特許第6606917号(P6606917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606917
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】ボイラシステム
(51)【国際特許分類】
   F22B 35/00 20060101AFI20191111BHJP
   F22B 37/38 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   F22B35/00 H
   F22B35/00 E
   F22B37/38 C
【請求項の数】12
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-164518(P2015-164518)
(22)【出願日】2015年8月24日
(65)【公開番号】特開2017-44354(P2017-44354A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】山田 和也
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−241171(JP,A)
【文献】 特開2000−146103(JP,A)
【文献】 特開2005−049008(JP,A)
【文献】 特開2013−234775(JP,A)
【文献】 特開2015−178933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B1/18,35/00−35/18,37/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
段階的な燃焼位置で燃焼可能な、複数の段階値制御ボイラからなるボイラ群と、
前記ボイラ群において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダと、
前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧値であるヘッダ圧力値を測定する蒸気圧力測定手段と、
予め設定された最大設定圧力値を設定圧力範囲の上限値とし、予め設定された制御幅により前記設定圧力範囲が規定され、前記蒸気圧力測定手段により測定される前記ヘッダ圧力値が、前記設定圧力範囲に収まるように前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御装置と、
を備えるボイラシステムであって、
前記制御装置は、
前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを判断するための複数の圧力帯域に区分された第1制御圧力帯域を記憶する第1制御圧力帯域記憶部と、
前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第1制御圧力帯域に基づいて制御する第1制御部と、
前記第1制御圧力帯域の各圧力帯域を下方にずらして、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第1制御圧力帯域の各圧力帯域より所定圧力分下げた、第2制御圧力帯域を記憶する第2制御圧力帯域記憶部と、
前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第2制御圧力帯域に基づいて制御する第2制御部と、
前記ヘッダ圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた第1状態を検出する第1検出部と、
前記第1検出部により前記第1状態が検出された場合、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングの制御を前記第1制御部による制御から前記第2制御部による制御に切り換える、制御切換部と、
を備える、ボイラシステム。
【請求項2】
前記第2制御圧力帯域の上限値は、前記第1制御圧力帯域の上限値と等しい、請求項1に記載のボイラシステム。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記ヘッダ圧力値がオーバーシュートしたことに起因して前記ヘッダ圧力値が下降すること、又は前記ヘッダ圧力値が下降してアンダーシュートすることを含む、請求項1又は請求項2に記載のボイラシステム。
【請求項4】
前記所定の条件は、前記ヘッダ圧力値が、前記設定圧力範囲の上限圧力値以上の値である制御上限圧力値を超えること、又は前記ヘッダ圧力値が前記設定圧力範囲の下限圧力値以下の値である制御下限圧力値を下回ることを含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のボイラシステム。
【請求項5】
前記所定の条件は、前記ヘッダ圧力値が前記制御上限圧力値を超えた場合に、前記複数のボイラを全台待機とすることを含む、請求項4に記載のボイラシステム。
【請求項6】
前記制御装置は、さらに
制御周期毎に、前記ヘッダ圧力値と前記設定圧力範囲の上限圧力値との差分である圧力偏差に基づいて、必要蒸気量MVを算出する必要蒸気量算出部を備え、
前記所定の条件は、蒸気の供給を行っている全てのボイラの最大出力蒸気量の合計値が前記必要蒸気量算出部により算出される現時点の必要蒸気量MVを下回る状態で、前記ヘッダ圧力値が予め設定された第1圧力値を下回ることを含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のボイラシステム。
【請求項7】
前記制御装置は、さらに
前記第2制御圧力帯域の各圧力帯域を下方にずらして、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第2制御圧力帯域の各圧力帯域より所定圧力分下げた、第3制御圧力帯域を記憶する第3制御圧力帯域記憶部と、
前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第3制御圧力帯域に基づいて制御する第3制御部と、
前記第1検出部により前記第1状態が検出された場合、さらに、前記ヘッダ圧力値の下降の時間に対する勾配値が予め設定された所定の勾配値よりも大きい値となるか、又は
ヘッダ圧力値の下降値が予め設定した所定の下降値よりも小さい値となる第2状態を検出する第2検出部と、を備え、
前記制御切換部は、前記第2検出部により前記第2状態が検出された場合、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングの制御を前記第1制御部による制御から前記第3制御部による制御に切り換える、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のボイラシステム。
【請求項8】
前記制御切換部は、さらに、
前記制御切換部により、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングの制御を前記第2制御部又は前記第3制御部による制御に切り換えられた後、前記ヘッダ圧力値が前記設定圧力範囲の上限圧力値に達することなく、下降に転じた場合に、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングの制御を前記第1制御部による制御に切り換える、請求項7に記載のボイラシステム。
【請求項9】
段階的な燃焼位置で燃焼可能な、複数の段階値制御ボイラからなるボイラ群と、
前記ボイラ群において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダと、
前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧値であるヘッダ圧力値を測定する蒸気圧力測定手段と、
予め設定された最大設定圧力値を設定圧力範囲の上限値とし、予め設定された制御幅により前記設定圧力範囲が規定され、前記蒸気圧力測定手段により測定される前記ヘッダ圧力値が、前記設定圧力範囲に収まるように前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御装置と、
を備えるボイラシステムであって、
前記制御装置は、
前記ヘッダ圧力値の上昇時における前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを判断するための複数の圧力帯域に区分された第1制御圧力帯域を記憶する第1制御圧力帯域記憶部と、
前記ヘッダ圧力値の上昇時における前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第1制御圧力帯域に基づいて制御する第1制御部と、
前記第1制御圧力帯域の各圧力帯域を下方にずらして、前記ヘッダ圧力値の上昇時における前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第1制御圧力帯域の各圧力帯域より所定圧力分下げた、第2制御圧力帯域を記憶する第2制御圧力帯域記憶部と、
前記ヘッダ圧力値の上昇時における前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第2制御圧力帯域に基づいて制御する第2制御部と、
ハンチング又はハンチングの起因となる可能性のある前記ヘッダ圧力値の変動である疑似ハンチングを検出するハンチング検出部と、
前記ハンチング検出部によりハンチング又は前記疑似ハンチングが検出し、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた場合、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングの制御を、前記第1制御部から前記第2制御部による制御に切り換える、制御切換部と、
を備える、ボイラシステム。
【請求項10】
前記ハンチング検出部は、前記ヘッダ圧力値が、前記制御装置が前記複数のボイラを全缶停止する閾値として予め設定された制御上限圧力値と前記設定圧力範囲の上限圧力値との間に予め設定された第2制御上限圧力値を超える又は第2制御上限圧力値以上となる回数が、第1の時間の間に第1の回数以上発生する変動を擬似ハンチング状態として検出することを含む、請求項9に記載のボイラシステム。
【請求項11】
前記ハンチング検出部は、前記ヘッダ圧力値が、前記設定圧力範囲の下限圧力値との偏差の絶対値が第1閾値以下となるように予め設定された第2制御下限圧力値を下回る又は第2制御下限圧力値以下となる回数が、第2の時間の間に、第2の回数以上発生する変動を擬似ハンチング状態として検出することを含む、請求項9又は請求項10に記載のボイラシステム。
【請求項12】
前記ハンチング検出部は、前記ヘッダ圧力値が降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超えるか、又は圧力降下幅値以上となる回数が、第3の時間の間に、第3の回数以上発生する変動を擬似ハンチング状態として検出することを含む、請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載のボイラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のボイラからなるボイラ群を備えるボイラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の段階的な燃焼位置で燃焼可能な段階値制御ボイラを複数有するボイラ群と、要求される負荷に応じてボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムが提案されている。ここで、段階値制御ボイラとは、燃焼を選択的にオン/オフしたり、炎の大きさを調整したりすること等により複数段階の燃焼位置で燃焼するN位置制御ボイラをいい、このような段階値制御ボイラでは、燃焼率が段階的に変更される。なお、N位置制御とは、段階値制御ボイラの燃焼量を、燃焼停止位置を含めてN位置に段階的に制御可能なことを表す。
【0003】
そして、特許文献1に記載されているように、段階値制御ボイラを複数有するボイラ群を備えるボイラシステムの燃焼制御においては、蒸気ヘッダの内部の蒸気圧値であるヘッダ圧力値が、予め設定された最大設定圧力値を上限値とし予め設定された制御幅により規定される圧力制御帯域の範囲内に収まるように、ボイラ群の燃焼状態を制御することが知られている。すなわち、最大設定圧力値から制御幅を減算して算出される圧力値を下限値とした場合、ヘッダ圧力値が、上限値と下限値とにより規定される圧力制御帯域の範囲内に収まるようにボイラ群の燃焼状態は制御される。
【0004】
このような燃焼制御においては、圧力制御帯域は、複数の圧力帯域に区分される。そして、ボイラシステムは、圧力帯域毎に対応する燃焼状態(燃焼位置)を設定しておき、ヘッダ圧力値がどの圧力帯域に対応するかによって燃焼状態(燃焼位置)を決定することが行われる。
例えば、複数の圧力帯域のうち、最上位の圧力帯域(要求負荷が小さい場合)においては、全てのボイラが燃焼停止位置(−)に位置する燃焼状態(燃焼位置)が対応し、他方、最下位の圧力帯域(要求負荷が大きい場合)においては、全てのボイラが高燃焼位置(H)に位置する燃焼状態(燃焼位置)が対応する。
【0005】
このような燃焼制御では、圧力下降時に燃焼量増加を判断するための制御圧力帯域と、圧力上昇時に燃焼量減少を判断するための制御圧力帯域とが別に定義され、両者はディファレンシャル分だけずらされている。
すなわち、ヘッダ圧力値が上昇方向(負荷量が減少方向)のときに燃焼量の大きい燃焼状態(燃焼位置)Xから燃焼量の小さい燃焼状態(燃焼位置)Yへ移行する基準となるヘッダ圧力値と、ヘッダ圧力値が下降方向(負荷量が増加方向)のときに燃焼量の小さい燃焼状態(燃焼位置)Yから燃焼量の大きい燃焼状態(燃焼位置)Xへ移行する基準となるヘッダ圧力値との間には、前者(上昇時)が後者(下降時)より大きくなるように所定の差(ディファレンシャル)を設けている。
仮にディファレンシャルを設けないとすると、ヘッダ圧力値が燃焼量増減ラインで前後した場合に、燃焼状態(燃焼位置)が頻繁に変化する可能性がある。このような変化を避けるために、ディファレンシャルを通常設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−208817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、圧力制御帯域が比較的に狭い場合、蒸気負荷が高いときにはヘッダ圧力値は安定しやすいが、蒸気負荷が低いときには、わずかな圧力変化に対して必要以上に燃焼量を増減させてしまうことで、ハンチング現象が発生する確率が高まることがある。
具体的には、低負荷時において、全台待機からのヘッダ圧力値低下の際、必要以上のボイラに対し燃焼指示を出してしまい、その後、一部ボイラが燃焼を開始し、ヘッダ圧力値が上昇に転じた後も、燃焼量を増やしすぎるため、ヘッダ圧力値がオーバーシュートし、最終的には設定圧力を超えて全台待機となることがある。
【0008】
このようなハンチングを抑制するには、圧力低下時の燃焼量を抑制する方法と、圧力上昇時に早めに燃焼量を削減する方法とが考えられる。
圧力低下時の燃焼量を抑制する方法の場合、燃焼量抑制中に仮に蒸気負荷が急増した場合には、対応できないことが想定される。これに対して、圧力上昇時に早めに燃焼量を削減する方法の場合、仮に蒸気負荷が急増した場合には、ボイラを無駄に起動させる問題はあるが、圧力低下時の燃焼量を抑制する方法よりは安全なことが想定される。
【0009】
本発明は、複数のボイラからなるボイラ群を備えるボイラシステムにおいて、ヘッダ圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた状態を検出すると、早めに燃焼量を削減することで、ハンチング発生を防ぐことができるボイラシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、段階的な燃焼位置で燃焼可能な、複数の段階値制御ボイラからなるボイラ群と、前記ボイラ群において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダと、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧値であるヘッダ圧力値を測定する蒸気圧力測定手段と、予め設定された最大設定圧力値を上限値とし、予め設定された制御幅により設定圧力範囲が規定され、前記蒸気圧力測定手段により測定される前記ヘッダ圧力値が、前記設定圧力範囲に収まるように前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御装置と、を備えるボイラシステムであって、前記制御装置は、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを判断するための複数の圧力帯域に区分された第1制御圧力帯域を記憶する第1制御圧力帯域記憶部と、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第1制御圧力帯域に基づいて制御する第1制御部と、前記第1制御圧力帯域の各圧力帯域を下方にずらして、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第1制御圧力帯域の各圧力帯域より所定圧力分下げた、第2制御圧力帯域を記憶する第2制御圧力帯域記憶部と、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第2制御圧力帯域に基づいて制御する第2制御部と、前記ヘッダ圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた第1状態を検出する第1検出部と、前記第1検出部により前記第1状態が検出された場合、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングの制御を前記第2制御部による制御に切り換える、制御切換部と、を備えるボイラシステムに関する。
【0011】
また、前記第2制御圧力帯域の上限値は、前記第1制御圧力帯域の上限値と等しいことが好ましい。
【0012】
また、前記所定の条件は、前記ヘッダ圧力値がオーバーシュートしたことに起因して前記ヘッダ圧力値が下降すること、又は前記ヘッダ圧力値が下降してアンダーシュートすることを含むことが好ましい。
【0013】
また、前記所定の条件は、前記ヘッダ圧力値が、前記設定圧力範囲の上限圧力値以上の値である制御上限圧力値を超えること、又は前記ヘッダ圧力値が前記設定圧力範囲の下限圧力値以下の値である制御下限圧力値を下回ることを含むことが好ましい。
【0014】
また、前記所定の条件は、前記ヘッダ圧力値が前記制御上限圧力値を超えた場合に、前記複数のボイラを全台待機とすることを含むことが好ましい。
【0015】
また、前記制御装置は、さらに制御周期毎に、前記ヘッダ圧力値と前記設定圧力範囲の上限圧力値との差分である圧力偏差に基づいて、必要蒸気量MVを算出する必要蒸気量算出部を備え、前記所定の条件は、蒸気の供給を行っている全てのボイラの最大出力蒸気量の合計値が前記必要蒸気量算出部により算出される現時点の必要蒸気量MVを下回る状態で、前記ヘッダ圧力値が予め設定された第1圧力値を下回ることを含むことが好ましい。
【0016】
また、前記制御装置は、さらに前記第2制御圧力帯域の各圧力帯域を下方にずらして、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第2制御圧力帯域の各圧力帯域より所定圧力分下げた、第3制御圧力帯域を記憶する第3制御圧力帯域記憶部と、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第3制御圧力帯域に基づいて制御する第3制御部と、前記第1検出部により前記第1状態が検出された場合、さらに、前記ヘッダ圧力値の下降の時間に対する勾配値が予め設定された所定の勾配値よりも大きい値となるか、又はヘッダ圧力値の下降値が予め設定した所定の下降値よりも小さい値となる第2状態を検出する第2検出部と、を備え、前記制御切換部は、前記第2検出部により前記第2状態が検出された場合、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングの制御を前記第3制御部による制御に切り換えることが好ましい。
【0017】
また、前記制御切換部は、さらに、前記制御切換部により、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングの制御を前記第2制御部又は前記第3制御部による制御に切り換えられた後、前記ヘッダ圧力値が前記設定圧力範囲の上限圧力値に達することなく、下降に転じた場合に、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングの制御を前記第1制御部による制御に切り換えることが好ましい。
【0018】
本発明は、段階的な燃焼位置で燃焼可能な、複数の段階値制御ボイラからなるボイラ群と、前記ボイラ群において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダと、前記蒸気ヘッダの内部の蒸気圧値であるヘッダ圧力値を測定する蒸気圧力測定手段と、予め設定された最大設定圧力値を上限値とし、予め設定された制御幅により設定圧力範囲が規定され、前記蒸気圧力測定手段により測定される前記ヘッダ圧力値が、前記設定圧力範囲に収まるように前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御装置と、を備えるボイラシステムであって、前記制御装置は、前記ヘッダ圧力値の上昇時における前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを判断するための複数の圧力帯域に区分された第1制御圧力帯域を記憶する第1制御圧力帯域記憶部と、前記ヘッダ圧力値の上昇時における前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第1制御圧力帯域に基づいて制御する第1制御部と、前記第1制御圧力帯域の各圧力帯域を下方にずらして、前記ヘッダ圧力値の上昇時における前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第1制御圧力帯域の各圧力帯域より所定圧力分下げた、第2制御圧力帯域を記憶する第2制御圧力帯域記憶部と、前記ヘッダ圧力値の上昇時における前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングを前記第2制御圧力帯域に基づいて制御する第2制御部と、ハンチング又はハンチングの起因となる可能性のある前記ヘッダ圧力値の変動である疑似ハンチングを検出するハンチング検出部と、前記ハンチング検出部によりハンチング又は前記疑似ハンチングが検出し、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた場合、前記ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングの制御を、前記第1制御部から前記第2制御部による制御に切り換える、制御切換部と、を備えるボイラシステムに関する。
【0019】
また、前記ハンチング検出部は、前記ヘッダ圧力値が、前記制御装置が前記複数のボイラを全缶停止する閾値として予め設定された制御上限圧力値と前記設定圧力範囲の上限圧力値との間に予め設定された第2制御上限圧力値を超える又は第2制御上限圧力値以上となる回数が、第1の時間の間に第1の回数以上発生する変動を擬似ハンチング状態として検出することを含むことが好ましい。
【0020】
また、前記ハンチング検出部は、前記ヘッダ圧力値が、前記設定圧力範囲の下限圧力値との偏差の絶対値が第1閾値以下となるように予め設定された第2制御下限圧力値を下回る又は第2制御下限圧力値以下となる回数が、第2の時間の間に、第2の回数以上発生する変動を擬似ハンチング状態として検出することを含むことが好ましい。
【0021】
また、前記ハンチング検出部は、前記ヘッダ圧力値が降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超えるか、又は圧力降下幅値以上となる回数が、第3の時間の間に、第3の回数以上発生する変動を擬似ハンチング状態として検出することを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ヘッダ圧力値が、予め設定された設定圧力範囲に収まるように、複数台のボイラからなるボイラ群の燃焼状態を制御する制御部を備えるボイラシステムにおいて、ヘッダ圧力に所定の条件を満たす急激な下降が発生した場合、ヘッダ圧力を速やかに設定圧力範囲内に収束させることで、ハンチング現象を未然に防止し、ハンチング現象が発生した場合には、ハンチング現象を速やかに収束させることができるボイラシステムを提供することができる。
【0023】
また、本発明によれば、蒸気の供給を行っているボイラが何らかの原因で異常停止して、燃焼ボイラ不足が発生した場合、また想定を上回る急激な負荷増加が発生して、蒸気の供給が間に合わない事態が発生した場合等において、ヘッダ圧力に急激な下降が発生した場合、また、ハンチングの起因となる可能性のあるヘッダ圧力の変動が発生した場合、ヘッダ圧力を速やかに設定圧力範囲内に収束させることで、ハンチング現象を未然に防止し、ハンチング現象が発生した場合には、ハンチング現象を速やかに収束させることができるボイラシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態に係るボイラシステムの概略を示す図である。
図2】第1実施形態に係る段階値制御ボイラの燃焼位置の概略を示す図である。
図3A】第1実施形態におけるボイラ群2の、ヘッダ圧力値の上昇時の燃焼量減少のタイミングを判断するための複数の圧力帯域に区分された第1制御圧力帯域を示す図である。
図3B】第1実施形態におけるボイラ群2の、ヘッダ圧力値の上昇時の燃焼量減少のタイミングを判断するための複数の圧力帯域に区分された第2制御圧力帯域を示す図である。
図3C】第1実施形態におけるボイラ群2の、ヘッダ圧力値の上昇時の燃焼量減少のタイミングを判断するための複数の圧力帯域に区分された第3制御圧力帯域を示す図である。
図4】第1実施形態における記憶部の構成を示す機能ブロック図である。
図5】第1実施形態における制御部の構成を示す機能ブロック図である。
図6】第1実施形態に係るボイラシステムの処理の流れを示すフローチャートの一例を示した図である。
図7】第2実施形態における制御部の構成を示す機能ブロック図である。
図8】第2実施形態に係るボイラシステムの処理の流れを示すフローチャートの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明のボイラシステムの好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本実施形態に係るボイラシステム1の全体構成につき、図1を参照しながら説明する。
ボイラシステム1は、図1に示すように、複数(3台)の段階値制御ボイラ20を含むボイラ群2と、これら複数の段階値制御ボイラ20において生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、蒸気ヘッダ6の内部の圧力値(以下「ヘッダ圧力値」ともいう)を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部4を有する台数制御装置3と、を備える。
ボイラ群2は、負荷機器としての蒸気使用設備18に供給する蒸気を発生する。
【0026】
複数の段階値制御ボイラ20のそれぞれは、燃焼が行われるボイラ本体21と、段階値制御ボイラ20の燃焼位置を制御するローカル制御部22と、を備える。
ボイラ本体21は、水管やバーナを備え、図示せぬ水源(給水タンク)から供給された缶水を水管内で加熱し、蒸気を生成する。
【0027】
ローカル制御部22は、蒸気消費量に応じて段階値制御ボイラ20の燃焼位置を変更させる。具体的には、ローカル制御部22は、信号線16を介して台数制御装置3から送信される台数制御信号に基づいて、段階値制御ボイラ20の燃焼位置を制御する。また、ローカル制御部22は、台数制御装置3で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御装置3に送信する。台数制御装置3で用いられる信号としては、段階値制御ボイラ20の実際の燃焼位置、及びその他のデータ等が挙げられる。
【0028】
蒸気ヘッダ6は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数の段階値制御ボイラ20に接続されている。蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。
【0029】
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留する。蒸気ヘッダ6は、燃焼させる1又は複数の段階値制御ボイラ20の相互の圧力差及び圧力変動を調整し、蒸気圧力値が一定に調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
【0030】
蒸気圧センサ7は、信号線13を介して、台数制御装置3に電気的に接続されている。蒸気圧センサ7は、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値(以下、「ヘッダ圧力値」ともいう)を測定し、その蒸気圧力値に対応する蒸気圧信号を、信号線13を介して台数制御装置3に送信する。
【0031】
台数制御装置3は、信号線16を介して、複数の段階値制御ボイラ20と電気的に接続されている。台数制御装置3は、蒸気圧センサ7により測定されるヘッダ圧力値に基づいて要求負荷に応じたボイラ群2の必要蒸気量を算出し、該算出された必要蒸気量に基づいて、ボイラ群2の内、制御対象となる段階値制御ボイラ20(以下「制御対象ボイラ」ともいう)の燃焼位置(燃焼量)を制御する。
【0032】
次に、ボイラシステム1を構成する複数の段階値制御ボイラ20について説明する。図2は、ボイラシステム1を構成するボイラ群2の概略を示す図である。
図2に示すように、本実施形態の段階値制御ボイラ20は、
1)燃焼停止位置(第1燃焼位置:0%)、
2)低燃焼位置L(第2燃焼位置:50%)、
3)高燃焼位置H(第3燃焼位置:100%(最大燃焼量))の段階的な燃焼位置を有する段階値制御ボイラ(以下、「3位置制御ボイラ」ともいう)である。
なお、段階値制御ボイラ20の出力可能な最大蒸気量を最大出力蒸気量という。
【0033】
以上のボイラシステム1の燃焼制御においては、圧力制御帯域は、複数の圧力帯域に区分される。そして、ボイラシステム1は、圧力帯域毎に対応する燃焼状態(燃焼位置)を設定しておき、ヘッダ圧力値がどの圧力帯域に対応するかによって各ボイラ20の燃焼状態(燃焼位置)を決定することが行われる。
図3Aは、本実施形態に係る各ボイラ20の燃焼状態(燃焼位置)と、圧力制御帯域における複数の圧力帯域との関係を示す図である。
本実施形態においては、図3Aに示すように、ボイラ20の燃焼状態(燃焼位置)は、ボイラを高燃焼位置で燃焼させる高燃焼状態にする場合を「H」、低燃焼位置で燃焼させる低燃焼状態にする場合を「L」、燃焼停止状態にする場合を「−」として示す。
【0034】
ボイラ20の燃焼状態(燃焼位置)は、蒸気圧センサ7にて検出されるヘッダ圧力値が高くなるほど燃焼量の小さい燃焼状態(燃焼位置)が選択され、ヘッダ圧力値が低下するほど燃焼量の大きい燃焼状態(燃焼位置)が選択される。図3Aに示すように、本実施形態では、圧力制御帯域は、a〜gの7つの圧力帯域に区分される。そして、ボイラシステム1は、圧力帯域毎に、対応する各ボイラ20の燃焼状態(燃焼位置)を設定しておき、ヘッダ圧力値がどの圧力帯域に対応するかによって各ボイラ20の燃焼状態(燃焼位置)を決定する。各ボイラ20の燃焼状態(燃焼位置)は、7つの圧力帯域に対応して、7つ設定される。
【0035】
より具体的には、図3Aの左側に示すように、最上位の圧力帯域a(要求負荷が小さい場合)においては、全てのボイラ20が燃焼停止位置(−)に位置し、最下位の圧力帯域g(要求負荷が大きい場合)においては、全てのボイラ20が高燃焼位置(H)に位置する。
【0036】
図3Aの左側には、圧力下降時に燃焼量増加を判断するための制御圧力帯域(以下、「圧力下降時制御圧力帯域」ともいう)、右側には圧力上昇時に燃焼量減少を判断するための制御圧力帯域(「第1制御圧力帯域」)がそれぞれ別に定義され、両者はディファレンシャル分だけずらされている。
すなわち、図3Aの右側における、ヘッダ圧力値が上昇方向(負荷量が減少方向)のときに燃焼量の大きい燃焼状態(燃焼位置)Xから燃焼量の小さい燃焼状態(燃焼位置)Yへ移行する基準となるヘッダ圧力値と、図3Aの左側における、ヘッダ圧力値が下降方向(負荷量が増加方向)のときに燃焼量の小さい燃焼状態(燃焼位置)Yから燃焼量の大きい燃焼状態(燃焼位置)Xへ移行する基準となるヘッダ圧力値との間には、前者(上昇時)が後者(下降時)より大きくなるように所定の差(ディファレンシャル)を設けている。
仮にディファレンシャルを設けないとすると、ヘッダ圧力値が燃焼量増減ラインで前後した場合に、燃焼状態(燃焼位置)が頻繁に変化する可能性があり、このような変化を避けるために、ディファレンシャルを通常設けている。
なお、第1制御圧力帯域は、通常時に用いる制御圧力帯域である。
【0037】
複数のボイラ20には、それぞれ優先順位が設定されている。優先順位は、燃焼指示や燃焼停止指示を行うボイラを選択するために用いられる。優先順位は、例えば整数値を用いて、数値が小さいほど優先順位が高くなるよう設定することができる。図2に示すように、ボイラ20の1号機〜3号機のそれぞれに「1」〜「3」の優先順位が割り当てられている場合、1号機の優先順位が最も高く、3号機の優先順位が最も低い。この優先順位は、後述の制御部4の制御により、所定の時間間隔(例えば、24時間間隔)で変更される。
【0038】
本実施形態では、図3Aの左側(圧力下降時制御圧力帯域)に示すように、最上位の圧力帯域aから最下位の圧力帯域gに向けて蒸気圧が低下していく場合、通常、最も優先順位が高いボイラ(ここでは1号ボイラ)が燃焼停止状態(−)から低燃焼状態(L)に変更された後に、次に順位が高いボイラ(ここでは2号ボイラ)が燃焼停止状態(−)から低燃焼状態(L)に変更される。そして、全てのボイラ20が低燃焼状態(L)に変更された後に、最も優先順位が高いボイラ20(ここでは1号ボイラ)が低燃焼状態(L)から高燃焼状態(H)に変更される。
【0039】
逆に図3Aの右側(第1制御圧力帯域)に示すように、最下位の圧力帯域gから最上位の圧力帯域aに向けて蒸気圧が上昇していく場合、通常、最も優先順位が低いボイラ(ここでは3号ボイラ)が高燃焼状態(H)から低燃焼状態(L)に変更された後に、次に順位が高いボイラ(ここでは2号ボイラ)が高燃焼状態(H)から低燃焼状態(L)に変更される。そして、全てのボイラ20が低燃焼状態(L)に変更された後に、最も優先順位が低いボイラ20(ここでは3号ボイラ)が低燃焼状態(L)から燃焼停止状態(−)に変更される。
【0040】
段階値制御ボイラ20の燃焼又はその停止は、仮想ボイラ単位で扱うことができる。仮想ボイラとは、ボイラにおける燃焼位置(燃焼量)の違い(低燃焼位置、高燃焼位置)をそれぞれ独立したボイラとみなし、それぞれの燃焼位置における蒸気量とその1段階下位の燃焼位置における蒸気量との差分蒸気量をボイラに仮想したものである。
例えば、図2に示すように、3位置制御ボイラは、低燃焼量ボイラ、(高燃焼量−低燃焼量)ボイラの2台の仮想ボイラからなるとすることができる。例えば、3位置制御ボイラを低燃焼位置で燃焼させる場合、低燃焼量ボイラに対して燃焼指示を行い、他方、(高燃焼量−低燃焼量)ボイラに対しては燃焼停止指示を行っていると制御上扱うことができる。
【0041】
そうすると、ボイラ群2の制御対象となる複数の段階値制御ボイラ20の燃焼位置の燃焼順序である燃焼優先順位は、制御対象となる段階値制御ボイラ20を、低燃焼量ボイラ、(高燃焼量−低燃焼量)ボイラの2台の仮想ボイラからなるとした場合に、制御対象となる複数の段階値制御ボイラ20を構成する複数の仮想ボイラの燃焼指示や燃焼停止指示を行う際の優先順位(以下、「仮想ボイラ優先順位」という)と同等のものであるということができる。
【0042】
次に、台数制御装置3の構成について詳細に説明する。台数制御装置3は、図1に示すように、制御手段としての制御部4と、記憶部5と、を備える。
【0043】
制御部4は、ボイラ群2の比例分配制御による燃焼制御を行うが、ヘッダ圧力値の下降時のボイラ群2の燃焼量増加のタイミングを判断するための複数の圧力帯域に区分された圧力下降時制御圧力帯域、並びにヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングを判断するための複数の圧力帯域に区分された第1制御圧力帯域、第2制御圧力帯域、及び第3制御圧力帯域に基づいて、各ボイラ20の燃焼状態(燃焼位置)を制御する。
制御部4の詳細については、後述する。
なお第1制御圧力帯域、第2制御圧力帯域、及び第3制御圧力帯域については、記憶部5の説明と一緒に行う。
【0044】
記憶部5の構成を図5に示す。図4に示すように、記憶部5は、第1制御圧力帯域記憶部51と、第2制御圧力帯域記憶部52と、第3制御圧力帯域記憶部53と、を含む。
第1制御圧力帯域記憶部51、第2制御圧力帯域記憶部52、及び第3制御圧力帯域記憶部53は、それぞれヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングを判断するための複数の圧力帯域に区分された第1制御圧力帯域、第2制御圧力帯域、及び第2制御圧力帯域を記憶する。
【0045】
前述したとおり、第1制御圧力帯域は、通常時に用いる制御圧力帯域である。
【0046】
第2制御圧力帯域は、図3Bに示すように、第1制御圧力帯域の各圧力帯域を下方にずらして、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングを第1制御圧力帯域の各圧力帯域より所定圧力分下げた、制御圧力帯域である。
こうすることで、第2制御圧力帯域は、ディファレンシャルがなくなるように構成されたが、ディファレンシャルが小さくなるように第2制御圧力帯域を定めるようにしてもよい。なお、第2制御圧力帯域の上限値は、第1制御圧力帯域の上限値と等しいことが好ましい。
【0047】
第3制御圧力帯域は、図3Cに示すように、第2制御圧力帯域の各圧力帯域をさらに下方にずらして、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングを第2制御圧力帯域の各圧力帯域より所定圧力分下げた、制御圧力帯域である。なお、第3制御圧力帯域の上限値は、第1制御圧力帯域の上限値と等しいことが好ましい。
【0048】
図3Cに記載のとおり、第3制御圧力帯域は、第2制御圧力帯域の各圧力帯域をさらに下方にずらして、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングを第2制御圧力帯域の各圧力帯域より所定圧力分下げている。
こうすることで、第3制御圧力帯域は、圧力下降時制御圧力帯域と、ディファレンシャルが逆転するように構成される。
【0049】
このほか、記憶部5は、後述する第1圧力値、台数制御装置3(制御部4)の制御により各段階値制御ボイラ20に対して行われた指示の内容、各段階値制御ボイラ20から受信した燃焼位置等の情報の設定情報、優先順位の変更(ローテーション)に関する設定の情報を記憶する。
【0050】
次に、制御部4の構成について詳細に説明する。
第1実施形態では、制御部4は、ヘッダ圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた場合に、圧力上昇時の燃焼量減少判断用の第1制御圧力帯域に換えて、第2制御圧力帯域又は第3制御圧力帯域に基づいて、通常時よりも早いタイミングで燃焼量を削減するように構成される。
【0051】
このような制御を実現するため、図5に示すように、制御部4は、第1制御部41と、第2制御部42と、第3制御部43と、必要蒸気量算出部44と、第1検出部45と、第2検出部46と、制御切換部47と、を含んで構成される。
【0052】
<第1制御部41>
第1制御部41は、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングを第1制御圧力帯域に基づいて制御する。なお、前述したように、第1制御圧力帯域は、従来の比例分配制御で用いられるものであって、圧力下降時制御圧力帯域よりもディファレンシャル分だけずらしている。
【0053】
すなわち、図3Aを参照すると、ヘッダ圧力値が上昇時には、2つの圧力帯域(f、g)にまたがって、1号機〜3号機の全台が高燃焼位置(H)に位置、最大燃焼状態のまま推移することになる。
そして、ヘッダ圧力値が圧力帯域fの上限値(すなわち圧力帯域eの下限値)に達すると、始めて3号機が低燃焼位置(L)に位置することで、ボイラ群2の燃焼量を減少させる。
このように、第1制御部41による制御は、ヘッダ圧力が下降から上昇に転じた場合であっても、ボイラ群2は、2つの圧力帯域(f、g)にまたがって、最大燃焼状態のまま推移する。
【0054】
<第2制御部42>
これに対して、第2制御部42は、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングを早める。
すなわち、図3Bを参照すると、ヘッダ圧力値が上昇時には、圧力帯域(g)においてのみ、1号機〜3号機の全台が高燃焼位置(H)に位置する。
そして、ヘッダ圧力値が圧力帯域gの上限値(すなわち圧力帯域fの下限値)に達すると、3号機を低燃焼位置(L)に位置させることで、ボイラ群2の燃焼量を減少させる。
その後、圧力帯域毎に、第1制御部41による制御よりも早いタイミングで燃焼量を減少させる。
このように、第2制御部42による制御は、ヘッダ圧力が下降から上昇に転じた場合、ボイラ群2は、圧力帯域fにおいてのみ、最大燃焼状態である。
その後、第1制御部41による制御よりも早いタイミングで、出力蒸気量を減少させることができる。
【0055】
<第3制御部43>
これに対して、第3制御部43は、ボイラ群2の燃焼量減少のタイミングを第2制御部42による燃焼量減少のタイミングよりも、さらに早めるものである。
すなわち、図3Cを参照すると、第3制御圧力帯域は、圧力下降時制御圧力帯域と、ディファレンシャルが逆転するように構成される。
ヘッダ圧力値が上昇時には、圧力帯域(g1)においてのみ、1号機〜3号機の全台が高燃焼位置(H)に位置し、ヘッダ圧力値がg1の上限値(f1の下限値)に達すると、3号機が低燃焼位置(L)に位置することで、ボイラ群2の燃焼量を減少させる。
その後、圧力帯域毎に、燃焼量を減少させる。
なお、g1の上限値(f1の下限値)は、圧力帯域gの範囲内に位置することから、第2制御部42よりもより早く、燃焼量を減少させることができる。
このように、第3制御部43による制御は、ヘッダ圧力が下降から上昇に転じた場合、第1制御部41による燃焼量減少のタイミング及び第2制御部42による燃焼量減少のタイミングと比べて、圧力上昇時に、より早いタイミングで、燃焼量を減少させることができる。
【0056】
<必要蒸気量算出部44>
必要蒸気量算出部44は、制御周期毎に、ヘッダ圧力値と設定圧力範囲の上限圧力値との差分である圧力偏差に基づいて、比例分配制御方式により、必要蒸気量MVを算出する。
具体的には、必要蒸気量算出部44は、制御周期毎に、ボイラ群2を構成するボイラ20それぞれに予め設定された最大燃焼状態(高燃焼位置)における蒸気量(最大出力蒸気量)の合計値に対して、ヘッダ圧力値の圧力偏差(設定圧力範囲の上限圧力値とヘッダ圧力値との差分)を制御幅で除算した比率を乗算することで、必要蒸気量MVを算出する。
【0057】
次に、ハンチングが発生する可能性のある状態の類型を説明するとともに、ハンチングが発生する可能性のある状態を検出する第1検出部45及び第2検出部46について説明する。
【0058】
<第1検出部45>
第1検出部45は、ハンチングが発生する可能性のある、ヘッダ圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた変動状態(以下、「第1状態」という)を検出する。
ハンチングの発生する1つの要因としては、蒸気負荷が低いときに、わずかな圧力変化に対して必要以上に操作量が過剰に算出されることが挙げられる。
具体的には、低負荷時において、例えば、全台待機からのヘッダ圧力値低下の際、必要以上のボイラに対し燃焼指示を出してしまい、その後、一部ボイラが燃焼を開始し、ヘッダ圧力値が上昇に転じた後も、燃焼量を増やしすぎるため、圧力変動が急激に上下動し、ハンチングが発生すると考えられる。
第1実施形態においては、ハンチングが発生する可能性のある、ヘッダ圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた変動状態(第1状態)を検出することで、ボイラ群2の燃焼量を減少させ、ヘッダ圧力値が制御上限圧力値を超えて、全缶停止及びハンチングを起こすことを未然に防止することを可能にする。
次に、第1状態の類型について説明する。
【0059】
[第1状態の類型(1)]
ヘッダ圧力値が、オーバーシュートしたこと(例えば、設定圧力範囲の上限圧力値以上となること)に起因してヘッダ圧力値が下降する状態、又はヘッダ圧力値が下降してアンダーシュートすること(例えば、設定圧力範囲の下限圧力値以下となること)によりヘッダ圧力値が下降する状態が発生し、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じる変動状態を第1状態の一種としてとらえる。
この場合、ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた以降も、仮に燃焼量を増やしすぎた場合、ハンチングを起こす可能性があると考えられる。
第1検出部45は、ヘッダ圧力値がオーバーシュートしたことに起因するヘッダ圧力値の下降、又はヘッダ圧力値が下降してアンダーシュートすることによるヘッダ圧力値の下降を、ヘッダ圧力値に所定の条件を満たす下降が発生したととらえ、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じる変動状態(第1状態)を検出するように構成される。
【0060】
[第1状態の類型(2)]
ヘッダ圧力値が制御上限圧力値を超えることに起因してヘッダ圧力値が下降する状態、又はヘッダ圧力値が制限下限圧力値(通常制御であれば到達しない下限圧力)を下回ることに起因してヘッダ圧力値が下降する状態が発生し、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じる変動状態を第1状態の一種としてとらえることができる。
この場合も、ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた以降も、仮に燃焼量を増やしすぎた場合、ハンチングを起こす可能性があると考えられる。
第1検出部45は、ヘッダ圧力値が制御上限圧力値を超えることに起因するヘッダ圧力値の下降、又はヘッダ圧力値が制限下限圧力値(通常制御であれば到達しない下限圧力)を下回ることに起因するヘッダ圧力値の下降を、ヘッダ圧力値に所定の条件を満たす下降が発生したととらえ、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じる変動状態(第1状態)を検出するように構成される。
【0061】
[第1状態の類型(3)]
ヘッダ圧力値が制御上限圧力値を超えた場合に、全てのボイラ20を全台待機とすることに起因してヘッダ圧力値が下降する状態が発生し、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じる変動状態を第1状態の一種としてとらえることができる。
この場合も、ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた以降も、仮に燃焼量を増やしすぎた場合、ハンチングを起こす可能性があると考えられる。
第1検出部45は、ヘッダ圧力値が制御上限圧力値を超えた場合に、全てのボイラ20を全台待機とすることに起因するヘッダ圧力値の下降を、ヘッダ圧力値に所定の条件を満たす下降が発生したととらえ、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じる変動状態(第1状態)を検出するように構成される。
【0062】
[第1状態の類型(4)]
蒸気の供給を行っている全てのボイラ20の最大出力蒸気量の合計値が、必要蒸気量算出部44により算出される現時点の必要蒸気量MVを下回る状態で、ヘッダ圧力値が減少し、ヘッダ圧力値が所定圧力を下回る場合にハンチング現象が発生する可能性がある。
【0063】
給蒸中の全てのボイラの最大出力蒸気量の合計値が、必要蒸気量算出部44により算出される現時点の必要蒸気量MVを下回る状態について、具体的な例をいくつか説明する。
【0064】
[給蒸中のボイラが外的要因で燃焼停止した場合]
例えば、ボイラ20の最大出力蒸気量を7000kg/h(すなわち、ボイラ20は7tボイラ)、及び必要蒸気量算出部44により算出される現時点の必要蒸気量MVを8t/hと仮定する。
【0065】
例えば、給蒸中のボイラ20が2台あり、そのうち1台が異常停止した場合、給蒸中の全てのボイラの最大出力蒸気量の合計値は、7t/h×1=7t/hとなる。他方、現時点の必要蒸気量MVを8t/hとしたことから、給蒸中の全てのボイラの最大出力蒸気量の合計値7t/hは、必要蒸気量算出部44により算出される現時点の必要蒸気量MV(8t/h)を下回る。この場合、給蒸中の全てのボイラの最大出力蒸気量の合計値(7t/h)は、必要蒸気量算出部44により算出される現時点の必要蒸気量MV(8t/h)を下回る状態に該当する。
このように、給蒸中のボイラ20のうち1台が異常停止した場合に、給蒸中の全てのボイラの最大出力蒸気量の合計値が、必要蒸気量算出部44により算出される現時点の必要蒸気量MVを下回る状態が発生する可能性がある。そして、ヘッダ圧力値が減少することで、所定圧力を下回るとハンチング現象が発生する可能性がある。
【0066】
[想定を上回る急激な負荷増加が発生し、蒸気供給が間に合わない場合]
例えば、給蒸中のボイラ20を2台とし、要求負荷が急激に増加して、必要蒸気量MVが、例えば、15t/hになった場合、給蒸中の全てのボイラの最大出力蒸気量の合計値は、7t/h×2=14t/hとなる。給蒸中の全てのボイラの最大出力蒸気量の合計値14t/hは、必要蒸気量算出部44により算出される現時点の必要蒸気量MV(15t/h)を下回る状態に該当する。
このように、想定を上回る急激な負荷増加が発生した場合に、給蒸中の全てのボイラ20の最大出力蒸気量の合計値が、必要蒸気量算出部44により算出される現時点の必要蒸気量MVを下回る状態が発生する可能性がある。そして、ヘッダ圧力値が減少することで、所定圧力を下回るとハンチング現象が発生する可能性がある。
【0067】
このように、蒸気の供給を行っている全てのボイラ20の最大出力蒸気量の合計値が、必要蒸気量算出部44により算出される現時点の必要蒸気量MVを下回る状態で、ヘッダ圧力値が所定圧力を下回り、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じる変動状態を第1状態の一種としてとらえる。
この場合、ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた以降も、仮に燃焼量を増やしすぎた場合、ハンチングを起こす可能性があると考えられる。
第1検出部45は、蒸気の供給を行っている全てのボイラ20の最大出力蒸気量の合計値が、必要蒸気量算出部44により算出される現時点の必要蒸気量MVを下回る状態で、ヘッダ圧力値が所定圧力を下回ることに起因するヘッダ圧力値の下降を、ヘッダ圧力値に所定の条件を満たす下降が発生したととらえ、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じる変動状態(第1状態)を検出するように構成される。
【0068】
以上のように、第1検出部45は、前述した第1状態を検出するように構成される。
次に、第2検出部46について説明する。
【0069】
<第2検出部46>
第2検出部46は、第1検出部45により第1状態が検出された場合、さらに、ヘッダ圧力値の下降の時間に対する勾配値が予め設定された所定の勾配値よりも大きい値となるか、又はヘッダ圧力値の下降値が予め設定した所定の下降値よりも小さい値となることを検出する(以下、検出された状態を「第2状態」ともいう)。
第2状態は、第1検出部45により検出された第1状態よりもさらに、激しいハンチング発生(全台待機)の可能性があるケースということができる。
【0070】
<制御切換部47>
制御切換部47は、第1検出部45により第1状態が検出された場合、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を第1制御部41による制御から第2制御部42による制御に切り換える。
こうすることで、図3Bに示すように、ヘッダ圧力値が圧力帯域gの上限値(すなわち圧力帯域fの下限値)に達すると、3号機が低燃焼位置(L)に位置することで、ボイラ群2の燃焼量を減少させ、その後、圧力帯域毎に、燃焼量を減少させるように制御する。
このように、第2制御部42による制御により、第1制御部41による制御より早いタイミングで、出力蒸気量を減少させることができる。
【0071】
また、制御切換部47は、第2検出部46により第2状態が検出された場合、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を第3制御部43による制御に切り換える。
こうすることで、図3Cに示すように、ヘッダ圧力値が圧力帯域g1の上限値(f1の下限値)に達すると、3号機が低燃焼位置(L)に位置することで、ボイラ群2の燃焼量を減少させ、その後、圧力帯域毎に、燃焼量を減少させるように制御される。
ここで、圧力帯域g1の上限値は、圧力帯域gの範囲内に位置することから、第2制御部42による制御よりも早いタイミングで、燃焼量を減少させることができる。
このように、第3制御部43による制御により、第1制御部41による制御及び第2制御部42による制御よりも早いタイミングで、出力蒸気量を減少させることができる。
【0072】
以上のように、第1検出部45により第1状態が検出された場合、制御切換部47により、第1制御部41による制御を第2制御部42による制御に切り換えることで、第1制御部41による制御よりも早いタイミングで、出力蒸気量を減少させることができる。
同様に、第2検出部46により第2状態が検出された場合、制御切換部47により、第1制御部41による制御を第3制御部43による制御に切り換えることで、第2制御部42による制御よりもさらに早いタイミングで、出力蒸気量を減少させることができる。
そうすることで、ボイラシステム1は、圧力変動の急激な上下動を抑制して、ヘッダ圧力値を速やかに設定圧力範囲内の値に収束させ、ハンチング現象を未然に防止し、ハンチング現象が発生した場合には、ハンチング現象を速やかに収束させることができる。
【0073】
なお、圧力変動の急激な上下動を抑制して、ヘッダ圧力値が設定圧力範囲内の値に収束しているときに、仮にヘッダ圧力値が燃焼量増減ラインで前後した場合に、第2制御部42又は第3制御部43による制御のままでは、燃焼状態(燃焼位置)が頻繁に変化する可能性がある。したがって、このような場合、制御切換部47により、通常のディファレンシャルに戻すことが好ましい。
【0074】
すなわち、制御切換部47は、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を第2制御部42又は第3制御部43による制御に切り換えた後、ヘッダ圧力値が設定圧力範囲の上限圧力値に達することなく、下降に転じた場合に、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を第1制御部41による制御に切り換えることとする。
こうすることで、ヘッダ圧力値が設定圧力範囲内の値に収束しているときに、ヘッダ圧力値が燃焼量増減ラインで前後した場合に、燃焼状態(燃焼位置)が頻繁に変化しないようにすることができる。
以上、第1実施形態のボイラシステム1に係る制御部4の機能について説明した。
【0075】
次に、第1実施形態のボイラシステム1の動作について、図6を参照して説明する。図6は、ボイラシステム1の制御の流れを示すフローチャートである。
【0076】
ステップST1において、制御部4は、第1検出フラグデータ及び第2検出フラグデータのリセット等の初期設定をする。また、制御部4は、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングを、第1制御部41により制御するように初期設定する。
なお、第1検出フラグデータ及び第2検出フラグデータは、レジスタ、ビットメモリ等を適宜用い、それぞれ、第1検出部45が第1状態を判定した場合、及び第2検出部46が第2状態を判定した場合に、セットされる。
【0077】
ステップST2において、制御部4は、制御周期毎にヘッダ圧力値が設定圧力範囲に収まるように、ボイラ群2の燃焼状態を制御する。
【0078】
ステップST3において、第1検出フラグデータ又は第2検出フラグがセットされているか否かを判定し、第1検出フラグデータ又は第2検出フラグがセットされている場合(Yes)には、ステップST10に移る。一方、第1検出フラグデータ及び第2検出フラグがセットされていない場合(No)には、ステップST4に移る。
【0079】
ステップST4において、第1検出部45は、第1状態を検出したか否かを判定し、第1状態を検出した場合(Yesの場合)、ステップST5に移る。検出していない場合(Noの場合)、ステップST2に戻る。
【0080】
ステップST5において、第1検出部45は、第1検出フラグデータをセットする。
【0081】
ステップST6において、第2検出部46は、第2状態を検出したか否かを判定し、第2状態を検出した場合(Yesの場合)、ステップST8に移る。検出していない場合(Noの場合)、ステップST7へ移る。
【0082】
ステップST7において、制御切換部47は、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を第1制御部41による制御から第2制御部42による制御に切り換える。その後ステップST2に戻る。
【0083】
ステップST8において、第2検出部46は、第2検出フラグデータをセットする。
【0084】
ステップST9において、制御切換え部47は、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を第3制御部43による制御に切り換える。その後ステップST2に戻る。
【0085】
ステップST10において、制御部4は、ヘッダ圧力値が設定圧力範囲の上限圧力値に達することなく下降に転じたか否かを判定し、ヘッダ圧力値が設定圧力範囲の上限圧力値に達することなく下降に転じた場合(Yesの場合)、ステップST11に進む。そうでない場合(Noの場合)、ステップST2に戻る。
【0086】
ステップST11において、制御部4は、第2検出フラグデータ及び第2検出フラグデータをリセットする。
【0087】
ステップST12において、制御切換部47は、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を第1制御部41による制御に切り換える。その後、ST2に戻る。
【0088】
以上のように、第1実施形態に係る比例分配制御方式を用いるボイラシステム1は、ヘッダ圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じたときに、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を、第1制御部41から第2制御部42による制御に切り換える処理を実行する。
これにより、第1実施形態に係る比例分配制御方式を用いるボイラシステム1は、ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた時点以降で、第1制御部41による制御より早いタイミングで、出力蒸気量を減少させることができ、ボイラシステム1の出力蒸気量は、蒸気消費量(要求負荷)の変動に速やかに追従することができる。その結果、ボイラシステム1は、圧力変動の急激な上下動を抑制して、ヘッダ圧力値を速やかに設定圧力範囲内の値に収束させ、ハンチングの発生を回避することができ、圧力安定性を向上させることができる。
【0089】
また、ヘッダ圧力値がオーバーシュートしたことに起因してヘッダ圧力値が急下降する場合においても、第1実施形態に係るボイラシステム1は、上記と同様の動作を行うことで、同様の効果が得られる。
【0090】
また、ヘッダ圧力値が下降してアンダーシュートする場合においても、第1実施形態に係るボイラシステム1は、上記と同様の動作を行うことで、同様の効果が得られる。
【0091】
また、ヘッダ圧力値が、設定圧力範囲の上限圧力値以上の値である制御上限圧力値を超えること、又はヘッダ圧力値が設定圧力範囲の下限圧力値以下の値である制御下限圧力値を下回る場合においても、第1実施形態に係るボイラシステム1は、上記と同様の動作を行うことで同様の効果が得られる。
【0092】
また、ヘッダ圧力値が制御上限圧力値を超えた場合に、複数のボイラを全台待機とする場合においても、第1実施形態に係るボイラシステム1は、上記と同様の動作を行うことで同様の効果が得られる。
【0093】
第1実施形態に係る比例分配制御方式を用いるボイラシステム1は、例えば、給蒸中のボイラが外的要因で燃焼停止した場合、又は想定を上回る急激な負荷増加が発生し、蒸気供給が間に合わなくなり、給蒸中の全てのボイラ20の最大出力蒸気量の合計値が、必要蒸気量算出部44により算出される現時点の必要蒸気量MVを下回る状態で、ヘッダ圧力値が予め設定された第1圧力値を下回る状態が発生した場合においても、ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じたときに、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を、第1制御部41から第2制御部42による制御に切り換える処理を実行する。
これにより、給蒸中の全てのボイラ20の最大出力蒸気量の合計値が、必要蒸気量算出部44により算出される現時点の必要蒸気量MVを下回る状態で、ヘッダ圧力値が予め設定された第1圧力値を下回る状態が発生した場合においても、第1実施形態に係るボイラシステム1は、上記と同様の動作を行うことで同様の効果が得られる。
【0094】
第1実施形態に係る比例分配制御方式を用いるボイラシステム1は、ヘッダ圧力値に所定の条件を満たす下降が発生し、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じたときであって、ヘッダ圧力値の下降の時間に対する勾配値が予め設定された所定の勾配値よりも大きい値となるか、又はヘッダ圧力値の下降値が予め設定した所定の下降値よりも小さい値となる第2状態を検出した場合、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を、第1制御部41から第3制御部43による制御に切り換える処理を実行する。
これにより、第1実施形態に係る比例分配制御方式を用いるボイラシステム1は、ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた時点以降で、第3制御部43により制御することで、第2制御部42による制御より早いタイミングで、出力蒸気量を早く減少させることができ、ボイラシステム1の出力蒸気量は、蒸気消費量(要求負荷)の変動に速やかに追従することができる。その結果、ボイラシステム1は、圧力変動の急激な上下動を抑制して、ヘッダ圧力値を速やかに設定圧力範囲内の値に収束させ、ハンチングの発生を回避することができ、圧力安定性を向上させることができる。
【0095】
また、制御切換部47は、さらに、制御切換部47により、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を第2制御部42又は第3制御部43による制御に切り換えた後、ヘッダ圧力値が設定圧力範囲の上限圧力値に達することなく、下降に転じた場合に、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を第1制御部41による制御に切り換える処理を実行する。
これにより、ヘッダ圧力値が設定圧力範囲内の値に収束しているときに、仮にヘッダ圧力値が燃焼量増減ラインで前後した場合に、燃焼状態(燃焼位置)が頻繁に変化しないようにすることができる。
【0096】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。後述するように、第2実施形態においては、擬似ハンチングを検出することで、ヘッダ圧力値が制御上限圧力値を超えて、全缶停止及びハンチングを起こすことを未然に防止することを可能にする。
第2実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様な構成については詳細な説明を省略する。第2実施形態において、特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が奏される。
【0097】
<制御部4Aの構成>
制御部4Aの詳細な構成について説明する。図7に示すように、制御部4Aは、第1制御部41Aと、第2制御部42Aと、ハンチング検出部43Aと、制御切換部44Aと、を含んで構成される。
【0098】
第1制御部41Aの機能、及び第2制御部42Aの機能は、それぞれ第1実施形態における第1制御部41Aの機能、及び第2制御部42Aの機能と同じである。
【0099】
<ハンチング検出部43A>
ハンチング検出部43Aは、ハンチング又はハンチングの起因となる可能性のあるヘッダ圧力値の変動である疑似ハンチングを検出する。
擬似ハンチングの発生する1つの要因としては、第1実施形態と同様に、蒸気負荷が低いときに、わずかな圧力変化に対して必要以上に操作量が過剰に算出されることが挙げられる。
具体的には、低負荷時において、例えば、全台待機からのヘッダ圧力値低下の際、必要以上のボイラに対し燃焼指示を出してしまい、その後、一部ボイラが燃焼を開始し、ヘッダ圧力値が上昇に転じた後も、燃焼量を増やしすぎるため、圧力変動が急激に上下動し、擬似ハンチング(又はハンチング)が発生すると考えられる。
疑似ハンチング現象が発生すると、ヘッダ圧力値が制御上限圧力値を超えて、全缶停止及びハンチングを起こす可能性がある。
第2実施形態においては、このような擬似ハンチングを検出することで、ヘッダ圧力値が制御上限圧力値を超えて、全缶停止及びハンチングを起こすことを未然に防止することを可能にする。
次に、疑似ハンチングの類型について説明する。
【0100】
[第1の擬似ハンチング]
ヘッダ圧力値が、制御部4Aにより複数のボイラ20が全缶停止される閾値として予め設定された制御上限圧力値と設定圧力範囲の上限圧力値との間に第2制御上限圧力値を予め設定する。
制御上限圧力値 > 第2制御上限圧力値 >上限圧力値
【0101】
第2実施形態においては、ヘッダ圧力値が制御上限圧力値を超えないが、第2制御上限圧力値以上となるような変動を第1の時間(例えば、60秒)以内に第1の回数(例えば、4回)以上繰り返す変動を擬似ハンチングの一種としてとらえる(以下、「第1の擬似ハンチング」ともいう)。
なお、第1の時間及び第1の回数については、ボイラシステム1の特性に合わせて、適宜設定することができる。
例えば、第1の回数を「1」に設定した場合、ハンチング検出部43Aは、ヘッダ圧力値が制御上限圧力値を超えないが、第2制御上限圧力値以上となるような変動が発生したか否かを検出する。
【0102】
[第2の擬似ハンチング]
ヘッダ圧力値が、設定圧力範囲の下限圧力値との偏差の絶対値が第1閾値以下となるように予め設定された第2制御下限圧力値を下回る又は第2制御下限圧力値以下となる回数が、第2の時間の間に、第2の回数以上発生する変動を擬似ハンチングの一種としてとらえる(以下、「第2の擬似ハンチング」ともいう)。
なお、第2の時間及び第2の回数については、ボイラシステム1の特性に合わせて、適宜設定することができる。
この場合、第2の回数を「1」に設定した場合、ハンチング検出部43Aは、ヘッダ圧力値が、第2制御帯下限値を下回る又は第2制御帯下限値以下となることが発生したか否かを検出する。
【0103】
[第3の疑似ハンチング]
ヘッダ圧力値が降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超える又は圧力降下幅値以上となる回数が、第3の時間(例えば、60秒)の間に、第3の回数(例えば、4回)以上発生するような、ヘッダ圧力値が目標蒸気圧の上下に急激に変動する場合を擬似ハンチングの一種としてとらえる(以下、「第3の擬似ハンチング」という)。
なお、第3の時間及び第3の回数については、ボイラシステム1の特性に合わせて、適宜設定することができる。
例えば、第3の回数を「1」に設定した場合、ハンチング検出部43Aは、ヘッダ圧力値PVが降下する際の圧力降下幅が予め設定された圧力降下幅値を超える又は圧力降下幅値以上となる状態(第3の疑似ハンチング状態)が発生し、第3の時間の間に、1回以上発生する変動を第3の擬似ハンチング状態として検出する。
【0104】
<制御切換部44A>
制御切換部44Aは、ハンチング検出部43Aによりハンチング又は疑似ハンチングが検出され、その後ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた場合、ヘッダ圧力値の上昇時におけるボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を、第1制御部41Aから第2制御部42Aによる制御に切り換える。
そうすることで、図3Bに示すように、第1実施形態と同様に、例えばヘッダ圧力値が圧力帯域gの上限値(すなわち圧力帯域fの下限値)に達すると、3号機が低燃焼位置(L)に位置することで、ボイラ群2の燃焼量を減少させ、その後、圧力帯域毎に、第1制御部41による制御より早いタイミングで、燃焼量を減少させるように制御される。
このように、第2制御部42Aによる制御により、第1制御部41による制御より早いタイミングで、出力蒸気量を減少させることができる。
その結果、ボイラシステム1は、圧力変動の急激な上下動を抑制して、擬似ハンチング段階においてヘッダ圧力値を速やかに設定圧力範囲内の値に収束させ、ハンチングの発生を回避することができる。
【0105】
なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、制御切換部44Aは、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を第2制御部42Aによる制御に切り換えた後、ヘッダ圧力値が設定圧力範囲の上限圧力値に達することなく、下降に転じた場合に、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を第1制御部41Aによる制御に切り換えることが好ましい。
【0106】
次に、第2実施形態のボイラシステム1の動作について、図8を参照して説明する。図8は、第2実施形態に係るボイラシステム1の制御の流れを示すフローチャートである。
【0107】
ステップST21において、制御部4は、疑似ハンチングフラグデータのリセット等の初期設定をする。また、制御部4は、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングを、第1制御部41により制御するように、初期設定する。
なお、疑似ハンチングフラグデータは、レジスタ、ビットメモリ等を適宜用い、それぞれ、ハンチング検出部43Aがハンチング又は疑似ハンチングを判定した場合に、セットされる。
【0108】
ステップST22において、制御部4は、制御周期毎にヘッダ圧力値が設定圧力範囲に収まるように、ボイラ群2の燃焼状態を制御する。
【0109】
ステップST23において、疑似ハンチングフラグデータがセットされているか否かを判定し、疑似ハンチングフラグデータがセットされている場合(Yes)には、ステップST27に移る。一方、疑似ハンチングフラグデータがセットされていない場合(No)には、ステップST24に移る。
【0110】
ステップST24において、ハンチング検出部43Aは、ハンチング又は疑似ハンチングを検出したか否かを判定し、ハンチング又は疑似ハンチングを検出した場合(Yesの場合)、ステップST25に移る。検出していない場合(Noの場合)、ステップST22に戻る。
【0111】
ステップST25において、ハンチング検出部43Aは、疑似ハンチングフラグデータをセットする。
【0112】
ステップST26において、制御切換部44Aは、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を第2制御部42による制御に切り換える。その後ステップST22に戻る。
【0113】
ステップST27において、制御部4は、ヘッダ圧力値が設定圧力範囲の上限圧力値に達することなく下降に転じたか否かを判定し、ヘッダ圧力値が設定圧力範囲の上限圧力値に達することなく下降に転じた場合(Yesの場合)、ステップST28に進む。そうでない場合(Noの場合)、ステップST22に戻る。
【0114】
ステップST28において、制御部4は、疑似ハンチングフラグデータをリセットする。
【0115】
ステップST29において、制御切換部44Aは、ヘッダ圧力値の上昇時のボイラ群2の燃焼量減少のタイミングの制御を第1制御部41による制御に切り換える。その後、ST22に戻る。
【0116】
上述した第2実施形態に係る比例分配制御方式を用いるボイラシステム1においては、ハンチング検出部43Aにより、それぞれ第1の擬似ハンチング、第2の擬似ハンチング、又は第3の擬似ハンチングを検出した場合、ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じたときに、ヘッダ圧力値の上昇時の前記ボイラ群の燃焼量減少のタイミングの制御を、第1制御部41Aから第2制御部42Aによる制御に切り換える処理を実行する。
これにより、第2実施形態に係る比例分配制御方式を用いるボイラシステム1は、ヘッダ圧力値が下降から上昇に転じた時点以降で、第1制御部41Aによる制御より早いタイミングで、出力蒸気量を減少させることができ、ボイラシステム1の出力蒸気量は、蒸気消費量(要求負荷)の変動に速やかに追従することができる。その結果、ボイラシステム1は、圧力変動の急激な上下動を抑制して、ヘッダ圧力値を速やかに設定圧力範囲内の値に収束させ、ハンチングの発生を回避することができ、圧力安定性を向上させることができる。
【0117】
以上、本発明のボイラシステム1の好ましい一実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0118】
本実施形態では、ボイラ群2は3台の段階値制御ボイラ20を含むとしたが、これに限定されない。段階値制御ボイラ20の台数は、適宜設定することができる。
【0119】
本実施形態では、段階値制御ボイラ20を、3台ともに3位置制御のボイラとしたが、これに限定されない。すなわち、本発明の段階値制御ボイラ20を、3位置制御以外に、中燃焼位置を有する4位置制御以上のボイラ、又は2位置制御の段階値制御ボイラとしてもよい。
また、各段階値制御ボイラ20のボイラ容量、燃焼位置の段階数、及び各燃焼位置における燃焼率等が、各段階値制御ボイラ20のそれぞれで異なることとしてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 ボイラシステム
2 ボイラ群
20 段階値制御ボイラ
3 台数制御装置
4 制御部
41 第1制御部
42 第2制御部
43 第3制御部
44 必要蒸気量算出部
45 第1検出部
46 第2検出部
47 制御切換部
5 記憶部
51 第1制御圧力帯域記憶部
52 第2制御圧力帯域記憶部
53 第3制御圧力帯域記憶部
54 優先順位記憶部
4A 制御部
41A 第1制御部
42A 第2制御部
43A ハンチング検出部
44A 制御切換部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8