特許第6606611号(P6606611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ポスコの特許一覧

特許6606611連続鋳造機の終了動作処理装置及び終了動作処理方法
<>
  • 特許6606611-連続鋳造機の終了動作処理装置及び終了動作処理方法 図000002
  • 特許6606611-連続鋳造機の終了動作処理装置及び終了動作処理方法 図000003
  • 特許6606611-連続鋳造機の終了動作処理装置及び終了動作処理方法 図000004
  • 特許6606611-連続鋳造機の終了動作処理装置及び終了動作処理方法 図000005
  • 特許6606611-連続鋳造機の終了動作処理装置及び終了動作処理方法 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606611
(24)【登録日】2019年10月25日
(45)【発行日】2019年11月13日
(54)【発明の名称】連続鋳造機の終了動作処理装置及び終了動作処理方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/10 20060101AFI20191031BHJP
   B22D 11/16 20060101ALI20191031BHJP
【FI】
   B22D11/10 D
   B22D11/16 104B
   B22D11/16 Z
   B22D11/16 104E
   B22D11/16 104F
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-529232(P2018-529232)
(86)(22)【出願日】2016年12月9日
(65)【公表番号】特表2018-536542(P2018-536542A)
(43)【公表日】2018年12月13日
(86)【国際出願番号】KR2016014484
(87)【国際公開番号】WO2017099538
(87)【国際公開日】20170615
【審査請求日】2018年7月18日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0176831
(32)【優先日】2015年12月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,スン ヨン
【審査官】 印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−038558(JP,A)
【文献】 特開平02−142657(JP,A)
【文献】 特表2015−522428(JP,A)
【文献】 特開2003−245761(JP,A)
【文献】 特開平09−150241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンディッシュ内の溶鋼の重量を検出する重量検出部と、
前記タンディッシュから排出される溶鋼を収容するモールドと、
前記モールド内へのタンディッシュフラックスの流入による前記モールド内の銅板の温度を測定する熱電対と、
前記タンディッシュ内の溶鋼の重量及び前記溶鋼の水位変化に伴う前記モールドの温度変化に基づいて、前記モールド内のスラグが2次冷却帯に流出される時点を検出した後、前記モールド内のスラグが2次冷却帯に流出される時点で前記タンディッシュから前記モールドへの溶鋼の供給を遮断することで連続鋳造機の動作を終了するための終了信号を提供する終了信号処理部と、を含むことを特徴とする連続鋳造機の終了動作処理装置。
【請求項2】
前記モールド内の溶鋼の湯面高さの変化を検出する第1検出器をさらに含み、前記第1検出器は、ECLM(Eddy Current Level Meter)センサーであることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機の終了動作処理装置。
【請求項3】
放射線源を用いて前記モールド内の溶鋼の湯面高さの変化を検出する第2検出センサーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機の終了動作処理装置。
【請求項4】
前記熱電対は、前記モールドに同一の高さ位置において周方向に少なくとも一つ以上備えられ、前記モールドの同一の幅位置において鋳造方向に沿って少なくとも一つ以上備えられることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機の終了動作処理装置。
【請求項5】
タンディッシュ内の溶鋼の重量を検出する段階と、
モールドの銅板の温度を測定する段階と、
前記溶鋼の重量の変化前記溶鋼の湯面高さの変化、及び前記湯面高さの変化に伴うモールドの温度変化に基づいて、前記モールド内へのタンディッシュフラックスの流入による前記モールド内のスラグが2次冷却帯に流出される時点を検出する段階と、
前記モールド内のスラグが2次冷却帯に流出される時点で前記タンディッシュから前記モールドへの溶鋼の供給を遮断することで連続鋳造機の動作を終了するための処理信号を提供する段階と、を含むことを特徴とする連続鋳造機の終了動作処理方法。
【請求項6】
ECLM(Eddy Current Level Meter)センサーを用いて前記湯面の高さを検出する段階をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の連続鋳造機の終了動作処理方法。
【請求項7】
放射線源を用いて前記モールド内の溶鋼の湯面高さの変化を検出する段階をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の連続鋳造機の終了動作処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造機の終了動作処理装置及び終了動作処理方法に係り、より詳しくは、タンディッシュフラックスのモールド内の流入を最小化するとともに、タンディッシュの溶鋼の鋳造歩留まりを極大化することができる連続鋳造機の終了動作処理装置及び終了動作処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な連続鋳造を終了する方法としては、タンディッシュの溶鋼が一定の重量に逹すると、タンディッシュから鋳型への溶鋼の供給を遮断するために、ストッパ(stopper)又はスライドゲート(slide gate)を閉める方法を用いている。
ここで、連続鋳造の終了時に、タンディッシュの残留溶鋼を最小化することが重要であり、タンディッシュの残留溶鋼を最小化する目的は、溶鋼の鋳造歩留まりを向上させることにより鋳造効率性を高めることにある。
【0003】
一方、タンディッシュの溶鋼を最大限モールドに供給する過程で、タンディッシュフラックスがモールド内に流入する場合がある。
この場合、タンディッシュの溶鋼の供給を遮断した後、湯面がモールドの下部から抜け出る際に、湯面の上部にタンディッシュフラックスが過剰に存在して湯面の凝固を遅延させるため、ストランドに吹き付けられる水が湯面に流入して未凝固の溶鋼と反応すると、溶鋼が飛散するという問題が発生する。そして、溶鋼が飛散すると、ストランドガイディングローラに地金が付着して設備を損傷するため、損傷したセグメントを取り替えなければ、再び鋳造を開始することができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的とするところは、タンディッシュフラックスのモールド内の流入を最小化するとともに、タンディッシュの溶鋼の鋳造歩留まりを極大化することができる連続鋳造機の終了動作処理装置及び終了動作処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の連続鋳造機の終了動作処理装置は、タンディッシュ内の溶鋼の重量を検出する重量検出部と、上記タンディッシュから排出される溶鋼を収容するモールドと、上記モールド内の溶鋼湯面の位置を検出する湯面検出器と、上記モールド内へのタンディッシュフラックスの流入による上記モールド内の銅板の温度を測定する熱電対と、上記タンディッシュ内の溶鋼の重量及び上記銅板の温度に基づいて、上記モールド内のスラグがキャリーオーバー(carry−over)される時点を検出した後、上記キャリーオーバーされる時点で連続鋳造機の動作を終了するための処理信号を提供する終了信号処理部と、を含むことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の連続鋳造機の終了動作処理方法は、タンディッシュ内の溶鋼の重量を検出する段階と、モールドの銅板の温度を測定する段階と、
上記溶鋼の重量、上記銅板の温度、及び湯面高さの変化に基づいて、上記モールド内へのタンディッシュフラックスの流入による上記モールドのスラグキャリーオーバー(carry−over)の時点を検出する段階と、上記スラグキャリーオーバー(carry−over)の時点で連続鋳造機の動作を終了するための処理信号を提供する段階と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、タンディッシュフラックスがモールドに流入する状況を迅速に検出することができ、連続鋳造を終了する時点を、スラグがキャリーオーバー(carry−over)される瞬間とすることができる。これにより、一定のタンディッシュの溶鋼量となったときに終了する方法に比べて、タンディッシュの溶鋼をさらに鋳造することができ、鋳造歩留まりを増加させることができるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態による連続鋳造機の終了動作処理装置を示した装置図である。
図2】鋳片の引抜速度と溶鋼の供給速度とのバランスが取れたときのモールドでの様子を示した例示図である。
図3】タンディッシュフラックスがモールド内に流入する様子を示した図である。
図4】本発明の一実施形態による連続鋳造機の終了動作処理方法を示した流れ図である。
図5】タンディッシュの重量、モールドレベル、モールドの温度、ストッパストロークの相関関係を考慮して、タンディッシュフラックスのキャリーオーバー(carry over)される時点を検出して鋳造操業を終了した実施例のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付した図面を参照して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができるように好ましい実施形態を詳細に説明する。但し、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明するにあたって、関連した公知の機能又は構成に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不要に曖昧にする恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、類似した機能及び作用をする部分には図面の全体にわたって同一符号を使用する。
加えて、明細書の全体にわたって、ある部分が他の部分と「連結」されているというのは、「直接的に連結」されている場合だけでなく、その間に他の素子を介して「間接的に連結」されている場合も含む概念である。また、ある構成要素を「含む」とは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0010】
以下、図面を参考して、本発明の一実施形態による連続鋳造機の終了動作処理装置及び方法をより詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による連続鋳造機の終了動作処理装置と連続鋳造機を示した装置図である。
連続鋳造(Continuous Casting)は、溶融金属を底のないモールド(Mold)で凝固させながら連続的に鋳片又は鋼塊(Steel Ingot)を引き抜く鋳造法である。連続鋳造は、正方形、長方形、円形など単純な断面形状の長尺製品、及び主に圧延用素材であるスラブ、ブルーム、及びビレットを製造するのに用いられる。
【0011】
図1に示す通り、連続鋳造機100は、レードル10、タンディッシュ20、モールド30、2次冷却帯60及び65、ピンチロール70、及び制御器を含む。
タンディッシュ(Tundish)20は、レードル(Ladle)10から溶融金属を受け、モールド(Mold)30に溶融金属を供給する容器である。タンディッシュ20では、モールド30に流れる溶融金属の供給速度の調節、各モールド30への溶融金属の分配、溶融金属の貯蔵、スラグ及び非金属介在物の分離などが行われる。
モールド30は水冷式銅板を備え、受鋼された溶鋼を1次冷却する。モールド30は、構造的に対向する一対の面が開口した形状であって、溶鋼が収容される中空部を形成する。鋳片を製造する場合、モールド30は、一対の長壁と、長壁を連結する一対の短壁と、を含む。ここで、短壁は長壁よりも小さい面積を有する。
【0012】
モールド30の壁、主に短壁は、互いに対して遠ざかるか、又は近づくように回転し、ある程度のテーパー(Taper)を有する。このようなテーパーは、モールド30内で溶鋼Mの凝固による収縮を補償するために設定される。溶鋼Mの凝固程度は、鋼種による炭素の含量、パウダーの種類(強令型Vs緩令型)、鋳造速度などによって異なる。
モールド30は、モールド30から引き抜いた連鋳鋳片が形状を維持し、完全に凝固されていない溶融金属が流出しないように、強い凝固殻又は凝固シェルを形成させる役割を果たす。モールド30は、溶鋼がモールドの壁面にくっつくことを防止するために、オシレータによりオシレーション(oscillation、往復運動)される。オシレーションの際に、モールド30と凝固シェル81との摩擦を低減し、燃えることを防止するために潤滑剤が用いられる。潤滑剤としては、噴き出されて塗られる菜種油と、モールド30内の溶融金属の表面に添加されるパウダー(Powder)が挙げられる。
【0013】
パウダーは、モールド30内の溶融金属に添加されてスラグとなり、モールド30と凝固シェル81との間の潤滑だけでなく、モールド30内の溶融金属の酸化/窒化の防止及び保温、溶融金属の表面に浮上した非金属介在物の吸収機能も行う。
2次冷却帯60及び65は、モールド30で1次冷却された溶鋼をさらに冷却する。1次冷却された溶鋼は、支持ロール60により凝固殻が変形しないように維持されながら、水を噴射するスプレー手段65により直接冷却される。連鋳鋳片の凝固は殆ど上記2次冷却により行われる。
鋳片の引抜装置には、連鋳鋳片を滑らず引き抜くように、ピンチロール70を用いるマルチドライブ方式などを採用している。ピンチロール70は溶鋼の凝固された先端部を鋳造方向に引っ張ることで、モールド30を通過した溶鋼が鋳造方向に連続的に移動できるようにする。
【0014】
タンディッシュ20内の溶鋼Mは、モールド30内に延びる浸漬ノズル25によりモールド30内に流動する。浸漬ノズル25は、モールド30の中央に配置され、浸漬ノズル25の両吐出口から吐出される溶鋼Mの流動が対称になるようにする。
浸漬ノズル25を介した溶鋼Mの吐出の開始、吐出速度、及び中断は、浸漬ノズル25に対応してタンディッシュ20に設けられるストッパ(Stopper)21により決定される。具体的に、ストッパ21は、浸漬ノズル25の入口を開閉するように、浸漬ノズル25と同一のラインに沿って垂直移動される。浸漬ノズル25を介した溶鋼Mの流動に対する制御は、ストッパ方式とは異なる、スライドゲート(Slide gate)方式を用いることもできる。スライドゲートは、板材がタンディッシュ20内で水平方向にスライド移動しながら浸漬ノズル25を介した溶鋼Mの吐出流量を制御する。
【0015】
モールド30内の溶鋼Mは、モールド30を成す壁面に接した部分から凝固し始める。これは、溶鋼Mの中心よりは周辺部の方が、水冷されるモールド30により熱を失いやすいためである。周辺部が先に凝固される方式により、連鋳鋳片80の鋳造方向に沿った後部は、未凝固の溶鋼82が凝固シェル81に囲まれた形状になる。
ピンチロール70が完全に凝固した連鋳鋳片80の先端部83を引っ張ることで、未凝固の溶鋼82は、凝固シェル81とともに鋳造方向に移動する。未凝固の溶鋼82は、上述した移動過程で冷却水を噴射するスプレー手段65により冷却される。これは、連鋳鋳片80において未凝固の溶鋼82の占める厚さが次第に小くなるようにする。連鋳鋳片80が一地点85に達すると、連鋳鋳片80は、全体の厚さが凝固シェル81で満たされるようになる。凝固が完了した連鋳鋳片80は、切断地点91で一定の大きさに切断され、スラブなどのような鋳片Pに分けられる。
【0016】
図1に示す通り、本発明の一実施形態による連続鋳造機の終了動作処理装置200は、重量検出部210、熱電対220、及び終了信号処理部240を含む。
重量検出部210は、タンディッシュ内の溶鋼の重量を検出する機能を行う。
熱電対220は、上記タンディッシュから排出される溶鋼を収容するモールド内へのタンディッシュフラックスの流入によるモールド30内の銅板の温度を測定する機能を行う。熱電対220は、モールド30に同一の高さ位置において周方向に少なくとも一つ以上備えられ、モールド30の同一の幅位置において鋳造方向に沿って少なくとも一つ以上備えられる。
タンディッシュ内の溶鋼がほぼ空状態であると、タンディッシュの溶鋼を覆っているタンディッシュフラックスが浸漬ノズルを介してモールドに流入する。タンディッシュフラックスは溶鋼よりも比重が低いため、溶鋼湯面の上方に浮上するようになり、このとき、溶鋼の供給が足りなくなるため、モールド内の溶鋼湯面のレベルは徐々に低くなる。
【0017】
これにより、熱電対220は溶鋼湯面のレベルが低くなる(すなわち、モールド内の溶鋼収容量が少なくなる)ことにより、モールドの温度変化を測定する機能を行う。
終了信号処理部240は、上記タンディッシュ内の溶鋼の重量、上記モールドの温度に基づいて、上記モールド内のスラグがキャリーオーバー(carry−over)される時点を検出した後、上記スラグがキャリーオーバーされる時点で連続鋳造機の動作を終了するための終了信号を制御器に提供する機能を行う。
一方、本発明の一実施形態による連続鋳造機の終了動作処理装置200は、溶鋼湯面高さの変化を検出する第1検出器230又は第2検出器231を含む。第1検出器230は、ECLM(Eddy Current Level Meter)であり、第2検出器231は、放射線検出器である。
【0018】
第2検出器231は、モールド内のスラグから出る放射線量を検出して溶鋼湯面高さの変化を検出する。これは、一般に、スラグの一定の体積を溶鋼であると仮定するためであり、モールド内にスラグが流入すると、溶鋼湯面の絶対位置は、実際の設定位置よりも低くなる。
図2は、鋳片の引抜速度と溶鋼の供給速度とのバランスが取れたときのモールドでの様子を示した例示図である。図2に示す通り、溶鋼湯面が一定に維持される条件では、溶鋼の上方に銅板に付着しているスラグベアBが存在し、溶鋼Mの上部には、溶融層16、焼結層C、及びモールドパウダー層Aが形成され、正常操業状況では、湯面が約±3mmの範囲に制御されるため、初期凝固層とスラグベアBは安定的な形状を維持する。
【0019】
図3は、タンディッシュフラックスがモールド内に流入される様子を示した図である。図3に示す通り、タンディッシュ内の溶鋼がほぼ空状態であると、タンディッシュ内の溶鋼を覆っているタンディッシュフラックスDが浸漬ノズルを介してモールドに流入する。 タンディッシュフラックスDは、溶鋼Mよりも比重が低いため、溶鋼湯面の上方に浮上するようになり、このとき、溶鋼Mの供給が足りなくなるため、モールド内の溶鋼湯面のレベルは徐々に低くなる。
図4は、本発明の一実施形態による連続鋳造機の終了動作処理方法を示した流れ図である。
図4に示したように、本発明の一実施形態による連続鋳造機の終了動作処理方法(S700)は、重量検出部210でタンディッシュ内の溶鋼の重量を検出する段階(S710)と、モールド内の温度を測定する段階(S720)、より具体的には、タンディッシュから排出される溶鋼を収容するモールド内へのタンディッシュフラックスの流入による上記モールド30内の銅板の温度を熱電対で測定する段階と、を含む。
【0020】
タンディッシュ内の溶鋼がほぼ空状態であると、タンディッシュの溶鋼を覆っているタンディッシュフラックスが浸漬ノズルを介してモールドに流入する。タンディッシュフラックスは、溶鋼よりも比重が低いため、溶鋼湯面の上方に浮上するようになり、このとき、溶鋼の供給が足りなくなるため、モールド内の溶鋼湯面のレベルは徐々に低くなる。
これにより、熱電対220は、溶鋼湯面のレベルが低くなる(すなわち、モールド内の溶鋼収容量が少なくなる)ことによるモールドの温度変化を測定する。
次に、溶鋼の重量、上記銅板の温度、及び湯面高さの変化に基づいて、上記モールド内へのタンディッシュフラックスの流入による上記モールドのスラグキャリーオーバー(carry−over)の時点を終了信号処理部240で検出する段階(S730)と、スラグがキャリーオーバー(carry−over)される時点で連続鋳造機の動作を終了するための終了信号を提供する段階(S740)と、を含む。
【0021】
上記本発明の一実施形態による連続鋳造機の終了動作処理方法(S700)は、第1検出器230又は第2検出器231を用いてモールド内の溶鋼の湯面高さの変化を検出する段階をさらに含む。
ここで、第1検出器230は、ECLM(Eddy Current Level Meter)であり、第2検出器231は、放射線検出器であって、モールド内のスラグから出る放射線量を検出して溶鋼湯面高さの変化を検出する。これは、一般に、スラグの一定の体積を溶鋼であると仮定するためであり、モールド内にスラグが流入すると、溶鋼湯面の絶対位置は、実際の設定位置よりも低くなる。
【0022】
図5は、タンディッシュの重量(例えば、タンディッシュ内の溶鋼の重量)、モールドレベル、モールドの温度、ストッパストロークの相関関係を考慮して、タンディッシュフラックスのキャリーオーバー(carry over)される時点を検出して鋳造操業を終了した実施例のグラフである。
図5に示す通り、鋳造の末期にタンディッシュの重量が15トンである時点からタンディッシュフラックスのキャリーオーバー(carry over)される時点を検出し始めた。このとき、26030秒から溶鋼湯面近くの銅板の温度が小幅下降し、26050秒直前に湯面が約30mm減少して直ぐ、銅板の温度が下降した。
これは、約26055秒にスラグがキャリーオーバーされたと判断することができる。したがって、スラグがキャリーオーバーされた時点で連続鋳造機の制御器に終了信号を送ることで溶鋼供給を中断させ、連鋳操業を終了することにより、従来(例えば、タンディッシュの溶鋼量を基準として連鋳操業を終了)よりもタンディッシュの溶鋼を2〜5トンさらに鋳造することができるという実験結果を導き出した。
【0023】
以上、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5