(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光コヒーレンストモグラフィによって検出されたOCT信号に基づくOCTデータが走査方向に並べられた二次元OCTデータを、被検物の深さ方向に演算することによって得られた一次元OCTデータを取得するOCTデータ取得手段であって、前記OCT信号の検出タイミングが異なる複数の前記一次元OCTデータを前記被検物の同一位置に関して取得するOCTデータ取得手段と、
前記OCTデータ取得手段によって取得された前記複数の一次元OCTデータを時系列に処理する信号処理手段と、
を備えることを特徴とするOCT信号処理装置。
前記OCTデータ取得手段は、前記被検物にレーザ光を照射するレーザ照射手段によって前記被検物にレーザ光が照射された際の前記一次元OCTデータを取得することを特徴とする請求項1のOCT信号処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態のOCT信号処理装置について説明する。OCT信号処理装置(例えば、OCT信号処理装置1)は、例えば、光コヒーレンストモグラフィデバイス(以下、OCTデバイスと略す)によって取得されたOCT信号を処理する装置である(
図1参照)。本実施形態において、OCT信号は、OCTデバイスによって検出されたスペクトル干渉信号をフーリエ変換した信号(例えば、深さプロファイル)であってもよい。また、OCT信号は、Aスキャン(被検物の深さ方向の走査)によって取得されたAスキャン信号であってもよい。
【0010】
OCT信号は、OCTデバイスによって検出されてもよい。OCTデータは、OCT信号に基づいて取得されてよい。ここで、OCTデータとしては、同一位置に関して時間的に異なる複数のOCT信号に基づいて取得されるOCTモーションコントラストデータであってもよい。モーションコントラストデータを取得する方法としては、例えば、Doppler, Speckle Variance, Correlation Mapping等の方法が用いられてもよい。OCTデータは、単一のOCT信号に基づいて取得されるOCTデータ(例えば、OCT強度データ、OCT位相データ等)であってもよい。
【0011】
二次元OCTデータは、OCTデータが走査方向に並べられることによって形成されてもよい。例えば、二次元OCTデータは、Bスキャン方向(Aスキャンとは交差する走査方向)に並べたBスキャンOCTデータであってもよい。つまり、二次元OCTデータは、BスキャンOCTデータであってもよい。二次元OCTデータは、深さ方向の軸と走査方向の軸からなる画像データを有してもよい。
【0012】
二次元OCTデータは、OCTモーションコントラストデータが走査方向に並べられた二次元OCTモーションコントラストデータであってもよい。二次元OCTデータは、単一のOCT信号に基づいて取得されるOCTデータが、走査方向に並べられた二次元OCTデータであってもよい。
【0013】
なお、本実施形態においては、被検者眼(眼E)の軸方向をZ方向、水平方向をX方向、鉛直方向をY方向として説明する。眼底の表面方向をXY方向として考えても良い。
【0014】
本実施形態のOCT信号処理装置は、例えば、OCT信号取得部(例えば、制御部70)と、信号処理部(例えば、制御部70)を主に備える。
【0015】
OCT信号取得部は、前述の二次元OCTデータを、被検物の深さ方向に演算することによって得られた一次元OCTデータを取得するOCTデータ取得部であってもよい。OCT信号取得部は、光コヒーレンストモグラフィでのOCT信号の検出タイミングが異なる複数の一次元OCTデータを被検物の同一位置に関して取得してもよい。
【0016】
OCT信号取得部は、前述の二次元OCTモーションコントラストデータを、被検物の深さ方向に演算することによって得られた一次元OCTモーションコントラストデータを取得してもよい。OCT信号取得部は、光コヒーレンストモグラフィでのOCT信号の検出タイミングが異なる複数の一次元OCTモーションコントラストデータを取得してもよい。
【0017】
OCT信号取得部は、二次元OCTデータを、被検物の深さ方向に演算することによって得られた一次元OCTデータを取得してもよい。OCT信号取得部は、光コヒーレンストモグラフィでのOCT信号の検出タイミングが異なる複数の一次元OCTデータを取得してもよい。
【0018】
深さ方向の演算する手法は、例えば、以下の手法であってもよい。OCT信号取得部は、例えば、前述の各OCTデータを深さ方向に関して加算処理し、加算処理によって得られたデータが走査方向に並んだ一次元OCTデータを取得してもよい。ここで、加算処理とは、例えば、加算処理、加算平均処理等を含む。
【0019】
OCT信号取得部は、例えば、各OCTデータを深さ方向に関して抽出処理し、抽出処理によって得られたデータが走査方向に並んだ一次元OCTデータを取得してもよい。抽出の例としては、例えば、OCTデータの深さ方向における最大値、最小値、最頻値等を抽出してもよい。
【0020】
OCT信号取得部は、各OCTデータでの深さ方向に分離(例えば、セグメンテーション)された領域に関して深さ方向に演算することによって得られた一次元OCTデータを取得してもよい。より詳細には、OCT信号取得部は、例えば、OCTセグメンテーションによって分離された層別に、深さ方向に関する演算を行ってもよい。
【0021】
OCT信号取得部は、層別に一次元化処理して得られたOCTデータを走査方向に並べることによって一次元OCTデータを取得してもよい。ここで、OCTセグメンテーションとは、例えば、OCT信号を画像化したOCT画像の画像解析によって被検物の層を検出することである。もちろん、画像化することなく、信号の立ち上がりから被検物の層を検出してもよい。
【0022】
なお、OCT信号取得部は、被検物にレーザ光を照射するレーザ照射光学系によって被検物にレーザ光が照射された際の一次元OCTデータを取得してもよい。
【0023】
信号処理部は、OCT信号取得部によって取得された複数の一次元OCTデータを時系列に処理してもよい。より詳細には、信号処理部は、OCTデータ取得手段によって取得された複数の一次元OCTデータを時系列に並べた画像データを生成してもよい。得られた画像データは、モニタに表示されてもよい。画像データは、記憶部に記憶されてもよい。
【0024】
信号処理部は、例えば、一次元OCTデータの経時変化を取得し、一次元OCTデータが経時変化する領域を走査方向において検出してもよい。信号処理部は、例えば、一次元OCTデータの経時変化を取得し、一次元OCTデータの経時変化が収束するまでの時間を検出してもよい。
【0025】
なお、上記処理において、二次元OCTデータ間のずれが画像処理等によって検出されてもよい。信号処理部は、検出されたずれに基づいて、複数の一次元OCTデータを時系列に処理する際に、一次元OCTデータ間のずれを補正してもよい。
【0026】
なお、本実施形態のOCT信号処理装置と、OCT光学系と、レーザ照射光学系と、を備える眼科用レーザ手術装置が構成されてもよい。OCT光学系は、患者眼に照射された測定光と、参照光とによって得られるOCT信号を取得してもよい。照射光学系は、治療用レーザ光源から発せられたレーザ光を患者眼に照射してもよい。
【0027】
本実施形態に関して、より詳細には、OCTデバイスは、例えば、被検物上を走査された測定光と、測定光に対応する参照光とによって得られるOCT信号を検出する。例えば、OCTデバイスは、被検物の同一部位に関して時間の異なる複数のOCT信号を取得できる。より詳細には、OCTデバイスは、例えば、測定光を被検物上に走査する走査部を備える。そして、OCTデバイスは、例えば、被検物の同一部位上に異なるタイミングで複数回測定光を走査させてもよい。
【0028】
OCT信号取得部は、OCTデバイスと電気的に接続され、OCTデバイスから直接OCT信号を取得してもよいし、他の媒体(例えば、コンピュータ、記憶媒体など)から間接的にOCT信号を取得してもよい。
【0029】
OCT信号取得部は、例えば、複数の一次元OCTデータとして、複数の一次元信号を取得してもよい。OCT信号取得部は、例えば、被検物の同一部位における時間の異なる複数のOCT信号の各々を走査方向に一次元化することによって一次元信号を取得する。
【0030】
ここで、走査方向とは、例えば、OCTデバイスが測定光を走査するときの方向であり、いわゆる「Bスキャン」の方向である。一次元信号とは、例えば、輝度、位相差、モーションコントラスト等の数値が一列に並んだ情報であり、一次元OCTデータの一つとして規定されてもよい。この場合、取得したモーションコントラスト信号を走査方向に一次元化することによって一次元信号が取得されてもよい。また、取得したOCT信号を、走査方向に一次元化することによって一次元信号を取得してもよい。
【0031】
例えば、OCT信号処理装置は、レーザ照射部と併用されてもよい。この場合、例えば、OCT信号取得部は、レーザ照射位置における時間の異なる複数のOCT信号を取得する。例えば、OCT信号取得部は、レーザの照射前・照射中・照射後のOCT信号を取得する。そして、一次元信号取得部は、例えば、レーザの照射位置を少なくとも横断するBスキャンによって得られた時間のことなる複数のOCT信号の各々を走査方向に一次元化してもよい。信号処理部は、例えば、一次元信号取得部によって取得された一次元信号を、時系列に並べて二次元画像データを生成してもよい。これによって、OCT信号処理装置は、例えば、光凝固レーザ光の照射によって網膜が凝固したときの変化を時系列で確認できる。さらに、凝固によって網膜が変化する時間を確認することができる。従って、レーザ光の照射パターンの間隔、照射時間の間隔等を設定するための情報が容易に得られる。
【0032】
<実施例>
以下、本実施例のOCT信号処理装置1について図面を用いて説明する。
図1に示すOCT信号処理装置1は、例えば、OCTデバイス10によって取得されたOCT信号を処理する。
【0033】
例えば、OCT信号処理装置1は、制御部70を備える。例えば、制御部70は、一般的なCPU(Central Processing Unit)、RAM、ROM等で実現される。RAMは、各種情報を一時的に記憶する。制御部70のROMには、OCT信号を処理するためのOCT信号処理プログラム、OCT信号処理装置と接続されたデバイス(例えば、OCTデバイス10など)の動作を制御するための各種プログラム、初期値等が記憶されている。なお、制御部70は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
【0034】
制御部70には、
図1に示すように、例えば、記憶部(例えば、不揮発性メモリ)72、操作部76、および表示部75等が電気的に接続されている。記憶部72は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、着脱可能なUSBメモリ等を記憶部72として使用することができる。
【0035】
操作部76には、検者による各種操作指示が入力される。操作部76は、入力された操作指示に応じた信号を制御部70に出力する。操作部76には、例えば、マウス、ジョイスティック、キーボード、タッチパネル等の少なくともいずれかを用いればよい。
【0036】
表示部75は、装置本体に搭載されたディスプレイであってもよいし、本体に接続されたディスプレイであってもよい。パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)のディスプレイを用いてもよい。複数のディスプレイが併用されてもよい。また、表示部75は、タッチパネルであってもよい。表示部75がタッチパネルである場合、表示部75が操作部76として機能する。表示部75は、例えば、OCTデバイス10によって取得されたOCT信号を処理した画像データ等を表示する。
【0037】
<OCTデバイス>
以下、OCTデバイス10の概略を説明する。本実施例では、例えば、被検眼Eに測定光を照射し、その反射光と測定光とによって取得されたOCT信号を取得するOCTデバイス10を一例として説明する。例えば、OCTデバイス10は、OCT信号を取得することによって、被検眼Eの断層像を撮影する。OCTデバイス10は、例えば、OCT光学系100と、正面観察光学系200と、固視標投影ユニット300と、を主に備える。
【0038】
OCT光学系100は、被検眼Eに測定光を照射する。OCT光学系100は、被検眼Eから反射された測定光と,参照光との干渉状態を検出器によって検出する。OCT光学系100は、例えば、走査部(例えば、光スキャナ108)を備える。走査部は、例えば、被検眼上の撮像位置を変更するため、被検眼上における測定光の走査位置を変更する。制御部70は、設定された走査位置情報に基づいて走査部の動作を制御し、検出器からの受光信号に基づいてOCT信号を取得する。
【0039】
<OCT光学系>
OCT光学系100は、いわゆる光断層干渉計(OCT:Optical coherence tomography)の光学系である。OCT光学系100は、測定光源102から出射された光をカップラー(光分割器)104によって測定光(試料光)と参照光に分割する。そして、OCT光学系100は、測定光学系106によって測定光を眼Eの眼底Efに導き,また、参照光を参照光学系110に導く。その後、被検眼Eによって反射された測定光と,参照光との合成による干渉光を検出器120に受光させる。
【0040】
検出器120は、測定光と参照光との干渉状態を検出する。フーリエドメインOCTの場合では、干渉光のスペクトル強度が検出器120によって検出され、スペクトル強度データに対するフーリエ変換によって所定範囲における深さプロファイル(Aスキャン信号)が取得される。例えば、Spectral-domain OCT(SD−OCT)、Swept-source OCT(SS−OCT)が挙げられる。また、Time-domain OCT(TD−OCT)であってもよい。
【0041】
SD−OCTの場合、光源102として低コヒーレント光源(広帯域光源)が用いられ、検出器120には、干渉光を各周波数成分(各波長成分)に分光する分光光学系(スペクトルメータ)が設けられる。スペクトルメータは、例えば、回折格子とラインセンサからなる。
【0042】
SS−OCTの場合、光源102として出射波長を時間的に高速で変化させる波長走査型光源(波長可変光源)が用いられ、検出器120として、例えば、単一の受光素子が設けられる。光源102は、例えば、光源、ファイバーリング共振器、及び波長選択フィルタによって構成される。そして、波長選択フィルタとして、例えば、回折格子とポリゴンミラーの組み合わせ、ファブリー・ペローエタロンを用いたものが挙げられる。
【0043】
光源102から出射された光は、カップラー104によって測定光束と参照光束に分割される。そして、測定光束は、光ファイバーを通過した後、空気中へ出射される。その光束は、光スキャナ108、及び測定光学系106の他の光学部材を介して眼底Efに集光される。そして、眼底Efで反射された光は、同様の光路を経て光ファイバーに戻される。
【0044】
光スキャナ108は、眼底上でXY方向(横断方向)に測定光を走査させる。光スキャナ108は、瞳孔と略共役な位置に配置される。光スキャナ108は、例えば、2つのガルバノミラーであり、その反射角度が駆動機構50によって任意に調整される。
【0045】
これによって、光源102から出射された光束はその反射(進行)方向が変化され、眼底上で任意の方向に走査される。つまり、眼底Ef上における「Bスキャン」が行われる。なお、光スキャナ108としては、光を偏向させる構成であればよい。例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられる。
【0046】
参照光学系110は、眼底Efでの測定光の反射によって取得される反射光と合成される参照光を生成する。参照光学系110は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであっても良い。参照光学系110は、例えば、反射光学系(例えば、参照ミラー)によって形成され、カップラー104からの光を反射光学系により反射することにより再度カップラー104に戻し、検出器120に導く。他の例としては、参照光学系110は、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成され、カップラー104からの光を戻さず透過させることにより検出器120へと導く。
【0047】
参照光学系110は、参照光路中の光学部材を移動させることにより、測定光と参照光との光路長差を変更する構成を有する。例えば、参照ミラーが光軸方向に移動される。光路長差を変更するための構成は、測定光学系106の測定光路中に配置されてもよい。
<正面観察光学系>
正面観察光学系200は、眼底Efの正面画像を得るために設けられている。観察光学系200は、例えば、光源から発せられた測定光(例えば、赤外光)を眼底上で二次元的に走査させる光スキャナと、眼底と略共役位置に配置された共焦点開口を介して眼底反射光を受光する第2の受光素子と、を備え、いわゆる眼科用走査型レーザ検眼鏡(SLO)の装置構成を持つ。
【0048】
なお、観察光学系200の構成としては、いわゆる眼底カメラタイプの構成であってもよい。また、OCT光学系100は、観察光学系200を兼用してもよい。すなわち、正面画像は、二次元的に得られた断層画像を形成するデータを用いて取得されるようにしてもよい(例えば、三次元断層画像の深さ方向への積算画像、XY各位置でのスペクトルデータの積算値等)。
【0049】
<固視標投影ユニット>
固視標投影ユニット300は、眼Eの視線方向を誘導するための光学系を有する。投影ユニット300は、眼Eに呈示する固視標を有し、複数の方向に眼Eを誘導できる。
【0050】
例えば、固視標投影ユニット300は、可視光を発する可視光源を有し、視標の呈示位置を二次元的に変更させる。これにより、視線方向が変更され、結果的に撮像部位が変更される。例えば、撮影光軸と同方向から固視標が呈示されると、眼底の中心部が撮像部位として設定される。また、撮影光軸に対して固視標が上方に呈示されると、眼底の上部が撮像部位として設定される。すなわち、撮影光軸に対する視標の位置に応じて撮影部位が変更される。
【0051】
固視標投影ユニット300としては、例えば、マトリクス状に配列されたLEDの点灯位置により固視位置を調整する構成、光源からの光を光スキャナを用いて走査させ、光源の点灯制御により固視位置を調整する構成等、種々の構成が考えられる。また、投影ユニット300は、内部固視灯タイプであってもよいし、外部固視灯タイプであってもよい。
【0052】
<制御動作>
以上のような構成を備えるOCT信号処理装置において、OCTデバイス10によって取得されたOCT信号を処理するときの制御動作を説明する。以下の説明では、OCTデバイス10によって被検眼Eを測定し、取得されたOCT信号を処理する場合について説明する。なお、OCTデバイス10によって被検眼Eを測定するものとするが、これに限らず、生体の他の部位であってもよいし、物質であってもよい。
【0053】
なお、同一部位に対して複数回のBスキャンを行う場合、被検眼の眼底Efに対してトラッキングを行ってもよい。例えば、観察光学系によって所定間隔ごとに撮影された眼底の正面画像のずれ情報に基づいて、Bスキャンの位置を補正してもよい。
【0054】
<OCT信号の取得>
まず、OCTデバイス10によってOCT信号が検出される。OCTデバイス10は、例えば、固視標投影ユニット300によって被検者に固視標を投影する。そして、図示無き前眼部観察用カメラで撮影される前眼部観察像に基づいて、被検眼Eの瞳孔中心に測定光軸がくるように図示無き駆動部を制御して自動でアライメントを行う。
【0055】
アライメント完了すると、OCTデバイス10は、被検眼Eの測定を行う。OCTデバイス10は、例えば、被検眼上の同一位置に関して、時間的に異なる少なくとも2つのOCT信号を取得する。例えば、制御部70は、光スキャナ108の駆動を制御し、眼底上で測定光を走査させる。このとき、例えば、
図2に示す走査ラインS1に沿ってx方向に測定光を走査させる。なお、測定光の光軸方向に交差する方向(例えば、x方向)に測定光を走査させることを「Bスキャン」と呼ぶ。そして、1回のBスキャンによって得られたOCT信号を1フレームのOCT信号として説明する。
【0056】
制御部70は、測定光を走査する間、検出器120によって検出されるOCT信号を取得する。例えば、
図2において、走査ラインS1を時間T1で走査した時に取得されたOCT信号に基づく画像を画像F1、時間T2で取得されたOCT信号に基づく画像を画像F2、時間TNで取得されたOCT信号に基づく画像を画像FNと表している。なお、
図2において、z軸の方向は、測定光の光軸の方向とする。x軸の方向は、z軸に垂直であって被検者の左右方向とする。y軸の方向は、z軸に垂直であって被検者の上下方向とする。
【0057】
時間T1における1回目の走査が完了すると、制御部70は、1回目と同じ走査位置で、時間T1から所定時間経過した時間T2における2回目の走査を行う。例えば、制御部70は、
図2に示す走査ラインS1に沿って測定光を走査させた後、再び走査ラインS1に沿って測定光を走査させる。制御部70は、測定光の走査中に検出器120によって検出されたOCT信号を取得する。これによって、制御部70は、同じ走査位置における時間の異なる2フレームのOCT信号を取得することができる。なお、本実施例においては、同じ位置での走査をN(2以上の自然数)回繰り返し、時間の異なる連続するNフレームのOCT信号を取得する。制御部70は、例えば、走査ラインS1での走査をN回繰り返し、NフレームのOCT信号を取得する。このように、制御部70は、時間の異なる2フレーム以上のOCT信号を取得する。
【0058】
なお、1回の走査で、時間の異なる同じ位置の信号を2つ以上取得することができる場合は、2回目の走査を行わなくてもよい。例えば、所定間隔だけ光軸のずれた2つの測定光を1度に走査させる場合、複数回走査する必要はない。被検体内の同じ位置における時間の異なるOCT信号を取得することができればよい(特開2013−7601参照)。
【0059】
<OCT信号の処理>
以下、
図2、
図3に基づいてOCT信号の処理について説明する。制御部70は、上記のようにしてOCTデバイス10から取得されたOCT信号を、記憶部72に記憶する。そして制御部70は、記憶部72に記憶された複数のOCT信号を処理し、例えば、複素OCT信号を取得する。例えば、制御部70はOCT信号をフーリエ変換する。例えば、Nフレーム中n枚目の(x,z)の位置の信号をAn(x,z)で表すと、制御部70は、フーリエ変換によって複素OCT信号An(x,z)を得る。複素OCT信号An(x,z)は、実数成分と虚数成分とを含む。
【0060】
なお、例えば制御部70は、取得された複素OCT信号を処理し、モーションコントラストデータを取得してもよい。複素OCT信号を処理する方法としては、例えば、複素OCT信号の強度差を算出する方法、複素OCT信号の位相差を算出する方法、複素OCT信号のベクトル差分を算出する方法、複素OCT信号の位相差及びベクトル差分を掛け合わせる方法、信号の相関を用いる方法(コリレーションマッピング)を用いる方法などが考えられる。本実施例では、位相差を算出する方法を例に説明する。
【0061】
まず、制御部70は、同じ位置の少なくとも2つの異なる時間に取得された複素OCT信号A(x,z)に対して位相差を算出する。制御部70は、例えば、下記の式(1)を用いて、位相の変化を算出する。本実施例では、例えば、N回にわたって異なる時間の測定を行った場合、T1とT2,T2とT3,・・・,T(N−1)とTNの計(N−1)回の計算が行われ、(N−1)個のデータが算出される(例えば、
図3参照)。もちろん、時間の組み合わせは上記に限らず、異なる時間であれば組み合わせを変更してもよい。なお、数式中のAnは時間TNに取得された信号を示し、*は複素共役を示している。
【0063】
以上のように、制御部70は複素OCT信号の位相差に関する深さ方向(Aスキャン方向)の位相差プロファイルを取得する。制御部70は、例えば、この位相差プロファイルの大きさに応じて輝度の大きさが決定された輝度プロファイルを取得し、これをBスキャン方向に並べた二次元のモーションコントラスト画像データ(二次元OCTモーションコントラストデータ)を取得してもよい。この場合、制御部70は、時間の異なる同一位置の複数の複素OCT信号の位相差に基づいて取得された複数の二次元モーションコントラスト画像データを記憶部72に記憶させる。
【0064】
<一次元化>
次いで、例えば、制御部70は、上記のモーションコントラスト画像データのような二次元OCTデータ(例えば、二次元データ、二次元画像データなど)を深さ方向に演算して走査方向に一次元化する。例えば、制御部70は、二次元画像データを深さ方向に加算平均処理することによって、二次元画像データを一次元化して一次元OCTデータ(例えば、一次元データ、一次元画像データなど)にしてもよい。例えば、
図4(a)に示すように、制御部70は、各Aスキャン位置における画像データの輝度プロファイルを深さ方向に加算平均処理し、各Aスキャンによって得られた輝度プロファイルを1つの輝度値に変換する。これによって、制御部70は、各Aスキャン位置に1つの輝度値を持つBスキャン方向の一次元画像データを取得できる。
図4の例では、時間T1から時間T2に取得されたOCT信号から取得されたモーションコントラスト画像データを一次元化した様子が示される。このように、制御部70は、例えば各Aスキャン位置において演算を行うことによって、Bスキャン方向に一次元化された一次元データを取得できる。なお、深さ方向への処理は、すべてのAスキャン位置において深さ方向の演算を行う必要はなく、一部のAスキャン位置において深さ方向の演算を行ってもよい。これによって一部の領域においてBスキャン方向に一次元化された一次元データを取得してもよい。
【0065】
<二次元画像生成(時系列処理)>
例えば、制御部70は、Bスキャン方向に一次元化された一次元データを、Bスキャンを行った順に時間軸方向に並べる、すなわち時系列に並べることによって、二次元の時系列画像データを生成する。例えば、制御部70は、
図4(b)に示すように、縦軸を時間軸、横軸をAスキャン位置として、Bスキャン方向に一次元化した一次元データを上から順に並べた一つの画像データを生成する。このようにして得られた画像データ(
図4(c)参照)は、各Aスキャン位置に対する被検物の経時変化を容易に確認できる。さらにこの画像データは、横軸がAスキャン位置であるため、被検物に経時変化が生じたBスキャン方向の範囲を検出することにも利用可能である。
【0066】
<画像処理による範囲検出>
例えば、制御部70は、取得された二次元画像データの輝度値のエッジを検出することによって、経時変化が生じた範囲を取得してもよい。例えば、Bスキャン方向に一次元化された一次元データにおいて、隣り合う各Aスキャン位置の輝度値の変化を検出することで、各走査時間における被検物の変化が生じたAスキャン位置を取得する。そして、例えば、制御部70は、変化が生じた複数のAスキャン位置から、被検物に変化が生じた範囲W1を取得してもよい(
図4参照)。例えば、血流によって生じるモーションコントラスト画像データに基づいて時系列画像データを生成した場合、拍動による血管の伸縮状態を検出できる。これによって、動脈硬化等の診断に利用可能な情報が得られる。
【0067】
<画像データの出力>
なお、制御部70は、上記のように取得された二次元の時系列画像データを出力してもよい。例えば、制御部70は、時系列画像データを表示部75に表示してもよい。これによって、検者は表示部に表示された時系列画像データを確認することによって各Aスキャン位置における被検物の経時変化を容易に確認することができる。もちろん、表示部75への表示に限らず、プリンタ等によって画像を印刷してもよい。なお、制御部70は、輝度の大きさによって色分けして表示してもよい。これによって、被検物に生じた変化の大きさが分かりやすくなる。
【0068】
<セグメンテーション>
なお、以上の説明において、制御部70は、二次元画像の深さ方向の全領域における加算処理によって、二次元画像を一次元化するものとしたが、これに限らない。例えば、制御部70は、被検物の深さ方向の一部の領域において一次元化を行ってもよいし、分離された複数の領域ごとに一次元化を行い、領域ごとに二次元の時系列画像データを生成してもよい。
【0069】
例えば、制御部70は、OCT信号に基づいて被検眼Eの網膜層の境界を検出してもよい。この場合、例えば制御部70は、複素OCT信号の強度に応じて輝度値が決定された強度画像のエッジ検出によって被検眼Eの網膜層の境界を検出してもよい。そして検出された境界によって網膜層を分離し、網膜層ごとに一次元化を行ってもよい。例えば、制御部70は、被検眼Eの強度画像に基づいて分離された神経線維層(nerve fiber layer: NFL)、神経節細胞層(ganglion cell layer: GCL)、網膜色素上皮(retinal pigment epithelium: RPE)等の各層ごとに深さ方向の演算を行い、時系列画像データを生成してもよい。もちろん、複数の層をまとめて深さ方向の演算を行い、時系列画像データを生成してもよい。この場合、複数の層は隣り合う層でなくともよく、離れた位置にある層であってもよい。
【0070】
上記のように、分類された層ごとに二次元画像を一次元化することによって、ノイズ成分が除去され、より実際の変化に近い情報を取得できる。また、層ごとの変化の仕方を比較することができる。
【0071】
<抽出>
なお、以上の実施例において、二次元画像を深さ方向に関して加算平均処理したが、演算方法はこれに限らない。例えば、制御部70は、深さ方向に関して少なくとも一つの輝度値を抽出してもよい。より詳細には、制御部70は、深さ方向に関して、例えば輝度プロファイルの最大値,最小値,または最頻値等を検索し、該当する輝度値をそのAスキャン位置の代表輝度値として抽出し、そのAスキャン位置における輝度値として設定してもよい。最頻値を探索する場合は、例えば、制御部70は輝度値のヒストグラムを作成し、その分布を利用してもよい。制御部70は、各Aスキャン位置において輝度値を抽出し、それらをBスキャン方向に並べることによって、二次元画像を一次元化した一次元データを取得してもよい。
【0072】
<画像の位置合わせ>
なお、制御部70は、画像データの位置合わせを行ってもよい。画像の位置合わせは、例えば、同じ位置の複数の画像を揃えて配置するプロセスである。画像の位置がずれる原因として、例えば、撮影中の被検眼Eの動き等が考えられる。画像の位置合わせ方法は、例えば、位相限定相関法、各種相関関数を用いる方法、フーリエ変換を利用する方法、特徴点のマッチングに基づく方法など様々な方法が用いられてもよい。例えば、制御部70は、複数のOCT信号から得られた複数の二次元画像の各々において、画像が何画素分ずれているかを取得してもよい。制御部70は、Bスキャン方向に一次元化したプロファイルを時系列に並べる際に、取得されたずれ量の分だけ画素をずらして時系列に並べてもよい。これによって、時間の異なる画像間のAスキャン位置が揃い、検者は、被検物の経時変化をより正確に確認できる。
【0073】
なお、制御部70は、上記のようにモーションコントラストを取得する際、位相補正を行ってもよい。位相補正は、例えば、画像間でAスキャン間の位相ずれを補正する処理である。
【0074】
<三次元時系列画像>
なお、以上の実施例において、同一部位におけるOCT信号に基づく二次元画像データを一次元化してから時系列に並べて二次元の時系列画像データを取得したが、これに限らない。例えば、
図5に示すように、OCT信号に基づく二次元画像データを一次元化せずに時系列に並べることによって三次元の時系列画像データ(ボリュームデータ)を取得し、メモリ72に保存してもよい。制御部70は、この三次元の時系列画像データに基づいて、被検物の経時変化を検出してもよい。上記のような三次元の時系列画像データは、二次元の場合と異なり、深さ方向の情報を持っているため、制御部70は、各深さ方向について被検物の経時変化を検出することができる。
【0075】
<レーザ>
なお、OCT信号処理装置1は、例えば、被検体に治療レーザ光を照射するレーザ照射デバイスと併用されてもよい。例えば、OCT信号処理装置1は、レーザ照射デバイスによってレーザ光が照射されるときの被検体の変化をOCTデバイス10によって撮影し、そのときのOCT信号を処理するために用いられてもよい。以下、被検体として、被検者の眼Eに治療レーザ光を照射し、網膜の一部を凝固させる光凝固デバイス400を一例としてOCT信号処理装置1とレーザ照射デバイスの併用について説明する。
【0076】
<光凝固デバイス>
まず、光凝固デバイス400について
図6を用いて説明する。
図6に示すように、例えば、光凝固デバイス400は、レーザ光源を有し、治療用レーザ光(例えば、532nmの波長)を発振する。光凝固デバイス400の光源から出射された光は駆動ミラー408、およびダイクロイックミラー30で反射され、測定光学系106の一部の光学部材を介して眼底Efに集光される。駆動ミラー408は、駆動機構450によって反射面の角度を変更でき、レーザ光源から発せられたレーザ光を眼Eに対して偏向させる。この場合、測定光学系106の少なくとも一部は、レーザ光を眼の治療部位に照射する照射光学系として用いられる。
【0077】
これにより、光凝固レーザ装置400から出射されたレーザ光は,光スキャナ408によってその反射(進行)方向が変化され、眼底上で二次元的に走査される。これにより、眼底Ef上におけるレーザ光の照射位置が変更される。
【0078】
なお、光凝固レーザ装置400は、治療用レーザ光源に加えて、エイミング光を発するエイミング光源を備える構成であってもよい。
【0079】
<レーザ併用時の制御動作>
以下、OCT信号処理装置を光凝固レーザ装置と併用する場合の制御動作について説明する。まず、制御部70は、例えば観察光学系200を制御し、被検眼Eの眼底像を取得する。次に、制御部70は、レーザの照射位置を取得する。例えば、制御部70は観察光学系200によって取得された被検眼Eの眼底像を表示部75に表示してもよい。検者は、表示部75に表示された被検眼Eの眼底像を確認し、操作部76を操作することによってレーザの照射位置を設定してもよい。
【0080】
<OCT撮影、レーザ照射>
検者によって、操作部76の照射開始キーが操作されると、制御部70は、設定されたレーザ照射位置へのレーザ照射が可能となる。なお、制御部70は、被検眼Eにレーザの照射を行う前に、OCTデバイス10を制御し、被検眼Eによって反射された測定光と参照光とのOCT信号を取得する。このとき、例えば制御部70は、前述のように設定されたレーザの照射位置を測定光が横断するように光スキャン108を制御し、同じ走査位置においてBスキャンを繰り返し行う。このようにして、制御部70は、被検眼Eにレーザ照射を行う前のOCT信号を取得する。
【0081】
制御部70は、例えばOCTデバイス10によってBスキャンが繰り返し行われている状態で、光凝固レーザ装置400を制御して被検眼Eにレーザを照射する。光凝固レーザ装置400は、例えば、治療用レーザ光(例えば、532nmの波長)を発振する。このレーザ光は、光スキャナ408、及びダイクロイックミラー30によって反射され、測定光学系106の一部の光学部材を介して眼底Efに照射される。
【0082】
制御部70は、光スキャナ408を制御し、光凝固レーザ装置からのレーザ光を照射位置に向けて照射する。OCTデバイス10は、レーザ光が照射される前、照射中、照射後においてOCT信号を取得し、取得されたOCT信号はOCT信号処理装置1によって前述と同様の処理がなされ、二次元の時系列画像データが生成される。
図7は、例えば、被検眼Eにレーザ光を照射した場合にOCTデバイス10でOCT信号を処理したときの二次元の時系列画像データである。
図7(a)は、被検眼Eにレーザ光を照射する前に取得されたモーションコントラスト画像を示す。同様に、(b)はレーザ光の照射中、(c)はレーザ光の照射直後、(d)はレーザ光の照射後に取得されたモーションコントラス画像を示す。
図7(e)は、各時間に取得されたモーションコントラスト画像データを一次元化した一次元画像データを時系列に並べた図である。
図7のように、レーザの照射開始時にOCT信号の位相変化が生じ、レーザ照射が終了してからしばらくの間OCT信号の位相差の変化が検出される。
【0083】
制御部70は、例えば、取得された二次元時系列画像データを解析し、レーザ光によって網膜が変化した変化範囲W2を前述のようなエッジ検出によって演算してもよい。例えば、制御部70は、演算された変化範囲W2に基づいて、レーザの照射位置、照射パターンの各ドット間の距離等を決定してもよい。なお、制御部70は、例えば二次元の時系列画像データに基づいて被検眼に生じた変化が収まる時間を検出し、この時間に基づいて照射時間間隔などを決定してもよい。
【0084】
なお、時系列画像データの生成は、OCT信号が取得されるごとに随時処理が行われてもよいし、レーザ光の照射が終了するまでOCT信号を記憶部に記憶しておき、レーザ光の照射が終了した後にまとめて処理してもよい。例えば、レーザ光の照射中に時系列画像が生成され、リアルタイムで表示部75に表示されてもよいし、レーザ光の照射後に表示されてもよい。もちろん、上記のような変化範囲W2の解析なども、リアルタイムで行われてもよいし、レーザ光照射後に行われてもよい。例えば、術者の操作部76への操作に基づいて解析が行われてもよい。
【0085】
レーザ照射時において、制御部70は、照射位置の設定に用いた眼底像を基準画像として設定し、随時取得される眼底像との相対位置を検出する。そして、制御部70は、レーザ光源及び光スキャナ408の動作を制御することにより、設定された照射位置情報に基づいて眼にレーザ光を照射する。すなわち、眼の移動があっても眼底Ef上の設定された領域を照射できるように,検出結果に基づいて光スキャナ408による走査位置を補正する(レーザ光のトラッキング)。これによって、レーザ照射位置を補正する。例えば、制御部70は、関連付けされた眼底正面像と、随時取得される眼底像との間の眼底の表面方向(XY方向)に関するずれを検出し、検出されたずれが補正されるように光スキャナ408の走査位置を補正してもよい。
【0086】
なお、上記トラッキングにおいて、2つの画像間の位置ずれを検出する手法としては、種々の画像処理手法(各種相関関数を用いる方法、フーリエ変換を利用する方法、特徴点のマッチングに基づく方法)を用いることが可能である。
【0087】
例えば、基準画像又は観察画像(現在の眼底画像)を1画素ずつ位置ずれさせ、基準画像と対象画像を比較し、両データが最も一致したとき(相関が最も高くなるとき)の両データ間の位置ずれ方向及び位置ずれ量を検出する手法が考えられる。また、所定の基準画像及び対象画像から共通する特徴点を抽出し、抽出された特徴点の位置ずれ方向及び位置ずれ量を検出する手法が考えられる。
【0088】
なお、テンプレートマッチングにおける評価関数は、類似度を示すSSD(Sum of Squared Difference)や相違度を示すSAD(Sum of Absolute Difference)などを評価関数として用いてもよい。
【0089】
なお、上記構成においては、OCT光学系100とレーザ照射デバイスについて、光スキャナを別々に設ける構成としたが、共通の光スキャナを用いる構成としてもよい。例えば、光スキャナ108の光源側にダイクロイックミラー30を設け、その反射方向にレーザ光を導光する光ファイバーを設けてもよい。この場合、例えば、OCTデバイス10の測定光を光スキャナ108によって走査する際に、光スキャナ108の反射光軸が、レーザ光の照射位置に合致したときにレーザ照射デバイスによってレーザ光が照射されるようにしてもよい。
【0090】
なお、OCT信号処理装置1と、OCTデバイス10と、光凝固レーザ装置400は、異なる筐体にそれぞれ配置された構成であってもよい。この場合、OCTデバイス10によって取得されたOCT信号を、通信手段を介してOCT信号処理装置1に受信できればよい。
【0091】
なお、光凝固レーザ装置400に配置される観察光学系200としては、術者によって直視が可能なスリットランプが配置されてもよい。また、接眼レンズを覗く術者のために視野内表示部を設けるようにしてもよい。この場合、スリットランプの接眼レンズと患者眼との間にビームコンバイナが設けられる。そして、視野内表示部で表示された表示画像は、ビームコンバイナで反射され、接眼レンズに向かう。これにより、術者は、スリットランプの観察画像と表示画像を視認できる。