(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる照明器具を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態にかかる照明器具の筐体を透視して示す斜視図である。
【
図3】
図2においてコントロールユニットケースを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態にかかる照明器具が備える常用回路基板を示す平面図である。
【
図5】
図4の矢印A方向に見た常用回路基板を示す側面図である。
【
図6】本発明の実施の形態にかかる照明器具が備える常用回路基板の裏面を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態にかかる照明器具における部品配置を示す図である。
【
図8】本発明の実施の形態にかかる照明器具のノイズレベルを示すグラフである。
【
図9】実施の形態に対する比較例にかかる照明器具の部品配置を示す図である。
【
図10】実施の形態に対する比較例にかかる照明器具のノイズレベルを示すグラフである。
【
図11】実施の形態に対する比較例にかかる照明器具の部品配置を示す図である。
【
図12】本発明の実施の形態の変形例にかかる照明器具の部品配置を示す図である。
【
図13】本発明の実施の形態の変形例にかかる照明器具の部品配置を示す図である。
【
図14】実施の形態に対する比較例にかかる照明器具の部品配置を示す図である。
【
図15】本発明の実施の形態の変形例にかかる照明器具を示す図である。
【
図16】本発明の実施の形態の変形例にかかる照明器具を示す図である。
【
図17】本発明の実施の形態の変形例にかかる照明器具を示す図である。
【
図18】本発明の実施の形態の変形例にかかる照明器具を示す図である。
【
図19】本発明の実施の形態の変形例にかかる照明器具を示す図である。
【
図20】本発明の実施の形態にかかる照明器具の回路を示すブロック図である。
【
図21】本発明の実施の形態にかかる照明器具が備える常用回路基板の回路図である。
【
図22】本発明の実施の形態にかかる照明器具の常用回路基板上における部品配置バリエーションを説明するための平面図である。
【
図23】本発明の実施の形態にかかる照明器具の常用回路基板上における部品配置バリエーションを説明するための平面図である。
【
図24】本発明の実施の形態にかかる照明器具の常用回路基板上における部品配置バリエーションを説明するための平面図である。
【
図25】本発明の実施の形態の変形例にかかる照明器具の部品配置を示す図である。
【
図26】本発明の実施の形態の変形例にかかる照明器具の部品配置を示す図である。
【
図27】本発明の実施の形態にかかる基板本体の寸法例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施の形態の装置構成]
図1は、本発明の実施の形態にかかる照明器具10を示す斜視図であり、
図2は照明器具10の筐体16を透視して示す斜視図であり、
図3は、
図2においてコントロールユニットケース20を取り外した状態を示す斜視図である。
図1は、天井に取り付けられるべき照明器具10を床面側から見上げたときの斜視図である。照明器具10は、光源18と、この光源18を覆うガラスなどからなる透光性カバー14と、透光性カバー14の縁に沿って設けられた円盤状の取付カバー12と、常用回路基板100などを組み立てた組立体を内部に収容する筐体16と、を備えている。筐体16は、筒状、より具体的には円筒状であり、円筒の両端が開放されている。筐体16は、導電性材料、具体的には金属製であり、例えばSGCC(亜鉛めっき鋼板)で形成されている。図示しないが、筐体16の内周面には取付金具が設けられており、この取付金具を介して常用回路基板100などの組立体と筐体16とが一体化される。
【0015】
光源18の種類は特に限定されず、無機半導体からなるLED素子でもよく、有機半導体からなるいわゆるOLED素子(有機EL素子とも称される)であってもよい。また、本実施の形態にかかる光源18は一例としてCOB(Chip On Board)型の発光素子とするが、SMD(Surface Mount Device)型の発光素子であってもよい。本実施の形態にかかる照明器具10は非常用照明器具であるが、非常時にのみ光源18を点灯させるものであってもよく、常用時および非常時に光源18を点灯させるものであってもよい。
【0016】
図2に示すように、照明器具10は、コントロールユニットケース20を備えている。コントロールユニットケース20は、電気絶縁性の樹脂性カバーであり、常用回路基板100を覆っている。また、筐体16内部には電源端子台TM0およびバッテリ40も設けられている。
【0017】
図2のコントロールユニットケース20を取り外すと、
図3に示すように常用回路基板100が露出する。常用回路基板100は、基板本体102と、基板本体102に設けられた複数の回路部品とを備えている。複数の回路部品の一部は、光源の点灯に用いる電力を生成するスイッチング電源回路110を構成する。スイッチング電源回路110は、後述する
図21の回路図に示されている。
図3および
図21とで互いに対応する符合を付している。
図3に示す回路部品は、
図21の回路図に示される回路要素のうち一部を図示したものである。スイッチング電源回路110で生成した電力は一端バッテリ40に蓄えられ、非常点灯時にバッテリ40に蓄えられた電力が光源18の点灯に用いられる。
【0018】
筐体16内部には、基板支持部材210が設けられている。基板支持部材210は、互いに反対を向く表面および裏面を備えており、この表面に常用回路基板100が取り付けられている。バッテリ40は、筐体16内部に設けられ、常用回路基板100により生成された電力で充電される。基板支持部材210の裏面には、非常用回路基板200が取り付けられている。非常用回路基板200は、後述する
図20で図示するように、光源18およびバッテリ40と接続し、バッテリ40の電力から光源に供給すべき電流を生成する定電流回路(あるいは定電力回路でもよい)を備える。本実施形態によれば、常用回路と非常用回路とで役割分担した2つの回路基板100、200を設け、2つの回路基板100、200を基板支持部材210の表面と裏面にそれぞれ取り付けることにより、筐体16のサイズを縮小して省スペース化を図ることができる。ただし、本発明がこのような2つの回路基板100、200を備える実施形態に限定されるものではなく、1つの回路基板に常用回路と非常用の両方を形成するものであってもよい。
【0019】
図1〜
図3に示す照明器具10では、照明器具10を取り付けるべき天井面に対して常用回路基板100を垂直に傾けて配置したものである。言い換えると筐体16の開口部16aから常用回路基板100を垂直に差し込んだものであり、常用回路基板100の表面と筐体16の中心軸とが略平行となる。
【0020】
本実施の形態では、常用回路基板100に実装された回路部品を、便宜上、以下の3つのグループに大別する。第1のグループは、「商用電源入力用部品」からなるグループである。商用電源入力用部品は、商用電源入力部を構成し電源端子台TM0を介して商用交流電圧が入力される入力コネクタTM1と、ヒューズF1と、入力インダクタL1、L2と、入力コンデンサC1と、図示しないダイオードブリッジDBと、バリスタV1、V2と、を含んでいる。
【0021】
第2のグループは、「スイッチング電源回路110の出力用部品」からなるグループである。出力用部品は、スイッチングトランスT1の二次巻線と接続する二次側コンデンサC23と、変換された電圧を平滑する電解コンデンサC21と、スイッチング回路出力用の出力コネクタCN4と、を含んでいる。
【0022】
第3のグループは、「スイッチング電源回路110におけるスイッチング動作に直接関連する部品」からなるグループである。スイッチング電源回路110は、フライバックコンバータ回路である。スイッチング電源回路110は、スイッチング用コントロール集積回路であるスイッチング制御IC28と、スナバDZ1と、スイッチングトランスT1と、整流ダイオードD20および整流ダイオードD21と、を含んでいる。スイッチング制御IC28の内部にはMOSFETなどのスイッチング素子が内蔵されており、このスイッチング素子がスイッチングトランスT1の一次巻線と直列に接続することでフライバックコンバータを構成する。この第3のグループに属する部品は、スイッチング動作に起因して放射ノイズが問題となりやすい部品であり、以下、「スイッチング回路部品30」とも称す。
【0023】
コントロールユニットケース20を取り外すと常用回路基板100に実装された部品が露出するので、筐体16の内面と回路部品との間にはスイッチング回路部品30の放射ノイズを遮蔽するための金属あるいは導電性樹脂からなるシールド部材が設けられていない。このようにシールド部材を省略することで、シールド部材を設けるための部品スペースを省略できるので、小型化を図ることができる。
【0024】
図4は、本発明の実施の形態にかかる照明器具10が備える常用回路基板100を示す平面図である。
図4は、
図3の斜視図に示した常用回路基板100を平面視で見たものである。
図5は、
図4の矢印A方向から見た常用回路基板100を示す側面図である。
図6は、常用回路基板100の裏面(はんだ面レイアウト)を示す図である。
【0025】
基板本体102は、互いに反対に位置する第1縁部102aおよび第2縁部102bを備えている。基板本体102の第2縁部102bの側には、入力コネクタTM1、ヒューズF1、入力コンデンサC1、入力インダクタL1、L2などの回路部品、すなわち「商用電源入力用部品」が設けられている。基板本体102の第1縁部102aの側には、電解コンデンサC21および出力コネクタCN4などの部品、すなわち「スイッチング電源回路110の出力用部品」が設けられている。入力コンデンサC1と電解コンデンサC21が基板本体102の端側にあるのに対して、第1縁部102aと第2縁部102bとの間の基板本体102中央側の領域(つまり中央領域)にスイッチング回路部品30が集められている。
【0026】
スイッチング回路部品30は、スイッチング電源回路110のスイッチング動作に伴い放射ノイズを発生させる。例えば、常用回路基板100の端部にスイッチング回路部品30が配置されると、筐体16にスイッチングノイズを多く誘導してしまうことになり、雑音端子電圧が大きくなってしまう。そこで、本願発明者は、実験により、基板本体102上におけるスイッチングトランスT1の位置を筐体16からどの程度離せば誘導ノイズを十分に低減できるかを見出した。実験によれば、スイッチング回路部品30を囲う筐体16の内表面からスイッチング回路部品30までの最短距離が30mm以上であれば、後述する
図8に示すごとく、周波数1MHz以上のノイズを低減することができる。
【0027】
図5に、スイッチングトランスT1と筐体16との最短距離D1を示す。この最短距離D1が、30mm以上であることが好ましい。なお、高さ方向に部品サイズが大きく放射ノイズが問題となりやすいスイッチングトランスT1について30mm以上の距離を確保することが好ましいが、より好ましくは、スイッチング制御IC28、整流ダイオードD20、D21、およびスナバDZ1の1つ以上についても、筐体16の内表面に対する最短距離が30mm以上となるように配置してもよい。具体的には、
図5に示す筐体16の内表面から筐体16の中心軸側に距離30mmだけオフセットした破線領域内に、なるべく多くのスイッチング回路部品30が収まっていることが好ましい。さらに好ましくはスイッチング回路部品30の全てが筐体16内周面から30mm以上離れた領域内(
図5の破線領域内)に収まっていることが好ましい。
【0028】
スイッチングトランスT1を筐体16の内周面から最も遠くに配置するためには、常用回路基板100上の回路構成も肝要である。この点、実施の形態によれば、
図4に示すように常用回路基板100における一方の端部側(
図4の紙面右上側)を商用電源入力部、常用回路基板100における他方の端部側(
図4の紙面左上側)をスイッチング電源回路110の出力部とすることで、自然と常用回路基板100中央部にスイッチング回路部品30を配置できる。
【0029】
また、筐体16への誘導ノイズのみならず、筐体16と接続されている金属等の導電性材料であればスイッチング回路部品30からのノイズは誘導される。このため、筐体16とスイッチング回路部品30との距離のみではなく、さらにスイッチング回路部品30と他の金属等の導電性材料要素を考慮することが好ましい。例えば、電源端子台TM0を取り付ける金属製の端子台取付板105などについても、スイッチング回路部品30との距離を遠ざけることが好ましい。
【0030】
実施の形態において、基板本体102は、第1縁部102aと第2縁部102bとを結ぶ第3縁部102cを備えている。第3縁部102cの中央側は凹んでおり、この凹みに、電源端子台TM0が設けられる。電源端子台TM0と第3縁部102cとの間には、導電性材料(具体的には金属)から成る端子台取付板105が挟まれている。この端子台取付板105とスイッチング回路部品30との距離もある程度確保することが好ましい。
【0031】
図4に示す部品配置によれば、基板本体102上においてスイッチングトランスT1を挟むように、スイッチング制御IC28および整流ダイオードD20、D21がスイッチングトランスT1部品の両脇に設けられている。また、
図6に示すように常用回路基板100はグランド配線103を含んでおり、二次側コンデンサC23の一端および電解コンデンサC21の一端は、このグランド配線103に接続される。電解コンデンサC21の他端は、スイッチング回路部品30の構成部品の一つである整流ダイオードD20のカソードと電気的に接続している。二次側コンデンサC23の他端は、スイッチングトランスT1の二次巻線と接続する二次側コンデンサC23を含む。二次側コンデンサC23は、スイッチングトランスT1と端子台取付板105との間に設けられている。電解コンデンサC21は、整流ダイオードD20、D21と端子台取付板105との間に設けられている。さらに、電解コンデンサC21および二次側コンデンサC23は、基板本体102上においてスイッチング回路部品30と端子台取付板105との間を仕切るように1列に並べられている。
【0032】
このような部品配置によれば、グランド配線103と接続する二次側の回路部品(電解コンデンサC21および二次側コンデンサC23)を、端子台取付板105とスイッチング回路部品30との間に一列に並べることができる。誘導ノイズ抑制の観点からは端子台取付板105とスイッチング回路部品30とを近接させないことが好ましいので、常用回路基板100上にスペースを設けることが好ましい。このスペースにグランド配線103と接続する二次側回路部品を設けることで、省スペース化とノイズ対策を両立することができる。
【0033】
なお、スイッチングトランスT1の第1側面の隣に他の回路部品を挟むことなくスイッチング制御IC28が設けられていることが好ましく、スイッチングトランスT1の第2側面に他の回路部品を挟むことなく整流ダイオードD20、D21が設けられていることが好ましく、さらにスイッチングトランスT1の第3側面に他の回路部品を挟むことなくスナバDZ1が設けられていることが好ましい。これによりスイッチング回路部品30を一箇所に密集させることができる。
【0034】
[スイッチング回路部品の配置]
図7は、本発明の実施の形態にかかる照明器具10における部品配置を示す図である。実施の形態では、円筒形状の筐体16を有する照明器具10において、スイッチング回路部品30を、筐体16の内周面からなるべく遠くに配置することで、筐体16へのノイズ誘導を抑制する。以下の説明では、便宜上、基板本体102からの背が高いスイッチングトランスT1についての部品配置を説明するが、他のスイッチング回路部品30についても以下の説明は同様に当て嵌まる。
【0035】
図7は、常用回路基板100の中央にスイッチングトランスT1を配置した場合の例である。筐体16の内周面からの距離を最も遠くするためには、筐体16の内部空間における中心(筒状筐体であれば中心軸)にスイッチングトランスT1をなるべく近づければよい。ただし、厳密に筐体16の中心でなくともよい。例えば
図7における破線よりも内側であれば、筐体16から30mmの最短距離を確保することができるので、スイッチングトランスT1を常用回路基板100の中心からある程度ずらすことができる。
図8は、本発明の実施の形態にかかる照明器具10のノイズレベルを示すグラフであり、
図7の配置で雑音端子電圧を測定した結果を示す。
【0036】
図9および
図11は、実施の形態に対する比較例にかかる照明器具の部品配置を示す図である。
図9の比較例は、常用回路基板100の端までスイッチングトランスT1を寄せたものであり、スイッチングトランスT1と筐体16との最短距離は5mm程度である。また、
図11は、基板本体102をより狭い幅のものにして筐体16の内周面に寄せることで、スイッチングトランスT1の直上に筐体16の内周面がくるようにしたものである。
図9および
図11のいずれも、筐体16の内周面からスイッチングトランスT1間での最短距離が、30mm未満である。
図10は、
図9の比較例にかかる照明器具のノイズレベルを示すグラフであり、
図9の配置で雑音端子電圧を測定した結果を示す。
【0037】
図8および
図10で測定されている波形はスイッチングノイズの成分である。
図8に示す実施の形態の測定結果と
図10の比較例の測定結果とを比較した場合に、1MHz付近以降の周波数帯に着目すると、筐体16からスイッチングトランスT1を遠ざけた
図8の測定結果のほうが良好な結果となっていることがわかる。このように、実施の形態にかかる照明器具10によれば、雑音端子電圧における1MHz付近以降のノイズを低減することができる。一方、
図9および
図11に示す比較例のようにスイッチングトランスT1が筐体16に近接してしまうと、筐体16への誘導ノイズが大きくなってしまう。
【0038】
図12は、本発明の実施の形態の変形例にかかる照明器具10の部品配置を示す図である。
図12は、
図11の比較例と同様に、常用回路基板100の基板本体102を幅の狭いものにして筐体16の内周面に寄せた場合の例である。
図11の比較例とは異なり、
図12ではスイッチングトランスT1を筐体16の中心軸側に実装することで、筐体16の内周面から30mm以上離れた位置にスイッチングトランスT1を配置することができる。
図12の場合には、図示しない非常用回路基板200を、筐体16の内部における常用回路基板100とは反対側の内周面に寄せて配置しても良い。
【0039】
図13は、本発明の実施の形態の変形例にかかる照明器具10の部品配置を示す図である。
図13は、
図7および
図12とは異なり、筐体16の内部における常用回路基板100の向きが異なっている。
図13の変形例では、照明器具10を取り付ける天井面に対して常用回路基板100を平行に搭載している。つまり、常用回路基板100は水平に配置されており、言い換えると基板本体102の法線と筐体16の中心軸とが平行とされている。
図13に示す常用回路基板100上の回路構成も、
図4で説明したのと同様とすることが好ましい。これにより、基板本体102の中央部にスイッチング回路部品30を配置でき、スイッチングトランスT1などを筐体16の内周面から遠ざけることができる。
【0040】
図14は、実施の形態に対する比較例にかかる照明器具の部品配置を示す図である。
図14の比較例は、
図13と同様に、照明器具10を取り付ける天井面に対して常用回路基板100を平行に搭載している。
図13とは異なり、
図14の比較例では、スイッチングトランスT1が基板本体102の端により過ぎているので、筐体16の内周面とスイッチングトランスT1との最短距離が30mm未満となっている。このような比較例は誘導ノイズが増大するので好ましくない。
【0041】
図22〜
図24は、本発明の実施の形態にかかる照明器具10の回路基板上における部品配置バリエーションを説明するための平面図である。
図7を用いて説明したとおり、スイッチング電源回路110の作動に伴って放射ノイズを生じさせる部品は、筐体16内の略中央に配置されることが好ましい。特に、放射ノイズが強い部品ほど、より基板本体102の中央寄りに配置されることが好ましい。
【0042】
ここで、「略中央」にスイッチング回路部品30を配置する際の幾つかのバリエーションを説明する。基板本体102は、互いに平行な2つの第1、2縁部102a、102bを備えている。基板本体102上において2つの第1、2縁部102a、102bからの距離が等しく2つの第1、2縁部102a、102bと平行に延びる線を仮想中央線CLとする。
【0043】
この仮想中央線CLを基準として、
図22に示すような配置バリエーションも可能である。常用回路基板100に実装された回路部品は、放射ノイズの大きさが回路部品のうち最も大きい「第1スイッチング回路部品」と、放射ノイズの大きさが回路部品のうち第1スイッチング回路部品の次に大きい「第2スイッチング回路部品」と、を含んでいる。本実施の形態では、第1スイッチング回路部品にはスイッチングトランスT1が、第2スイッチング回路部品にはスイッチング制御IC28が、それぞれ相当している。
図22に示すように、第1スイッチング回路部品および第2スイッチング回路部品の間に他の部品を挟むことなく、第1スイッチング回路部品および第2スイッチング回路部品が仮想中央線CLを挟んで隣同士に実装されていてもよい。
図22の破線Xに他の部品を挟まないことで、スイッチングトランスT1とスイッチング制御IC28とをなるべく近づけることができる。これにより、基板本体102の第1、2縁部102a、102bそれぞれから最も離れた位置である基板略中央部に、放射ノイズの大きなスイッチング回路部品30を集めることができる。
図3〜
図5に示した実施の形態にかかる常用回路基板100は、この部品配置を採用している。
【0044】
一方、
図23に示すような配置バリエーションも可能である。放射ノイズを発生させる部品が、基板本体102の平面視において仮想中央線CLと重なる位置に設けられていてもよい。
図23の実線では、基板本体102の平面視において、仮想中央線CLとスイッチングトランスT1の中心とがちょうど一致するように図示しているが、本発明はこれに限られない。破線X1、X2、あるいはX3に示す位置のようにスイッチングトランスT1の一部が仮想中央線CLに重なる範囲で、スイッチングトランスT1の中心がある程度仮想中央線CLからずれて配置されていてもよい。また、
図23に示すように、第1縁部102aおよび第2縁部102bそれぞれの中点を結んだ仮想横断線SLをさらに基準としてもよい。仮想中央線CLと、この仮想中央線CLを横切る仮想横断線SLとの交点を、基板本体102の中心とみなしてもよい。基板本体102の中心に対してスイッチングトランスT1が重なるように配置することで、基板本体102のより中央付近にスイッチングトランスT1を配置することができる。以上説明した
図23の配置バリエーションによっても、常用回路基板100の第1、2縁部102a、102bからもっとも離れた位置である基板本体102の略中央部に、スイッチング回路部品30を配置することができる。
【0045】
なお、
図24に示すようにスイッチングトランスT1およびスイッチング制御IC28の配置を変更してもよい。この場合、スイッチングトランスT1およびスイッチング制御IC28の両方が
図23で述べたごとく仮想中央線CLに重なるように配置されている。この場合、スイッチングトランスT1およびスイッチング制御IC28との間に他の部品が実装されていても良いが、より好ましくは
図22で述べたようにスイッチングトランスT1およびスイッチング制御IC28との間に他の部品を挟まないことで互いの距離を詰めてもよい。ほかにも、スナバDZ1および整流ダイオードD20、D21が
図24のように仮想中央線CLに重なるように配置されても良い。
【0046】
[実施の形態の変形例にかかるコントロールユニットケース]
前述したように、筐体16への誘導ノイズのみならず、筐体16と接続されている金属等の導電性材料であればスイッチング回路部品30からのノイズは誘導される。例えば、
図2に示した樹脂製のコントロールユニットケース20に代えて、金属製あるいは導電性樹脂製のコントロールユニットケースを設けるという変形を施すことも考えられる。
【0047】
図15〜
図19は、本発明の実施の形態の変形例にかかる照明器具10を示す図である。
図15〜
図19は、コントロールユニットケース150〜154それぞれの断面図である。なお、スイッチングトランスT1は
図7で説明したように基板本体102の略中央に設けている。コントロールユニットケース150〜154は、筐体16の内部でスイッチング回路部品30を被うように常用回路基板100に取り付けられる。コントロールユニットケース150〜154は、導電性材料、具体的には金属製である。
【0048】
図15〜
図19に共通する特徴として、コントロールユニットケース150〜154は、基板本体102の中央における基板本体102からの高さが、基板本体102の縁における基板本体102からの高さよりも大きい。
図15に示すコントロールユニットケース150は、基板本体102の中央上方に凸となる部分を備えている。
図16に示すコントロールユニットケース151は、コーナー部分を斜めとしたものである。
図17に示すコントロールユニットケース152は、断面形状を半円弧としたものである。
図18に示すコントロールユニットケース153は、基板本体102の中央上方に凸となる部分を備えている点では
図15と同様だが、その凸部が円弧状(いわば逆U字型)である。
図19に示すコントロールユニットケース154は、基板本体102の中央上方に頂点を備えるように尖った断面がくの字型の形状を有している。
【0049】
これらの各種形状を有するコントロールユニットケース150〜154を用いることで、単なる矩形のケース形状を採用した場合と比べて、コントロールユニットケース150〜154の表面とスイッチングトランスT1との間の最短距離をなるべく大きくすることができる。好ましくは、筐体16に対する最短距離と同様に、30mm以上の最短距離を設けることが好ましい。
【0050】
なお、上記の
図15〜
図19では基板本体102の中央にスイッチングトランスT1を設けたので、各コントロールユニットケース150〜154における頂部(すなわち基板本体102から最も離れた高い部分)が基板本体102の上方に位置している。よって、
図15〜
図19の各断面図では、各コントロールユニットケース150〜154が、全体として基板本体102の中央を基準に対称な断面形状を有している。しかしながら、スイッチングトランスT1を基板本体102の中央からずらして配置した場合には、そのずらして配置されたスイッチングトランスT1の上方に頂部を設ければ良く、その場合には非対称の断面形状となってもよい。
【0051】
なお、
図15〜
図19では、
図7に示すように常用回路基板100を筐体16の内部に立てて配置している構造を図示したが、本発明はこれに限られない。
図13の変形例に示したように常用回路基板100を筐体16の内部で水平に寝かせて配置した構造であっても、
図15〜
図19のコントロールユニットケース150〜154を用いても良い。
【0052】
[実施の形態の回路構成]
図20は、本発明の実施の形態にかかる照明器具10の回路を示すブロック図である。照明器具10は、常用回路基板100および非常用回路基板200を備えており、これらは出力コネクタCN4およびコネクタCN5を介して接続している。常用回路基板100の入力コネクタTM1は、
図20の回路図には図示しない電源端子台TM0を介して、商用電源ACと電気的に接続される。常用回路基板100は、後述するスイッチング電源回路110で生成した電力を出力コネクタCN4を介して出力する。非常用回路基板200は、出力コネクタCN4からの電力をコネクタCN5から受け取る。非常用回路基板200は、コネクタCN5で受け取った電力を、
図20の点線に示す配線およびコネクタCN1を介してバッテリ40に供給する。これにより、常用時にはバッテリ40が充電される。商用電源ACの停電時などの非常時になると、非常用回路基板200はバッテリ40の電力を用いて光源18を点灯させる。
【0053】
図21は、本発明の実施の形態にかかる照明器具10が備える常用回路基板100の回路図である。
図3〜
図5に示す回路部品の符号と、
図21の回路図中の符号とは互いに対応している。
【0054】
図21に示すように、入力コネクタTM1と並列にバリスタV1が設けられている。入力コネクタTM1の正極端子は入力インダクタL1の一端と接続し、入力コネクタTM1の負極端子は入力インダクタL2の一端と接続している。入力インダクタL1の他端は入力コンデンサC1の一端と接続し、入力インダクタL2の他端は入力コンデンサC1の他端と接続している。入力コンデンサC1の一端および他端はダイオードブリッジDBの入力端子と接続し、ダイオードブリッジDBの正極出力がスイッチング電源回路110に入力される。ダイオードブリッジDBの負極出力は、回路基準電位に接続している。
【0055】
スイッチング電源回路110は、フライバックコンバータ回路である。スイッチング回路部品30は、スイッチング用コントロール集積回路であるスイッチング制御IC28と、スナバDZ1と、スイッチングトランスT1と、整流ダイオードD20および整流ダイオードD21と、を含んでいる。スイッチング制御IC28の内部にはMOSFETなどのスイッチング素子が内蔵されており、このスイッチング素子がスイッチングトランスT1の一次巻線と直列に接続することでフライバックコンバータを構成する。
【0056】
スイッチング制御IC28内部のスイッチング素子がオンされることで、ダイオードブリッジDBで整流された直流電圧によりスイッチングトランスT1の一次巻線に電流が流れ、エネルギーが蓄積される。スイッチング制御IC28内部のスイッチング素子がオフとなることで、蓄えられたエネルギーがスイッチングトランスT1の二次巻線から整流ダイオードD20を介して放出される。整流ダイオードD20のカソードには電解コンデンサC21の一端が接続しており、電解コンデンサC21の他端は回路基準電位(グランド配線103)に接続している。
【0057】
二次側コンデンサC23の一端はスイッチングトランスT1の二次巻線と接続し、二次側コンデンサC23の他端はグランド配線103と接続している。整流ダイオードD20のカソードと電解コンデンサC21の一端との接続点は、出力コネクタCN4と接続している。
【0058】
図20には、非常用回路基板200が備える昇圧チョッパ回路211の回路図も図示している。昇圧チョッパ回路211は、チョークコイルL41、スイッチング素子Q42、ダイオードD41、および制御IC228等を備えている。昇圧チョッパ回路211は、バッテリ40の電力を変換して定電流を生成し、光源18を点灯させる。昇圧チョッパ回路の回路構成及び動作については既に公知なので、説明は省略する。
【0059】
なお、本実施の形態では、常用回路基板100のスイッチング回路部品30について基板本体102の略中央に配置することとしたが、非常用回路基板200における昇圧チョッパ回路211の構成部品についてもこの配置を適用してもよい。つまり非常用回路基板200の基板本体の表面に、
図7、
図12、
図13、
図22〜
図26に記載したのと同様の配置(但し、スイッチングトランスT1をチョークコイルL41に置き換え、スイッチング制御IC28をスイッチング素子Q42および制御IC228に置き換える)を行っても良い。
【0060】
なお、
図1〜
図13の筐体16に代えて、
図25および
図26に示す四角筒状の筐体116など、各種の多角筒状の筐体を用いても良い。また、筒の一端あるいは両端が閉塞した筐体であってもよい。いずれの筐体の場合にも、筐体116の内周面から30mm以上離して、スイッチングトランスT1などのスイッチング回路部品30を配置することが好ましい。また、いずれの筐体の場合にも、基板本体102におけるスイッチング回路部品30は、上記実施の形態およびその変形例のごとく配置することが好ましい。
【0061】
[実施の形態にかかる設計条件の具体例]
実施の形態にかかる具体的な寸法、材質、電気的条件、およびスイッチング周波数等の設計条件について下記に一例を示す。設計条件を列挙すると、スイッチング制御IC28のスイッチング周波数は、72kHzとする。入力電圧は、AC100V〜AC242Vとする。スイッチングトランスT1のインダクタンス値(L値)は、2800μH、リーケージインダクタンス値(Lk値)は、最大200μH(実測100μH)とする。スイッチング制御IC28のスイッチング時におけるスイッチングトランスT1の一次巻線と基準電位との間の電圧は、500Vo−pとする。スイッチングトランスT1の一次巻線に流れる電流は、14〜65mArmsとする。スイッチングトランスT1のコアサイズは、EE16とする。筐体16の内径は、φ=97mm(公称φ=100mm)とする。筐体16および端子台取付板105の材質は、SGCC(亜鉛めっき鋼板)とする。基板本体102の寸法は
図27に示すとおりであり、横幅は87.5mm、縦幅は52.0mm、端子台取付板105が設けられる凹部の縦幅は16.0mm、凹部の横幅は42.0mm、凹部の縁部102cの幅は22.75mmとする。本願発明者は、このような設計条件で実験を行った結果、筐体16の内周面からスイッチングトランスT1間での最短距離を30mm以上とすることにより雑音端子電圧を抑制できることを確認している。前述した
図8の実験結果も、この設計条件に基づいて得られたものである。