特許第6606949号(P6606949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6606949-吸収性物品 図000002
  • 特許6606949-吸収性物品 図000003
  • 特許6606949-吸収性物品 図000004
  • 特許6606949-吸収性物品 図000005
  • 特許6606949-吸収性物品 図000006
  • 特許6606949-吸収性物品 図000007
  • 特許6606949-吸収性物品 図000008
  • 特許6606949-吸収性物品 図000009
  • 特許6606949-吸収性物品 図000010
  • 特許6606949-吸収性物品 図000011
  • 特許6606949-吸収性物品 図000012
  • 特許6606949-吸収性物品 図000013
  • 特許6606949-吸収性物品 図000014
  • 特許6606949-吸収性物品 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606949
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/535 20060101AFI20191111BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   A61F13/535 200
   A61F13/534 100
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-190142(P2015-190142)
(22)【出願日】2015年9月28日
(65)【公開番号】特開2017-63850(P2017-63850A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】朱 春紅
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−255571(JP,A)
【文献】 特開2010−200968(JP,A)
【文献】 特開2016−007495(JP,A)
【文献】 特開2011−125537(JP,A)
【文献】 特開2015−181665(JP,A)
【文献】 特開2013−017531(JP,A)
【文献】 特開2013−126457(JP,A)
【文献】 特開2014−210038(JP,A)
【文献】 特開2006−095156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄液を吸収する吸収体を備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体は、厚み方向に複数積層された吸収層により形成されており、
前記吸収体の上面から前記吸収層を一層又は複数層貫通する貫通部が形成され、この貫通部の内壁面に前記吸収層の境界が少なくとも一つ露出しており、
前記境界の少なくとも一つで対向する、上側に位置する吸収層の下面及び下側に位置する吸収層の上面に、それぞれ前記貫通部内から前記貫通部の周囲に通じる拡散溝が形成されており、
前記上側に位置する吸収層の下面に形成された拡散溝よりも、前記下側に位置する吸収層の上面に形成された拡散溝の方が、内面の表面積が大きい
ことを特徴とする、吸収性物品。
【請求項2】
排泄液を吸収する吸収体を備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体は、厚み方向に複数積層された吸収層により形成されており、
前記吸収体の上面から前記吸収層を一層又は複数層貫通する貫通部が形成され、この貫通部の内壁面に前記吸収層の境界が少なくとも一つ露出しており、
前記境界の少なくとも一つで対向する前記吸収層の対向面の少なくとも一方に、前記貫通部内から前記貫通部の周囲に通じる拡散溝が形成されており、
前記貫通部は、前記吸収体の上面から前記吸収層を二層以上貫通しており、
前記貫通部は、吸収体の下側に向かうにつれて連続的又は段階的に横断面積が小さくなる、
ことを特徴とする、吸収性物品。
【請求項3】
少なくとも股間部及びその後側に位置する後側部分を有する使い捨ておむつであって、
前記股間部から前記後側部分にかけて前記吸収体を備えており、
前記貫通部は前記股間部を含む位置に設けられており、
前記拡散溝は前記貫通部から前記後側部分にかけて延びている、
請求項1又は2記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡散性に優れる吸収体を備えた吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、使い捨ておむつにおける尿の漏れの形態は千差万別であるが、その中の一つの形態として、排尿量が多いとき等に、尿の吸収が間に合わずにあふれでてしまうこと(以下、あふれ漏れともいう)がある。このようなあふれ漏れの対策の基本は吸収速度を速くすることであり、そのためには尿を吸収保持する部分である吸収体における尿の拡散性が重要になる。
【0003】
また、生理用ナプキン等の他の吸収性物品においても、吸収体の拡散性が重要であることはいうまでもない。
【0004】
吸収体の拡散性向上技術としては、従来、吸収体の表面や裏面に凹部を設けること(例えば特許文献1、2参照)や、吸収体を厚み方向に貫通する貫通部を設けること(例えば特許文献3〜6参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−121416号公報
【特許文献2】特許第4781213号公報
【特許文献3】特開2011−104021号公報
【特許文献4】特開2011−125537号公報
【特許文献5】特開2013−135716号公報
【特許文献6】特開2013−135717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これら従来のものは、吸収体に凹部や貫通部を設けることにより厚み方向の拡散性が主に向上し、凹部や貫通部の形状によってはその中に限り前後方向や幅方向への拡散性が向上すると考えることもできるが、凹部や貫通部内からその外側への拡散性が向上するものではないため、この点で改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明の主たる課題は、吸収体の液拡散性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した吸収性物品は、以下のとおりである。
1の吸収性物品
排泄液を吸収する吸収体を備えた、使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体は、厚み方向に複数積層された吸収層により形成されており、
前記吸収体の上面から前記吸収層を一層又は複数層貫通する貫通部が形成され、この貫通部の内壁面に前記吸収層の境界が少なくとも一つ露出しており、
前記境界の少なくとも一つで対向する前記吸収層の対向面の少なくとも一方に、前記貫通部内から前記貫通部の周囲に通じる拡散溝が形成されている、
ことを特徴とする、吸収性物品。
【0009】
(作用効果)
吸収性物品の吸収体では、貫通部で排泄液を速やかに受け入れて一時的に貯留し、貫通部の内壁面から上下両側の吸収層で吸収するとともに、貫通部内から拡散溝を介して排泄液を貫通部の周囲に拡散しつつ上下両側の吸収層で吸収することができる。よって、吸収体の液拡散性が向上する。
【0010】
2の吸収性物品
前記境界の少なくとも一つで対向する、上側に位置する吸収層の下面及び下側に位置する吸収層の上面に、それぞれ前記貫通部に通じる拡散溝が形成されており、
前記上側に位置する吸収層の下面に形成された拡散溝、及び前記下側に位置する吸収層の上面に形成された拡散溝が対向されている、
1記載の吸収性物品。
【0011】
(作用効果)
各吸収層に設けられる拡散溝の断面積が小さくても、それらを合わせた排泄液の拡散通路の断面積を大きくすることができるとともに、境界の上下両側の吸収層に対する排泄液の接触面積を大きくすることができるため、前述の拡散性向上効果がより一層のものとなる。
【0012】
3の吸収性物品
前記境界の少なくとも一つで対向する、上側に位置する吸収層の下面及び下側に位置する吸収層の上面に、それぞれ前記貫通部に通じる拡散溝が形成されており、
前記上側に位置する吸収層の下面に形成された拡散溝よりも、前記下側に位置する吸収層の上面に形成された拡散溝の方が、内面の表面積が大きい、1又は2の吸収性物品。
【0013】
(作用効果)
一般に、吸収体の全体を有効利用するため、及び排泄液の逆戻りを低減するためには、吸収体の下側ほど優先的に排泄液が供給されることが望ましい。よって、本吸収性物品のように、境界の上下両側に拡散溝を設ける場合、上側の拡散溝よりも下側の拡散溝の方が内面の表面積、つまり排泄液との接触面積を大きくすることにより、拡散溝を通じての排泄液の供給が下側に位置する吸収層に対してより多くなるようにすることが望ましい。
【0014】
4の吸収性物品
前記貫通部は、前記吸収体の上面から前記吸収層を二層以上貫通しており、
前記貫通部は、吸収体の下側に向かうにつれて連続的又は段階的に横断面積が小さくなる、1〜3のいずれか1の吸収性物品。
【0015】
(作用効果)
このような構造とすることにより、貫通部における排泄液との接触面積を大きくすることができ、前述の拡散性向上効果がより一層のものとなる。
【0016】
5の吸収性物品
少なくとも股間部及びその後側に位置する後側部分を有する使い捨ておむつであって、
前記股間部から前記後側部分にかけて前記吸収体を備えており、
前記貫通部は前記股間部を含む位置に設けられており、
前記拡散溝は前記貫通部から前記後側部分にかけて延びている、
1〜4のいずれか1の吸収性物品。
【0017】
(作用効果)
本使い捨ておむつによれば、股間部に位置する貫通部で多量の尿を速やかに受け入れて貯留し、そこから拡散溝を介して後側部分の吸収体に尿を拡散することができる。よって、単に貫通部を設ける形態よりも後方への拡散性に優れ、吸収速度にも優れるようになる。使い捨ておむつは、臀部を覆うために股間部より後側に位置する後側部分を有しており、そのため後側部分まで吸収体を有することが一般的であるが、尿の排泄位置は股間部又はそれより前側となるため、後側部分の吸収体は前側と比べて吸収量が少なくなることがほとんどである。このため、使い捨ておむつにおいては後方への拡散性の向上は吸収体全体の有効利用の観点からは極めて重要である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、吸収体の液拡散性が向上する等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】パッドタイプ使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。
図2】(a)下側吸収層の上面、(b)上側吸収層の下面、(c)下側吸収層及び上側吸収層の積層状態をそれぞれ示す平面図である。
図3図1の3−3断面図である。
図4図1の4−4断面図である。
図5】(a)図1の5−5断面図、(b)6−6断面図である。
図6図1の7−7断面図である。
図7】斜視図である。
図8】(a)下側吸収層の上面、(b)上側吸収層の下面、(c)下側吸収層及び上側吸収層の積層状態をそれぞれ示す平面図である。
図9図1の5−5断面図である。
図10図1の7−7断面図である。
図11】吸収体の断面図である。
図12】貫通部の平面図である。
図13】吸収体の要部拡大断面図である。
図14】(a)下側吸収層の上面、(b)上側吸収層の下面、(c)下側吸収層及び上側吸収層の積層状態をそれぞれ示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面に示されるパッドタイプ使い捨ておむつの例を参照しながら詳説する。
図1図7は、パッドタイプ使い捨ておむつ200を示している。このパッドタイプ使い捨ておむつ200は、股間部Cと、その前後両側に延在する前側部分F及び後側部分Bとを有するものである。各部の寸法は適宜定めることができ、例えば、おむつ全長L1(前後方向長さ)は350〜700mm程度、おむつ全幅W1は130〜400mm程度とすることができ、この場合における股間部Cの前後方向長さは10〜150mm程度、前側部分Fの前後方向長さは50〜350mm程度、及び後側部分Bの前後方向長さは50〜350mm程度とすることができる。なお、「股間部」とは使用時に身体の股間と対応させる部分を意味し、製品によって、図示形態のように物品の前後方向中央若しくはその近傍から前側の所定部位までの範囲であったり、物品の前後方向中央の所定範囲であったりするものである。図示形態のように、物品の前後方向中間あるいは吸収体の前後方向中間に幅の狭い括れ部分を有する場合は、「股間部」は括れ部分の最小幅部位を前後方向中央とする所定の前後方向範囲を意味する。また、「前側部分(腹側部分)」は股間部よりも前側の部分を意味し、「後側部分(背側部分)」は股間部よりも後側の部分を意味する。
【0021】
パッドタイプ使い捨ておむつ200は、液不透過性シート21と、液透過性トップシート22との間に、吸収体23が介在された基本構造を有している。なお、図中の点模様部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。
【0022】
(液不透過性シート・外装シート)
吸収体23の裏側には、液不透過性シート21が吸収体23の周縁より若干はみ出すように設けられている。液不透過性シート21としては、ポリエチレンフィルム等の他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に炭酸カルシウム等の無機粒子を混合してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
【0023】
また、液不透過性シート21の外面は、不織布からなる外装シート26により被覆することができ、この場合、液不透過性シート21の幅を吸収体23の幅と同程度とすることができる。外装シート26としては各種の不織布を用いることができる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0024】
(液透過性トップシート)
吸収体23の表側は、液透過性トップシート22により覆われている。図示形態ではトップシート22の側縁から吸収体23が一部はみ出しているが、吸収体23の側縁がはみ出さないようにトップシート22の幅を広げることもできる。トップシート22としては、有孔又は無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0025】
トップシート22と吸収体23との間には、中間シート25を介在させるのが望ましい。この中間シート25は、吸収体23により吸収した尿の逆戻りを低減するために設けられるものであり、保水性が低く、かつ液透過性の高い素材、例えばメッシュフィルム等を用いるのが望ましい。トップシート22の前端を0%としトップシート22の後端を100%としたとき、中間シート25の前端は0〜11%の範囲に位置しているのが好ましく、中間シート25の後端は92〜100%の範囲に位置しているのが好ましい。また、中間シート25の幅25wは吸収体23の幅W2の50〜90%程度であるのが好ましい。
【0026】
(エンドフラップ部・サイドフラップ部)
パッドタイプ使い捨ておむつ200の前後方向両端部では、外装シート26及び液透過性トップシート22が吸収体23の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在されて貼り合わされ、吸収体23の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。パッドタイプ使い捨ておむつ200の両側部では、外装シート26が吸収体23の側縁よりも外側にそれぞれ延在され、この延在部からトップシート22の側部までの部分の内面には側部立体ギャザーシート31の幅方向外側の部分34が前後方向全体にわたり貼り付けられ、吸収体23の存在しないサイドフラップ部SFを構成している。これら貼り合わせ部分は、ホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シールにより形成できる。外装シート26を設けない場合、外装シート26に代えて液不透過性シート21をサイドフラップ部SFまで延在させ、サイドフラップ部SFの外面側を形成することができる。
【0027】
(側部立体ギャザー)
表面における両側部には、前後方向に延在する側部立体ギャザー30がそれぞれ設けられている。側部立体ギャザー30は上述の側部立体ギャザーシート31により形成されている。側部立体ギャザーシート31の幅方向中央側の部分32はトップシート22上にまで延在しており、その幅方向中央側の端部には、側部立体ギャザー弾性伸縮部材33が前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されている。
【0028】
側部立体ギャザーシート31の素材としては、プラスチックシートやメルトブローン不織布を使用することもできるが、肌への感触性の点で、不織布にシリコーンなどにより撥水処理をしたものが好適に使用される。この側部立体ギャザー弾性伸縮部材33としては、糸状、紐状、帯状等の細長状に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。また、各平面ギャザー弾性伸縮部材7の固定時の伸長率は170〜200%程度であるのが好ましい。
【0029】
また、側部立体ギャザーシート31は、幅方向外側の部分34が前後方向全体にわたりおむつ内面(図示形態ではトップシート22表面および外装シート26内面)に貼り合わされて固定部分34とされるとともに、幅方向中央側の部分32がこの固定部分から突出する突出部分32とされている。そして、この突出部分32のうち、前後方向の両端部では倒伏状態でおむつ表面(図示形態ではトップシート22表面)に貼り合わされて非起立部35とされ、かつこれら非起立部35間の部分はおむつ表面(図示形態ではトップシート22表面)に固定されていない起立部36とされている。この起立部36は、側部立体ギャザー弾性伸縮部材33の収縮力が作用することにより、図4及び図5に二点差線で示されるように、おむつ表面(図示形態ではトップシート22表面)から起立して鼠径部等に接触する部分であり、その起立基端37は側部立体ギャザーシート31における固定部分34と突出部分32との境に位置する。
【0030】
(平面ギャザー)
サイドフラップ部SFの前後方向中間部には、側部立体ギャザーシート31と液不透過性シート21との間(液不透過性シート21と外装シート26との間でも良い)に細長状の平面ギャザー弾性伸縮部材27が前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されており、この平面ギャザー弾性伸縮部材27の収縮によりサイドフラップ部SFにはいわゆる平面ギャザーが形成されている。この平面ギャザーにより、おむつの側部が弾性伸縮して脚周りにフィットするようになる。
【0031】
左右各側における平面ギャザー弾性伸縮部材27の本数は適宜定めることができるが、1〜10本程度、より好ましくは2〜5本程度が適当であり、複数本とする場合には、その間隔は2〜15mm程度、特に6〜10mm程度とするのが好ましい。また、各平面ギャザー弾性伸縮部材27としては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができ、太さとしては500〜1500dtex程度、天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度が好ましい。また、各平面ギャザー弾性伸縮部材27の固定時の伸長率は150〜250%程度であるのが好ましい。
【0032】
(吸収体)
吸収体23は、図2図6に示すように、下側吸収層23Bと、下側吸収層23Bの上に設けられた上側吸収層23Aとからなる二層構造となっている。
【0033】
下側吸収層23B及び上側吸収層23Aとしては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて粒子状等の高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。下側吸収層23B及び上側吸収層23Aにおける繊維目付け及び高吸収性ポリマーの目付けは適宜定めることができるが、それぞれ繊維目付けは140〜230g/m2程度とするのが好ましく、またそれぞれ高吸収性ポリマーの目付けは60〜90g/m2程度とするのが好ましい。高吸収性ポリマー粒子を混合する場合等、必要に応じて、下側吸収層23B及び上側吸収層23Aは、両者一体的に又は個別に、クレープ紙や不織布等の液透過性の包装シート24(図1参照)により包むことができる。
【0034】
吸収体23は図11に示すように、中間吸収層23Cを含む三層構造とすることもでき、また四層以上の積層構造とすることもできる。各吸収層23A,23B,23Cの厚み23tは吸収体23全体の厚みと吸収層数に応じて適宜定めれば良いが、後述する拡散溝60の形成を考慮すると2〜20mm程度とすることが望ましい。
【0035】
また、吸収体23の外形は、相対的に前側の部分が後側の部分よりも幅広な帯状、あるいは長方形状、台形状等、適宜の形状とすることもできるが、股間部Cを含む前後方向中間の所定部分が幅の狭い括れ部分23nとして形成されていることが好ましい。この括れ部分23nの最小幅W2は、括れ部分23nの前後に位置する非括れ部分の幅(吸収体23の全幅)W3の50〜65%程度であるのが好ましい。また、おむつ前端を0%としおむつ後端を100%としたとき、括れ部分23nの前端は10〜25%の範囲に位置しているのが好ましく、括れ部分23nの後端は40〜65%の範囲に位置しているのが好ましく、括れ部分23nの最小幅W2となる部位(最小幅部位)は25〜30%の範囲に位置しているのが好ましい。
【0036】
吸収体23を二層構造とする場合は、上側吸収層23Aをより大きくすることもできるが、一般に下側吸収層23Bをより大きくすることが好ましいため、上側吸収層の全幅W4は下側吸収層23Bの最小幅W2の50〜90%程度とし、上側吸収層の全長L3は下側吸収層23Bの全長L2の50〜100%程度とすることが好ましい。特に、図示形態のように、下側吸収層23Bにより吸収体23外形を形成し、かつその形を上述のような括れ形状とし、上側吸収層23Aの外形については括れ部分23nの最小幅W2よりも狭い長方形状とすることが好ましい。
【0037】
吸収体23は、股間部Cの前側から股間部Cを経て股間部Cの後側にかけて延在されているが、股間部C及びその後側部分Bにのみ設けることもできる。特に排泄位置Zの前側から後側にかけて設けられていることが望ましい。
【0038】
(貫通部及び凹部)
特徴的には、図2図4〜6に示すように、吸収体23の上面から上側吸収層23A及び下側吸収層23Bを貫通する貫通部50が形成されており、この貫通部50の内壁面に上側吸収層23A及び下側吸収層23Bの境界が露出している。そして、これら吸収層23A,23Bの対向面、すなわち上側吸収層23Aの上面及び下側吸収層23Bの上面の両方に、上下対向するように拡散溝60がそれぞれ形成されており、この拡散溝60が貫通部50内から貫通部50の周囲に通じている。貫通部50の内壁面は液透過性の層(トップシート22や中間シート25等)で被覆されている(換言すれば、液不透過性の層や液難透過性の層で被覆されていない)。このような吸収体23においては、貫通部50に尿が供給されると、尿を貫通部50で一時的に貯留しつつ、貫通部50の側面から上下両側の吸収層23A,23Bで吸収するとともに、貫通部50内から拡散溝60を通じて貫通部50の周囲に拡散しつつその上下両側の吸収層23A,23Bで吸収することができる。よって、吸収体23における尿の拡散性が向上し、吸収速度も向上する。特に、上側吸収層23A及び下側吸収層23Bの少なくとも一方における高吸収性ポリマー粒子の含有量が重量比で30重量%以上、特に35重量%以上であると、高吸収性ポリマー粒子の吸収膨張による通液性の低下(ゲルブロッキング)により、貫通部50の内壁面からの吸収・拡散の低下が懸念されるが、拡散溝60を設けることにより、このような貫通部50の内壁面からの吸収・拡散の低下を補うことができる。
【0039】
拡散溝60は、上側吸収層23A及び下側吸収層23Bにそれぞれエンボス加工等の圧縮加工を施すことにより形成する他、繊維等を型枠内に集積することにより上側吸収層23A及び下側吸収層23Bを形成するときにはその型枠の形状により形成することもできる。
【0040】
拡散溝60は貫通部50から周囲に延びる凹部であり、断面形状は適宜定めることができ、例えば図12(a)(c)(d)に示すように三角形状とする他、図12(b)に示すように矩形状としたり、図12(e)に示すように半円状としたりすることができる。拡散溝60の寸法は適宜定めることができるが、拡散溝60の幅61は2〜10mm程度とすることができ、拡散溝60の深さ62は吸収層20A,20Bの厚み23tの10〜45%程度とすることができる。拡散溝60の長さ63は上側吸収層23A及び下側吸収層23Bの重なる領域内でどの程度拡散を促すかによって適宜定めれば良いが、短すぎると効果が乏しくなるため、5cm以上とすることが望ましい。拡散溝60の終端は、上側吸収層23A及び下側吸収層23Bの重なる領域の周縁に突き抜けるよりは、当該領域の周縁から内側に離間していることが好ましい。
【0041】
拡散溝60は、図12(a)〜(e)に示すように上側吸収層23A及び下側吸収層23Bの両方に上下対向するように設けると、各吸収層23A,23Bに設けられる拡散溝60の断面積が小さくても、それらを合わせた排泄液の拡散通路の断面積を大きくすることができるとともに、拡散通路の上下両側の吸収層23A,23Bに対する排泄液の接触面積を大きくすることができるという利点がある。
【0042】
拡散溝60の本数は一本とすることもできるが、間隔を空けて複数本設けることが望ましく、その場合の間隔64は適宜定めることができるが、通常の場合2〜4cmとすることが望ましい。拡散溝60は、貫通部50側からみて一本から複数本に枝分かれさせることもできる。
【0043】
また、拡散溝60を上側吸収層23A及び下側吸収層23Bの両方に上下対向するように設ける場合、図13(a)(b)に示すように、上下で同形状、同寸法の断面とすることもできるが、図13(c)〜(e)に示すように上下で異なる断面形状又は寸法とすることもでき、特に、図13(d)(e)に示すように、上側吸収層23Aの下面に形成された拡散溝60よりも、下側吸収層23Bの上面に形成された拡散溝60の方が、内面(側面及び底面)の表面積が大きい形態とすると好ましい。これにより、下側の拡散溝60の方が排泄液との接触面積が大きくなり、拡散溝60を通じての排泄液の供給を下側吸収層23Bに対してより多くすることができる。もちろん、図13(f)に示すように、拡散溝60は上側吸収層23A及び下側吸収層23Bのいずれか一方のみに設けても良く、その場合下側吸収層23Bに設けることが望ましい。
【0044】
拡散溝60は、貫通部50から尿の拡散を促す方向に延びていれば良く、適宜定めることができるが、吸収性物品の場合には前後方向の拡散性が重視されるため、貫通部50から前側及び後側の少なくとも一方に延在させることが好ましい。特に、図示形態を含めて、使い捨ておむつにおいては、臀部を覆うために股間部Cより後側に位置する後側部分Bを有しており、そのため後側部分Bまで吸収体23を有することが一般的であるが、尿の排泄位置Zは股間部C又はそれより前側となるため、後方への拡散性の向上が重要である。よって、図示形態のように拡散溝60は少なくとも貫通部50から後方に延在していることが望ましい。これにより、股間部Cに位置する貫通部50で多量の尿を速やかに受け入れて貯留し、そこから拡散溝60を介して後側部分Bの吸収体23に尿を拡散することができる。その結果、単に貫通部50を設ける形態よりも後方への拡散性に優れ、吸収速度にも優れるようになる。特に、後側部分Bにおける吸収体23の幅が十分に広い場合には、図8に示す形態のように、拡散溝60を後方に向けて放射状に配置するのも好ましい形態である。
【0045】
また、拡散溝60を貫通部50から後方に延在させるとともに(又はこれに代えて)図14に示すように、拡散溝60を貫通部50から前側に延在させることもできる。また、図14に示すように、貫通部50に通じる拡散溝60を設ける限り、貫通部50に通じない拡散溝60を設けることもできる。さらに、図14に示すように貫通部50の底面を形成する吸収層(下側吸収層23B)を有する場合であって、その吸収層の上面に拡散溝60を設ける場合には貫通部50を通り抜けて前後方向に延在させても良い。
【0046】
また、拡散溝60は図2に示す形態のように前後方向に沿って直線状に延在させる他、図8に示す形態のように斜め方向に延在させることもでき、図示しないが曲線状(例えば前後方向中間から前後少なくとも一方側に向かうにつれて幅方向外側に向かう形状等)にすることもできる。
【0047】
貫通部50は、吸収体23の上面から吸収層23A,23Bを一層以上貫通する限り、図2に示す形態のように全ての層を貫通していても、図8に示す形態のように一部のみ(上側吸収層23Aのみ)貫通していても良い。貫通部50が吸収体23の上面から吸収層を二層以上貫通している形態においては、図11及び図12に示すように、貫通部50が吸収体23の下側に向かうにつれて連続的又は段階的に横断面積が小さくなる形態とすると、貫通部50における排泄液との接触面積を大きくすることができ、前述の拡散性向上効果がより一層のものとなるため好ましい。
【0048】
また、貫通部50の配置は適宜定めることができるが、排泄位置Zに近く、かつ排泄液を一時的に蓄えるのに適した位置に配置することが望ましく、したがって貫通部50の一部又は全部が股間部Cに位置することが望ましい。貫通部50は、図2に示す形態のように周囲全体が吸収層23A,23Bにより囲まれるように前後方向中間かつ幅方向中間に位置する形態とする他、図8に示す形態のように周囲の一部が吸収層23Aにより囲まれない形態とすることもできる。なお、図8に示す形態では、上側吸収層23Aの前後方向中間に幅方向全体にわたり上側吸収層23Aを有しない欠落部分が形成されており、この欠落部分が本発明の貫通部50を構成している。
【0049】
貫通部50は、図示形態のように一つとする他、間隔を空けて複数設けることもできる。
【0050】
貫通部50の平面形状(横断面形状)は適宜定めることができるが、図示形態のように股間部Cを含む部位に貫通部50を設けてそこから後方への拡散を促進する場合には、後方に向かうにつれて幅が拡大する形状、例えば図12(a)(b)に示すようなほぼ扇型の形状や、図12(c)に示すような互角系形状が好ましいが、図12(d)に示すようなひし形状としたり、図12(e)に示すような円形状としたりすることもできる。また、図12(d)に示すように、吸収性物品の分野で広く採用されている前後方向に細長い形状とすることもできる。
【0051】
貫通部50の寸法は、配置や数、形状により適宜定めることができるが、図示形態のように一つのみとする場合には、貫通部50の幅方向長さ51は吸収体23(図示形態では下側吸収層23B)の貫通部50を有する部分の全幅W2に対して50〜100%程度とすることができ、前後方向長さ52は吸収体23(図示形態では下側吸収層23B)の全長L2の8〜20%程度とすることができる。
【0052】
<明細書中の用語の説明>
明細書中で以下の用語が使用される場合、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後(縦)方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味する。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・吸収体の「厚み」は、株式会社尾崎製作所の厚み測定器(ピーコック、ダイヤルシックネスゲージ大型タイプ、型式J−B(測定範囲0〜35mm)又は型式K−4(測定範囲0〜50mm))を用い、試料と厚み測定器を水平にして、測定する。
・上記以外の「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内で行うものとする。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、上記例のようなパッドタイプ使い捨ておむつの他、パンツタイプ使い捨ておむつ、テープタイプ使い捨ておむつ、生理用ナプキン等、吸収性物品全般に利用できるものである。
【符号の説明】
【0054】
B…後側部分、C…股間部、F…前側部分、21…液不透過性シート、22…トップシート、23…吸収体、23A…上側吸収層、23B…下側吸収層、23n…括れ部分、25…中間シート、26…外装シート、30…側部立体ギャザー、31…側部立体ギャザーシート、33…ギャザー弾性伸縮部材、23C…中間吸収層、60…拡散溝、Z…排泄位置、50…貫通部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14