(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器から発生する電磁波の不要輻射が、他の電子機器に影響を及ぼして誤動作を招く一因となっている。このため、電子機器では電磁波の不要輻射の測定を行うことが義務化され、これら測定に関する法制度も整えられている。
【0003】
通常、電子機器から発生する電磁波の不要輻射の測定は、電波暗室またはオープンサイトと呼ばれる野外施設において、設置された被測定物が放射する電磁波を、アンテナによって測定する。この測定は、不要輻射の最大レベルを知るために、アンテナの高さ(アンテナの床面からの高さ)、アンテナの偏波角(アンテナの前後を軸として回転する角度)、アンテナの向き(アンテナの左右を軸として回転する角度)を変えながら複数回の測定が行われる。
【0004】
このように、測定条件の変更作業は非常に煩雑であるため、自動でアンテナの設定が行え、かつ自身が不要輻射の測定に与える影響が少ないアンテナポジショナが求められている。
【0005】
しかしながら、このようなアンテナを設定するための機構は、自身が電磁波の発生源となり測定精度が悪化する要因となる。
【0006】
こうした不要輻射の測定に用いられるアンテナポジショナとして、たとえば特許文献1のような技術が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1によれば、アンテナの高さ、アンテナの偏波角を調整可能である。しかしながら、アンテナポジショナの動力源自身が発生する電磁波を低減するために、床に対向するアンテナマストの底面の隙間を2mm以下にしている。しかしながら、この方法では、アンテナポジショナの動力源自身が発生する電磁波の影響を完全に遮断することはできない。また、床とアンテナマストの底面の隙間を2mm以下にしているため、アンテナポジショナの移動を行う時に、床面の凹凸の影響を受けやすい問題があった。
【0009】
そこで本発明は、自身が不要輻射の測定に与える影響が少ないアンテナポジショナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するためのこの発明の構成は、床面に対して垂直に設置される第1の柱材と、前記第1の柱材を支持するベース部と、前記第1の柱材に取り付けられる昇降体と、前記昇降体に取り付けられる第2の柱材と、前記第2の柱材に取り付けられるアンテナホルダと、前記第2の柱材に取り付けられ、アンテナ偏波切り替えのために前記第2の柱材を回転する円筒カムと、前記円筒カムを回転するカムピンと、前記カムピンを駆動するエアシリンダと、前記エアシリンダに圧縮空気を供給するコンプレッサと、前記円筒カムの回転動作を停止して固定する円筒カム固定機構と、前記コンプレッサと前記円筒カム固定機構を制御する制御部を備え、前記制御部は、アンテナ偏波の切り替え時のみ前記コンプレッサを動作させ、前記コンプレッサの停止中は、前記円筒カム固定機構を制御して前記円筒カムの回転動作を停止して固定することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、前記制御部は、前記コンプレッサの停止中に前記円筒カム固定機構を制御して円筒カムの回転動作を停止して固定する。これにより、前記コンプレッサを停止させても、前記円筒カムの回転動作を停止して固定することができ、前記第2の柱材の回転角も固定される。これにより、アンテナの偏波角を保持することが可能になる。よって、測定時に前記コンプレッサを停止することが可能になり、前記コンプレッサから発生するノイズが無くなる。これにより、アンテナポジショナ自身が不要輻射の測定に与える影響が少なくなる。
【0012】
また前記円筒カム固定機構は、前記エアシリンダに供給される圧縮空気を制御する複数の電磁弁を備え、前記エアシリンダは前記複数の電磁弁を介して前記コンプレッサから圧縮空気が供給され、前記制御部は、前記コンプレッサの停止中、前記エアシリンダ内の空気圧を保持するように前記複数の電磁弁を制御することにより、前記円筒カムの回転動作を停止して固定することを特徴とする。このようにして、複数の電磁弁を用いて円筒カムの回転動作を停止して固定することが可能となる。
さらに、前記複数の電磁弁は、前記コンプレッサと接続される第1の電磁弁と、前記第1の電磁弁に接続される第2の電磁弁を備え、前記第1の電磁弁は、直動式であり、前記第2の電磁弁は、パイロット式であり、前記制御部は、前記コンプレッサの動作開始後、まず、前記第1の電磁弁を前記第2の電磁弁に圧縮空気が送られるように制御し、次に圧縮空気の空気圧が前記第2の電磁弁の弁を移動できるほどに高くなってから、偏波切り替えのために前記第2の電磁弁を制御することを特徴とする。
【0013】
パイロット式の電磁弁は、弁の移動時に規定の値より圧力の低い圧縮空気が供給されると弁が中間位置で停止することがある。前記コンプレッサの動作開始時は、前記コンプレッサから出力される圧縮空気の圧力が低い。そのため、パイロット式である前記第2の電磁弁の弁を移動すると弁が中間位置で停止する恐れがある。中間位置での停止をさけるために本発明では、まず、前記第1の電磁弁を制御し、前記第2の電磁弁に圧縮空気を供給する。第1の電磁弁は直動式なので圧縮空気の空気圧に関わらず、弁を移動可能である。その後、圧縮空気の空気圧が充分に高くなるのを待ってから、前記第2の電磁弁を制御することで弁が中間位置で停止することなく弁を移動することが可能になる。このことにより前記第2の電磁弁にパイロット式を用いることが可能になり、空気回路の消費電力と体積を小さくすることが出来る。さらに前記第2の電磁弁の弁の移動時には常に高い圧力の圧縮空気が供給されるので、圧力安定のためのバッファタンクが必要なくなり、さらに空気回路の体積を小さくすることができる。体積が小さくなることで、自身が電磁波測定に与える影響を小さくすることができる。
【0014】
前記第2の電磁弁の弁が中間位置で止まった場合に、前記制御部は、前記第2の電磁弁を前記第1の電磁弁から切り離す制御を第1の電磁弁に対して行い、前記第2の電磁弁を駆動するに十分なほど前記第1の電磁弁内の圧力が高まるのを待ってから、再度前記第2の電磁弁に圧縮空気を送る制御を前記第1の電磁弁に対して少なくとも1回以上行うことにより、前記第2の電磁弁の弁を正常位置に移動することを特徴とする。
【0015】
前記第1の電磁弁を直動式にすることにより、前記第2の電磁弁が中間位置で止まり圧縮空気の圧力が下がっても、前記第1の電磁弁の弁を移動し、前記第1の電磁弁から前記第2の電磁弁を切り離すことが可能になる。このことにより、前記第1の電磁弁内の圧力を高めることが可能になり、圧力が高まった後、前記第1の電磁弁の弁を移動して前記第2の電磁弁を接続することで高い圧力の圧縮空気を前記第2の電磁弁に供給することが可能になる。これにより、前記第2の電磁弁の弁を正常な位置に移動することが可能になる。また、一度の操作で正常な状態に復帰できなかった場合でも複数回操作を繰り返すことで正常な状態に復帰できる。
【0016】
前記複数の電磁弁は、前記コンプレッサと前記第1の電磁弁の間に接続される第3の電磁弁を備え、前記第3の電磁弁は、直動式であり、前記制御部は、前記第3の電磁弁を制御し、前記コンプレッサの停止時に前記コンプレッサ内の空気を排気し、前記コンプレッサの動作時には、前記コンプレッサからの圧縮空気を前記第1の電磁弁に送るように前記第3の電磁弁を制御することを特徴とする。
【0017】
これにより前記コンプレッサの劣化を防ぐことが可能になる。前記制御部は、前記コンプレッサの停止中に、前記コンプレッサ内の空気を前記第3の電磁弁を通じて排気をするように制御することで、前記コンプレッサ内の圧力が大気圧と同じになり前記コンプレッサにかかるストレスを軽減できる。このことにより前記コンプレッサの劣化を防ぐことが出来る。前記第3の電磁弁を直動式にすることで、前記コンプレッサからの圧縮空気がなくても、前記第3の電磁弁の弁を動かすことが可能になり、前記コンプレッサの停止時に前記コンプレッサ内の空気を排気した状態からの復帰が可能になる。
【0018】
前記制御部と前記複数の電磁弁と前記コンプレッサを、前記ベース部内部に設置し、前記ベース部はフェライトで覆われていることを特徴とする。
【0019】
これにより測定精度が向上する。コンプレッサや電磁弁の部品には、金属が使用されるため電磁波を反射し、測定精度が悪化する要因となる。また、前記制御部も電磁波の発生源となり測定精度を悪化させる要因となる。前記空気回路が備える複数の電磁弁と前記コンプレッサ及び前記制御部を前記ベース部内に設置することにより、前記コンプレッサとアンテナからの距離を離すことが可能になり測定に与える影響が小さくなる。また、前記ベース部の筐体をフェライトで覆うことにより、電磁波の反射を抑え、さらに測定に与える影響を少なくできる。
【発明の効果】
【0020】
かかる発明の構成によれば、自身が不要輻射の測定に与える影響が少ないアンテナポジショナを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態1によるアンテナポジショナを示す斜視図である。
【
図2】実施形態1による第1の柱材の側面図である。
【
図3】実施形態1による第2の柱材と第2の柱材を回転する機構の斜視図である
【
図4】実施形態1による偏波切り替えを行う仕組みの構成説明図である。
【
図5】実施形態1によるコンプレッサの動作タイミング図である。
【
図6】実施形態1による第1のエアシリンダを駆動する空気回路図である。
【
図7】実施形態1による水平保持時の空気回路の動作説明図である。
【
図8】実施形態1による垂直切り替え時の空気回路の動作説明図である
【
図9】実施形態1による垂直切り替え時の空気回路の動作説明図である。
【
図10】実施形態1による垂直保持時の空気回路の動作説明図である。
【
図11】実施形態1による水平切り替え時の空気回路の動作説明図である。
【
図12】実施形態1による水平切り替え時の空気回路の動作説明図である。
【
図13】実施形態1による不具合発生時の空気回路の状態説明図である。
【
図14】実施形態1による不具合から復帰時の空気回路の動作説明図である。
【
図15】実施形態2による第1のエアシリンダを駆動する空気回路図である。
【
図16】実施形態2による垂直切り替え時の空気回路の動作説明図である。
【
図17】実施形態2による水平保持時の空気回路の動作説明図である。
【
図18】実施形態3による切替時の回転カム固定機構の動作説明図である。
【
図19】実施形態3による固定時の回転カム固定機構の動作説明図である。
【
図20】コンプレッサを単体で動作させた時の不要輻射の測定波形である。
【
図21】コンプレッサを単体で停止させた時の不要輻射の測定波形である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を以って発明の実施形態を説明する。
【0023】
図1は実施形態1によるアンテナポジショナを示す斜視図である。
【0024】
第1の柱材1は、ベース部3の上に立設した長尺の直方体の部材である。第1の柱材1とベース部3は、電磁波の反射を抑えるよう非金属材料の例えば繊維強化プラスチック等の樹脂によって形成されていることが望ましい。
【0025】
図2は実施形態1による第1の柱材の側面図である。
【0026】
昇降体4は、柱材1に昇降自在に取り付けられる。ベルト5は、昇降体4に、第1のベルトホルダ15aおよび第2のベルトホルダ15bによって固定されている。ベルト5は、ベース部3の内部に備えられたサーボモータによって駆動される。ベルト5は、柱材1の上部に取り付けられたプーリー6を介して、柱材1にそって循環走行する。
【0027】
支持体7は、昇降体4の側面に上下方向に回転ができるように取り付けられる。(
図1)
【0028】
図3は、実施形態1による第2の柱材2と第2の柱材2を回転する機構の斜視図である。
【0029】
支持体7は、円筒カム9を備える。円筒カム9は、第2の柱材2が円筒カム9の回転軸を貫くように取り付けられている。円筒カム9と第2の柱材2は固結されている。よって、円筒カム9が回転をすると、第2の柱材2も同時に回転する。支持体7は、円筒カム9、第2の柱材2を回転可能に保持するように構成されている。
【0030】
第1のエアシリンダ8は、第2の柱材2に沿う方向に設置されている。第1のエアシリンダ8は、円筒カム9に設けられたカム溝11と勘合するカムピン10を備える。カムピン10は、第1のエアシリンダ8によって駆動され、第2の柱材2に沿うように直線運動をさせられる。カムピン10がカム溝11に沿って移動することにより、円筒カム9は回転する。第1のエアシリンダ8は、ベース部3内部に備えられたコンプレッサからチューブ12を通って送られた空気によって駆動される。
【0031】
第1のエアシリンダ8は、非金属部品のみで構成することが可能である。しかしながら、第1のエアシリンダ8の駆動には、コンプレッサが必要である。また、コンプレッサから出力される圧縮空気を制御するために電磁弁が必要である。これら、コンプレッサや電磁弁は金属部品を使用しなければならないので、電磁波を反射し測定精度を悪化させる要因となる。だが、第1のエアシリンダ8は空気で駆動することができるので、空気を送るチューブを使用すれば、コンプレッサや電磁弁を、ベース部3内部のように第1のエアシリンダ8から離した場所に設置することが可能である。このことにより、アンテナからのコンプレッサ及び電磁弁までの距離が長くなり、反射の影響が小さくなるので測定に与える影響も小さくなる。また、ベース部3をフェライトで覆うことで、ベース部3、コンプレッサ及び電磁弁からの反射をさらに抑え、測定精度が向上する。
【0032】
第2の柱材2は、先端にアンテナホルダ13を備える。アンテナホルダ13は、第2の柱材2に固結されており、第2の柱材2の回転に伴い、アンテナホルダ13も同時に回転させられる。アンテナホルダ13は、アンテナ14のアームを保持できる構造になっている。よって、第1のエアシリンダ8に駆動されるカムピン10の直線運動により、アンテナホルダ13及び、アンテナホルダ13に保持されているアンテナ14も回転させられ、偏波切り替えが可能になる。
【0033】
第2の柱材2、アンテナホルダ13、および第2の柱材2を回転する機構、すなわち、昇降体4、円筒カム9、カムピン10、第1のエアシリンダ8、チューブ12は電磁波の反射を抑えるよう非金属材料の、たとえば樹脂によって形成されていることが望ましい。
【0034】
図4は、偏波切り替えを行う仕組みの構成説明図である。
【0035】
コンプレッサ16から出力された圧縮空気は、複数の電磁弁31を経由し、第1のエアシリンダ8を駆動する。第1のエアシリンダ8の動きは、カムピン10に伝わり、円筒カム9および第2の柱材2を回転させる。よって第2の柱材2が備えるアンテナホルダ13によって保持されたアンテナ14も回転し偏波の切り替えが可能になる。制御部30は、電気信号によりコンプレッサ16と円筒カム固定機構としての電磁弁31とを制御することにより、偏波の切り替えを制御する。コンプレッサ16、複数の電磁弁31、第1のエアシリンダ8は、カムピン10を駆動させるための空気回路を校正する。また制御部30も、自身による測定精度の悪化を避けるため、ベース部3の内部に設置される。
【0036】
図5は、実施形態1によるコンプレッサの動作タイミングを示した図である。
【0037】
測定中は、コンプレッサの動作を停止する(期間1)。次にコンプレッサを動作させて偏波の切り替えを行う(期間2)。この期間に測定は行わない。偏波の切り替えが終了したら、コンプレッサを停止して、測定を実施する(期間3)。次にコンプレッサを動作させて偏波の切り替えを行う(期間4)。このように、コンプレッサの動作を制御することで、測定中にコンプレッサから発生するノイズを完全になくすことが可能になり、測定精度が向上する。通常、測定は、偏波を垂直、または水平に固定した状態で実施する。よって、本制御を実施しても、測定時間に影響を与える事無く、測定精度を向上することが出来る。
【0038】
図6は、実施形態1による第1のエアシリンダ8を駆動するための空気回路図である。
【0039】
コンプレッサ16は第1の電磁弁17に接続される。第1の電磁弁17は、第2の電磁弁18に接続される。第2の電磁弁18は、第1のエアシリンダ8に接続される。第1の電磁弁17は、直動式の3方向電磁弁であり、第2の電磁弁18は、パイロット式の4方向電磁弁である。
【0040】
第1のソレノイド22、第2のソレノイド23及び第3のソレノイド24に対して、制御部30が通電、非通電を切り替える。このことにより、第1のエアシリンダ8が備えるピストン21(カムピン10に接続される)を操作して偏波の切り替えを行う。
【0041】
第1のポート8a及び第2のポート8bのどちらに給気されたときに、偏波が垂直または水平になるかは第1のエアシリンダ8に接続する偏波を行う機構の接続方法により変わる。以降、説明のため、第1のポート8aが排気、第2のポート8bが給気の時に水平に切り替わり、第1のポート8aが給気、第2のポート8bが排気の時に垂直に切り替わると仮定して動作の説明を行う。
【0042】
図7は、実施形態1による水平偏波を保持している時の空気回路の動作説明図である。
【0043】
第1のソレノイド22と第2のソレノイド23は非通電に、第3のソレノイド24に通電すると、第1の弁17a、第2の弁18a、第3の弁18b及び第4の弁18cの位置は
図10に示す位置に移動する。これにより、第2のポート8bに接続する回路が閉回路になる。よって、コンプレッサ16が停止しても回路内の圧力が保持され、第1のピストンロッド20及びピストン21の位置を固定することが可能になり水平偏波を保持すること出来る。これにより、測定中にコンプレッサ16から発生するノイズを無くすためにコンプレッサ16を停止して、測定精度を向上することが可能になる。
【0044】
図8及び
図9は、実施形態1による水平偏波から垂直偏波へ切り替え時の空気回路の動作説明図である。
【0045】
偏波を水平から垂直に切り替えるために、コンプレッサ16を動作させ、第1のソレノイド22に通電すると、第1の弁17aの位置は
図8に示す位置に移動する。コンプレッサ16を動作後、圧縮空気の空気圧が第2の電磁弁の弁を問題なく移動できるほどに高まってから、第2のソレノイド23を通電し、第3のソレノイド24を非通電に切り替えると、第2の弁18a、第3の弁18b及び第4の弁18cは
図9に示す位置に移動する。これにより、第1のポート8aから給気、第2のポート8bから排気される状態になり、第1のピストンロッド20及びピストン21の位置を移動させて、水平偏波から垂直偏波に切り替わる。
【0046】
ところで、電磁弁の種類には直動式及びパイロット式の2種類がある。パイロット式は、直動式に比べ消費電力が小さく小型であるという利点があるが、弁の移動に圧縮空気の圧力を使用するため、送られてくる圧縮空気の圧力が充分に高くないと不具合を起こし、弁の移動が途中で止まる恐れがある。実施形態1において第1の電磁弁17は直動式の電磁弁であり、第2の電磁弁18はパイロット式の電磁弁である。コンプレッサ16の起動後に、まず、第1の弁17aを移動する。その後、コンプレッサ16からの圧縮空気と第1の電磁弁17内の圧力が高まってから、第2の弁18a、第3の弁18b及び第4の弁18cを移動する。このような順番で各弁を移動させると、第2の電磁弁18に低い圧力の圧縮空気が供給されることは無くなり、第2の電磁弁18にパイロット式を用いても不具合は発生しなくなる。さらに、一番ポート数が多く形状が複雑で常に通電されている第2の電磁弁18をパイロット式にすることが可能になり、空気回路全体の消費電力と体積を小さくすることが可能になる。
【0047】
また、圧力低下を防ぐために空気タンクが良く用いられるが、本実施形態では、空気タンクが必要なくなり空気回路の体積をより小さくすることが可能である。
【0048】
図10は、実施形態1による垂直偏波を保持している時の空気回路の動作説明図である。
【0049】
第1のソレノイド22と第3のソレノイド24は非通電に、第2のソレノイド23に通電すると、第1の弁17a、第2の弁18a、第3の弁18b及び第4の弁18cの位置は
図10に示す位置に移動する。これにより、第1のポート8aに接続する空気回路28が閉回路になる。よって、コンプレッサ16が停止しても空気回路28内の圧力が保持され、第1のピストンロッド20及びピストン21の位置を固定することが可能になり垂直偏波を保持すること出来る。これにより、測定中にコンプレッサ16から発生するノイズを無くすためにコンプレッサ16を停止して、測定精度を向上することが可能になる。
【0050】
図11及び
図12は、実施形態1による垂直偏波から水平偏波へ切り替え時の空気回路の動作説明図である。
【0051】
偏波を垂直から水平に切り替えるために、コンプレッサ16を動作させ、第1のソレノイド22に通電すると、第1の弁17a、第2の弁18a、第3の弁18b及び、第4の弁18cの位置は
図11に示す位置に移動する。コンプレッサ16を動作後、圧縮空気の空気圧が第2の電磁弁の弁を問題なく移動できるほどに高まってから、第3のソレノイド24を通電し、第2のソレノイド23を非通電に切り替えると、第1の弁17a、第2の弁18a、第3の弁18b及び第4の弁18cは
図12に示す位置に移動する。これにより、第1のポート8aから排気、第2のポート8bへ給気される状態になり、第1のピストンロッド20の位置を移動させて、垂直偏波から水平偏波に切り替わる。
【0052】
実施形態1において第1の電磁弁17は直動式の電磁弁であり、第2の電磁弁18はパイロット式の電磁弁である。コンプレッサ16の起動後に、まず、第1の弁17aを移動する。コンプレッサ16からの圧縮空気と第1の電磁弁17内の圧力が高まってから、第2の弁18a、第3の弁18b及び第4の弁18cを移動する。このような順番で各弁を移動させると、第2の電磁弁18に低い圧力の圧縮空気が供給されることは無くなり、第2の電磁弁18にパイロット式を用いても不具合は発生しなくなる。さらに、一番ポート数が多く形状が複雑で常に通電されている第2の電磁弁18をパイロット式にすることで、空気回路全体の消費電力と体積を小さくすることが可能になる。
【0053】
図13は、実施形態1による不具合発生時の空気回路の説明図である。
図14は、実施形態1による不具合から復帰時の空気回路の動作説明図である。
【0054】
停電などの不具合で、第2の電磁弁18の弁が中間位置で止まり、空気回路から空気が漏れた状態になると、パイロット式である第2の電磁弁18は圧縮空気の圧力が足りなくなり正常な状態に復帰できなくなる(
図13)。しかしながら、第1の電磁弁17を直動式にすることにより圧縮空気の圧力が無い状態でも、第1の弁17aを移動して第2の電磁弁18から第1の電磁弁17を切り離すことが可能になる(
図14)。コンプレッサ16から出力される圧縮空気の圧力が復帰してから(すなわち第2の電磁弁を駆動するのに十分なほどに圧力が高まってから)、再度前記第2の電磁弁18に圧縮空気を送る制御を第1の電磁弁に対して少なくとも1回以上行うことで、第2の弁18a、第3の弁18b及び第4の弁18cを正常な位置に移動して前記第2の電磁弁18を正常状態に復帰することが出来る。
【0055】
図15は、実施形態2による第1のエアシリンダ8を駆動するための空気回路図である。
【0056】
コンプレッサ16は第3の電磁弁19に接続される。第3の電磁弁19は、第1の電磁弁17に接続される。第1の電磁弁17は、第2の電磁弁18に接続される。第2の電磁弁18は、第1のエアシリンダ8に接続される。第1の電磁弁17及び第3の電磁弁19は、直動式の3方向電磁弁であり、第2の電磁弁18は、パイロット式の4方向電磁弁である。
【0057】
図16は、実施形態2による水平偏波から垂直偏波へ切り替え時の空気回路の動作説明図である。
図17は、実施形態2による水平偏波を保持している時の空気回路の動作説明図である。
【0058】
偏波切り替え中は、第4のソレノイド25に通電することで、第5の弁19aは
図16に示す位置に移動し、コンプレッサ16からの圧縮空気を第1の電磁弁17に伝え偏波の切り替えを可能にする。測定中(すなわち上述のようにコンプレッサ16を停止中)は、第4のソレノイド25は非通電にすると、第5の弁19aは
図17に示す位置に移動し、停止したコンプレッサ内の圧縮空気を排気する。このことにより、停止中のコンプレッサ16内の残留圧力を抜くことができコンプレッサ16の劣化を防ぐ事が可能になる。第3の電磁弁19が直動式であることで、コンプレッサ16からの圧縮空気がなくても、第3の電磁弁19の弁を動かすことが可能になり、コンプレッサ16内の空気を排気した状態からの復帰が可能になる。すなわちコンプレッサ16の動作時には、コンプレッサ16からの圧縮空気を第1の電磁弁17に送るように第3の電磁弁19を制御し、これによってコンプレッサ16内の空気を排気した状態から復帰することができる。
【0059】
実施形態2による第1の電磁弁17及び第2の電磁弁18の動作および作用は、実施形態1と同じである。
【0060】
実施形態1及び実施形態2では、空気回路は第1の電磁弁17、第2の電磁弁18、第3の電磁弁19、コンプレッサ16、第1のエアシリンダ8のみを備えているが、偏波切り替えの速度調整のために速度調整弁や空気が逆方向に流れるのを防止するため逆止め弁、圧力を一定に保つためのレギュレータなどを別途そなえていても良い。
【0061】
実施形態1及び実施形態2においては、複数の電磁弁を備えて円筒カム固定機構を構築し、当該複数の電磁弁を制御することにより、コンプレッサの停止中に円筒カムの回転動作を停止し固定した場合について説明したが、円筒カム固定機構として他の構成を用いても良い。
図18は実施形態3による切替時の円筒カム固定機構の動作説明図である。
図19は、実施形態3による固定時の円筒カム固定機構の動作説明図である。
【0062】
第2のエアシリンダ32は、第2のピストンロッド34、第3のポート32c、および第4のポート32dを備える。空気回路33は第4のポート32dに接続される。第3のポート32cは開放である。板材35は、第2のピストンロッド34とロッド36にそれぞれ稼働可能に接続される。ロッド36は、第1のホルダ37および第2のホルダ38とバネ39を備える。円筒カム9は窪み40を備える。ロッド36が窪み40に勘合可能なように第1のホルダ37と第2のホルダ38およびロッド36は配置される。バネ39のロッド36と接続されていない片端は第2の柱材2や支持体7など円筒カム9と相対的に距離が変わらない場所に固定される。
【0063】
空気回路33により第4のポート32dに圧縮空気を供給すると第2のピストンロッド34は左方向へ移動する。板材35は支点41で固定されているので、第2のピストンロッド34が左方向に移動するとピン36は右方向へ移動しピン36の先端が窪み40から外れる。これにより円筒カム9は自由に回転可能になり偏波切り替えが可能になる。なお、空気回路33にはコンプレッサが含まれており、当該コンプレッサより圧縮空気が供給される。この場合、空気回路33のコンプレッサは、第1実施形態において第1のエアシリンダを駆動するコンプレッサと共用される。
【0064】
空気回路33により第4のポート32dを開放にするとバネ39の力により、ロッド36が窪み40に勘合される。これにより回転カム9は固定され、偏波が水平または垂直の状態で固定される。ロッド36は、バネ39から力が加わるので第4のポート32dに圧縮空気を供給しなくても窪み40にロッド36が勘合した状態を維持できる。すなわち上述したコンプレッサを停止して圧縮空気の供給を停止しても、円筒カム9の回転動作を停止して固定することができる。
【0065】
本実施例ではロッド36をバネで固定する方法を記載したが、ロッド36が固定できればバネ以外の機構により固定する方法を使用しても良い。
【0066】
図20は、コンプレッサを単体で動作させた時の不要輻射の測定波形である。
図21は、コンプレッサを停止させた時の不要輻射の測定波形である。コンプレッサを停止させた方が、動作時よりノイズレベルが低くなっている。測定時にコンプレッサを停止した方が測定精度より向上することは明らかである。