特許第6607089号(P6607089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607089
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】放射線撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20191111BHJP
   A61B 6/10 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   A61B6/00 300M
   A61B6/10 350
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-42080(P2016-42080)
(22)【出願日】2016年3月4日
(65)【公開番号】特開2017-153861(P2017-153861A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2018年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100101753
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 隆司
(72)【発明者】
【氏名】坂本 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】岡本 剛
【審査官】 伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−318877(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/043033(WO,A1)
【文献】 米国特許第06222906(US,B1)
【文献】 特開平11−226001(JP,A)
【文献】 特開2001−145617(JP,A)
【文献】 特開2011−030699(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0201893(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
G01T 1/00 − 1/16
G01T 1/167 − 7/12
G03B 42/00 − 42/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線検出器と、前記放射線検出器を支持するアームと、前記放射線検出器を前記アームに対して放射線検出面に対して垂直方向を向く軸を中心に回転させる回転機構と、を備えた放射線撮影装置において、
前記放射線検出器を囲む外形が前記軸を中心とする円形のハンドルを、前記放射線検出器における放射線検出面の外周部に配設したことを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線撮影装置において、
前記放射線検出器はフラットパネルディテクタである放射線撮影装置。
【請求項3】
請求項に記載の放射線撮影装置において、
前記ハンドルは、前記フラットパネルディテクタの対角線の長さより大きな外形を有する放射線撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転可能な放射線検出器を備えた放射線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、このような放射線撮影装置としての従来のX線撮影装置の斜視図である。
【0003】
このX線撮影装置は、被検者を載置するための検診台1と、検診台1上の被検者に対してX線撮影またはX線透視を実行するためのX線撮影部2とを備える。
【0004】
検診台1は、被検者を載置する天板11と、フレーム12と、基台13とから構成される。天板11は、フレーム12に対して、天板11の長手方向に移動可能に支持されている。そして、フレーム12は基台13に対して、天板11の短手方向に移動可能に支持されている。
【0005】
X線撮影部2は、X線管とコリメータとを備えるX線照射部31と、このX線照射部31から照射され検診台1上の被検者を透過したX線を検出するフラットパネルディテクタ32とを備える。また、このX線撮影部2は、円弧状の案内部を有しX線照射部31とフラットパネルディテクタ32とを対向配置した状態で支持する略C型形状を有するC型アーム28と、このC型アーム28における案内部と係合することによりC型アーム28をスライド可能に支持するスライド部27と、このスライド部27を回転可能に支持する回転部29と、この回転部29を支持するための支持部26とを備える。
【0006】
支持部26は、移動部材24に対して鉛直方向を向く軸を中心に回転する回転部材25を介して支持されている。移動部材24は、図示を省略したレールに沿って、互いに直交するX方向およびY方向に移動可能となっている。このため、C型アーム28は、X線照射部31およびフラットパネルディテクタ32とともに、X方向およびY方向への移動、鉛直軸方向を中心とした回転、水平方向を中心とした回転、および、スライド部27に対するスライドが可能となっている。
【0007】
このX線撮影装置に使用されるフラットパネルディテクタ32は、C型アーム28に対して、そのX線検出面に対して垂直方向を向く軸を中心に回転可能となっている。そして、このフラットパネルディテクタ32は、その外形(X線検出面側から見た形状)が、矩形状となっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013ー158532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図7は、フラットパネルディテクタ32がX線検出面に対して垂直方向を向く軸を中心に回転する様子を示す模式図である。
【0010】
この図に示すように、フラットパネルディテクタ32は、その外形が矩形状となっている。このため、このフラットパネルディテクタ32がX線検出面に対して垂直方向を向く軸を中心に回転するときに、フラットパネルディテクタ32の近傍に障害物51が配置されていた場合には、フラットパネルディテクタ32と障害物51とが衝突するという問題が生ずる。このため、フラットパネルディテクタ32を回転させるときには、フラットパネルディテクタ32と障害物51との衝突の可能性を常に考慮する必要があり、操作が煩わしいという問題が生ずる。
【0011】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、放射線検出器を回転させるときに、障害物との衝突を防止することが可能な放射線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、放射線検出器と、前記放射線検出器を支持するアームと、前記放射線検出器を前記アームに対して放射線検出面に対して垂直方向を向く軸を中心に回転させる回転機構と、を備えた放射線撮影装置において、前記放射線検出器を囲む外形が前記軸を中心とする円形のハンドルを、前記放射線検出器における放射線検出面の外周部に配設したことを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記放射線検出器はフラットパネルディテクタである。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記ハンドルは、前記フラットパネルディテクタの対角線の長さより大きな外形を有する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、放射線検出器の外周部に配設されたハンドルの作用により、放射線検出器を回転させる場合においても、放射線検出器と障害物との衝突の発生を防止することが可能となる。
【0016】
また、ハンドルを利用して放射線検出器の移動や回転等を行うことができるとともに、このハンドルの作用により、放射線検出器と障害物との衝突の発生を防止することが可能となる。
【0017】
請求項および請求項に記載の発明によれば、矩形状を成すフラットパネルディテクタと障害物との衝突の発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明に係るX線撮影装置の斜視図である。
図2】フラットパネルディテクタ32を、枠部材33とともに示す斜視図である。
図3】フラットパネルディテクタ32を、枠部材33とともに示す平面図である。
図4】フラットパネルディテクタ32を、C型アーム28に対して回転させるための回転機構の概要図である。
図5】この発明の第2実施形態に係る枠部材としてのハンドル34を、フラットパネルディテクタ32とともに示す平面図である。
図6】従来のX線撮影装置の斜視図である。
図7】フラットパネルディテクタ32が線検出面に対して垂直方向を向く軸を中心に回転する様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係る放射線撮影装置としてのX線撮影装置の斜視図である。図2は、フラットパネルディテクタ32を、枠部材33とともに示す斜視図である。図3は、フラットパネルディテクタ32を、枠部材33とともに示す平面図である。
【0020】
この発明に係るX線撮影装置は、被検者を載置するための検診台1と、検診台1上の被検者に対してX線撮影またはX線透視を実行するためのX線撮影部2とを備える。
【0021】
検診台1は、被検者を載置する天板11と、フレーム12と、基台13とから構成される。天板11は、フレーム12に対して、天板11の長手方向に移動可能に支持されている。そして、フレーム12は基台13に対して、天板11の短手方向に移動可能に支持されている。
【0022】
X線撮影部2は、X線管とコリメータとを備えるこの発明に係る放射線照射部としてのX線照射部31と、このX線照射部31から照射され検診台1上の被検者を透過したX線を検出するこの発明に係る放射線検出器としてのフラットパネルディテクタ32と、このフラットパネルディテクタ32を囲む外形が円形の枠部材33とを備える。また、このX線撮影部2は、円弧状の案内部を有しX線照射部31とフラットパネルディテクタ32とを対向配置した状態で支持する略C型形状を有するC型アーム28と、このC型アーム28における案内部と係合することによりC型アーム28をスライド可能に支持するスライド部27と、このスライド部27を回転可能に支持する回転部29と、この回転部29を支持するための支持部26とを備える。
【0023】
支持部26は、移動部材24に対して鉛直方向を向く軸を中心に回転する回転部材25を介して支持されている。移動部材24は、図示を省略したレールに沿って、互いに直交するX方向およびY方向に移動可能となっている。このため、C型アーム28は、X線照射部31およびフラットパネルディテクタ32とともに、X方向およびY方向への移動、鉛直軸方向を中心とした回転、水平方向を中心とした回転、および、スライド部27に対するスライドが可能となっている。
【0024】
このX線撮影装置に使用されるフラットパネルディテクタ32は、C型アーム28に対して、そのX線検出面(後述する図4参照)に対して垂直方向を向く支軸41(後述する図4参照)を中心に回転可能となっている。すなわち、フラットパネルディテクタ32は、枠部材33とともに、図2において一点鎖線で示す回転中心軸を中心に回転する。このフラットパネルディテクタ32は、その外形(X線検出面側から見た形状)が、矩形状となっており、フラットパネルディテクタ32を囲む枠部材33は、その外形が支軸41を中心とする円形となっている。そして、この枠部材33の外径(直径)は、フラットパネルディテクタ32の対角線の長さLより大きくなるように構成されている。
【0025】
図4は、フラットパネルディテクタ32をC型アーム28に対して回転させるための回転機構の概要図である。
【0026】
フラットパネルディテクタ32は、X線検出面38とは逆側において、X線検出面38に対して垂直方向を向く(X線検出面38の法線方向を向く)支軸41と連結されている。この支軸41は、矩形状を成すフラットパネルディテクタ32の中心に配置されている。この支軸41は、ベアリング42の作用により回転可能に支持されており、その上端付近にはギア43が固定されている。このギア43は、モータ45の回転軸に固定されたギア44と噛合している。このため、フラットパネルディテクタ32は、モータ45の駆動により、支軸41を中心に回転する。
【0027】
このような構成を有するX線撮影装置においては、フラットパネルディテクタ32の外周部に配設された枠部材33の外形が、支軸41を中心とする円形となっている。従って、フラットパネルディテクタ32が枠部材33とともに、支軸41を中心として回転した場合においても、枠部材33の外周面の位置は一定となる。このため、この枠部材33の作用により、図7に示す場合のように、障害物51とフラットパネルディテクタ32とが、互いに衝突するような位置関係となることはない。従って、フラットパネルディテクタ32と障害物51との衝突を確実に防止することが可能となる。これにより、オペレータがフラットパネルディテクタ32を回転させるときに、フラットパネルディテクタ32と障害物51との衝突の可能性を常に考慮する必要はなくなり、操作の煩わしさを解消することが可能となる。
【0028】
次に、この発明の他の実施形態について説明する。図5は、この発明の第2実施形態に係る枠部材としてのハンドル34を、フラットパネルディテクタ32とともに示す平面図である。
【0029】
この第2実施形態においては、枠部材として、オペレータによる把持が可能なハンドル34を採用している。このハンドル34は、第1実施形態に係る枠部材33と同様、フラットパネルディテクタ32の外周部においてフラットパネルディテクタ32に固定されている。このハンドル34の外形は、支軸41を中心とする円形となっている。そして、このハンドル34の外径(直径)は、フラットパネルディテクタ32の対角線の長さLより大きくなるように構成されている。
【0030】
この第2実施形態に係るX線撮影装置においては、オペレータがハンドル34を把持することにより、フラットパネルディテクタ32を移動あるいは回転させることが可能となる。そして、このハンドル34が支軸41を中心として回転した場合においても、ハンドル34の外周面の位置は一定となる。このため、この円形をなすハンドル34の作用により、障害物51とフラットパネルディテクタ32とが、互いに衝突するような位置関係となることはない。従って、フラットパネルディテクタ32と障害物51との衝突を確実に防止することが可能となる。このため、第1実施形態の場合と同様、オペレータがフラットパネルディテクタ32を回転させるときには、フラットパネルディテクタ32と障害物51との衝突の可能性を常に考慮する必要はなくなり、操作の煩わしさを解消することが可能となる。
【0031】
なお、上述した実施形態においては、フラットパネルディテクタ32を支軸41により支持し、フラットパネルディテクタ32をこの支軸41とともに回転させているが、フラ
ットパネルディテクタ32をその他の部材により支持するとともに、このフラットパネルディテクタ32をX線検出面に対して垂直方向を向く仮想的な回転中心軸を中心として回転させてもよい。
【0032】
また、上述した実施形態においては、この発明を、矩形状のフラットパネルディテクタ32を、略C型形状を有するC型アーム28により回転可能に支持したX線撮影装置に適用した場合について説明したが、フラットパネルディテクタ32を支持するアームの形状はこのような形状に限定されるものではなく、その他の形状を有するアームに対して各種の放射線検出器を回転可能に支持した放射線撮影装置に対してこの発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 検診台
2 X線撮影部
11 天板
28 C型アーム
31 X線照射部
32 フラットパネルディテクタ
33 枠部材
34 ハンドル
38 X線検出面
41 支軸
42 ベアリング
43 ギア
44 ギア
45 モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7