて行われてよいし、仮押さえ用の治具の取り付けによって行われてよい。
【0028】
保持部材3に設けられた3つの充填孔32から接着剤が充填される(ステップS8)。接着剤は、ボス22と保持部材3との間及び孔23の内部に充填される。接着剤は充填孔32にも充填されてよい。接着剤は、
図4に示すように、保持部材3の第1の面に突出して盛られてよい。接着剤がこのように充填される場合、レンズユニット2又は保持部材3は、接着剤塗布のために移動されなくてよい。レンズユニット2と保持部材3とが位置合わせされたままの状態で、接着剤が充填されうる。レンズユニット2に対して保持部材3がレンズ21の光軸5の方向で位置合わせされた状態で、レンズユニット2と保持部材3とが互いに接続されうる。
【0029】
接着剤が硬化される(ステップS10)。接着剤としては、紫外線硬化型接着剤、又は加熱硬化型接着剤等が使用されてよい。紫外線のことを、UV(Ultra Violet)ともいう。充填された接着剤は、接着剤に対するUV照射、又は、接着剤の加熱等によって、硬化される。接着剤の硬化に際して、レンズユニット2及び保持部材3は、外力を受けずに固定されうる。レンズユニット2及び保持部材3の位置ずれが外力によって生じないようにされうる。本実施形態においては、UV照射及び加熱の両方によって硬化する、UV硬化+熱硬化型接着剤が用いられる。UV硬化+熱硬化型接着剤は、UV照射で仮硬化された後に、加熱で本硬化されることによって、より大きいせん断強度を有しうる。加熱で本硬化された接着剤のせん断強度は増加しうる。UV硬化+熱硬化型接着剤が用いられる場合、ステップS10において、UV照射によって、接着剤が仮硬化される。
【0030】
レンズユニット2と保持部材3との仮押さえが取り外される(ステップS12)。位置合わせに用いられた装置によって仮押さえされていた場合、装置から取り外すことによって仮押さえが取り外される。仮押さえ用の治具が取り付けられていた場合、当該治具を取り外すことによって仮押さえが取り外される。
【0031】
接着剤が本硬化される(ステップS14)。接着剤が本硬化されることによって、レンズユニット2と保持部材3とが係合される。本実施形態では、接着剤は、加熱によって本硬化される。接着剤が本硬化される温度は、レンズユニット2及び保持部材3に含まれる各部材の融点よりも低い温度であってよい。
【0032】
図5に示す製造方法によれば、レンズユニット2と保持部材3とが位置合わせされた状態のまま、外力を受けずに固定されうる。固定時に外力を受けないことによって、レンズユニット2と保持部材3との位置ずれが防がれうる。レンズユニット2と保持部材3とが位置合わせされた状態のまま、接着剤が充填されうる。レンズユニット2又は保持部材3がいずれも退避せずに、接着剤が充填されうる。このようにすることで接着剤の充填の工数が減少されうる。
【0033】
本実施形態においては、UV照射による仮硬化ステップと、加熱による本硬化ステップとが別個のステップとして行われる。接着剤の硬化ステップは、これに限られるものではない。例えばステップS10において、仮硬化と本硬化とが両方とも行われてよい。
【0034】
(実施形態2)
レンズユニット2は、3つのボス22の間をつなぐリブ24をさらに有してよい。
【0035】
図6に示すレンズユニット2は、3つのボス22の間をつなぐリブ24を有す。リブ24には溝25が設けられてよい。溝25は、ボス22に設けられた孔23をつないでよい。リブ24及び溝25は、光軸5の周囲の少なくとも一部に設けられてよい。リブ24及び溝25は、光軸5の周りの全周にわたって設けられてよい。
【0036】
図7に示すカメラモジュール1は、レンズユニット2がリブ24と溝25とを有する点において、
図3に示されるカメラモジュール1と異なる。接着剤は、ボス22に対応する充填孔32から充填され、孔23からリブ24及び溝25に広がっていく。充填された接着剤は、硬化して係合部材4となる。係合部材4は、光軸5の周囲の少なくとも一部に形成されてよい。係合部材4は、光軸5の周りの全周にわたって形成されてよい。係合部材4が光軸5の周りの全周にわたって形成される場合、撮像素子31は、リブ24及び溝25にまで広がる係合部材4によって封止される。
【0037】
本実施形態に係るレンズユニット2によれば、撮像素子31が係合部材4で封止されうる。接着剤が毛細管現象によってリブ24及び溝25にまで広がりうる。レンズユニット2と保持部材3とが位置合わせされたままの状態で、充填孔32がない部分に接着剤が充填されうる。レンズユニット2又は保持部材3は、接着剤の充填の際に退避しなくてよい。
【0038】
(実施形態3)
レンズユニット2は、ボス22を有さなくてよい。
【0039】
図8Aに示すレンズユニット2は、ボス22を有さずに孔23のみを有する。
図8Bに示すレンズユニット2は、
図8Aの構成に加えて、孔23をつなぐ溝25をさらに有する。
【0040】
図9に示すレンズユニット2は、ボス22を有さない点において、
図4に示されるレンズユニット2と異なる。接着剤は、孔23に対応する充填孔32から充填され、孔23の内部に充填される。
図9に示すレンズユニット2は、
図4と比較して、ボス22を有さないことによって、保持部材3との間により広いスペースを有する。このようにすることで、レンズユニット2と保持部材3との位置合わせに際して、光軸5の方向の可動範囲がより広くなりうる。
【0041】
(実施形態4)
レンズユニット2に設けられた溝25の断面形状が変形されてよい。
【0042】
図10Aに示すレンズユニット2に設けられた溝25は、開口部の幅と底部の幅が同一であるストレート形状の断面を有する。
図10Bに示すレンズユニット2に設けられた溝25は、開口部の幅よりも底部の幅の方が広い逆テーパ形状の断面を有する。
【0043】
図10Bに示される溝25の逆テーパ形状の部分には、係合部材4とレンズユニット2とが互いに離れる方向に移動することを妨げる抗力が発生する。
図10Aに示される溝25と比較して、
図10Bに示される溝25を有するレンズユニット2は、より大きい係合強度で係合部材4と係合されうる。
【0044】
(実施形態5)
レンズユニット2に設けられた孔23は、雌ねじが切られる代わりに、他の形状に変更されてよい。
【0045】
図11Aに示すレンズユニット2に設けられた孔23は、孔23の開口部よりも内部の方が広い逆テーパ形状の断面を有する。
図11Bに示すように、孔23は、孔23の開口部が狭く内部が鍔状に広がったT字形状の断面を有してよい。
図11A及び
図11Bに示されるいずれの構成においても、レンズユニット2は、孔23の内部に接着剤を充填して硬化してなる係合部材4によって、孔23の軸方向への移動が妨げられる。つまり、レンズユニット2は、レンズ21の光軸方向と略同一の方向への移動が妨げられる。このようにすることで、係合部材4とレンズユニット2との係合強度がより大きくなりうる。孔23が逆テーパ形状又はT字形状の断面を有する場合、孔23に充填されて硬化された係合部材4は、孔23の内部において樹脂リベットの形態をとっているともいえる。
【0046】
(実施形態6)
レンズユニット2に突起部26が設けられてよい。
【0047】
図12Aに示すレンズユニット2には、突起部26が設けられる。突起部26は、くびれ26aを有する。突起部26は、T字形状の断面を有する。
図12Bに示すように、
図12Aに示される突起部26のくびれ26aに充填された接着剤が硬化されてなる係合部材4によって、レンズユニット2と保持部材3とが係合されてよい。
図12Bに示される構成において、係合部材4によって、突起部26の軸方向、つまりレンズ21の光軸方向と略同一の方向への移動が妨げられる。このようにすることで、係合部材4とレンズユニット2との係合強度がより大きくなりうる。
【0048】
図12A及び
図12Bにおいて、レンズユニット2は、ボス22の形状的特徴によって、係合部材4と係合され、保持部材3と係合されている。
図12A及び
図12Bにおいて、レンズユニット2には、孔23が設けられてよい。孔23が設けられる場合、係合部材4とレンズユニット2との係合強度がさらに大きくなりうる。
【0049】
(実施形態7)
レンズユニット2と保持部材3との間の軸方向の位置合わせは、スペーサ41を用いて行われてよい。
【0050】
図13に示すカメラモジュール1は、レンズユニット2と保持部材3とを備える。レンズユニット2には、開口20、ボス22及び孔23が設けられる。保持部材3には接着剤を充填する充填孔32が設けられる。ボス22及び孔23と充填孔32とは、それぞれ対応する位置に設けられている。レンズユニット2と保持部材3との間の充填孔32に対応する位置に間隔調整部材としてのスペーサ41が設けられる。スペーサ41は、例えばワッシャのようなリング状の部材であるがこれに限られない。
【0051】
図13に示すカメラモジュール1の組み立ては、例えば以下の手順で行われる。レンズ21の光軸5が撮像素子31の受光面の中心を通る垂線に一致するように、レンズユニット2と保持部材3とが径方向について位置合わせされる。
【0052】
レンズユニット2と保持部材3との間にスペーサ41が挿入される。レンズユニット2と保持部材3とがそれぞれ、スペーサ41に突き当てられるように、軸方向について位置合わせされる。軸方向について位置合わせされる際、レンズ21と撮像素子31との距離は、スペーサ41の厚みに応じて決定される。スペーサ41の厚みは、レンズユニット2のレンズ21の結像位置が保持部材3の撮像素子31の受光面に一致するように予め決定されてよい。厚みの異なるスペーサ41がレンズユニット2と保持部材3とに突き当てられた状態で、レンズ21と撮像素子31との距離が実測されてよい。スペーサ41の厚みは、レンズ21と撮像素子31との距離の実測値に応じて決定されてよい。スペーサ41を挿入した状態で、撮影画像のピントの状態を評価するチャート等が撮影されてよい。スペーサ41の厚みは、チャート等の評価結果に応じて決定されてよい。複数のスペーサ41が挿入されてよい。レンズユニット2と保持部材3とは、複数のスペーサ41の厚みを合わせた厚みによって位置合わせされうる。
【0053】
レンズ21と撮像素子31とが位置合わせされた状態となるようにレンズユニット2と保持部材3とが位置合わせされた後、充填孔32から接着剤が充填される。接着剤を硬化させることによって、レンズユニット2と保持部材3とが係合される。
【0054】
図13には、充填孔32に対応する位置に、既に成形された係合部材4が示されている。
図13は、分解斜視図として表されている。
図13は、カメラモジュール1を組み立てる際に、樹脂が硬化して成形された係合部材4を取り付けることを示すものではない。係合部材4は、レンズユニット2と保持部材3とスペーサ41との位置合わせがされた後に、充填孔32から充填される接着剤が硬化してなるものである。
【0055】
図14に示すように、レンズユニット2と保持部材3とはそれぞれ、スペーサ41に突き当てられてよい。
【0056】
本実施形態において、レンズユニット2と保持部材3との軸方向の位置合わせは、レンズユニット2と保持部材3とをスペーサ41に突き当てることによって行われる。このようにすることで、組み立てに用いられる装置は、軸方向の位置合わせをしなくてよい。組み立てに用いられる装置は、より少ない可動軸数とされうる。
【0057】
図15に示すように、スペーサ41は、スペーサ孔42及びスペーサ溝43を備えてよい。
図15に示されるスペーサ41は、平面図で表される面がレンズユニット2又は保持部材3と対向するようにして用いられる。
【0058】
スペーサ孔42は、カメラモジュール1において、光軸5の方向に延びている貫通孔である。カメラモジュール1の組み立てに際して、充填される接着剤はスペーサ孔42を通ってレンズユニット2のボス22又は孔23にまで充填されてよい。
【0059】
スペーサ溝43は、スペーサ41の、レンズユニット2又は保持部材3と対向する面に設けられてよい。スペーサ溝43が保持部材3と対向する面に設けられる場合、接着剤は、保持部材3とスペーサ41との突き当て面の内側に回りこみやすくなる。スペーサ溝43は、
図7又は
図8Bに示されるレンズユニット2の溝25に合わせるように用いられてよい。スペーサ溝43と溝25とが合わされる場合、接着剤がスペーサ溝43から溝25にまで連続して充填されうる。このような構成とすることで、保持部材3とスペーサ41とがより強く係合される。
【0060】
本実施形態に係るカメラモジュール1の製造方法は、
図16に示されるフローチャートに沿って実施されうる。レンズユニット2と保持部材3との径方向の位置を合わせるための測定が行われる(ステップS22)。レンズユニット2及び保持部材3の少なくとも一方は、
図1に示されるようにレンズ21の光軸5が撮像素子31の受光面の中心を通る垂線に一致するように動かされてよい。レンズユニット2の位置及び保持部材3の位置は、それぞれ測定されてよい。
【0061】
ステップS22の測定においては、レンズユニット2及び保持部材3の一方のみが動かされて、他方が固定されてよい。レンズユニット2及び保持部材3は両方とも動かされてよい。レンズユニット2及び/又は保持部材3は、例えば4軸調整が可能な装置によって、動かされてよい。4軸調整が可能な装置は、例えばロボットであってよい。
【0062】
レンズユニット2と保持部材3との軸方向の位置を合わせるための測定が行われる(ステップS24)。レンズ21と撮像素子31との間の距離は、レンズ21の結像位置が撮像素子31の受光面に一致するように決定されてよい。レンズ21と撮像素子31との間の距離が決定される場合、レンズユニット2と保持部材3との位置関係が決定される。ステップS24では、レンズ21の結像位置が撮像素子31の受光面に一致するように、レンズ21と撮像素子31との間の距離を決定するための測定が行われる。
【0063】
レンズ21と撮像素子31との間の距離を決定する方法の一つは、実際に様々な厚みを有するスペーサ41をレンズユニット2と保持部材3との間に挿入し、レンズ21と撮像素子31との距離を実測することである。他の方法は、スペーサ41を挿入した状態でチャート等を撮影し、撮影画像のピントの状態を評価することである。
【0064】
ステップS22とステップS24の順序は入れ替え可能である。
【0065】
ステップS24における軸方向の位置を合わせるための測定は、レンズ焦点データ又は撮像素子31の高さ測定データを使用することによって、省略されうる。
【0066】
撮像素子31で撮像される画像からの切り出しによる調整が行われることで径方向の位置合わせ自体が省略される場合、ステップS22における径方向の位置を合わせるための測定は、省略されうる。レンズ21と撮像素子31との間に径方向の位置ずれがあった場合でも、
図17に示されるように撮像エリア60の範囲内において切り出しエリア61が設定されることによって、径方向の位置合わせが行われているのと同等の画像が得られうる。
【0067】
ステップS24で測定した結果に基づいてスペーサ41の厚みの最適値が決定される(ステップS26)。
【0068】
ステップS26で決定された厚みを有するスペーサ41が、レンズユニット2と保持部材3との間に取り付けられる(ステップS28)。レンズユニット2と保持部材3との間の軸方向の位置関係は、スペーサ41により規定される。レンズユニット2と保持部材3との間の径方向の位置関係は、ステップS22において測定した結果に基づいて調整されうる。レンズユニット2と保持部材3との間の径方向の位置関係の調整は、例えば4軸調整が可能な装置によって、レンズユニット2及び/又は保持部材3を動かして行われてよい。4軸調整が可能な装置は、例えばロボットであってよい。
【0069】
レンズユニット2と保持部材3とが仮押さえされる(ステップS30)。ステップS30は、
図5のステップS6と同様の処理である。接着剤充填ステップ(ステップS32)、接着剤仮硬化ステップ(ステップS34)、仮押さえ取り外しステップ(ステップS36)、及び接着剤本硬化ステップ(ステップS38)は、
図6のステップS8、S10、S12、及びS14とそれぞれ同様である。
【0070】
(実施形態8)
本実施形態においては、リブ24及び溝25は、ボス22及び孔23の間をつなぐように設けられた。また変形例2においては、溝25は、孔23の間をつなぐように設けられた。レンズユニット2は、ボス22を備えず、光軸5の周囲の少なくとも一部に設けられるリブ24及び溝25を備えてよい。リブ24及び溝25は、レンズユニット2において、光軸5の周りの全周にわたって設けられていてもよい。レンズユニット2は、リブ24を備えず、光軸5の周囲の少なくとも一部に設けられる溝25を備えてよい。レンズユニット2が
図10Bに示される逆テーパ形状の溝25を有する場合、レンズユニット2は、孔23を備えなくてよい。このようにすることで、レンズユニット2は、より簡易な構造とされうる。
【0071】
(実施形態9)
保持部材3の充填孔32は、
図18に示されるように切欠33を有してよい。充填孔32は、切欠33によって、保持部材3の端部に連通する。充填孔32に充填された接着剤にUV光が照射される場合、切欠33の側から照射されるUV光が、充填孔32の内部に照射されうる。充填孔32に切欠33が設けられることによって、接着剤の仮硬化時のUV光の照射方向の自由度が高くなりうる。
【0072】
孔23を有するボス22は、
図19及び
図20に示されるように切欠33を有してよい。孔23は、切欠33によって、ボス22の外周面に連通する。孔23に充填された接着剤にUV光が照射される場合、切欠33の側から照射されるUV光が、孔23の内部に照射されうる。ボス22に切欠33が設けられることによって、接着剤の仮硬化時のUV光の照射方向の自由度が高くなりうる。