(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6606589
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】波長変換装置、及び波長変換方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/37 20060101AFI20191031BHJP
【FI】
G02F1/37
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-173402(P2018-173402)
(22)【出願日】2018年9月18日
【審査請求日】2018年11月8日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(72)【発明者】
【氏名】安藤 明博
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 純
【審査官】
佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−167132(JP,A)
【文献】
特開2008−298832(JP,A)
【文献】
国際公開第02/048786(WO,A1)
【文献】
特開2001−042369(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0067035(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00−1/125,1/21−7/00
H01S 3/00−3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部共振器が配置された筐体と、
前記筐体内の前記外部共振器の光路中に配置され、入射光の波長を変換して出力する波長変換素子と、
前記筐体の内部空間に、窒素ガスに対する酸素ガスの割合が1/9999〜1/99の範囲となるガスを導入するガス供給手段と、を備え、
前記筐体には、前記ガス供給手段として、
窒素ガスを99.9%以上含む第1のガスを導入する第1のポートと、
酸素ガスを1%以上含む第2のガスを導入する第2のポートと、が設けられており、
前記波長変換素子に向けて前記第2のガスを噴出するように、前記第2のポートの噴出口が、前記第1のポートの噴出口よりも前記波長変換素子の近くに設けられている波長変換装置。
【請求項2】
前記第2のガスが乾燥空気である請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項3】
前記筐体内には、2つの波長変換素子が設けられ、
2つの前記波長変換素子に対して、それぞれ第2のガスを噴出する前記噴出口が設けられている請求項1、又は2に記載の波長変換装置。
【請求項4】
窒素ガスに対する酸素ガスの割合が1/9999〜1/99の範囲となるガスを筐体内に導入するステップと、
前記ガスを前記筐体内に導入しながら、前記筐体内に配置された外部共振器の光路中にある波長変換素子に入射光を入射させて、波長変換光を発生させるステップと、を備え、
前記筐体には、
窒素ガスを99.9%以上含む第1のガスを導入する第1のポートと、
酸素ガスを1%以上含む第2のガスを導入する第2のポートと、が設けられており、
前記波長変換素子に向けて前記第2のガスを噴出するように、前記第2のポートの噴出口が前記第1のポートの噴出口よりも前記波長変換素子の近くに設けられている波長変換方法。
【請求項5】
前記第2のガスが乾燥空気である請求項4に記載の波長変換方法。
【請求項6】
前記筐体内には、2つの波長変換素子が設けられ、
2つの前記波長変換素子に対して、それぞれ前記第2のガスを噴出する噴出口が設けられている請求項4、又は5に記載の波長変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長変換装置、及び波長変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、非線形光学結晶を用いて紫外線を発生する光学系が開示されている。特許文献1には、非線形光学結晶の雰囲気を、99.9%以上の窒素とする点が開示されている。あるいは、雰囲気を99.9%の乾燥空気とする点が開示されている。
【0003】
特許文献2には、非線形結晶を含む共振キャビティに、加湿浄化ガスを供給するレーザ式照明システムが開示されている。具体的には、浄化ガスが、湿気注入システムを通ることで、水蒸気が加えられている。浄化ガスは、例えば、汚染物のない乾燥した空気、窒素、または不活性ガスの他の組み合わせである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−167132号公報
【特許文献2】特表2015―536487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような非線形光学結晶を用いた場合、時間の経過とともに、非線形光学結晶からの波長変換光の出力が低下していくという問題点がある。さらに、雰囲気内に酸素がある場合、紫外光の照射によって、オゾンが発生してしまうという問題点がある。
【0006】
本開示は、このような事情を背景としてなされたものであり、長時間安定して波長変換光を出力することができる波長変換装置、及び波長変換方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の一態様にかかる波長変換装置は、筐体と、前記筐体内に配置され、入射光の波長を変換して出力する波長変換素子と、前記筐体の内部空間に、窒素ガスに対する酸素ガスの割合が1/9999〜1/99の範囲となるガスを導入するガス供給手段と、を備えたものである。この構成によれば、長時間安定して波長変換光を出力することができる。
【0008】
上記の波長変換装置において、前記筐体には、窒素ガスを99.9%以上含む第1のガスを導入する第1のポートと、酸素ガスを1%以上含む第2のガスを導入する第2のポートと、が設けられていることが好ましい。この構成によれば、長時間安定して波長変換光を出力することができる。
【0009】
本実施形態の一態様にかかる波長変換装置は、筐体と、前記筐体内に配置され、入射光の波長を変換して出力する波長変換素子と、前記筐体の内部空間に、窒素ガスを99.9%以上含む第1のガスを導入する第1のポートと、酸素ガスを1%以上含む第2のガスを導入する第2のポートと、を備えたものである。この構成によれば、長時間安定して波長変換光を出力することができる。
【0010】
上記の波長変換装置において、前記第2のガスの噴出口が前記第1のガスの噴出口よりも前記波長変換素子の近くに設けられていることが好ましい。オゾンによる汚染を防ぐことができる。
【0011】
前記筐体内には、2つの波長変換素子が設けられ、2つの前記波長変換素子に対して、それぞれ第2のガスを噴出する前記噴出口が設けられていることが好ましい。この構成によれば、長時間安定して波長変換光を出力することができる。
【0012】
本実施形態の一態様にかかる波長変換方法は、窒素ガスに対する酸素ガスの割合が1/9999〜1/99の範囲となるガスを筐体内に導入するステップと、前記ガスを前記筐体内に導入しながら、前記筐体内に配置された波長変換素子に入射光を入射させて、波長変換光を発生させるステップと、を備えたものである。この構成によれば、長時間安定して波長変換光を出力することができる。
【0013】
上記の波長変換方法において、前記筐体には、窒素ガスを99.9%以上含む第1のガスを導入する第1のポートと、酸素ガスを1%以上含む第2のガスを導入する第2のポートと、が設けられていることが好ましい。この構成によれば、長時間安定して波長変換光を出力することができる。
【0014】
本実施形態の一態様にかかる波長変換装置は、第1のポートから、窒素ガスを99.9%以上含む第1のガスを筐体内に導入するとともに、第2のポートから、酸素ガスを1%以上含む第2のガスを前記筐体内に導入するステップと、前記第1及び第2のガスを前記筐体内に導入しながら、前記筐体内に配置された波長変換素子に入射光を入射させて、波長変換光を発生させるステップと、を備えたものである。この構成によれば、長時間安定して波長変換光を出力することができる。
【0015】
上記の波長変換装置において、前記第2のポートの噴出口が前記第1のポートの噴出口よりも前記波長変換素子の近くに設けられていることが好ましい。オゾンによる汚染を防ぐことができる。
【0016】
上記の波長変換装置において、前記筐体内には、2つの波長変換素子が設けられ、2つの前記波長変換素子に対して、それぞれ前記第2のガスを噴出する噴出口が設けられていることが好ましい。この構成によれば、長時間安定して波長変換光を出力することができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば長時間安定して波長変換光を出力することができる波長変換装置、及び波長変換方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施の形態1にかかる波長変換装置の構成を示す模式図である。
【
図3】本実施の形態2にかかる波長変換装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施形態を示すものであって、本発明の技術的範囲が以下の実施形態に限定されるものではない。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明を省略する。
【0020】
本実施の形態にかかる波長変換装置100の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、波長変換装置100の構成を模式的に示す図である。波長変換装置100は、筐体10と、外部共振器20とを備えている。
【0021】
筐体10は、第1のポート11と、第2のポート12と、排気ポート13と、を備えたチャンバーである。さらに、筐体10は、窓16と、窓18と、を備えている。窓16、及び窓18は、レーザ光L1を透過する透明な材質により構成されている。基本波となるレーザ光L1が窓16を通過して、筐体10内の内部空間14に入射する。
【0022】
レーザ光L1の波長は420nm〜600nmとなっている。具体的には、レーザ光L1は、波長532nm又は波長488nmの連続出力のレーザ光である。つまり、レーザ光L1は連続発振のCW(Continuous Wave)レーザ光である。レーザ光L1は縦シングルモード光又は縦マルチモード光である。レーザ光L1が、後述する波長変換素子25に入射する入射光となる。
【0023】
筐体10の内部空間14には、外部共振器20が配置されている。外部共振器20から取り出された波長変換光L2が窓18を通過して、筐体10の外側に取り出される。外部共振器20は、4つの光学鏡21〜24を有するリング型の外部共振器である。光学鏡21〜24は、例えば、高反射ミラーである。光学鏡21、光学鏡22は、平面鏡となっている。光学鏡23、及び光学鏡24は凹面鏡となっている。外部共振器20の内部に波長変換素子25が配置されている。
【0024】
基本波のレーザ光L1は、部分反射ミラーである光学鏡21の裏面から、外部共振器20内に導かれる。外部共振器20内に導入されたレーザ光L1は、光学鏡21、光学鏡22、光学鏡23、光学鏡24での反射を順番に繰り返していく。これにより、レーザ光L1が外部共振器20内を循環するため、レーザ光L1が共振する。よって、レーザ光L1の強度を高くすることができる。
【0025】
さらに、光学鏡21から光学鏡22までの光路中には、波長変換素子25が配置されている。波長変換素子25は、例えば、BBO(β−BaB
2O
4)結晶、LBO(LiB
3O
5)結晶、又は、CLBO(CsLiB
6O
10)結晶などの非線形光学結晶である。波長変換素子25は、入射光であるレーザ光L1を波長変換して、波長変換光L2を発生させる。ここでは、波長変換素子25としてBBO結晶を用いている。波長変換素子25は、レーザ光L1の第2高調波を波長変換光L2として発生する。
【0026】
レーザ光L1の波長は420nm〜600nmである場合、波長変換光L2の波長は210nm〜300nmとなる、具体的には、レーザ光L1が波長532nmの場合、波長変換光L2は波長266nmの紫外レーザ光となる。また、レーザ光L1が波長488nmの場合、波長変換光L2は波長244nmの紫外レーザ光となる。波長変換素子25の角度と温度を適切に維持することで第2高調波発生に対する位相整合条件が満たされる。なお、波長変換の種類としては、第2高調波発生、和周波発生等がある。また、アクチュエータ等により光学鏡22を駆動させることで、共振が保たれる。これにより、外部共振器20内では、レーザ光L1のパワーが増強される。
【0027】
そして、波長変換素子25で発生した波長変換光L2は、光学鏡22から取り出される。光学鏡22には、例えば、第1のレーザ光L1の波長(420nm〜600nm)に対して高反射、波長変換光L2の波長(210nm〜300nm)に対して反射防止の膜が施されている。なお、光学鏡22として、レーザ光L1を反射して、波長変換光L2を透過するダイクロイックミラー等を用いてもよい。そして、筐体10内で発生した波長変換光L2は窓18から外部に取り出される。波長変換光L2は、フォトマスクなどの光学検査装置に用いられる。
【0028】
筐体10の側壁には、第1のポート11が設けられている。第1のポート11は、筐体10内に、第1のガスを導入する導入口となる。そのため、第1のポート11には、第1のガス供給手段41が取り付けられている。第1のガス供給手段41は、ガスボンベなどであり、第1のガスを供給する。第1のポート11の端にある噴出口11aから第1のガスが筐体10内に噴出される。つまり、第1のガス供給手段41からの第1のガスが、第1のポート11を通じて、内部空間14に導入される。
【0029】
第1のガスは、窒素ガス(N
2ガス)を99%以上含むガスである。例えば、第1のガスは、乾燥した窒素ガスである。これにより、筐体10の内部空間14に、窒素ガスが供給される。第1のガスの流量は、例えば、3l/minである。
【0030】
筐体10の側壁には、第2のポート12が設けられている。第2のポート12は、筐体10内に、第2のガスを導入する導入口となる。第2のポート12には、第2のガス供給手段42が取り付けられている。第2のガス供給手段42は、ガスボンベなどであり、第2のガスを供給する。第2のポート12の端にある噴出口12aから第2のガスが筐体10内に噴出される。つまり、第2のガス供給手段42からの第2のガスが、第2のポート12を通じて、内部空間14に導入される。
【0031】
第2のガスは、酸素ガス(O
2ガス)を1%以上含むガスである。第2のガスは、例えば、乾燥空気である。これにより、筐体10の内部空間14に、乾燥空気が供給される。第2のガスの流量は、第1のガスの流量よりも小さくなっている。第2のガスの流量は、例えば、0.15l/minである。空気中の窒素ガスと酸素ガスの割合は約4:1であるので、酸素ガスの流量は、0.03l/minとなる。
【0032】
第2のガスの噴出口12aは波長変換素子25の近傍に配置される。そのため、第2のポート12は、筐体10の内部空間14内に延びるガス配管12bを含んでいる。ガス配管12bは、筐体10の側壁から波長変換素子25の近傍まで延びている。よって、噴出口12aは、波長変換素子25に向けて第2のガスを噴出する。
【0033】
筐体10の側壁には、排気ポート13が設けられている。排気ポート13は、筐体10の外部空間につながっている。よって、筐体の内部空間14内のガスが、排気ポート13を通じて、外部空間に排出される。外部空間は、例えば、大気圧となっている。よって、内部空間14の圧力が、大気圧以上の圧力で維持される。つまり、内部空間14には、第1のガスと第2のガスとの混合ガスが大気圧以上の圧力で維持されている。
【0034】
このようにすることで、筐体10の内部空間14は、第1のガス、及び第2のガスでパージされる。すなわち、筐体10の内部空間14は、第1のガス、及び第2のガスで満たされる。第1のガス及び第2のガスを筐体10内に導入しながら、波長変換素子25にレーザ光L1を入射させる。このようにすることで、波長変換光L2の出力低下を抑制することができる。つまり、窒素ガスとともに酸素ガスを導入することで、波長変換素子25の劣化、損傷を抑制することができる。
【0035】
図2は、波長変換光L2のレーザ出力の変化を示すグラフである。第1のガスのみを導入した例(N2)と、第1のガスに加えて、酸素を含む第2のガスを導入した例(N2+O2)を示している。
図2において、横軸は時間、縦軸は出力である。
図2は、動作開始時の出力を1として、時間経過による出力低下を示すグラフである。
図2に示すように、第1及び第2のガスを導入しながら、波長変換を行うことで、波長変換光L2の出力低下を抑制することができる。
【0036】
さらに、第2のポート12の噴出口12aが波長変換素子25に向けて配置されている。したがって、第2のポート12の噴出口12aから、波長変換素子25に向けて、第2のガスが噴出されている。つまり、第2のポート12の噴出口12aが、第1のポート11の噴出口11aよりも波長変換素子25の近くに配置されている。このようにすることで、内部空間14の全体における酸素ガスの分圧を高くすることなく、波長変換素子25を酸素ガスに曝すことができる。すなわち、波長変換素子25の近傍における窒素ガスに対する酸素ガスの割合が、内部空間14全体における窒素ガスに対する酸素ガスの割合よりも高くなる。
【0037】
例えば、波長変換光L2によって、酸素がオゾンとなって、筐体10内を汚染するおそれがある。本実施の形態では、噴出口12aを波長変換素子25の近傍に配置しているため、第2のガスが波長変換素子に25に対して、直接噴出される。したがって、内部空間14における酸素ガスの圧力を高くすることなく、波長変換素子25を酸素ガスに曝すことができる。よって、オゾンの発生を抑制しつつ、波長変換光L2の出力低下を抑制することができる。
【0038】
なお、
図1では、第1のガスと第2のガスとを異なるポートから導入したが、第1のガスと第2のガスとを同じポートから導入してもよい。すなわち、第1のガスと第2のガスとを混合した混合ガスを導入してもよい。この場合、例えば、混合ガス用のポートの噴出口を波長変換素子25に向ける。このようにすることで、波長変換素子25を酸素ガスに曝すことができる。
【0039】
さらに、酸素ガスと窒素ガスを所定の割合で含むガスを用意して、筐体10内に導入してもよい。筐体10内に導入するガスにおいて、窒素ガスを99%〜99.99%とし、酸素ガスを0.01%〜1%とすることが好ましい。つまり、窒素ガスに対する酸素ガスの割合(酸素ガス/窒素ガス)をAとすると、A=1/9999〜1/99の範囲とすることが好ましい。窒素ガスに対する酸素ガスの割合が1/9999〜1/99の範囲となるガスを導入すればよい。第1のガスと第2のガスとを別のポートから導入する場合、割合Aは、第1のガスと第2のガスとを合わせた全体での割合である。
【0040】
もちろん、筐体10内に導入されるガスは、酸素ガスと窒素ガス以外のガスを含んでいてもよい。第1のポート11と第2のポート12の数は1つに限らず、2個以上であってもよい。例えば、第1のポート11を複数設けて、第1のガスを複数の第1のポートから導入してもよい。あるいは、第2のポート12を複数設けて、第2のガスを複数の第2のポート12から導入してもよい。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態2にかかる波長変換装置200について、
図3を用いて説明する。
図3は、波長変換装置200の構成を模式的に示す図である。本実施の形態では、筐体10内に2つの外部共振器20、30が配置されている。外部共振器20は、実施の形態1と同様の構成を有しているため、説明を省略する。また、実施の形態1と共通の内容についても、適宜説明を省略する。
【0042】
外部共振器30は、4つの光学鏡31〜34を有するリング型の外部共振器である。外部共振器30の構成は、外部共振器20と同様であるため、詳細な説明については省略する。光学鏡31から光学鏡32までの光路中には、波長変換素子35が配置されている。波長変換素子35は、例えば、BBO(β−BaB
2O
4)結晶、LBO(LiB
3O
5)結晶、CLBO(CsLiB
6O
10)結晶などの非線形光学結晶を用いることができる。波長変換素子35は、第2のレーザ光L11及び波長変換光L2を入射光として、波長変換光L12を発生させる。例えば、波長変換素子35は、第2のレーザ光L11と波長変換光L2との和周波又は差周波を発生させる非線形光学結晶である。
【0043】
筐体10には、窓16〜18が設けられている。窓16からは、第1のレーザ光L1が入射する。第1のレーザ光L1は、実施の形態1のレーザ光L1と同様に、外部共振器20内に導かれる。外部共振器20の波長変換素子25は、入射した第1のレーザ光L1の波長を変換して、波長変換光L2を出力する。第1のレーザ光L1の第2高調波が波長変換光L2として、外部共振器20から出射する。外部共振器20からの波長変換光L2は、図示しないミラーなどによって、外部共振器30に導かれる。つまり、波長変換素子25で波長変換された波長変換光L2は、窓18から筐体10の外部に取り出されずに、外部共振器30まで導かれる。
【0044】
窓17は、第2のレーザ光L11が入射する。窓17からの第2のレーザ光L11は、外部共振器30内に導かれる。波長変換素子35は、第2のレーザ光L11と波長変換光L2とを入射光として、和周波又は差周波を波長変換光L12として発生させる。波長変換素子35で波長変換された波長変換光L12は、光学鏡32から取り出される。外部共振器30からの波長変換光L12は、窓18から筐体10の外部に取り出される。波長変換光L12は、フォトマスクなどの光学検査の照明光として用いられる。
【0045】
本実施の形態2においても、筐体10には、第1のポート11と、第2のポート12とが設けられている。第1のポート11からは、実施の形態1と同様に窒素ガスを99%以上含む第1のガスが内部空間14に導入される。第2のポート12からは、酸素ガスを1%以上含む第2のガスが内部空間14に導入される。
【0046】
さらに、第2のポート12では、ガス配管12bの途中に分岐部12cが設けられている。そして、分岐部12cで分岐された一方のガス配管12bの端である噴出口12aが波長変換素子25に対して、第2のガスを噴出する。分岐部12cで分岐された他方のガス配管12bの端にある噴出口12dが波長変換素子35に対して、第2のガスを噴出する。このように、2つの波長変換素子25、35に対して、それぞれ第2のガスの噴出口12a、12dが設けられている
【0047】
噴出口12aは、噴出口11a、及び噴出口12dよりも波長変換素子25の近くに配置されている。噴出口12dは、噴出口11a、及び噴出口12aよりも波長変換素子35の近くに配置されている。このようにすることで、波長変換素子25、及び波長変換素子35に第2のガスが直接噴出される。したがって、内部空間14の酸素ガスの圧力を高くすることなく、波長変換素子25、及び波長変換素子35を酸素ガスに曝すことができる。よって、波長変換光L2、及び波長変換光L12の出力低下を抑制することができる。さらに、内部空間14内の酸素を低い圧力で維持することができるため、オゾンの発生を抑制することができる。
【0048】
上記の説明では、ガス配管12bに分岐部12cを設けることで、2つの噴出口12a、12dを設けたが、2つの噴出口を設ける手段はこれに限られるものではない。例えば、筐体10に2つの第2のポート12を設けて、それぞれの第2のポートからガス配管を延ばしてもよい。このようにすることで、複数の波長変換素子25、35のそれぞれに対して、酸素ガスを直接噴出することができる。さらに、波長変換素子25と波長変換素子35とに噴出されるガスは、異なるガスであってもよい。もちろん、3以上の波長変換素子が設けられていてもよい。この場合、3以上の波長変換素子のそれぞれの近傍に第2のガスの噴出口を設けることが好ましい。
【0049】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。
【符号の説明】
【0050】
10 筐体
11 第1のポート
12 第2のポート
13 排気ポート
14 内部空間
16 窓
17 窓
18 窓
20 外部共振器
21〜24 光学鏡
25 波長変換素子
30 外部共振器
31〜34 光学鏡
35 波長変換素子
100 波長変換装置
200 波長変換装置
【要約】
【課題】波長変換光を安定して出力することができる波長変換装置、及び波長変換方法を提供する。
【解決手段】本発明の一態様にかかる波長変換装置100は、筐体10と、筐体10内に配置され、入射光の波長を変換して出力する波長変換素子25と、筐体10内に、窒素ガスを99.9%以上含む第1のガスを導入する第1のポート11と、酸素ガスを1%以上含む第2のガスを導入する第2のポート12と、を備えている。
【選択図】
図1