(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1位置および前記第2位置は、それぞれ、前記リングギアの半径方向から見て前記リングギアの回転軸線の一方端部および他方端部と同じ位置に配置されている、請求項1または2に記載の差動装置の部材接合構造。
前記第1端部と前記ディファレンシャルケースとの接合位置と、前記第2端部と前記リングギアとの接合位置とは、前記リングギアの半径方向に沿って互いに異なる、請求項4に記載の差動装置の部材接合構造。
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記リングギアおよび前記ディファレンシャルケースとは別個に設けられているとともに、前記リングギアと前記ディファレンシャルケースとは、前記第1連結部および前記第2連結部の各々の両端部を介して互いに接合されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の差動装置の部材接合構造。
前記リングギアと前記ディファレンシャルケースとは、前記第1位置および前記第2位置において、互いに溶接されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の差動装置の部材接合構造。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
[第1実施形態]
図1および
図2を参照して、第1実施形態による差動装置100の構成を説明する。
【0014】
(車両および差動装置の概略構成)
本発明の第1実施形態による差動装置100は、
図1に示すように、車両1に搭載されたエンジン(内燃機関)2の駆動力(トルク)を左右の駆動輪(タイヤ)5aおよび5bに伝達する機能を有する。また、差動装置100は、車両1が円滑に旋回を行うために、旋回の内側(たとえば駆動輪5b)と外側(たとえば駆動輪5a)との回転数に差を発生させるために設けられた機械要素部品である。車両1において、エンジン2(クランク軸2a)の駆動力は、変速機3を介して作動装置100から左右の駆動輪5aおよび5bの順に伝達される。
【0015】
差動装置100は、ディファレンシャルケース10と、一対のピニオンギア21および22と、サイドギア25および26と、リングギア30とを備える。ディファレンシャルケース10は、上記した4つのギアを収容するギア収容部10aを有しており、ギア収容部10aにピニオンギア
21および22、サイドギア25および26が収容されるように構成されている。また、ディファレンシャルケース10のY2側の周縁部(外周面11まわり)には、後述するリングギア30が接合されている。したがって、ディファレンシャルケース10は、リングギア30とともにY軸(回転軸線102)まわりに回転されるように構成されている。なお、ディファレンシャルケース10は、車体1a側に固定された支持部材6に対して軸受部材(円すいころ軸受)7を介して回転可能に保持されている。
【0016】
また、ディファレンシャルケース10には、ピニオンシャフト23がX軸方向に平行に配置された状態で
ギア収容部10aを貫通するように組み付けられている。そして、ピニオンギア21および22は、各々の歯部がX軸方向に沿って所定の間隔を隔てて互いに対向した状態でピニオンシャフト23に回転可能に取り付けられている。また、サイドギア25および26は、ピニオンギア21および22の配置方向に直交するY軸方向に沿って所定の間隔を隔てて互いに対向した状態で
ギア収容部10a内に配置されている。したがって、ピニオンギア21、22、サイドギア25および26は、各々の歯部が互いに噛み合っている。また、Y1側の駆動輪5aは、サイドギア25に結合されたドライブシャフト9aに等速ジョイント(図示せず)を介して接続されるとともに、Y2側の駆動輪5bは、サイドギア26に結合されたドライブシャフト9bに等速ジョイント(図示せず)を介して接続されている。なお、Y軸方向は、特許請求の範囲の「回転軸線方向」の一例である。
【0017】
これにより、変速機3からの駆動力は、リングギア30(ディファレンシャルケース10)、ピニオンシャフト23、ピニオンギア21および22、サイドギア25および26、ドライブシャフト9aおよび9bを介して左右の駆動輪5aおよび5bにそれぞれ伝達される。なお、車両1が直進する場合(図示せず)には、リングギア30(ディファレンシャルケース10)とともにピニオンギア21および22がY軸まわりに大きく公転する。そして、ピニオンギア21および22の歯面がサイドギア25および26を同一の回転数を伴って押し回すことにより、駆動輪5aおよび5bは同一の回転数で回転される。一方、車両1が、たとえば、左に旋回する場合(
図1参照)には、ピニオンギア21および22がY軸まわりに公転しつつ、各々がピニオンシャフト23を軸として自転することにより、内輪側(Y2側)のサイドギア26よりも外輪側(Y1側)のサイドギア25をより多く回転させるように動作される。これにより、駆動輪5aが駆動輪5bよりも多く回転されることになり、車両1が円滑に(抵抗なく)左方向に旋回される。
【0018】
また、車両1では、クランク軸2a(破線で示す)がY軸方向に沿って延びるようにエンジン2が横置き状態で配置されている。また、変速機3には、減速比を段階的に切り替える多段変速式の機構が適用されており、Y軸方向に平行に回転軸線101(一点鎖線で示す)が配置されている。したがって、変速機3の出力ギア(ヘリカルギア)3aの回転軸線101と、差動装置100のリングギア30の回転軸線102とが互いに平行に配置された状態で、出力ギア3aとリングギア30とは噛み合っている。なお、出力ギア3aは、歯筋が回転軸線101に対して所定のねじれ角度を有してつるまき線状に形成されたヘリカルギアからなる円筒歯車である。なお、車両1は、前方のエンジンルーム1bにエンジン2および変速機3が搭載されるとともに前輪(駆動輪5aおよび5b)が駆動される前輪駆動方式(FF方式)の自動車である。
【0019】
(差動装置の内部構造)
図2に示すように、リングギア30は、出力ギア3aに噛み合い可能に構成されたヘリカルギアである。すなわち、リングギア30には、回転軸線方向(Y軸方向)に沿って延びるとともに歯筋が回転軸線102(一点鎖線で示す)に対して所定のねじれ角度を有してつるまき線状に形成されたヘリカル歯部31が設けられている。また、リングギア30は、回転軸線102まわりに周状に形成されている。そして、差動装置100においては、リングギア30には、変速機3の出力ギア(ヘリカルギア)3aとの噛み合い時に、リングギア30の回転軸線方向に沿ってスラスト荷重F1またはF2が加え続けられている。この場合、リングギア30には、車両1の進行方向(リングギア30の回転方向)に応じてスラスト荷重F1またはスラスト荷重F2のいずれかが発生する。
【0020】
また、リングギア30は、ヘリカル歯部31の背面側において半径方向内側に延びる支持部32を有する。支持部32は、リングギア30に一体的に形成されており、ヘリカル歯部31の背面側(半径方向内側)において回転軸線102まわりに周状(フランジ状)に形成されている。したがって、リングギア30は、回転軸線102に沿った断面(
図2における紙面垂直方向の断面)がL字形状を有している。また、リングギア30は、回転軸線102の一方端部31a(Y1側)に対応する背面部分に設けられた支持端部32aと、回転軸線102の他方端部31b(Y2側)に対応する背面部分に設けられた接合用端部32bとを有する。また、支持端部32aおよび接合用端部32bは、回転軸線102まわりに周状に形成されている。なお、
図2では、ピニオンギア21、22、サイドギア25および26(
図1参照)の図示を省略してディファレンシャルケース10とリングギア30との接合構造のみを図示している。なお、支持部32および支持端部32aは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1連結部」および「第1端部」の一例である。
【0021】
また、ディファレンシャルケース10は、外周面11から半径方向外側に延びる支持部12をする。また、支持部12は、ディファレンシャルケース10に一体的に形成されており、外周面11において回転軸線102まわりに周状(フランジ状)に形成されている。また、支持部12の先端部分には支持端部12bが設けられるとともに、支持部12の根元部分の外周面11にはギア接合部11aが設けられている。なお、支持部12および支持端部12bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第2連結部」および「第2端部」の一例である。
【0022】
そして、第1実施形態では、ヘリカル歯部31を含むリングギア30の回転軸線102の一方端部31aに対応する背面部分の接合位置P1と、リングギア30の回転軸線方向(Y軸方向)における他方端部31bに対応する背面部分の接合位置P2とにおいて、リングギア30とディファレンシャルケース10とが互いに溶接(接合)されている。すなわち、支持部32のディファレンシャルケース10側の支持端部32aと、支持端部32aに対向するディファレンシャルケース10の外周面11におけるギア接合部11aとが互いに溶接されている。また、これと同時に、支持部12のリングギア30側の支持端部12bと、支持端部12bに対向するリングギア30の他方端部31bの背面側の接合用端部32bとが互いに溶接されている。これにより、支持部32と支持部12とは、空洞部40を隔てて互いに離間している。なお、接合位置P1およびP2は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1位置」および「第2位置」の一例である。
【0023】
また、接合位置P1およびP2は、それぞれ、リングギア30の半径方向(X軸方向)から見てリングギア30の回転軸線102の一方端部31a(Y1側)および他方端部31b(Y2側)と同じ位置(重なる位置)に配置されている。そして、接合位置P1およびP2は、それぞれ、リングギア30の回転軸線102まわりに周状に設けられている。すなわち、リングギア30とディファレンシャルケース10との2箇所(接合位置P1およびP2)の溶接領域(溶接ビード)Wは、回転軸線102まわりに周状(円弧状)に形成されている。したがって、空洞部40も回転軸線102まわりに周状に設けられている。また、リングギア30とディファレンシャルケース10との2箇所(接合位置P1およびP2)の溶接領域Wは、リングギア30の回転軸線方向(Y軸方向)に沿って延びている。この場合、溶接領域Wは、回転軸線102と平行な方向に沿って互いに対向する支持端部32aおよびギア接合部11a(接合用端部32bおよび支持端部12b)において所定距離だけ延びている。
【0024】
また、第1実施形態では、支持端部32aとディファレンシャルケース10との接合位置P1と、支持端部12bとリングギア30との接合位置P2とは、リングギア30の半径方向に沿って互いに異なっている。すなわち、接合位置P1は、半径方向に沿った回転軸線102に近い側に位置しているとともに、接合位置P2は、接合位置P1よりも半径方向に沿った外側に位置している。
【0025】
差動装置100では、変速機3の出力ギア3aとの噛み合い時にリングギア30にはスラスト荷重F1またはF2が作用しているが、リングギア30の一方端部31aに対応する接合位置P1と他方端部31bに対応する接合位置P2との2箇所においてリングギア30とディファレンシャルケース10とが互いに溶接されている。これにより、支持部32と支持部12との間の有効活用されない領域に空洞部40を設けていても、強度が必要となる接合位置P1およびP2の2つの部位で部材接合構造の剛性を確保することが可能となり、スラスト荷重F1またはF2に起因したリングギア30の回転軸線方向への倒れ込み変形が抑制されるように構成されている。このようにして、第1実施形態における差動装置100内の部材接合構造は構成されている。
【0026】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0027】
第1実施形態では、上記のように、ヘリカル歯部31を含むリングギア30の回転軸線102の一方端部31aに対応する背面部分の接合位置P1と、リングギア30の回転軸線方向(Y軸方向)における他方端部31bに対応する背面部分の接合位置P2とにおいて、リングギア30とディファレンシャルケース10とを互いに接合するように構成する。これにより、リングギア30を回転軸線102の一方端部31aに対応する背面部分の接合位置P1と他方端部31bに対応する背面部分の接合位置P2との2箇所でディファレンシャルケース10に接合することができる。このため、強度が必要となる接合位置P1および接合位置P2の2つの部位で部材接合構造の剛性を確保することができるので、接合位置P1と接合位置P2との間の領域を空洞部40(肉抜き部)にした場合であっても、ヘリカルギアからなるリングギア30に加わるスラスト荷重F1またはF2に起因したリングギア30の回転軸線方向への倒れ込み変形を抑制することができる。この結果、空洞部40(肉抜き部)により重量の増加を抑制しつつ(軽量化を達成しつつ)、スラスト荷重F1またはF2に起因したリングギア30の回転軸線方向への倒れ込み変形を抑制可能な差動装置100を得ることができる。
【0028】
また、第1実施形態では、接合位置P1およびP2を、共に、リングギア30の回転軸線102まわりに周状に配置するように構成する。これにより、リングギア30を周状に配置された接合位置P1と接合位置P2とによってディファレンシャルケース10に周状に接合することができるので、回転するリングギア30の回転軸線方向への倒れ込み変形をより効果的に抑制することができる。この際、接合位置P1と接合位置P2との間に設けられる空洞部40(肉抜き部)を周状に構成することができるので、回転するリングギア30の回転軸線102まわりの重量バランスを良好に保つことができる。その結果、差動装置100の軽量化とともに重量のアンバランスに起因した振動などが発生するのを抑制することができる。
【0029】
また、第1実施形態では、リングギア30とディファレンシャルケース10とを接合位置P1およびP2において互いに溶接して差動装置100を構成する。これにより、たとえば、リングギア30とディファレンシャルケース10とを複数のボルト部材を用いて締結する場合と異なり、複数のボルト部材を使用しない分、差動装置100の軽量化を確実に行うことができる。
【0030】
また、第1実施形態では、接合位置P1およびP2を、それぞれ、リングギア30の半径方向から見てリングギア30の回転軸線102の一方端部31aおよび他方端部31bと同じ位置(重なる位置)に配置するように構成する。これにより、Y軸方向に沿ったリングギア30の幅よりも外側に接合位置が位置するようにディファレンシャルケース10およびリングギア30の断面形状を構成する必要がないので、差動装置100の車体1aへの搭載性に悪影響を及ぼすことなく、差動装置100の軽量化を図ることができる。
【0031】
また、第1実施形態では、接合位置P1に配置されるとともにディファレンシャルケース10とリングギア30とを連結する支持部32を、リングギア30に設けるとともに、接合位置P2に配置されるとともにディファレンシャルケース10とリングギア30とを連結する支持部12を、ディファレンシャルケース10に設ける。そして、支持部32と支持部12とを空洞部40を隔てて互いに離間させるように構成する。これにより、ディファレンシャルケース10とリングギア30とを、接合位置P1に配置された支持部32および接合位置P2に配置された支持部12を介在させて互いに接合することができる。そして、支持部32と支持部12との間に空洞部40が設けられているので、差動装置100の重量が増加するのを確実に抑制することができる。
【0032】
また、第1実施形態では、支持部32をリングギア30に一体的に形成するとともに、支持部12をディファレンシャルケース10に一体的に形成する。そして、支持部32のディファレンシャルケース10側の支持端部32aと、支持端部32aに対向するディファレンシャルケース10の外周面11におけるギア接合部11aとを互いに接合するとともに、支持部12のリングギア30側の支持端部12bと、支持端部12bに対向するリングギア30の背面側の接合用端部32bとを互いに接合する。これにより、支持部32を含むリングギア30と支持部12を含むディファレンシャルケース10との2つの部材のみをリングギア30の半径方向に互いに対向させて接合することができるので、接合構造が簡素なものとなり、差動装置100の部品点数が増加するのを抑制することができる。
【0033】
また、第1実施形態では、支持端部32aとディファレンシャルケース10との接合位置P1と、支持端部12bとリングギア30との接合位置P2とは、リングギア30の半径方向に沿って互いに異なる。これにより、ディファレンシャルケース10およびリングギア30の回転軸線102(Y軸方向)に沿った断面形状を左右非対称にすることができるので、組立作業者がディファレンシャルケース10に対する接合方向(溶接方向)を誤ることなくリングギア30を接合(溶接)することができる。
【0034】
また、第1実施形態では、支持部32を含むリングギア30を、回転軸線102に沿った断面がL字形状を有するように構成する。これにより、リングギア30の一方端部31aに対応する背面部分の接合位置P1(支持端部32a)が一方端部31aよりも外側(矢印Y1方向)に突出するのが防止されるので、リングギア30が大型化するのを抑制することができる。
【0035】
また、第1実施形態では、リングギア30とディファレンシャルケース10との溶接領域Wは、リングギア30の回転軸線方向(Y軸方向)に沿って延びている。これにより、回転軸線102と平行な方向に沿って互いに対向する支持端部32aおよびギア接合部11a(接合用端部32bおよび支持端部12b)において溶接領域Wが所定距離だけ延びるとともに、この状態の溶接領域Wを回転軸線102まわりに周状に設けることができる。したがって、接合位置P1およびP2におけるリングギア30とディファレンシャルケース10との接合強度を確実に確保することができる。
【0036】
[第1実施形態の変形例]
次に、
図1および
図3を参照して、第1実施形態の変形例について説明する。この第1実施形態の変形例では、上記第1実施形態とは異なる形状のリングギア130とディファレンシャルケース110とを用いて差動装置150における接合構造を構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、同一の符号を用いて図示する。
【0037】
第1実施形態の変形例による差動装置150では、
図3に示すように、ディファレンシャルケース110の外周面111に対してリングギア130が溶接されている。
【0038】
リングギア130は、ヘリカル歯部131の背面側において半径方向内側に延びる支持部132を一体的に有している。また、支持部132は、リングギア130の回転軸線102の一方端部131a(Y2側)に対応する背面部分から半径方向内側に延びており、リングギア130は、回転方向に沿って見た場合の断面がL字形状を有している。また、リングギア130は、回転軸線102の他方端部131b(Y1側)に対応する背面部分に設けられた接合用端部132aと、回転軸線102の一方端部131aに対応する背面部分に設けられた支持端部132bとを有する。なお、
図3では、ピニオンギア21、22、サイドギア25および26(
図1参照)の図示を省略してディファレンシャルケース110とリングギア130との接合構造のみを図示している。なお、支持部132および支持端部132bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1連結部」および「第1端部」の一例である。
【0039】
また、ディファレンシャルケース110は、外周面111から半径方向外側に延びる支持部112を一体的に有している。また、支持部112の先端部分には支持端部112aが設けられるとともに、支持部112の根元部分の外周面111にはギア接合部111bとが設けられている。なお、支持部112および支持端部112aは、それぞれ、特許請求の範囲の「第2連結部」および「第2端部」の一例である。
【0040】
これにより、第1実施形態の変形例では、ヘリカル歯部131を含むリングギア130の回転軸線102の一方端部131a(Y2側)に対応する背面部分の接合位置P1と、リングギア130の回転軸線方向(Y軸方向)における他方端部131b(Y1側)に対応する背面部分の接合位置P2とにおいて、リングギア130とディファレンシャルケース110とが互いに溶接(接合)されている。すなわち、支持部132のディファレンシャルケース110側の支持端部132bと、支持端部132bに対向するディファレンシャルケース110の外周面111におけるギア接合部111bとが互いに溶接されている。また、これと同時に、支持部112のリングギア130側の支持端部112aと、支持端部112aに対向するリングギア130の他方端部131bの背面側の接合用端部132aとが互いに溶接されている。また、支持部132と支持部112とは、周状となった空洞部40を隔てて互いに離間している。なお、差動装置150のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0041】
(第1実施形態の変形例の効果)
第1実施形態の変形例では、支持部132をリングギア130に一体的に形成し、かつ、支持部112をディファレンシャルケース110に一体的に形成する。そして、支持部132のディファレンシャルケース110側の支持端部132bと、支持端部132bに対向するディファレンシャルケース110の外周面111におけるギア接合部111bとを互いに溶接するとともに、支持部112のリングギア130側の支持端部112aと、支持端部112aに対向するリングギア130の背面側の接合用端部132aとを互いに溶接する。これにより、支持部132を含むリングギア130と支持部112を含むディファレンシャルケース110との2つの部材のみをリングギア130の半径方向に互いに対向させて接合することができるので、接合構造が簡素なものとなり、差動装置150の部品点数が増加するのを抑制することができる。なお、その他の効果については、上記第1実施形態と同様である。
【0042】
[第2実施形態]
次に、
図1および
図4を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態とは異なる形状のリングギア230とディファレンシャルケース210とを用いて差動装置200における接合構造を構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態同様の構成には、同一の符号を用いて図示する。
【0043】
第2実施形態による差動装置200では、
図4に示すように、ディファレンシャルケース210に対してリングギア230が溶接されている。
【0044】
リングギア230は、ヘリカル歯部231を含むギア部232のみを有する。なお、リングギア230は、一方端部231a(Y1側)に対応する背面部分に設けられた接合用端部232aと、他方端部231b(Y2側)に対応する背面部分に設けられた接合用端部232bとを有する。また、接合用端部232aおよび232bは、Y軸方向に所定の間隔を隔ててギア部232の背面部分に周状に設けられている。
【0045】
一方、ディファレンシャルケース210は、外周面211から半径方向外側に延びる一対の支持部212および支持部213を一体的に有している。また、支持部212の先端部分には支持端部212aが設けられるとともに、支持部213の先端部分には支持端部213bが設けられている。なお、
図4では、ピニオンギア21、22、サイドギア25および26(
図1参照)の図示を省略してディファレンシャルケース210とリングギア230との接合構造のみを図示している。なお、支持部212および213は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1連結部」および「第2連結部」の一例である。また、支持端部212aおよび支持端部213bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1端部」および「第2端部」の一例である。
【0046】
これにより、第2実施形態では、ヘリカル歯部231を含むリングギア230の回転軸線102の一方端部231aに対応する背面部分の接合位置P1と、リングギア230の回転軸線方向(Y軸方向)における他方端部231bに対応する背面部分の接合位置P2とにおいて、リングギア230とディファレンシャルケース210とが互いに溶接(接合)されている。すなわち、支持部212および213のディファレンシャルケース210とは反対側の支持端部212aおよび213bと、支持端部212aおよび213bに対向するリングギア230のギア部232における接合用端部232aおよび232bとが互いに溶接されている。また、支持部212と支持部213とは、周状となった空洞部40を隔てて互いに離間している。なお、差動装置200のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0047】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記のように、支持部212および213を、ディファレンシャルケース210に一体的に形成し、支持部212および213のディファレンシャルケース210とは反対側の支持端部212aおよび213bと、支持端部212aおよび213bに対向するリングギア230のギア部232における接合用端部232aおよび232bとを、互いに溶接する。これにより、支持部212および213を一体的に含むディファレンシャルケース210とリングギア230との2つの部材のみで簡素な接合構造を構成することができるので、差動装置200の部品点数が増加するのを抑制することができる。なお、その他の効果については、上記第1実施形態と同様である。
【0048】
[第2実施形態の変形例]
次に、
図1および
図5を参照して、第2実施形態の変形例について説明する。この第2実施形態の変形例では、上記第2実施形態とは異なる形状のリングギア235とディファレンシャルケース215を用いて差動装置250における接合構造を構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、同一の符号を用いて図示する。
【0049】
第2実施形態の変形例による差動装置250では、
図5に示すように、ディファレンシャルケース215に対してリングギア235が溶接されている。
【0050】
リングギア235は、ヘリカル歯部236の背面側において半径方向内側に延びる支持部236および支持部237を一体的に有している。また、支持部236の先端部分には支持端部236aが設けられるとともに、支持部237の先端部分には支持端部237bが設けられている。なお、
図5では、ピニオンギア21、22、サイドギア25および26(
図1参照)の図示を省略してディファレンシャルケース215とリングギア235との接合構造のみを図示している。なお、支持部236および237は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1連結部」および「第2連結部」の一例である。また、支持端部236aおよび237bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1端部」および「第2端部」の一例である。
【0051】
一方、ディファレンシャルケース215は、外周面216のみを有する。なお、外周面216には、Y軸方向に所定の間隔を隔ててギア接合部216aおよび216bが設けられている。また、ギア接合部216aおよび216bは、Y軸方向に所定の間隔を隔てて外周面216に周状に設けられている。
【0052】
これにより、第2実施形態の変形例では、ヘリカル歯部236を含むリングギア235の回転軸線102の一方端部235a(Y1側)に対応する背面部分の接合位置P1と、リングギア235の回転軸線方向(Y軸方向)における他方端部235b(Y2側)に対応する背面部分の接合位置P2とにおいて、リングギア235とディファレンシャルケース215とが互いに溶接(接合)されている。すなわち、支持部236および237のリングギア235とは反対側の支持端部236aおよび237bと、支持端部236aおよび237bに対向するディファレンシャルケース215の外周面216におけるギア接合部216aおよび216bとが互いに溶接されている。また、支持部236と支持部237とは、周状となった空洞部40を隔てて互いに離間している。なお、差動装置250のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0053】
(第2実施形態の変形例の効果)
第2実施形態の変形例では、支持部236および237をリングギア235に一体的に形成し、支持部236および237のリングギア235とは反対側の支持端部236aおよび237bと、支持端部236aおよび237bに対向するディファレンシャルケース215の外周面216におけるギア接合部216aおよび216bとを互いに溶接する。これにより、支持部236および237を一体的に含むリングギア235とディファレンシャルケース215との2つの部材のみで簡素な接合構造を構成することができるので、差動装置250の部品点数が増加するのを抑制することができる。なお、その他の効果については、上記第1実施形態と同様である。
【0054】
[第3実施形態]
次に、
図1および
図6を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、リングギア230とディファレンシャルケース215とを、これらとは別な連結部材を介在させて互いに接合する例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態同様の構成には、同一の符号を用いて図示する。
【0055】
すなわち、第3実施形態による差動装置300では、
図6に示すように、ディファレンシャルケース215に対してリングギア230が接合されている。
【0056】
リングギア230は、ヘリカル歯部231を含むギア部232のみを有する。すなわち、リングギア230は、一方端部231aに対応する背面部分に設けられた接合用端部232aと他方端部231bに対応する背面部分に設けられた接合用端部232bとを有する。また、ディファレンシャルケース215は、外周面216のみを有する。すなわち、外周面216には、Y軸方向に所定の間隔を隔ててギア接合部216aおよび216bが設けられている。なお、
図6では、ピニオンギア21、22、サイドギア25および26(
図1参照)の図示を省略してディファレンシャルケース215とリングギア230との接合構造のみを図示している。
【0057】
ここで、第3実施形態では、ディファレンシャルケース215とリングギア230とは、支持部材51および52を介して互いに接合されている。すなわち、ヘリカル歯部231を含むリングギア230の回転軸線102の一方端部231aに対応する背面部分の接合位置P1において、接合用端部232aと支持部材51の外側端部51aとが溶接(接合)されるとともに、リングギア230の回転軸線102の他方端部231bに対応する背面部分の接合位置P2において、接合用端部232bと支持部材52の外側端部52bとが溶接(接合)されている。また、接合位置P1において支持部材51の内側端部51cとディファレンシャルケース215の外周面216におけるギア接合部216aとが溶接(接合)されるとともに、接合位置P2において支持部材52の内側端部52dとディファレンシャルケース215の外周面216おけるギア接合部216bとが溶接(接合)されている。なお、支持部材51および52は、実質的に同一の部材および形状からなる。また、支持部材51および52は、円環状に形成されている。なお、支持部材51および52は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1連結部」および「第2連結部」の一例である。また、外側端部51aおよび内側端部51cは、特許請求の範囲の「両端部」の一例であり、外側端部52bおよび内側端部52dは、特許請求の範囲の「両端部」の一例である。
【0058】
したがって、差動装置300におけるディファレンシャルケース215とリングギア230との溶接構造では、接合位置P1において半径方向の内側および外側の2箇所、および、接合位置P2において半径方向の内側および外側の2箇所の合計4箇所の溶接領域Wで、各々の部材が支持部材51および52を介して連結されている。また、4箇所の溶接領域Wは、周状に形成されている。なお、差動装置300のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0059】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、上記のように、支持部材51および52を、リングギア230およびディファレンシャルケース215とは別個に設ける。そして、リングギア230とディファレンシャルケース215とを支持部材51の外側端部51aおよび内側端部51cを介して互いに接合するとともに、支持部材52の外側端部52bおよび内側端部52dを介して互いに接合する。これにより、上記第1および第2実施形態における差動装置100(150、200、250)とは異なり、支持部など半径方向に突起部のない汎用的なリングギア230およびディファレンシャルケース215を用いても、空洞部40を挟んで互いに離間配置された支持部材51および52を用いて差動装置300を構成することができる。また、このような差動装置300は、重量の増加を抑制しつつスラスト荷重F1またはF2に起因したリングギア230の回転軸線方向への倒れ込み変形を抑制することができる。なお、その他の効果については上記第1実施形態と同様である。
【0060】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0061】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、接合位置P1およびP2を、半径方向から見てリングギア30(130、230、235)の一方端部31a(131a、231a、235a)および他方端部31b(131b、231b、235b)に重なる同じ位置(重なる位置)に配置したが、本発明はこれに限られない。たとえば、接合位置P1およびP2を、リングギア30の一方端部31aおよび他方端部31bから回転軸線102に沿って若干内側にずらされた位置に配置してもよい。
【0062】
また、上記第1〜第3実施形態では、リングギア30(130、230、235)とディファレンシャルケース10(110、210、215)との溶接領域(溶接ビード)Wをリングギア30の回転軸線方向(Y軸方向)に沿って延ばしたが、本発明はこれに限られない。たとえば、溶接領域(溶接ビード)Wがリングギア30の半径方向に沿って延びるように、接合位置P1およびP2においてリングギア30とディファレンシャルケース10とを溶接するように構成してもよい。あるいは、溶接領域Wは、回転軸線方向および半径方向に交差(傾斜)した方向に沿って延びていてもよい。
【0063】
また、上記第1〜第3実施形態では、前輪駆動方式(FF方式)の車両1の差動装置100(150、200、250)に本発明を適用したが、本発明はこれに限られない。すなわち、後方のエンジンルームにエンジン2および変速機3が搭載されるとともに後輪が駆動される後輪駆動方式(RR(リアエンジン・リアドライブ)方式)の車両1の差動装置100に本発明を適用してもよい。なお、リングギア30と変速機3の出力ギア3aとがヘリカルギアによって噛み合うのであれば、エンジン2(クランク軸2a)は横置きでも縦置きでも、いずれの配置方向でもよい。
【0064】
また、上記第1〜第3実施形態では、多段変速式の動力伝達機構を有する変速機3の出力ギア3aに差動装置100が接続される例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、歯車以外の機構を用いて変速比を連続的に変化させる無段変速機(CVT)の出力ギア3aに接続される差動装置100に本発明を適用してもよい。
【0065】
また、上記第1〜第3実施形態では、エンジン(内燃機関)2が搭載された車両1の差動装置100(150、200、250)に本発明を適用したが、本発明はこれに限られない。すなわち、エンジン2と電気モータとを併用したハイブリッド自動車の差動装置100に本発明を適用してもよい。