(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記混練部は、互いに平行に配置された二本の前記軸部にそれぞれ支持された送り体によって前記活物質及び前記バインダを一方向に送りながら、前記二本の前記軸部にそれぞれ支持された撹拌体によって前記活物質及び前記バインダを撹拌する二軸押出混練機である、請求項1記載の混練システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記混練機により製造される電極用合剤は、固練り時の活物質とバインダとの配合割合を一定にすることにより、品質を一定に維持することが求められている。
【0006】
そこで、本発明は、混練機により製造される電極用合剤における固練り時の活物質とバインダとの配合割合を一定に維持することができる、混練システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の混練システムは、活物質の投入量を調整可能な活物質投入部と、バインダの投入量を調整可能なバインダ投入部と、活物質投入部から投入される活物質及びバインダ投入部から投入されるバインダを混合すると共に、撹拌体が固定された軸部を回転することにより活物質とバインダとを固練りする混練部と、軸部を回転させる駆動部と、駆動部にかかる負荷を検出する検出部と、検出部により検出される負荷がピーク値となる第一目標値と前記第一目標値よりも低い第二目標値との間の所定値又は所定範囲となるように、活物質投入部における投入量及び/又はバインダ投入部における投入量を制御する制御部と、を備える。
【0008】
この混練システムでは、活物質とバインダとを固練りする場合、「バインダと活物質との配合割合」が所定値になったとき「負荷」がピーク値になるという現象に基づいて、活物質投入部における投入量及びバインダ投入部における投入量の少なくとも一方が制御されている。言い換えれば、上記「負荷」がピーク値となるように、活物質とバインダとの配合割合を調整すれば、活物質とバインダとの配合割合は一定となる。この混練システムでは、予め活物質とバインダとの配合比が分かっていない場合であっても、上記負荷がピーク値(粘度がピーク値)となる第一目標値と前記第一目標値よりも低い第二目標値との間の所定値又は所定範囲となるように活物質投入部における投入量及びバインダ投入部における投入量の少なくとも一方が調整されるので、バインダと活物質との配合割合を一定又は一定の範囲にすることができる。この結果、混練機により製造される電極用合剤における活物質とバインダとの配合割合を一定又は一定の範囲に維持することができる。
【0009】
本発明の混練システムでは、混練部は、互いに平行に配置された二本の軸部にそれぞれ支持された送り体によって活物質及びバインダを一方向に送りながら、二本の軸部にそれぞれ支持された撹拌体によって活物質及びバインダを撹拌する二軸押出混練機であってもよい。
【0010】
この構成の混練システムによれば、二軸押出混練機を用いて活物質及びバインダを混練して電極用合剤を製造する場合であっても、活物質とバインダとの配合割合を一定に維持することができる。
【0011】
本発明の混練システムでは、駆動部にかかる負荷は、駆動部に供給される電流値又は電力値として検出されてもよい。
【0012】
この構成の混練システムによれば、駆動部にかかる負荷を容易に取得することができる。
【0013】
本発明の混練システムでは、制御部は、判定制御部と、調製制御部と、を有しており、判定制御部は、検出部による負荷が
所定範囲外になったときに、混練部に投入される活物質のバインダに対する投入量の割合を徐々に又は段階的に減らしていく第1制御、又は混練部に投入される活物質のバインダに対する投入量の割合を徐々に又は段階的に増やしていく第2制御をするように、活物質投入部及び/又はバインダ投入部を制御し、調製制御部は、第1制御が実行された際に負荷が減少したときは、第2制御を開始し、負荷が減少に転じるまで第2制御を継続し、負荷が減少しなかったときは、第1制御を開始し、負荷が減少に転じるまで第1制御を継続する、第1調製を実行するように活物質投入部及び/又はバインダ投入部を制御し、第2制御が実行された際に負荷が増大しなかったときは、第1制御を開始し、負荷が減少に転じるまで第1制御を継続し、負荷が増大したときは、第2制御を開始し、負荷が減少に転じるまで第2制御を継続する、第2調製を実行するように活物質投入部及び/又はバインダ投入部を制御してもよい。
【0014】
この構成の混練システムによれば、上記負荷のピーク値を記憶等しておかなくても、判定制御部による制御によって、駆動部にかかる負荷が上述の所定値又は所定範囲となるような制御内容(活物質及び/又はバインダの投入量の調整内容)が決定される。そして、調製制御部が、上記負荷が上述の所定値又は所定範囲になるまで、判定制御部によって決定された制御内容を継続する。これにより、上記負荷(粘度)が上述の所定値又は所定範囲となるように活物質投入部における投入量及びバインダ投入部における投入量の少なくとも一方が調整されるので、バインダと活物質との配合割合を一定又は一定の範囲にすることができる。
【0015】
本発明の混練システムでは、判定制御部は、バインダ投入部を制御することにより第1制御を実行し、調製制御部は、バインダ投入部を制御することにより第1調製を実行してもよい。
【0016】
原料供給量の微調整は、フィーダ等で供給される
粉体よりも、ポンプ等で供給される液体の方が容易かつ精度良く行える。この構成の混練システムによれば、ポンプ等で供給されるバインダの供給制御が行われるため、第1調製を容易かつ精度良く行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、混練機により製造される電極用合剤における活物質とバインダとの配合割合を一定に維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0020】
二次電池であるリチウムイオン電池の正極用合剤(電極用合剤)の製造を例として混練システム1を説明する。正極用合剤の原材料は、例えば、リチウム・マンガン複合酸化物、リチウム・コバルト複合酸化物、リチウム・ニッケル複合酸化物等の、リチウムと遷移金属との金属複合酸化物からなる正極活物質と、アセチレンブラック等の導電剤と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のバインダと、N−メチルピロリドン(NMP)等の溶媒とを含んでいる。また、必要に応じて増粘剤等が含まれていてもよい。なお、正極用合剤の原材料は、上述した物質に限定されるわけではなく、適宜変更してもよい。
【0021】
図1に示されるように、混練システム1は、二軸押出混練機10と、検出器(検出部)15と、活物質投入部41と、バインダ投入部43と、溶媒投入部45と、制御部60と、を備えている。
【0022】
二軸押出混練機10は、互いに平行に配置された一対の軸部13(もう1本の軸部13は、
図1の紙面奥側に配置されている。)と、ケース3と、駆動部11と、第1供給部5Aと、第2供給部5Bと、排出部7と、を有している。
【0023】
ケース3は、一対の軸部13を回転可能に支持する。駆動部11は、一対の軸部13を駆動する。第1供給部5Aは、活物質投入部41及びバインダ投入部43の下方に配置されており、活物質投入部41から投入される活物質及びバインダ投入部43から投入されるバインダをケース3の内部に供給する。第2供給部5Bは、溶媒投入部45の下方に配置されており、溶媒投入部45から投入される溶媒をケース3の内部に供給する。排出部7は、ケース3の内部において製造された電極用合剤をケース3の外部に排出する。
【0024】
互いに平行に配置された二本の軸部13には、第一送りスクリュー(送り体)21と、第一撹拌体23と、第二送りスクリュー25と、第二撹拌体27と、がそれぞれ支持されている。第一送りスクリュー21は、第1供給部5Aから供給される活物質及びバインダを矢印D方向に搬送する。第一撹拌体23は、第1供給部5Aから供給された活物質及びバインダを矢印D方向に搬送しながら撹拌する。言い換えれば、活物質及びバインダは、第一撹拌体23によって流動されると共にせん断力が加えられることにより分散され、所望の混練状態の混練物とされる。
【0025】
第二送りスクリュー25は、第一撹拌体23から供給される活物質及びバインダと、第2供給部5Bから供給される溶媒とを矢印D方向に搬送する。第二撹拌体27は、第一撹拌体23から供給される活物質及びバインダと、第2供給部5Bから供給された溶媒とを矢印D方向に搬送しながら撹拌する。言い換えれば、活物質、バインダ及び溶媒は、第二撹拌体27によって流動されると共に、活物質及びバインダは、溶媒によって希釈され、スラリー状の電極用合剤として、排出部7から排出される。
【0026】
検出器15は、二軸押出混練機10の駆動部11にかかる負荷を検出する。本実施形態では、検出器15は、駆動部11に供給される電流値を検出する。なお、駆動部11にかかる負荷は、駆動部11によって消費される電力であり電流値に比例する。
【0027】
活物質投入部41は、第1供給部5Aを介してケース3の内部に活物質を投入する。活物質投入部41は、例えば、フィーダである。活物質の投入量の調整は、制御部60がフィーダを駆動させるモータの回転を制御することによって行われる。
【0028】
バインダ投入部43は、第1供給部5Aを介してケース3の内部にバインダを投入する。バインダ投入部43は、例えばポンプである。バインダの投入量の調整は、制御部60が、ポンプを駆動させるモータの周波数を制御することによって行われる。
【0029】
溶媒投入部45は、第2供給部5Bを介してケース3の内部に溶媒を投入する。溶媒投入部45は、例えばポンプである。溶媒の投入量の調整は、制御部60が、ポンプを駆動させるモータの周波数を制御することによって行われる。
【0030】
制御部60は、混練システム1における各種制御処理を実行する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read OnlyMemory)及びRAM(Random Access Memory)などからなる電子制御ユニットである。
図2に示されるように、制御部60は、混練システム1における各種制御処理を実行する概念的な部分としての情報取得部61と、判定制御部63と、調製制御部65と、を有している。このような概念的な部分は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行される。
【0031】
情報取得部61は、検出器15から駆動部11に供給されている電流値を取得する。情報取得部61は、検出器15から送出されてくる電流値を取得するようにしてもよいし、検出器15に対し、当該電流値を送出するように命令を出してもよい。
【0032】
判定制御部63は、情報取得部61により取得される電流値が規定範囲
(負荷が所定範囲)外になったときに、一時的に、二軸押出混練機10に投入される活物質のバインダに対する投入量の割合を徐々に(又は段階的に)減らしていく制御、言い換えれば、一時的に、電極用合剤における活物質の割合を徐々に(又は段階的に)減らしていく制御(第1制御)をするように、バインダ投入部43を制御する。具体的には、判定制御部63は、単位時間当たりのバインダの供給量が徐々に(又は段階的に)増えていくように、バインダ投入部43を制御する。
【0033】
調製制御部65は、判定制御部63によるバインダ投入部43の制御が実行された際に上記電流値が低下したときは、二軸押出混練機10に投入される活物質のバインダに対する投入量の割合を徐々に(又は段階的に)増やしていく制御、言い換えれば、電極用合剤における活物質の割合を徐々に(又は段階的に)増やしていく制御(第2制御)を実行する。具体的には、調製制御部65は、現在の単位時間当たりのバインダの供給量を徐々に(又は段階的に)減らしていくように、バインダ投入部43を制御する。調製制御部65は、上記電流値が低下に転じるまで当該第2制御の実行を継続する。
【0034】
調製制御部65は、判定制御部63によるバインダ投入部43の制御が実行された際に上記電流値が低下しなかったときは、二軸押出混練機10に投入される活物質のバインダに対する投入量の割合を徐々に(又は段階的に)減らしていく制御、言い換えれば、電極用合剤における活物質の割合を徐々に(又は段階的に)減らしていく制御(第1制御)を実行する。具体的には、調製制御部65は、現在の単位時間当たりのバインダの供給量を徐々に(又は段階的に)増やしていくように、バインダ投入部43を制御する。調製制御部65は、上記電流値が低下に転じるまで当該第1制御の実行を継続する。
【0035】
制御部60は、上記制御の他、溶媒投入部45における単位時間当たりの溶媒の供給量を調整する。例えば、排出部7から排出されるスラリー状の電極用合剤の粘度に基づいて、溶媒投入部45における単位時間当たりの溶媒の供給量を調整してもよい。
【0036】
次に、上記実施形態の混練システム1における混練制御(第1調製)について、主に
図3を用いて説明する。まず、調製制御部65は、前回定常混練時におけるバインダの投入量(以後、「初期設定値V0」とも称する。)を設定する(ステップS1)。具体的には、設備が起動した際に、バインダ投入部43から投入される単位時間当たりのバインダの投入量が、初期設定値V0となるような設定がなされる。なお、活物質の単位時間当たりの投入量は投入量B0で一定である。
【0037】
ステップS1による設定がなされた状態で設備を起動させる。すなわち、
図1に示される二軸押出混練機10による活物質とバインダとの固練りが開始される(ステップS2)。判定制御部63は、情報取得部61により取得される電流値が規定範囲内にあることを監視する(ステップS3:NO)。ここで、情報取得部61により取得される電流値が規定範囲から外れた場合には(ステップS3:YES)、判定制御部63は、バインダ投入部43を制御してバインダの単位時間当たりの投入量を一時的に増やしていくように制御(第1制御)する(ステップS4)。
【0038】
調製制御部65は、ステップS4によるバインダ量の増量によって、情報取得部61により取得される電流値が低下するか否かを監視する(ステップS5)。ここで、電流値が低下した場合には(ステップS5:YES)、調製制御部65は、バインダ投入部43を制御してバインダの単位時間当たりの投入量を徐々に(又は段階的に)減量していくように制御(第2制御)する(ステップS6)。そして、調製制御部65は、情報取得部61により取得される電流値が低下に転じるまで、バインダの単位時間当たりの投入量を徐々に(又は段階的に)減量していく(ステップS7:NO)。
【0039】
情報取得部61により取得される電流値が低下に転じると(ステップS7:YES)、調製制御部65は、電流値が低下に転じた(ピーク値に到達した)際にバインダ投入部43が二軸押出混練機10に供給している単位時間当たりのバインダの投入量V1(<V0)をもって、定常混練時におけるバインダの投入量V1(再設定値V1)として設定する(ステップS10)。
【0040】
また、ステップS5において電流値が低下しなかった場合には(ステップS5:NO)、調製制御部65は、バインダ投入部43を制御してバインダの単位時間当たりの投入量を徐々に(又は段階的に)増量していくように制御(第1制御)する(ステップS8)。そして、調製制御部65は、情報取得部61により取得される電流値が低下に転じるまでバインダの単位時間当たりの投入量を徐々に(又は段階的に)増量していく(ステップS9:NO)。
【0041】
情報取得部61により取得される電流値が低下に転じると(ステップS9:YES)、調製制御部65は、電流値が低下に転じた(ピーク値に到達した)際にバインダ投入部43が二軸押出混練機10に供給している単位時間当たりのバインダの投入量V2(>V0)をもって、定常混練時におけるバインダの投入量V2(再設定値V2)として設定する(ステップS10)。
【0042】
このようにステップS1〜ステップS10の処理を実行することにより、二軸押出混練機10により製造される電極用合剤における活物質とバインダとの配合割合を一定に維持することができる。
【0043】
次に、上記実施形態の混練システム1の作用効果について説明する。上記混練システム1では、
図5に示されるように、活物質とバインダとを固練りする場合、「バインダと活物質との配合割合」が所定値になったとき「電流値」がピーク値になるという現象に基づいて、バインダ投入部43における投入量が制御されている。すなわち、上記実施形態の混練システム1では、予め活物質とバインダとの配合比が分かっていない場合であっても、上記電流値がピーク値(粘度がピーク値)となるようにバインダ投入部43における投入量が調整されるので、バインダと活物質との配合割合を一定にすることができる。
【0044】
図5において、例えば、情報取得部61により取得される電流値Aが
規定範囲(例えば、P1<A<P)から外れた場合に、判定制御部63が、一時的に、電極用合剤における活物質の割合を徐々に(又は段階的に)減らしていく制御(第1制御)をしたとする。これにより、電流値が低下する場合には、バインダと活物質との配合割合の状態は、ピーク値となる場合よりも左側(例えばS1)にあることになる。そこで、調製制御部65は、電極用合剤における活物質の割合を徐々に(又は段階的に)増やしていく制御(第2制御)を行うと、電流値は徐々にピーク値に向かい、やがて低下に転ずる。本実施形態では、電流値が低下に転ずる際のバインダと活物質との配合割合の状態を継続するように制御している。これにより、活物質とバインダとの配合割合を一定に維持することができる。
【0045】
一方、判定制御部63が、第1制御をしたことにより、電流値が低下しなかった場合には、バインダと活物質との配合割合の状態は、ピーク値となる場合よりも右側(例えばS2)にあることになる。そこで、調製制御部65は、電極用合剤における活物質の割合を徐々に(又は段階的に)減らしていく制御(第1制御)を行うと、電流値は徐々にピーク値に向かい、やがて低下に転ずる。本実施形態では、電流値が低下に転ずる際のバインダと活物質との配合割合の状態を継続するように制御している。これにより、活物質とバインダとの配合割合を一定に維持することができる。
【0046】
上記実施形態の混練システム1では、二軸押出混練機10に供給するバインダの供給量を調整することができるので、二軸押出混練機10を用いて活物質及びバインダを混練して電極用合剤を製造する場合であっても、活物質とバインダとの配合割合を一定に維持することができる。
【0047】
上記実施形態の混練システム1では、駆動部11にかかる負荷として駆動部11に供給される電流値を取得している。二軸押出混練機10には、駆動部11に供給される電流値を監視する機能を有していることが多いので、駆動部11にかかる負荷を計測する機器を別途設けることなく、駆動部11にかかる負荷を容易に取得することができる。
【0048】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0049】
<変形例1>
上記実施形態では、混練部が連続式の二軸押出
混練機として形成されている例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、バッチ式の混練機であってもよい。バッチ式の混練機の一例は、少なくとも活物質、バインダ及び溶媒を含む原材料を収容するタンク本体と、タンク本体内で原材料を混練する撹拌部と、タンク本体内で混練された後の原材料を排出する排出部と、を備えている。撹拌部は、複数のブレードを有しており、複数のブレードは、タンク本体内において遊星運動を行いながら、活物質、バインダ及び溶媒を混練する。このようなバッチ式の混練機では、タンク内において1回分の原材料の混練が終わると、タンクの排出口からスラリー状の電極用合剤を回収することができる。
【0050】
このような混練機に対し、二軸押出混練機10に備えられている上述の検出器(検出部)15と、活物質投入部41と、バインダ投入部43と、溶媒投入部45と、制御部60と、を設け、混練システムとして構成してもよい。このような構成の混練システムであっても、混練機により製造される電極用合剤における活物質とバインダとの配合割合を一定に維持することができる。
【0051】
<変形例2>
上記実施形態では、駆動部11にかかる負荷として、駆動部11に供給される電流値を取得する例を挙げて説明したが、これに代わり、例えば電力値を取得するようにしてもよい。また、駆動部11にかかる負荷として、駆動部11にかかるトルクを検出してもよい。この場合、駆動部11とケース3との間にトルクセンサを設ければよい。また、駆動部11にかかる負荷として、活物質とバインダとを混練する際の混練応力を取得するようにしてもよい。
【0052】
<変形例3>
上記実施形態では、判定制御部63は、情報取得部61により取得される電流値が規定範囲外になったときに、一時的に、二軸押出混練機10に投入される活物質のバインダに対する投入量の割合を徐々に(又は段階的に)減らしていく制御(第1制御)をするように、バインダ投入部43を制御する例を挙げて説明したが、これに代えて、一時的に、二軸押出混練機10に投入される活物質のバインダに対する投入量の割合を徐々に(又は段階的に)増やしていく制御(第2制御)をするようにしてもよい。以下、判定制御部63が第2制御を実行した際の混練制御(第2調製)について、
図4を用いて説明する。
【0053】
判定制御部63は、判定制御部63は、バインダ投入部43を制御してバインダの単位時間当たりの投入量を一時的に減らしていくように制御(第2制御)する(ステップS21)調製制御部65は、ステップS21によるバインダ量の減量によって、情報取得部61により取得される電流値が低下するか否かを監視する(ステップS22)。ここで、電流値が上昇した場合には(ステップS22:YES)、調製制御部65は、バインダ投入部43を制御してバインダの単位時間当たりの投入量を徐々に(又は段階的に)減量していくように制御(第2制御)する(ステップS23)。そして、調製制御部65は、情報取得部61により取得される電流値が低下に転じるまで、バインダの単位時間当たりの投入量を徐々に(又は段階的に)減らしていく(ステップS24:NO)。
【0054】
情報取得部61により取得される電流値が低下に転じると(ステップS24:YES)、調製制御部65は、電流値が低下に転じた(ピーク値に到達した)際にバインダ投入部43が二軸押出混練機10に供給している単位時間当たりのバインダの投入量V3(<V0)をもって、定常混練時におけるバインダの投入量V3(再設定値V3)として設定する(ステップS27)。
【0055】
また、ステップS22において電流値が上昇しなかった場合には(ステップS22:NO)、調製制御部65は、バインダ投入部43を制御してバインダの単位時間当たりの投入量を徐々に(又は段階的に)増やしていくように制御(第1制御)する(ステップS25)。そして、調製制御部65は、情報取得部61により取得される電流値が低下に転じるまでバインダの単位時間当たりの投入量を徐々に(又は段階的に)増やしていく(ステップS26:NO)。
【0056】
情報取得部61により取得される電流値が低下に転じると(ステップS26:YES)、調製制御部65は、電流値が低下に転じた(ピーク値に到達した)際にバインダ投入部43が二軸押出混練機10に供給している単位時間当たりのバインダの投入量V4(>V0)をもって、定常混練時におけるバインダの投入量V4(再設定値V4)として設定する(ステップS27)。
【0057】
<変形例4>
上記実施形態又は変形例では、第1制御又は第2制御を実行するにあたり、バインダ投入部43における投入量を制御する例を挙げて説明したが、例えば、活物質投入部41における投入量を制御するようにしてもよいし、活物質投入部41における投入量とバインダ投入部43における投入量との両方を制御するようにしてもよい。
【0058】
<その他の変形例>
上記実施形態又は変形例では、電流値がピーク値Pとなるように、活物質投入部41における投入量及び/又はバインダ投入部43における投入量が制御される例を挙げて説明したが、
図5に示されるように、電流値がピーク値Pとなる第一目標値T1と当該第一目標値T1よりも低い第二目標値T2との間の所定値又は
規定範囲となるように、活物質投入部41における投入量及び/又はバインダ投入部43における投入量が制御されてもよい。
【0059】
具体的には、第一目標値T1と第二目標値T2との間の、例えば、所定値t1となるように、活物質投入部41における投入量及び/又はバインダ投入部43における投入量が制御されてもよい。また、第一目標値T1と第二目標値T2との間の、例えば、所定値t1以上となるように、又は所定値t2以上所定値t3以下等となるように、活物質投入部41における投入量及び/又はバインダ投入部43における投入量が制御されてもよい。
【0060】
上記実施形態又は変形例では、正極用合剤(電極用合剤)の製造を例として混練システム1を説明したが、負極用合剤(電極用合剤)の製造する場合であっても、上記混練システム1を適用することができる。この場合の負極用合剤の原材料は、例えば、グラファイト等の活物質と、カルボキシ
メチルセルロース(CMC)等の増粘剤と、スチレンブタジエンブロック共重合体(SBR)等のバインダとして機能し得る水に分散するポリマーと、水などの溶媒とを含んでいてもよい。なお、活物質とバインダとの固練り時において加えられるせん断力は、負極用合剤を製造する場合に比べて正極用合剤を製造する場合の方が大きい。したがって、上記実施形態又は変形例に係る混練システムは、正極用合剤を製造する場合により有効である。