特許第6606952号(P6606952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6606952
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】車載機器制御装置及び車載機器制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20191111BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   B60R16/02 660B
   G01C21/26 A
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-192625(P2015-192625)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-65428(P2017-65428A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】橋本 隆志
(72)【発明者】
【氏名】山根 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】冨樫 実
(72)【発明者】
【氏名】岸 則政
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−020679(JP,A)
【文献】 特開2000−127869(JP,A)
【文献】 特開平11−037771(JP,A)
【文献】 特開2009−119895(JP,A)
【文献】 特開2009−173182(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0069972(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を記憶する地図情報記憶部と、
前記地図情報における車両の走行位置を取得する走行位置取得部と、
前記地図情報における所定の制御地点毎に予め関連付けられた制御対象である複数の車載機器の動作パターンを記憶する動作パターン記憶部と、
前記制御地点に基づいて、前記地図情報における前記制御対象を制御する制御領域を算出する制御領域算出部と、
前記車両の走行位置及び前記制御領域に基づいて、前記動作パターン記憶部に記憶される動作パターンから、実行する動作パターンを決定するパターン決定部と、
前記車両の走行位置が前記制御領域内の間、前記パターン決定部により決定された前記動作パターンを実行するように前記制御対象を制御する機器制御部と、を備え、
前記動作パターンは、前記制御領域内の間で第1段階から時系列に移行する複数の段階を有し、前記複数の段階毎に前記制御対象の動作が設定され、
前記機器制御部は、前記車両の走行位置が前記制御領域から離脱した場合に、前記第1段階前の状態に前記制御対象を戻す
ことを特徴とする車載機器制御装置。
【請求項2】
前記動作パターン記憶部は、前記複数の段階を移行する移行条件として、前記車両の走行位置、周囲環境及び走行状態の少なくともいずれかに基づく条件が設定される前記動作パターンを記憶し、
前記機器制御部は、前記移行条件が満たされることに応じて、前記複数の段階を移行して前記制御対象を制御することを特徴とする請求項1に記載の車載機器制御装置。
【請求項3】
前記動作パターン記憶部は、特定の前記制御地点に関連付けられた特定の場所において過去に行われた前記車載機器の動作を記憶し、
前記機器制御部は、前記特定の制御地点に基づいて算出された制御領域において、前記過去に行われた動作に関連付けられた動作を実行するように前記車載機器を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の車載機器制御装置。
【請求項4】
前記動作パターン記憶部は、前記制御地点毎に、前記車両の状況に応じた複数の動作パターンを記憶し、
前記パターン決定部は、前記制御地点毎の複数の動作パターンから、前記車両の状況に応じて、実行する動作パターンを決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。
【請求項5】
前記動作パターン記憶部は、前記制御領域において前記車載機器の動作が前記車両のユーザにより変更されることに応じて、前記動作パターンを変更することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。
【請求項6】
前記動作パターン記憶部により記憶される動作パターンは、前記車両のユーザにより編集可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車載機器制御装置。
【請求項7】
地図情報における車両の走行位置を取得することと、
前記地図情報における所定の制御地点毎に予め関連付けられた制御対象である複数の車載機器の動作パターンを動作パターン記憶部に記憶することと、
前記制御地点に基づいて、前記地図情報における前記制御対象を制御する制御領域を算出することと、
前記車両の走行位置及び前記制御領域に基づいて、前記動作パターン記憶部に記憶される動作パターンから、実行する動作パターンを決定することと、
前記車両の走行位置が前記制御領域内の間、決定された前記動作パターンを実行するように前記制御対象を制御することと、を含み、
前記動作パターンは、前記制御領域内の間で第1段階から時系列に移行する複数の段階を有し、複数の段階毎に前記制御対象の動作が設定され、
前記車両の走行位置が前記制御領域から離脱した場合に、前記第1段階前の状態に前記制御対象を戻すことをさらに含む
ことを特徴とする車載機器制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された機器を制御する車載機器制御装置及び車載機器制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車載機器に対する操作負荷を軽減する装置として、車載機器に対して行われた操作に関連する操作を、ベイズ理論等の確率モデルを用いてユーザに推薦し、ユーザの回答に応じて車載機器を制御する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−173182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、車載機器や車載機器の複数種類の動作に対して個別の確率モデルを多重に適用するため、複数の車載機器を制御する場合、制御が最適化されるまでに相当数の回答回数(学習回数)が必要となる。
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑み、様々な車載機器の操作を簡単且つ効率的に低減することができる車載機器制御装置及び車載機器制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
車載機器制御装置は、地図情報における所定の制御地点毎に予め関連付けられた制御対象である複数の車載機器の動作パターンを記憶し、記憶される動作パターンから、実行する動作パターンを決定し、車両の走行位置が制御領域内の間、決定された前記動作パターンを実行するように制御対象を制御し、制御領域から離脱した場合に制御対象を前の状態に戻す。動作パターンは、制御領域内の間で第1段階から時系列に移行する複数の段階を有し、複数の段階毎に制御対象の動作が設定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、地図情報における所定の制御地点毎に予め関連付けられた複数の車載機器の動作パターンを実行することにより、様々な車載機器の操作を簡単且つ効率的に低減することができる車載機器制御装置及び車載機器制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の構成の一例を説明するブロック図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置を用いた車載機器制御方法の一例を説明するフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置を用いた車載機器制御方法の一例を説明するフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置を用いた車載機器制御方法の一例を説明するフローチャートである。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の第1実施例における動作パターンを説明する図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の第2実施例における動作パターンを説明する図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の第3実施例における動作パターンを説明する図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の第4実施例における動作パターンを説明する図である。
図9図9は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の第5実施例における動作パターンを説明する図である。
図10図10は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の第6実施例における動作パターンを説明する図である。
図11図11は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の第7実施例における動作パターンを説明する図である。
図12図12は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の第8実施例における動作パターンを説明する図である。
図13図13は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の第9実施例における動作パターンを説明する図である。
図14図14は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の第10実施例における動作パターンを説明する図である。
図15図15は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の第11実施例における動作パターンを説明する図である。
図16図16は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の第12実施例における動作パターンを説明する図である。
図17図17は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の第12実施例における動作パターンを説明する図である。
図18図18は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の第13実施例における動作パターンを説明する図である。
図19図19は、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置の第13実施例における動作パターンを説明する図である。
図20図20は、本発明の他の実施の形態に係る車載機器制御装置の第14実施例における表示画面を図示した一例である。
図21図21は、本発明の他の実施の形態に係る車載機器制御装置の第14実施例における表示画面を図示した一例である。
図22図22は、本発明の他の実施の形態に係る車載機器制御装置の第14実施例における表示画面を図示した一例である。
図23図23は、本発明の他の実施の形態に係る車載機器制御装置の第14実施例における表示画面を図示した一例である。
図24図24は、本発明の他の実施の形態に係る車載機器制御装置の第14実施例における表示画面を図示した一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
(車載機器制御装置)
本実施の形態に係る車載機器制御装置は、図1に示すように、測位装置10と、通信インターフェース(I/F)20と、センサ群30と、記憶装置40と、コントローラ50と、入力I/F60と、複数の車載機器8-1,8-2,…,8-nとを備える。本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置は、車両に搭載され、様々な車載機器8-1,8-2,…,8-n(以下、総称する場合において「車載機器8」という)を制御する。
【0011】
車載機器8は、例えば、パワーウィンドウ、ドアミラー、バックビューモニタ、サイドビューモニタ、アイドリングストップ制御装置、前照灯、方向指示器、ルームランプ、ドアロック、トランクロック、スライドドア、ブザー、ディスプレイ、スピーカ、オーディオ機器、カーナビゲーションシステム、各種アクチュエータ等、車両に搭載され、電子制御可能な機器である。
【0012】
測位装置10は、全地球測位システム(GPS)等の測位システムにより、車両の地球上における現在位置を測定する。測位装置10は、例えばGPS受信機からなる。測位装置10は、測定した現在位置をコントローラ50に逐次出力する。
【0013】
通信I/F20は、例えば、無線で外部と信号を送受信する通信機である。通信I/F20は、例えば、渋滞情報、交通規制等の交通情報や、天気情報等をリアルタイムに送信する高度道路交通システム(ITS)により、外部から種々の情報を受信する。ITSは、VICS(Vehicle Information and Communication System:登録商標)、テレマティクス等を含む。通信I/F20は、受信した情報をコントローラ50に逐次出力する。
【0014】
センサ群30は、例えば、速度センサ、加速度センサ、角速度センサ、操舵角センサ、方位センサ、ギアポジションセンサ等の車両の走行状態を検出する車両センサと、カメラ、レーザーレンジファインダー(LRF)、超音波センサ、ミリ波センサ、赤外線センサ、雨滴センサ、照度センサ、時計等の車両の周囲環境を検出する周囲センサとから構成可能である。センサ群30の車両センサは、各センサにより車両の速度、3次元直交座標系における3軸の加速度及び角速度等を検出し、検出結果をコントローラ50に逐次出力する。センサ群30の周囲センサは、コントローラ50により駆動を制御され、検出結果をコントローラ50に逐次出力する。
【0015】
記憶装置40は、地図情報記憶部41と、動作パターン記憶部42と、領域記憶部43とを備える。記憶装置40は、半導体メモリ、磁気ディスク等から構成可能である。記憶装置40は、その他、コントローラ50において行われる処理に必要なプログラムを記憶するようにしてもよい。記憶装置40を構成する各部は、1つのハードウェアから構成されてもよく、複数のハードウェアから構成されてもよい。
【0016】
地図情報記憶部41は、例えば、道路、道路種別、施設情報等を含む地図情報を記憶する。地図情報記憶部41は、所定の車載機器8が制御される地点を示す制御地点を記憶する。地図情報記憶部41は、道路毎の車線、道路及び道路周辺の地物等、詳細な情報を含むようにしてもよい。
【0017】
動作パターン記憶部42は、地図情報における制御地点毎に予め関連付けられた制御対象である複数の車載機器8の様々な動作パターンを記憶する。動作パターンは、時系列における、第1から第3の複数の段階毎の車載機器8の動作が設定される。例えば、第1段階は準備段階、第2段階は実施段階、第3段階は後処理段階である。また、動作パターンは、複数の段階を移行する移行条件が設定される。移行条件は、車両の走行位置、周囲環境及び走行状態の少なくともいずれかに基づく条件とすることができる。
【0018】
領域記憶部43は、地図情報における制御地点に基づく、制御対象である車載機器8を制御する領域である制御領域を記憶する。領域記憶部43は、制御地点に対応する制御領域を算出するための関数を記憶するようにしてもよい。制御領域算出用の関数は、制御対象となる車載機器8の種類に応じて設定されてもよく、車両の速度に応じて設定されてもよい。
【0019】
入力I/F60は、例えば、ユーザの操作を受け付け、操作に応じた信号をコントローラ50に出力する。入力I/F60は、タッチパネルディスプレイとして車載機器8の1つのディスプレイと共に一体に構成されてもよい。入力I/F60は、ユーザの操作に応じた信号をコントローラ50に出力することにより、車載機器8を制御することができる。また、入力I/F60は、複数の車載機器8を操作するスイッチ等を含む。
【0020】
コントローラ50は、走行位置取得部51と、情報取得部52と、パターン決定部53と、制御領域算出部54と、機器制御部55と、学習処理部56とを有する。コントローラ50は、例えば、中央演算処理装置(CPU)、メモリ、及び入出力I/F等を備える集積回路であるマイクロコントローラにより構成可能である。この場合、マイクロコントローラに予めインストールされたコンピュータプログラムをCPUが実行することにより、コントローラ50を構成する複数の情報処理部(51〜56)が実現される。コントローラ50を構成する各部は、一体のハードウェアから構成されてもよく、別個のハードウェアから構成されてもよい。マイクロコントローラは、例えば自動運転制御等の車両に関わる他の制御に用いる電子制御ユニット(ECU)と兼用されてもよい。
【0021】
走行位置取得部51は、測位装置10により測定された現在位置と、センサ群30により検出される車両の運動量に基づいて、地図情報における車両の走行位置を取得する。走行位置取得部51は、更に、センサ群30により検出される地物の位置から、地図情報記憶部41に記憶される地物に対する車両の相対的な位置を算出することにより、走行車線等、地図情報における車両の詳細な走行位置を取得するようにしてもよい。
【0022】
情報取得部52は、通信I/F20、センサ群30、走行位置取得部51及び入力I/F60の少なくともいずれかから各種情報を取得する。情報取得部52により取得される情報は、車両の走行状態、周囲環境及び走行位置の他、交通情報、天気情報、入力I/F60を介してユーザにより指定される情報等である。情報取得部52は、走行位置から制御地点までの距離が所定の閾値未満となることに応じて、情報を取得するようにしてもよい。
【0023】
パターン決定部53は、車両の走行位置及び制御領域に基づいて、動作パターン記憶部42に記憶される動作パターンから、実行する動作パターンを決定する。パターン決定部53は、情報取得部52により取得された情報に基づいて、車両の状況を判断する。パターン決定部53は、判断した車両の状況に応じて、動作パターン記憶部42に記憶される1つの制御地点に関連付けられた複数の動作パターンから、車両の状況に応じた動作パターンを決定するようにしてもよい。
【0024】
パターン決定部53は、例えば、例えば、走行位置から制御地点までの距離が所定の閾値未満となることに応じて、車両の状況を判断し、動作パターンを決定する。パターン決定部53は、1つの制御地点に関連付けられた動作パターンが複数の場合、動作パターンを示す選択肢をディスプレイに表示させることにより、ユーザに入力I/F60による選択を促すようにしてもよい。
【0025】
制御領域算出部54は、車両の走行位置及び制御地点に基づいて、制御対象を制御する領域として、地図情報における制御領域を予め設定された算出方法により算出する。制御領域算出部54により算出された制御領域は、領域記憶部43に記憶される。制御領域算出部54は、領域記憶部43に記憶された制御領域又は制御領域算出用の関数を読み出すことにより、制御領域を算出するようにしてもよい。また、制御領域算出部54は、制御対象となる車載機器8の種類に応じて算出されるようにしてもよい。
【0026】
制御領域算出部54は、車両の走行位置が制御地点まで所定の距離となるとき、制御地点に制御領域をそれぞれ算出する。制御領域算出部54が制御領域を算出する時点において、車両から制御領域の境界までの距離は、車両から制御地点までの距離より短い。
【0027】
機器制御部55は、車両の走行位置が制御領域内の間に、制御対象が、パターン決定部53により決定された動作パターンを実行するように複数の車載機器8を同時に制御する。すなわち、機器制御部55は、パターン決定部53により決定された動作パターンを動作パターン記憶部42から読み出し、制御対象となる複数の車載機器8が、車両の状況に応じた動作パターンを行うように複数の車載機器8を制御する。
【0028】
学習処理部56は、入力I/F60に対するユーザの操作により、動作パターン記憶部42により記憶された動作パターン、制御領域算出部54により算出された制御領域、領域記憶部43に記憶された制御領域の少なくともいずれかを変更させる入力があった場合、入力内容に応じて各値を変更する。また、学習処理部56は、走行履歴や入力I/F60からの入力に基づいて、動作パターン記憶部42や領域記憶部43の記憶内容、制御領域算出部54の処理に用いられる関数及び閾値等を変更するようにしてもよい。
【0029】
(車載機器制御方法)
図2図4のフローチャートを参照して、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置を用いた車載機器制御方法を説明する。図2図4のフローチャートに示す一連のタスクは、車載機器制御方法の一例であり、各ステップは、種々の条件に応じて、省略、順序及び内容の変更等がなされてよい。また、図2図4のフローチャートに示す一連のタスクは、他の動作パターンを実行するタスクと並列に処理されてもよい。
【0030】
先ず、ステップS101において、走行位置取得部51は、測位装置10により測定された現在位置及びセンサ群30の検出結果に基づいて、地図情報における車両の走行位置を取得する。
【0031】
ステップS102において、制御領域算出部54は、地図情報記憶部41を参照し、車両の進行方向に存在する制御地点を検索する。
【0032】
ステップS103において、制御領域算出部54は、動作パターン記憶部42を参照し、検索された制御地点に対応する動作パターンがあるか否かを判定する。動作パターンがある場合、ステップS104に処理を進め、制御地点又は動作パターンがない場合、ステップS101から処理を繰り返す。
【0033】
ステップS104において、制御領域算出部54は、少なくとも制御地点に基づいて、制御対象を制御する領域として、地図情報における制御領域を予め設定された算出方法により算出する。
【0034】
ステップS105において、機器制御部55は、走行位置取得部51により取得される車両の走行位置が、ステップS104において算出された制御領域に到達したか否かを判定する。機器制御部55は、車両の走行位置が制御領域に到達するまで、ステップS105の処理を繰り返す。
【0035】
ステップS106において、情報取得部52は、通信I/F20及びセンサ群30等から、車両の状況を示す情報として、各種情報を取得する。車両の状況を示す情報は、例えば、車両の走行位置、周囲環境及び走行状態の少なくともいずれかである。
【0036】
ステップS107において、パターン決定部53は、ステップS106において取得された情報に基づいて、車両の状況を判断し、ステップS102において検索された制御地点に対応する動作パターン記憶部42の動作パターンから、実行する動作パターンを決定する。
【0037】
ステップS108において、機器制御部55は、ステップS107において決定された動作パターンから、第1段階における制御対象及び制御対象毎の動作終了タイミングを読み込む。動作終了タイミングは、第1段階において動作が開始された制御対象が動作を終了する段階を意味する。
【0038】
ステップS109において、機器制御部55は、ステップS107において決定された動作パターンから、第1段階から第2段階に移行する条件である第1移行条件を読み込む。
【0039】
ステップS110において、機器制御部55は、第1段階における制御対象となる各車載機器8の現在の状態を記憶する。
【0040】
ステップS111において、機器制御部55は、ステップS107において決定された動作パターンのうち、第1段階の動作を開始するように、第1段階における制御対象である各車載機器8を制御する。
【0041】
ステップS112において、機器制御部55は、S109において読み込んだ第1移行条件が満たされるか否かを判定することにより、第2段階に移行するか否かを判定する。機器制御部55は、第1条件が満たされて第2段階に移行すると判定されるまで、ステップS112の処理を繰り返す。
【0042】
ステップS113において、機器制御部55は、ステップS108において読み込んだ動作終了タイミングに基づいて、第1段階における制御対象のうち、第2段階において制御対象とならない車載機器8があるか否かを判定する。第2段階において制御対象とならない車載機器8がある場合は、ステップS114に処理を進め、ない場合は、ステップS115に処理を進める。
【0043】
ステップS114において、機器制御部55は、第1段階における制御対象のうち、第2段階において制御対象とならない車載機器8の動作を停止させ、ステップS110において記憶した状態に戻す。
【0044】
ステップS115において、機器制御部55は、ステップS107において決定された動作パターンから、第2段階における制御対象及び制御対象毎の動作終了タイミングを読み込む。動作終了タイミングは、第2段階において動作が開始された制御対象が動作を終了する段階を意味する。
【0045】
ステップS116において、機器制御部55は、ステップS107において決定された動作パターンから、第2段階から第3段階に移行する条件である第2移行条件を読み込む。
【0046】
ステップS117において、機器制御部55は、第2段階における制御対象となる各車載機器8の現在の状態を記憶する。
【0047】
ステップS118において、機器制御部55は、ステップS107において決定された動作パターンのうち、第2段階の動作を開始するように、第2段階における制御対象である各車載機器8を制御する。
【0048】
ステップS119において、機器制御部55は、S116において読み込んだ第2移行条件が満たされるか否かを判定することにより、第3段階に移行するか否かを判定する。機器制御部55は、第2条件が満たされて第3段階に移行すると判定されるまで、ステップS119の処理を繰り返す。
【0049】
ステップS120において、機器制御部55は、ステップS115において読み込んだ動作終了タイミングに基づいて、第2段階における制御対象のうち、第3段階において制御対象とならない車載機器8があるか否かを判定する。第3段階において制御対象とならない車載機器8がある場合は、ステップS121に処理を進め、ない場合は、ステップS122に処理を進める。
【0050】
ステップS121において、機器制御部55は、第2段階における制御対象のうち、第3段階において制御対象とならない車載機器8の動作を停止させ、ステップS117において記憶した状態に戻す。
【0051】
ステップS122において、機器制御部55は、ステップS107において決定された動作パターンから、第3段階における制御対象を読み込む。
【0052】
ステップS123において、機器制御部55は、第3段階における制御対象となる各車載機器8の現在の状態を記憶する。
【0053】
ステップS124において、機器制御部55は、ステップS107において決定された動作パターンのうち、第3段階の動作を開始するように、第3段階における制御対象である各車載機器8を制御する。
【0054】
ステップS125において、機器制御部55は、車両の走行位置が、ステップS104において算出された制御領域から離脱したか否かを判定する。離脱した場合、ステップS130に処理を進め、離脱していない場合、ステップS126に処理を進める。
【0055】
ステップS126において、機器制御部55は、例えばイグニッションスイッチがオフにされたか否かにより、第3段階における動作を終了するか否かを判定する。動作を終了する場合、ステップS127に処理を進め、動作を終了しない場合、ステップS125に処理を戻す。
【0056】
ステップS127において、機器制御部55は、第3段階の動作を停止するように、第3段階における制御対象である各車載機器8を制御する。
【0057】
ステップS128において、学習処理部56は、ステップS108〜S126の間に、入力I/F60に対するユーザの操作により、動作パターン記憶部42により記憶された第1動作又は第2動作、制御領域算出部54により算出された制御領域、領域記憶部43に記憶された制御領域の少なくともいずれかを変更させる入力があったか否かを判定する。入力があった場合、ステップS129に処理を進め、入力がなかった場合、処理を終了する。
【0058】
ステップS129において、学習処理部56は、入力I/F60からの入力内容に応じて、制御領域算出部54により算出された制御領域、領域記憶部43に記憶された制御領域を変更し、処理を終了する。
【0059】
ステップS130において、機器制御部55は、第3段階の動作を停止するように、第3段階における制御対象である各車載機器8を制御する。
【0060】
ステップS131において、機器制御部55は、ステップS107において決定された動作パターンにおいて制御対象となる各車載機器8を、ステップS110において記憶した状態に戻す。
【0061】
ステップS132において、学習処理部56は、ステップS108〜S126の間に、入力I/F60に対するユーザの操作により、動作パターン記憶部42により記憶された第1動作又は第2動作、制御領域算出部54により算出された制御領域、領域記憶部43に記憶された制御領域の少なくともいずれかを変更させる入力があったか否かを判定する。入力があった場合、ステップS133に処理を進め、入力がなかった場合、ステップS101に処理を戻す。
【0062】
ステップS133において、学習処理部56は、入力I/F60からの入力内容に応じて、制御領域算出部54により算出された制御領域、領域記憶部43に記憶された制御領域を変更し、ステップS101に処理を戻す。
【0063】
(第1実施例)
図5は、本発明の実施の形態に係る第1実施例における動作パターンを示す図である。第1実施例では、ユーザの自宅が車庫のある一軒家であり、車庫を制御地点とする場合の動作パターンを駐車aとして説明する。なお、以下の実施例において説明しない構成、作用及び効果等は、上述の実施の形態と実質的に同様であり重複するため説明を省略する。各実施例相互間においても同様である。
【0064】
機器制御部55は、車両の走行位置が、制御領域算出部54により算出された制御領域又は領域記憶部43に記憶された制御領域に到達すると、第1段階における制御対象であるハザードランプを点滅させ、駐車用モニタを起動する。駐車用モニタは、広角レンズを有するカメラにより撮影された周囲の映像を、歪曲等を補正してディスプレイに表示することにより、運転者に提示し、駐車の支援を行う車載機器である。
【0065】
機器制御部55は、第1移行条件である、ギアポジションがRレンジにシフトされることに応じて、実施段階である第2段階に移行し、オーディオの音声をミュート又は小さくし、アイドリングストップ機能をオフに設定する。ハザードランプ及び駐車用モニタの駆動は第1段階から継続される。この間に、車両は車庫に駐車される。オーディオ機器をミュートすることにより、運転者は、駐車の操作における集中力を向上することができる。アイドリングストップ機能をオフにすることにより、駐車作業中にアイドリングストップされる煩わしさが解消される。
【0066】
また、第2段階において、運転者の嗜好に応じて、機器制御部55は、運転席のロックの解除又は運転席の窓を開けるようにしてもよい。これにより、運転者は、パワーウィンドウ又はドアに対する操作なく、車両から顔を出して目視により車両の周囲を確認することができる。
【0067】
機器制御部55は、第2移行条件である、ギアポジションがPレンジにシフトされることに応じて、駐車スペースへの駐車作業が完了した判断として、後処理段階である第3段階に移行する。第3段階への移行に応じて、機器制御部55は、第2段階において制御対象となった車載機器8の動作を停止させる。機器制御部55は、第3段階において、ルームランプをオンにし、ドアミラーを格納し、施解錠時のブザーをオンに設定する。
【0068】
(第2実施例)
図6は、第2実施例における動作パターンを示す図である。第2実施例では、ユーザの自宅が機械式駐車場等の立体駐車場のある集合住宅であり、後退して駐車する駐車スペースを制御地点とする場合の動作パターンを駐車bとして説明する。
【0069】
機器制御部55は、車両の走行位置が立体駐車場エリアの入口に到達すると、第1段階における制御対象となるハザードランプを点滅させる。また、駐車場用のリモコンが必要な場合、第1段階において、リモコンを創作するためのルームランプを点灯させるようにしてもよい。
【0070】
機器制御部55は、第1移行条件である、車両の走行位置が駐車スペース近傍に到達することに応じて、第2段階に移行し、ハザードランプの点滅を継続させたままルームランプを消灯する。機器制御部55は、第2段階において、オーディオの音声をミュートし、アイドリングストップ機能をオフに設定する。ハザードランプ及び駐車用モニタの駆動は第1段階から継続される。この間に、車両は車庫に駐車される。また、第2段階において、運転者の嗜好に応じて、機器制御部55は、運転席のロックの解除又は運転席の窓を開けるようにしてもよい。
【0071】
機器制御部55は、第2移行条件である、ギアポジションがPレンジにシフトされることに応じて、駐車スペースへの駐車作業が完了したと判断して、後処理段階である第3段階に移行する。第3段階への移行に応じて、機器制御部55は、第2段階において制御対象となった車載機器の動作を停止させる。機器制御部55は、第3段階において、ルームランプをオンにし、ドアミラーを格納し、施解錠時のブザーをオンに設定する。
【0072】
(第3実施例)
図7は、第3実施例における動作パターンを示す図である。第3実施例では、ユーザの自宅の駐車場を制御地点として、夜間に家族を同乗させる場合の動作パターンを駐車cとして説明する。駐車cは、例えば、時間帯、曜日、入力I/F60に対するユーザの操作等に基づく車両の状況に応じて、パターン決定部53により決定される。
【0073】
機器制御部55は、車両の走行位置が、制御領域算出部54により算出された制御領域又は領域記憶部43に記憶された制御領域である自宅前の道路に到達すると、第1段階における制御対象である前照灯のポジションをスモールにする。これにより、ユーザの前照灯に対する操作を必要とせず、自宅の周囲に照射される光の量が低減され、夜間における自宅の周囲への影響を低減することができる。
【0074】
機器制御部55は、第1移行条件である、ギアポジションがRレンジにシフトされることに応じて、実施段階である第2段階に移行し、オーディオの音声をミュートし、アイドリングストップ機能をオフに設定する。また、機器制御部55は、第2段階において、ドアミラーを下方向にチルトし、バックビューモニタをオンの状態に固定する。バックビューモニタは、カメラにより撮影された車両の後方の映像をディスプレイに表示する車載機器である。バックビューモニタは、通常、ギアポジションがRレンジのときに限りオンとなる。前照灯のポジションがスモールの状態は第1段階から継続される。この間に、車両は車庫に駐車される。
【0075】
ドアミラーが下方向にチルトされることにより、運転者は、駐車時において車両の側方下側を確認しやすくなる。また、バックビューモニタのオンの状態が固定されることにより、車両の駐車時において、ギアポジションがRレンジにシフトされるたびにオンオフが繰り返されることにより煩わしさを解消することができる。
【0076】
機器制御部55は、第2移行条件である、ギアポジションがPレンジにシフトされることに応じて、駐車スペースへの駐車作業が完了した判断として、後処理段階である第3段階に移行する。第3段階への移行に応じて、機器制御部55は、第2段階において制御対象となった車載機器の動作を停止させる。機器制御部55は、第3段階において、ドアミラーを格納し、後部座席のスライドドアを開き、施解錠時のブザーをオフに設定する。車両の状況に応じて動作パターンが決定され、ブザーがオフに設定されることにより、ユーザの各車載機器8に対する操作を必要とせず、夜間における自宅の周囲への影響を低減することができる。
【0077】
(第4実施例)
図8は、第4実施例における動作パターンを示す図である。第4実施例では、外出先の所定の駐車場を制御地点とする場合の動作パターンを駐車dとして説明する。駐車dは、例えば、制御地点として設定される駐車場に入場することにより、パターン決定部53により決定される。
【0078】
機器制御部55は、車両の走行位置が、例えば駐車場の入口ゲートから所定の距離範囲に到達することにより制御領域に到達したと判断し、駐車dの第1段階に移行し、運転席のパワーウィンドウを開く。これにより、運転者は、パワーウィンドウに対する操作を行うことなく、ゲートに対する操作が可能な状態となる。
【0079】
機器制御部55は、第1移行条件である、車両の速度が所定の閾値(例えば4km/h)未満になることに応じて、第2段階に移行する。機器制御部55は、第2段階において、ハザードランプを点滅させ、オーディオ機器をミュートし、アイドリングストップ機能をオフに設定し、バックビューモニタをオンの状態で固定する。第1移行条件は、その他、操舵角、ハザードランプに対する操作、駐車枠の検出結果等を用いてもよい。
【0080】
機器制御部55は、第2移行条件である、ギアポジションがPレンジにシフトされることに応じて、駐車スペースへの駐車作業が完了した判断として、第3段階に移行する。第3段階への移行に応じて、機器制御部55は、第2段階において制御対象となった車載機器の動作を停止させる。機器制御部55は、第3段階において、ルームランプを点灯させ、ドアミラーを格納し、施解錠時のブザーをオンに設定する。
【0081】
(第5実施例)
図9は、第5実施例における動作パターンを示す図である。第5実施例では、子供が通う幼稚園近傍の路上を制御地点として、後部座席に座る子供を乗降車させる場合の動作パターンを駐車eとして説明する。
【0082】
機器制御部55は、車両の走行位置が制御地点から所定の距離範囲である制御領域に到達したことに応じて、駐車eの第1段階に移行する。機器制御部55は、第1段階において、ハザードランプを点滅させ、サイドブラインドモニタをオンにし、ドアミラーを下方向にチルトする。サイドブラインドモニタは、カメラにより撮影された車両側方の死角の映像をディスプレイに表示する車載機器である。
【0083】
機器制御部55は、第1移行条件である、車両の走行位置が制御地点側に所定の距離移動することに応じて、第2段階に移行する。機器制御部55は、第2段階において、オーディオ機器をミュートし、アイドリングストップ機能をオフに設定し、運転席のドアロックを解錠又は運転席のパワーウィンドウを開く。ハザードランプの点滅、サイドブラインドモニタのオン、ドアミラーのチルトは、第1段階から継続される。第2段階の間、車両は、路肩へ幅寄せされる。
【0084】
機器制御部55は、第2移行条件である、ギアポジションがPレンジにシフトされることに応じて、路肩への駐車作業が完了した判断として、第3段階に移行する。第3段階への移行に応じて、機器制御部55は、第2段階において制御対象となった車載機器の動作を停止させる。機器制御部55は、第3段階において、ドアミラーを格納し、後部座席のスライドドアを開き、施解錠時のブザーをオンに設定する。
【0085】
(第6実施例)
図10は、第6実施例における動作パターンを示す図である。第6実施例では、外出先の立体駐車場を制御地点として、後退して駐車する場合の動作パターンを駐車fとして説明する。
【0086】
機器制御部55は、車両の走行位置が、駐車場の入口ゲートから所定の距離範囲に到達することにより制御領域に到達したと判断し、駐車fの第1段階に移行し、運転席のパワーウィンドウを開く。
【0087】
機器制御部55は、第1移行条件である、車両の走行位置が第1段階移行時から所定の距離(例えば30m)変化することに応じて、第2段階に移行する。機器制御部55は、第2段階において、オーディオ機器をミュートし、アイドリングストップ機能をオフに設定し、ドアミラーを下方向にチルトし、サイドブラインドモニタをオンに設定する。
【0088】
機器制御部55は、第2移行条件である、ギアポジションがPレンジにシフトされることに応じて、駐車スペースへの駐車作業が完了した判断として、第3段階に移行する。第3段階への移行に応じて、機器制御部55は、第2段階において制御対象となった車載機器の動作を停止させる。機器制御部55は、第3段階において、ルームランプを点灯させ、ドアミラーを格納し、施解錠時のブザーをオンに設定する。
【0089】
(第7実施例)
図11は、第7実施例における動作パターンを示す図である。第7実施例では、高速道路を制御地点及び制御領域とし、車両の走行状態に応じて決定される動作パターンを高速道路aとして説明する。
【0090】
車両が高速道路に進入したことに応じて、パターン決定部53は高速道路aを決定し、機器制御部55は第1段階に移行する。この場合、第1段階は、車載機器8を制御する段階でなく、第2段階への移行を待機する段階となる。機器制御部55は、第1移行条件である、車両の速度が所定の速度範囲内、且つ、先行車との車間距離が所定の距離範囲内の状態を所定の時間(例えば5秒)継続されることに応じて、第2段階に移行する。
【0091】
機器制御部55は、第2段階において、クルーズコントロールシステムをオンに設定する。クルーズコントロールシステムは、運転者のアクセル操作と独立してエンジン、電動機、変速機等を制御することにより車両の加減速、トルクを自動的に制御するシステムである。クルーズコントロールシステムは、例えば、車速を一定に制御するASCD(Auto Speed Control Device)や、前方に先行車がない場合に設定された車速を維持し、前方に先行車がある場合に予め設定した車速に応じて車間距離を一定に制御するICC(Intelligent Cruise Control)等を含む。
【0092】
機器制御部55は、例えば、運転者の操作により車線変更されることに応じて、第3段階に移行し、クルーズコントロールシステムをオフにする。車線変更は、操舵角、車線検出等により検出されればよい。機器制御部55は、例えば、車両が右車線に車線変更した場合、第3段階において、「加速してください」等の音声をスピーカから出力、又は文字をディスプレイに表示することにより、運転者に手動操作を促す。これにより、追い越し車線において車両の速度が不足することを低減することができる。
【0093】
(第8実施例)
図12は、第8実施例における動作パターンを示す図である。第8実施例では、高速道路を制御地点及び制御領域とし、長時間走行する間に運転者が居眠りすることを防止する機能を実行する場合の動作パターンを高速道路bとして説明する。
【0094】
高速道路においてクルーズコントロールシステムがオンに設定されることに応じて、パターン決定部53は、高速道路bを決定し、機器制御部55は、第1段階に移行する。機器制御部55は、第1移行条件である、車両の速度が所定の速度範囲内、且つ、先行車との車間距離が所定の距離範囲内の状態を所定の時間(例えば2時間)継続されることに応じて、第2段階に移行する。
【0095】
機器制御部55は、第2段階において、マッサージ機能をオンにし、アロマディフューザをオンにし、エアコンに冷気を噴出させる。マッサージ機能がオンになることにより、車載機器である運転席のマッサージ器が駆動し、運転者の体をマッサージする。クルーズコントロールシステムがオンの状態は、第1段階から継続される。アロマディフューザは、充填された芳香剤の芳香を拡散する車載機器であり、芳香剤として眠気を覚ます効果を有するオイル等が採用されることにより、運転者の眠気を覚ますことができる。
【0096】
機器制御部55は、例えば、第2段階への移行から所定の時間が経過することに応じて、第3段階に移行する。機器制御部55は、第2段階において制御対象となった車載機器の動作を停止させる。クルーズコントロールシステムがオンの状態は、第1段階から継続される。機器制御部55は、第3段階において、「休憩しませんか?」等の音声をスピーカから出力し、運転者に休憩等の運転計画を提案する。第1移行条件及び第2移行条件は、運転者の生体情報を検出するセンサの出力に基づく条件等であってもよい。
【0097】
(第9実施例)
図13は、第9実施例における動作パターンを説明する図である。第9実施例では、高速道路を制御地点及び制御領域とし、車両が長い下り坂を走行する場合の動作パターンを高速道路cとして説明する。
【0098】
車両が高速道路に進入したことに応じて、パターン決定部53は高速道路cを決定し、機器制御部55は第1段階に移行する。第1段階は、車載機器8を制御する段階でなく、第2段階への移行を待機する段階である。機器制御部55は、第1移行条件である、車両の走行位置が、高速道路のうち、所定の長さ以上の下り坂区間に進入することに応じて、第2段階に移行する。下り坂区間は、地図情報から検出されるようにしてもよく、角速度センサから検出されるようにしてもよい。
【0099】
機器制御部55は、第2段階において、オーバードライブをオフに設定する。オーバードライブがオフに設定されることにより、変速機のギア比が1:1未満となることがなくなり、車速が上がりすぎることを低減することができる。
【0100】
機器制御部55は、車両の走行位置が下り坂区間から離脱することに応じて、機器制御部55は、第3段階に移行し、オーバードライブのオフ設定を解除する。機器制御部55は、第3段階において、「機能設定しますか?」等の音声をスピーカから出力、又はディスプレイに文字を表示することにより、第2段階において実行した運転者にオーバードライブをオフにする機能を今後も設定するか否かを提案する。運転者は、入力I/F60に対して操作することにより、機能を今後も設定するか否かを選択する。運転者による入力I/F60に対する操作に応じて、動作パターン記憶部42は、対応する動作パターンを変更する。
【0101】
(第10実施例)
図14及び図15は、第10実施例における動作パターンを説明する図である。第10実施例では、高速道路を制御地点及び制御領域とし、道路の形状に応じてクルーズコントロールシステムの動作を停止する場合の動作パターンを高速道路d又は高速道路eとして説明する。
【0102】
車両が高速道路に進入したことに応じて、パターン決定部53は高速道路dを決定し、機器制御部55は第1段階に移行する。第1段階は、車載機器8を制御する段階でなく、第2段階への移行を待機する段階となる。機器制御部55は、第1移行条件である、車両の速度が所定の速度範囲内、且つ、先行車との車間距離が所定の距離範囲内の状態を所定の時間(例えば5秒)継続されることに応じて、第2段階に移行する。
【0103】
機器制御部55は、第2段階において、クルーズコントロールシステムをオンに設定する。機器制御部55は、車両の走行位置が、曲率Rが所定の閾値を超える領域又はカーブが連続するワインディング領域に進入することに応じて、第3段階に移行する。機器制御部55は、第3段階において、クルーズコントロールシステムをオフにする。機器制御部55は、第3段階において、「ASCD利用不可です」等の音声をスピーカから出力、又は文字をディスプレイに表示することにより、運転者に手動操作を促す。これにより、クルーズコントロールシステムの適正な駆動が困難な領域において、運転者に手動操作を行うことを促すことができる。
【0104】
(第11実施例)
図16及び図17は、第11実施例における動作パターンを説明する図である。第11実施例では、ユーザの自宅が車庫のある一軒家であり、車庫を制御地点とする場合の動作パターンを駐車aとして説明する。
【0105】
パターン決定部53は、現在時刻が日中の場合、図16に示す駐車aを実行する動作パターンとして決定する。機器制御部55は、車両の走行位置が、自宅前の道路に到達すると、第1段階における制御対象であるハザードランプを点滅させ、オーディオ機器をミュートする。機器制御部55は、第1移行条件である、ギアポジションがRレンジにシフトされることに応じて、第2段階に移行する。
【0106】
機器制御部55は、第2段階において、アイドリングストップ機能をオフに設定し、運転席のドアを解錠する。ハザードランプの点滅及びオーディオ機器のミュートは第1段階から継続される。機器制御部55は、第2移行条件である、ギアポジションがPレンジにシフトされることに応じて、駐車スペースへの駐車作業が完了した判断として、第3段階に移行する。
【0107】
機器制御部55は、第3段階において、第2段階において制御対象となった車載機器8の動作を停止させる。また、機器制御部55は、第3段階において、ルームランプをオンにし、施解錠時のブザーをオンに設定する。
【0108】
一方、パターン決定部53は、現在時刻が夜間の場合、図16に示す駐車aを図17に示すように変更し、変更された駐車aを実行する動作パターンとして決定する。機器制御部55は、車両の走行位置が、自宅前の道路に到達すると、第1段階における制御対象である前照灯のポジションをスモールにし、オーディオ機器をミュートする。機器制御部55は、第1移行条件である、ギアポジションがRレンジにシフトされることに応じて、第2段階に移行する。
【0109】
機器制御部55は、第2段階において、アイドリングストップ機能をオフに設定し、運転席のドアを解錠する。前照灯のポジション及びオーディオ機器のミュートは第1段階から継続される。機器制御部55は、第2移行条件である、ギアポジションがPレンジにシフトされることに応じて、駐車スペースへの駐車作業が完了した判断として、第3段階に移行する。
【0110】
機器制御部55は、第3段階において、第2段階において制御対象となった車載機器8の動作を停止させる。また、機器制御部55は、第3段階において、ルームランプをオンにし、ドアミラーを格納し、施解錠時のブザーをオフに設定する。
【0111】
パターン決定部53は、夜間において前照灯のポジションをスモールにし、施解錠時のブザーをオフに設定するように動作パターンを変更することにより、夜間における自宅周囲への影響を低減することができる。このように、パターン決定部53が車両の状況に応じて動作パターンを変更し、機器制御部55が変更された動作パターンを実行するようにしてもよい。
【0112】
(第12実施例)
図18及び図19は、第12実施例において使用される動作パターンを説明する図である。本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置は、特定の制御地点に関連付けられた特定の場所において過去に行われた車載機器8の動作を動作パターン記憶部42が記憶し、機器制御部55が過去に行われた動作に関連付けられた動作を制御領域において実行するように車載機器8を制御するように構成されてもよい。第12実施例では、特定の場所をゴルフ場として例示的に説明する。
【0113】
動作パターン記憶部42は、例えば、車載機器8及び動作が設定されていないブランクの動作パターンを記憶し得る。動作パターン記憶部42は、例えば、ゴルフ場の駐車場においてトランクが開かれたことを車両のセンサが検出すると、図18に示すように、ブランクの動作パターンの第1段階にトランクが開かれたことを記録する。ユーザは、車両のトランクに荷物を載せて、自宅に向けて運転を開始する。
【0114】
機器制御部55は、ギアポジションがDレンジにシフトされることに応じて、第2段階に移行し、ゴルフ場の敷地から離脱することに応じて、第3段階に移行する。また、動作パターン記憶部42は、第3段階に移行したことに応じて、ゴルフ場を、自宅に関連付けられた特定の出発地として、対応する動作パターンに関連付ける。
【0115】
図19は、ユーザの自宅の車庫を制御地点として駐車を行う場合の動作パターンを示す図である。パターン決定部53は、図19に示すように、出発地において行われた動作であるトランクを開くことに関連付けられた動作として、トランクのロックを解錠することを含むように動作パターンを変更する。
【0116】
機器制御部55は、車両の走行位置が、自宅前の道路に到達すると、第1段階における制御対象であるハザードランプを点滅させ、オーディオ機器をミュートする。機器制御部55は、第1移行条件である、ギアポジションがRレンジにシフトされることに応じて、第2段階に移行する。
【0117】
機器制御部55は、第2段階において、アイドリングストップ機能をオフに設定し、運転席のドアを解錠する。ハザードランプの点滅及びオーディオ機器のミュートは第1段階から継続される。機器制御部55は、第2移行条件である、ギアポジションがPレンジにシフトされることに応じて、駐車スペースへの駐車作業が完了した判断として、第3段階に移行する。
【0118】
機器制御部55は、第3段階において、第2段階において制御対象となった車載機器8の動作を停止させる。また、機器制御部55は、第3段階において、ルームランプをオンにし、施解錠時のブザーをオンに設定し、更に、トランクのロックを解錠する。
【0119】
(第13実施例)
図20図24は、第13実施例におけるタッチパネルディスプレイに表示される画面を示す図である。本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置は、車載機器8の1つであるタッチパネルディスプレイに、パターン決定部53により決定された動作パターンの少なくとも一部を表示させることにより、動作パターンを編集可能であってもよい。
【0120】
図20は、目的地までの走行経路を案内するカーナビゲーションシステムによる表示画面の一例であり、黒の太線が設定された走行経路、走行経路上の矢印が車両の走行位置及び方向を示す。パターン決定部53は、制御地点である駐車場までの距離が所定の距離未満となることに応じて、動作パターンを決定する。動作パターンが決定されると、パターン決定部53は、例えば、図20に示すように、「駐車」とタイトルが付されたウィンドウをディスプレイに表示し、ウィンドウ内に制御対象となる各車載機器及び設定動作を表示する。
【0121】
図20に示す5つの項目は、ドアミラーが下方向に3/4チルトされ、運転席のパワーウィンドウが1/2開かれ、ドアロックが解錠され、バックビューモニタがRレンジのときのみオンとなり、オーディオ機器がミュートされることを意味する。また、「Yes」、「No」及び「Hide」のボタンは、それぞれ、表示された動作パターンの実行の受諾、拒否及びウィンドウを隠すこと命令するボタンである。
【0122】
ここで、駐車シーンにおいて、バックビューモニタをギアポジションに関わらず常時オンにすることをユーザが所望したとする。このとき、図21に示すように、ユーザは、ウィンドウに表示されたバックビューモニタの項目をタッチする。すると、ディスプレイは、図22に示すように、バックビューモニタの動作を示す値及び値を指定するボタンを表示する。図23に示すように、ユーザにより「常時ON」の値が選択されると、ウィンドウは、図24に示すように、動作パターンのうち、バックビューモニタの項目が変更される。動作パターン記憶部42は、変更に応じて動作パターンを上書きする。
【0123】
このように、実行予定の動作パターンが表示されることにより、ユーザは、制御地点が初めて訪れる場所の場合であっても、嗜好に合致した動作パターンを複数の車載機器8に実行させることができる。また、動作パターン記憶部42が、変更に応じて記憶する動作パターンを上書きすることにより、以後の動作パターンは、簡単な操作によりユーザの嗜好に合致したものとなる。
【0124】
以上のように、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置によれば、制御地点毎に予め関連付けられた複数の車載機器の動作パターンを実行することにより、様々な車載機器8に対するユーザの操作を簡単且つ効率的に低減することができる。
【0125】
また、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置によれば、動作パターンが、時系列における複数の段階を有し、前記複数の段階毎に設定されるため、複数の車載機器8の動作を実用的に制御することができ、車載機器8に対するユーザの操作を簡単且つ効率的に低減することができる。
【0126】
また、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置によれば、動作パターンに、複数の段階を移行する移行条件として、車両の状況に基づく条件が設定されることにより、複数の車載機器8の動作を実用的に制御することができ、車載機器8に対するユーザの操作を簡単且つ効率的に低減することができる。
【0127】
また、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置によれば、過去に行われた動作に関連付けられた動作を実行することにより、ユーザの行動に応じて車載機器8の動作を実用的に制御することができ、車載機器8に対するユーザの操作を簡単且つ効率的に低減することができる。
【0128】
また、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置によれば、車両の状況に応じて、実行する動作パターンを決定することにより、車載機器8の動作を実用的に制御することができ、車載機器8に対するユーザの操作を簡単且つ効率的に低減することができる。
【0129】
また、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置によれば、車載機器の動作がユーザにより変更されることに応じて、記憶する動作パターンを変更することにより、動作パターンをユーザの嗜好に応じてカスタマイズすることができる。
【0130】
また、本発明の実施の形態に係る車載機器制御装置によれば、動作パターンがユーザにより編集可能であることにより、ユーザの嗜好に応じた動作パターンを記憶することができ、車載機器8に対するユーザの操作を簡単且つ効率的に低減することができる。
【0131】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明を上記の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0132】
例えば、既に述べた実施の形態において、制御領域算出部54は、車両の速度に応じて、制御領域を算出するようにしてもよい。例えば、制御領域算出部54は、車両の速度と、制御地点に到達するまでの時間が所定の時間(例えば3秒)となる点を制御領域に到達する点として算出する。制御領域算出部54は、予め設定された減速時の速度プロファイルや、過去の走行履歴に基づいた速度プロファイルを用いて制御領域を算出するようにしてもよい。
【0133】
また、制御領域算出部54は、制御対象となる車載機器8の種類に応じて、車両が制御地点に到達する間に走行する時間に基づいて、制御領域を算出するようにしてもよい。車載機器8は、パワーウィンドウ、ドアミラー等、動作の開始から完了までの遷移時間を有する機器が含まれる。このような遷移時間を有する車載機器8が制御対象となる場合、車両が走行する時間に基づいて、制御領域を算出することにより、車両が制御地点に到達するまでに、確実に動作を完了させることができ、制御地点を通過した後、効率的に動作を完了させることができる。
【0134】
また、移行条件は、ギアポジションの変化、走行位置の変化、車線の変化、走行状態の継続時間、車速等の他、例えば、所定の時間経過後、入力I/F60に対する操作等、種々の条件が採用可能である。
【0135】
また、既に述べた実施の形態において、動作パターン記憶部42が記憶する動作パターンは、車載機器8であるタッチパネルディスプレイを用いて変更される構成を説明した例示である。動作パターンは、例えば、ネットワークを介して、外部のPC、スマートフォン等を用いて編集可能な構成であってもよい。
【0136】
また、上述の実施の形態及び実施例に記載される各機能は、1または複数の処理回路により実行され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理回路は、記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や回路部品等の装置を含むようにしてもよい。
【0137】
上記の他、上記の実施の形態及び実施例に記載される各構成を任意に応用した構成等、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0138】
8 車載機器
41 地図情報記憶部
42 動作パターン記憶部
51 走行位置取得部
53 パターン決定部
54 制御領域算出部
55 機器制御部
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