(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第三のペン先が前記第一のペン先に対し略同じ形状をなすとともに、前記第二のペン先が前記第一、第三のペン先とは異なる形状をなす請求項4又は5記載の暗記用ペンセット。
前記第三のペン先が、前記第一のペン先よりも大きく設定されるとともに前記第一のペン先よりも太い線を筆記し得るようにしている請求項4、5又は6記載の暗記用ペンセット。
前記着色シートが、シート本体と、このシート本体に設けられこのシート本体とともに紙葉類を挟持し得る挟持片を形成すべくシート本体の一部を切り欠いたスリットとを有するものであり、
前記シート本体が、当該シート本体及び前記挟持片により前記紙葉類の縁部を挟持したときに前記紙葉類に対し平面視はみ出し得る露出領域と前記紙葉類に対し平面視重複する挿入領域とを有している請求項8記載の暗記用ペンセット。
【背景技術】
【0002】
従来、特定の色彩である特定色を呈した透光性を有する着色シートをペンにより筆記された箇所に重ね合わせることにより筆記した箇所を容易に視認し得ないようにすることで、例えば学習に際しての暗記作業に利用することができる暗記用ペンセットが提案されている。ここで、上記のような着色シートを用いて暗記作業といった学習を行う場合以下の2通りの態様がある。
【0003】
前者の態様としては、上記特定色に対する補色系統の色彩を呈するペン先を利用して、例えば通常の黒色で既に印刷された文字を半透明のインクにより塗りつぶすように筆記する態様が挙げられる。斯かる態様によれば筆記された箇所はそのまま見れば半透明のインクにより強調されるように視認される一方、着色シート越しに見れば当該箇所全体が黒く塗りつぶされたように見え、視認できない。
【0004】
そして、後者の態様としては、下記特許文献に開示されているように、上記特定色と同系統の色彩を呈するペン先を利用して、未だ印刷されていない紙面上に使用者が併せて覚えたい内容や注意書きといった文字等を記載する態様が挙げられる。斯かる態様によれば筆記された箇所を着色シート越しに見れば当該箇所は着色シートの色彩に紛れてしまい、一見何も記載されていないように使用者には見える。
【0005】
ここで近年、上記のような暗記作業を行う使用者の間では上記前者、後者の何れかの態様のみを利用するのではなく、両者の態様を併用する、換言すれば、同じ本やノートの紙面といった対象面上で両者の態様を適宜使い分け、より一層の学習効率の向上を望むといった傾向が強くなってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記したような暗記用ペンセットは、暗記用ペンも着色シートも仕様が様々であり、上記両者の態様を併用しようとする使用者は、着色シート又は暗記用ペンの少なくとも何れかを複数所持しなければならず、使用者によってはこれら着色シート及び暗記用ペンの取り扱いが煩雑なものに感じられ、当該複数の着色シート及び複数の暗記用ペンの取り扱い作業自体がかえって学習効率の向上の妨げになると感じられてしまうこともある。
【0008】
本発明は、このような点に着目したものであり、使用者による容易な取り扱いを実現して学習効率の向上に資する暗記用ペン及び暗記用ペンセットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち本発明に係る暗記用ペンは、透光性を有した特定色の単一の着色シートにおける前記特定色に対して補色系統にある色彩で筆記可能な
、印刷文字を包含する着色箇所を形成すべく太塗り部を有する第一のペン先と、前記特定色に対して同色系統にある色彩で筆記可能な
前記第一のペン先による筆記よりも細い線を筆記すべく構成された第二のペン先と、これら第一のペン先及び第二のペン先を取り付ける単一のボディとを具備してなることを特徴とする。
【0011】
ここで「筆記」とは紙などの対象面に文字を記載する態様に限られず、対象面の一定の領域を塗りつぶす、換言すれば塗布していく態様や、一定のパターンや特定の形状、模様を描画する態様をも含む概念である。
【0012】
このようなものであれば、着色シートが呈する特定色に対して補色系統にある色彩による筆記を利用する作業であっても同色系統にある色彩による筆記を利用する作業であっても、同じ一枚の着色シート及び一本の暗記用ペンによって行うことができる。これにより、学習時に多数のペンやシートを取り扱うという煩雑さを有効に回避することができる。その結果、容易な取り扱いを実現して学習効率の向上にも資する暗記用ペンを実現することが可能となる。
【0013】
使用者にとって利用し易い態様の一例として、着色シートが有する赤系統の特定色に対する補色系統にある緑系統の色彩で筆記可能な第一のペン先を有するものとしている態様を挙げることができる。
【0014】
また、第二のペン先により筆記した内容を着色シートの被覆により、より視認し難くするための態様として、第二のペン先を、特定色よりも明度が高い色彩で筆記可能なものとすることが望ましい。これは、特定色と同じ色彩にて筆記したものであると、着色シート被覆した際に、筆記した箇所の明度が著しく低くなるので筆記した内容が見えてしまうという傾向に鑑みたものである。
【0015】
そして、第一のペン先の利用により使用者が既に暗記できた箇所においては第一のペン先による着色箇所を消去したいという使用者の要望に応えるべく本発明に係る暗記用ペンセットは、上述した暗記用ペンと、この暗記用ペンの第一のペン先により筆記され着色された着色箇所の色を消す消色液を塗布することができる第三のペン先を有する消色ペンとを具備することを特徴とする。
【0016】
また消色液が、第二のペン先により筆記された箇所の色を消し得ないものであれば、消色ペンの利用が上記第二のペン先による筆記を誤って消してしまうことを避けたいという使用者の要望を有効に満たすことができる。
【0017】
そして、消色ペンが第一のペン先による筆記のみを消し得るという点を使用者に認識させ易くして、より効率の高い使用を促したい場合は、第三のペン先を第一のペン先に対し略同形状とするとともに、第二のペン先が第一、第三のペン先とは異なる形状とすれば良い。
【0018】
加えて、第一のペン先による筆記を容易且つ確実に消し得るようにするためには、前記第三のペン先が、前記第一のペン先よりも大きく設定されるとともに前記第一のペン先よりも太い線を筆記し得るようにすることが望ましい。
【0019】
さらに、本実施形態に係る暗記用ペンセットは、透光性を有した特定色の
単一の着色シートと、上述した暗記用ペンとを具備してなることを特徴とする。
【0020】
また、着色シートを誤って紛失したり、ノートや書籍を構成する複数枚積層された紙葉類間に紛れたりしてしまうという不具合を回避し、学習効率の向上に資する着色シートの一例として着色シートが、シート本体と、このシート本体に設けられこのシート本体とともに紙葉類を挟持し得る挟持片を形成すべくシート本体の一部を切り欠いたスリットとを有するものであり、シート本体が、当該シート本体及び挟持片により紙葉類の縁部を挟持したときに紙葉類に対し平面視はみ出し得る露出領域と紙葉類に対し平面視重複する挿入領域とを有している態様を挙げることができる。
【0021】
そして、出荷時に着色シート及び暗記用ペンをひとまとめにして輸送したり、販売店舗にてこれらをひとまとめにして陳列したりして、使用者の任意に応じて容易に使用することができる態様として、着色シート及び暗記用ペンを保持し得る台紙を具備しているものであり、この台紙が、着色シートを表裏から挟み込んで収容するシート収容部と、暗記用ペンを保持するペンホルダとを有している態様を挙げることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、容易な取り扱いを実現して学習効率の向上に資する暗記用ペン及び暗記用ペンセットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
本実施形態に係る暗記用ペンセットAは、例えば参考書BやノートN(
図4、
図5)に印刷されている印刷文字PLや使用者自身が筆記した記載を着色シート1越しで視認不能とした状態とし、使用者が当該視認不能とした箇所を意識的に暗記するといった、所謂暗記学習のための用いられるものである。
【0026】
当該暗記用ペンセットAは、
図1に示すように、例えば二つ折りされた厚紙からなる台紙4に、着色シート1が挟まれ且つ、台紙4の表面板41側に、ペン2及び消色ペン3を保持した状態で出荷時の輸送や販売店舗での陳列に好適に対応できるようにしてある。
【0027】
ここで、本実施形態に係る暗記用ペンセットAは、透光性を有した特定色たる赤色の着色シート1と、赤色に対して補色系統にある緑色で筆記可能な第一のペン先21および赤色に対して同色系統にあるオレンジ色で筆記可能な第二のペン先22を共通のボディ20に設けてなる暗記用ペンたるペン2とを具備してなるものである。以下、これら暗記用ペンセットAを構成する各構成要素について説明していく。
【0028】
着色シート1は、本実施形態では例えば赤系統の特定色を有し、且つ透光性を有するものである。この着色シート1は、例えば透明性樹脂中に着色剤を含有させて成形したシート状物、或いは、透明性樹脂により成形したシート状物を着色したものである。本実施形態では当該着色シート1の大きさは一例として使用者にとっての取り扱いのし易さを鑑みた大きさにしてある。具体的には、殆どのノートNや参考書Bに対して使用し得ることや台紙4に収容され得る大きさを想定し、JISに規定されているA6版サイズ程度の大きさに設定されているが勿論、その大きさや厚みは特に限定されるものではない。
【0029】
当該着色シート1は、
図2、
図3及び
図4に示すように、折り返し部分のない単葉状をなすシート本体10と、このシート本体10に設けられこのシート本体10とともに紙葉類たる紙Pを挟持し得る挟持片14を形成すべくシート本体10の一部を切り欠いたスリット11とを有するものである。そしてシート本体10は、シート本体10及び挟持片14により紙Pの縁部を挟持したときに紙Pに対し平面視はみ出し得る露出領域12と紙Pに対し平面視重複する挿入領域13とを有している。すなわち本実施形態ではシート本体10を折り返し部分のない単葉状をなすようにしているので、スリットの上側たる一端側がそのまま露出領域13、他端側たる下側がそのまま挿入領域14となるようにしてある。また折り返し部分が無いということは露出領域13が不要に折り返されて紙葉類13から露出することもない。スリット11は、平面視概略C字状に素材を切り起こすことにより当該スリット11の内側を周縁から厚み方向に動作し得る挟持片14を形成している。そして当該スリット11の両端近傍に下方へ向かう概略湾曲折り返し形状とした当接端15を形成することで、スリット11の縁が裂けてしまう可能性を排除している。また当接端15は湾曲形状に形成されることで、挟持片14が紙Pを挟んだときであっても紙Pの縁部を損傷させることはない。
【0030】
しかしてペン2は、暗記用ペンに相当するものであり、透光性を有した特定色の着色シート1における特定色に対して補色系統にある色彩で筆記可能な第一のペン先21と、特定色に対して同色系統にある色彩で筆記可能な第二のペン先22と、これら第一のペン21先及び第二のペン先22を取り付ける単一のボディ20とを具備してなることを特徴としている。
【0031】
ペン2は、相異なる形態且つ色調のペン先21、22を一端2a及び他端2bにそれぞれ装着させた、所謂ツインタイプの筆記具である。このペン2は、緑系統の色彩で筆記可能な一端2aに配された第一のペン先21と、他端2bに配され着色シート1が呈する特定色である赤色よりも明度が高い色彩であるオレンジ色で筆記可能である第二のペン先22と、これら両ペン先21、22を支持しているボディ20と、第一のペン先21を被覆すべくボディ20に着脱可能に配される第一キャップ28と、第二のペン先22を被覆すべくボディ20に着脱可能に被覆配される第二キャップ29とを有している。そして第一のペン先21には緑系統の色を呈する第一のインク23が保持されるとともに、第二のペン先22にはオレンジ色を呈する第二のインク24が保持されてなる。本実施形態では、第一のペン先21及び第二のペン先22は本実施形態では共に、毛細間隙が形成された繊維加工体、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の連通気孔の多孔質部材、プラスチック材の軸方向にインク溝を形成したプラスチック芯、各種プラスチック粉末などを焼結した焼結芯(ポーラス体)等からなるものとしている。
【0032】
第一のペン先21は、円筒形状の先端が断面視例えば鋭角をなすように切り欠かれることにより傾斜方向に稜線が形成される所謂チゼル形状をなすものである。当該チゼル形状に成形することにより第一のペン先21は、塗布対象或いは筆記対象である紙Pへの当接位置を変えることで先端縁25を当接させて細書き用、或いは上記稜線から切り欠き面に亘って形成された太塗り部26を当接させて太書き用として使用することができる。
【0033】
第二のペン先22は、第一のペン先21とは異なる形状をなすものであり、ペン2の他端2b側において概略円錐形状に成形されその尖端27及びその付近にのみ第二のインク24を吐出し得るようにして、第一のペン先21による筆記よりも細い線を筆記し易くしたものである。
【0034】
ボディ20は、一端2a及び他端2b側にそれぞれ第一、第二のペン先21、22を位置付けるとともに第一、第二キャップ28、29を着脱可能に装着し得る円筒形状をなすものである。このボディ20は、第一、第二のペン先21、22に保持される第一、第二のインク23、24をそれぞれ絶対に混合させないように保持すべく、内部に2つに分かれた繊維集束体からなるインク吸蔵体を内蔵し、第一、第二のペン先21、22をそれぞれ直接或いは中継部材を介して連結させることにより、所謂マーキングペンの構成の一部を担うものであるが、当該ボディ20内部の構成は既存の種々の構成を適用し得るために省略する。なお、第二のペン先22は例えば、上記態様の他、ボールペンとしての態様を適用することができる。この場合図示しないが、尖端27に相当する箇所には回転可能に構成されたボールを保持させるとともにボディ20内には第二のインク24を充填したインク収容管を配し、該インク収容管はボールを先端部に装着したチップ状の第二のペン先22に連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接しているといった既存のボールペンとしての構造を例示できる。
【0035】
第一のインク23は、
図6〜
図8及び
図11に示すように、本実施形態では、着色シート1が呈する特定色である赤色に対し、補色に相当する緑系統の色彩を呈するとともに、紙Pへの記載による着色箇所Cが印刷文字PLを包含する場合には印刷文字PLの周辺が緑色を呈することにより強調されたように見えるようにしてある。そしてこの第一のインク23は、着色箇所Cが消色ペン3により上書きされたときには透明となるとともに、消色ペン3により筆記或いは塗布された消色箇所Dへ上書きしようとしても消色してしまうという態様をなす。具体的には、当該第一のインク23は、pHが高くなる条件下では色彩が消えてしまう材料を主体としている。
【0036】
第二のインク24は、
図9、
図10及び
図12に示すように本実施形態では、着色シート1が呈する特定色である赤系統の色彩ではあるが、当該着色シート1の赤色よりも明度が高い色彩であるオレンジ色を呈している。また当該第二のインク24は、本実施形態では印刷文字PLに上書きしても印刷文字PLの見え方に何ら影響を与えない態様のものを適用しているが、印刷文字PLに優先してオレンジ色を呈する、所謂上書き可能な態様のものとしてもよい。そして本実施形態では、この第二のインク24は第一のインク23とは異なり、消色ペン3により上書きされてもオレンジ色に変化は現れず、消色ペン3により筆記或いは塗布された消色箇所Dに上書きをすることもできる。
【0037】
消色ペン3は、第一のペン先21により筆記され着色された着色箇所Cの色を消す消色液33を塗布することができる第三のペン先31を有するものである。この消色ペン3は、消色液33を塗布可能な第三のペン先31と、この第三のペン先31を保持する他のボディ30と、第三のペン先31を被覆すべく他のボディ30に対して着脱可能に構成される白色半透明に着色された第三キャップ38とを有している。
【0038】
第三のペン先31は、本実施形態では第一のペン先21と略同形状であるチゼル形状をなす、先端縁35及び太塗り部36を有するものである。すなわち第二のペン先22とは異なる形状をなす。太塗り部36は、第一のペン先21の太塗り部26により筆記される線よりも太い線を筆記し得る。なお、第三キャップ38は第一キャップ28と略同じ形状である。そしてボディ20はその内部に消色液33を保持し得る構成をなすものであるが、当該構成は上記ボディ20が第一のインク23を保持する態様と同じ既存の構成であるため説明を省略する。
【0039】
消色液33は、本実施形態では第一のインク23の態様に応じて設定されたもので第一のインク23による着色箇所Cへ上書きされることにより第一のインク23の着色を消し得るとともに当該消色液33により塗布された消色箇所Dへ第一のインク23を塗布すなわち第一のペン先21により筆記しても緑色を呈さないようにしている。すなわち当該消色液33は、本実施形態では、塗布後に塗布対象から蒸発し得る溶媒33bと、この溶媒33bに溶解してなり且つ第一のペン先21により筆記される第一のインク23の色を消し得る消色剤33aとを有するものであり、この消色剤33aが、塗布後に塗布対象である紙P上に残存するようにしてある。本実施形態では消色剤33aを例えば色彩を呈さないすなわち透明度が高く、且つ、第一のインク23よりもpHが高い材質を用いている。そして溶媒33bは、消色剤33aを溶解させることが可能であり、且つ第三のペン先31による塗布後、紙Pに皺を形成させることなく速やかに蒸発或いは揮発し得る液体からなる。これら消色剤33a並びに溶媒33bは既存の種々のものを適用し得るため、詳細な説明を省略する。
【0040】
台紙4は、店舗での陳列時に着色シート1及びペン2を保持するためのものである。この台紙4は、
図2に示すように、幅方向中央に形成した折り線である半折端4aにて二つ折りされた表面板41及び裏面板42を有するものであり、これら両面板41、42の裏面間に、着色シート1を挟み収容するシート収容部40を形成している。この台紙4はまた、半折端4aの反対側にある開放端4bの一部を凹ませることにより着色シート1の一部を外方に露出させるシート露出部4cを形成するとともに、上端部には両面板41、42を連通するように円形状の開口であるフック孔4dを形成しておくことで、例えば店舗での陳列時に吊り下げ用のフックやバーを挿通させて吊り下げておくことができる。この台紙4は、表面板41により主にペン2及び消色ペン3を保持するとともに、裏面板42には暗記用ペンセットAの詳細な使用方法など使用上重要な事項を印刷により記載してある。表面板41は、シート露出部4cが形成されている開放端4b側の領域から上端部分に亘る領域においてこの暗記用ペンセットAの長所や特長を記載したタイトル面43と、半折端4a近傍においてペン2及び消色ペン3を添設させておくためのペン保持面44と、このペン保持面44における紙素材を適宜切り起こすことによりペン2及び消色ペン3を係合保持しておくためのペンホルダ45とを有している。ペンホルダ45は、ペン2及び消色ペン3のボディ20及び他のボディ30を挿通保持させておくためのペン挿入穴45cを形成しているペン挿入部45aと、ペン挿入部45aにより仮保持されたペン2及び消色ペン3が幅方向にずれることを抑止するためのペン支持片45bとを有している。裏面板42は、その略全領域を、商品としての暗記用ペンセットAに関する説明及び必須の記載を印刷した裏表示面46としている。この裏表示面46は、本実施形態では、上端から三分の二程度の領域を、着色シート1、ペン2及び消色ペン3の使用方法を詳細且つ解り易く説明した説明領域46aとし、下から三分の一程度の領域には、暗記用ペンセットA使用時の注意事項を記載した注意喚起領域46b及び商品としての出所表示を示す事項等の内容を記載した出所表示領域46cをそれぞれ印刷により設けている。
【0041】
しかして本実施形態では、これら着色シート1、ペン2及び消色ペン3を組み合わせて用いることで、以下に示すような、効率の高い暗記作業を行うことができる。
【0042】
まず着色シート1については、本実施形態では特に
図4及び
図5に示すように、シート本体10においてスリット11の当接端15よりも図示上側の部分が、挟持片14を利用して紙Pに係り合わせているときに必ず平面視紙Pの縁部からはみ出す露出領域12となる。そして当接端15よりも図示した側の部分が、紙Pに平面視重複し、冊子であるノートNや参考書Bに挟まれ得る挿入領域13となる。これにより、ノートNや参考書Bにおける現時点での学習箇所は露出領域12を目印として速やかに探し出すことができる。加えて、着色シート1は折り返し部分のない単葉体であるためにノートNや参考書Bに隙間無く挟持され脱落し難くなっているので誤って紛失してしまう可能性を有効に排除している。
【0043】
そして
図6及び
図7に示すように、黒色インクにより文字等の一般印刷を施した印刷文字PLや、図示しないが使用者が鉛筆や黒色を呈する他の筆記具により書かれた文字を含む特定範囲を緑色を呈したペン2を用いて筆記することにより着色箇所Cを形成し、その後、透光性を有する赤色に着色した着色シート1を載置することによって、着色箇所Cの緑色と着色シート1の赤色が混色となった黒色が視覚され、印刷文字PLが不可視状態になる。すなわち、斯かる着色シート1とペン2からなる暗記用ペンセットAの具体的な使用方法を説明すると、ペン2にて塗布対象である紙P上に予め形成された印刷文字PLといった黒色印刷像を含む特定範囲に筆記して得られる緑色の筆跡である着色箇所Cは
図6に示すように、通常の状態では緑色であり、且つ、当該緑色の筆跡を透して印刷文字PLは視認可能である。そして印刷文字PLを含む着色箇所C上に着色シート1を載置すると、緑色に彩色された箇所は着色シート1の赤色と補色関係により黒色に視覚されるため、着色箇所C内に存在する印刷文字PLは視認されなくなる。従って、使用者が印刷文字PLのうち、記憶したい印刷文字PLの上に第一のペン先21を用いて筆記を施した後、着色シート1を載置すると像が視覚不能になるため、暗記に有効である。
【0044】
そして
図8に示すように、例えば使用者によって確実に暗記できたと認識される着色箇所Cなど、着色シート1により視認され得なくする必要が無くなった着色箇所Cに対しては、消色ペン3を用いることにより容易に消色させることが可能である。具体的に説明すると、第三のペン先31を用いて着色箇所Cに対し消色液33を塗布すると、溶媒33bは揮発或いは蒸発するものの紙Pの表面には第一のインク23よりも高いpHを呈する消色剤33aが付着する。これにより第一のインク23のpHも高くなり、その結果当該第一のインク23の特性により、緑色から透明へと消色する。ここで当該第三のペン先31は上述した通り第一のペン先21よりも寸法を大きく設定した、所謂相似形状をなすようにしているため、例えば同図のように太塗り部26により第一のインク23が筆記された箇所に対し、使用者が第三のペン先31の太塗り部36を使用して同様の線をなぞるように筆記するとき、太塗り部36の方が太い線を筆記し得る形状であるため、少々第三のペン先31による筆記が紙P上の第一のインク23が筆記或いは塗布された箇所からずれたとしても消色液33が第一のインク23を覆うように塗布されるので、第一のインク23は消色する。
【0045】
そして本実施形態では、同一の着色シート1及びペン2を用いて、異なる方法での学習作業を行うことができる。すなわち
図9に示すように、第二のペン先22によって記載した記載箇所Lは第二のインク24によりオレンジ色として視認可能である。そして記載箇所Lを含む領域上に着色シート1を載置すると、オレンジに彩色された箇所は着色シート1の赤色と同系統であるために紙Pにおける周囲の白色を呈している箇所との見分けが困難となるため、記載箇所Lはほとんど視認できなくなる。従って、使用者が、記憶したい内容を記載した記載箇所Lの上に着色シート1を載置すると像が視覚不能になるため、暗記に有効である。すなわち本実施形態では、使用者は第一のペン先21に対して支持されるボディ20を一にする第二のペン先22を用いることにより2つの態様を適宜使い分けながら有効な暗記作業を行い得る。換言すれば使用者はペン2を持ち替えるだけで且つ同じ着色シート1をそのまま使いながら異なる態様の暗記作業を適宜使い分けることができる。
【0046】
さらに本実施形態では、
図12に示すように、第二のペン先22によって記載される第二のインク24は、消色液33の影響を何ら受けない。換言すれば、第三のペン先31により第一のインク23を消色させる作業中に誤ってオレンジ色を呈した記載箇所Lに消色液33を付着させたとしても、記載箇所Lのオレンジ色には何ら変化が現れないため、使用者が誤って必要な記載を消してしまうという不具合を有効に回避し得る。
【0047】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る暗記用ペンセットAは、着色シート1が呈する特定色に対して補色系統にある色彩による筆記を利用する作業並びに同色系統にある色彩による筆記を利用する作業を、同じ一枚の着色シート1及び一本のペン2によって実現している。すなわち、学習時に多数のペン2やシートを取り扱うという煩雑さを有効に回避せしめている。その結果、容易な取り扱いを実現して学習効率の向上にも資する暗記用ペンセットAを実現している。
【0048】
使用者にとって利用し易い着色シート1及びペン2の態様として本実施形態では、着色シート1を、赤系統の特定色を有するものとし、ペン2を、緑系統の色彩で筆記可能な第一のペン先21を有するものとしている。
【0049】
また、第二のペン先22により筆記した内容を着色シート1の被覆により、より視認し難くするために本実施形態では、第二のペン先22を、特定色である赤色よりも明度が高い色彩であるオレンジ色で筆記可能なものとしている。これにより、特定色と同じ赤色にて筆記したものであると、同じ着色シート1を被覆した際に、筆記した箇所の明度が著しく低くなるために筆記内容が見えてしまうところ、オレンジ色を呈する第二のインク24では斯かる不具合を有効に解消している。
【0050】
また、第一のペン先21の利用により使用者が既に暗記できた箇所においては第一のペン先21による着色箇所Cを消去したいという使用者の要望に応えるべく本実施形態では、第一のペン先21により筆記され着色された着色箇所Cの色を消す消色液33を塗布することができる第三のペン先31を有する消色ペン3を具備する態様としている。
【0051】
そして本実施形態では上記消色ペン3を利用するとき、消色液33が、塗布後に塗布対象から蒸発し得る溶媒33bと、この溶媒33bに溶解してなり且つ第一のペン先21により筆記される第一のインク23の色を消し得る消色剤33aとを有するものとしている。
【0052】
また消色液33が、第二のペン先22により筆記された箇所の色を消し得ないものとしているので、消色ペン3の利用が上記第二のペン先22による筆記を誤って消してしまうことを避けたいという使用者の要望にも応えている。
【0053】
そして、消色ペン3が第一のペン先21による筆記のみを消し得るという点を使用者に認識させ易くして、より効率の高い使用を促すべく本実施形態では、第三のペン先31を第一のペン先21に対し略同形状とするとともに、第二のペン先22が第一、第三のペン先21、31とは異なる形状としている。
【0054】
特に本実施形態では、第一のペン先21による筆記を容易且つ確実に消し得るようにするために第三のペン先31は第一のペン先21よりも寸法を大きく設定した、所謂相似形状をなすようにしている。これにより第三のペン先31が、第一のペン先21よりも太い線を筆記し得るよう太塗り部36の方が太い線を筆記し得る形状にしている。その結果、使用者が第三のペン先31の太塗り部36を使用して同様の線をなぞるように筆記するとき少々第一のインク23が筆記或いは塗布された箇所からずれたとしても消色液33が第一のインク23を覆うように塗布されるので、第一のインク23は消色する。つまり使用者は第三のペン先31により慎重に筆記しなくとも、多少ずれても良い程度の容易な姿勢で筆記しても確実に第一のインク23を消色させ得る。
【0055】
また、着色シート1を誤って紛失したり、ノートNや書籍を構成する複数枚積層された紙葉類間に紛れたりしてしまうという不具合を回避し、学習効率の向上に資するために本実施形態では、着色シート1を折り返し部分のない単葉状をなすシート本体10と、このシート本体10に設けられこのシート本体10とともに紙Pを挟持し得る挟持片14を形成すべくシート本体10の一部を切り欠いたスリット11とを有するものとし、シート本体10を、当該シート本体10及び挟持片14により紙Pの縁部を挟持したときに紙Pに対し平面視はみ出し得る露出領域12と紙Pに対し平面視重複する挿入領域13とを有する態様を適用している。
【0056】
そして、着色シート1及びペン2をひとまとめに梱包し、出荷時の輸送や販売店舗での陳列に好適に対応できるように本実施形態では、着色シート1及びペン2を保持し得る台紙4を具備しているものとし、この台紙4を、着色シート1を表裏から挟み込んで収容するシート収容部40と、ペン2を保持するペンホルダ45とを有しするものとしている。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0058】
例えば上記実施形態では暗記用ペンセットとして、着色シート、暗記用ペン、消色ペン及び台紙を全て揃えた状態を記載したが、着色シート及び暗記用ペンのみにより暗記用ペンセットを構成しても良く、或いは暗記用ペン及び消色ペンのみにより暗記用ペンセットを構成しても良い。換言すれば、台紙は暗記用ペンセットの必須の構成要素ではなく、さらに着色シート及び消色ペンのうち何れか一方が欠落しても本発明の暗記用ペンセットを構成し得る。
【0059】
そして例えば上記実施形態では暗記用ペンの長手方向一端側及び他端側に第一、第二のペン先をそれぞれ配置した態様を開示したが勿論、第一、第二のペン先をともに一端側に配置しても良い。このようなものであれば、使用者はペンを持ち替えることなくボディを長手方向周りに回転させるだけで第一、第二のペン先を容易に使い分けることができる。
【0060】
また上記実施形態では着色シートの特定色を赤色、第一のペン先が緑色、第二のペン先がオレンジ色とする態様を開示したが色彩の取り合わせは当該色彩に限定されない。例えば特定色を緑色、第一のペン先が赤色、第二のペン先が黄緑色としても良い。また特定色を青色とすれば、第一のペン先がオレンジ色、第二のペン先が水色としても良い。さらに特定色をオレンジ色とするときは、第一のペン先を紫色、第二のペン先を黄色とすれば良い。加えて、暗記用ペン、消色ペン並びに台紙の具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0061】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。