(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照しながら本発明に係る塗布容器の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0017】
(第1実施形態)
図1及び
図2に示されるように、第1実施形態に係る塗布容器1は、全体形状が筆記具の如き細長い丸棒状を成し良好な外観を呈するものであり、キャップCが装着される。塗布容器1は、固形状の棒状塗布材Mを備える。棒状塗布材Mは、例えば、棒状化粧料であるが、描画材等であってもよい。本実施形態において、棒状塗布材Mはアイブロウであってもよく、この場合、塗布容器1はアイブロウ繰出容器である。
【0018】
例えば、塗布容器1は、キャップCが取り付けられる本体2と、本体2のキャップCとの反対側に取り付けられると共に塗布材Aが収容された収容部10とを備える。塗布材Aは、例えば、粉体状又は液状の塗布材であり、具体的には、アイライナー、アイカラー、アイブロー、マスカラ、コンシーラー、リップ若しくはヘアーカラー等に使用される液体若しくは粉体、又は、筆記具、修正液若しくは接着剤を含む文房具等の液体若しくは粉体である。
【0019】
塗布容器1において、キャップC、本体2及び収容部10は、塗布容器1の軸線Lが延びる軸線方向に沿って並んで配置される。本明細書において、「軸線」とは、塗布容器1の前後に延びる中心線を示しており、「軸線方向」とは、前後方向であって且つ軸線Lに沿った方向を示している。棒状塗布材Mの繰り出し方向を前方(前進する方向)とし、その反対方向を後方とする。
【0020】
図3は、キャップCが外された塗布容器1を示す側面図である。
図4は、
図3の塗布容器1から収容部10を外して棒状塗布材Mを繰り出した状態を示す側面図である。
図5は、
図4のB−B線断面図である。
図3〜
図5に示されるように、本体2は、容器前部を構成する先筒3と、先筒3の後方に設けられる中筒4と、中筒4の後方に設けられる容器後部を構成すると共に塗布容器1の外部に露出する継手筒5と、継手筒5から後方に延びると共に塗布具Pが取り付けられる取付部材6と、先筒3の内部に収容された移動体7と、継手筒5の内部において移動体7を保持する保持部材8と、移動体7の前側において棒状塗布材Mを保持する塗布材保持部9とを備える。先筒3、中筒4、継手筒5、移動体7及び保持部材8は、棒状塗布材Mを軸線方向に繰り出す繰り出し機構15を構成する。
【0021】
棒状塗布材Mは、軸線方向に延びる側面M3を有すると共に、先端に、軸線方向に対して傾斜する傾斜部M1を有する。前側から見た棒状塗布材Mの形状は、傾斜部M1が一定方向に長く延びる形状とされている。また、棒状塗布材Mの先端に位置する傾斜部M1と棒状塗布材Mの側面M3との間には、軸線方向に対して傾斜する方向に延びる平坦面M2が形成されている。平坦面M2は、例えば、傾斜部M1に対して左右両側に一対に設けられている。例えば、各平坦面M2は傾斜部M1の長手方向の両端から後方に延びている。前側から傾斜部M1と一対の平坦面M2を見たときの形状は、一定方向に長く延びると共に丸みを帯びた六角形状とされている。
【0022】
先筒3は、例えば、ABS樹脂で成形されており、軸線方向に延びる細長い筒状を呈する。先筒3の内部は、棒状塗布材Mが収容される収容空間3nとされている。先筒3は、前端3cに、軸線方向に対して傾斜する傾斜面3aを有する。先筒3の前端3cには、棒状塗布材Mが露出する開口3bが形成されている。開口3bは、先筒3の前端3cから斜め後方に延在している。
【0023】
先筒3は、棒状塗布材Mが収容される前側筒部3dと、前側筒部3dの後方に位置する段付き筒部3eと、段付き筒部3eの後方に位置する後側筒部3fとを有する。前側筒部3d、段付き筒部3e及び後側筒部3fのうち、前側筒部3dのみが外方に露出する。前側筒部3dは、段差3gから前端3cに向かうに従って徐々に縮径している。段差3gは前側筒部3dと段付き筒部3eの間に形成されており、前側筒部3dは段付き筒部3eに対して段差3gから拡径している。先筒3の段差3gよりも後側は中筒4に前側から挿入される挿入部とされている。先筒3は、その段差3gよりも後側が中筒4に挿入されることにより、中筒4に軸線方向移動不能且つ相対回転可能に係合される。
【0024】
図6は、先筒3の段付き筒部3eを、軸線方向を含む平面で切断した断面図である。
図7(a)は、先筒3の部分断面図である。
図7(b)は、先筒3の側面図である。
図6、
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、先筒3の前側筒部3dの内部には、棒状塗布材Mを収容する収容空間3nが軸線方向に沿って延びている。軸線方向に沿って見た収容空間3nの形状は、非円形状とされており、例えば、一定方向に長く延びる形状とされている。先筒3の前側筒部3dの内側には、軸線方向に延びる凸部3rが設けられており、凸部3rは、例えば、先筒3の径方向に沿って一対に設けられる。
【0025】
凸部3rの前端は、先筒3の開口3bの付近にまで達しており、凸部3rの前端には、後方に向かうに従って先筒3の内側に湾曲して突出する傾斜面3pが形成されている。先筒3の段付き筒部3eは、外面に、先筒3の周方向に延びる環状凹部3hと、環状凹部3hの後方に位置する凹部3jとを有する。先筒3を型成形によって製造するときには、成形型の内部に樹脂等の材料を注入する注入口が凹部3jの中心に配置される。凹部3jは、例えば、先筒3の径方向に沿って一対に設けられており、各凹部3jは四角形状とされている。
【0026】
先筒3の段付き筒部3eの内側には、軸線方向に延びる突条3kが設けられている。突条3kは、例えば複数設けられる。各突条3kは、段付き筒部3eの後側から後側筒部3fの内面まで延びている。突条3kは、例えば、先筒3の径方向に沿って一対に設けられる。また、棒状塗布材Mを収容する収容空間3nの後側には、径方向内側に向かうに従って後方に傾斜するテーパ面3mが設けられる。
【0027】
突条3kの後側は後側筒部3fの内部空間3qとされており、内部空間3qは突条3kが設けられた部位よりも拡径されている。後側筒部3fは、その内周面3sにおいて互いに対向する一対の位置に弾性突部3tを備える。弾性突部3tは、中筒4の内面に弾性力によって当接するものであり、径方向外側に突出するように設けられる。弾性突部3tの周囲には、先筒3の内外を連通する切り欠き3uが形成されており、切り欠き3uによって弾性突部3tは径方向に弾性を有している。
【0028】
切り欠き3uは、先筒3の周方向に沿って複数並設されて軸線方向に延びる一対のスリット3v,3wと、弾性突部3tの前側に穿設されてスリット3v,3wの間で先筒3の周方向に延びるスリット3xを含んでいる。後側筒部3fで切り欠き3uに囲まれた部分は、径方向に可撓性を有するアーム3yを成している。よって、アーム3yの先端部の外面に配置された弾性突部3tは径方向に弾性力(付勢力)を有する。
【0029】
以上のように構成される先筒3は、その段付き筒部3eに中筒4の内面の環状突起4qが相対回転可能に軸線方向に係合すると共に、弾性突部3tが中筒4の内面に当接する。
図8(a)は中筒4を示す側面図であり、
図8(b)は中筒4を
図8(a)とは異なる方向から見た側面図である。中筒4は、例えば、POM(ポリアセタール)で成形されると共に、略円筒状に形成されている。
【0030】
図8(a)及び
図8(b)に示されるように、中筒4は、その前端から後端に向かって、前側筒部4a、後側筒部4b及びバネ部4cをこの順に具備している。中筒4は、落下時等の外力作用時に、内部に伝わる衝撃を緩和し塗布容器1や棒状塗布材Mを保護する。また、中筒4のバネ部4cは、棒状塗布材Mの後退限においてクラッチ回転を行うときに螺合部20を螺合復帰させる機能を有する。前側筒部4aの外周面の前端部には、後方に向かうに従って徐々に拡径する傾斜面4fが形成されている。前側筒部4aの外周面には、軸線方向に延びる突出部4dと、突出部4dの後方において略円形状に突出する突起4eとが設けられる。突出部4d及び突起4eにはキャップCが係合する。
【0031】
前側筒部4aと後側筒部4bとの間には、径方向外側に突出すると共に継手筒5の前端に入り込む鍔部4gが設けられる。後側筒部4bの外面には、後方に向かうに従って縮径する傾斜面4hを有する環状突起4jと、環状突起4jの後方において軸線方向に延びると共に中筒4の周方向に沿って並設された複数の突出部4kと、複数の突出部4kの間において窪む凹部4mとが設けられる。中筒4を型成形によって製造するときには、成形型の内部に樹脂等の材料を注入する注入口が凹部4mの中心に配置される。突出部4k及び凹部4mの後方にはバネ部4cが設けられる。バネ部4cは、軸線方向に伸縮可能とされている樹脂バネである。バネ部4cは、本体部4nと、本体部4nの周面に沿って螺旋状に延び且つ本体部4nの内外を連通するスリット4pとによって形成されている。バネ部4cは、外力が付与されたときに収縮することによって衝撃を緩和する。
【0032】
図2及び
図5に示されるように、中筒4は、前側筒部4aより後側の部分が継手筒5の前側に挿入される。また、中筒4は、その環状突起4jが継手筒5の内面に設けられた環状凹部5aに軸線方向に係合すると共に、鍔部4gが継手筒5の前端の凹部5bに嵌り込む。また、継手筒5の環状凹部5aの後側には、中筒4を回転方向に係合するローレット5cが設けられており、ローレット5cは周方向に沿って複数の凹凸が並設されて各凹凸が軸線方向に延びる形状とされている。ローレット5cに中筒4の突出部4kが回転方向に係合することにより、中筒4は継手筒5と同期回転可能に係合する。
【0033】
継手筒5は、例えば、ABS樹脂で成形されており、円筒状に形成されている。継手筒5の外面は、凹凸等を有しない平滑面とされており、具体的には、後方に向かって徐々に拡径する傾斜面5dとされている。継手筒5の前側には保持部材8及び中筒4が収容され、継手筒5の後側には取付部材6が収容される。継手筒5は、その軸線方向の中央付近に、継手筒5の内部を仕切る仕切壁5eを備えており、仕切壁5eの前方に保持部材8及び中筒4が挿入されると共に、仕切壁5eの後方に取付部材6が挿入される。
【0034】
仕切壁5eは、継手筒5の内面5fから継手筒5の径方向内側に突出する突出部5gと、突出部5gの径方向内側の端部から後方に窪む凹部5hと、凹部5hの底面において軸線方向に貫通する貫通孔5jとを有する。凹部5hの内面には、周方向に沿って複数の凹凸が並設されて各凹凸が軸線方向に延びるローレット5kが形成されている。仕切壁5eの前側の内面5fよりも仕切壁5eの後側の内面5fの方が拡径されている。
【0035】
保持部材8は、例えば、POMで成形されると共に略円筒状に形成されている。保持部材8は、軸線方向に延びる前側筒部8aと、前側筒部8aの後端で拡径する鍔部8bと、鍔部8bの後側の部分であって継手筒5の凹部5hのローレット5kに係合する後側筒部8cとを有する。前側筒部8aの前端部の内面には、後述する螺合部20の一方を構成する螺旋状の突起8dが形成されている。
【0036】
保持部材8の鍔部8bは、継手筒5の仕切壁5eの突出部5gと中筒4の後端との間に挟み込まれる。保持部材8の後側筒部8cは弾性突部8eを備える。弾性突部8eは、継手筒5のローレット5kに回転方向に係合するものであり、径方向外側に突出するように設けられる。弾性突部8eの周囲には、保持部材8の内外を連通する切り欠き8fが形成れており、切り欠き8fによって弾性突部8eは径方向に弾性を有している。切り欠き8fの構成は、例えば、前述した先筒3の切り欠き3uの構成と同様である。
【0037】
以上のように構成される保持部材8は、後側筒部8cが仕切壁5eの凹部5hに前側から挿入され、弾性突部8eが凹部5hのローレット5kに回転方向に係合する。弾性突部8eとローレット5kは、保持部材8を継手筒5に対して軸線周りに同期回転可能とすると共に、一定以上の回転力(トルク)が付与されたときには当該同期回転を解除可能とする。当該同期回転を解除可能とすることにより、棒状塗布材Mが前進限に達し螺合部20の螺合作用が停止された後に、先筒3と継手筒5を相対回転させようとする力によって先筒3又は中筒4が分解してしまうことを防止できる。また、保持部材8は、その鍔部8bが仕切壁5eと中筒4とに軸線方向に挟み込まれることによって、継手筒5に軸線方向移動不能且つ同期回転可能に係合する。また、保持部材8の前側筒部8aには、移動体7が挿入されている。
【0038】
図9(a)は移動体7を前側から見た正面図であり、
図9(b)は移動体7の側面図である。移動体7は、例えば、POMで成形されると共に、丸棒状に形成されている。移動体7は、前側に設けられると共に塗布材保持部9に連結される連結部7aと、連結部7aから後方に延びる軸体部7bとを備える。連結部7aの外面、及び軸体部7bの外面には、軸線方向に延びる溝部7cが設けられる。溝部7cは、先筒3の内面に設けられた突条3kと共に、先筒3に対する移動体7の回り止めとして機能する。溝部7cは、例えば、移動体7の径方向に一対に設けられる。
【0039】
移動体7の連結部7aの前端には、後方に向かうに従って拡径するテーパ面7dが設けられている。また、連結部7aは、テーパ面7dよりも後方に、後方に向かうに従って徐々に拡径するテーパ面7eを有する環状突起7fと、環状突起7fの後方において環状突起7fよりも更に拡径する拡径部7gとを有する。環状突起7fと拡径部7gの間は、環状突起7f及び拡径部7gに対して縮径する縮径部7hとされている。
【0040】
軸体部7bは、連結部7aの後端から軸線方向に延在する軸体である。軸体部7bの外面には、螺合部20の他方を構成する雄螺子7jが形成されている。雄螺子7jは、軸体部7bの軸線方向の全体にわたって形成されている。以上のように構成される移動体7は、その環状突起7fが塗布材保持部9に挿入されると共に、拡径部7gの前端が塗布材保持部9の後端に当接して塗布材保持部9に軸線方向に係合する。移動体7は、その溝部7cが先筒3の内面に形成された突条3kに回転方向に係合する。また、移動体7は、保持部材8の前側に挿入され、雄螺子7jが螺合部20の一方を構成する保持部材8の突起8dに螺合する。
【0041】
図10(a)は塗布材保持部9を示す側面図である。
図10(b)は塗布材保持部9を前側から見た正面図である。塗布材保持部9は、先筒3に内挿されて棒状塗布材Mを保持する芯チャック押棒である。塗布材保持部9の材料は、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)である。
図10(a)及び
図10(b)に示されるように、塗布材保持部9は、前側に位置して棒状塗布材Mを把持する把持部9aと、把持部9aから後方に延びると共に移動体7を支持する支持部9bとを備える。軸線方向に沿って見た塗布材保持部9の形状は、非円形状とされており、例えば、角部が丸められると共に一方向に長く延びる長方形状とされている。
【0042】
把持部9aは、把持部9aと支持部9bとの連結部を成す基部9cと、基部9cから前方に延びると共に棒状塗布材Mを把持する複数のアーム9dを備える。棒状塗布材Mは複数のアーム9dの内側に把持される。各アーム9dの内側面にはアーム9dに沿って軸線方向に延びる突出部9eが設けられており、各突出部9eが棒状塗布材Mに嵌り込むことによって棒状塗布材Mが塗布材保持部9に適度に保持される。
【0043】
軸線方向に沿って見た各突出部9eの形状は、先端が丸められた三角形状とされている。各アーム9dは、前方に向かうに従って薄くなっている。具体的には、各アーム9dは、基部9cから前方に向かって順に、第1傾斜面9g及び第2傾斜面9jを有する。アーム9dの基部9cと第1傾斜面9gの間の部分、アーム9dの第1傾斜面9gと第2傾斜面9jの間の部分、及びアーム9dの第2傾斜面9jと前端9kの間の部分は、共に軸線方向に延在している。
【0044】
基部9cと第1傾斜面9gの間におけるアーム9dの厚さは、第1傾斜面9gと第2傾斜面9jの間におけるアーム9dの厚さよりも厚い。また、第1傾斜面9gと第2傾斜面9jの間におけるアーム9dの厚さは、第2傾斜面9jと前端9kの間におけるアーム9dの厚さよりも厚い。アーム9dの突出部9eの高さは軸線方向に沿って一定とされている。よって、第1傾斜面9gの天面に対する突出部9eの突出高さは、第2傾斜面9jの天面に対する突出部9eの突出高さよりも低い。
【0045】
塗布材保持部9の支持部9bは、基部9cから把持部9aの反対側(後方)に延びており、例えば有底筒状を成している。支持部9bは、その外面に設けられる凹部9qと、支持部9bの内外を連通する窓部9rと、塗布材保持部9の後端に設けられており塗布材保持部9を軸線方向に貫通する貫通孔9sとを有する。凹部9qの中心には、塗布材保持部9を型成形によって製造するときに、成形型の内部に樹脂等の材料を注入する注入口が配置される。貫通孔9sの後端部には、後方に向かうに従って拡径するテーパ面9tが設けられている。例えば、凹部9qは円形状とされており、窓部9rは軸線方向に長く延びる長方形状とされている。窓部9rと貫通孔9sとは互いに連通する。後方から見た貫通孔9sの形状は円形状とされている。
【0046】
塗布材保持部9は、その貫通孔9sに後方から移動体7が挿入される。塗布材保持部9は、窓部9rに移動体7の環状突起7fが貫通孔9sの内面を乗り越えて環状突起7fが窓部9rに嵌って窓部9rから外方に露出することにより、移動体7に軸線方向移動不能に係合する。また、非円形状である塗布材保持部9は、先筒3の非円形状とされた収容空間3nに入り込むことによって、先筒3に回転方向に係合し先筒3と共に同期回転する。
【0047】
ところで、継手筒5の仕切壁5eの後側には取付部材6が挿入される。
図11(a)は取付部材6を示す側面図であり、
図11(b)は取付部材6を
図11(a)とは異なる方向から見た側面図である。取付部材6は、例えば、PP(ポリプロピレン)によって構成されている。
図11(a)及び
図11(b)に示されるように、取付部材6は、前側から後側に向かうに従って徐々に縮径する筒状となっている。取付部材6は、前側に位置して継手筒5に挿入される挿入部6aと、挿入部6aから後方に延びると共に先端に塗布具Pが取り付けられる取付部6bとを備える。
【0048】
挿入部6aは、段付き円筒状とされている。挿入部6aの外面には、軸線方向に延在するローレット6cと、ローレット6cの後側に設けられた凹部6dと、凹部6dから突出すると共に前側にテーパ面6eを有する環状凸部6fと、環状凸部6fの後方において拡径する鍔部6gが設けられる。取付部6bは、本体2に収容部10を装着するための螺合部30の一方を構成する雄螺子6hを有する大径部6jと、大径部6jから後方に延びると共に塗布具Pが取り付けられる小径部6kとを備える。
【0049】
大径部6j及び小径部6kは共に軸線方向に延びる筒状を成している。大径部6jの雄螺子6hの前方には、雄螺子6hが設けられる取付部材6の外面から拡径する拡径部6rが設けられる。拡径部6rは鍔部6gの後側に設けられており、拡径部6rの径方向外側への突出高さは、鍔部6gの径方向外側への突出高さよりも低い。大径部6jと小径部6kの間には、大径部6jから小径部6kに向かって徐々に縮径する傾斜面6mが設けられる。
【0050】
傾斜面6mは、取付部材6の径方向内側に回転中心を有する円弧状の第1湾曲部6nと、第1湾曲部6nの大径部6jとの反対側に位置する平面部6pと、取付部材6の径方向外側に回転中心を有する円弧状の第2湾曲部6qとを含んでいる。大径部6jから小径部6kに向かって第1湾曲部6n、平面部6p及び第2湾曲部6qは、この順に設けられる。軸線方向に対する平面部6pの傾斜角度は、例えば、36°である。
【0051】
図2及び
図5に示されるように、取付部材6の内部には空間6vが設けられ、空間6vには塗布材Aの撹拌を促す撹拌部材Sが収容されている。撹拌部材Sの材料は、例えば、SUSであるが、樹脂であってもよく適宜変更可能である。撹拌部材Sは、取付部材6の内面における傾斜面6mから前側の部分に収容されている。撹拌部材Sは、例えば、ボールであり、球状に形成されている。撹拌部材Sは、塗布容器1に付与される振動に伴って空間6v内で移動することによって音を発する。取付部6bの小径部6kは、傾斜面6mから後方に延び出している。小径部6kの後端には、塗布具Pが挿入される開口6sが設けられている。
【0052】
取付部材6は、その挿入部6aが後方から継手筒5に挿入されてローレット6cが継手筒5の内面の突条5mに回転方向に係合すると共に、環状凸部6fが継手筒5の内面の環状凸部5qに軸線方向に係合することによって、継手筒5に軸線方向移動不能且つ回転不能に係合する。そして、取付部材6の鍔部6gは、継手筒5の後端に形成された環状凹部5pに入り込む。
【0053】
塗布具Pは、丸棒状を成しており、長手方向の一端に傾斜面P1を有する。傾斜面P1は、本体2の後端に設けられ、軸線方向に対して鋭角を成すように傾斜している。傾斜面P1は、例えば、平坦状とされている。塗布具Pは、傾斜面P1を有する大径部P2と、大径部P2から前方に延びる小径部P3とを有する。小径部P3は、取付部材6の開口6sに挿入される部位である。小径部P3の外面には、塗布具Pを取付部材6に係合すると共に前側にテーパ面を有する環状凸部P5が設けられる。塗布具Pは、その小径部P3が後側から取付部材6の開口6sに挿入されて環状凸部P5が開口6s内の環状凸部を前側に乗り越えることにより、取付部材6に軸線方向に係合する。
【0054】
次に、取付部材6に取り付けられると共に塗布材Aが収容された収容部10について説明する。収容部10は、塗布材Aが充填された有底筒状の充填部11と、充填部11を包囲すると共に取付部材6に取り付けられるカバー12と、塗布具P、及び取付部材6の小径部6kを扱いて塗布具P及び小径部6kに余剰に付着した塗布材Aを掻き取る軟質材のワイパー13とを備える。
【0055】
図12は、充填部11を示す側面図である。充填部11は、例えば、PPによって構成されている。
図12に示されるように、充填部11は、有底円筒状に形成される。充填部11の内面は、凹凸等がなく、滑らかな平滑面とされている。充填部11の内面は、滑らかに円筒穴状に湾曲する内側面11aと、内側面11aの後端に位置する平坦状の底面11bとによって構成される。
【0056】
充填部11の外面の前側は、凹凸等がなく、滑らかな平滑面とされている。充填部11は、その前側の一端11gにワイパー13が挿入される開口11hを有する。充填部11の外面の後側は、充填部11の後端において径方向外側に突出する拡径部11cと、拡径部11cの前方に位置すると共に前側にテーパ面11dを有する環状凸部11eと、テーパ面11dから前方に軸線方向に延びる複数の凸部11fとを備える。拡径部11cの後端は僅かに丸みを帯びている。凸部11fは、例えば、4つ設けられており、4つの凸部11fは周方向に等間隔に設けられる。凸部11fの突出形状は、例えば、円弧状である。
【0057】
図13(a)はワイパー13を示す側面図であり、
図13(b)はワイパー13を後側から見た図であり、
図14は
図13(a)のC−C線断面図である。ワイパー13は、ゴム材料によって構成されている。ワイパー13の硬さについては、例えば、JIS6253(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム 硬さの求め方)において規定されているタイプAデュロメータによる硬さが40以上且つ80以下(一例として60)とされている。
【0058】
図13(a)、
図13(b)及び
図14に示されるように、ワイパー13は、段付き円筒状とされている。ワイパー13は、後方に延びる筒状の延在部13aと、延在部13aの前端において径方向外側に突出する第1突出部13bと、第1突出部13bの前端から更に前方に突出する第2突出部13cと、延在部13a及び第1突出部13bから径方向内側に突出する扱き部13dとを備える。
【0059】
延在部13aは、第1突出部13bの後端から軸線方向に延びる第1側面13eと、第1側面13eの後端からワイパー13の径方向内側に傾斜する第1テーパ面13fと、第1テーパ面13fの後端から軸線方向に延びる第2側面13gと、第2側面13gの後端からワイパー13の径方向内側に傾斜する第2テーパ面13hとを有する。第2テーパ面13hの後端はワイパー13の後端に相当する。
【0060】
ワイパー13は塗布具P及び取付部材6が挿入される貫通孔13rを有し、貫通孔13rは軸線方向にワイパー13を貫通している。ワイパー13の延在部13aの内面は、滑らかに円筒穴状に湾曲する内周面13jと、内周面13jの前端から径方向内側に突出する扱き部13dとによって構成される。扱き部13dは、内周面13jの前端に位置する第1平面部13kと、第1平面部13kの径方向内側の端部から延びる第1延在部13mと、第1延在部13mの後端に位置する環状部13nと、環状部13nから前側に延びる第2平面部13pと、第2平面部13pの前端から第1突出部13bに向かって延びる湾曲部13qとを備える。
【0061】
第1平面部13kは、内周面13jの前端から径方向内側に延びている。第1延在部13mは、第1平面部13kの径方向内側の端部から後方且つ径方向内側に斜めに延びている。環状部13nは、第1延在部13mの後端において平坦状に形成される。第2平面部13pは、環状部13nの径方向内側の端部から前側に延びている。湾曲部13qは、第2平面部13pの前端から第1突出部13bに向かうと共に、扱き部13dが膨らむように前方且つ径方向外側に湾曲している。貫通孔13rに挿入される塗布具P及び取付部材6は湾曲部13q及び第2平面部13pに接触して後方に進入し、貫通孔13rから前方に抜かれる取付部材6と塗布具Pは主に第2平面部13pに当接しながら抜かれることによってワイパー13に扱かれる。
【0062】
第1突出部13bは、延在部13aの前端から径方向外側に延びる突出面13sと、突出面13sの径方向外側の端部から前側に延びる平坦面13tと、平坦面13tの前端から縮径するテーパ面13zとを有する。第2突出部13cは、前側に延びる突出面13uと、突出面13uの前端から径方向内側に延びる環状面13vと、環状面13vの径方向内側の端部から後方且つ径方向内側に斜めに延びる傾斜面13wとを有する。
【0063】
図15(a)はカバー12を示す部分断面図であり、
図15(b)はカバー12を、軸線Lを含む平面で切断したときの縦断面図である。カバー12は、筒状とされており、例えば、ABS樹脂によって構成されている。カバー12は、例えば円筒状とされている。カバー12の外面は、凹凸等を有しない平滑面とされており、具体的には、後方に向かうに従って徐々に拡径する傾斜面12aとされている。傾斜面12aの後端(カバー12の後端)には、傾斜面12aから径方向内側に湾曲して延びると共に丸みを帯びた湾曲部12bが形成されている。
【0064】
カバー12の内面12qの後側には、カバー12の後端12mから前方に延びる環状凹部12nと、環状凹部12nの前側に位置する環状凸凹部12pとが設けられる。カバー12の内面12qの軸線方向中央付近は、凹凸等を有しない平滑面12cとされている。軸線方向に対する内面12qの傾斜角度は、軸線方向に対する傾斜面12aの傾斜角度よりも小さい。よって、カバー12の傾斜面12a及び内面12qが形成された部分は、後方に向かうに従って徐々に厚くなっている。
【0065】
カバー12の内面12qの前側には、平滑面12cから径方向内側に突出する壁部12dと、壁部12dよりも前方に設けられて螺合部30の他方を構成する雌螺子12eとが設けられる。雌螺子12eは、カバー12の内面12qから径方向内側に突出する螺旋状の突起12fによって構成されている。カバー12は、突起12fが螺合部30の一方を構成する雄螺子6hに螺合することによって取付部材6に装着される。
【0066】
図16は、カバー12の壁部12dを拡大した図である。
図15(a)、
図15(b)及び
図16に示されるように、壁部12dは、例えば、複数設けられており、複数の壁部12dは、カバー12の周方向に沿って並設される。換言すれば、壁部12dは、カバー12の周方向に沿って間欠的に形成されている。壁部12dは、雌螺子12eが設けられる部分から後方に向かうに従って径方向内側に突出する頂面12gと、頂面12gの後端から径方向外側且つ前側に折り返される湾曲部12hと、湾曲部12hから径方向外側且つ前側に斜めに延びる傾斜面12jと、傾斜面12jの径方向外側の端部から更に径方向外側に延びる平坦部12kとを有する。
【0067】
例えば、複数の壁部12dは周方向に等間隔に配置されており、壁部12dの個数は12である。また、壁部12dの頂面12gは、軸線Lに沿って延びており、例えば、軸線Lに対して平行に延びている。但し、頂面12gは、軸線Lに対して平行に延びていなくてもよく、例えば、後方に向かうに従って軸線から離れる方向に傾斜していてもよい。
【0068】
図17(a)は、充填部11、カバー12及びワイパー13を備える収容部10を、軸線Lを含む平面で切断したときの縦断面図である。
図17(b)は、
図17(a)の壁部12d、第1突出部13b、及び充填部11の一端11gを拡大した断面図である。ワイパー13は、その延在部13aが前側から充填部11の開口11hに挿入されて第1側面13eの全体が充填部11の内側面11aに密着すると共に第1突出部13bの突出面13sが一端11gに当接する。
【0069】
上記のようにワイパー13が装着された充填部11は、後側からカバー12に挿入される。カバー12に挿入されたワイパー13及び充填部11は、ワイパー13の第2突出部13cがカバー12の壁部12dに軸線方向に当接した状態でカバー12に軸線方向に係合する。具体的には、充填部11及びワイパー13は、環状凸部11eがカバー12の環状凸凹部12pの凹の部分に嵌り込むことによってカバー12に軸線方向に係合する。なお、カバー12に軸線方向に係合した充填部11の後端11jの前後方向位置は、カバー12の後端12mの前後方向位置と略一致する(又は、後端12mよりも若干前側である)。
【0070】
そして、充填部11に装着されたワイパー13は、その第2突出部13cの環状面13v及び傾斜面13wが壁部12dの湾曲部12h及び傾斜面12jに入り込むことにより、カバー12に軸線方向に押圧されると共に壁部12dに密着する。ワイパー13の第1突出部13bを除く部分である延在部13aの外面は充填部11の内側面11aに気密状態となるように密着する。このように充填部11に装着されたワイパー13がカバー12に軸線方向に押圧されることにより、ワイパー13の第1突出部13bは複数の壁部12dのそれぞれと充填部11の開口11h側の一端11gとの間に軸線方向に挟み込まれる。第1突出部13bは、カバー12の内面12qに気密状態となるように密着する。
【0071】
次に、
図2及び
図5を参照しながら塗布容器1の棒状塗布材Mを繰り出す手順について説明する。塗布容器1は、
図2に示される初期状態において、キャップCが取り外されて先筒3が露出した後、先筒3と継手筒5が棒状塗布材Mの繰り出し方向である一方向(例えば時計回り)に相対回転される。先筒3と継手筒5が一方向に相対回転されると、先筒3に対して同期回転する移動体7と、継手筒5に対して同期回転する保持部材8とが一方向に相対回転される。
【0072】
この相対回転により、先筒3と中筒4とが相対回転することから、先筒3と中筒4の間において付与される回転抵抗に応じた回転トルクで相対回転が行われる。また、移動体7の雄螺子7jと保持部材8の螺旋状の突起8dとによって構成された螺合部20の螺合作用が働く。また、移動体7の溝部7cと先筒3の内面の突条3kとが先筒3に対する移動体7の回り止めとして機能すると共に、保持部材8は継手筒5に対して後退が規制されていることから、上記の相対回転によって移動体7は先筒3に対して前側に摺動する。このように、先筒3に対して移動体7と共に塗布材保持部9が前進すると、棒状塗布材Mが先筒3の先端の開口3bから出現して棒状塗布材Mを使用可能な状態とされる。
【0073】
続いて、本実施形態に係る塗布容器1から得られる作用効果について詳細に説明する。
図2及び
図17に示されるように、塗布容器1では、軸線方向の一端11gに開口11hを有する有底筒状の充填部11が筒状のカバー12に収容されており2重筒状を呈する。カバー12の内面12qの軸線方向の一端側には雌螺子12eが形成され、充填部11に挿入される塗布具Pを有する本体2(取付部材6)には雄螺子6hが形成されている。塗布具Pが充填部11に挿入された状態で本体2の雄螺子6hがカバー12の内面12qの雌螺子12eに螺合することによってカバー12に本体2が装着される。
【0074】
充填部11の開口11h及びカバー12の内面12qには軟質材によって構成されたワイパー13が固定されており、ワイパー13は、径方向外側に突出する第1突出部13bを備える。また、カバー12の内面12qには、充填部11の開口11h側の端部(一端11g)とワイパー13の第1突出部13bを軸線方向に挟み込む壁部12dが設けられており、第1突出部13bは、カバー12の内面12qの壁部12dと、充填部11の開口11h側の一端11gとの間に挟み込まれた状態で固定される。
【0075】
従って、ワイパー13の第1突出部13bがカバー12の内面12qの壁部12dと充填部11の一端11gとの間に軸線方向に挟み込まれるので、ワイパー13の第1突出部13bに軸線方向への力をかかりにくくすることができる。すなわち、軸線方向への力からワイパー13を保護することができる。その結果、カバー12の内面12q及び充填部11に対するワイパー13の位置ずれを抑制することができるので、ワイパー13の脱落を抑制することができる。
【0076】
また、ワイパー13は、カバー12側(壁部12d側)の面から軸線方向(前側)に突出する第2突出部13cを有する。第2突出部13cは、壁部12dに対して軸線方向に入り込む。従って、壁部12dからの第2突出部13cの抜けを抑制することができるので、ワイパー13の脱落を抑制することができる。具体的には、第2突出部13cに径方向内側への力が付与されても壁部12dによって第2突出部13cの径方向内側への移動が阻止されるので、壁部12dから径方向内側への第2突出部13cの抜けを抑制することができる。その結果、ワイパー13の脱落をより確実に抑制することができる。なお、本実施形態では、第2突出部13cが径方向外側に向かうに従って軸線方向に突出していたが、第2突出部の形状は、第2突出部13cの形状に限られない。例えば、第2突出部は、軸線方向に矩形状に突出していてもよい。
【0077】
また、壁部12dは、カバー12の内面12qにおいて周方向に沿って複数設けられている。これにより、壁部12dがカバー12の内面12qにおいて周方向に沿って間欠的に設けられるので、カバー12の肉厚は比較的一定となり、型成形によってカバー12を製造するときに生じうる所謂ヒケを抑制することができる。また、複数の壁部12dと充填部11の一端11gとの間にワイパー13の第1突出部13bを挟み込むことができるので、複数の壁部12dを周方向に沿って間欠的に形成した場合であっても確実にワイパー13の脱落を抑制することができる。
【0078】
また、
図2及び
図5に示されるように、塗布容器1は、本体2の塗布具Pとの反対側に軸線方向に延びる棒状塗布材Mを備え、本体2は、棒状塗布材Mを軸線方向に繰り出す繰り出し機構15を備える。このように、塗布容器1では、充填部11の内部に液状又は粉体状等の塗布材Aを充填させると共に、棒状塗布材Mを備えるため、1つの塗布容器1で複数種類の塗布材を具備することができる。また、本体2の塗布具Pとの反対側に棒状塗布材Mを繰り出す繰り出し機構15を備えることにより、棒状塗布材Mを塗布具Pの反対側に繰り出すことができる。
【0079】
また、本体2は塗布具Pが取り付けられる筒状の取付部材6を備え、取付部材6の内部には撹拌部材Sが設けられている。撹拌部材Sは、本体2の振動に伴って取付部材6の内面に衝突して衝突音を発する。このように振動に伴って撹拌部材Sが衝突音を発することにより、塗布容器1の使用者に塗布容器1の振動を促すことができる。すなわち、使用者は撹拌部材Sの衝突音を聞くと塗布容器1を振りたくなるという特性を利用して塗布容器1の振動を促すことができる。従って、塗布容器1の振動によって撹拌部材Sによる塗布材Aの撹拌を促進させることができる。
【0080】
また、ワイパー13はゴム材料によって構成されており、JIS6253(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム 硬さの求め方)において規定されているタイプAデュロメータによるワイパー13の硬さが40以上且つ80以下である。よって、取付部材6と塗布具Pに対するワイパー13の硬さが適正となるため、ワイパー13から取付部材6及び塗布具Pに適度な弾性力を付与しながら取付部材6及び塗布具Pを引くことができる。従って、取付部材6及び塗布具Pを適度な力で扱くことができる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る塗布容器について、
図18(a)、
図18(b)、
図19(a)及び
図19(b)を参照しながら説明する。第2実施形態では、カバー22の構成が第1実施形態のカバー12とは異なっている。以下では、説明の重複を回避するため、第1実施形態と重複する内容の説明は適宜省略する。
【0082】
カバー22の内面12qの前側には、径方向内側に突出する壁部22dが設けられる。壁部22dは、例えば、1つ設けられており、カバー22の周方向に沿って全周に形成されている。なお、本明細書において、「周方向に沿って全周に形成されている壁部」は、周方向の全体に延びている壁部、及び周方向の全体に延びているものの周方向の一部に間欠部を有する壁部の両方を含む。すなわち、「周方向に沿って全周に形成されている壁部」は、カバーの内面における周方向の一部に突出しない部位を有する壁部を含んでいる。
【0083】
壁部22dは、後方に向かうに従ってカバー22の外面22aから離間する方向(外面22aに対して径方向内側、及びカバー22が厚くなる方向)に延びる内側面22gと、内側面22gの後端から径方向外側且つ前側に折り返される湾曲部22hと、湾曲部22hから径方向外側且つ前側に斜めに延びる傾斜面22jと、傾斜面22jの径方向外側の端部から更に径方向外側に延びる平坦部22kとを有する。内側面22gは、軸線Lに沿って延びており、例えば、軸線Lに対して平行に延びている。但し、内側面22gは、軸線Lに対して平行に延びていなくてもよく、例えば、後方に向かうに従って軸線Lから離れる方向に傾斜していてもよい。充填部11に装着されたワイパー13は、第1実施形態と同様に、カバー22に軸線方向(前側)に押圧され、ワイパー13の第1突出部13bは壁部22dと充填部11の一端11gとの間に軸線方向に挟み込まれる。
【0084】
以上、第2実施形態に係る塗布容器では、第1突出部13bは、カバー22の内面12qの壁部22dと、充填部11の開口11h側の一端11gとの間に軸線方向に挟まれた状態で固定される。従って、ワイパー13の第1突出部13bに軸線方向への力をかかりにくくすることができるので、カバー22の内面12q及び充填部11に対するワイパー13の位置ずれを抑制することができる。その結果、ワイパー13の脱落を抑制することができるので、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0085】
更に、第2実施形態では、カバー22の内面12qにおいて壁部22dがカバー22の周方向の全体に延びているので、ワイパー13(第2突出部13c)に対する壁部22dの接触面積を多く確保することができる。従って、ワイパー13の脱落を更に確実に抑制することができると共に、ワイパー13による気密性を一層高めることができる。
【0086】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る塗布容器について、
図20(a)、
図20(b)、
図21(a)及び
図21(b)を参照しながら説明する。第3実施形態では、カバー32及びワイパー33の構成が第2実施形態と異なっている。以下では、前述した各実施形態と重複する説明を適宜省略する。
【0087】
カバー32は、カバー22と同様、壁部32dを備えており、壁部32dは、カバー32の周方向に沿って全周に形成されている。壁部32dは、後方に向かうに従ってカバー32の外面32aから離間する方向に延びる内側面32gと、内側面32gの後端から径方向外側に曲がる湾曲部32hと、湾曲部32hから径方向外側に延びる平坦面32kとを有する。軸線方向に対する平坦面32kの角度は、例えば、90°である。内側面32gは、内側面22gと同様、軸線Lに沿って延びており、例えば、軸線Lに対して平行に延びていてもよいし、後方に向かうに従って軸線Lから離れる方向に傾斜していてもよい。
【0088】
ワイパー33は、第2突出部13cに相当する部位を有しない点がワイパー13と異なっている。ワイパー33は、延在部13aの前端において径方向外側に突出する第1突出部33bを有する。第1突出部33bは、延在部13aの前端から径方向外側に延びる突出面33sと、突出面33sの径方向外側の端部から前側に延びる平坦面33eと、平坦面33eの前端から径方向内側に延びる環状面33vとを有する。平坦面33eに対する環状面33vの角度は、例えば、軸線方向に対する平坦面32kの角度と同一であり、90°である。
【0089】
ワイパー33は、前述した各実施形態と同様、充填部11に装着され、充填部11に装着されたワイパー33は、カバー32に軸線方向に押圧される。ワイパー33の第1突出部33bは壁部32dと充填部11の一端11gとの間に軸線方向に挟み込まれる。具体的には、第1突出部33bの平坦面33eがカバー32の内面12qに密着すると共に、突出面33sに一端11gが当接し、且つ環状面33vに壁部32dの平坦面32kが当接する。
【0090】
以上、第3実施形態に係る塗布容器では、第1突出部33bは、カバー32の壁部32dと、充填部11の一端11gとの間に軸線方向に挟まれた状態で固定されるので、第1突出部33bに軸線方向への力をかかりにくくすることができる。従って、カバー32及び充填部11に対するワイパー33の位置ずれを抑制することができるので、前述した各実施形態と同様、ワイパー33の脱落を抑制することができる。
【0091】
以上、本発明に係る塗布容器の各実施形態について説明したが、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形してもよい。すなわち、塗布容器の各部品の構成は、上記の要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。例えば、前述の実施形態では、第1〜第3実施形態において、種々の形状を備えるカバー及びワイパーについて説明したが、上記の要旨の範囲内であれば、カバー及びワイパーの形状を更に変更することも可能である。また、カバー及びワイパーの大きさ、材料及び配置態様を適宜変更することも可能であり、充填部の形状、大きさ、材料及び配置態様も適宜変更可能である。
【0092】
また、前述の各実施形態では、
図5に示されるように、傾斜部M1、一対の平坦面M2、及び軸線方向に延びる側面M3を備えた棒状塗布材Mについて説明した。しかしながら、棒状塗布材の形状、大きさ、材料及び配置態様は適宜変更可能である。更に、前述の実施形態では、先筒3、中筒4、継手筒5、取付部材6、移動体7、保持部材8及び塗布材保持部9を備える本体2について説明した。しかしながら、本体を構成する部品の構成は適宜変更可能である。また、先筒、中筒、継手筒、取付部材、移動体、保持部材及び塗布材保持部の形状、大きさ、材料及び配置態様も適宜変更可能である。