特許第6606907号(P6606907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社GSユアサの特許一覧

<>
  • 特許6606907-蓄電装置 図000002
  • 特許6606907-蓄電装置 図000003
  • 特許6606907-蓄電装置 図000004
  • 特許6606907-蓄電装置 図000005
  • 特許6606907-蓄電装置 図000006
  • 特許6606907-蓄電装置 図000007
  • 特許6606907-蓄電装置 図000008
  • 特許6606907-蓄電装置 図000009
  • 特許6606907-蓄電装置 図000010
  • 特許6606907-蓄電装置 図000011
  • 特許6606907-蓄電装置 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606907
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20191111BHJP
   H01M 2/12 20060101ALI20191111BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20191111BHJP
   H01G 11/14 20130101ALN20191111BHJP
【FI】
   H01M2/10 A
   H01M2/12 Z
   H01G11/78
   !H01G11/14
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-151214(P2015-151214)
(22)【出願日】2015年7月30日
(65)【公開番号】特開2017-33721(P2017-33721A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 康貴
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/065110(WO,A1)
【文献】 特開2014−135247(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/156001(WO,A1)
【文献】 特開2011−065906(JP,A)
【文献】 中国実用新案第202268403(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/12
H01G 11/14
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子と、前記蓄電素子を収容する外装体とを備える蓄電装置であって、
前記蓄電素子と前記外装体の側壁部との間に配置され、前記外装体の下壁部と接続された仕切板部と、
前記外装体に設けられた排出部であって、前記仕切板部と前記側壁部との間に形成された通路を流れる排気を、前記外装体の外部に排出する1以上の開口を有する排出部と、を備え、
前記排出部の少なくとも一部は、前記下壁部に配置されている
蓄電装置。
【請求項2】
蓄電素子と、前記蓄電素子を収容する外装体とを備える蓄電装置であって、
前記蓄電素子と前記外装体の側壁部との間に配置され、前記外装体の下壁部と接続された仕切板部と、
前記外装体に設けられた排出部であって、前記仕切板部と前記側壁部との間に形成された通路を流れる排気を、前記外装体の外部に排出する1以上の開口を有する排出部と、
前記仕切板部と前記側壁部との間において上下方向に延設され、前記仕切板部と前記側壁部との並び方向に沿った面を形成する第一ガイド部であって、前記排出部の側方に設けられた第一ガイド部
を備える蓄電装置。
【請求項3】
前記外装体は、前記下壁部を有する本体と、前記本体の開口を塞ぐように配置された蓋体とを有し、
前記第一ガイド部は、前記本体に配置されており、
前記蓋体は、前記上下方向において前記第一ガイド部と連続するように設けられた第二ガイド部を有する
請求項記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記外装体はさらに、前記外装体の上壁部から前記蓄電素子に向けて突設され、前記蓄電素子から放出された前記排気を、前記第一ガイド部又は第二ガイド部の方向に案内する第三ガイド部を有する
請求項2又は3記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記排出部の少なくとも一部は、前記側壁部の下部に配置されている
請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記外装体には、複数の前記蓄電素子が収容されており、
前記排出部は、前記外装体における、複数の前記蓄電素子の並び方向の一部に形成されている
請求項1〜のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記排出部の少なくとも一部は、前記外装体の背面を形成する前記側壁部に配置されている
請求項1〜のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項8】
蓄電素子と、前記蓄電素子を収容する外装体とを備える蓄電装置であって、
前記外装体に設けられた排出部であって、前記外装体が有する蓋体に設けられたリブによって形成された通路を流れる排気を、前記外装体の外部に排出する1以上の開口を有する排出部を備え
前記排出部の少なくとも一部は、前記外装体の側壁部の下部に配置されている
蓄電装置。
【請求項9】
蓄電素子と、前記蓄電素子を収容する外装体とを備える蓄電装置であって、
前記外装体に設けられた排出部であって、前記外装体が有する蓋体に設けられたリブによって形成された通路を流れる排気を、前記外装体の外部に排出する1以上の開口を有する排出部を備え
前記排出部の少なくとも一部は、前記外装体の下壁部に配置されている
蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子と、蓄電素子を収容する外装体とを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1以上の蓄電素子を備える蓄電装置において、各蓄電素子が備える安全弁などからの排気を外部に放出するための構成が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電池収容体と、パワーコンディショナと、電池収容体及びパワーコンディショナを収容する筐体とを備える蓄電装置が開示されている。この蓄電装置では、筐体の例えば底部に、防水通気性膜を備えた通気口が設けられており、該筐体内は該防水通気性膜を介して外気と通じている。これにより、自然災害や火災などの予測できない事象が生じた場合において筐体内で発生する燃焼性ガスを、通気口を介して外部に放出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−196851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力貯蔵用途または電源用途などに使用される蓄電装置は、様々な地域で使用されるため、製造効率、製造コスト、または、設置もしくはメンテナンスの容易性を考慮すると、蓄電装置の構造が複雑化することは好ましくない。
【0006】
例えば、上記従来の技術のように、防水通気性膜を筐体の通気口に設ける場合、防水通気性膜を構成する樹脂多孔質膜シート等の材料が必要であり、かつ、その材料の加工および通気口への固定等の作業が必要である。また、蓄電素子の安全弁から出されたガス(排気)を、蓄電素子を収容する外装体の外部に排出するために、単なる貫通孔を外装体に設けた場合、この貫通孔から雨水等の異物が外装体内部に流入し、蓄電素子等の構成要素に不具合を生じさせることも考えられる。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、蓄電素子と蓄電素子を収容する外装体とを備える蓄電装置であって、簡易な構成で安全性が向上された蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、前記蓄電素子を収容する外装体とを備える蓄電装置であって、前記蓄電素子と前記外装体の側壁部との間に配置され、前記外装体の下壁部と接続された仕切板部と、前記外装体に設けられた排出部であって、前記仕切板部と前記側壁部との間に形成された通路を流れる排気を、前記外装体の外部に排出する1以上の開口を有する排出部とを備える。
【0009】
この構成によれば、蓄電素子の安全弁から放出されるガス(排気)を、排出部を介して外装体の外部に導くことができるため、安全弁が開放した場合における外装体の内圧の上昇が抑制される。また、外装体の側壁部と、蓄電素子及び側壁部の間に配置された仕切板部との間に、排気の通路(排気通路)が形成されている。また、仕切板部は、外装体の下壁部に接続されている。そのため、仮に、水等の異物が排出部から排気通路に流入した場合であっても、仕切板部が存在することで、異物の蓄電素子への到達は困難である。さらに、仕切板部は、例えば、蓄電素子の位置を規制する役割を担うこともできる。言い換えると、蓄電素子の位置を規制する仕切板部に、蓄電素子が配置された空間と排気通路とを仕切る機能を担わせることができる。
【0010】
このように、本態様に係る蓄電装置は、簡易な構成で安全性が向上された蓄電装置である。
【0011】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置において、前記排出部の少なくとも一部は、前記側壁部の下部に配置されているとしてもよい。
【0012】
この構成によれば、上下方向において下壁部に近い位置に排出部が配置されるため、排出部から蓄電素子が配置された空間への異物の流入抑制効果がさらに向上する。また、例えば、人が蓄電装置を持っている状態で排出部から排気が排出された場合であっても、人の顔に排気がかかり難い。
【0013】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置において、前記排出部の少なくとも一部は、前記下壁部に配置されているとしてもよい。
【0014】
この構成によれば、排出部から外装体の外部に排出される排気の少なくとも一部を、外装体の下方に向けて排出することができる。そのため、例えば、人が蓄電装置を持っている状態で排気が発生した場合において、人の顔に排気がかかる可能性がさらに低減される。
【0015】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置はさらに、前記仕切板部と前記側壁部との間において上下方向に延設され、前記仕切板部と前記側壁部との並び方向に沿った面を形成する第一ガイド部であって、前記排出部の側方に設けられた第一ガイド部を備えるとしてもよい。
【0016】
この構成によれば、蓄電素子の安全弁から放出され、仕切板部と側壁部との間に到達した排気は、第一ガイド部により排出部に案内される。つまり、第一ガイド部によって、排気通路がより限定的に規定され、その結果、蓄電素子から放出された排気が、効率よく外装体の外部に排出される。また、蓄電素子から放出された排気の熱等が、容器内の他の要素に与える影響を抑制することができる。
【0017】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置において、前記外装体は、前記下壁部を有する本体と、前記本体の開口を塞ぐように配置された蓋体とを有し、前記第一ガイド部は、前記本体に配置されており、前記蓋体は、前記上下方向において前記第一ガイド部と連続するように設けられた第二ガイド部を有するとしてもよい。
【0018】
この構成によれば、蓄電素子から放出された排気は、外装体の上下方向において、上壁部から排出部に到るまで、第一ガイド部及び第二ガイド部によって案内されるため、例えば、外装体の外部への排気の排出がより効率よく行われる。
【0019】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置において、前記外装体はさらに、前記外装体の上壁部から前記蓄電素子に向けて突設され、前記蓄電素子から放出された前記排気を、前記第一ガイド部又は第二ガイド部の方向に案内する第三ガイド部を有するとしてもよい。
【0020】
この構成によれば、例えば、蓄電素子の安全弁から放出され、外装体(蓋体)の上壁部に向かう排気は、第三ガイド部に案内されて、第一ガイド部又は第二ガイド部に到達する。つまり、蓄電素子から放出された排気は、効率よく排気通路に集められて排出部から外装体の外部に排出される。従って、蓄電素子から放出された排気は、より確実に外装体の外部に排出される。
【0021】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置において、前記外装体には、複数の前記蓄電素子が収容されており、前記排出部は、前記外装体における、複数の前記蓄電素子の並び方向の一部に形成されているとしてもよい。
【0022】
この構成によれば、例えば、複数の蓄電素子の安全弁を通る直線上に、1以上の開口を有する排出部を配置することができ、その結果、外装体の内部で生じた排気の、外装体からの排出効率が向上される。また、例えば複数の蓄電素子それぞれの電極端子が、各蓄電素子からの排気の流れの妨げとならない態様で、排出部を設けることができる。
【0023】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置において、前記排出部の少なくとも一部は、前記外装体の背面を形成する前記側壁部に配置されているとしてもよい。
【0024】
蓄電装置は、一般に、動作確認用のLED等の部品が配置される外装体の前面が、人が作業する空間に向いた姿勢で配置される。そのため、上記構成によれば、排出部から排気が排出された時点で人が蓄電装置に向き合っている場合であっても、人とは逆側に向けて排気が排出される。従って、本態様の蓄電装置によれば、外装体から排気が排出された場合であっても、排気が人に向けられる可能性が低減される。
【0025】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と、前記蓄電素子を収容する外装体とを備える蓄電装置であって、前記外装体に設けられた排出部であって、前記外装体が有する蓋体に設けられたリブによって形成された通路を流れる排気を、前記外装体の外部に排出する1以上の開口を有する排出部を備える
としてもよい。
【0026】
この構成によれば、外装体の蓋体に設けられたリブによって排気の通路が形成され、これにより、蓄電素子の安全弁から放出される排気は、効率よく外装体の外部に排出される。つまり、簡易な構成で安全性が向上された蓄電装置が実現される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、簡易な構成で安全性が向上された蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る蓄電装置の分解斜視図である。
図3】実施の形態に係る外装体の本体の構造を示す斜視図である。
図4】実施の形態に係る蓄電装置における排気の流れの概要を示す図である。
図5】実施の形態に係る排出部の構成を示す斜視図である。
図6】実施の形態に係る蓋体の構造を示す斜視図である。
図7】実施の形態に係る蓄電装置における排気の流れの詳細を示す図である。
図8A】実施の形態の変形例1に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
図8B】実施の形態の変形例1に係る排出部の特徴を表す断面図である。
図9A】実施の形態の変形例2に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
図9B】実施の形態の変形例2に係る吸気部の特徴を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。なお、各図は、実施の形態またはその変形例に係る蓄電装置の説明のための図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0030】
また、以下で説明する実施の形態及び変形例のそれぞれは、本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態及び変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、組み立て方法、組み立ての順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態及び変形例に係る構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0031】
(実施の形態)
まず、実施の形態に係る蓄電装置1の構成概要について、図1図3を用いて説明する。
【0032】
図1は、実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。図2は、実施の形態に係る蓄電装置1の分解斜視図である。図3は、実施の形態に係る外装体10の本体12の構造を示す斜視図である。
【0033】
なお、これらの図では、Z軸方向を上下方向として示しており、以下ではZ軸方向を上下方向として説明するが、実際の使用態様において、Z軸方向と上下方向とが一致しない場合もある。また、図3では、本体12の内部構造を明確に示すために、X軸方向プラス側の一部を切り欠いた状態で本体12を図示している。
【0034】
蓄電装置1は、1以上の蓄電素子を備え、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュールである。中でも、本実施形態に係る蓄電装置1は、据置用の電源装置として好適に使用される。
【0035】
これらの図に示すように、蓄電装置1は、蓄電素子100と、蓄電素子100を収容する外装体10とを備える。本実施の形態では、図2に示すように、3つの蓄電素子100が外装体10に収容されている。なお、外装体10には、例えば、各蓄電素子100の状態を監視し制御する制御基板、及び、電気を充電及び放電するための外部端子(正極外部端子及び負極外部端子)等の他の要素が配置されていてもよい。しかし、本実施の形態に係る蓄電装置1の特徴を明確にするために、これら他の要素についての図示及び説明は省略する。
【0036】
外装体10は、矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)であり、複数の蓄電素子100等の収容物を所定の位置に保持し、かつ、衝撃等から保護する役目等を担う。なお、外装体10の素材に特に限定はないが、例えば、外装体10はポリカーボネートまたはポリプロピレン(PP)等の絶縁性の樹脂で形成される。
【0037】
具体的には、本実施の形態に係る外装体10は、下壁部15(図3参照)を有する本体12と、本体12の開口を塞ぐように配置された蓋体11とを有する。本体12と蓋体11とは、例えばボルト及びナット(図示せず)等の締結部材で接続される。また、例えば、本体12の開口の周縁と、蓋体11の周縁とが熱溶着されることで、本体12と蓋体11とが接続されてもよい。
【0038】
蓄電装置1はさらに、仕切板部40a〜40dを備える。仕切板部40a〜40dは、外装体10の下壁部15に接続されている。これら4つの仕切板部40a〜40dは、3つの蓄電素子100それぞれの、3つの蓄電素子100の並び方向(Y軸方向)における位置を規制する部材として機能する。
【0039】
また、仕切板部40a〜40dのうちの、外装体10の側壁部14に最も近い仕切板部40aは、3つの蓄電素子100のいずれかから排気が放出された場合における、排気の通路(排気通路21a)を形成する役目も担っている。具体的には、仕切板部40aは、蓄電素子100と外装体10の側壁部14との間に配置され、外装体10の下壁部15と接続されている。側壁部14には、蓄電素子100からの排気を、外装体10の外部に排出する1以上の開口51を有する排出部50の少なくとも一部が配置されている。本実施の形態では、排出部50には5つの開口51が形成されている。外装体10の内部で発生した排気の外部への排出のための構造の詳細については、図4図7を用いて後述する。
【0040】
ここで、外装体10の下壁部15は、例えば、全体として略直方体の外形を有する外装体10を構成する6つの壁部のうちの、蓄電素子100が載置される壁部、または、蓄電素子100の安全弁170とは反対側の壁部であると定義される。また、外装体10の上壁部16(図6図7を用いて後述)は、下壁部15と対向する壁部であり、例えば、一般的に蓄電装置1の使用時において上方を向くように置かれる壁部である、と定義することができる。また、外装体10の上壁部16は、例えば、外装体10が本体12と蓋体11とで構成される場合の、蓋体11の壁部である、と定義することもできる。
【0041】
また、外装体10の側壁部は、下壁部15と上壁部16とを接続する壁部であり、本実施の形態では、外装体10は、4つの側壁部を有している。これら4つの側壁部のうちの、外装体10の背面を形成する側壁部14に排出部50が配置されている。つまり、外装体10の、図1における奥側(Y軸方向プラス側)の面が、外装体10の前面であり、当該前面は、側壁部17によって形成されている。なお、本実施の形態では、外装体10が有する4つの側壁部のそれぞれは、図1及び図2に示されるように、本体12の一部と蓋体11の一部とによって形成されている。
【0042】
蓄電装置1が備える3つの蓄電素子100は、図2に示すように、2つのバスバー30によって直列に接続されている。なお、蓄電装置1が備える蓄電素子100の数は3には限定されず、2以下であってもよく、4以上であってもよい。例えば、外装体10のサイズが、図2等に示されるサイズよりも大きい場合、そのサイズに応じた4以上の数の蓄電素子100が外装体10に収容されてもよい。また、複数の蓄電素子100の接続の態様に特に限定はなく、直列、並列、並びに、直列及び並列の複合のいずれであってもよい。
【0043】
蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。
【0044】
蓄電素子100は、扁平形状の容器110と、容器110に配置された正極端子120及び負極端子130とを備える。なお、蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
【0045】
蓄電素子100において、容器110の内部には、電極体、電極体と正極端子120とを接続する正極集電体、及び、電極体と負極端子130とを接続する負極集電体が配置されている。また、容器110の内部には電解液などの液体が封入されている。
【0046】
容器110の、電極端子(120、130)が配置された面には安全弁170が備えられている。複数の蓄電素子100は、例えば図2に示されるように、各安全弁170が、複数の蓄電素子100の並び方向(Y軸方向)に並ぶように配置される。
【0047】
安全弁170は、容器110の内圧が上昇した場合に開放し、容器110の内部のガスを放出する安全機構として、各蓄電素子100に備えられている。なお、蓄電装置1が備える複数の蓄電素子100の全てが安全弁170を備えていることには限定されず、少なくとも1つの蓄電素子100が安全弁170を備えていればよい。
【0048】
蓄電素子100が有する電極体は、例えば、正極と負極との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものを巻回されて形成された巻回型の電極体である。なお、電極体は、巻回型には限定されず、例えば、平板状極板を積層した積層型の電極体であってもかまわない。
【0049】
正極は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる長尺帯状の導電性の正極集電箔の表面に正極活物質層が形成された電極板である。負極は、銅または銅合金などからなる長尺帯状の導電性の負極集電箔の表面に負極活物質層が形成された電極板である。セパレータは、微多孔性のシートである。
【0050】
なお、蓄電素子100に用いられる正極、負極及びセパレータの材料としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければ適宜公知の材料を使用できる。また、容器110に封入される電解液(非水電解質)としても、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
【0051】
正極端子120及び負極端子130は、容器110に収容された電極体に蓄えられている電気を蓄電素子100の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子100の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。
【0052】
本実施の形態では、正極端子120及び負極端子130のそれぞれには、バスバー30等の導電部材と接続するためのボルトが配置されており、ボルト及びナットによって、正極端子120及び負極端子130のそれぞれとバスバー30等の導電部材とが締結される。
【0053】
上記構成を有する蓄電素子100は、本実施の形態では、2つの仕切板部の間に配置されている。具体的には、仕切板部40aと40bとの間、仕切板部40bと40cとの間、及び、仕切板部40cと40dとの間のそれぞれに、蓄電素子100が配置される。これにより、3つの蓄電素子100のそれぞれの位置は、外装体10内における所定の位置に規制される。
【0054】
また、本実施の形態に係る仕切板部40a及び40dは、外装体10内の空間を仕切る役目も果たしている。具体的には、仕切板部40aと仕切板部40dとの間に、3つの蓄電素子100の配置空間(蓄電素子配置空間20)が形成されている。また、仕切板部40aと、排出部50が設けられた側壁部14との間には、排気の通路を含む空間(排気通路空間21)が形成されている。さらに、仕切板部40dと、外装体10の前面を形成する側壁部17との間に、制御基板等の電気機器(図示せず)が配置される空間(機器配置空間22)が形成されている。
【0055】
また、蓄電装置1は、仕切板部40aと側壁部14との間において上下方向に延設された第一ガイド部41を備えている。具体的には、仕切板部40aと側壁部14との間の排気通路空間21をさらに仕切るように、一対の第一ガイド部41が配置されており、一対の第一ガイド部41の間に、排気通路21aが形成されている。
【0056】
このように、本実施の形態に係る蓄電装置1は、蓄電素子100の安全弁170が開放した場合に放出される排気を、外装体10の外部に排出するための構造に特徴を有している。この特徴的な構造を、図4図7を用いて具体的に説明する。
【0057】
図4は、実施の形態に係る蓄電装置1における排気の流れの概要を示す図である。なお、外装体10の内部における排気の流れを図示するために、蓋体11については、簡略化された外形が点線で図示されている。
【0058】
図4に示すように、蓄電装置1では、蓄電素子100と側壁部14との間に仕切板部40aが配置されており、仕切板部40aは、下壁部15(図3参照)と接続されている。また、外装体10には、仕切板部40aと側壁部14との間に形成された排気通路21aを流れる排気を、外装体10の外部に排出する1以上の開口51を有する排出部50が設けられている。
【0059】
蓄電装置1は、上記構造を有することで、蓄電素子100の安全弁170から放出される排気を、排出部50を介して外装体10の外部に導くことができる。その結果、安全弁170が開放した場合における外装体10の内圧の上昇が抑制される。また、側壁部14とともに排気通路21aを形成する仕切板部40aは、外装体10の下壁部15に接続されている。より詳細には、本実施の形態では、仕切板部40aは、本体12と一体に形成されている。そのため、仮に、水等の異物が排出部50から排気通路21aに流入した場合であっても、仕切板部40aが存在することで、異物の蓄電素子100への到達は困難である。さらに、本実施の形態では、仕切板部40aは、蓄電素子100の位置を規制する役割も担っている。言い換えると、蓄電素子100の位置を規制する仕切板部40aに、蓄電素子配置空間20と排気通路21aとを仕切る機能を担わせている。つまり、1つの部材(部分)に、複数の役割を担わせることでも、構造の簡素化が図られている。
【0060】
このように、本実施の形態に係る蓄電装置1は、蓄電素子100と蓄電素子100を収容する外装体10とを備える蓄電装置1であって、簡易な構成で安全性が向上された蓄電装置1である。
【0061】
また、本実施の形態では、排出部50の少なくとも一部は、側壁部14の下部に配置されている。例えば、側壁部14の高さ(Z軸方向の幅)を三等分した場合において最も下に位置する部分に、排出部50が配置される。
【0062】
このように、上下方向において下壁部15に近い位置に排出部50が配置されているため、排出部50から異物が流入した場合でも、当該異物が、下壁部15に接続された仕切板部40aを越えることがより困難となる。すなわち、排出部50から蓄電素子配置空間20への異物の流入抑制効果がさらに向上する。また、例えば、人が蓄電装置1を持っている状態で排出部50から排気が排出された場合であっても、人の顔に排気がかかり難い。
【0063】
ここで、本実施の形態に係る排出部50は、より詳細には、図5に示すように構成されている。図5は、実施の形態に係る排出部50の構成を示す斜視図である。図5に示すように、排出部50の少なくとも一部は、下壁部15に配置されている。本実施の形態では、排出部50は、側壁部14と下壁部15とに跨って配置されている。つまり、排出部50の一部が側壁部14に配置され、かつ、排出部50の一部が下壁部15に配置されている。
【0064】
これにより、排出部50から外装体10の外部に排出される排気の少なくとも一部を、外装体10(蓄電装置1)の下方(Z軸方向マイナス側)に向けて排出することができる。そのため、例えば、人が蓄電装置1を持っている状態で排気が発生した場合において、人の顔に排気がかかる可能性がさらに低減される。なお、排出部50の全体を下壁部15に配置することで、外装体10の外部に排出される排気のほぼ全てを外装体10の下方に向けて排出することも可能である。
【0065】
また、本実施の形態に係る蓄電装置1はさらに、仕切板部40aと側壁部14との間において上下方向(Z軸方向)に延設され、仕切板部40aと側壁部14との並び方向(Y軸方向)に沿った面を形成する第一ガイド部41を備える。第一ガイド部41は、図4に示すように、排出部50の側方に設けられている。
【0066】
上記構造によれば、蓄電素子100の安全弁170から放出され、仕切板部40aと側壁部14との間に到達した排気は、第一ガイド部41により排出部50に案内される。つまり、第一ガイド部41によって、排気通路21aがより限定的に規定され、その結果、蓄電素子100から放出された排気が、効率よく排出部50から排出される。
【0067】
すなわち、仮に第一ガイド部41がない場合であっても、仕切板部40aと側壁部14とによって排気通路21aが形成される。しかし、排気通路21aの横方向(X軸方向)の空間領域を第一ガイド部41によって規制することで、排気の流路長を短縮化することができ、その結果、排出部50における排気の排出効率が向上する。また、蓄電素子100から放出された排気の熱等が、外装体10内の他の要素に与える影響を抑制することができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、一対の第一ガイド部41が、排気通路21aを横方向の両側から規制するように、仕切板部40aと側壁部14との間に設けられている。しかし、少なくとも一つの第一ガイド部41が排出部50の側方に配置されていることで、排出部50における排気の排出効率は向上される。また、本実施の形態の一対の第一ガイド部41は、仕切板部40aと同じく、樹脂製の本体12と一体に設けられているが、一対の第一ガイド部41が、本体12とは別体の部材として、外装体10に備えられてもよい。
【0069】
また、本実施の形態に係る蓄電装置1は、排気を効率よく外装体10の外部に導くための構成要素をさらに備えている。具体的には、図6及び図7に示すように、外装体10の一部である蓋体11に、第二ガイド部42と第三ガイド部43とが設けられている。
【0070】
図6は、実施の形態に係る蓋体11の構造を示す斜視図である。図7は、実施の形態に係る蓄電装置1における排気の流れの詳細を示す図である。なお、図7では、外装体10の内部における排気の流れを明確に図示するために、蓋体11及び蓄電素子100については、簡略化された外形が点線で図示されている。また、複数の仕切板部(40a〜40d)については、排気通路21aを形成する仕切板部40aのみが簡略化して図示されており、他の仕切板部(40b〜40d)についての図示は省略されている。
【0071】
図6に示すように、蓋体11は第二ガイド部42を有する。第二ガイド部42は、図7に示すように、上下方向(Z軸方向)において第一ガイド部41と連続するように設けられている。従って、蓄電素子100から放出された排気は、外装体10の上下方向(Z軸方向)において、上壁部16から排出部50に到るまで、第一ガイド部41及び第二ガイド部42によって案内され、これにより、例えば、排気の外装体10の外部への排出がより効率よく行われる。
【0072】
なお、本実施の形態では、図7に示すように、第一ガイド部41の上端部と第二ガイド部42の下端部とが横方向(X軸方向)に重ねられることで、第二ガイド部42は上下方向において第一ガイド部41と連続するように設けられている。これにより、例えば、排気通路21aを通過する排気が、第一ガイド部41と第二ガイド部42との接続部分から排気通路21aの外部に漏れ出すことが抑制される。
【0073】
また、第一ガイド部41と第二ガイド部42との接続部分では、排気の流れにおける上流に位置する第二ガイド部42が、第一ガイド部41よりも内側(排気通路21a側)に配置されている。これにより、例えば、第一ガイド部41の上端面が、排気流路における抵抗となることが防止される。
【0074】
また、本実施の形態に係る蓋体11はさらに、蓋体11の上壁部16(つまり、外装体10の上壁部16)から蓄電素子100に向けて突設され、蓄電素子100から放出された排気を、第二ガイド部42の方向に案内する第三ガイド部43を有する。
【0075】
上記構造により、例えば、蓄電素子100から放出され、外装体10(蓋体11)の上壁部16に向かう排気は、第三ガイド部43に案内されて、第二ガイド部42に到達する。つまり、蓄電素子100から放出された排気は、効率よく排気通路21aに集められて排出部50から外装体10の外部に排出される。従って、蓄電素子100から放出された排気は、より確実に外装体10の外部に排出される。
【0076】
なお、第三ガイド部43は、蓄電素子100から放出された排気を、第一ガイド部41の方向に案内してもよい。言い換えると、例えば、第三ガイド部43に案内された排気が、直接的に第一ガイド部41に案内されるように、第一ガイド部41及び第三ガイド部43が形成されていてもよい。この場合であっても、蓄電素子100から放出された排気は、効率よく排気通路21aに集められて排出部50から外装体10の外部に排出される。
【0077】
また、本実施の形態では、第二ガイド部42及び第三ガイド部43は、上壁部16から突出状に設けられた一連のリブとして、樹脂製の蓋体11と一体に備えられている。
【0078】
ここで、本実施の形態に係る蓋体11は、図6に示すように、各蓄電素子100の上方への移動を規制する規制部45を有している。具体的には、規制部45は、本体12に収容された3つの蓄電素子100を上方から押さえ、これにより、各蓄電素子100の上下方向の位置が固定される。つまり、蓋体11は、外装体10の一部として、1以上の蓄電素子100を保護する部材として機能するほか、排気の流路を形成する部材として、及び、以上の蓄電素子100の外装体10内の位置を規制する部材としても機能する。
【0079】
また、本実施の形態では、排気の出口である排出部50は、外装体10における、複数の蓄電素子100の並び方向(Y軸方向)の一部に形成されている。具体的には、上面視(Z軸方向プラス側から見た場合)において、3つの蓄電素子100の安全弁170を通る直線上に、排出部50が配置されており、これにより、外装体10の内部で生じた排気の、外装体10からの排出効率が向上される。また、例えば3つの蓄電素子100それぞれの電極端子(120及び130、図2参照)が、各安全弁170からの排気の流れの妨げとならない態様で、排出部50が設けられている。このことも、排気の排出効率の向上に寄与する。
【0080】
また、排出部50が設けられた側壁部14は、上述のように、外装体10の背面を形成する側壁部である。つまり、側壁部14に対向する側壁部17(図2図3参照)の外面によって、外装体10の前面が形成されている。当該前面は、動作確認用のLED、または、送電用、受電用、もしくは通信用のコネクタ等の部品(図示せず)が配置される面である。
【0081】
ここで、蓄電装置1は、一般に、上述のLED等の部品が配置される外装体10の前面が、人が作業する空間に向いた姿勢で配置される。従って、排出部50から排気が放出された時点で、人が蓄電装置1に向き合っている場合であっても、人とは逆側に向けて排気が排出される。従って、本実施の形態の蓄電装置1によれば、外装体10から排気が排出された場合であっても、排気が人に向けられる可能性が低減される。
【0082】
また、複数の蓄電装置1が水平方向に並んで配置される場合、例えば各蓄電装置1の前面が同じ方向を向くように並べられるため、各蓄電装置1から排出される排気は、隣の蓄電装置1に向けられない。つまり、当該複数の蓄電装置1のうちのいずれか1つの蓄電装置1の排出部50から排気が排出された場合、その排気の熱等が他の蓄電装置1に与える影響が抑制される。
【0083】
また、本実施の形態に係る蓄電装置1では、上述のように、蓋体11に設けられたリブが、第二ガイド部42及び第三ガイド部43として機能する点に一つの特徴を有している。この特徴を有する蓄電装置1は、例えば、以下のように表現される。すなわち、蓄電素子100と、蓄電素子100を収容する外装体10とを備える蓄電装置1であって、外装体10は排出部を備える。当該排出部は、外装体10が有する蓋体11に設けられたリブ(例えば、第二ガイド部42及び第三ガイド部43の少なくとも一方)によって形成された通路を流れる排気を、外装体10の外部に排出する1以上の開口を有する。
【0084】
上記構成を有する蓄電装置1によれば、蓋体11に設けられたリブによって排気の通路が形成され、これにより、蓄電素子100の安全弁170から放出される排気は、効率よく外装体10の外部に排出される。つまり、簡易な構成で安全性が向上された蓄電装置1が実現される。
【0085】
なお、蓄電装置1は、外装体10の内部で生じた排気を外装体10の外部に排気するための構造(排気構造)として、上記で説明された構造とは異なる排気構造を有してもよい。そこで、以下に、実施の形態に係る蓄電装置1が有する排気構造に関する各種の変形例について、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0086】
(変形例1)
図8Aは、実施の形態の変形例1に係る蓄電装置1aの外観を示す斜視図である。図8Bは、実施の形態の変形例1に係る排出部50aの特徴を表す断面図である。なお、図8Bでは、本変形例に係る外装体10の一部の断面であって、排出部50aの開口51aを通るYZ平面における断面が図示されている。
【0087】
図8A及び図8Bに示すように、本変形例に係る蓄電装置1aは、外装体10の前面下部に、段差部12aを備える点に特徴を有する。段差部12aは、外装体10の側壁部14の下部に形成されており、図8Bに示すように、外装体10の側壁部14の外面(外装体10の背面)と交差し、かつ、下方を向く面を形成する下面部12bを有する。本変形例に係る排出部50aが有する1以上の開口51aは、この下面部12bに形成されており、これにより、水等の異物が排出部50aを介して外装体10の内部に流入する可能性がより低減される。
【0088】
ここで、蓄電装置1aが所定の平面上に設置される場合、例えば下壁部15が当該所定の平面に接触した状態で設置される。そのため、下面部12bと、当該所定の平面との間には、下壁部15の外面(外装体10の底面)と下面部12bとの上下方向の距離だけ隙間が存在する。従って、下面部12bに配置された、排出部50aの開口51aが、蓄電装置1aが設置された所定の平面に塞がれることが防止される。
【0089】
このように、本変形例に係る蓄電装置1aでは、排出部50aの開口51aを下方に向けて配置することで、排出部50aからの異物の流入を抑制し、かつ、外装体10の内部で生じた排気を効率よく外装体10の外部に排出することを可能としている。また、人が蓄電装置1aを持っている状態で、排出部50aから排気が排出された場合において、人の顔に排気がかかる可能性がさらに低減される。
【0090】
(変形例2)
図9Aは、実施の形態の変形例2に係る蓄電装置1bの外観を示す斜視図である。図9Bは、実施の形態の変形例2に係る吸気部60の特徴を表す断面図である。なお、図9Bでは、本変形例に係る外装体10の一部の断面であって、吸気部60の吸気口61を通るXZ平面における断面が図示されている。
【0091】
図9A及び図9Bに示すように、本変形例に係る蓄電装置1bは、外装体10の側壁部18に、例えば、蓄電装置1bを持ち運ぶ際の持ち手となる持手部13を備える。
【0092】
なお、側壁部18は、排出部50が配置された側壁部14と交差する方向の側面を形成する側壁部である。また、図9Aには図示されていないが、外装体10のX軸方向マイナス側の側壁部にも持手部13が配置されており、蓄電装置1bを持ち運ぶ際、外装体10が備える一対の持手部13により、両手で蓄電装置1bを持ち運ぶことができる。
【0093】
また、持手部13は、外装体10の側壁部18の外面と交差し、かつ、下方を向く面を形成する下面部13aを有する。本変形例に係る吸気部60が有する1以上の吸気口61は、この下面部13a形成されている。
【0094】
ここで、蓄電装置1bが備える蓄電素子100から排気が放出された場合、例えば図7に示される、第一ガイド部41、第二ガイド部42、及び第三ガイド部43により、蓄電素子100からの排気は、排出部50に案内され、外装体10の外部に排出される。このように、外装体10の内部の排気が排出部50から排出される際に、外装体10が吸気部60を有することで、外装体10の外部の大気が外装体10の内部に流入する。これにより、例えば、内圧の上昇により安全弁170が開放した蓄電素子100の温度上昇が抑制される。その結果、当該蓄電素子100が、外装体10内の他の蓄電素子100へ与える熱の影響を低減することができる。
【0095】
また、上記効果を有する吸気部60の1以上の吸気口61は、下方に向けて形成されているため、水等の異物が吸気部60を介して外装体10の内部に流入する可能性が低減される。なお、吸気口61には、防水通気性膜が設けられていてもよい。
【0096】
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る蓄電装置について、実施の形態及びその変形例に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態またはその変形例に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0097】
例えば、仕切板部40a〜40dは、外装体10の本体12と一体に設けられているとしたが、仕切板部40a〜40dの少なくとも1つと、本体12とは別体であってもよい。例えば、排気通路21aを形成する仕切板部40aを、外装体10とは別部品として作製することで、仕切板部40aを他の仕切板部40b〜40dよりも耐熱性の高い素材で形成することができる。
【0098】
また、例えば、外装体10(蓋体11)の上壁部16(図6参照)において、3つの蓄電素子100からの排気が衝突する箇所に、フェノール樹脂、セラミック、またはグラスウール等の、耐熱性または断熱性の高い素材で形成された部材を配置してもよい。これにより、上壁部16を排気の熱及び衝撃から保護することができる。
【0099】
また、排出部50の少なくとも一部は、側壁部14の下部に配置されるとしたが、排出部50は、側壁部14の下部以外の位置に配置されてもよい。例えば、図7における、仕切板部40aの高さよりも低い(Z軸方向マイナス側)位置に、排出部50が配置されることで、仕切板部40aが、排出部50から流入した異物に対する邪魔板として機能する。つまり、排出部50は、側壁部14のうちの、蓋体11によって形成される部分に設けられてもよい。また、排出部50は、側壁部14において、蓋体11と本体12とに跨るように設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、複数の蓄電素子を備える蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0101】
1、1a、1b 蓄電装置
10 外装体
11 蓋体
12 本体
12a 段差部
12b、13a 下面部
13 持手部
14、17、18 側壁部
15 下壁部
16 上壁部
20 蓄電素子配置空間
21 排気通路空間
21a 排気通路
22 機器配置空間
30 バスバー
40a、40b、40c、40d 仕切板部
41 第一ガイド部
42 第二ガイド部
43 第三ガイド部
45 規制部
50、50a 排出部
51、51a 開口
60 吸気部
61 吸気口
100 蓄電素子
110 容器
120 正極端子
130 負極端子
170 安全弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B