(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一の領域は、前記ワーク上の前記搬送路に沿った方向における一方の側に設定され、前記第二の領域は、前記ワーク上の前記搬送路に沿った方向における他方の側に設定されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の光照射装置。
前記第一の使用位置における前記プレート部材の前記一方の端部の位置、および前記第二の使用位置における前記プレート部材の前記他方の端部の位置は、それぞれ前記第一の領域と前記第二の領域との間に設定されていることを特徴とする請求項8に記載の光照射装置。
前記プレート部材の端部に設けられ、当該端部よりも下方に位置する下端面を有する先端部材をさらに備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の光照射装置。
前記第一の光照射部および前記第二の光照射部は、それぞれ光出射口の光出射側に配置されることで前記光出射口から出射される前記光配向膜の光配向に寄与する波長の偏光光を遮光可能な遮光部を備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の光照射装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光配向処理は、テレビ画面用の液晶パネルのような大型の基板のみならず、スマートフォン用など中小型の液晶ディスプレイにも展開されてきている。そのため、大型の液晶ディスプレイと中小型の液晶ディスプレイなど、異なるサイズ、異なる用途のディスプレイを効率的に製造したいという要望がある。
このような要望に応えるためには、1枚の基板上に配向方向が異なる複数の配向領域を形成し、この基板をマザー基板として複数種類の基板を作成する必要がある。しかしながら、従来の光照射装置は、1枚の基板の全面に対し、一定方向の偏光軸を有する偏光光を照射することしかできない。そのため、1枚の基板上に配向方向が異なる複数の配向領域を形成することはできない。
そこで、本発明は、1枚のワーク上に配向方向が異なる複数の領域を形成することができる光照射装置および光照射方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る光照射装置の一態様は、光配向膜が形成されたワークに偏光光を照射して光配向を行う光照射装置であって、前記ワークを所定の搬送路に沿って搬送するステージと、前記ワークの搬送路上に設置され、光源からの光を第一の偏光子によって偏光し、光出射口から第一の偏光光を照射する第一の光照射部と、前記搬送路上において前記第一の光照射部に並設され、光源からの光を前記第一の偏光子とは異なる方向の透過軸を有する第二の偏光子によって偏光し、光出射口から第二の偏光光を照射する第二の光照射部と、前記ステージに配置され、前記ステージ上の前記ワークの偏光光の照射可能領域内における第一の使用位置で、前記第一の偏光光により光配向されるべき前記ワーク上の第一の領域
への前記第一の偏光光の照射を許容することで前記第一の領域を規定し、前記照射可能領域内における前記第一の使用位置とは異なる第二の使用位置で、前記第二の偏光光により光配向されるべき前記ワーク上の第二の領域
への前記第二の偏光光の照射を許容することで前記第二の領域を規定するプレート部材と、前記プレート部材を、前記第一の使用位置と前記第二の使用位置との間で移動する駆動部と、
前記ステージの前記ワークの載置面に対して直交する軸回りの回転を制御し、前記ステージの姿勢を光照射時の姿勢とする回転制御部と、を備え
、前記プレート部材は、前記回転制御部によって前記ステージと共に回転する。
【0006】
上記の構成により、プレート部材によって、第一の光照射部から出射される第一の偏光光が照射されるワーク上の領域と、第二の光照射部から出射される第二の偏光光が照射されるワーク上の領域とを規定することができる。これにより、偏光軸がそれぞれ異なる複数の偏光光を1枚のワークに照射領域を分けて照射することができ、1枚のワーク上に配向方向が異なる複数の配向領域を形成することができる。したがって、異なるサイズ、異なる用途の基板を効率的に製造することができ、生産性を向上させることができる。
また、1枚のワーク上を、搬送路に沿った方向や搬送路に直交する方向だけでなく、これらの方向に一致しない任意の方向に分離して複数の配向領域を形成することができる。
【0007】
また、上記の光照射装置において、前記プレート部材は、前記光配向膜の光配向に寄与する波長の偏光光を遮光する光学フィルタにより構成されていてもよい。このように、プレート部材を光学フィルタにより構成すれば、光源からの熱による第一のプレート部材および第二のプレート部材の変形や劣化を抑制することができる。
さらに、上記の光照射装置において、前記プレート部材は、前記第一の使用位置および前記第二の使用位置と、前記照射可能領域から退避した退避位置との間を移動可能であってもよい。プレート部材を退避位置に退避させ、例えば第二の光照射部からの偏光光の照射を停止すれば、ワークの全面に対して一様に第一の偏光光を照射することができる。したがって、1枚のワークの全面に対して同一方向の偏光軸を有する偏光光を照射する光配向処理と、1枚のワークを複数の配向領域に分け、配向領域ごとにそれぞれ異なる方向の偏光軸を有する偏光光を照射する光配向処理とを切り替えて実施することも可能となる。
【0008】
また、上記の光照射装置において、前記プレート部材は、水平方向にスライド移動可能であってもよい。この場合、装置の高さ方向(垂直方向)の省スペース化が図れる。
さらに、上記の光照射装置において、前記プレート部材は、複数枚のサブプレート部材により構成され、前記複数枚のサブプレート部材は、前記第一の使用位置および前記第二の使用位置において、前記サブプレート部材同士の端部をオーバーラップさせて一列に連なるように配置されていてもよい。この場合、オーバーラップ量に応じてワーク上に形成される配向領域のサイズを調整可能となる。また、退避位置では複数枚のサブプレート部材を重ねて配置しておくことができるので、退避位置のスペースが小さくてすむ。
【0009】
また、上記の光照射装置において、前記プレート部材は、前記ステージに配置され、前記ステージの前記ワークの載置面よりも前記光出射口側で、前記ステージを横断して跨る支持部材の上に固定されていてもよい。この場合、プレート部材の撓みを防止し、プレート部材とワークとの接触を防止することができる。
さらに、上記の光照射装置において、前記駆動部は、前記ステージにおける前記ワークの載置面よりも下方に配置されていてもよい。この場合、プレート部材の移動によって発生したゴミ等がステージ上に落下することを防止することができる。
【0010】
また、上記の光照射装置において、前記第一の領域は、前記ワーク上の前記搬送路に沿った方向における一方の側に設定され、前記第二の領域は、前記ワーク上の前記搬送路に沿った方向における他方の側に設定されていてもよい。このように、第一の領域と第二の領域とを、搬送路に沿った方向に配列させて形成することもできる。
さらに、上記の光照射装置において、前記第一の使用位置における前記プレート部材の前記一方の端部の位置、および前記第二の使用位置における前記プレート部材の前記他方の端部の位置は、それぞれ前記第一の領域と前記第二の領域との間に設定されていてもよい。このようにプレート部材の端部位置を設定することで、1枚のワーク上を搬送路に沿った方向に分離して複数の配向領域を適切に形成することができる。
【0011】
また、上記の光照射装置において、前記プレート部材の端部に設けられ、当該端部よりも下方に位置する下端面を有する先端部材をさらに備えてもよい。この場合、先端部材を設けない場合と比較して、プレート部材の直下の領域への光の回り込みを低減することができる。したがって、ワーク上に適切に配向領域を形成することができる。
さらに、上記の光照射装置において、前記先端部材は、前記下端面の高さ方向位置を調整可能であってもよい。この場合、上記の光の回り込み量を調整することが可能となり、より適切にワーク上に配向領域を形成することができる。
【0012】
さらに、上記の光照射装置において、前記ステージは、前記搬送路上において、前記第一の光照射部および前記第二の光照射部の照射領域の一方の側に設定された待機位置から前記照射領域へ向かう移動を往路移動として往復移動可能に構成されており、前記駆動部は、前記ステージの往路と復路とで、前記プレート部材の位置を、前記第一の使用位置と前記第二の使用位置とで切り替えてもよい。この場合、ステージの往復移動によって、1枚のワーク上に異なる2つの配向領域を形成することができる。
【0013】
また、上記の光照射装置において、前記第一の光照射部および前記第二の光照射部は、それぞれ光出射口の光出射側に配置されることで前記光出射口から出射される前記光配向膜の光配向に寄与する波長の偏光光を遮光可能な遮光部を備えてもよい。この場合、第一の光照射部からの第一の偏光光の照射と、第二の光照射部からの第二の偏光光の照射とを適切に切り替えることができる
。
【0014】
さらに、本発明に係る光照射方法の一態様は、光配向膜が形成されたワークに偏光光を照射して光配向を行う光照射方法であって、ステージに載置された前記ワークの偏光光の照射可能領域内における第一の使用位置にプレート部材を配置して、前記ワークの搬送路上に設置された第一の光照射部が照射する、光源からの光を第一の偏光子によって偏光した第一の偏光光により光配向されるべき前記ワーク上の第一の領域
への前記第一の偏光光の照射を許容することで前記第一の領域を規定するステップと、
前記ステージの前記ワークの載置面に対して直交する軸回りの回転を制御し、前記プレート部材を前記ステージと共に回転させて、前記ステージの姿勢を光照射時の姿勢とするステップと、前記ワークを前記ステージによって前記搬送路に沿って搬送し、前記ワーク上の前記第一の領域に前記第一の偏光光を照射するステップと、前記プレート部材を前記第一の使用位置から、前記照射可能領域内における前記第一の使用位置とは異なる第二の使用位置に移動し、前記搬送路上において前記第一の光照射部に並設された第二の光照射部が照射する、光源からの光を前記第一の偏光子とは異なる方向の透過軸を有する第二の偏光子によって偏光した第二の偏光光により光配向されるべき前記ワーク上の第二の領域
への前記第二の偏光光の照射を許容することで前記第二の領域を規定するステップと、前記ワークを前記ステージによって前記搬送路に沿って搬送し、前記ワーク上の前記第二の領域に前記第二の偏光光を照射するステップと、を含む。
上記の構成により、偏光軸がそれぞれ異なる複数の偏光光を1枚のワークに照射領域を分けて照射することができ、1枚のワーク上に配向方向が異なる複数の配向領域を形成することができる。したがって、異なるサイズ、異なる用途の基板を効率的に製造することができ、生産性を向上させることができる。
また、1枚のワーク上を、搬送路に沿った方向や搬送路に直交する方向だけでなく、これらの方向に一致しない任意の方向に分離して複数の配向領域を形成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、偏光軸がそれぞれ異なる複数の偏光光を1枚のワークに照射領域を分けて照射することができるので、1枚のワーク上に配向方向が異なる複数の配向領域を形成することができる。したがって、異なるサイズ、異なる用途の基板を効率的に製造することができ、生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第一の実施形態)
図1は、本実施形態の偏光光照射装置100を示す概略構成図である。
偏光光照射装置100は、光照射部10A、10Bおよび10Cと、ワークWを搬送する搬送部20とを備える。ここで、ワークWは、例えば光配向膜が形成された矩形状の基板である。偏光光照射装置100は、光照射部10A〜10Cの少なくとも1つから偏光光(偏光した光)を照射しながら、搬送部20によってワークWを直線移動させ、ワークWの光配向膜に上記偏光光を照射して光配向処理をする。
【0018】
本実施形態では、偏光光照射装置100は、1枚のワークWの全面に対して同一方向の偏光軸を有する偏光光を照射する第一の光配向処理と、1枚のワークW上を複数の配向領域に分け、配向領域ごとにそれぞれ異なる方向の偏光軸を有する偏光光を照射する第二の光配向処理とを切り替えて実施可能とする。なお、本実施形態では、第一の光配向処理の方が第二の光配向処理よりも実施頻度が高いものとして説明する。
光照射部10A〜10Cは、線状の光源であるランプ11と、ランプ11の光を反射するミラー12とをそれぞれ備える。また、光照射部10A〜10Cは、その光出射側に配置された偏光子ユニット13をそれぞれ備える。さらに、光出射部10A〜10Cは、ランプ11、ミラー12および偏光子ユニット13を収容するランプハウス14をそれぞれ備える。光照射部10A〜10Cは、ランプ11の長手方向をワークWの搬送路が延在する方向である搬送方向(X方向)に直交する方向(Y方向)に一致させた状態で、ワークWの搬送方向(X方向)に沿って並設されている。なお、
図1では、灯具(光照射部)を3灯としているが、2灯以上であればよい。灯具の数は、光配向処理に必要なエネルギ量やタクトタイム等に応じて決定することができる。
【0019】
以下、光照射部10A〜10Cの具体的構成について説明する。
ランプ11は長尺状のいわゆるロングアーク放電ランプであり、その発光部が、ワークWの搬送方向に直交する方向の幅に対応する長さを有する。このランプ11は、例えば、高圧水銀ランプや、水銀に他の金属とハロゲンとを加えたメタルハライドランプ、水銀以外の金属とハロゲンとが封入されたメタルハライドランプ等の放電ランプであり、封入発光種に応じて波長200nm〜400nmの紫外光を放射する。
光配向膜の材料としては、波長254nmの光で配向されるもの、波長313nmの光で配向されるもの、波長365nmの光で配向されるものなどが知られており、光源の種類は必要とされる波長に応じて適宜選択する。
なお、光源としては、紫外光を放射するLEDやLDを直線状に並べて配置した線状光源を用いることもできる。その場合、LEDやLDを並べる方向がランプ11の長手方向に相当する。
【0020】
ミラー12は、ランプ11からの放射光を所定の方向に反射するものであり、その断面が楕円形または放物線状の樋状集光鏡である。ミラー12は、その長手方向がランプ11の長手方向と一致するように配置されている。
ランプハウス14は、その底面に、ランプ11からの放射光およびミラー12による反射光が通過する光出射口を有する。偏光子ユニット13は、ランプハウス14の光出射口に取り付けられ、当該光出射口を通過する光を偏光する。
【0021】
偏光子ユニット13は、複数の偏光子をY方向、本実施形態においてはランプ11の長手方向に沿って並んで配置した構成を有する。これら複数の偏光子は、例えばフレーム等により支持されている。偏光子は、例えば、ワイヤーグリッド型偏光素子であり、偏光子の個数は、偏光光を照射する領域の大きさに合わせて適宜選択する。なお、1つの偏光子ユニット13を構成する各偏光子は、それぞれ透過軸が同一方向を向くように配置されている。本実施形態では、光照射部10Aが有する各偏光子の透過軸の方向と、光照射部10Bが有する各偏光子の透過軸の方向とを同一方向とする。そして、光照射部10Cが有する各偏光子の透過軸の方向を、光照射部10Aおよび10Bがそれぞれ有する偏光子の透過軸の方向とは異なる方向に設定する。
すなわち、光照射部10Aおよび光照射部10Bは、ランプ11からの光を第一の偏光子によって偏光し、光出射口から第一の偏光光を照射する。また、光照射部10Cは、ランプ11からの光を第一の偏光光とは異なる方向の透過軸を有する第二の偏光子によって偏光し、光出射口から第一の偏光光とは偏光軸の方向が異なる第二の偏光光を照射する。なお、光照射部10Aが第一の光照射部に対応し、光照射部10Cが第二の光照射部に対応している。
【0022】
また、X方向に並設された3つの光照射部10A〜10Cのうち、X方向両端に配置された光照射部10Aおよび10Cは、それぞれ偏光子ユニット13の光出射口の光出射側に、偏光子ユニット13により偏光された偏光光を完全に遮光可能な遮光部としてのシャッタ部16(
図2、
図3参照)を備える。
図2および
図3は、シャッタ部16の構成を示す図である。
図2は、シャッタ部16の開状態、
図3は、シャッタ部16の閉状態を示している。なお、光照射部10Aのシャッタ部16と光照射部10Cのシャッタ部16とは同様の構成を有するため、以下、光照射部10Aのシャッタ部16の構成を例に説明する。
【0023】
シャッタ部16は、光照射部10Aの偏光子ユニット13から出射される偏光光のうち、少なくとも上記所定の波長の偏光光を完全に遮光することができるように構成されている。具体的には、シャッタ部16は、シャッタ板17と、シャッタ板17を移動させるシャッタ駆動部18とを備える。シャッタ板17は、光照射部10Aからの偏光光を遮光しない場合には、
図2に示す退避位置161に配置され、光照射部10Aからの偏光光を遮光する場合には、
図3に示す使用位置162に配置される。
図3の使用位置162において、シャッタ板17は、光照射部10Aの有効発光長の領域を全て覆い、光照射部10Aの直下に偏光光が全く照射されないようにする。
シャッタ駆動部18は、駆動用シリンダ(例えばエアシリンダ)により構成されている。
図4は、シャッタ部16の閉状態におけるシャッタ駆動部18の状態、
図5は、シャッタ部16の開状態におけるシャッタ駆動部18の状態を示している。
図4および
図5に示すように、シャッタ駆動部18は、X方向に進退可能なロッド部18aの先端部をシャッタ板17に固定することで、シャッタ板17をX方向に移動可能である。
なお、シャッタ駆動部18は駆動用シリンダに限定されるものではなく、例えばモータ駆動機構により構成してもよい。
【0024】
図1に戻り、搬送部20は、ワークWが載置されるステージ21を備える。ステージ21は、真空吸着等の方法によりワークWを吸着保持可能な平板状のステージである。なお、本実施形態では、ステージ21およびワークWを矩形状としているが、これに限定するものではなく、任意の形状とすることができる。また、ワークWを平板状のステージで吸着保持する構成に限定されるものではなく、複数のピンによってワークWを吸着保持する構成であってもよい。
【0025】
また、搬送部20は、ステージ21をX方向に移動するためのX方向駆動機構22を備える。X方向駆動機構22は、例えばリニアモータ駆動機構であり、X方向に沿って延びる2本のガイド22Aと、2本のガイド22Aの間に配置されたマグネット板22Bと、コイルモジュール22Cとを備える。2本のガイド22Aとマグネット板22Bとは、不図示の設置台の上面に配置されている。マグネット板22Bは、隣り合う磁極の極性を交互に変えてX方向に等間隔で並べられた複数のマグネットにより構成されている。また、コイルモジュール22Cは、ステージ21の裏面の中央部に、マグネット板22Bと対向するように取り付けられている。なお、X方向駆動機構22としては、例えばボールねじを用いた機構を採用することもできる。
このように、ステージ21は、搬送軸であるガイド22Aに沿ってX方向に往復移動可能に構成されている。なお、X方向駆動機構22の構成は、
図1に示す構成に限定されるものではなく、ステージ21をX方向に移動可能な構成であれば任意の構成を採用することができる。
【0026】
さらに、搬送部20は、ステージ21をθ方向(Z軸回り)に回転可能な回転制御部を構成するθ移動機構24を備える。ステージ21は、固定ベース25上にθ方向に回転可能に取り付けられており、θ移動機構24は、ステージ21のθ方向の回転角度を調整可能である。
ステージ21の移動経路は、光照射部10A、10Bおよび10Cの真下を通るように設計されている。搬送部20は、ワークWを光照射部10A、10Bおよび10Cによる偏光光の照射領域に搬送し、且つその照射領域を通過させるように構成されている。さらに、搬送部20は、ワークWが照射領域を完全に通過した後、当該ワークWを折り返し、再び当該照射領域を通過させるように構成されている。
本実施形態では、偏光光照射装置100は、第一の光配向処理を行う場合、光照射部10Aおよび10Bを作動状態とし、光照射部10Cを非作動状態とする。また、偏光光照射装置100は、光照射部10Aのシャッタ部16を非作動状態とし、シャッタ部16が光照射部10Aから出射される偏光光を遮光しないようにする。これにより、光照射部10Aおよび10BからワークWの全面に対して第一の偏光光を照射し、光配向処理することができる。
【0027】
一方、偏光光照射装置100は、第二の光配向処理を行う場合、光照射部10Aおよび10Cを作動状態とし、光照射部10Bを非作動状態とする。そして、偏光光照射装置100は、光照射部10Aおよび10Cのシャッタ部16と、後述するステージ側マスク機構とを駆動制御し、ワークW上に第一の偏光光のみが照射されて光配向処理される第一の配向領域と、第二の偏光光のみが照射されて光配向処理される第二の配向領域とを形成する。このとき、ワークW上には、第一の配向領域と第二の配向領域とが所定方向に分割されて形成されるようにする。ステージ側マスク機構の構成や、シャッタ部16およびステージ側マスク機構の制御方法については、後で詳述する。
【0028】
ステージ21の基本動作は、以下のとおりである。
ステージ21は、X方向における照射領域の一方の側に設定されたワーク搭載位置において、ワークWの交換処理およびアライメント処理が行われる。アライメント完了後、ステージ21は、θ移動機構24によって回転移動される。これにより、ワークWの向きが偏光光の偏光軸に対して所定の向きになる。
その後、ステージ21は、照射領域へ向けてX方向に往路移動を開始する。そして、ステージ21は、照射領域を通過した所定の折り返し位置に到達した後、復路移動を開始し、ワーク搭載位置まで引き返す。このワーク搭載位置では、再びワークWの交換処理およびアライメント処理が行われ、アライメント完了後、ステージ21は、再び照射領域へ向けて往路移動を開始する。この動作を繰り返す。
図1の搬送部20の各部は、上記のステージ動作を実現するように不図示の制御部によって制御される。本実施形態では、第一の光配向処理は往路移動において実施され、第二の光配向処理は復路移動において実施されるものとする。
【0029】
以下、ステージ側マスク機構について、具体的に説明する。
図6は、ステージ側マスク機構としての遮光マスク部30の構成を示す図である。遮光マスク部30は、遮光板31と、遮光板31を支持する支持部32および脚部33からなるブリッジ状の支持部材と、遮光マスク駆動部34と、を備える。遮光板31は、光照射部10Aおよび10Cの偏光子ユニット13よりも下方でステージ21上に載置されるワークWの表面よりも上方に配置されている。遮光板31は、光照射部10Aおよび10Cから出射された偏光光のうち、所定の波長の偏光光を選択的に遮光可能である。ここで、所定の波長とは、ワークWの光配向膜の材料が感度を持つ波長である。また、遮光板31は、例えば光学フィルタなどのプレート状の部材である。
遮光板31は、ステージ21上を跨り当該ステージ21よりもY方向に幅広な支持部32の上に固定されている。脚部33は、その一端に支持部32の端部が固定され、他端に遮光マスク駆動部34の可動部が固定されている。つまり、遮光マスク駆動部34の可動部によって脚部33がX方向に移動されることで、遮光板31がX方向に移動するようになっている。また、支持部材(支持部32、脚部33)は、金属等の剛性の高い部材によって構成されている。
【0030】
遮光によりステージ21上に遮光領域を形成するためには、遮光板31には面積の広い形態が要求される。また、遮光板31の高さ方向(Z方向)の省スペース化や軽量化のためには、遮光板31には厚さの薄い形態が要求される。そのため、遮光板31には、厚さが薄く、面積の広い形態であるプレート部材を用いる。また、遮光板31は、基板表面に真空蒸着法やスパッタリング法などにより機能膜(反射膜や吸収膜)が形成された構成を有する。基板は、例えば石英ガラスである。また、機能膜は、例えば、5酸化タンタル(Ta
2O
5)や酸化ケイ素(SiO
2)などの無機材料からなる誘電体多層膜や、クロム(Cr)、アルミニウムなどからなる金属蒸着膜である。
すなわち、遮光板31は、透光性材料からなる基板に波長選択用の薄膜をコーティングした構成を有する。具体的には、遮光板31は、254nmや313nmといった光配向膜材料が感度を有する波長(ワークWの光配向に寄与する波長)の光を遮光し、それ以外の波長の光を透過する波長カットフィルタとする。遮光板31は、上記のコーティング膜が形成された面を上方(ランプ11側)に向けて配設される。なお、遮光板31は、材料そのものに不純物をドープした波長選択的カットフィルタ、例えば、紫外光を吸収するドーピング材がドープされた石英ガラスであってもよい。
【0031】
遮光マスク駆動部34は、例えばモータ駆動機構であり、遮光板31を水平方向にスライド移動可能に構成されている。具体的には、遮光板31は、遮光マスク駆動部34により、ステージ21に対して遮光板31の移動方向に隣接する位置に設定された退避位置301と、ステージ21上の所定の使用位置との間を水平方向にスライド移動可能である。遮光板31は、使用位置において、当該使用位置の直下のステージ21上の領域を上述した所定の波長の偏光光を遮光する遮光領域とし、ステージ21上の残りの領域をワークWへの偏光光の照射を許容する照射許容領域とする。つまり、上記使用位置は、ステージ21に載置されたワークWの偏光光の照射可能領域内に設定され、遮光板31は、使用位置において偏光光により光配向されるべきワークW上の領域を規定する。
なお、遮光板31の移動方向は、装置構成によっては水平方向に限定されるものでは無く、例えば上下方向に退避するものであってもよい。具体的には、遮光板31と遮光マスク駆動部34とを連結している部分に、エアーシリンダ等で構成された遮光板31の昇降機構を設ける。この場合、ワークW搬入時にはロボットハンドを避けるために、遮光板31を上昇させ、ワークW搬入後にはロボットハンドが装置から退避したら、遮光板31を所定位置に下降させてもよい。
【0032】
また、遮光マスク駆動部34は、ステージ21をθ方向に回転可能な、θ移動機構24を構成する回転支持部材24aに固定されている。つまり、遮光マスク部30は、θ移動機構24によってステージ21と共にθ方向に回転移動可能に構成されている。なお、
図6は、ステージ21が回転していない状態(θ=0)で、遮光板31が退避位置301に配置されている状態(ワークWを全く遮光していない状態)を示している。この
図6に示すように、ステージ21が回転してない状態において、遮光板31の移動方向はステージ21の搬送方向(X方向)に一致している。
【0033】
遮光板31は、上述したようにプレート部材により構成されているが、当該プレート部材は複数のサブプレート部材の集合によって構成してもよい。具体的には、
図7に示すように、遮光板31は、同一形状の3枚のサブプレート部材である遮光板31a〜31cにより構成することができる。これら遮光板31a〜31cは、それぞれ個別に水平方向に移動可能であり、一番下(ワークW側)もしくは一番上(ランプ11側)に位置する遮光板から順に、
図6の退避位置301から
図7の矢印Aで示す前進方向に一列に連なるように引き出された形で所定の使用位置(遮光位置)302に配置される。ここで、上記前進方向とは、遮光板31a〜31cの移動方向における、退避位置301から遮光位置302へ向かう方向である。なお、本実施形態では、遮光板31a〜31cを、一番上に位置する遮光板31aから順に前進方向に一列に引き出して遮光位置302に配置する場合について説明する。
【0034】
遮光板31a〜31cは、退避位置301では、
図8に示すように、それぞれ完全に重なった状態で配置される。すなわち、退避位置301では、遮光板同士のオーバーラップ量は最大となる。そして、この退避位置301では、遮光板31a〜31cは、ステージ21のワーク載置領域は遮光していない。このように、複数の遮光板31a〜31cは、それぞれ微妙に高さをずらして支持されており、退避位置301においてそれぞれが完全に重なるように配置される。これにより、X方向における退避スペースを削減し、装置全体のX方向に対する設置占有面積(フットプリント)を小さくすることができる。
【0035】
そして、その退避状態から、上記オーバーラップ量を小さくすることで、
図7に示すように、遮光板31a〜31cは遮光位置302に配置され、その直下に遮光領域が形成される。このように、遮光板31a〜31cを支持する支持部材(支持部32および脚部33)は、高さ方向(Z方向)において遮光板31a〜31cが干渉せず、且つ遮光板31a〜31cの移動方向(
図7ではX方向)において支持部材同士が干渉しないような形状となっている。
遮光位置302においては、遮光板31a〜31cは、前段の遮光板の後端部と後段の遮光板の前端部とがオーバーラップするように配置される。これにより、遮光板(サブプレート部材)同士のつなぎ目部分から光が漏れてワークWに照射されるのを防止し、適切に遮光領域を形成することができる。また、上記オーバーラップ量は自在に調整可能であり、
図9に示すように、遮光板31a〜31cの配置位置に応じて、遮光板31a〜31cの移動方向における遮光領域の位置および大きさを段階的に調節することができる。
このように、遮光板31a〜31cは、ステージ21上の必要領域を覆うことにより、ステージ21上に所望の遮光領域を形成することができる。このような複数の遮光板31a〜31cによる多段的な遮光は、遮光マスク駆動部34により実現することができる。
【0036】
遮光マスク駆動部34は、
図8に示すように、X方向に延在するリニアレール34aと、各脚部33に接続され、リニアレール34aに沿って摺動することで遮光板31a〜31cをスライド移動させる可動部34bと、ケーブル34cと、を備える。そして、遮光マスク駆動部34は、ステージ21のワーク載置面よりも下方に配置されている。このように、遮光マスク駆動部34がステージ面よりも下側で駆動するので、遮光板31a〜31cの移動によって発生したゴミ等がステージ21上に落下することを防止することができる。また、不図示のエアフロー機構により、装置内は上から下へ空気の流れが発生しており、よりゴミ等が飛来しにくい構造となっている。
【0037】
なお、本実施形態では、遮光板31a〜31cが同一形状を有する場合について説明するが、遮光板31a〜31cの形状は適宜設定可能である。また、遮光板(サブプレート部材)の枚数も3枚に限定されるものではない。ただし、高さをずらして配置するため、高さ方向(Z方向)の省スペース化を実現するためには、サブプレート部材はある程度の枚数に限定される。さらに、各遮光板31a〜31cは、それぞれ更に複数枚のサブプレート部材をフレーム等によって連結させた構成とすることもできる。この場合、より撓みのない遮光板を構成することができる。
【0038】
また、本実施形態では、遮光板31a〜31cの退避位置301は、
図6に示すように、ステージ21が回転してない状態において、X方向における照射領域とは反対側のステージ21の端部近傍に設定したが、退避位置301の位置はこれに限定されるものではない。例えば、退避位置301は、ステージ21が回転してない状態において、X方向における照射領域側のステージ21の端部近傍に設定してもよいし、Y方向におけるステージ21の端部近傍に設定してもよい。
本実施形態では、ステージ21の搬送往路において、遮光板31a〜31cを
図7に示す第一の使用位置(遮光位置)である往路遮光位置302に配置し、ステージ21の搬送復路において、遮光板31a〜31cを
図9に示す第二の使用位置(遮光位置)である復路遮光位置303に配置する。
【0039】
ここで、遮光板31a〜31cは、往路遮光位置302と復路遮光位置303とにおいて、一番上に位置する遮光板31aから順に、退避位置301から前進方向に一列に連なるように引き出された形で配置される。しかしながら、
図7に示す往路遮光位置302では、遮光板31a〜31cは、一番下に位置する遮光板31cから順に、退避位置301から前進方向に一列に連なるように引き出された形で配置されてもよい。つまり、搬送往路および搬送復路の双方において、一番下に配置された遮光板31cの先端位置によって、ステージ21上の遮光領域と照射許容領域との切り替え位置を規定してもよい。ワークWの上面と遮光板31の下面との間のギャップが狭いほど、遮光領域への光の回り込み量を低減することができるためである。
【0040】
また、本実施形態では、搬送往路における領域の切り替え位置(遮光板31aの前進方向先端位置)と、搬送復路における領域の切り替え位置(遮光板31cの前進方向後端位置)とは、遮光板31a〜31cの移動方向において一致させるものとする。具体的には、搬送往路における領域の切り替え位置および搬送復路における領域の切り替え位置は、光照射部10Aから出射される第一の偏光光のみが照射されるべきワークW上の領域(第一の領域)と、光照射部10Cから出射される第二の偏光光のみが照射されるべきワークW上の領域(第二の領域)との間の隙間の上記移動方向における中央位置に設定する。
【0041】
なお、搬送往路における領域の切り替え位置と搬送復路における領域の切り替え位置とは、上記移動方向において必ずしも一致させる必要はない。上記の各切り替え位置は、第一の領域第二の領域との間であれば、適宜設定可能である。但し、遮光板31a〜31cの直下に形成される遮光領域への光の回り込みを考慮すると、搬送往路における領域の切り替え位置は、第一の領域の前進方向後端位置に近いほどよい。搬送復路における領域の切り替え位置についても同様である。
【0042】
偏光光照射装置100は、ステージ21の搬送往路において、光照射部10Aのシャッタ部16を非作動状態とし、光照射部10Cのシャッタ部16を作動状態とする。これにより、ステージ21が往路移動して光照射部10Aおよび10Cを通過したとき、
図7に示す往路遮光位置302に配置された遮光板31a〜31cによって形成される照射許容領域には、光照射部10Aからの第一の偏光光のみが照射される。このように、ステージ21の搬送往路において、ワークW上に第一の配向領域が形成される。
【0043】
一方、偏光光照射装置100は、ステージ21の搬送復路においては、光照射部10Aのシャッタ部16を作動状態とし、光照射部10Cのシャッタ部16を非作動状態とする。これにより、ステージ21が往路移動して光照射部10Aおよび10Cを通過したとき、
図9に示す復路遮光位置303に配置された遮光板31a〜31cによって形成される照射許容領域には、光照射部10Cからの第二の偏光光のみが照射される。このように、ステージ21の搬送復路において、ワークW上に第二の配向領域が形成される。
すなわち、第二の光配向処理を行う際には、まず、偏光光照射装置100は、光照射部10Aのシャッタ部16を非作動状態とし、光照射部10Cのシャッタ部16を作動状態とし、遮光板31a〜31cを
図7に示す往路遮光位置302に配置する。この状態でステージ21を往路移動し、光照射部10Aおよび10Cの下を通過させることで、ワークWの第一の配向領域に対して第一の偏光光を照射する。
【0044】
ステージ21が折り返し位置に到達して往路の偏光光照射が終了すると、偏光光照射装置100は、ステージ21を折り返し位置で停止し、光照射部10Aのシャッタ部16を作動状態とし、光照射部10Cのシャッタ部16を非作動状態とし、遮光板31a〜31cを
図9に示す復路遮光位置302に配置する。なお、シャッタ部16の切り替えおよび遮光板31a〜31cの移動は、数秒〜10数秒程度で可能である。そして、この状態でステージ21の復路移動を開始し、光照射部10Cおよび10Aの下を通過させることで、ワークWの第二の配向領域に対して第二の偏光光を照射する。
【0045】
また、本実施形態では、上述したように、ステージ21は、ワークWの向きが偏光光の偏光軸に対して所定の向きになるように、θ移動機構24によって回転移動された状態でX方向に往復移動する。
図10は、ステージ21の回転時の状態を示す図である。このように、遮光マスク部30は、θ移動機構24の回転支持部材24aの回転によってステージ21とともにθ回転する。したがって、遮光マスク部30による配向領域の分割方向(第一の配向領域と第二の配向領域との配列方向)を、ステージ21の搬送方向(X方向)に対して自在に変更可能である。すなわち、本実施形態では、θ=0°の場合、配向領域の分割方向をX方向とし、ワークW上に第一の配向領域と第二の配向領域とをX方向に分割して形成することができる。そして、例えばθ=90°とすれば、配向領域の分割方向をY方向とし、ワークW上に第一の配向領域と第二の配向領域とをY方向に分割して形成することができる。
【0046】
なお、
図11に示すように、遮光板31aの前進方向における先端部と、遮光板31cの前進方向における後端部とに、それぞれ先端部材31dを設けてもよい。先端部材31dは、光照射部10Aまたは10Cの光出射口から出射される光のワークW上の遮光領域への回り込みを低減するための部材であり、
図11に示すように、遮光板31aおよび31cの端部よりも下方に位置する下端面を有する。先端部材31dは、例えば遮光板31a〜31cと同等の材質によって構成する。また、先端部材31dは、例えば、ねじ31eによって、それぞれ遮光板31a、31cに対して高さ方向(Z方向)位置を調整可能に取り付けられている。そして、先端部材31dは、遮光板31a、31cよりもワークWに接近し、且つワークWから高さ方向に所定距離離間する位置に設置される。
【0047】
図11の二点鎖線で示すように、上記の光の回り込みが発生している場合、ワークW上の照射許容領域と遮光領域との境界位置は、先端部材31dの先端位置よりも後退方向側に設定される。この遮光領域側への光の回り込み量は、ワークWの上面と先端部材31dの下面との間のギャップGに応じて決まる。したがって、ギャップGは、遮光領域への光の回り込み量の許容値や、先端部材31dとワークWとの接触可能性等を考慮して設定する。
なお、先端部材31dの形状は、
図11に示す形状に限定されない。先端部材31dのY方向から見た形状は、例えば、L字形状であってもよいし、I字形状であってもよい。また、先端部材31dは、一方の端部が遮光板31a、31cの前進方向端部と同等、もしくは前進方向端部よりも突出して水平配置される平板状の部材であってもよい。この場合、平板状の部材を、遮光板31a、31cの下面に高さ調整用のスペーサを介して取り付けてもよい。
【0048】
以上の処理は、偏光光照射装置100が備える制御部が行う。当該制御部は、例えばPLC(プログラマブルロジックコントローラ)であり、偏光光照射装置100の各部を制御する。具体的には、制御部は、光照射部10A〜10Cの点灯制御、光照射部10Aおよび10Cのシャッタ部16の制御、ステージ側マスク機構としての遮光マスク部30の制御、ステージ21の搬送制御、ならびにステージ21の回転制御等を行う。
図12は、制御部50の構成を示すブロック図である。
この
図12に示すように、制御部50は、照射制御部51と、遮光マスク制御部52と、ステージ制御部53と、を備える。
照射制御部51は、光照射部10A〜10Cの点灯制御と、光照射部10Aおよび10Cのシャッタ部16の開閉制御を行う。遮光マスク制御部52は、ステージ21側に設けられた遮光マスク部30を制御する。ステージ制御部53は、ステージコントローラであるX方向駆動機構22およびθ移動機構24を駆動制御し、ステージ21を搬送制御する。また、ステージ制御部53は、ステージコントローラからステージ21の位置情報(X方向位置およびθ回転角度)を取得する。
【0049】
以下、偏光光照射装置100の動作について、
図13を参照しながら詳細に説明する。ここでは、第二の光配向処理を行う場合の動作について説明する。
まず、照射制御部51は、光照射部10Aおよび10Cに電力を供給し、光照射部10Aおよび10Cを点灯する。また、照射制御部51は、光照射部10Bへの電力供給を停止し、光照射部10Cを消灯する。そして、照射制御部51は、光照射部10Cのシャッタ部16を作動し、
図13(a)に示すように光照射部10Cのシャッタ板17を閉状態とする。
【0050】
遮光マスク制御部52は、ワーク搭載位置において、ステージ21にワークWが搭載されアライメント処理が行われた後、遮光マスク部30を制御し、遮光板31(31a〜31c)を退避位置から往路遮光位置に移動する。これにより、
図13(a)に示すように、ワークW上には、光照射部10Aから出射される第一の偏光光のみが照射されるべき第一の領域A1を含む第一の配向領域A2が形成される。なお、
図13では、説明を簡略化するために、θ移動機構24によるステージ21のθ回転移動は行わないものとしている。θ移動機構24によりステージ21の回転移動が行われる場合には、遮光マスク制御部52は、θ移動機構24によるステージ21の回転移動が完了した後、もしくは回転移動中に、遮光板31を退避位置から往路遮光位置に移動するものとする。
【0051】
ステージ制御部53は、ワーク搭載位置において、遮光板31が往路遮光位置に移動されると、X方向駆動機構22を制御し、ステージ21の往路移動を開始する。なお、往路移動を開始するタイミングは、上記に限定されず、ワーク搭載位置においてアライメント処理が終了した後であればよい。例えば、ステージ21の回転移動が完了する前や、遮光板31の往路遮光位置への配置が完了する前に往路移動を開始してもよい。つまり、ステージ21の往路移動を開始するタイミングは、光照射部10Cのシャッタ板17が閉状態となり、遮光板31が往路遮光位置に配置された状態となった後に、往路移動したステージ21が照射領域に到達するようなタイミングであればよい。
【0052】
ステージ21が往路移動を開始すると、ステージ制御部53は、ステージ21のX方向位置をモニタする。そして、ステージ21が、
図13(b)に示すように光照射部10Aおよび10Cの下を通過して折り返し位置に到達すると、ステージ制御部53は、X方向駆動機構を制御してステージ21を停止する。このようにして、ステージ21の往路移動が終了する。この往路においては、ワークW上に形成された第一の配向領域A2に、光照射部10Aから出射された第一の偏光光のみが照射され、第一の領域A1が第一の偏光光によって光配向される。
なお、ステージ21は、照射領域内を移動している間(偏光光を照射している間)と照射領域外を移動している間とで、移動速度が異なるようにしてもよい。具体的には、ステージ21は、照射領域内では所定の露光量を得るために低速な第一の移動速度で移動し、照射領域外でワークWの搬送のみをしている場合には、第一の移動速度よりも高速な第二の移動速度で移動してもよい。これにより、タクトタイムを短縮することができる。
【0053】
また、
図13に示すように、配向領域の分割方向がステージ21の搬送方向(X方向)である場合には、更なるタクトタイムの短縮のために、以下のような速度制御を行ってもよい。
例えば、往路移動では、ステージ制御部53は、第一の配向領域A2の往路移動方向における先端位置が光照射部10Aの照射領域に入るまでの間、ステージ21を第二の移動速度で移動し、第一の配向領域A2の往路移動方向における先端位置が光照射部10Aの照射領域内に入ったら、ステージ21を第一の移動速度で移動するようにしてもよい。つまり、ワークWが照射領域に入っていても、遮光板31によって遮光された領域が照射領域に入っている間は、ステージ21を高速な第二の移動速度で移動させてもよい。
【0054】
そして、復路移動でも同様に、ステージ制御部53は、第二の配向領域B2の復路移動方向における先端位置が光照射部10Cの照射領域に入るまでの間、ステージ21を第二の移動速度で移動し、第二の配向領域B2の復路移動方向における先端位置が光照射部10Cの照射領域内に入ったら、ステージ21を第一の移動速度で移動するようにしてもよい。
配向領域の分割方向をステージ21の搬送方向に直交する方向(Y方向)とした場合、第一の配向領域A2および第二の配向領域B2が、ワークW上にX方向の全長にわたって形成される。そのため、往路移動と復路移動とでは、それぞれワークWの少なくとも一部が照射領域内に入っている間は、ステージ21を低速な第一の移動速度で移動させなくてはならない。したがって、上記のように、ワークWが照射領域に入っている状態で、ステージ21を高速な第二の移動速度で移動させることはできない。
このように、配向領域の分割方向がステージ21の搬送方向(X方向)である場合には、上記のようなステージ21の速度制御によって、更なるタクトタイムの短縮が可能となる。
ステージ21が折り返し位置で停止すると、照射制御部51は、光照射部10Aのシャッタ部16を作動し、
図13(c)に示すように光照射部10Aのシャッタ板17を閉状態とする。また、照射制御部51は、光照射部10Cのシャッタ部16を非作動とし、光照射部10Cのシャッタ板17を開状態とする。
【0055】
また、遮光マスク制御部52は、遮光マスク部30を制御し、遮光板31を往路遮光位置から復路遮光位置に移動する。これにより、
図13(c)に示すように、ワークW上には、光照射部10Cから出射される第二の偏光光のみが照射されるべき第二の領域B1を含む第二の配向領域B2が形成される。
ステージ制御部53は、折り返し位置において、遮光板31が復路遮光位置に移動されると、X方向駆動機構22を制御し、ステージ21の復路移動を開始する。なお、復路移動を開始するタイミングは、光照射部10Aのシャッタ板17が閉状態となり、遮光板31が復路遮光位置に配置された状態となった後に、復路移動したステージ21が照射領域に到達するようなタイミングであればよい。
【0056】
ステージ21が復路移動を開始すると、ステージ制御部53は、ステージ21のX方向位置をモニタする。そして、ステージ21が、
図13(d)に示すように光照射部10Aおよび10Cの下を通過してワーク搭載位置に到達すると、ステージ制御部53は、X方向駆動機構を制御してステージ21を停止する。このようにして、ステージ21の復路移動が終了する。この復路においては、ワークW上に形成された第二の配向領域B2に、光照射部10Cから出射された第二の偏光光のみが照射され、第二の領域B1が第二の偏光光によって光配向される。
【0057】
ワーク搭載位置においては、遮光マスク制御部52は、遮光マスク部30を制御し、遮光板31を復路遮光位置から退避位置に移動する。これにより、ワークWに対する第二の光配向処理が完了し、処理済のワークWを搬出可能な状態となる。なお、遮光板31の退避位置への移動のタイミングは、上記に限定されず、ステージ21が復路移動してワークWが照射領域を通過した後であればよい。つまり、遮光マスク制御部52は、ステージ21の復路移動中に、遮光板31の退避位置への移動を開始してもよい。
このように、一度の(往復の)光照射処理によって、ワークW上に異なる2つの配向領域を適切に形成することができる。
【0058】
ところで、近年、光配向処理はテレビ画面用の大型の液晶ディスプレイのみならず、スマートフォン用など中小型の液晶ディスプレイにも展開されてきており、様々な種類、寸法の液晶ディスプレイの生産が期待されている。このような様々な種類の基板を効率良く処理するためには、1枚の多面取りマザー基板から種類の異なる複数のセル基板を切り出す必要がある。
本実施形態における偏光光照射装置100は、上述した構成により、一度の光照射処理によって、1枚のワークW上に配向方向の異なる複数の配向領域を形成することができる。したがって、複数種類の基板を効率良く生産することができ、コストメリットが得られる。また、個別のオーダーにも柔軟に対応することができる。
具体的には、本実施形態の偏光光照射装置100は、3つの光照射部10A〜10Cを備え、光照射部10Aの光出射口の光出射側と光照射部10Cの光出射口の光出射側とにそれぞれシャッタ部16を設ける。そして、偏光光照射装置100は、このシャッタ部16によって、光照射部10Aからの第一の偏光光の照射と、光照射部10Cからの第二の偏光光の照射とを切り替える。
【0059】
さらに、本実施形態の偏光光照射装置100は、ステージ21側に遮光マスク部30を備え、遮光マスク部30によって、ステージ21に載置されたワークW上に、偏光光の照射を許容する照射許容領域と、偏光光の照射を遮断する遮光領域とを形成する。ここで、遮光マスク部30は、ワークW上の偏光光の照射可能領域内における第一の使用位置(往路遮光位置302)と第二の使用位置(復路遮光位置303)との間で移動可能とする。したがって、遮光マスク部30は、ワークW上の第一の偏光光によって光配向されるべき第一の領域A1と、第二の偏光光によって光配向されるべき第二の領域B1とを既定することができる。このように、偏光光照射装置100は、ワークW上に異なる複数の配向領域を適切に形成することができる。
【0060】
さらに、偏光光照射装置100は、ステージ21側に配置された遮光マスク部30を、ステージ21と共にθ方向に回転可能に構成する。そのため、偏光光照射装置100は、X方向やY方向だけでなく、X方向およびY方向に一致しない任意の方向においてワークW上を複数領域に分割し、分割したこれらの領域をそれぞれ配向方向が異なる配向領域として設定することができる。光照射部10A、10C側に設けた機能のみで、X方向およびY方向に一致しない所定方向に配向方向が異なる配向領域を設定しようとした場合、θ回転分のずれを考慮して明確に領域を分けることはできない。その理由としては、光照射部10A、10Cがランプ11の長手方向をY方向に一致させて固定されていることや、光照射部10A、10Cをθ回転させると、偏光軸がずれるリスクが高くなることが挙げられる。
【0061】
また、第一の光配向処理を行う際に使用する光照射部10Aおよび10Bは、X方向においてワーク搭載位置に近い側に配置される。ワーク搭載位置から光配向処理が行われる照射領域までの距離が短いほど、タクトタイムは短縮されるため、実施頻度が高い第一の光配向処理において使用される光照射部10Aおよび10Bをワーク搭載位置に近い側に配置することで、生産性を向上させることができる。上記実施形態では、第一の光配向処理の実施頻度の方が第二の光配向処理の実施頻度よりも高い場合について説明したが、第二の光配向処理の実施頻度の方が第一の光配向処理の実施頻度よりも高い場合には、ワーク搭載位置に近い側に光照射部10Aおよび10Cを配置してもよい。
なお、第一の光配向処理を実施しない場合や、光配向処理に必要な照射光量や光配向処理時間などの条件により第一の光配向処理を1つの光照射部10Aのみを使用して実施可能である場合には、シャッタ部16を有しない光照射部10Bは設置しなくてもよい。
【0062】
また、ステージ21側の遮光マスク部30は、プレート部材である遮光板31と、遮光板31を水平方向にスライド移動させる遮光マスク駆動部34とを含んで構成する。これにより、遮光マスク部30の高さ方向(Z方向)の省スペース化が図れる。したがって、光照射部10A,10Cの光出射口からワークWまでの距離が非常に近い場合であっても、遮光板31を光出射口の光出射側の適切な位置に配置することができる。
さらに、遮光板31は、ステージ21上の使用位置(往路遮光位置302、復路遮光位置303)と、ステージ21上から退避した退避位置301との間を移動可能な構成とする。この場合、遮光板31を退避位置301に配置した状態では、ステージ21上に遮光領域が形成されない。そのため、遮光マスク部30を備えるステージ21を、第一の光配向処理と第二の光配向処理との両方に併用することができる。
【0063】
さらに、遮光板31を光学フィルタにより構成するので、遮光板31を金属板や樹脂によって構成する場合と比較して、ランプ11の熱や紫外線による変形や劣化を抑制することができる。仮に、遮光板31を金属板とすると、ランプ11の熱により遮光板31が変形し、スライド移動ができなくなったりワークWに接触したりするといった不具合が生じ得る。これに対して、本実施形態では、遮光板31を光学フィルタによって構成するので、上記不具合の発生を抑制することができる。なお、遮光板31は、光学フィルタに限定されるものではなく、熱や紫外線に耐えうる材質で且つ遮光領域を適切に形成可能な部材であれば、適宜適用可能である。
また、遮光板31は、複数枚(上記実施形態では3枚)のサブプレート部材である遮光板31a〜31cにより構成し、退避位置301では、これら遮光板31a〜31cをZ方向に重ね合わせて配置する。したがって、退避位置301のスペースを小さくすることができ、装置の小型化を実現することができる。
【0064】
さらに、往路遮光位置302や復路遮光位置303といった使用位置では、これら遮光板31a〜31cを一列に連なるように、前段の遮光板の後端部と後段の遮光板の前端部とをオーバーラップさせて配置する。したがって、遮光板同士の隙間から偏光光が漏れて遮光領域に照射されるのを防止し、適切にワークW上に遮光領域を形成することができる。また、遮光板同士のオーバーラップ量を調整することで、遮光領域のサイズを容易に調整することができる。
このように、遮光板31a〜31cの配置位置の自由度を向上させることができるので、ワークW上に形成する配向領域を比較的自由に設定することができ、様々なサイズの液晶配向領域に対応することができる。なお、上記実施形態では、例えば
図7および
図9に示すように、ワークW上の所定方向における一方の側を遮光領域とする場合について説明したが、ワークW上の中央領域に当たる領域を遮光領域とすることもできる。
【0065】
さらに、遮光板31の前進方向両端部に先端部材31dを設けるので、遮光領域への偏光光の回り込みを抑制することができる。さらに、先端部材31dは、その下端面の高さ方向位置を調整可能に構成されているので、上記の光の回り込み量を調整することができ、適切に遮光領域を形成することができる。
また、遮光板31は、ステージ21上を跨り当該ステージ21よりも遮光板31の移動方向に幅広な支持部32と、その支持部32の両端部をそれぞれ支える脚部33とからなるブリッジ状の支持部材の上に固定されている。これにより、遮光板31の移動方向に直交する方向の長さが長大となる遮光板31の撓みを防止し、遮光板31とワークWとの接触を防止することができる。また、遮光板31の移動方向に直交する方向において、ワークWの上面と遮光板31の下面との距離を一定に保つことができ、遮光領域への光の回り込み量を適切に制御することができる。
【0066】
さらに、遮光マスク部30を構成する遮光マスク駆動部34を、ステージ21のワークW載置面よりも下方に配置するので、駆動体がステージ面よりも下側で駆動するようにすることができ、遮光板31a〜31cの移動によって発生したゴミ等がステージ21上に落下することを防止することができる。また、ステージ21の両端部近傍にリニアモータを積んで遮光板31を移動させる構成であっても、遮光マスク部30全体の高さ方向(Z方向)の厚みを極力小さくすることができ、省スペース化が図れる。
また、光照射部10A、10Cのシャッタ板17は、各光照射部の有効発光長の領域を全て覆うことができる大きさ(形状)であり、各光照射部の幅方向(X方向)にスライド移動可能とする。したがって、シャッタ部16の高さ方向(Z方向)の省スペース化が図れる。また、シャッタ板17の退避位置161と遮光位置162との間の移動距離を短くすることができ、シャッタ板17の開閉時間の短縮が図れる。
【0067】
なお、上記実施形態においては、シャッタ板17をX方向に退避させる場合について説明したが、Y方向に退避させる構成であってもよい。また、シャッタ板17は、遮光板31と同様に、複数のサブプレート部材の集合により構成してもよい。シャッタ板17を複数のサブプレート部材の集合により構成することで、シャッタ板17の退避位置161のスペースを小さくすることができ、その分、装置のフットプリントを小さくすることができる。ただし、この場合、シャッタ板17を開閉制御する際に、各サブプレート部材の位置制御が必要となるため、シャッタ板17を1枚のプレート部材によって構成する場合と比較して制御が複雑となる。
【0068】
(変形例)
上記実施形態においては、遮光板31を水平方向にスライド移動可能な構成とする場合について説明したが、遮光板31は、ステージ21に対して着脱可能にねじ止めする構成であってもよい。この場合、遮光領域の大きさに応じたサイズの遮光板31をステージ21に取り付けるようにすれば、ワークW上に形成する配向領域のサイズを自由に設定することが可能となる。すなわち、遮光板31は手動で移動させてもよい。
さらに、上記実施形態においては、ワークW上に2つの配向領域を形成する場合について説明したが、3つ以上の配向領域を形成することもできる。
【0069】
また、上記実施形態においては、1つのステージ21が灯具(光照射部10A〜10C)の直下を往復するシングルステージ方式の偏光光照射装置100に本発明を適用する場合について説明したが、偏光光照射装置100の構成は
図1に示す構成に限定されない。例えば、2つのステージが灯具の下を往復しあう、所謂ツインステージ方式の偏光光照射装置100に本発明を適用することもできる。また、1つのステージに複数のワークWを載置し、ワークWごとに異なる偏光軸の偏光光を照射して光配向処理を行う装置にも適用可能である。
【0070】
さらに、上記実施形態においては、X方向における照射領域の一方の側に設定されたワーク搭載位置において、未処理のワークWの搬入と処理済みのワークWの搬出とを行う場合について説明したが、X方向における照射領域の一方の側からワークWを搬入し、他方の側からワークWを搬出する装置にも適用可能である。
その場合、X方向において、第一の偏光光を照射する第一の光照射部と第二の偏光光を照射する第二の光照射部との間にステージ21の待機スペースを設ければよい。そして、第一の偏光光を第一の配向領域に照射して第一の光配向処理を行った後、待機スペースにてステージ21を停止し、遮光マスク部30の遮光板31を移動させた後、ステージ21を再び前進し、第二の偏光光を第二の配向領域に照射して第二の光配向処理を行えばよい。つまり、上記実施形態においては、ステージ21の往路において第一の光配向処理を実施し、ステージ21の復路において第二の光配向処理を実施する場合について説明したが、往路のみにおいて第一の光配向処理と第二の光配向処理とを実施してもよい。
【0071】
また、上記実施形態においては、偏光光照射装置に本発明を適用する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、DI(ダイレクト・イメージ:直描)露光装置や、紫外線より熱硬化処理を行う紫外線照射装置等の光照射装置にも本発明を適用可能である。これらの光照射装置の場合、ワーク上を複数の領域に分割し、分割された領域ごとに異なる光照射処理を行うことが可能である。