特許第6607060号(P6607060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607060
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】蓄電システム、および電圧検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20191111BHJP
   G01R 19/00 20060101ALI20191111BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20191111BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20191111BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20191111BHJP
【FI】
   H01M10/48 P
   G01R19/00 B
   H01M10/44 P
   H02J7/00 P
   H02J7/02 H
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-17806(P2016-17806)
(22)【出願日】2016年2月2日
(65)【公開番号】特開2017-139082(P2017-139082A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2018年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 誠二
【審査官】 坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−278913(JP,A)
【文献】 特開2010−203848(JP,A)
【文献】 特開2015−206684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R19/00−19/32
H01M10/42−10/48
H02J 7/00− 7/12
7/34− 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルを直列接続してなる電池モジュールを複数有する蓄電池と、前記電池モジュールに対応して設けられて前記電池モジュールの電圧を監視する複数の電圧監視回路と、該電圧監視回路と環状に接続されて該電圧監視回路と通信を行って得られる監視情報に基づいて前記蓄電池の充放電を制御する制御装置とを有する蓄電池システムにおいて、
前記蓄電池にコンデンサを介して接続され、前記制御装置から前記電圧監視回路へ電圧の監視を行う指示である指令信号を前記蓄電池の電圧に重畳して出力する電圧印加回路、を備え、
前記電圧監視回路は、前記蓄電池の電圧変化に基づいて、前記指令信号を検出する判定回路、を備え、前記判定回路によって前記指令信号が検出されたとき前記蓄電池の電圧を検出し、検出した結果を前記制御装置へ絶縁素子を介して出力
前記電圧印加回路は、前記指令信号を同一の振幅で周波数を変化させて複数回送信する蓄電システム。
【請求項2】
前記複数の判定回路のうち少なくとも1つは、前記複数の判定回路それぞれが判定した判定結果の平均値と所定の閾値を比較する、または前記複数の判定回路それぞれが判定した判定結果に対して多数決処理を行うことで、前記指令信号が検出されたとき前記蓄電池の電圧を検出する、請求項1に記載の蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電システム、および電圧検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池システムは、リチウムイオン電池等の再充電が可能な蓄電池(二次電池)と、蓄電池の充放電を制御する制御装置とを備えており、制御装置の制御の下で、蓄電池に蓄えられた電力の取り出し及び蓄電池への電力の蓄え(充放電)を行うシステムである。このような蓄電池システムは、例えば電気自動車(EV:Electric Vehicle)やハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)に搭載される電源として用いられている。
【0003】
蓄電池システムに設けられる蓄電池は、例えば、複数の電池セル(単位電池)を直列接続してなる電池モジュールを、必要とされる電圧が得られる分だけ直列接続した構成である。このような蓄電池を備える蓄電池システムは、蓄電池を構成する電池モジュール毎に電圧監視回路を備えており、制御装置が、各電圧監視回路の監視情報(監視データ)を参照しつつ蓄電池に蓄えられた電力の取り出し及び蓄電池への電力の蓄えの制御(充放電制御)を行う。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の蓄電池システムは、組電池、状態監視装置、および監視ユニットを有している。さらに、特許文献1に記載の蓄電池システムは、クロック信号がマイコンからフォトカプラを介して監視ユニットに接続され、出力信号が監視ユニットからフォトカプラを介してマイコンに接続されている。すなわち、特許文献1に記載の蓄電池システムは、組電池とマイコンとを絶縁するために2つのフォトカプラを有している。なお、フォトカプラは、抵抗等に比べて高価な部品である。組電池は、複数の2次電池の直列接続体として構成されている。状態監視装置は、m(≧2)個ずつの電池セルBi1〜Bim(i=1〜n)を、1つのブロックとして、ブロックの状態を監視する監視ユニットU1〜Unを備えている。これら各監視ユニットU1〜Unは、クロック信号CLKを取り込むクロック端子T1と、クロック信号を電流に変換して出力するクロック出力端子T2と、隣接する監視ユニットの出力信号を取り込む入力端子T3と、出力信号を出力する出力端子T4とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−278913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、組電池とマイコンとを絶縁するために2つのフォトカプラを有していたので、蓄電池システムのコストが高くなっていた。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、組電池を制御する制御装置と組電池とを絶縁しつつ、よりコストを低減することができる蓄電システム、および電圧検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る蓄電システムは、電池セルを直列接続してなる電池モジュールを複数有する蓄電池と、前記電池モジュールに対応して設けられて前記電池モジュールの電圧を監視する複数の電圧監視回路と、該電圧監視回路と環状に接続されて該電圧監視回路と通信を行って得られる監視情報に基づいて前記蓄電池の充放電を制御する制御装置とを有する蓄電池システムにおいて、前記蓄電池にコンデンサを介して接続され、前記制御装置から前記電圧監視回路へ電圧の監視を行う指示である指令信号を前記蓄電池の電圧に重畳して出力する電圧印加回路、を備え、前記電圧監視回路は、前記蓄電池の電圧変化に基づいて、前記指令信号を検出する判定回路、を備え、前記判定回路によって前記指令信号が検出されたとき前記蓄電池の電圧を検出し、検出した結果を前記制御装置へ絶縁素子を介して出力する。
これにより、従来技術では2つ以上用いていた絶縁素子を1つにすることができ、組電池を制御する制御装置と組電池とを絶縁しつつ、よりコストを低減することができる。
【0009】
また、本発明の一態様に係る蓄電システムにおいて、前記電圧印加回路は、前記指令信号を同一の振幅で周波数を変化させて複数回送信するようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係る蓄電システムにおいて、前記複数の判定回路のうち少なくとも1つは、前記複数の判定回路それぞれが判定した判定結果の平均値と所定の閾値を比較する、または前記複数の判定回路それぞれが判定した判定結果に対して多数決処理を行うことで、前記指令信号が検出されたとき前記蓄電池の電圧を検出するようにしてもよい。
これにより、ノイズと指令信号とを判別することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、組電池を制御する制御装置と組電池とを絶縁しつつ、よりコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る蓄電池システムの要部構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る判定回路の構成例を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る指令信号の一例を示す図である。
図4】第2実施形態に係る蓄電池システムの要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、理解を容易にするために、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)等の自動車に搭載される蓄電池システムを例に挙げて説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る蓄電池システム1の要部構成を示すブロック図である。
まず、蓄電池システム1の構成について説明する。
図1に示すように、蓄電池システム1は、蓄電池10(組電池)、電圧検出回路20a〜20d(電圧監視回路)、絶縁素子30、バッテリ制御回路40(制御装置)、コンデンサC1〜C4、抵抗R1、コンタクタSW1〜SW2、インバータINV、およびモータMを備える。蓄電池10は、複数の直列に接続された電池モジュール11a〜11dを備える。電池モジュール11a〜11dそれぞれは、複数の直列に接続された電池セルBn〜Bn(nはa〜d)を備える。なお、図1においては、説明を簡単にするために4つの電池モジュール11a〜11dを備える蓄電池10を示しているが、蓄電池10に設けられる電池モジュールの数は任意である。また、説明を簡単にするために、各電池モジュール11a〜11dが4つの電池セルBを備える例を示しているが、各電池モジュール11a〜11dが備える電池セルBn〜Bnの数は任意である。なお、このような、蓄電池システム1は、例えば車両に搭載される。
【0014】
また、電圧検出回路20aは判定回路21aを備え、電圧検出回路20bは判定回路21bを備え、電圧検出回路20cは判定回路21cを備え、電圧検出回路20dは判定回路21dを備える。また、バッテリ制御回路40は、電圧印加回路41を備える。なお、電池モジュール11a〜11dのうち1つを特定しない場合、単に電池モジュール11という。電池セルBn〜Bnのうち1つを特定しない場合、単に電池セルBという。電圧検出回路20a〜20dのうち1つを特定しない場合、単に電圧検出回路20という。判定回路21a〜21dのうち1つを特定しない場合、単に判定回路21という。
【0015】
電池モジュール11a〜11dは、電池モジュール11a〜11dの順に直列に接続されている。電池セルBa〜Baそれぞれの両端は、電圧検出回路20aの入力端子に接続されている。電池セルBb〜Bbそれぞれの両端は、電圧検出回路20bの入力端子に接続されている。電池セルBc〜Bcそれぞれの両端は、電圧検出回路20cの入力端子に接続されている。電池セルBd〜Bdそれぞれの両端は、電圧検出回路20dの入力端子に接続されている。さらに、電池セルBaの正極側は、コンタクタSW1の一方端とコンデンサC1の一方端に接続されている。電池セルBdの負極側は、コンタクタSW2の一方端に接続されている。
【0016】
コンデンサC1の他端は、抵抗R1の一端に接続されている。バッテリ制御回路40の電圧印加回路41は、出力端子が抵抗R1の他端に接続されている。電圧検出回路20a〜20dは、電圧検出回路20a〜20dの順に、互いに縦続接続(デイジーチェーン接続)されて絶縁素子30を介してバッテリ制御回路40の入力端子に接続されている。コンタクタSW1の他端は、コンデンサC2の一端とコンデンサC3の一端とインバータINVの一端に接続されている。
【0017】
コンデンサC2には、直列に接続されたコンデンサC3とコンデンサC4が並列に接続されている。またコンデンサC3の他端とコンデンサC4の一端との間は、接地されている。コンデンサC3の他端は、コンデンサC4の一端に接続されている。コンタクタSW2の他端は、コンデンサC2の他端とコンデンサC4の他端とインバータINVの一端に接続されている。インバータINVには、モータMが接続されている。
【0018】
次に、蓄電池システム1の動作等をついて説明する。
インバータINVは、蓄電池システム1から供給される電力によりモータMを駆動して自動車を走行させるための動力を発生させる。また、インバータINVは、自動車の減速時にはモータMを発電機として機能させてモータMで発電される電力を回生電力として蓄電池システム1に供給する。
【0019】
コンデンサC2は、ディファレンシャルモードノイズを低減するためのノイズ除去用のXコンデンサである。コンデンサC3〜C4は、コモンモードノイズをグランドに流して低減するノイズ除去用のYコンデンサである。一般的に、Xコンデンサには容量の大きなフィルムコンデンサ等を用い、Yコンデンサには容量の小さいセラミックコンデンサ等を用いる。
【0020】
蓄電池10は、電池モジュール11a〜11dを備え、バッテリ制御回路40の制御によって、蓄えている電力の放電及び供給される電力の充電を行う。なお、蓄電池10は、ブレーカー、ヒューズ等を備えていてもよい。電池モジュール11は、予め規定された複数の電池セルBn〜Bnが、電池セルBn〜Bnの順に直列に接続されているモジュールである。電池セルBは、電池モジュール11a〜11dに設けられる単位電池であり、例えばリチウムイオン電池等の再充電が可能な蓄電池(二次電池)である。
【0021】
電圧検出回路20a〜20dは、蓄電池10の電池モジュール11a〜11dに対応して設けられている。なお、図1においては、説明を簡単にするために4つの電圧検出回路20a〜20dを図示しているが、電圧検出回路20の数は蓄電池10の電池モジュール11と同数設けられている。電圧検出回路20の判定回路21は、電圧印加回路41が出力した指令信号が抵抗R1とコンデンサC1を介して電源ラインLに重畳して入力されたことを、例えば異なる電池セルB間の電圧を、コンパレータを用いて比較することで指令信号入力されたか否かを判定する。すなわち、判定回路21は、電源ラインLの電圧変化に基づいて指令信号を検出する。判定回路21は、指令信号が入力されたと判定したとき、電池モジュール11の電圧(対応する電池モジュール全体の電圧)、及び電池セルBn〜Bnの電圧を検出する。なお、判定回路21の構成例、指令信号の例については、後述する。電圧検出回路20a〜20dは、電池モジュール11、及び各電池セルBの電圧を検出した結果である監視情報(監視データ)を、他の電圧検出回路20と絶縁素子30を介して、バッテリ制御回路40に出力する。なお、これら電圧検出回路20a〜20dは、対応する電池モジュール11a〜11dからの給電を受けてそれぞれ動作する。
【0022】
絶縁素子30は、デイジーチェーン接続された電圧検出回路20a〜20dとバッテリ制御回路40との間を電気的に絶縁するための素子であり、例えばフォトカプラである。
【0023】
バッテリ制御回路40は、電圧検出回路20a〜20dの監視情報に基づいて、蓄電池10の充放電を制御する。具体的に、バッテリ制御回路40は、電圧検出回路20a〜20dの監視情報から蓄電池10の残容量(SOC:State Of Charge)を求め、求めた残容量が予め規定された許容範囲内である場合には、車両の走行状態に応じて蓄電池10の充放電を制御する。例えば、モータMを駆動して車両を走行させるための動力を発生させる場合、バッテリ制御回路40は、蓄電池10に蓄えられた電力を放電させる制御を行い、車両を減速させる場合には、インバータINVから供給される回生電力によって蓄電池10を充電する制御を行う。
【0024】
バッテリ制御回路40の電圧印加回路41は、例えば所定の周期毎に指令信号を生成し、生成した指令信号を抵抗R1とコンデンサC1を介して電源ラインLに重畳して電圧検出回路20aの判定回路21aに出力する。なお、前述したように、この指令信号は、電圧検出回路20aを介して電圧検出回路20bに出力され、電圧検出回路20aと電圧検出回路20bを介して電圧検出回路20cに出力され、電圧検出回路20aと電圧検出回路20bと電圧検出回路20cを介して電圧検出回路20dに出力される。
【0025】
次に、判定回路21の構成例を説明する。
図2は、本実施形態に係る判定回路21の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、判定回路21aは、抵抗R11、コンパレータAM11を備え、判定回路21bは、抵抗R12、コンパレータAM12を備えている。
コンパレータAM11は、一方の入力端がコンデンサC11を介して電源ラインLであり電池セルBaの正極側と抵抗R11の一端に接続され、他方の入力端が抵抗R11の他端と電池セルBaの負極側と電池セルBbの正極側に接続されている。
コンパレータAM12は、一方の入力端がコンデンサC12を介して電池セルBaの負極側と電池セルBbの正極側と抵抗R12の一端に接続され、他方の入力端が抵抗R12の他端と電池セルBbの負極側に接続されている。
【0026】
なお、図2に示した例では、コンデンサC11およびC12の一端が、電池セルBnの正極側に接続されている例を示したが、これに限られない。コンデンサC11およびC12の一端は、電池セルBnの負極側と電池セルBnの正極側との間、電池セルBnの負極側と電池セルBnの正極側との間、電池セルBnの負極側と電池セルBnの正極側との間のうちのいずれか1つであってもよい。
【0027】
次に、指令信号の一例を説明する。
図3は、本実施形態に係る指令信号の一例を示す図である。図3において、横軸は時刻、縦軸は各信号の信号レベルを表している。波形g1は、電圧印加回路41が出力する出力信号(指令信号)Vaであり、波形g2は、判定回路21が出力する出力信号Vbの波形である。波形g3は、時刻t2のとき例えば電源ラインLに発生したノイズの波形の一例である。
【0028】
時刻t1のとき、電圧印加回路41は、電源ラインLに指令信号を印加する。この結果、波形g1のように、信号レベルが例えばVからV+ΔVに変化する。例えば判定回路21aは、コンデンサC1およびC11、抵抗R11により指令信号Vaを微分した波形を出力する。
時刻t2のとき、電圧印加回路41は、電源ラインLに指令信号の印加を終了する。この結果、波形g1のように、信号レベルが例えばV+ΔVからVに変化する。例えば判定回路21aは、コンデンサC1およびC11、抵抗R11により指令信号Vaを微分した波形を出力する。
判定回路21は、このように電源ラインLの電圧変化を検出する。そして、電圧検出回路20は、変化したことを示す出力信号Vbを出力したとき、電池モジュール11および各電池セルBnの電圧を検出する。なお、判定回路21は、例えば立ち上がりが検出された後に立ち下がりが検出されたとき、指令信号が入力されたと判定する。
【0029】
本実施形態では、蓄電池10とバッテリ制御回路40とが、指令信号側がコンデンサC1を介してDC(直流)時に絶縁され、電圧検出回路20側が絶縁素子30によって絶縁されている。そして、電圧印加回路41が電源ラインLにコンデンサC1等を介して、電圧を検出するタイミングを示す指令信号を重畳する。そして、判定回路21は、電源ラインLの電圧変化を検出することで指令信号を検出して、電池モジュール11および各電池セルBnの電圧を検出する。この結果、本実施形態によれば、絶縁素子を1つに低減することができるので、蓄電池システム1のコストを低減することができる。
【0030】
[第2実施形態]
第1実施形態では、電圧印加回路41が、抵抗R1とコンデンサC1を介して電源ラインLに指令信号を重畳する例を示したが、第2実施形態では、YコンデンサであるコンデンサC3を介して電源ラインLに指令信号を重畳する例を説明する。
図4は、本実施形態に係る蓄電池システム1Aの要部構成を示すブロック図である。なお、蓄電池システム1と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略する。図4に示すように、蓄電池システム1Aは、蓄電池10、電圧検出回路20a〜20d、絶縁素子30、バッテリ制御回路40A、コンデンサC2〜C4、抵抗R1、コンタクタSW1〜SW2、スイッチSW3、インバータINV、およびモータMを備える。また、バッテリ制御回路40Aは、電圧印加回路41Aを備えている。
【0031】
電池セルBaの正極側は、コンタクタSW1の一方端に接続されている。電池セルBdの負極側は、コンタクタSW2の一方端に接続されている。
電圧印加回路41Aは、出力端子がコンデンサC3の他端とコンデンサC4の一端との交点とスイッチSW3の一端に接続されている。スイッチSW3の他端は、接地されている。なお、スイッチSW3の開閉の制御は、バッテリ制御回路40Aが行う。また、判定回路21の構成は、図2に示した第1実施形態と同様である。
【0032】
次に、蓄電池システム1Aの動作について、図3を参照しつつ説明する。
時刻t1まで、バッテリ制御回路40Aは、スイッチSW3をオン状態に制御する。また、時刻t1まで、電圧印加回路41Aは、電源ラインLに指令信号を重畳しない。
時刻1〜t3の期間、バッテリ制御回路40Aは、スイッチSW3をオフ状態に制御する。また、時刻t1〜t3の期間、電圧印加回路41Aは、電源ラインLに指令信号を重畳する。
【0033】
以上のように、本実施形態では、蓄電池10とバッテリ制御回路40Aとが、指令信号側がYコンデンサであるコンデンサC3を介してDC時に絶縁され、電圧検出回路20側が絶縁素子30によって絶縁されている。そして、本実施形態では、電圧印加回路41Aが、YコンデンサであるコンデンサC3を介して電源ラインLに指令信号を重畳する。そして、この指令信号を判定回路21が検出して、電池モジュール11および各電池セルBの電圧を検出する。この結果、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、絶縁素子を1つに低減することができるので、蓄電池システム1Aのコストを低減することができる。
【0034】
なお、第1実施形態または第2実施形態において、電圧印加回路41(または41A)が指令信号を出力するタイミングは、例えば所定の周期毎である。または、波形g1の鎖線および符号Δtに示すように、振幅が同じで周波数を可変して出力するようにしてもよい。これにより、時刻t2のときノイズが電源ラインL等に入った場合であっても、このノイズが周期的に発生するノイズであれば、指令信号を出力する周波数を可変することで、ノイズを指令信号として誤検出することを防ぐことができる。
【0035】
また、第1実施形態または第2実施形態において、判定回路21は、判定結果を示す出力信号Vbを、監視情報に合わせて他の電圧検出回路20へ出力するようにしてもよい。この場合、例えば、判定回路21dが、各判定回路21からの出力信号をカウントし、例えば、出力信号の数が電圧検出回路20の数に応じた閾値以上であるか否かの多数決判定を行うようにしてもよい。例えば、閾値は3であり、判定回路21dは、出力信号の数が1〜2の場合はノイズであると判定し、出力信号の数が3以上の場合は正しい指令信号が入力されたと判定するようにしてもよい。また、判定回路21が、複数の判定回路21の出力信号のレベルを取得し、取得した信号レベルの平均値を算出し、算出した値と所定の閾値を比較することで、指令信号が検出されたか否かを判定するようにしてもよい。
【0036】
また、第1実施形態または第2実施形態では、各電圧検出回路20が判定回路21を備える例を説明したが、判定回路21は、複数の電圧検出回路20のうち、少なくとも1つが備えていればよい。この場合、指令信号を検出した判定回路21が、監視情報に加えて指令信号を検出したことを示す情報を、他の電圧検出回路20に出力するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1、1A…蓄電池システム、10…蓄電池、11,11a〜11d…電池モジュール、20,20a〜20d…電圧検出回路、30…絶縁素子、40,40A…バッテリ制御回路、C1〜C4、C11、C12…コンデンサ、R1、R11、R12…抵抗、SW1〜SW2…コンタクタ、SW3…スイッチ、INV…インバータ、M…モータ、21,21a〜21d…判定回路、41,41A…電圧印加回路、B、Ba〜Ba、Bb〜Bb、Bc〜Bc、Bd〜Bd…電池セル、AM11、AM12…コンパレータ
図1
図2
図3
図4