【実施例】
【0026】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の%は特に断らない限り質量%を示す。
【0027】
[実施例1]
針葉樹のチップをナイフ切削型バイオマス燃料用チッパー(緑産(株)製、Wood Hacker MEGA360DL)にて粉砕処理した。粉砕物を70mmのスクリーンに通した後、乾燥機で120℃、10分間乾燥処理を行って、水分を12%に調整した。
【0028】
次いで、水分を調整した粉砕物に対して、リングダイ式ペレタイザー(御池鉄工所、MIIKE多目的造粒機ペレットミルSPM−500型)にてダイ穴直径6mm、ダイ厚さ36mmのリングダイを用いて高密度化処理を行って、嵩密度0.71g/cm
3のペレットを得た。
続いて、このペレットを原料として、大型キルン型炭化炉を用い、窒素パージして、焙焼温度230℃、滞留時間30分で焙焼を行って焙焼物を得た。得られた焙焼物のペレットの嵩密度は0.62g/cm
3であった。この焙焼物のペレットを乾燥した後に、粗粉砕機(商品名:ジョークラッシャー(型番:2002−EX)、(株)吉田製作所製)にて粗粉砕し、嵩密度0.53g/cm
3(200メッシュパス)の固体燃料の粗粉砕物を得た。さらに固体燃料の粗粉砕物をらいかい機(商品名:石川式攪拌らいかい機、(株)石川工場製)にて180分間粉砕処理を行い、200メッシュパス分が45.2%、嵩密度0.78g/cm
3の固体燃料の粉砕物を得た。
なお、200メッシュパス分はJIS K 2151:2004の5の「粒度試験方法」に準じて調製した。また、嵩密度の測定方法は、JIS K 2151の6「かさ密度試験方法」に従った。
【0029】
[実施例2]
樹皮付きの杉のチップをナイフ切削型バイオマス燃料用チッパー(緑産(株)製、Wood Hacker MEGA360DL)にて粉砕処理した。粉砕後、70mmのスクリーンを通過したチップを原料として、乾燥機で120℃、10分間乾燥処理を行った。続いて大型キルン型炭化炉を用い、窒素パージして、焙焼温度280℃、滞留時間30分で焙焼を行って焙焼物を得た。得られた焙焼物の水分を30%に調整し、フラットダイ式ペレタイザー(ダルトン(株)社製、ディスクペレッターF−5/11−175型)にてダイ穴直径5mm、ダイ厚さ20mmのフラットダイを用いて高密度化処理を行い、嵩密度0.69g/cm
3の固体燃料のペレットを得た。この固体燃料のペレットを乾燥した後に、粗粉砕機(商品名:ジョークラッシャー(型番:2002−EX)、(株)吉田製作所製)にて粗粉砕し、嵩密度0.77g/cm
3の固体燃料の粗粉砕物を得た。さらに固体燃料の粗粉砕物をらいかい機(商品名:石川式攪拌らいかい機、(株)石川工場製)にて180分間粉砕処理を行い、200メッシュパス分が47.6%、嵩密度0.69g/cm
3の固体燃料の粉砕物を得た。
【0030】
[実施例3]
樹皮付きのユーカリのチップをナイフ切削型バイオマス燃料用チッパー(緑産(株)製、Wood Hacker MEGA360DL)にて粉砕処理した。粉砕後、70mmのスクリーンを通過したチップを原料として、乾燥機で120℃、10分間乾燥処理を行った。続いて大型キルン型炭化炉を用い、窒素パージして、焙焼温度280℃、滞留時間30分で焙焼を行って焙焼物を得た。得られた焙焼物の水分を30%に調整し、フラットダイ式ペレタイザー(ダルトン(株)社製、ディスクペレッターF−5/11−175型)にてダイ穴直径5mm、ダイ厚さ20mmのフラットダイを用いて高密度化処理を行い、嵩密度0.71g/cm
3の固体燃料のペレットを得た。この固体燃料のペレットを乾燥した後に、粗粉砕機(商品名:ジョークラッシャー(型番:2002−EX)、(株)吉田製作所製)にて粗粉砕し、嵩密度0.80g/cm
3の固体燃料の粗粉砕物を得た。さらに固体燃料の粗粉砕物をらいかい機(商品名:石川式攪拌らいかい機、(株)石川工場製)にて180分間粉砕処理を行い、200メッシュパス分が60.3%、嵩密度0.75g/cm
3の固体燃料の粉砕物を得た。
【0031】
[実施例4]
樹皮付きの杉のチップをナイフ切削型バイオマス燃料用チッパー(緑産(株)製、Wood Hacker MEGA360DL)にて粉砕処理した。粉砕後、70mmのスクリーンを通過したチップを原料として、乾燥機で120℃、10分間乾燥処理を行った。続いて大型キルン型炭化炉を用い、窒素パージして、焙焼温度255℃、滞留時間30分で焙焼を行って焙焼物を得た。得られた焙焼物の水分を30%に調整し、フラットダイ式ペレタイザー(ダルトン(株)社製、ディスクペレッターF−5/11−175型)にてダイ穴直径5mm、ダイ厚さ20mmのフラットダイを用いて高密度化処理を行い、嵩密度0.73g/cm
3の固体燃料のペレットを得た。この固体燃料のペレットを乾燥した後に、粗粉砕機(商品名:ジョークラッシャー(型番:2002−EX)、(株)吉田製作所製)にて粗粉砕し、嵩密度0.75g/cm
3の固体燃料の粗粉砕物を得た。さらに固体燃料の粗粉砕物をらいかい機(商品名:石川式攪拌らいかい機、(株)石川工場製)にて180分間粉砕処理を行い、200メッシュパス分が42.6%、嵩密度0.61g/cm
3の固体燃料の粉砕物を得た。
【0032】
[実施例5]
らいかい機にて粉砕処理を行う前に水分を20%に調整した以外は、実施例4と同様にして固体燃料の粉砕物を製造し、200メッシュパス分が40.1%、嵩密度0.58g/cm
3の固体燃料を得た。
[比較例1]
針葉樹のチップをナイフ切削型バイオマス燃料用チッパー(緑産(株)製、Wood Hacker MEGA360DL)にて粉砕処理した。粉砕物を70mmのスクリーンに通した後、乾燥機で120℃、10分間乾燥処理を行って、水分を12%に調整した。
次いで、水分を調整した粉砕物に対して、リングダイ式ペレタイザー(御池鉄工所、MIIKE多目的造粒機ペレットミルSPM−500型)にてダイ穴直径6mm、ダイ厚さ36mmのリングダイを用いて高密度化処理を行って、嵩密度0.71g/cm
3のペレットを得た。
このペレットを乾燥した後に、粗粉砕機(商品名:ジョークラッシャー(型番:2002−EX)、(株)吉田製作所製)にて粗粉砕し、嵩密度0.53g/cm
3の固体燃料の粗粉砕物を得た。さらに固体燃料の粗粉砕物をらいかい機(商品名:石川式攪拌らいかい機、(株)石川工場製)にて180分間粉砕処理を行い、200メッシュパス分が20.1%、嵩密度0.56g/cm
3の固体燃料の粉砕物を得た。
【0033】
[比較例2]
樹皮付きのスプルースのチップをナイフ切削型バイオマス燃料用チッパー(緑産(株)製、Wood Hacker MEGA360DL)にて粉砕処理した。粉砕後、70mmのスクリーンを通過したチップを原料として、乾燥機で120℃、10分間乾燥処理を行った。続いて大型キルン型炭化炉を用い、窒素パージして、焙焼温度255℃、滞留時間30分で焙焼を行って焙焼物を得た。得られた焙焼物の水分を30%に調整し、フラットダイ式ペレタイザー(ダルトン(株)社製、ディスクペレッターF−5/11−175型)にてダイ穴直径5mm、ダイ厚さ20mmのフラットダイを用いて高密度化処理を行い、嵩密度0.62g/cm
3の固体燃料のペレットを得た。この固体燃料のペレットを乾燥した後に、粗粉砕機(商品名:ジョークラッシャー(型番:2002−EX)、(株)吉田製作所製)にて粗粉砕し、嵩密度0.54g/cm
3の固体燃料の粗粉砕物を得た。さらに固体燃料の粗粉砕物をらいかい機(商品名:石川式攪拌らいかい機、(株)石川工場製)にて180分間粉砕処理を行い、200メッシュパス分が11.9%、嵩密度0.47g/cm
3の固体燃料の粉砕物を得た。
【0034】
[比較例3]
樹皮付きのポプラのチップをナイフ切削型バイオマス燃料用チッパー(緑産(株)製、Wood Hacker MEGA360DL)にて粉砕処理した。粉砕後、70mmのスクリーンを通過したチップを原料として、乾燥機で120℃、10分間乾燥処理を行った。続いて大型キルン型炭化炉を用い、窒素パージして、焙焼温度255℃、滞留時間30分で焙焼を行って焙焼物を得た。得られた焙焼物の水分を30%に調整し、フラットダイ式ペレタイザー(ダルトン(株)社製、ディスクペレッターF−5/11−175型)にてダイ穴直径5mm、ダイ厚さ20mmのフラットダイを用いて高密度化処理を行い、嵩密度0.66g/cm
3の固体燃料のペレットを得た。この固体燃料のペレットを乾燥した後に、粗粉砕機(商品名:ジョークラッシャー(型番:2002−EX)、(株)吉田製作所製)にて粗粉砕し、嵩密度0.52g/cm
3の固体燃料の粗粉砕物を得た。さらに固体燃料の粗粉砕物をらいかい機(商品名:石川式攪拌らいかい機、(株)石川工場製)にて180分間粉砕処理を行い、200メッシュパス分が11.9%、嵩密度0.49g/cm
3の固体燃料の粉砕物を得た。
【0035】
[比較例4]
らいかい機にて粉砕処理を行う前に水分を30%に調整した以外は、実施例4と同様にして固体燃料の粉砕物を製造し、200メッシュパス分が49.4%、嵩密度0.52g/cm
3の固体燃料を得た。
【0036】
[比較例5]
らいかい機にて粉砕処理を行う前に水分を50%に調整した以外は、実施例4と同様にして固体燃料の粉砕物を製造し、200メッシュパス分が22.6%、嵩密度0.42g/cm
3の固体燃料を得た。
【0037】
実施例1〜5、比較例1〜5で得られた固体燃料について、結果を表1に示した。なお、物質収率は焙焼前後の試料の重量から計算した。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示されるように実施例1〜5の固体燃料の粉砕物の200メッシュパス分の嵩密度は0.58g/cm
3以上であり、落炭を抑制できる可能性があると考えられる。なお、粗粉砕前、粗粉砕後、粉砕後の200メッシュパス分の嵩密度の変化に特に傾向は認められなかった。