【実施例1】
【0032】
以下に、本発明の第1実施例である飲料殺菌ユニット100を備えたウォータサーバW10について、
図1に基づいて説明し、飲料殺菌ユニット100について、
図2および
図3に基づいて説明する。
ここで、
図1は、本発明の第1実施例である飲料殺菌ユニット100を備えたウォータサーバW10の概略を示す正面一部断面図であり、
図2は、本発明の第1実施例である飲料殺菌ユニット100の概略を示す斜視図であり、
図3は、
図2の符号3−3で視た断面図である。
【0033】
本発明の第1実施例であるウォータサーバW10は、
図1に示すように、水道水WT1を貯める水容器W11と、水道水WT1を浄化する浄化カートリッジW12と、浄化水WT2を貯める浄化水貯留容器W13と、浄化水WT2の温度を変更自在なウォータサーバ本体W14とを備えている。
このうち、水容器W11は、上方に開口した開口部(水道水WT1の注入口)W11baを有する水容器本体W11bと、開口部W11baを開閉自在な蓋W11aとを備えている。
水容器本体W11bの底壁W11bcには、開口穴W11bdが形成され、浄化カートリッジW12が、開口穴W11bdに貫通して嵌め込まれている。
浄化水貯留容器W13は、ウォータサーバ本体W14の上方にある水容器W11の真下に設置され、浄化カートリッジW12の内部の通水路を流下して浄化された浄化水WT2を一時的に貯留するように構成されている。
【0034】
ウォータサーバ本体W14は、温水タンクW14aと、冷水タンクW14bと、温水用蛇口W14cと、常温水用蛇口W14dと、冷水用蛇口W14eとを備えている。
このうち、温水タンクW14aは、浄化水貯留容器W13と第1配管W14fを介して接続され、浄化水貯留容器W13からこの温水タンクW14aに浄化水WT2が供給されるように構成されている。
さらに、温水タンクW14aは、内部に貯留した浄化水WT2を所定温度に加熱する加熱手段を有している。
また、温水タンクW14aは、図示しない配管を介して温水用蛇口W14cに接続され、この温水用蛇口W14cを開栓することで、温水タンクW14aの内部の温水がこの温水用蛇口W14cを通ってユーザに供給されるように設けられている。
【0035】
冷水タンクW14bは、浄化水貯留容器W13と第2配管W14gを介して接続され、第2配管W14gの経路上には、詳しくは後述する飲料殺菌ユニット100が設けられている。
そして、浄化水貯留容器W13からこの冷水タンクW14bに殺菌された浄化水WT2が供給されるように構成されている。
さらに、冷水タンクW14bは、内部の浄化水WT2を冷却する冷却手段を有している。
【0036】
また、冷水タンクW14bは、図示しない配管を介して冷水用蛇口W14eに接続され、この冷水用蛇口W14eを開栓することで、冷水タンクW14bの内部の冷水がこの冷水用蛇口W14eを通ってユーザに供給されるように設けられている。
なお、本実施例では、第2配管W14gの経路上に飲料殺菌ユニット100を設けたが、冷水タンクW14bと冷水用蛇口W14eとを接続する配管(図示せず)の経路上に飲料殺菌ユニット100を設けてもよい。
【0037】
常温水用蛇口W14dは、第3配管W14hを介して浄化水貯留容器W13に接続され、第3配管W14hの経路上には、詳しくは後述する飲料殺菌ユニット100が設けられている。
そして、常温水用蛇口W14dを開栓することで、浄化水貯留容器W13の内部の常温水が飲料殺菌ユニット100を通過するときに殺菌され、この常温水用蛇口W14dを通ってユーザに供給されるように設けられている。
なお、温水用蛇口W14c〜冷水用蛇口W14eの下には、これらの温水用蛇口W14c〜冷水用蛇口W14eからこぼれ落ちた水を受ける水受皿W14iが設置されている。
また、本実施例では、ウォータサーバW10が、温水タンクW14aおよび冷水タンクW14bの両方を備えているが、温水タンクW14aまたは冷水タンクW14bの何れか一方のみを備えるものであってもよい。
【0038】
以上の構成を備えるウォータサーバW10において、
図1に示すように、ピッチャーPTなどを使って水道水WT1が水容器W11の開口部W11baから注入されると、水道水WT1は、水容器W11の底に設置されている浄化カートリッジW12の内部に導入される。
浄化カートリッジW12の内部に導入された水道水WT1は、浄化カートリッジW12の各浄水エレメント(図示せず)を通過する毎に、それぞれの処理が施される。
【0039】
そして、浄化カートリッジW12を通過する水道水WT1は、最下位置の浄水エレメント容器(図示せず)より浄化水貯留容器W13の内部に排出され、浄化水WT2としてこの浄化水貯留容器W13で一時的に貯留される。
冷水用蛇口W14eまたは温水用蛇口W14cが開栓されると、温水タンクW14aまたは冷水タンクW14bの内部の水が外に排出されるが、このとき、温水タンクW14a、冷水タンクW14bの内部の水量の低下に伴って浄化水貯留容器W13の内部の浄化水WT2が温水タンクW14a、冷水タンクW14bの内部にそれぞれ供給される。
【0040】
図2および
図3に示すように、飲料殺菌ユニット100は、正円筒形の筒状貯留部110と、筒状貯留部110の上流側に設置された流入口111と、筒状貯留部110の下流側に設置された流出口112と、筒状貯留部110の側方に設置された紫外線発光素子としての発光ダイオード素子120と、筒状貯留部110の側面に設置された拡散レンズとしての平凸レンズ140とを備えている。
ここで、「平凸レンズ」とは、発光ダイオード素子120からの光が入射する発光ダイオード素子側に平坦面と、入射した光が出射する側に凸状球面とを有したレンズをいう。
【0041】
具体的には、発光ダイオード素子120は、基板130に取付けられ、平凸レンズ140側に、素子一体レンズ121を有している。
基板130は、発光ダイオード素子120を配設するとともに、図示しない電源から発光ダイオード素子120へ電力を供給するように構成されている。
また、平凸レンズ140は、基板130側に平坦面と、筒状貯留部110側に向かって凸状の凸状球面とを有して、発光ダイオード素子120の光を拡散するように構成されている。
【0042】
さらに、平凸レンズ140は、円環状のレンズつば部141を有し、レンズつば部141が筒状貯留部110に当接するようにして、平凸レンズ140は、筒状貯留部110の側方に形成されたレンズ挿通穴114に嵌合されている。
本実施例では、発光ダイオード素子120、平凸レンズ140、および基板130が、2セット設けられており、一方の平凸レンズ140Aが、発光ダイオード素子120Aからの紫外線を流入口111に直接照射するように設けられている。
【0043】
これにより、発光ダイオード素子120Aの点発光の紫外線光のビーム角が平凸レンズ140Aによって大きくなってビームが太くなり、浄化水WT2が流れるときに流入口111で確実に紫外線が直接照射されて通過しようとする菌などが確実に殺菌される。
同様に、他方の平凸レンズ140Bが、発光ダイオード素子120Bからの紫外線を流出口112に直接照射するように設けられている。
これにより、浄化水WT2が流れるときに流出口112で確実に紫外線が直接照射されて通過しようとする菌などが確実に殺菌される。
【0044】
さらに、本実施例では、流入口111の開口面積S1が、筒状貯留部110の流体流れ方向から視た断面積S2より小に設けられている。
また、流入口111における紫外線被照射面積S3が、筒状貯留部110の断面積S2より小であって流入口111の開口面積S1より大に設けられている。
そして、紫外線被照射範囲内に流入口111が位置している。
これにより、流入口111において隙間無く紫外線が照射される。
つまり、流入口111において殺菌漏れがない。
【0045】
同様に、流出口112の開口面積S4が、筒状貯留部110の流体流れ方向から視た断面積S2より小に設けられている。
また、流出口112における紫外線被照射面積S5が、筒状貯留部110の断面積S2より小であって流出口112の開口面積S4より大に設けられている。
そして、紫外線被照射範囲内に流出口112が位置している。
これにより、流出口112において隙間無く紫外線が照射される。
つまり、流出口112において殺菌漏れがない。
【0046】
さらに、本実施例では、一方の平凸レンズ140Aおよび発光ダイオード素子120Aが、流体流れ方向に対して直交方向に向けて設置されている。
さらに、平凸レンズ140Aの中心C2が、発光ダイオード素子120Aの中心C1に対して流体流れ方向上流側に偏倚し、平凸レンズ140Aから出射される紫外線が、流入口111に直接照射されている。
これにより、筒状貯留部110に対して平凸レンズ140Aおよび発光ダイオード素子120Aを流体流れ方向に傾けて設置する必要がない。
【0047】
さらに、平凸レンズ140Aと発光ダイオード素子120Aとの相対的な位置関係を調整するだけで流入口111における照射位置および照射範囲が変わる。
つまり、筒状貯留部110と平凸レンズ140Aとの相対的な姿勢や位置関係を変更することなく容易に流入口111における照射位置および照射範囲が調整自在となる。
なお、基板130Aを固定するネジ等を緩めることにより、筒状貯留部110に対する基板130Aの位置が変更・調整自在に設けられ、平凸レンズ140Aに対する発光ダイオード素子120Aの位置が変更・調整自在となっているものとする。
【0048】
同様に、他方の平凸レンズ140Bおよび発光ダイオード素子120Bが、流体流れ方向に対して直交方向に向けて設置されている。
さらに、平凸レンズ140Bの中心C2が、発光ダイオード素子120Bの中心C1に対して流体流れ方向下流側に偏倚し、平凸レンズ140Bから出射される紫外線が、流出口112に直接照射されている。
これにより、筒状貯留部110に対して平凸レンズ140Bおよび発光ダイオード素子120Bを流体流れ方向に傾けて設置する必要がない。
さらに、平凸レンズ140Bと発光ダイオード素子120Bとの相対的な位置関係を調整するだけで流出口112における照射位置および照射範囲が変わる。
【0049】
また、本実施例では、筒状貯留部110の内側面113が、紫外線を乱反射自在にサンドブラスト加工されている。
これにより、平凸レンズ140から出射された紫外線のうち、流入口111および流出口112に直接照射されなかった紫外線が筒状貯留部110の内側面113で乱反射して間接的に流入口111または流出口112へ照射される。
つまり、殺菌効率がより一層高まる。
なお、本実施例では、筒状貯留部110の内側面113にサンドブラスト加工を施したが、鏡面加工を施して、筒状貯留部110の内側面113を鏡面状にし、内側面113が紫外線を反射自在に設けてもよい。
【0050】
さらに、本実施例では、発光ダイオード素子120が、紫外線の中でも特に所謂UV−Cである100〜280nmの波長の深紫外線を出射する構成である。
ここで、紫外線の中でも特に所謂UV−Cである100〜280nmの波長の深紫外線は殺菌効果に優れた特性を有している。
【0051】
このようにして得られた本発明の第1実施例である飲料殺菌ユニット100は、筒状貯留部110の側面に設置された拡散レンズとしての平凸レンズ140が、紫外線発光素子としての発光ダイオード素子120からの紫外線を流入口111および流出口112の少なくとも一方に直接照射することにより、清潔で安全な飲料を提供することができる。
【0052】
さらに、流入口111の開口面積S1が、筒状貯留部110の流体流れ方向から視た断面積S2より小に設けられ、流入口111における紫外線被照射面積S3が、筒状貯留部110の断面積S2より小であって流入口111の開口面積S1より大に設けられていることにより、流入口111においてより確実に殺菌することができる。
【0053】
また、流出口112の開口面積S4が、筒状貯留部110の流体流れ方向から視た断面積S2より小に設けられ、流出口112における紫外線被照射面積S5が、筒状貯留部110の断面積S2より小であって流出口112の開口面積S4より大に設けられていることにより、流出口112においてより確実に殺菌することができる。
【0054】
さらに、平凸レンズ140Aおよび発光ダイオード素子120Aが、流体流れ方向に対して直交方向に向けて設置されているとともに、平凸レンズ140Aの中心C2が、発光ダイオード素子120Aの中心C1に対して流体流れ方向上流側に偏倚し、平凸レンズ140Aから出射される紫外線が、流入口111に直接照射されていることにより、筒状貯留部110に対する平凸レンズ140Aおよび発光ダイオード素子120Aの取付け構造を簡素化するとともに、筒状貯留部110と平凸レンズ140Aとの相対的な姿勢や位置関係を変更することなく容易に流入口111における照射位置および照射範囲を調整することができる。
【0055】
また、平凸レンズ140Bおよび発光ダイオード素子120Bが、流体流れ方向に対して直交方向に向けて設置されているとともに、平凸レンズ140Bの中心C2が、発光ダイオード素子120Bの中心C1に対して流体流れ方向下流側に偏倚し、平凸レンズ140Bから出射される紫外線が、流出口112に直接照射されていることにより、筒状貯留部110に対する平凸レンズ140Bおよび発光ダイオード素子120Bの取付け構造を簡素化するとともに、筒状貯留部110と平凸レンズ140Bとの相対的な姿勢や位置関係を変更することなく容易に流出口112における照射位置および照射範囲を調整することができる。
【0056】
さらに、筒状貯留部110の内側面113が、紫外線を乱反射自在にサンドブラスト加工されていることにより、殺菌効率をより一層高めることができる。
また、紫外線発光素子が、発光ダイオード素子120であることにより、長期に亘って殺菌することができるなど、その効果は甚大である。
【実施例2】
【0057】
続いて、本発明の第2実施例である飲料殺菌ユニット200について、
図4および
図5に基づいて説明する。
ここで、
図4は、本発明の第2実施例である飲料殺菌ユニット200の要部を示す分解斜視図であり、
図5は、本発明の第2実施例である飲料殺菌ユニット200の要部を示す断面図である。
第2実施例の飲料殺菌ユニット200は、第1実施例の飲料殺菌ユニット100の平凸レンズ140と基板130との間にレンズスペーサを設置したものであり、多くの要素について第1実施例の飲料殺菌ユニット100と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略し、下2桁が共通する200番台の符号を付すのみとする。
【0058】
図4および
図5に示すように、レンズスペーサ250は、平凸レンズ240と基板230との間に配設され、発光ダイオード素子220を収容するダイオード収容孔251を有している。
これにより、発光ダイオード素子220から平凸レンズ240までの距離が調整可能となる。
なお、発光ダイオード素子220から平凸レンズ240までの距離を変更するには、レンズスペーサ250の厚みを変更すればよい。
また、ダイオード収容孔251の周壁251aが、発光ダイオード素子220からの紫外線を反射自在に設けられている。
これにより、発光ダイオード素子220の周囲がダイオード収容孔251の周壁251aで囲まれて配光+90度方向および配光−90度方向への散乱光の漏れが殆どなくなる。
本実施例において、配光分布の0度は、発光ダイオード素子220に対して真正面である。
【0059】
また、本実施例では、レンズスペーサ250が、高反射率樹脂など、発光ダイオード素子220からの紫外線を透過しない材料で形成されている。
これにより、ダイオード収容孔251の周壁251aで発光ダイオード素子220からの紫外線が反射される。
なお、紫外線を透過する材料でレンズスペーサ250を形成する場合は、ダイオード収容孔251の周壁251aを銀メッキ加工して発光ダイオード素子220からの紫外線を透過しないようにしてもよい。
さらに、本実施例では、周壁251aが、基板230側から平凸レンズ240側へ向かって漸次拡がるテーパ状に形成されている。
これにより、配光+90度方向および配光−90度方向への散乱光が、平凸レンズ240へ反射する。
【0060】
また、本実施例では、周壁251aが、鏡面仕上げされている。
これにより、配光+90度方向および配光−90度方向への散乱光が、平凸レンズ240へ殆どロス無く反射する。
つまり、発光ダイオード素子220からの散乱光を含めた紫外線が無駄なく平凸レンズ240へ照射され集光率が略100%となる。
また、上述した実施例1と比べて集光率が約30%向上する。
すなわち、本実施例のレンズスペーサ250を用いることにより、集光率が約30%向上する。
さらに、本実施例では、平凸レンズ240の外周に配設されたレンズつば部241が、ダイオード収容孔251の周壁上端に配設されたつば保持凹部252に嵌まっている。
これにより、レンズスペーサ250が、平凸レンズ240の台座にもなる。
【0061】
また、本実施例では、周壁251aが、発光ダイオード素子220から離間して設けられているとともに、レンズスペーサ250が、発光ダイオード素子220に対して基板延設方向に変位自在に設けられている。
例えば、基板230を固定する図示しないネジなどを緩めることにより、基板230は、レンズスペーサ250に対して、ダイオード収容孔251と発光ダイオード素子220との隙間分だけ基板230と平行な方向へ相対的に移動自在に設けられている。
これにより、発光ダイオード素子220の中心C1と平凸レンズ240の中心C2とを揃えたりずらしたり調整自在となる。
図5に示すように、平凸レンズ240の中心C2が、発光ダイオード素子220の中心C1に対して図中左側へずれた状態にすると、配光特性が図中左側へ偏る。
【0062】
このようにして得られた本発明の第2実施例である飲料殺菌ユニット200は、発光ダイオード素子220を配設する基板230と拡散レンズである平凸レンズ240との間に配設されたレンズスペーサ250が、発光ダイオード素子220を収容するダイオード収容孔251を有し、ダイオード収容孔251の周壁251aが、発光ダイオード素子220からの紫外線を反射自在に設けられていることにより、配光+90度方向および配光−90度方向への散乱光のロスを著しく低減して発光効率を高めて省エネルギー効果およびハイコストパフォーマンスを両立するとともに、光源のビーム角(拡散具合)を調整して照射範囲を調整することができるなど、その効果は甚大である。