特許第6607115号(P6607115)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607115
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】タッチパネル装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0488 20130101AFI20191111BHJP
   G06F 3/0484 20130101ALI20191111BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20191111BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   G06F3/0488
   G06F3/0484
   G06F3/14 330A
   B60R16/02 630L
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-61879(P2016-61879)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-174292(P2017-174292A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100090103
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】東海林 理紗
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 忍
【審査官】 岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−195231(JP,A)
【文献】 特開2006−259855(JP,A)
【文献】 特開2008−014660(JP,A)
【文献】 特開2011−186730(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0210958(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/03− 3/0489
G06F 3/14− 3/153
B60R 16/00−17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内に配設され、操作者が操作を行う操作部とメニューの表示を行う表示部とを備えたタッチパネル装置において、
前記車両の停車中に、予め設定されている方法とは異なる方法で前記操作部の操作が行われたことを検出する誤操作検出手段と、前記誤操作検出手段により誤操作が検出された場合に前記操作部の操作練習を行う練習機能を発現させる練習機能発現手段とを有することを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項2】
請求項1記載のタッチパネル装置において、
前記操作部が車室中央側に配設され、当該車両が右ハンドルの場合と左ハンドルの場合とに応じて前記操作練習の際に表示させるアイコンを変化させることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のタッチパネル装置において、
前記車両の走行中に、予め設定されている方法とは異なる方法で前記操作部の操作が行われた場合には、前記練習機能発現手段は前記練習機能の発現を停止させることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項4】
請求項3記載のタッチパネル装置において、
発現が停止された前記練習機能を記憶手段に記憶して前記車両の停止時に該練習機能を発現させることを特徴とするタッチパネル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のタッチパネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションシステム等の表示装置において、操作者の接触により入力を検知するタッチパネル装置が広く知られ用いられている。このタッチパネル装置では操作者が接触したキーが入力情報となるため、キーの操作方法は特に重要である。従って、操作方法が誤っていた場合には通常の操作を行うことができず、所望の情報を得ることができない。
上述の問題点を解消すべく、操作ミスの発生回数が所定値に達した場合に、ガイダンスを行う技術が知られている(例えば「特許文献1」参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−259855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術ではガイダンスが行われるので、操作者はそのガイダンスを参照して操作を行うことができる。しかし、操作者がガイダンス通りに操作したか否かは判定できないため、操作者が正しい操作の練習を行うことができたか否かは判断できず、操作者が正しい操作を覚えることは確実ではない。
本発明は上述の問題点を解決し、操作者が正しい操作を覚えるために、操作者が誤った操作を行った際に練習を行うことが可能なタッチパネル装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、車両の車室内に配設され、操作者が操作を行う操作部とメニューの表示を行う表示部とを備えたタッチパネル装置において、前記車両の停車中に、予め設定されている方法とは異なる方法で前記操作部の操作が行われたことを検出する誤操作検出手段と、前記誤操作検出手段により誤操作が検出された場合に前記操作部の操作練習を行う練習機能を発現させる練習機能発現手段とを有することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のタッチパネル装置において、さらに前記操作部が車室中央側に配設され、当該車両が右ハンドルの場合と左ハンドルの場合とに応じて前記操作練習の際に表示させるアイコンを変化させることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のタッチパネル装置において、さらに前記車両の走行中に、予め設定されている方法とは異なる方法で前記操作部の操作が行われた場合には、前記練習機能発現手段は前記練習機能の発現を停止させることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のタッチパネル装置において、さらに発現が停止された前記練習機能を記憶手段に記憶して前記車両の停止時に該練習機能を発現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作者が操作を完全に習熟していないことを誤操作検出手段が判断して操作者に対して操作練習を促すので、操作に不慣れな操作者であっても練習を重ねることにより正確な操作を素早く習熟することができ、使い勝手を格段に向上することが可能なタッチパネル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態を適用した車両のタッチパネル装置の概略図である。
図2】本実施形態に用いられるタッチパネル装置を車内に搭載した状態を示す概略図である。
図3】本実施形態に用いられるアイコンの概略図である。
図4】本実施形態における車両走行中でのタッチパネル装置における練習機能の発現制限を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態を採用した車両のタッチパネル装置を示している。同図においてタッチパネル装置1は、複数の機能4を表示する表示部2と、操作者によって操作が行われる操作部3とを有しており、例えば表示部2にはナビゲーションシステムの画面を表示している。タッチパネル装置1は、図2に示すように、車両6の車室7内に互いに別体で設けられている。
【0012】
各機能4には、それぞれ「A」、「B」、「C」、「D」、「E」の表示がなされており、具体的には、例えば「オーディオ」、「電話」、「時計」、「走行情報」等が表示されている。操作者は、操作部3の操作により表示させたい機能4を選択して決定する。機能4の選択は、操作部3に対して指を接触させた状態で移動させることによるフリック操作によって行われ、機能4の決定は操作部3を指で押し込む押し込み操作によって行われる。
【0013】
上述のフリック操作及び押し込み操作がうまく実行できないと、機能4の選択及び決定を確実に行うことができない。このタッチパネル装置1を使用し始めた際には操作方法が判らないため、機能4の中には「はじめての方へ」という機能があり、この機能4をタッチするとタッチパネル装置1の練習機能が発現して、操作部3の操作練習を行うことができる。この操作練習を行うことにより、操作者は操作部3の操作を確実に習熟することができる。
【0014】
操作練習は、例えば上下左右のフリック操作、押し込み操作を行う。そして、正しい操作が行われた際には次のステップに進み、間違った操作が行われた際には音声で正しい操作を操作者に対して報知する。そして、全てのステップが終了すると操作練習が終了する。例えば右フリックの練習時に間違った操作が行われた場合には、次のように報知を行う。
【0015】
先ず左フリックされた場合には、「右から左へ指が移動しました。現在、右フリック以外の操作はできません。」という報知を行う。上フリックされた場合には、「下から上へ指が移動しました。現在、右フリック以外の操作はできません。」という報知を行う。下フリックされた場合には、「上から下へ指が移動しました。現在、右フリック以外の操作はできません。」という報知を行う。指の移動量が少ない場合には、「指の移動量が足りません。もう少し長く指を移動させて下さい。」という報知を行う。指の移動速度が遅い場合には、「もう少し素早く指を移動させて下さい。」という報知を行う。そして2箇所以上タッチした場合には、「タッチパネルに2本の指が触りました。右フリックは1本の指で操作して下さい。」という報知を行う。他の方向のフリック操作も同様である。
【0016】
上述の操作練習により、操作者は操作の学習効率を高めることができ、操作の確実な習熟を達成することができる。しかし、タッチパネル装置1において機能4の表示は階層化されており、常時機能4の中に「初めての方へ」というメニューが表示されているとは限らない。そのため、操作練習を行うために現在開いている機能を閉じて画面を戻したり、練習をせずに適当に操作を行って正しい表示ができなかったりするという問題点があった。
【0017】
本発明は上述の問題点を解決すべく、タッチパネル装置1に予め設定されている方法とは異なる方法で操作部3が操作されたことを誤操作検出手段が検出した際に、機能4の「はじめての方へ」が選択された場合と同様にタッチパネル装置1の練習機能を練習機能発現手段が発現させることで、操作部3の操作練習を行うことができる構成とした。なお、機能4の選択が予め設定されている方法とは異なる方法で操作部3が操作された場合には、操作練習を行うか否かのメニューが開いて操作練習の中止を選択することも可能である。
【0018】
ここで、本実施形態における、予め設定されている方法とは異なる方法について説明する。本発明のタッチパネル装置1では、上述したようにその操作は操作部3におけるフリック操作及び押し込み操作によって行われる。フリック操作及び押し込み操作では、操作部3のタッチパッドに対して一定時間以上指が触れていることはないため、一定時間以上タッチパッドに指が触れている場合には、予め設定されている方法とは異なる方法であると誤操作検知手段が検知して練習機能発現手段が練習機能を発現させる。また、通常のタッチパネルの操作では指を2本以上使用することはないため、2本以上の指がタッチパッドに触れている場合には、予め設定されている方法とは異なる方法であると誤操作検知手段が検知して練習機能発現手段が練習機能を発現させる。
【0019】
さらに、表示部2における機能4の選択や設定及びページ移動等が左右のフリック操作のみである場合には、上下のフリック操作が予め設定されている方法とは異なる方法であると誤操作検出手段が検知する場合もある。また、上述した練習機能でも示したように、指の移動量が少ない場合や指の移動速度が遅い場合に、予め設定されている方法とは異なる方法であると誤操作検出手段が検知する構成としてもよい。
【0020】
上述の構成により、予め設定されている方法とは異なる方法で操作部3の操作が行われた際に、誤操作検知手段が誤操作を検知して練習機能発現手段が練習機能を発現させるので、操作者が操作を完全に習熟していないことを誤操作検知手段が検知して練習機能発現手段が操作者に対して操作練習を促す。このため、操作に不慣れな操作者であっても練習を重ねることにより正確な操作を確実に習熟することができ、使い勝手を格段に向上することが可能なタッチパネル装置を提供することができる。
【0021】
図3は、練習機能において例えばフリック操作を操作者に練習させる際の表示(アイコン)を示している。図3(a)に示す指型のアイコン8は、タッチパネル装置1が右ハンドルの車両に搭載されている場合に表示部2に表示される。また、図3(b)に示す指型のアイコン9は、タッチパネル装置1が左ハンドルの車両に搭載されている場合に表示部2に表示される。
【0022】
このように、練習機能においては右ハンドル車と左ハンドル車とに応じてアイコンの表示を変化させている。このため、操作者が実際に操作する側の手指で操作方法が教示されるので、操作者にとっては直感的な理解度が高まり、所定の操作を確実に習熟することが可能となる。
【0023】
本実施形態において、予め設定されている方法とは異なる方法で操作部3の操作が行われた際に練習機能を発現させる構成は、安全性を考慮して車両の停止時においてのみ行われる。なお、この停止時には、車両走行中における信号での一時停止等、エンジン始動状態での停止を含む。しかし、タッチパネル装置1の操作は車両の停止時のみには限定されず、車両走行中にも行われる。そこで第3の実施形態では、車両走行中でのタッチパネル装置1における練習機能の発現制限について、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0024】
先ず、タッチパネル装置1において操作部3が予め設定されている方法とは異なる方法で操作されたこと(誤操作という)が誤操作検出手段によって検出されると(ST01)、車両6に設けられた図示しない制御手段である、CPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータからなるECUは、車両6の速度情報を取得して車両6が走行中か否かを判断する(ST02)。速度情報が0であって車両6が走行中ではないと判断すると、ECUは練習機能発現手段に対して練習機能を発現させるように促す(ST03)。そして、所定の練習機能が終了すると、表示部2の表示が初期画面に戻る。
【0025】
ステップST02において、速度情報が0ではなくECUが車両走行中であると判断すると、ECUは練習機能発現手段に対して練習機能の発現を停止させる旨の指令を送る(ST05)。この場合、表示部2の表示は誤操作が行われた表示を維持しており、ECUは誤操作が行われたことを記憶する記憶手段として機能する。そして、ECUにより速度情報が0となって車両6が停止したと判断されると(ST06)、ステップST03に進んでECUは練習機能発現手段に対して練習機能を発現させるように促す。
【0026】
上述の構成によれば、操作部3が予め設定されている方法とは異なる方法で操作されたことを誤操作検出手段が検出しても、車両6が走行中であることが認識されると練習機能発現手段に対して表示部2への練習機能の発現を停止する指令が送られるので、運転者が運転中に練習操作を行うことが確実に防止され、安全性を向上することができる。
上述の実施形態では、誤操作検出手段及び練習機能発現手段として具体的な構成を示していないが、各手段としてはCPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータが適用可能であり、これ等は表示部2または操作部3に設けられる。
【0027】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。本発明の実施の形態に記載された効果は本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0028】
1・・・タッチパネル装置、2・・・表示部、3・・・操作部、4・・・機能、5,8,9・・・アイコン、6・・・車両、7・・・車室
図1
図2
図3
図4