特許第6606903号(P6606903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606903
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】転がり軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/66 20060101AFI20191111BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20191111BHJP
   F16C 33/78 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   F16C33/66 Z
   F16C19/06
   F16C33/78 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-147876(P2015-147876)
(22)【出願日】2015年7月27日
(65)【公開番号】特開2017-26104(P2017-26104A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】獅子原 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】鎌本 繁夫
(72)【発明者】
【氏名】村田 順司
(72)【発明者】
【氏名】中澤 邦成
【審査官】 中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−061460(JP,A)
【文献】 特開2013−057340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00−19/56
F16C 33/30−33/66
F16C 33/72−33/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に対向して配置され、互いに対向する周面に軌道を有している一対の軌道輪と、
前記一対の軌道輪の間の環状空間に配置され、前記軌道上を転動可能な複数の転動体と、
前記複数の転動体の周方向の間隔を保持する保持器と、
前記一対の軌道輪の軸方向外端部に設けられ前記環状空間を封止する封止部材とを備え、
前記封止部材の軸方向内側面には、軸方向内方へ突出し一方の前記軌道輪の肩部との間で潤滑剤を貯留するための潤滑剤溜まり部を形成する突起部が周方向に沿って形成され
前記突起部は、前記保持器の軸方向外端面よりも軸方向内方へ延びている、転がり軸受。
【請求項2】
径方向に対向して配置され、互いに対向する周面に軌道を有している一対の軌道輪と、
前記一対の軌道輪の間の環状空間に配置され、前記軌道上を転動可能な複数の転動体と、
前記複数の転動体の周方向の間隔を保持する保持器と、
前記一対の軌道輪の軸方向外端部に設けられ前記環状空間を封止する封止部材とを備え、
前記封止部材の軸方向内側面には、軸方向内方へ突出し一方の前記軌道輪の肩部との間で潤滑剤を貯留するための潤滑剤溜まり部を形成する突起部が周方向に沿って形成され
前記潤滑剤溜まり部にグリースが充填され、前記グリースの周方向の一部には、前記潤滑剤溜まり部の軸方向の幅にわたる空隙が形成されている、転がり軸受。
【請求項3】
前記保持器の周面、及びこれに対向する前記突起部の周面は、軸方向にわたって一定の間隔で形成されている、請求項に記載の転がり軸受。
【請求項4】
前記保持器の周面、及びこれに対向する前記突起部の周面は、軸方向内側ほど互いの間隔が拡大している、請求項に記載の転がり軸受。
【請求項5】
前記封止部材が合成樹脂製であり、前記突起部が前記封止部材と一体に成形されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の転がり軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
転がり軸受の潤滑方式として、グリース潤滑が広く用いられている。このグリース潤滑は、内輪と外輪の間の環状空間にグリースを封入し、環状空間の軸方向両側をシールリング(封止部材)によって封止することにより行われている。
しかし、このような転がり軸受を高速で使用すると、初期の段階において軸受内部に封入したグリースが遠心力で飛散し、シールリングの内側面等に移動してしまい、外輪及び内輪の軌道に供給されにくい場合がある。
【0003】
そのため、保持器の内径側やシールリングの内側、さらには外輪の内周面であって軌道の近傍に潤滑剤溜まり部を形成し、封止部材の内側面や外輪の内周面等の形状に工夫を施すことによって、軌道への油分の供給を円滑に行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−236998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、外輪の内周面に形成した溝を潤滑剤溜まり部にしている。そのため、外輪の構造が複雑となり、外輪の加工が困難となる。また、外輪の内周面の潤滑剤溜まり部は、径方向内側に開放した形状であるため、潤滑剤溜まり部内の潤滑剤は径方向内側へ流れやすくなり、グリースが早期に消費されるという不都合もある。また、潤滑剤溜まり部は、外輪の内周面だけでなく保持器の内径側やシールリングの内側にも形成されているので、転がり軸受内部のグリースが多量となり、回転トルクの増大を招く。
【0006】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で軌道輪の軌道近傍に潤滑剤溜まり部を形成することができる転がり軸受を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の転がり軸受は、径方向に対向して配置され、互いに対向する周面に軌道を有する一対の軌道輪と、一対の軌道輪の間の環状空間に配置され、前記軌道上を転動可能な複数の転動体と、複数の転動体の周方向の間隔を保持する保持器と、一対の軌道輪の軸方向外端部に設けられ前記環状空間を封止する封止部材とを備え、前記封止部材の軸方向内側面には、軸方向内方へ突出し一方の軌道輪の肩部との間で潤滑剤を貯留するための潤滑剤溜まり部を形成する突起部が周方向に沿って形成され、前記突起部は、前記保持器の軸方向外端面よりも軸方向内方へ延びている。
【0008】
前記構成を有する転がり軸受によれば、突起部と一方の軌道輪の肩部との間に潤滑剤を貯留する潤滑剤溜まり部が形成されるので、この潤滑剤溜まり部に貯留された潤滑剤によって肩部から軌道へ潤滑剤を供給することができる。軌道輪には潤滑剤溜まり部を形成するための溝を形成する必要がなく、封止部材に突起部を形成するだけでよいので、軌道輪の構造の簡素化及び製造の容易化を図ることができる。
【0009】
前記封止部材は、合成樹脂製であり、前記突起部が封止部材と一体に成形されていることが好ましい。
このような構成によって潤滑剤溜まり部を形成するための突起部を容易に形成することができる。
【0010】
前記突起部は、前記保持器の軸方向外端面よりも軸方向内方へ延びているので、潤滑剤溜まり部に貯留された潤滑剤が直接的に保持器に接触するのを抑制し、潤滑剤による保持器の回転抵抗の増大、および潤滑剤の早期の消費を抑制することができる。
【0011】
前記保持器の周面、及びこれに対向する前記突起部の周面は、軸方向にわたって一定の間隔で形成されていてもよい。
このような構成によって、保持器の周面と突起部の周面との間隔を狭くしたときに、潤滑剤溜まり部から保持器と突起部との間を通って潤滑剤が排出されるのを抑制することができる。
【0012】
もっとも、前記保持器の周面、及びこれに対向する前記突起部の周面は、軸方向内方ほど間隔が拡大していてもよい。
このように構成すれば、潤滑剤溜まり部内の潤滑剤を転がり軸受の環状空間全体に供給し易くなり、転がり軸受全体の潤滑量を高めたい場合に有利である。
【0013】
本発明の転がり軸受は、径方向に対向して配置され、互いに対向する周面に軌道を有する一対の軌道輪と、一対の軌道輪の間の環状空間に配置され、前記軌道上を転動可能な複数の転動体と、複数の転動体の周方向の間隔を保持する保持器と、一対の軌道輪の軸方向外端部に設けられ前記環状空間を封止する封止部材とを備え、前記封止部材の軸方向内側面には、軸方向内方へ突出し一方の軌道輪の肩部との間で潤滑剤を貯留するための潤滑剤溜まり部を形成する突起部が周方向に沿って形成され、前記潤滑剤溜まり部にグリースが充填され、前記グリースの周方向の一部には、前記潤滑剤溜まり部の軸方向の幅にわたる空隙が形成されている。
この構成によって、突起部と一方の軌道輪の肩部との間に潤滑剤を貯留する潤滑剤溜まり部が形成されるので、この潤滑剤溜まり部に貯留された潤滑剤によって肩部から軌道へ潤滑剤を供給することができる。軌道輪には潤滑剤溜まり部を形成するための溝を形成する必要がなく、封止部材に突起部を形成するだけでよいので、軌道輪の構造の簡素化及び製造の容易化を図ることができる。潤滑剤溜まり部内のグリースは、空隙において周方向端部が露出することになり、潤滑剤溜まり部内の軸方向外側部に存在する潤滑剤を空隙を介して軌道へ供給することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡単な構成で軌道輪の軌道近傍に潤滑剤溜まり部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係る転がり軸受を示す縦断面図である。
図2】転がり軸受の要部を示す縦断面図である。
図3図1のA−A線断面図である。
図4図2のB−B線断面図である。
図5】突起部の変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、一実施の形態に係る転がり軸受を示す縦断面図である。
転がり軸受10は、例えば工作機械の主軸(回転軸)を回転自在に支持するために用いられる。本実施形態の転がり軸受10は、グリースGにより潤滑性能が保たれる。なお、以下の説明においては、転がり軸受10の軸方向の中心Cに向かう方向を「軸方向内方」ということがあり、中心Cにより近い位置を「軸方向内側」ということがある。また、転がり軸受10の軸方向の中心Cから離れる方向を「軸方向外方」ということがあり、中心Cからより離れた位置を「軸方向外側」ということがある。
【0017】
転がり軸受10は、内輪(軌道輪)11、外輪(軌道輪)12、転動体13、保持器14、及びシールド(封止部材)15を備えている。
内輪11は、図示していない回転軸の外周面に嵌合され、当該回転軸に固定される。内輪11の外周面には軌道11aが形成されている。
外輪12は、図示していない工作機械等のハウジングの内周面に嵌合され、当該ハウジングに固定される。外輪12の内周面には軌道12aが形成されている。また、外輪12の軸方向の両外端部には、シールド15を装着するための凹部12cが形成されている。外輪12と内輪11とは、本発明における一対の軌道輪を構成している。
【0018】
転動体13は、内輪11の軌道11aと外輪12の軌道12aとの間に転動可能に設けられている。本実施形態の転動体13は玉であり、転がり軸受10は、深溝玉軸受とされている。
前記保持器14は、複数の転動体13の周方向の間隔を保持している。保持器14は、例えば金属又は合成樹脂材により形成される。保持器14は、軸方向両側に設けられた円環部14aと、両円環部14aの間に架設された柱部14bとを備えている。円環部14aと柱部14bとによって囲まれた空間がポケット14cとされている。ポケット14cに転動体13が収容されている。
【0019】
シールド15は、合成樹脂製であり、射出成形等によって成形される。シールド15は、円環状の板材により形成されている。シールド15の径方向の外端部は外輪12に形成された凹部12cに嵌合され、外輪12に固定されている。シールド15の径方向の内端部は、内輪11の肩部11bの外周面との間に微小な隙間sをあけて配置されている。この隙間sがシール隙間となり、外輪12と内輪11との間の環状空間16から潤滑剤が漏洩するのを防止している。
【0020】
図2は、転がり軸受の要部を示す縦断面図である。図3は、図1のA−A断面図である。
シールド15の内側面には、転がり軸受10の内部側(軸方向内方)へ向けて突出する突起部21が設けられている。この突起部21は、図3に示すように、外輪12の肩部内周面12b1の径方向内側に間隔をあけて全周に形成されている。また、図2に示すように、突起部21は、保持器14の軸方向外端面14eを超えてさらに軸方向内方へ延び、先端部が転動体13の近傍に配置されている。したがって、突起部21の内周面21aと保持器14の外周面14dとは径方向に対向している。突起部21の先端部は、転動体13の外周面に略沿った傾斜面に形成されている。
【0021】
突起部21の内周面21aは、転がり軸受10の軸心を中心とする円筒面に形成されている。また、保持器14の外周面14dも転がり軸受10の軸心を中心とする円筒面に形成されている。したがって、突起部21の内周面21aと保持器14の外周面14dとは、断面において互いに平行に配置され、両者の径方向の間隔は、軸方向にわたって略一定とされている。
【0022】
突起部21の外周面21bと、外輪12の肩部12bの内周面12b1と、シールド15の内側面15bとの間に形成されている空間は、潤滑剤溜まり部20とされている。この潤滑剤溜まり部20には、潤滑剤の一例であるグリースGが充填されている。潤滑剤溜まり部20の内部のグリースGは、基油が外輪12の肩部内周面12b1と転動体13の表面とに接触している。
【0023】
図3に示すように、潤滑剤溜まり部20に充填されたグリースGには、周方向に間隔をあけて複数か所に空隙22が形成されている。この空隙22は、潤滑剤溜まり部20の軸方向の幅にわたって形成されている。
図1及び図2に示すように、潤滑剤溜まり部20に充填されたグリースGは、その基油が、外輪12の肩部内周面12b1と転動体13の表面とを介して軌道12aに供給される。また、転動体13の表面を経て、転動体13と保持器14との接触部や、内輪11の軌道11aにも基油が供給される。
【0024】
本実施形態では、シールド15に突起部21を形成することによって、当該突起部21と外輪12の肩部12bとの間に潤滑剤溜まり部20が形成されるので、従来(例えば、特許文献1)のように、外輪12に潤滑剤溜まり部20を構成する溝を形成する必要がない。そのため、外輪12の構造が複雑化することもなく、外輪12の製造を容易に行うことができる。突起部21は、シールド15の軸方向内側面から軸方向内方へ突出するという簡単な構造であるため、製造も容易に行うことができる。特に、シールド15は、合成樹脂製であるので、突起部21を含めた全体を金型によって容易に一体成形することができる。
【0025】
本実施形態の転がり軸受10は、突起部21と外輪12との間に形成された潤滑剤溜まり部20に貯留されたグリースGによって潤滑が行われるので、転がり軸受10内部に貯留されるグリースGの量を従来(特許文献1参照)よりも少なくしつつ、潤滑に必要な量のグリースG(基油)を円滑に軌道12a等に供給することができる。そのため、潤滑剤に起因する転がり軸受10の回転トルクを低減することができる。
【0026】
突起部21の内周面21aは、転がり軸受10の軸心を中心とする円筒面に形成され、保持器14の外周面14dも、転がり軸受10の軸心を中心とする円筒面に形成され、これら内周面21a及び外周面14dの間隔は軸方向にわたって略一定とされている。したがって、内周面21a及び外周面14dの間隔を可及的に接近させるように突起部21を形成すれば、潤滑剤溜まり部20に貯留された潤滑剤が内周面21a及び外周面14dの間を通過して突起部21よりも径方向内側へ排出され難くなる。そのため、潤滑剤溜まり部20に貯留されたグリースG(基油)が早期に消費されるのを防止し、潤滑寿命を高めることができる。
【0027】
また、図3に示すように、潤滑剤溜まり部20内のグリースGには、複数個所に空隙22が形成されている。この空隙22は、潤滑剤溜まり部20の軸方向の幅にわたって形成されている。そのため、潤滑剤溜まり部20内のグリースGは、周方向に関して複数のブロックに分割され、各ブロックのグリースGは、周方向の端部において露出することになる。このような構成により、潤滑剤溜まり部20内のグリースGの基油は、図4にも示すように、軌道12a側(軸方向内側)の部分からだけでなく、空隙22を介して軸方向外側(シールド15側)の部分からも軌道12aへ供給され易くなっている。
【0028】
グリースGに空隙22が形成されていない場合、潤滑剤溜まり部20内の軸方向内側のグリースGのみから軌道12a側へ基油が供給されるため、潤滑剤溜まり部20内のグリースGのうち軸方向内側の部分にグリース割れが発生しやすくなり、そのグリース割れが周方向全周に連なると、潤滑剤溜まり部20内の軸方向外側のグリースGは、軌道12a側へ基油が供給され難くなり、潤滑不良の原因となる。本実施形態では、グリースGに空隙22を形成することによって以上のような不都合を解消することが可能となる。なお、空隙22の数や、周方向の幅等は、図3に記載されたものに限定されず、適宜変更することができる。
【0029】
図5は、突起部21の変形例を示す縦断面図である。
この変形例に係る突起部21は、内周面21aがテーパー状に傾斜している。この傾斜により、突起部21の内周面21aと保持器14の外周面14dとは、軸方向内方ほど間隔が拡大している。
本変形例では、前記実施形態に比べて、潤滑剤溜まり部20内のグリースGが、突起部21と保持器14との間を通って突起部21よりも径方向内側に流れやすくなっている。そのため、潤滑剤溜まり部20内のグリースGの消費は早くなるものの、転がり軸受10全体の潤滑量を高めることができる。したがって、潤滑量をより高めたい場合に本変形例はより有利となる。
【0030】
本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において適宜設計変更することができる。
例えば、封止部材15は、シールドに限定されるものではない。封止部材15は、芯材とこの芯材に固着されたゴム等の弾性材とを有するシール部材により構成されていてもよい。この場合、突起部21は、芯材の軸方向内側面から軸方向内方へ向けて形成されていればよい。
【0031】
前記実施形態では、突起部21は、封止部材15の全周にわたって形成されていたが、周方向の一部に形成されていてもよい。例えば、図3に示す空隙22を除く範囲で突起部21が複数に分割して形成されていてもよい。突起部21は、転がり軸受10の軸方向一方側のみに設けられていてもよい。また、封止部材15は、転がり軸受10の軸方向一方側のみに設けられていてもよい。
【0032】
潤滑剤は、グリースに限定されない。例えば、粘性の低い潤滑油を潤滑剤として用いることができる。この場合、潤滑油を浸透させることができる多孔部材(浸透部材)に潤滑油を浸透させ、その多孔部材を潤滑剤溜まり部内に装着すればよい。
本発明の転がり軸受は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。前記実施形態では、転がり軸受10が深溝玉軸受である場合について説明したが、転がり軸受10は、アンギュラ玉軸受、円すいころ軸受、又は円筒ころ軸受等であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
10:転がり軸受、11:内輪(軌道輪)、11a:軌道、11b:肩部、12:外輪(軌道輪)、12a:軌道、12b:肩部、12b1:内周面、13:転動体、14:保持器、14d:外周面、15:シールド(封止部材)、15b:内側面、16:環状空間、20:潤滑剤溜まり部、21:突起部、21a:内周面、22:空隙、G:グリース
図1
図2
図3
図4
図5