(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607005
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】グロープラグ一体型燃焼圧センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 23/22 20060101AFI20191111BHJP
G01L 9/08 20060101ALI20191111BHJP
F23Q 7/00 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
G01L23/22
G01L9/08
F23Q7/00 P
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-234616(P2015-234616)
(22)【出願日】2015年12月1日
(65)【公開番号】特開2017-101994(P2017-101994A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健治
(72)【発明者】
【氏名】山本 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】安部 信幸
(72)【発明者】
【氏名】中野 秀一
(72)【発明者】
【氏名】竹本 翔一
【審査官】
公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−177782(JP,A)
【文献】
実開昭61−157844(JP,U)
【文献】
特開2005−002909(JP,A)
【文献】
特表平04−505809(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0011924(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00−23/32
G01L 27/00−27/02
F23Q 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(11)の燃焼室(12)に繋がるプラグ取付孔(13)に取り付けられる金属製のケース(2)と、
該ケースの先端部の内側に保持され、上記燃焼室内の燃料混合気を加熱するグローヒータ(3)と、
上記ケースの内側に摺動可能に配置された荷重伝達部材(5)と、
該荷重伝達部材の基端側に対向する位置において上記ケースに固定された保持部材(6)と、
上記荷重伝達部材と上記保持部材との間に配置された回路基板(7)と、
該回路基板に配置され、上記ケースに生じる歪に応じて上記荷重伝達部材から伝達される圧力を測定して、上記燃焼室内の圧力を求める圧電素子(8)と、
上記回路基板に配置され、上記圧電素子に生じる電荷の電圧を増幅するための増幅回路部品(9)と、を有し、
上記回路基板の外周側、先端側及び基端側は、上記ケース、上記荷重伝達部材及び上記保持部材によって囲まれている、グロープラグ一体型燃焼圧センサ(1)。
【請求項2】
上記グローヒータは、その基端部から上記ケースの基端部側へ延設された通電線(4)を有しており、
上記荷重伝達部材、上記保持部材及び上記回路基板は、それらの中心部に上記通電線を挿通させための中空穴を有しており、
上記回路基板の外周側、内周側、先端側及び基端側の全ては、上記ケース、上記荷重伝達部材及び上記保持部材によって囲まれている、請求項1に記載のグロープラグ一体型燃焼圧センサ(1)。
【請求項3】
上記荷重伝達部材は、上記ケースの内部に先端側が接触して、該ケース内に配置された第1荷重伝達部材(52)と、
該第1荷重伝達部材の基端側に接触する第2荷重伝達部材(53)と、を有しており、
該第2荷重伝達部材は、上記回路基板の先端側に配置された先端側部分(531)と、上記回路基板の内周側及び上記保持部材の内周側に挿通された内周側部分(532)とを有しており、
上記回路基板の内周側及び先端側は、上記第2荷重伝達部材によって囲まれている、請求項2に記載のグロープラグ一体型燃焼圧センサ。
【請求項4】
上記圧電素子は、上記回路基板の周方向に等間隔に並んで複数配置されており、
該複数の圧電素子は、上記回路基板と、該回路基板に対向して配置された、上記複数の圧電素子に荷重を分散して伝達するための電極板(81)との間に挟持されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のグロープラグ一体型燃焼圧センサ。
【請求項5】
上記回路基板に配置された上記増幅回路部品の高さは、上記回路基板に配置された上記圧電素子の高さよりも低く、上記増幅回路部品と上記電極板との間には隙間が形成されている、請求項4に記載のグロープラグ一体型燃焼圧センサ。
【請求項6】
上記増幅回路部品は、上記圧電素子に生じる電荷を蓄積して電圧を発生させるコンデンサ(91)と、
該コンデンサの電圧を増幅する増幅部(92)と、を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のグロープラグ一体型燃焼圧センサ。
【請求項7】
上記増幅部には、該増幅部に流れる電流を一定にするための定電流素子(921)又は定電流回路が接続されている、請求項6に記載のグロープラグ一体型燃焼圧センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼圧を検出するためのグロープラグ一体型燃焼圧センサに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の燃焼室内における燃焼圧を測定するために用いられる燃焼圧センサとしては、例えば特許文献1に開示されたものがある。特許文献1において、燃焼圧センサの圧電素子は、筐体の内部に配置されている。また、燃焼圧センサの伝送電線は、圧電素子と電気的に接続される導体部と、導体部の外周を覆う絶縁性の樹脂絶縁層と、樹脂絶縁層の外周を覆う導電性の樹脂導電層とによって形成されている。樹脂導電層が筐体に接続されることによって、樹脂導電層の電位が筐体のグラウンド電位と同じになる。そして、樹脂導電層によって導体部が周囲のノイズから遮断され、燃焼圧センサの耐ノイズ性能が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−156114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、圧電素子に生じる電荷は微小であり、圧電素子の出力信号は、外来ノイズの影響を受けやすい。特許文献1等の従来の燃焼圧センサにおいては、圧電素子に生じる電荷の電圧を増幅する増幅回路は、燃焼圧センサの外部に配置されている。そのため、圧電素子から増幅回路までの距離が長く、圧電素子の出力信号は、長い伝送電線によって増幅回路まで取り出されている。特許文献1においては、圧電素子の出力信号を外来ノイズから保護するために、伝送電線を、樹脂導電層を有する特殊な電線によって構成している。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、圧電素子の出力信号を、外来ノイズから保護することができるグロープラグ一体型燃焼圧センサを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、エンジン(11)の燃焼室(12)に繋がるプラグ取付孔(13)に取り付けられ
る金属製のケース(2)と、
該ケースの先端部の内側に保持され、上記燃焼室内の燃料混合気を加熱するグローヒータ(3)と、
上記ケースの内側に摺動可能に配置された荷重伝達部材(5)と、
該荷重伝達部材の基端側に対向する位置において上記ケースに固定された保持部材(6)と、
上記荷重伝達部材と上記保持部材との間に配置された回路基板(7)と、
該回路基板に配置され、上記ケースに生じる歪に応じて上記荷重伝達部材から伝達される圧力を測定して、上記燃焼室内の圧力を求める圧電素子(8)と、
上記回路基板に配置され、上記圧電素子に生じる電荷の電圧を増幅するための増幅回路部品(9)と、を有し、
上記回路基板の外周側、先端側及び基端側は、上記ケース、上記荷重伝達部材及び上記保持部材によって囲まれている、グロープラグ一体型燃焼圧センサ(1)にある。
【発明の効果】
【0007】
上記グロープラグ一体型燃焼圧センサにおいては、圧電素子に生じる電荷の電圧を増幅するための増幅回路部品を、圧電素子と同様に回路基板に配置している。これにより、圧電素子から増幅回路部品までの距離が短くなり、圧電素子の微小な出力信号を増幅回路部品によって直ちに増幅することができる。そのため、グロープラグ一体型燃焼圧センサの耐ノイズ性能を向上させることができる。
【0008】
また、回路基板の外周側、先端側及び基端側は、ケース、荷重伝達部材及び保持部材によって囲まれている。すなわち、ケース、荷重伝達部材及び保持部材が組み合わされた状態において、ケース、荷重伝達部材及び保持部材のいずれかの部分によって、回路基板の外周側、先端側及び基端側がそれぞれ覆われている。また、ケース、荷重伝達部材及び保持部材は、エンジンのグラウンド電位と同じ電位にある。これにより、特別な工夫を必要とせず、ケース、荷重伝達部材及び保持部材を利用して、圧電素子及び増幅回路部品を周囲の外来ノイズから保護することができる。
【0009】
以上のごとく、上記グロープラグ一体型燃焼圧センサによれば、圧電素子の出力信号を、外来ノイズから保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1における、グロープラグ一体型燃焼圧センサの断面図。
【
図2】実施形態1における、グロープラグ一体型燃焼圧センサの回路基板及び圧電素子の周辺の拡大断面図。
【
図3】実施形態1における、回路基板及び圧電素子の周辺の平面図。
【
図6】実施形態1における、グロープラグ一体型燃焼圧センサの概略的な電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
グロープラグ一体型燃焼圧センサの実施形態につき、
図1〜
図6を用いて説明する。
本実施形態のグロープラグ一体型燃焼圧センサ1は、
図1、
図2に示すごとく、金属製のケース2、グローヒータ3、通電線4、荷重伝達部材5、保持部材6、回路基板7、圧電素子8及び増幅回路部品9を有する。以下、グロープラグ一体型燃焼圧センサ1のことを、単に燃焼圧センサ1という。
【0012】
ケース2は、エンジンヘッド11の燃焼室12に繋がるプラグ取付孔13に取り付けられている。グローヒータ3は、ケース2の先端部の内側に保持され、燃焼室12内の燃料混合気を加熱する。通電線4は、グローヒータ3の基端部からケース2の基端部側へ延設されている。荷重伝達部材5は、
図2に示すごとく、ケース2の内側に摺動可能に配置されており、中心部に形成された中空穴51に通電線4を挿通させる中空形状を有している。保持部材6は、荷重伝達部材5の基端側に対向する位置においてケース2に固定されており、中心部に形成された中空穴61に通電線4を挿通させる中空形状を有している。回路基板7は、荷重伝達部材5と保持部材6との間に配置されており、中心部に形成された中空穴71に通電線4を挿通させる中空形状を有している。圧電素子8は、回路基板7に配置されており、ケース2に生じる歪に応じて荷重伝達部材5から伝達される圧力を測定して、燃焼室12内の圧力を求めるために用いられる。増幅回路部品9は、回路基板7に配置されており、圧電素子8に生じる電荷の電圧を増幅するために用いられる。
圧電素子8及び増幅回路部品9が配置された回路基板7の外周側、内周側、先端側及び基端側の全ては、ケース2、荷重伝達部材5、保持部材6によって囲まれている。
【0013】
以下、本形態の燃焼圧センサ1につき、さらに詳説する。
燃焼圧センサ1は、
図1に示すごとく、エンジンヘッド11の燃焼室12内にグローヒータ3の先端部を突出させるようにして、プラグ取付孔13に配置される。燃焼圧センサ1は、グローヒータ3に通電線4を介して通電を行って、燃焼室12内における燃料混合気を予熱する機能と、圧電素子8等によって燃焼室12内の燃焼圧を測定する機能とを有する。
【0014】
燃焼圧センサ1は、ケース2の先端部をエンジンヘッド11のプラグ取付孔13に当接させ、ケース2の基端側に形成された雄螺子部24を、エンジンヘッド11のプラグ取付孔13に形成された雌螺子部131に螺合させてプラグ取付孔13に取り付けられる。燃焼圧センサ1において、エンジンヘッド11の燃焼室12側に位置する側を先端側といい、その反対側を基端側という。
【0015】
ケース2は、プラグ取付孔13に当接する第1ケース21と、第1ケース21の基端側に連結された第2ケース22と、第2ケース22の基端側に連結された第3ケース23とを有している。
第1ケース21は、円環形状に形成されており、グローヒータ3を内周に保持する。第1ケース21は、円環形状の厚肉部211と、厚肉部211の先端側に設けられ、厚肉部211よりも外径が縮小した円環形状の薄肉部212とを有している。
第2ケース22は、円環形状に形成されており、内周に通電線4の一部を挿通させている。
第3ケース23は、円環形状に形成されており、内周に通電線4及び荷重伝達部材5を挿通させている。
また、プラグ取付孔13の先端側部分132は、基端側部分133に比べて縮径しており、先端側部分132と基端側部分133との間には段部134が形成されている。この段部134に、第1ケース21の厚肉部211が当接していることにより、燃焼室12内の燃焼ガスが外部に漏出することを防止している。第1ケース21、第2ケース22及び第3ケース23は、ステンレス鋼等の金属から構成されている。
【0016】
グローヒータ3は、第1ケース21の円周に配置されており、グローヒータ3の先端部は第1ケース21の先端から突出している。グローヒータ3は、円形状の断面を有しており、グローヒータ3の基材は、セラミックから構成されている。グローヒータ3には、ヒータ素子31が埋設されており、通電線4を介してヒータ素子31に通電することにより、ヒータ素子31が発熱してグローヒータ3による燃焼室12内の燃料混合気の加熱を行う。
【0017】
通電線4は、
図2に示すごとく、ケース2の内側に配置されており、導電性の導体部41と、導体部41の外周を覆う絶縁性の絶縁被覆42とからなる。通電線4の先端部は、
図1に示すごとく、キャップ43によってグローヒータ3のヒータ素子31の陽極に接続されている。通電線4の基端部は、接続端子44を介して、外部の電源等につながるリード線45に接続されている。
【0018】
荷重伝達部材5は、
図1に示すごとく、ケース2の内側に配置された第1荷重伝達部材52と、第1荷重伝達部材52の基端側に接触し、回路基板7の内周側及び先端側に配置された第2荷重伝達部材53とを有する。荷重伝達部材5を、荷重伝達部材52と第2荷重伝達部材53とに分割することにより、燃焼圧センサ1の組付を容易にすることができる。
第1荷重伝達部材52は、円環形状を有しており、その先端は第2ケース22の基端に当接している。第2荷重伝達部材53は、
図2に示すごとく、回路基板7の先端側に配置された先端側部分531と、回路基板7の内周面及び保持部材6の内周側に挿通された内周側部分532とを有している。
先端側部分531は、円環形状を有しており、その先端は第1荷重伝達部材52の基端に当接している。内周側部分532は、円環形状を有しており、その先端は先端側部分531の基端に連結されている。内周側部分532は、先端側部分531よりも縮径して形成されている。先端側部分531の中心部に形成された中空穴と、内周側部分532の中心部に形成された中空穴とは、導通線4を挿通させるために連通している。
【0019】
保持部材6は、
図2に示すごとく、円環形状を有しており、回路基板7の基端側に配置されている。保持部材6の中心穴61には、導通線4を内部に保持する第2荷重伝達部材53の内周側部分532が挿通されている。保持部材6は、ケース2の第3ケース23の内周に固定されている。荷重伝達部材5から圧電素子8に加わる圧力は、保持部材6によって受け止められる。
【0020】
回路基板7は、円環形状のセラミック基板によって形成されている。回路基板7の中心穴71には、第2荷重伝達部材53の内周側部分532が挿通されており、回路基板7の先端側には、第2荷重伝達部材53の先端側部分531が対向して配置されている。回路基板7の基端からは、内周側部分532が突出している。
【0021】
回路基板7には、複数の圧電素子8と増幅回路部品9と回路配線74とが設けられている。
圧電素子8は、
図3に示すように、回路基板7の周方向に等間隔に並んで複数配置されている。複数の圧電素子8は、
図4に示すように、回路基板7と、回路基板7に対向して配置された電極板81との間に挟持されている。電極板81は、複数の圧電素子8に荷重を分散して伝達するものである。圧電素子8は、ケース2に生じる歪に応じて荷重伝達部材5から伝達される圧力を受け、この圧力に比例した電荷量を発生させるものである。圧電素子8の基端側の面は、電極板81、保持部材6及びケース2を介してエンジンヘッド11に導通されている。圧電素子8は、水晶、PZT、ニオブ酸リチウム、ポリフッ化ビニリデン等の圧電材からなる。電極板81は、ステンレス鋼等の金属からなり、円環形状を有する。
【0022】
本形態の増幅回路部品9は、
図3に示すように、圧電素子8に生じる電荷を蓄積して電圧信号を形成する電荷積分器としてのコンデンサ91と、コンデンサ91の電圧を増幅して制御用電圧に変換する増幅部としてのトランジスタ92と、コンデンサ91の電圧の飽和を防止するための抵抗93とを有する。複数の圧電素子8、コンデンサ91、トランジスタ92及び抵抗93は、回路配線74によって配線されている。なお、増幅回路部品9は、オペアンプ等を用いたものとしてもよい。
【0023】
トランジスタ92の出力部には、
図6に示すように、トランジスタ92に流れる電流を一定にするための、ダイオード等によって構成された定電流素子921が接続されている。定電流素子921は、制御用電源とトランジスタ92との間に接続されており、定電流プルアップを構成している。定電流素子921は、燃焼圧センサ1に繋がるコネクタ部94に配置されている。これにより、圧電素子8の出力信号をより精度高く増幅することができる。なお、定電流素子921の代わりに複数の電子部品を用いた定電流回路を設けてもよい。
【0024】
このコネクタ部94には、トランジスタ92の出力をさらに増幅する増幅回路95、トランジスタ92に生じるオフセット電圧をカットするDCカット回路96等が配置されている。そして、コネクタ部94には、圧電素子8の増幅出力信号の出力電圧端子941が設けられている。また、コネクタ部94には、グローヒータ3のヒータ素子31に通電を行うための通電端子942、制御用電源端子943、GND(グラウンド)端子944が設けられている。
【0025】
トランジスタ92の出力は、
図2、
図6に示すように、信号引出線72によって、回路基板7から保持部材6の内部を通過して燃焼圧センサ1の基端側に引き出されている。コンデンサ91、トランジスタ92及び抵抗93のGNDは、GND引出線73によって、回路基板7から保持部材6の内部を通過して燃焼圧センサ1の基端側に引き出されている。
信号引出線72及びGND引出線73は、一対の接続端子75を介して、コネクタ部94に引き出される一対のリード線76に接続されている。
【0026】
回路基板7に配置された増幅回路部品9の高さは、
図4に示すように、回路基板7に配置された圧電素子8の高さよりも低く、増幅回路部品9と電極板81との間には隙間が形成されている。これにより、回路基板7と電極板81との間に圧電素子8を挟持した際に、電極板81への増幅回路部品9の接触を避けることができる。また、回路基板7への増幅回路部品9の配置を容易にすることができる。
【0027】
次に、燃焼圧センサ1の圧力検出方法について説明する。
エンジンヘッド11に生じる圧縮応力は、荷重として雌螺子部131と段部134とを介してエンジンヘッド11に取り付けられたケース2に加わる。そして、ケース2にも圧縮応力が生じ、ケース2に生じた圧縮応力が荷重として荷重伝達部材5に加わり、荷重伝達部材5から圧電素子8に圧力が加わる。圧電素子8は、電極板81及び保持部材6によって移動が阻止されており、ケース2に生じた圧縮応力が圧電素子8によって圧力として測定される。
また、燃焼室12内の燃焼圧と圧電素子8の圧力の出力との関係は、実際に測定を行って形成したマップ等によって求められている。そして、圧電素子8の圧力の出力に応じて燃焼室12内の燃焼圧を算出することができる。
【0028】
次に、本実施形態の作用効果につき説明する。
燃焼圧センサ1においては、圧電素子8に生じる電荷の電圧を増幅するための増幅回路部品9を、圧電素子8と同じ回路基板7に配置している。これにより、圧電素子8から増幅回路部品9までの距離が短くなり、圧電素子8の微小な出力信号を増幅回路部品9によって直ちに増幅することができる。そのため、燃焼圧センサ1の耐ノイズ性能を向上させることができる。
【0029】
また、圧電素子8及び増幅回路部品9が配置された回路基板7の外周側は、ケース2によって覆われており、回路基板7の内周側は、荷重伝達部材5の第2荷重伝達部材53における内周側部分532によって覆われている。また、回路基板7の先端側は、荷重伝達部材5の第2荷重伝達部材53における先端側部分531によって覆われており、回路基板7の基端側は、保持部材6によって覆われている。そして、圧電素子8及び増幅回路部品9の全体は、エンジンヘッド11のグラウンド電位と同じ電位にあるケース2、荷重伝達部材5及び保持部材6によって囲まれている。これにより、特別な工夫を必要とせず、ケース2、荷重伝達部材5及び保持部材6を利用して、圧電素子8及び増幅回路部品9を周囲のノイズから保護することができる。
【0030】
また、特に、荷重伝達部材5の第2荷重伝達部材53における内周側部分532によって回路基板7の内周側が覆われることにより、回路基板7の中心部に挿通された通電線4から圧電素子8及び増幅回路部品9を遮蔽することができる。これにより、グローヒータ3の通電時に通電線4に流れる電流に起因する電流ノイズから、圧電素子8の出力信号を保護することができる。
以上のごとく、燃焼圧センサ1によれば、圧電素子8の出力信号を、外来ノイズ及びグローヒータ3に通電を行う際に生じる電流ノイズから保護することができる。
【0031】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、通電線4は、荷重伝達部材5、保持部材6及び回路基板7の中心部における、中心部から偏心した部位に配置することもできる。この場合、回路基板7の外周側、先端側及び基端側をケース2、荷重伝達部材5及び保持部材6によって囲むことができる。
【符号の説明】
【0032】
1 グロープラグ一体型燃焼圧センサ
2 ケース
3 グローヒータ
4 通電線
5 荷重伝達部材
6 保持部材
7 回路基板
8 圧電素子
9 増幅回路部品