(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】(A)は、一方の靴の係合部で他方の靴の係合部を引っ掛けるように踏んで、他方の靴を脱ごうとしている状態を示す斜視図であり、(B)は(A)の底面図である。
【
図4】(A)は、一方の靴の係合部を他方の靴の踏まず部の空間部に係合させて他方の靴を脱ごうとしている状態を示す斜視図であり、(B)は(A)の底面図である。
【
図5】(A)及び(B)は、一方の靴を脱いだ後他方の靴を脱ぐ状態を示す側面図である。
【
図6】踵部材の裏面にテーパ部を設けた変形例を示す断面図である。
【
図7】踵部材の側面に凹部を設けた変形例を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は(A)の断面図であり、(C)は、係合部の上面にテーパ部を設けた例の断面図である。
【
図8】(A)は、
図7の踵部材を用いた靴を脱ごうとしている状態を示す斜視図であり、(B)は(A)の底面図である。
【
図9】(A)は係合部の平面図であり、(B)は側面図である。
【
図10】係合部の上面が傾斜面となった変形例であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
【
図11】係合部が舌片状に形成された変形例であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【
図12】係合部が複数の舌片で形成された変形例であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【
図13】係合部の上に横方向の凹部を形成した例であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【
図14】係合部の下面の幅方向両側にテーパ部を形成した変形例であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
【
図15】係合部の上下面の幅方向両側にテーパ部を形成した変形例であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
【
図16】(A)は、左足の靴の親指部分で、右足の靴の係合部を踏んだ状態の底面図であり、(B)は、左足の靴のつま先部分で、右足の靴の係合部を踏んだ状態の底面図である。
【
図17】踵部に係合部が設けられたデッキシューズの斜視図である。
【
図18】踵部に係合部が設けられたスニーカの斜視図である。
【
図19】踵部に係合部が設けられたヒール靴の斜視図である。
【
図20】靴の踵部材に脱靴補助部材が後付けされる例を示す斜視図である。
【
図21】踵部材の変形例が設けられた靴を背面側から見た斜視図である。
【
図23】踵部材の凹凸部が互いに係合した状態を示す背面図である。
【
図25】踵部材の変形例であり、一方の踵部材の凹部と他方の踵部材の凸部の高さを合わせた例の背面図である。
【
図26】
図25の踵部材より凹部と凸部の数を増やした変形例の背面図である。
【
図27】
図25の凸部より小さい凸部を多数設けた踵部材の変形例の背面図である。
【
図28】一方の踵部材の凸部と他方の踵部材の凸部の高さを合わせた例の背面図である。
【
図30】
図25の凸部より小さい凸部を多数設けた踵部材の変形例の背面図である。
【
図31】凸部を断続的に形成した例を示す斜視図である。
【
図32】凸部を斜めに形成した例を示す斜視図である。
【
図33】凸部を波形に形成した例を示す斜視図である。
【
図34】(A)係合部をエンボス加工又はシボ加工で形成した変形例を示す斜視図であり、(B)〜(E)は、そのパターンを示す図である。(F)は、係合部を面ファスナで構成した変形例の斜視図である。
【
図37】靴の踵部にループ部を設けた靴の側面図である。
【
図38】靴の踵部にループ部を設けた靴の使用状態を示す側面図である。
【
図39】ループ部を靴の踵部に踵の高さ以上の長さの紐を付け、折り畳み可能とした靴を示す側面図であり、(A)は折り畳んだ状態、(B)は伸展した状態を示す。
【
図40】ループ部の紐にゴムを用いた例の側面図である。
【
図41】ループ部の紐を収納する収納部を設けた例の側面図である。
【
図42】ループ部の紐を収納する収納部を設けた変形例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、本発明が適用された靴1(右足用を1R、左足用を1Lともいう。)は、足の甲を覆うアッパー部2と、足と地面の間にあり地面に当たるアウトソール3とを備え、更に、アウトソール3には、歩行時に体重の分散を効率良く行い、足に余計な負担を掛けないようにする踵部材10が設けられている。この踵部材10は、一般に、半月状を成し、靴後方に位置する一端部が歩行し易いように円弧面で形成され、踏まず部4側が平坦面となっている。
【0017】
この踵部材10の靴後方の円弧状面11には、靴1の後方側に突出するように係合部12が設けられている。この係合部12の外形形状は、略円弧状に形成されているが、三角形状、矩形形状等であっても良く、その形状は特に限定されるものではない。この係合部12は、
図2に示すように、靴1の踵の高さ、即ち地面5からアッパー部2の下端2aまでの高さHのH/2以下の位置に形成されている。即ち、係合部12は、その下面12aが踵部材の地面5と接する裏面とほぼ面一となっており、上面12bが地面5からアッパー部2の下端2aまでの高さHの半分以下の高さに位置し、他方の足で踏み易くなっている。
【0018】
係合部12は、上面12bが地面5からアッパー部2の下端2aまでの高さHの半分より上に位置するときには、他方の足の踵で、係合部12を踏みにくくなってしまい、靴1を脱ぐ作業をしている際の姿勢が不安定となり、転倒の危険等をはらむようになる。また、上面12bが地面5からアッパー部2の下端2aまでの高さHの半分より上に位置する係合部12をつま先で踏むようにしたときには、右足と左足が略縦一列に並んでしまい、しかも踏む側の足のつま先が浮いてしまい、姿勢が安定しなくなる。この点、本発明の係合部12は、上面12bが地面5からアッパー部2の下端2aまでの高さHの半分以下の高さに位置する厚さに形成しているので、他方の足の踵で容易に踏むことが出来、
図3及び
図4に示すように、そのとき右足と左足とが直角又は直角に近い状態に開くように配置されることになるので、靴1を脱ぐ作業をしている際の姿勢が安定し、安全に脱靴動作を行うことが出来る。
【0019】
尚、係合部12の上面12bの位置は、例えば、地面5からアッパー部2の下端2aまでの高さHの1/3の位置にあっても良く、1/4の位置であっても良い。係合部12の上面12bの位置は、係合部12が踏んでも破れない等の強度を有しているのであれば、他方の足で一方の足の靴1の係合部12を踏み易くするために、低い方が好ましい。また、この係合部12は、地面5から踵部材10の上面までの高さHのH/2以下の位置に形成するようにしても良い。
【0020】
また、この係合部12の幅Wは、靴1の幅(踵部材10の幅)とほぼ同等になっており、歩行時に、他方の靴1と接触しないようにしている。また、係合部12の靴後方における最大の突出量は、他の部分に係合させることが出来る程度の寸法を有しながらも、歩行の妨げにならない程度の寸法となっており、例えば5〜20mm程度となっている。また、係合部12は、突出量が靴側面から靴後方にかけて漸次大きくなるように形成されている。尚、係合部12の幅Wは、歩行の妨げにならない程度であれば僅かに靴の側面より突出していても良い。
【0021】
また、一般に、靴1には、
図1に示すように、踵部材10の踏まず部4側に、段差部が設けられ、この踏まず部4に踵部材10の厚さ程度の高さを有する空間部4aが設けられている。係合部12は、その厚さTが少なくとも、空間部4aの高さより低く、他方の靴1の空間部4aに係合し得る厚さ及び形状に形成され、また、靴1を脱ぐ際の荷重によって撓んで係合状態が外れない程度の強度が必要である。
【0022】
このような係合部12を有する踵部材10は、通常の踵部材に対して係合部12を追加した形状を成しており、合成樹脂やゴム、木や金属等で一体成形することが出来る。そして、この踵部材10は、係合部12を有しない従来からの踵部材を剥がして、例えば接着剤や粘着材、釘や鋲、ねじ、面ファスナ、凹凸嵌合構造等を用いて容易に付け替え可能とすることが出来る。
【0023】
以上のような踵部材10を備えた靴1は、脱ぎ易くするために、係合部12を設けているが、係合部12における靴1の側面方向に対して突出量はなく又は極めて小さく、靴後方に対する突出量も他の部分に係合で出来る程度の小さなものとなっていることから、係合部12を設けることによって、歩きにくくなることはない。その上で、この靴1は、係合部12を設けることで、高齢者や身体障害者や妊婦等肢体が比較的不自由な人にとっても脱ぎやすいものとなっている。
【0024】
具体的に、靴1の脱ぎ方を
図3を用いて説明する。
図3は、右足の靴1Rの係合部12で左足の靴1Lの係合部12の上面側から下向きに押さえて、左足の靴1Lを脱ごうとしている状態を示している。
図3に示すように、右足用の靴1Rの係合部12も左足用の靴1Lの係合部12も、靴後方に向かって突出し、係合可能な程度に構成されているので、ユーザは、右足用の靴1Rの係合部12で左足用の靴1Lの係合部12を上面12b側から押さえながら、例えば、踏み押さえれば起立した状態のままであっても、左足の踵を上げることで、容易に左足用の靴1Rを脱ぐことが出来る。尚、これとは逆に、右足の靴1Rを脱ぐときには、左足の靴1Lの係合部12で右足の靴1Rの係合部12を踏むようにすれば良い。
【0025】
また、靴1は、
図4に示すように脱ぐことも出来る。
図4は、右足の靴1Rの係合部12を左足の靴1Lの踏まず部4の空間部4aに係合し、右足の靴1Rを脱ごうとしている状態を示している。
図4に示すように、右足用の靴1Rの係合部12も左足用の靴1Lの係合部12も、踏まず部4の空間部4aに係合し得る大きさ及び形状に形成されているので、ユーザは、右足用の靴1Rの係合部12を左足用の靴1Lの踏まず部4の空間部4aに係合させることで、例えば起立した状態のままであっても、容易に右足用の靴1Rを脱ぐことが出来る。尚、これとは逆に、左足の靴1Lを脱ぐときには、右足の靴1Rの踏まず部4の空間部4aに左足の靴1Lの係合部12を係合させるようにすれば良い。
【0026】
以上のように、一方の靴1は、
図3及び
図4に示すように脱ぐことが出来る。一方の靴1を脱いだ後、他方の靴1は、例えば
図5(A)に示すように脱ぐことが出来る。一般に靴を脱ぐ玄関等の場所には、玄関床と内床との間等に段差部16があることが多い。他方の靴1は、その係合部12を段差部16に係合させて脱ぐことが出来る。また、段差部16には、
図5(B)に示すように、内床近くに凹部16aを形成し、上がり框16bを設けていることもある。上がり框16bには、靴1の係合部12を容易に係合させることができ、これにより、一層、脱靴作業が容易なものとなる。更に、近年の住宅事情からマンションやバリアフリー住宅等においては、段差部16の段差が予め低めに設定されて構成されていることが多く、そのため、上がり框16bも低くなっている。従って、本発明のように、係合部12の上面の高さ位置を低く抑えるように構成することで、当該係合部12を、比較的低めに設けられた上がり框16b等にも引っ掛けることが可能となる。なお、更に他の脱ぎ方として、靴を脱いだ足で、他方の靴1の係合部12を踏んで脱ぐようにしても良い。
【0027】
ところで、
図6に示すように、踵部材10は、係合部12が靴後方に突出しており、ユーザによっては歩きにくいことがある。そこで、
図6の例では、踵部材10の地面5と接する裏面であって、靴後方側の先端部には、即ち係合部12の下面12aには、先端に向かうに連れて漸次薄くなる、即ち基端から先端に向かって上昇するテーパ部13が連設されている。これにより、ユーザは、テーパ部13が無い場合に比してより踵から着地し易くなり、歩行を楽にすることが出来る。また、テーパ部13を設けたことにより、自動車等を運転する際に行うアクセルやフットブレーキ操作をし易くすることが出来る。
【0028】
更に、
図7(A)及び(B)に示すように、踵部材10には、円弧状面11に、横方向の凹部14を形成するようにし、
図8(A)及び(B)に示すように、一方の靴1の踵部材10にある凹部14に、他方の靴1の踵部材10の係合部12を係合可能にしても良い。これにより、ユーザは、例えば、右足用の靴1Rの係合部12を、左足用の靴1Lの凹部14に係合させ、左右の踵部材10を互いに押さえ、踵を脱ぎ上げる際の上揚力による踵部材10の持ち上がりを押さえ込み、起立した状態のままであっても、容易に左足用の靴1Lを脱ぐことが出来る。また、ユーザは、右足用の靴1Rの係合部12を、左足用の靴1Lの凹部14に係合させているので、右足用の靴1Rを引き上げるようにして脱ぐことも出来る。なお、この凹部14は、円弧状面11に、横方向に連続した溝で構成するのではなく、断続的な溝で構成しても良い。
【0029】
なお、係合部12が設けられる踵部材10は、つま先側の踏み付け部、中程の踏まず部を含むアウトソール3と一体成形されたものであっても良い。また、アウトソール3に別部材として取り付けられる踵部材10は、踵のベースと化粧を構成するトップリフトとが一体のものでも良く、また、ベース、トップリフトの何れかに設けても良い。
【0030】
なお、係合部12上面12bは、
図7(A)に示すように、地面5から踵部材10のアッパー部2との接着面となる上面10aまでの高さHのH/2以下の位置に形成されるようにしても良い。また、踵部材10の係合部12の幅Wは、踵部材10の幅とほぼ同等としても良い。また、
図7(B)に示すように、踵部材10の上端10bがアッパー部2の後端2b(踵部の位置)と同じ又はほぼ同じとなるようにしても良い。
【0031】
また、
図7(C)に示すように、凹部14を、上面10aも開放したL字状の切り欠きとして、凹部14の底面がアッパー部2の後端2bより内側に位置するようにし、係合部12の先端部とアッパー部2の後端2bとがほぼ同じとなるようにしても良い。この場合、係合部12のアッパー部2の後端2bからの突出量が小さく又は無くなり、歩行し易くなる。一方で、溝部14が形成されているので、係合部12を他方の足で容易に踏むことも出来る。また、係合部12の上面12bは、
図7(C)に示すように、係合部12の基端から先端に向かって漸次下がるテーパ部13aを形成しても良い。
【0032】
また、係合部12は、
図9乃至
図15のように構成することも出来る。
図9(A)及び(B)は、
図6に示したように、係合部12が靴1の後方側に全体に設けられたものである。
図9の例では、下面12aに、係合部12の基端から先端に向かって上がるテーパ部13が設けられ、上面12bは、平坦に形成されている。また、
図10は、係合部12の上面12bが靴1の幅方向に傾斜するように形成されている。このように係合部12を構成することで、略三角形状に形成された所謂ビジネスシューズ等のような踏まず部を成す空間部であっても、容易に係合部12を係入することが出来るので好ましい。この例では、係合部12の上面12bは、靴の内側面側と外側面側とで高さが異なるように形成されている。勿論、上面12bの傾斜面は、靴の内側面側が高くても良いし、外側面側が高くても良い。
【0033】
更に、
図11の例では、係合部12が踵部材10の後方の円弧状面11の全体に設けられているのではなく、幅方向中央部に一つ、舌片状に設けられている。これにより、
図11の例では、係合部12を小型化することが出来る。更に、
図12の例では、舌片状の係合部12が複数等間隔に、ここでは三つ設けられている。勿論、係合部12となる舌片の数は、二つでも良く、また、四つ以上であっても良く、更に、等間隔でなくても良い。また、複数の舌片は、大きさや形状が異なっていても良い。
図12の例では、係合部12が複数設けられるので、
図11の場合より係合部12を踏み易くなる。
【0034】
図13の例は、
図7及び
図8で示したように、円弧状面11に、横方向の凹部14を形成するようにしている。更に、
図14に示すように、下面12aの幅方向両側に外側に向かって降下するテーパ部13,13を形成するようにしても良い。この場合、下面12aの後端部分を支点に靴1を回動しやすくなり、自動車等を運転する際に行うアクセルやフットブレーキの切り換え操作を行い易くすることが出来る。更に、
図15に示すように、係合部12は、下面12aの幅方向両側にテーパ部13,13を形成するだけでなく、上面12bにも、幅方向両側に、外側に向かって降下するテーパ部13a,13aを形成しても良い。なお、
図14や
図15の例において、テーパ部13,13aは、平面で構成された傾斜面ではなく円弧面で形成しても良い。
【0035】
更に、靴1の脱ぎ方としては、
図16に示すような方法もある。
図16(A)は、左足の靴1Lの親指部分で、右足の靴1Rの係合部12を踏んだ状態を示している。この場合、右足を靴1Lから上げることによって容易に靴1Rを脱ぐことが出来る。
図16(B)は、左足の靴1Lのつま先部分で、右足の靴1Rの係合部12を踏んだ状態を示している。この場合、右足を靴1Lから上げることによって容易に靴1Rを脱ぐことが出来る。なお、
図16の例では、図示した状態とは逆に、左足の靴1Lを脱ぐために、靴1Lの係合部12を右足の靴1Rの親指部分やつま先で踏むようにしても良い。
【0036】
更に、以上の例では、スリッポン型の革靴を靴1として説明したが、革靴としては、この他に、オックスフォード型、パルモラル型、ブラッチャー型、ブローグ型、モンク型、ギリー型、サドルシューズ型、ローファー型等であっても良い。
【0037】
また、
図17に示すように、靴1としは、デッキシューズであっても良い。デッキシューズは、靴底が平坦であることが多い。そこで、
図17に示すように、更に使い勝手を向上させるために、踏まず部4の部分に係合部12が係合される空間部4aを設けるようにしても良い。この場合、アウトソールは厚みがほぼ一定であるため、踏まず部4に空間部4aを設ける場合、空間部4aの地面からの高さは、地面からアッパー部までの高さの半分程度又は半分強程度までしか高くすることが出来ない。従って、本発明のように、係合部12の上面の高さ位置を低く抑えるように構成すること、より具体的には、係合部12の上面の高さを、地面からアッパー部の高さ位置までの半分以下及び/又は地面からアウトソールの高さ位置までの半分以下の高さに設定することで、当該係合部12を、当該空間部4a等にも引っ掛けることが可能となる。また、本発明の適用は、デッキシューズの他にも、ワラビー型、エスパドリュー型、ミュール型等であっても良い。更に、靴1としては、
図18に示すように、革靴に比べて比較的柔らかい素材で構成されたウォーキングシューズ、ランニングシューズ等のスニーカであっても良い。スニーカは、つま先側から踵側にかけて漸次厚みを増すテーパ状を成し、踏まず部4に空間部4aが無いことが多い。そこで、スニーカにも、係合部12が係合する空間部4aを設けるようにしても良い。本来空間部4aがないデッキシューズやスニーカ等の靴に空間部4aを設けたときには、上述した
図3に示したような一方の靴1の係合部12を他方の靴1で踏んで脱靴する方法の他に、
図4に示すような、一方の靴1の係合部12を他方の靴1の空間部4aに係合させて脱靴する方法が採れるようになる。
【0038】
更に、
図19に示すように、靴1としては、ハイヒール、パンプ、セミ・パンプ等のヒール靴であっても良い。特に、ハイヒールなどは、空間部4aが大きいので、係合部12の大きさと合うように、空間部4aを浅くするようにしても良い。
【0039】
以上の例では、踵部材10に係合部12を設けた例を説明したが、本発明は、従来からある踵部材10に、係合部12を有する脱靴補助部材20を後付けするようにしても良い。具体的に、
図20に示すように、一般に、踵部材10は、一般に、半月状を成し、靴後方に位置する一端部が歩行し易いように円弧面で形成され、踏まず部4側が平坦面となっている。脱靴補助部材20は、靴後方の円弧状面11に後付けされる。
【0040】
具体的に、脱靴補助部材20は、踵部材10の靴後方の円弧状面11の円弧形状に対応するように湾曲したU字状、三日月状又は馬蹄状の本体部21を有している。この本体部21の外面には、上述した係合部12が設けられている。本体部21の内面の接合面22は、踵部材10の靴後方の円弧状面11との接着面となり、例えばゴム系の接着剤や粘着材、面ファスナ等を介在させたり、釘や鋲、ねじ等を用いて容易に後付けすることが出来る。具体的に、脱靴補助部材20は、係合部12の下面12aが踵部材10の地面5と接する裏面と略面一となるように、踵部材10の靴後方の円弧状面11に貼り付けられる。このような脱靴補助部材20によれば、ユーザが現在所持している靴1の踵部分に容易に脱靴補助部材20を後付け出来、これにより、
図1−19で示した靴1と同様な効果を得ることが出来る。
【0041】
以上の例では、踵部材10又は脱靴補助部材20に、係合部12を靴1の後方側に突出するように設けた場合を説明したが、左右の靴1の踵部材11に設けられた係合部12は、互いに係合し得るように形成されていれば良い。従って、例えば、
図21に示すように、係合部12は、踵部材10の内側の側面10cの一部に設けることも出来る。
図21に示す係合部12は、踵部材10の内側の側面10cから後面10dに亘って横方向に連続的に並設される凹部26aと凸部26bとでなる凹凸部26を有し、ここでは、凹部26aと凸部26bとが互いに平行に形成されている。
図22に示すように、左足の靴1の凹凸部26は、2つの凸部26b,26bと、二つの凸部26b,26bの間の凹部26aとで構成され、右足の靴1Rの凹凸部26は、二つの凹部26a,26aと、二つの凹部26a,26aの間の凸部26bとで構成されている。左右の靴1L,1Rの凸部26bは、内側の側面10cの部分が同じ高さで突出し、後端10dにかけて漸次低くなり、後端部では突出量がなくなるように形成されている。勿論、多少突出していても良い。通常、歩くときには、踵から地面に踏み込むことが多い。凸部26bは、後端10dにかけて高さが漸次低くなるように形成されているので、凸部26bが歩行の妨げになることを防止出来る。また、係合部となる凹凸部26は、靴1の踵部材10の高さHの半分以下の位置に形成されている。凹凸部26は、より地面5に近い位置に設けることで、地面から離れた位置に設けたとき(踵部材10の高さHの半分以上の位置)よりも、左右の靴1L,1Rの凹凸部26,26を係合し易くすることが出来る。
【0042】
図22及び
図23に示すように、左足の靴1Lの凸部26b,26bの高さは、右足の靴1Rの凹部26a,26aの高さに対応し、左足の靴1Lの凹部26aの高さは、右足の靴1Rの凸部26bの高さに対応している。これにより、左足の靴1Lの凹凸部26と右足の靴1Rの凹凸部26とは、凹部26aと凸部26bの高さが揃うことで、互いに係合し易い構造となっている。なお、この例において、凹凸部26の設ける位置は、少なくとも、踵部材10の内側の側面10cの一部にあれば、
図22及び
図23に示す凹凸部26ほど長くなくても良い。
【0043】
また、
図21に示すように、凹部26aの幅Wと凸部26bの厚さTとは、互いに係合し得る範囲で、できる限り同じにすることが好ましい。これにより、凹部26aと凸部26bとを係合させたときに、凹部26a内を凸部26bが上下にがたつくことを防止することができ、これにより、靴1を脱ぎやすくすることが出来る。
【0044】
図23及び
図24に示すように、靴1を脱ぐときには、左右の踵部材10,10を互いに近接させ、左足の靴1Lの凹凸部26と右足の靴1Rの凹凸部26とを互いに係合させ、互いの靴1が高さ方向にずれないようにする。この後、左足の靴1L、右足の靴1Lの何れでも良いが、何れかの靴1を他方の靴1に対して引き上げるようにすることで、引き上げた方の靴を脱ぐことが出来る。
【0045】
図25及び
図26の例では、左足の靴1Lの凹凸部26を構成する凹部26aと凸部26bと右足の靴1Rの凹部26aと凸部26bとが高さをずらして、同数設けられている。即ち、左足の踵部材10の凹凸部26は、地面5側から、凸部26b、凹部26a、凸部26b、凹部26a順に設けられている。一方、右足の踵部材10の凹凸部26は、凹部26a、凸部26b、凹部26a、凸部26b順に設けられている。そして、左足の靴1Lの凹部26aと右足1Rの凸部26bとの高さを揃えることで、互いに係合し易い構造となっている。なお、この例において、凹部26aや凸部26bの数は、特に限定されるものではない。
図25に示す凹凸部26によっても、
図22及び
図23に示す凹凸部26と同様な作用効果を得ることができる。
【0046】
図27の例では、係合部12を構成する凹凸部が上述の凹凸部26より小さい凹凸部27,28で構成されている。そして、内側の側面10cと外側の側面10eとに凹凸部が形成されており、凹凸が逆となっている。すなわち、左側の踵部材10を例に説明すると、内側の側面10cには、下から、凸部27b、凹部27a、凸部27b、凹部27a・・・の順に形成されており、外側の側面10eには、下から、凹部28a、凸部28b、凹部28a、凸部28b・・・の順に形成されている。そして、下から順に、内側の側面10cの凸部27bの高さは外側の側面10eの凹部28aの高さに対応しており、内側の側面10cの凹部27aの高さは外側の側面10eの凸部28bの高さに対応している。
【0047】
この踵部材10は、側面10c,10eに逆向きの凹凸パターンが形成されているので、左右を逆にすること或いは表裏を逆にすることで、左右両方の靴1の踵部材10として用いることが出来る。即ち、
図27の例では、右側の踵部材10では、左側の踵部材10を左右逆に或いは表裏逆にして、左側での側面10eが内側に位置し、側面10cが外側に位置するように靴1に取り付けられている。これにより、左側の踵部材10の凹部27aに対応して右側の踵部材10の凸部28bが位置し、左側の踵部材10の凸部27bに対応して右側の踵部材10の凹部28aが位置することになる。このような凹凸部27,28を有する場合には、左右の踵部材10の構成が同じであり、左右或いは表裏を逆にするだけで、左足用の踵部材としても右足用の踵部材としても使用することが出来、金型等を一種類にすることが出来、製造コストの削減を実現することが出来る。なお、このような大きさの凹凸部27,28は、少なくとも内側の側面10cだけに設けられていれば良い。勿論、内側の側面10cだけに凹凸部27,28を設けたときには、金型が左用と右用で二種類必要となる。
【0048】
図27の例にあっても、靴1を脱ぐときには、左右の踵部材10,10を互いに近接させ、左足の靴1Lの凹凸部26と右足の靴1Rの凹凸部26とを互いに係合させ、互いの靴1が高さ方向にずれないようにする。この後、左足の靴1L、右足の靴1Lの何れでも良いが、何れかの靴1を他方の靴1に対して引き上げるようにすることで、引き上げた方の靴を脱ぐことが出来る。
図27の踵部材10は、凹凸部27,28の凹凸が上述の例よりも小さいものとなっているが、その分、踵部材10の高さ方向に多数の凹凸が形成されているので、靴を脱ぐとき、一の凹部27a(,28a)と凸部27b(,28b)の係合が外れたとしても、直ちに、隣接する一の凹部27a(,28a)と凸部27b(,28b)と係合するので、確実に、靴を脱ぐことが出来る。
【0049】
なお、踵部材10には、
図21〜
図25に示したような凹凸部26の大きさで、側面10c,10eに逆向きの凹凸を形成するようにしてもよい。
【0050】
また、
図28に示すように、係合部12を構成する凹凸部26の凹部26aと凸部26bとは、左右で同じ高さに形成しても良い。即ち、この例では、左足用の踵部材10も右足用の踵部材10も、ほぼ地面と接する下面10fに近接して凸部26bが形成され、その上に凹部26aが形成され、その上に、凸部26bが形成されている。
図28の例では、凹凸部26がほぼ地面と接する下面12a側によって、例えば踵部材10の高さの半分以下の位置に形成されている(H/2)。このような場合には、一方の靴を浮かし、一方の踵部材10の凹部26aに他方の踵部材10の凸部26bを係合させ、一方の靴1を他方の靴1に対して引き上げることで、引き上げた方の靴を脱ぐことが出来る。
【0051】
なお、
図29に示すように、一方の凸部26bを地面5と接する下面10fに形成し、他方の凸部26bを上端10b近傍に形成するようにし、二つの凸部26b,26bの間を、幅広の凹部26aとしても良い。更に、
図30に示すように、上述の凹凸部26より小さい凹凸部27を内側の側面10cに形成するようにしても良い。
【0052】
なお、
図21〜
図30の例において、左右の靴1L,1Rの凹凸部の26〜28の凹部26a〜28aや凸部26b〜28bの数や大きさは、特に限定されるものではない。
【0053】
更に、凹凸部26は、
図31に示すように、
図25〜
図30のように、凸部を連続的に形成するのではなく、凸部26bを断続的又は非連続に形成するようにしても良い。また、
図32に示すように、凸部26bは、下面10fに対して斜めに形成するようにしても良い。更に、
図33に示すように、凸部26bは、波形状に形成するようにしても良い。
図34(A)に示すように、係合部12は、凹凸模様やシワ模様を形成するエンボス加工又はシボ加工によって構成しても良い。例えば、凹凸のパターンとしては、
図34(B)に示すように、丸形状の凹部26a又は凸部26bで構成しても良いし、
図34(C)に示すように、四角形状の凹部26a又は凸部26bで構成しても良いし、
図34(D)及び(E)に示すように、菱形又は平行四辺形といった四角形状の凹部26a又は凸部26bで構成しても良い。また、一方の靴1の踵部材10には、丸形状や四角形状等の凹部26aを形成し、他方の靴1の踵部材10には、丸形状や四角形状等の凸部26bを形成するようにしても良い。
【0054】
更に、
図34(F)に示すように、係合部12は、面ファスナ30a,30bによって構成することが出来る。即ち、一方の靴1の踵部材10の内側の側面10cには、雄型ファスナ30aを設け、他方の靴1の踵部材10の内側の側面10cには、雌型ファスナ30bを設ける。靴1を脱ぐときには、一方の靴の雄型ファスナ30aと他方の靴1の雌型面ファスナ30bとを結合することによって、ずれか一方の靴から脱ぐことが出来る。
【0055】
更に、
図21〜
図34に示す係合部12は、
図20及び
図35に示すように、踵部材10の円弧状面11に後付けされる脱靴補助部材20に設けるようにしても良い。
【0056】
ところで、踵部材10は、靴のサイズや種類によって、大きさや形状も様々である。一方で、係合部12は、踵部材10の内側の側面10cに形成される。そこで、踵部材10は、
図36に示すように、前面10gと平行にミシン目や薄肉線等で形成された切取線29aを一又は複数本形成するとともに、外側の側面10e側から後面10dにかけて切取線29bを一又は複数本形成し、切取線29a,29bに沿って切り取ることで形状を変更出来るようにしても良い。これにより、係合部12を内側の側面10cに有する様々な形状の踵部材10を容易に設けることが出来る。
【0057】
以上の例では、踵部材10の係合部12や脱靴補助部材20の係合部12を用いて靴1を脱ぎ易くする場合を説明したが、更に、
図37に示すように、靴1は、アッパー部2の履き口7の近傍に、例えば踵部8の縫い合わせ部分であるバックステーの位置に、可撓性を有するループ部31を設けることで、靴1を履く作業を容易に行うようにすることが出来る。具体的に、ループ部31は、組紐、撚り紐、テープ等の紐の両端部を、履き口7の踵部8の部分に縫い付ける又は接着することによって構成される。尚、ループ部31には、ゴムあるいは伸縮糸を丸打ち或いは平打ちして加工したゴム紐等を用いても良い。ループ部31は、踵外面9とは、着脱手段となる例えば面ファスナ32によって着脱自在とされている。例えば、踵外面9には、雄型ファスナ32aが設けられ、ループ部31の踵外面9と対向する面には、雌型ファスナ32bが設けられている。尚、踵外面9に雌型ファスナ32bを設け、ループ部31の踵外面9と対向する面に雄型ファスナ32aを設けても良い。
【0058】
また、ループ部31は、その長さがアッパー部2の下端2aから履き口7の開口端に亘る長さ程度となっており、長めとなっている。勿論、ループ部31は、この長さに限定されるものではなく、これより若干短くても良いし、歩行の妨げにならない程度の長さであれば、これより長くても良い。
【0059】
このようなループ部31は、ユーザが靴1を履いているときや脱いでいる場合、面ファスナ32によって、踵部8に接合された状態にある。従って、ループ部31が歩行や収納の妨げになることもない。一方、靴1を履く際、
図38に示すように、ユーザは、指等をループ部31に引っ掛けて、ループ部31を踵部8から剥がす。これにより、ループ部31は、履き口7の踵部8の部分を固定端として踵部8から引き出される。ユーザは、靴1に爪先から足を挿入し、踵を履く際に、ループ部31を引っ張ることによって踵を靴1の中に入れることが出来る。即ち、ループ部31は、靴1を履く際に、踵部8から引き出されることから、ユーザは、靴を履く際に、屈む量を少なくして容易に靴を履くことが出来る。例えば、ループ部31に代えて可撓性の突片を同じ場所に設けた場合には、ユーザは、この突片を指で摘んで靴を履く必要であり、健常者程度の強い握力が必要である。これに対して、ループ部31を用いたときには、高齢者等の握力の弱い人であっても、ループ部31に指を引っ掛けるだけで靴1を履くことが出来る。また、ユーザがループ部31から指を放した場合、ループ部31は、降下し、自ずと面ファスナ32a,32bが結合し、歩行や収納の妨げになることを防止することが出来る。更に、ループ部31は、固定端が履き口7の踵部8の部分となるっているので、足を履き口7に入れる際に、履き口7が引っ張られ広げることが出来、一層、靴を履く作業が容易になる。また、ループ部31にゴム紐を用いた場合には、ループ部31が引っ張られることで長くなることから、ユーザが屈む量を一層少なくすることが出来る。
【0060】
尚、着脱手段となる面ファスナ32の大きさは、例えば、ループ部31の先端部と、これに対応する踵部8の下端部に部分的に設けても良いし、全体的に設けても良いが、結合のし易さから言えば、大きい方が好ましい。また、着脱手段としては、スナップボタン等のボタン類や永久磁石等の強磁性体を用いたものであっても良く、特に限定されるものではない。
【0061】
図39(A)及び(B)は、履き口7の踵部8の部分に、例えば、可撓性を有する紐部41を設け、紐部41の先端部にリング状のループ部42を設けるようにしている。このループ部42は、紐部41の先端部を環状にし先端を紐部41に縫い付け又は接着して構成しても良いし、別部材となる樹脂製や金属製のリング部材等を取り付けるようにしても良い。ここでの紐部41は、例えば、アッパー部2の下端2aから履き口7の開口端に亘る長さの二倍より若干長い程度の長さになっており、踵外面9に折り畳まれる構造となっている。具体的に、紐部41は、ここでは二つ折りにされ、基端側部41aと先端側部41bとからなり、これらの間が折り目部41cとなっている。この紐部41は、基端部を履き口7の踵部8の部分に縫い付ける又は接着することによって固定される。これにより、ループ部42は、固定端が履き口7の踵部8の部分となるっているので、足を履き口7に入れる際に、履き口7が引っ張られて広がり、一層、靴を履く作業が容易になる。
【0062】
紐部41の基端側部41aは、第一着脱手段となる例えば第一面ファスナ43によって着脱自在とされている。例えば、踵外面9には、雄型ファスナ43aが設けられ、基端側部41aの踵外面9と対向する面には、雌型ファスナ43bが設けられている。尚、踵外面9に雌型ファスナ43bを設け、ループ部42の踵外面9と対向する面に雄型ファスナ43aを設けても良い。尚、第一面ファスナ43a,43bは、
図37及び
図38の場合のように、踵外面9や基端側部41aの全面に設けるようにしても良い。また、着脱手段としては、スナップボタン等のボタン類や永久磁石等の強磁性体を用いたものであっても良く、特に限定されるものではない。
【0063】
また、紐部41の先端側部41bは、第二着脱手段となる例えば第二面ファスナ44によって着脱自在とされている。例えば、基端側部41aには、雄型ファスナ44aが設けられ、先端側部41bの基端側部41aと対向する面には、雌型ファスナ44bが設けられている。尚、基端側部41aに雌型ファスナ44bを設け、先端側部41bに雄型ファスナ44aを設けても良い。尚、第二面ファスナ44a,44bは、先端側部41bや基端側部41aの全面に設けるようにしても良い。また、着脱手段としては、スナップボタン等のボタン類や永久磁石等の強磁性体を用いたものであっても良く、特に限定されるものではない。
【0064】
このような紐部41は、ユーザが靴1を履いているときや脱いでいる場合、
図39(A)に示すように、基端側部41aと先端側部41bとが折り目部41cで折り返され、踵外面9と基端側部41aとが第一面ファスナ43によって結合され、基端側部41aと先端側部41bとが第二面ファスナ44によって結合され、ループ部42が履き口7近傍に位置した状態に保持されている。従って、紐部41やループ部42が歩行や収納の妨げになることもない。一方、靴を履く際、
図39(B)に示すように、ユーザは、指等をループ部42に引っ掛けて、紐部41を構成する基端側部41aと先端側部41bとを展開する。これにより、ループ部42は、履き口7の踵部8の部分を固定端として踵部8から伸展される。ユーザは、靴1に爪先から足を挿入し、踵を履く際に、ループ部42を引っ張ることによって踵を靴1の中に入れることが出来る。即ち、ループ部42は、靴1を履く際に、踵部8から引き出され、その長さは
図37及び
図38の例より長いことから、ユーザは、靴を履く際に、屈む量を少なくして容易に靴を履くことが出来る。更に、紐部41は、固定端が履き口7の踵部8の部分となっているので、足を履き口7に入れる際に、履き口7が引っ張られて広がり、一層、靴を履く作業が容易になる。
【0065】
尚、この紐部41の折り数は、二つ折りに限定されるものではなく、三つ折り以上であっても良い。三つ折り以上の場合には、折り畳んだ際に隣接する部分に着脱手段を設けるようにして、歩行時や収納時に展開されないようにする。
【0066】
図40は、紐部51の先端部にリング状のループ部52を設け、紐部51にゴム等の伸縮材料を用いる。このループ部52は、紐部51の先端部を環状にし先端を紐部51に縫い付け又は接着して構成しても良いし、別部材となる樹脂製や金属製のリング部材等を取り付けるようにしても良い。ここでの紐部51は、ゴム或いは伸縮糸を丸打ちあるいは平打ちして加工したゴム紐を用いている。この紐部51は、縮んだ状態において、例えば、アッパー部2の下端2aから履き口7の開口端に亘る長さ程度の長さを有している。この紐部51は、基端部がアッパー部2の下端2aの近傍に、縫い付け又は接着或いは着脱可能に接合することにより固定される。この際、紐部51の固定端は、踵部8の高さの下から半分程度の範囲で固定し、固定部分が所定の長さを有するようにし、歩行時や収納時に、先端側が長く垂れ下がり過ぎ、ループ部52が収納や歩行の妨げにならないようにしている。尚、紐部51の固定端をアッパー部2の下端2aより上側にしたときには、紐部51の長さはその分短くなる。
【0067】
このような紐部51は、ユーザが靴1を履いているときや脱いでいるとき、ゴム紐が縮んだ状態にあって、先端側の垂れ下がりも短く、ループ部52が歩行や収納の妨げになることを防止することが出来る。一方で、靴1を履く際、ユーザは、指等をループ部52に引っ掛けて、紐部51を伸張する。これにより、ユーザは、靴1に爪先から足を挿入し、踵を履く際に、ループ部52を引っ張ることによって踵を靴1の中に入れることが出来る。即ち、ループ部52は、靴1を履く際に、踵部8から引き出されることから、ユーザは、靴を履く際に、屈む量を少なくして容易に靴を履くことが出来る。
【0068】
ところで、
図39や
図40に示す紐部41,51は、靴1を履くときを考慮すれば長い方が好ましいが、垂れ下がる長さが長いと歩行の妨げにもなる。そこで、
図41に示す例では、靴1の履きやすさを考慮して紐部61を踵の高さの数倍程度に長くし、長くした紐部61の先端部にループ部62を設け、長くした紐部61を収納する袋状の収納部63を踵外面9に一体的に設けるようにしている。この場合、紐部61は、組紐、撚り紐、テープ等の紐であっても良いし、ゴム紐であっても良い。この紐部61は、履き口7の踵部8の部分(上側でも良いし下側でも良い)に縫い付け又は接着によって固定される。この固定部は、例えば、収納部63内の隠れた位置に設けられる。この収納部63は、例えば靴1のアッパー部2の素材等を用いて上側を開口した袋で構成する。
【0069】
このようなループ部62は、ユーザが靴1を履いているときや脱いでいる場合、紐部61は、長くても、ループ部62を外部に臨ませて収納部63に収納されているので、紐部61やループ部62が歩行や収納の妨げになることを防止することが出来る。一方で、靴1を履く際、ユーザは、指等をループ部62に引っ掛けて、紐部61を伸張する。紐部61は、長いことから、ユーザは、靴を履く際に、屈む量を少なくして容易に靴を履くことが出来る。
【0070】
なお、
図42に示すように、紐部61は、例えばゴム或いは伸縮糸を丸打ちあるいは平打ちして加工したゴム紐64を用いるようにしても良い。この場合、ゴム紐が縮んだ状態で、収納部63に収納され、靴を履くときに、ゴム紐64が伸びることになる。ゴム紐64を用いたときには、
図25の例と比較して、ループ部62が取り付けられる紐の長さを短くすることが出来、また、靴を履きゴム紐64を引っ張ることを止めたとき、すなわちリング部62から手を放したとき、自動的に、ゴム紐64が収納部63に収納され、ゴム紐64が歩行の妨げになることを防止出来る。
【0071】
以上の例では、踵部材10を有し、踵部材10の踏まず部4側に空間部4aを有した靴1を例に説明したが、本発明では、スポーツシューズのように、アウトソール3が略平坦に形成された即ち空間部4aを有しない靴に適用することも出来る。また、踵部が高いパンプスやヒール靴等の種々の靴に適用することが出来る。