(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分布更新部は、前記変化量判定部により前記変化量が所定値よりも大きい前記局所部位があると判定された場合、前記変化量が所定値以下の前記局所部位の物理量測定の更新頻度を低下させる請求項1に記載の物理量測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る物理量測定装置の構成について
図1〜
図6を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る物理量測定装置としての電流測定装置を備えた車載燃料電池システムを示す全体構成図であり、この燃料電池システムは電気自動車の一種である、いわゆる燃料電池車両に搭載されている。
【0014】
本車載燃料電池システムは、燃料電池システム1、電力変換器2、電力変換器3、高電圧バッテリ4、モータジェネレータ5、車両ECU6およびセンサECU7を有している。車載燃料電池システム1は、水素と酸素との電気化学反応を利用して電力を発生させる燃料電池10(
図2参照)を有している。燃料電池10は、車両ECU6からの指令に従い、発電した電力を高圧バッテリ4、電力変換器2等へ出力する。
【0015】
電力変換器2は、燃料電池10より出力される直流電圧を昇圧し、この昇圧した直流電圧を電力変換器3へ出力する。また、電力変換器2は、燃料電池10の出力電流に任意の周波数で正弦波を重畳させる機能を有している。これにより燃料電池10の出力電流に正弦波が重畳される。
【0016】
電力変換器3は、車両ECU6からの指令に従い、電力変換器2を介して燃料電池10から供給される電力と高圧バッテリ4から電力をモータジェネレータ5に出力する機能と、モータジェネレータ5が回収した回生電力を高圧バッテリ4に供給する。
【0017】
高圧バッテリ4は、モータジェネレータ5に電力を供給するとともに、燃料電池10から出力される余剰の直流電力とモータジェネレータ5が回収した回生電力とを充電することが可能な二次電池である。高圧バッテリ4は、電力変換器3および燃料電池システム1の各種電気部品に電力を供給する。
【0018】
センサ7は、アクセルペダルの踏み込み操作に応じた信号を出力するアクセルセンサ、ブレーキペダルの踏み込み操作に応じた信号を出力するブレーキセンサ、シフトレバーの位置を示す信号を出力するシフト位置センサ等の各種センサを有し、各種センサからの信号を出力する。
【0019】
車両ECU6は、CPU、メモリ、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、メモリに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。車両ECU6は、センサ7より入力される信号等に基づいて、車両の車両走行駆動源としての電動モータの出力、燃料電池10の出力、モータジェネレータ5の出力トルク等の要求出力を算出し、これらの要求出力を満たすよう燃料電池システム1の各部に各種指令を出力する処理を行う。
【0020】
次に、燃料電池システム1の全体構成について説明する。
図2は、燃料電池システム1の全体構成図であり、
図3は、燃料電池の外観斜視図である。
【0021】
本実施形態では燃料電池10として固体高分子電解質型燃料電池を用いており、基本単位となる燃料電池セル10a(以下、単にセル10aと略称する。)が複数個積層配置され、且つ電気的に直列接続されている。複数のセル10aは、起電力を発生する。具体的には、各セル10aは、以下に示すように、水素と酸素とを電気化学反応させて、電気エネルギを出力する。
【0022】
(負極側)H
2→2H
++2e
−
(正極側)2H
++1/2O
2+2e
−→H
2O
燃料電池10から出力される電気エネルギは、燃料電池10全体として出力される出力電圧を検出する電圧センサ11、および燃料電池10全体として出力される出力電流を検出する電流センサ12によって計測される。これら電圧センサ11および電流センサ12の検出信号は、後述する制御部(ECU)50に入力される。なお、制御部(ECU)50と車両ECU6は、通信線を介して接続されている。
【0023】
また、積層されたセル10aの間には、燃料電池10のセル面内の電流分布を測定するための電流測定部材100が設けられている。電流測定部材100は板状部材である測定部集合板100aを有して構成されている。本実施形態の電流測定部材100の測定部集合板100aは、隣り合うセル10aに挟まれて配置されており、隣り合うセル10aと電気的に直列接続されている。電流測定部材100の検出信号は、後述の信号処理回路51を介して制御部50に入力される。電流測定部材100の詳細については後述する。
【0024】
なお、上述したように、電力変換器1は、燃料電池システム1の燃料電池10の出力電流に任意の周波数で正弦波を重畳させる機能を有している。これにより、電圧センサ11、電流測定部材100等の出力信号に正弦波が重畳される。本実施形態の電流測定装置は、起電力を発生する複数のセル10aを積層配置して構成された電池に適用されて、セル10aを流れる電流を測定する。
【0025】
燃料電池システム1には、燃料電池10の空気極側(正極側)に酸素を主成分とする酸化剤ガス(空気)を供給するための空気流路20と、燃料電池10の水素極側(負極側)に水素を主成分とする燃料ガス(水素)を供給するための水素流路30が設けられている。ここで、空気流路20における燃料電池10より上流側を空気供給流路20aといい、下流側を空気排出流路20bという。また、水素流路30における燃料電池10より上流側を水素供給流路30aといい、下流側を水素排出流路30bという。
【0026】
空気供給流路20aの最上流部には、大気中から吸入した空気を燃料電池10に圧送するための空気ポンプ21が設けられ、空気供給流路20aにおける空気ポンプ21と燃料電池10との間には、空気への加湿を行う加湿器22が設けられている。また、空気排出流路20bには、燃料電池10内の空気の圧力を調整するための空気調圧弁23が設けられている。
【0027】
水素供給流路30aの最上流部には、水素が充填された高圧水素タンク31が設けられ、水素供給流路30aにおける高圧水素タンク31と燃料電池10との間には、燃料電池10に供給される水素の圧力を調整するための水素調圧弁32が設けられている。
【0028】
水素排出流路30bには、水素供給流路30aにおける水素調圧弁32の下流側に接続されて閉ループを構成する水素循環流路30cが分岐して設けられており、これにより水素流路30内で水素を循環させて、未反応の水素を燃料電池10に再供給するようにしている。そして、水素循環流路30cには、水素流路30内で水素を循環させるための水素ポンプ33が設けられている。
【0029】
燃料電池10は発電効率確保のために運転中一定温度(例えば80℃程度)に維持する必要がある。このため、燃料電池10を冷却するための冷却システムが設けられている。冷却システムには、燃料電池10に冷却水(熱媒体)を循環させる冷却水経路40、冷却水を循環させるウォータポンプ41、ファン42を備えたラジエータ(放熱器)43が設けられている。
【0030】
冷却水経路40には、ラジエータ43を迂回して冷却水を流すためのバイパス経路44が設けられている。冷却水経路40とバイパス経路44との合流点には、バイパス経路44に流れる冷却水流量を調整するための流路切替弁45が設けられている。また、冷却水経路40における燃料電池10の出口側付近には、燃料電池10から流出した冷却水の温度を検出する温度検出手段としての温度センサ46が設けられている。この温度センサ46により冷却水温度を検出することで、燃料電池10の温度を間接的に検出することができる。
【0031】
燃料電池システム1には、各種制御を行う制御部(ECU)50が設けられている。制御部50は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータとその周辺回路にて構成されている。そして、制御部50には、電圧センサ11、電流センサ12、および温度センサ46からの検出信号等の他に、後述する信号処理回路51から出力される検出信号が入力される。
【0032】
本実施形態の制御部50は、信号処理回路51からの検出信号(電流値)および電圧センサ11からの検出信号を用いて、空気ポンプ21、加湿器22、空気調圧弁23、水素調圧弁32、水素ポンプ33、ウォータポンプ41、流路切替弁45等に制御信号を出力する。
【0033】
次に、本実施形態の電流測定部材100の詳細について説明する。
図4は、電流測定部材100の正面図であり、
図5は、
図4中のIV−IV線の沿った断面図である。
図4に示すように、本実施形態の電流測定部材100は、板状部材で構成された測定部集合板100aと、測定部集合板100aの面内の複数の局所部位L01〜L12に分散して配置された複数の電流測定部110と、を有している。なお、電流測定部110は物理量測定部に相当する。
【0034】
本実施形態の測定部集合板100aの両面には、紙面上下方向に3個、紙面左右方向に4個の合計12対の局所部位L01〜L12に電流測定部110が形成されている。測定部集合板100aは、配線パターンが印刷された複数のプリント基板を積層した積層基板として構成されている。
【0035】
図5は、
図4中のIV−IV線に沿った断面図である。本実施形態の電流測定部110は、
図5に示すように、電極膜120a、120b、配線130a、130b、接続部140a、140b、141a、141b、142、電気絶縁層150およびサーミスタ160を備える。
【0036】
電極膜120a、120bは、それぞれ、銅等の導電性金属からなる薄膜状に形成されている。電極膜120a、120bは、それぞれ、セル10aの面方向に平行に形成されている。電極膜120aは、隣り合う2つのセル10aのうちプラス電極側セル10a(すなわち、電流流れ方向上流側のセル10a)に接触している。電極膜120bは、隣り合う2つのセル10aのうちマイナス電極側セル10a(すなわち、電流流れ方向下流側のセル10a)に接触している。電極膜120aおよび電極膜120bは、局所部位L01〜L12毎に独立して形成されている。配線130a、130bは、それぞれ、所定の抵抗を有する抵抗体135を構成している。配線130a、130bは、それぞれ、セル10aの面方向に平行に形成されている。配線130aは、電極膜120a側に配置されている。配線130bは、電極膜120b側に配置されている。配線130aは、接続部140a、141aによって電極膜120aに接続されている。
【0037】
電極膜120aと電極膜120bからみた配線130aおよび130bを含む回路の合成抵抗Rsは、予め定められた所定値となるよう設計されている。この合成抵抗Rsは、局所部位L01〜L12毎に、後述する信号処理回路51のマイコン517のメモリに記憶されている。
【0038】
サーミスタ160は、電流測定部110の温度を測定する温度測定部である。サーミスタ160は、電流測定部110の温度を示す信号を信号処理回路51のマイコン517へ出力する。
【0039】
次に、電流測定部材100による電流測定方法について説明する。
【0040】
まず、燃料電池10に対する水素および空気の供給が開始されることで、燃料電池10の複数のセル10aで発電が開始される。電流測定部材100の複数の電流測定部110において、電流測定部材100を挟む2つのセル10aのうち電流流れ方向上流側のセル10aから電極膜120aに電流が流れる。これに加えて、電力変換器2により、交流電圧が燃料電池10の複数のセル10aに印加される。このため、直流電流に交流電流が畳重した電流が複数のセル10aおよび電流測定部材100に流れる。
【0041】
したがって、複数の電流測定部110では、電流が電極膜120a→接続部140a、141a→配線層130a→接続部142→配線層130b→接続部140b、141b→電極膜120bの順に流れる。そして、この電流が電極膜120bから電流流れ方向下流側のセル10aに電流が流れる。
【0042】
このとき、電極膜120aと電極膜120b間の電圧に応じた検知板信号が後述する信号処理回路51に入力される。信号処理回路51は、電極膜120aと電極膜120b間の電圧をデジタル信号に変換するとともに、この電極膜120aと電極膜120b間の電圧と、メモリに記憶された合成抵抗Rsと、に基づいて電流測定部110に流れる電流の電流値を算出する。信号処理回路51は、電流測定部110毎に電流測定部110に流れる電流を算出する。
【0043】
次に信号処理回路51の構成について説明する。信号処理回路51は、サンプルホールド回路510、マルチプレクサ511、アナログデジタル変換器(以下、AD変換器と記す)512、アイソレータ513〜516およびマイコン517を有している。
【0044】
サンプルホールド回路510は、各電流測定部110の局所部位L01〜L12から入力される検知板信号Vs01〜Vs12をサンプルホールドする。サンプルホールド回路510には、各電流測定部110から検知板信号Vs01〜Vs12が入力されるとともにマイコン517からサンプルホールド信号SHが入力される。サンプルホールド回路510は、サンプルホールド信号SHに応じて検知板信号Vs01〜Vs12をサンプルホールドし、出力信号So01〜So12を出力する。具体的には、サンプルホールド回路510は、サンプルホールド信号SHの立ち上がりでサンプリングした検知板信号Vs01〜Vs12を、次回サンプルホールド信号SHが立ち上がるまで保持し、出力信号So01〜So12として出力する。
【0045】
マルチプレクサ511には、サンプルホールド回路510から出力信号So01〜So12が入力されるとともにマイコン517から4ビットのマルチプレクサ信号MXが入力される。マルチプレクサ511は、出力信号So01〜So12の中からマルチプレクサ信号MXにより特定される1つの信号を信号Sinとして出力する。
【0046】
AD変換器512には、マルチプレクサ511からアナログ信号Sinが入力されるとともにマイコン517からリクエスト信号RQが入力される。AD変換器512は、リクエスト信号RQの入力に応じてマルチプレクサ511より出力されるアナログ信号Sinをデジタル信号にアナログデジタル変換し、デジタル信号としてマイコン517へ出力する。
【0047】
マイコン517は、CPU、ROM、RAM、I/O等を備えており、ROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。マイコン517は、サンプルホールド回路510、マルチプレクサ511およびAD変換器512を制御して各電流測定部110から入力されるアナログの検知板信号Vs01〜Vs12をデジタル信号に変換する処理を実施する。
【0048】
本実施形態では、上記したようにサンプルホールド回路510で検知板信号Vs01〜Vs12を同時にサンプルホールドし、サンプルホールド回路510でサンプルホールドされた信号をマルチプレクサ511から順次切り替えて1つのAD変換器512に入力させるようにしている。
【0049】
例えば、検知板信号Vs01〜Vs12を同時にサンプルホールドすることなく、検知板信号Vs01〜Vs12を順次スキャンしながら収集するよう構成することも可能であるが、このような構成では電流分布の同時性を確保することができない。すなわち、同一時刻における検知板信号Vs01〜Vs12を収集することができない。本実施形態では、電流分布の同時性を確保するために、サンプルホールド回路510で検知板信号Vs01〜Vs12を同時にサンプルホールドするよう構成されている。
【0050】
また、局所部位L01〜L12に対応させて12個のAD変換器でアナログ信号をデジタル信号に変換するよう構成することも可能であるが、AD変換器に入力される電圧は、例えば、10ミリボルト程度と微小であるため、このような構成ではAD変換器の個体差による誤差により電流分布の検出精度が低下してしまう。このため、本実施形態では、1つのAD変換器512でアナログ信号をデジタル信号に変換するよう構成して電流分布の検出精度をより向上させている。
【0051】
ところで、水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池システムでは、水分が不足すると電解質膜が乾燥して電池の出力が低下し、一方、水分が過剰になると電極が水に覆われてガスの透過が阻害され、電池の出力が低下する。したがって、電解質膜の保水状態や電極の濡れ状態を的確に診断して、保水状態や濡れ状態を適正に制御する必要がある。また、水素や酸素の供給量が不足した場合も電池の出力が低下するため、水素や酸素の不足を適確に診断して、水素や酸素の供給量を適正に制御する必要がある。
【0052】
また、このような燃料電池システムでは、例えば、セル10a内に異物が混入するなどして燃料電池10のセル面内の酸素分布、水素分布、湿度分布にばらつきが生じると出力電圧が局所的に低下してしまうことがある。このため、セル面内の酸素分布、水素分布、湿度分布の異常状態を早期に検出し、速やかに酸素量、水素量を増加させたり、セル内の湿度を最適な状態に調整したりする等の制御を行う必要がある。
【0053】
本実施形態では、信号処理回路51のマイコン517は、電流測定部110により測定された複数の局所部位毎の各電流の電流分布を所定周期毎に更新する処理を実施する。一方、制御部50は、この処理によって更新される複数の局所部位毎の各電流の電流分布に基づいて燃料電池10内の酸素量、水素量、湿度の3つのファクターを良好な状態に制御する。
【0054】
次に信号処理回路51のマイコン517の処理について
図7〜
図15を参照して説明する。
図7は、マイコン517によるセル面内の電流分布更新処理のメインルーチンのフローチャートである。車両から燃料電池10に作動を開始する信号が入力されると、マイコン517は、
図7に示す処理を実施する。なお、各図面のフローチャートにおける各制御ステップは、マイコン517が有する各種の機能実現部を構成している。
【0055】
まず、マイコン517は、サンプルホールド回路510にサンプリング要求を出力する(S100)。具体的には、
図8(a)に示すようなパルス状のサンプルホールド信号SHを出力する。サンプルホールド回路510は、サンプルホールド信号SHの立が上りでサンプリングした各検知板信号Vs01〜Vs12を、次のサンプルホールド信号SHの立が上りまで保持する。ここでは、全ての局所部位L01〜L12から出力される各検知板信号Vs01〜Vs12を同時サンプリングする。
【0056】
次に電流測定処理を実施する(S200)。この電流測定処理のフローチャートを
図9に示す。この電流測定処理
およびS300の次回電流測定箇所セット処理が分布更新部に相当する。
【0057】
この電流測定処理では、まず、測定箇所を読み出す(S202)。ここで、マイコン517のメモリには、測定箇所の初期値として12個の局所部位L01〜L12に対応させて測定箇所N01〜N12が記憶されている。本実施形態では、測定箇所N01を特定し、この測定箇所N01の電流計測を実施する。そして、この測定箇所N01の電流計測が完了すると、測定箇所N02を特定し、この測定箇所N02の電流計測を実施する。このようにして、順次測定箇所N12まで特定する。したがって、ここでは、測定箇所N01を特定する。なお、このS202で読み出される測定箇所は、後述するS408で更新される。S408で測定箇所が更新された後は、更新された箇所を測定箇所に特定する。
【0058】
次にマルチプレクサ指令を出力する(S204)。具体的には、
図8(b)に示すように、S202にて特定したN=01に対応する局所部位L01からの出力信号So01を出力するよう、マルチプレクサ511にマルチプレクサ信号MXを出力する。これにより、マルチプレクサ511から局所部位L01からの出力信号So01と同じ信号Sinが出力される。
【0059】
次にAD変換指令を出力する(S206)。具体的には、
図8(c)に示すように、マルチプレクサ511から出力される信号Sinをデジタル信号に変換するようAD変換器512にリクエスト信号RQを出力する。これにより、AD変換器512から局所部位L01の電圧に応じたデジタル信号が出力される。さらに、マイコン517は、AD変換器512から出力されるデジタル信号から電圧VsNを特定する。ここでは、局所部位L01の電圧Vs01が特定される。
【0060】
次にセンサ抵抗値を読み出す(S208)。具体的には、S202にて特定したN=01に対応する局所部位L01におけるセンサ抵抗値を読み出す。このセンサ抵抗値は、
図5に示した電極膜120aと電極膜120bからみた配線130aおよび130bを含む回路の合成抵抗Rsである。
【0061】
次に電流値CsNを算出する(S210)。ここで、局所部位L01〜L12における各合成抵抗RsをRs01〜Rs12とすると、電流値CsNは、CsN=VsN/RsNとして算出することができる。なお、局所部位L01〜L12における各合成抵抗Rsは、マイコン517のメモリに記憶されている。ここでは、局所部位L01の電流値Cs1を、Cs01=Vs01/Rs01として算出する。
【0062】
次に電流値CsNを一時的にマイコン517のメモリに格納する(S212)。そして、全ての局所部位L01〜L12に対する電流測定が終了したか否かを判定する(S214)。ここでは、全ての局所部位L01〜L12に対する電流測定が終了していないので、S202へ戻り、N=02として測定箇所を特定し、この測定箇所の電流計測を実施する。同様の処理をN=12となるまで繰り返す。これにより、局所部位L01〜L12からの各検知板信号Vs01〜Vs12がAD変換され、さらに、
図8(d)に示すように、電流値Cs01、Cs02、…、Cs12が算出される。そして、N=12とした電流計測が終了すると、
図7に示したメインルーチンへ戻る。
【0063】
図7の説明に戻り、次に、今回の面内電流分布更新周期内でAD変換しない電流値CsNがある場合、このAD変換しない電流値CsNをマイコン517のメモリから読み出す(S102)。なお、S202にて今回の面内電流分布更新周期内でAD変換しない電流値CsNが設定されてない場合には、そのままS104へ進む。ここでは、今回の面内電流分布更新周期内でAD変換しない電流値CsNが設定されてないので、そのままS104へ進む。なお、S202にて今回の面内電流分布更新周期内でAD変換しない電流値CsNが設定されている場合、ここで読み出される電流値CsNは、前回の面内電流分布更新周期で更新された値となる。
【0064】
次に平均電流値Caveを算出する(S104)。具体的には、局所部位L01〜L12からの各検知板信号Vs01〜Vs12に基づいて算出された各電流値CsNの平均値を算出する。平均電流値Caveは、Cave=ΣCsN/Nとして算出することができる。なお、今回の面内電流分布更新周期内でAD変換しない電流値CsNがある場合には、S102にてマイコン517のメモリから読み出された電流値CsNを用いて平均電流値Caveを算出する。
【0065】
次に局所変化判定を行う(S106)。具体的には、局所部位L01〜L12の電流値CsNが、急変T、安定S、通常Cの3つの状態のいずれかに該当するかを判定する。なお、急変Tは、電流変化が大きな過渡状態であることを意味する。本実施形態では、平均電流値Caveと電流値CsNとの平均差分ΔCsNを算出し、ΔCsNの大きさと、第1閾値Hth、第2閾値Lthとに基づいて各局所部位L01〜L12の電流値CsNの状態を判定し、各局所部位L01〜L12の電流値CsNの状態をマイコン517のメモリに記憶させる。なお、第1閾値Hthと第2閾値Lthは、Hth<Lthとなっている。ここでは、局所変化判定の判定結果をマイコン517のメモリに記憶させる。
【0066】
・急変T:|ΔCsN|>Hth
・安定S:|ΔCsN|<Lth
・通常C:Lth≦|ΔCsN|≦Hth
次に次回電流測定箇所セット処理を実施する(S300)。この次回電流測定箇所セット処理のフローチャートを
図10に示す。
【0067】
この処理では、まず、局所変化を読み込む(S302)。具体的には、マイコン517のメモリから各局所部位L01〜L12の各電流値CsNの状態、すなわち、急変T、安定S、通常Cを読み込む。
【0068】
次にスケジュール作成処理を実施する(S400)。このスケジュール作成処理のフローチャートを
図12に示す。このスケジュール作成処理は、電流測定部110により測定された電流に基づいて複数の局所部位毎の電流変化を特定し、電流変化が所定値よりも大きい局所部位があるか否かを判定する変化量判定部に相当する。この処理では、まず、安定Sの状態の局所部位が所定数以下であるか否かを判定する(S402)。
【0069】
ここで、安定Sの状態の局所部位が所定数以下となっている場合、次に次回スケジュールがないか否かを判定する(S404)。ここで、マイコン517のメモリには、後述するスケジュールが記憶されるようになっている。ここでは、マイコン517のメモリにスケジュールが記憶されていないので、S406へ進む。
【0070】
S406では、スケジュールの新規作成を行う。ここで、
図12(a)に示すように、局所部位L01の電流値Cs01が急変Tの状態となっており、
図12(b)に示すように、局所部位L04の電流値Cs04と局所部位L08の電流値Cs08が安定Sの状態となっているものとする。なお、他の局所部位の電流値CsNは通常Cとなっているものとする。
【0071】
このような場合、
図12(c)に示すように、次の周期では、局所部位L01〜局所部位L03、局所部位L05〜局所部位L07、局所部位L09〜局所部位L12を次回電流検知箇所に指定するとともに、
図12(d)に示すように、局所部位L01と局所部位L04を次回電流検知箇所に指定する。
【0072】
すなわち、次の周期では、安定Sの状態の局所部位L04と局所部位L08を間引き、この代わりに局所部位L01と局所部位L04を次回電流検知箇所とするようスケジュールを作成する。
【0073】
さらに、その次の周期では、
図12(e)に示すように、局所部位L01〜局所部位L03、局所部位L05〜局所部位L07、局所部位L09〜局所部位L12を次回電流検知箇所に指定するとともに、
図12(f)に示すように、局所部位L01と局所部位L08を次回電流検知箇所に指定する。
【0074】
すなわち、この周期では、安定Sの状態の局所部位L04と局所部位L08を間引き、この代わりに局所部位L01と局所部位L08を次回電流検知箇所とするようスケジュールを作成する。そして、
図12(c)〜(f)に示した次回電流検知箇所をマイコン517のメモリに記憶させる。
【0075】
このように、面内電流分布更新周期内で、電流変化の大きな局所部位の収集回数を増やし、電流変化の小さな局所部位を間引いて電流変化の小さな局所部位の収集回数を減らすようにスケジュールを作成する。
【0076】
次に、次回測定箇所を設定する(S408)。具体的には、S406にて特定した次回電流検知箇所、すなわち、
図12(c)に示したように局所部位L04および局所部位L08を間引いた次回電流検知箇所をマイコン517のメモリに記憶させ、
図10のフローに戻る。
【0077】
図10のフローでは、今回周期の測定数をカウントする(S304)。具体的には、今回の面内電流分布更新周期における電流値CsNの測定数を計数する。
【0078】
次に、電流値CsNの計測数が局所部位数である12に到達しているか否かに基づいて測定が終了したか否かを判定する(S306)。ここで、局所部位L01〜局所部位L12に対する電流値CsNの計測が完了しており、電流値CsNの計測数が局所部位数である12に到達している場合、
図7のS108へ進み、今回電流値Cs01〜Cs12のメモリ書き込みを行う。具体的には、S200にて算出した今回電流値Cs01〜Cs12をメモリに上書きして今回電流値CsNを更新する。さらに、平均電流値Caveのメモリ書き込みを行う。具体的には、S104にて算出した平均電流値Caveをマイコン517をメモリに上書きし、S100へ戻る。
【0079】
上記した処理により、
図14に示すように、局所部位L01〜局所部位L12の電流値Cs01〜Cs12が更新される。なお、制御部50は、マイコン517のメモリに書き込まれた今回電流値Cs01〜Cs12を読み出してシステム全体の制御を行う。
【0080】
次に、S100にてサンプルホールド回路510にサンプリング要求を出力した後、S200の電流測定処理におけるS202で、測定箇所読み出しを実施する。ここで、先のS408でマイコン517のメモリに、局所部位L04および局所部位L08を間引いた次回電流検知箇所が記憶されているので、局所部位L01〜局所部位L03、局所部位L05〜局所部位L07、局所部位L09〜局所部位L12を測定箇所として特定する。そして、S200の電流測定処理では、S202で特定した測定箇所に対して電流測定を実施する。なお、局所部位L01および局所部位L08の電流測定は実施されない。
【0081】
S200の電流測定処理が完了すると、
図7のフローチャートに戻り、今回の面内電流分布更新周期内でAD変換しない電流値CsNをマイコン517のメモリから読み出す(S102)。ここでは、局所部位L04および局所部位L08の電流値CsNをマイコン517のメモリから読み出す。
【0082】
次に、平均電流値Caveを算出する(S104)。具体的には、S200の電流測定処理で特定された局所部位L01〜局所部位L03、局所部位L05〜局所部位L07、局所部位L09〜局所部位L12からの各検知板信号Vs01〜Vs12に基づいて算出された各電流値CsNとS102にて特定された局所部位L04および局所部位L08の電流値CsNの平均値を算出する。
【0083】
次に、局所変化判定を行い(S106)、S300の次回電流測定箇所セット処理を実施する。この次回電流測定箇所セット処理では、S302にて局所変化の読み込みを実施した後、S400のスケジュール作成処理を実施する。
【0084】
ここで、安定Sの状態の局所部位が所定数以下となっている場合、S402の判定はYESとなり、次に、次に次回スケジュールがないか否かを判定する(S404)。ここで、次回スケジュールが作成されているので、S404の判定はNOとなり、次に、安定Sの状態が前回と同じか否かを判定する(S410)。
【0085】
ここで、安定Sの状態が前回と同じになっている場合、S410の判定はYESとなり、次に、スケジュールの読み込みを行う(S412)。なお、マイコン517のメモリには、
図13(a)〜(c)に示すような、測定箇所のスケジュールが記憶されている。ここでは、
図13(a)に示されている局所部位L01および局所部位L04を測定箇所として指定するとともに、
図13(a)〜(c)に示された測定箇所のスケジュールから
図13(a)に示された測定箇所のスケジュールを削除する。
【0086】
次に、S408にて指定した局所部位L01および局所部位L04を測定箇所としてマイコン517のメモリに記憶させ、
図10のフローに戻る。
【0087】
図10の説明に戻り、S304にて今回周期の測定数をカウントする。ここでは、電流値CsNの計測数が局所部位数である12に到達していないため、S304の判定はNOとなり、次に、サンプルホールド回路510に中間サンプリング要求を出力する(S308)。この中間サンプリング要求は、面内電流分布の更新周期毎に実施される通常のサンプリング要求の間で実施される。
【0088】
この中間サンプリング要求により、面内電流分布の更新周期の途中でサンプルホールド回路510により局所部位L01〜L12から入力される検知板信号Vs01〜Vs12がサンプルホールドされる。
【0089】
そして、
図7のS108へ進み、メモリ書き込みを行う。具体的には、S408にて指定した局所部位L01および局所部位L04に対して、S204〜S214と同様の処理を実施して局所部位L01および局所部位L04の電流値Cs01、Cs04の測定を実施し、局所部位L01および局所部位L04の電流値Cs01、Cs04の電流値Cs01、Cs04をマイコン517のメモリに上書きし、S100へ戻る。
【0090】
上記した処理により、
図15に示すように、局所部位L01〜局所部位L03、局所部位L05〜局所部位L07、局所部位L09〜局所部位L12の電流値Cs01〜Cs03、電流値Cs05〜Cs07、電流値Cs09〜Cs12が測定された後、サンプルホールド回路510に中間サンプリング要求が出力された後、電流値Cs01およびCs04が更新される。
【0091】
次に、S100にてサンプルホールド回路510にサンプリング要求を出力した後、S200の電流測定処理におけるS202で、測定箇所読み出しを実施する。ここで、先のS408でマイコン517のメモリに、
図13(b)に示すように、局所部位L04および局所部位L08を間引いた次回電流検知箇所が記憶されているので、局所部位L01〜局所部位L03、局所部位L05〜局所部位L07、局所部位L09〜局所部位L12を測定箇所として特定する。そして、S200の電流測定処理では、S202で特定した測定箇所に対して電流測定を実施する。なお、局所部位L01および局所部位L08の電流測定は実施されない。
【0092】
S200の電流測定処理が完了すると、
図7のフローチャートに戻り、今回の面内電流分布更新周期内でAD変換しない電流値CsNをマイコン517のメモリから読み出す(S102)。ここでは、局所部位L04および局所部位L08の電流値CsNをマイコン517のメモリから読み出す。
【0093】
次に、平均電流値Caveを算出する(S104)。具体的には、S200の電流測定処理で特定された局所部位L01〜局所部位L03、局所部位L05〜局所部位L07、局所部位L09〜局所部位L12からの各検知板信号Vs01〜Vs12に基づいて算出された各電流値CsNとS102にて特定された局所部位L04および局所部位L08の電流値CsNの平均値を算出する。
【0094】
次に、局所変化判定を行い(S106)、S300の次回電流測定箇所セット処理を実施する。この次回電流測定箇所セット処理では、S302にて局所変化の読み込みを実施した後、S400のスケジュール作成処理を実施する。
【0095】
ここで、安定Sの状態の局所部位が所定数以下となっている場合、S402の判定はYESとなり、次に、次に次回スケジュールがないか否かを判定する(S404)。ここで、次回スケジュールが作成されているので、S404の判定はNOとなり、次に、安定Sの状態が前回と同じか否かを判定する(S410)。
【0096】
ここで、安定Sの状態が前回と同じになっている場合、S410の判定はYESとなり、次に、スケジュールの読み込みを行う(S412)。なお、マイコン517のメモリには、
図13(a)〜(c)に示すような、測定箇所のスケジュールが記憶されている。ここでは、
図13(a)に示されている局所部位L01および局所部位L08を測定箇所として指定するとともに、
図13(a)〜(c)に示された測定箇所のスケジュールから
図13(a)に示された測定箇所のスケジュールを削除する。
【0097】
次に、S408にて指定した局所部位L01および局所部位L08を測定箇所としてマイコン517のメモリに記憶させ、
図10のフローに戻る。
【0098】
図10の説明に戻り、S304にて今回周期の測定数をカウントする。ここでは、電流値CsNの計測数が局所部位数である12に到達していないため、S304の判定はNOとなり、次に、サンプルホールド回路510に中間サンプリング要求を出力する(S308)。この中間サンプリング要求は、面内電流分布の更新周期毎に実施される通常のサンプリング要求の間で実施される。
【0099】
この中間サンプリング要求により、面内電流分布の更新周期の途中でサンプルホールド回路510により局所部位L01〜L12から入力される検知板信号Vs01〜Vs12がサンプルホールドされる。
【0100】
そして、
図7のS108へ進み、メモリ書き込みを行う。具体的には、S408にて指定した局所部位L01および局所部位L08に対して、S204〜S214と同様の処理を実施して局所部位L01および局所部位L08の電流値Cs01、Cs08の測定を実施し、局所部位L01および局所部位L08の電流値Cs01、Cs08の電流値Cs01、Cs08をマイコン517のメモリに書き込み、S100へ戻る。
【0101】
上記した処理により、
図15に示すように、局所部位L01〜局所部位L03、局所部位L05〜局所部位L07、局所部位L09〜局所部位L12の電流値Cs01〜Cs03、電流値Cs05〜Cs07、電流値Cs09〜Cs12が測定された後、サンプルホールド回路510に中間サンプリング要求が出力される。その後、電流値Cs01およびCs08が更新される。
【0102】
ところで、
図11のスケジュール作成処理において、安定Sの状態の局所部位が所定数よりも多い場合には、S402の判定はNOとなり、局所変化判定の判定結果をクリアする(S414)。具体的には、S106にてメモリに記憶させた局所変化判定の判定結果を初期値に戻し、
図10のフローに戻る。これにより、特定の局所部位の電流値CsNの計測の間引きは禁止される。
【0103】
また、安定Sの状態の局所部位が所定数以下となっているものの、マイコン517のメモリにスケジュールが記憶されていない場合、S404の判定はNOとなり、次に安定Sの状態の局所部位の数が前回と同じであるか否かを判定する(S410)。ここで、安定Sの状態の局所部位の数が前回と異なっている場合には、S406へ進み、スケジュールの新規作成を実施する。
【0104】
上記した構成によれば、本物理量測定装置は、セルに隣接して配置された板状を成す板状部材(100a)と、板状部材の面内の複数の局所部位(L01〜L12)に分散して配置され、複数の局所部位に流れる各電流と相関する物理量を測定する物理量測定部(110)と、物理量測定部により測定された複数の局所部位毎の物理量の分布を所定周期毎に更新する分布更新部と、物理量測定部により測定された物理量に基づいて複数の局所部位毎の物理量の変化量を特定し、該変化量が所定値よりも大きい局所部位があるか否かを判定する変化量判定部と、を備え、分布更新部は、変化量判定部により変化量が所定値よりも大きい局所部位があると判定された場合、変化量が所定値よりも大きい局所部位の物理量測定の更新頻度を、変化量が所定値以下の局所部位の物理量測定の更新頻度よりも増加させる(S300)。
【0105】
このような構成によれば、分布更新部は、変化量判定部により変化量が所定値よりも大きい局所部位があると判定された場合、変化量が所定値よりも大きい局所部位の電流測定の更新頻度を、変化量が所定値以下の局所部位の電流測定の更新頻度よりも増加させるので、測定精度を低下させることなく、より高い応答性でセル面における電流の分布を測定することができる。
【0106】
また、上記したように分布更新部は、変化量判定部により変化量が所定値よりも大きい局所部位があると判定された場合、変化量が所定値以下の局所部位の電流測定の更新頻度を低下させる。このため、複数の局所部位毎の電流の分布の更新周期を短くする必要がなく、高速で動作する高性能の演算回路を用いなくても、測定精度を低下させることなく、より高い応答性でセル面における電流の分布を測定することができる。
【0107】
また、上記したように分布更新部は、電流測定部により変化量が所定値よりも大きい局所部位がないと判定された場合、電流測定部により測定された全ての局所部位の電流量を同時サンプリングし、該同時サンプリングした電流量の分布を更新する。さらに、変化量判定部により変化量が所定値よりも大きい局所部位があると判定された場合、変化量が所定値以下の局所部位を含む一部の局所部位の電流量をサンプリングし、サンプリングした一部の局所部位の電流の分布を更新する。
【0108】
このように、変化量が所定値よりも大きい局所部位がないと判定された場合、局所部位の電流量を同時サンプリングし、変化量が所定値よりも大きい局所部位があると判定された場合、変化量が所定値以下の局所部位を含む一部の局所部位の電流量をサンプリングするので、電流量の分布の同時性の確保と、電流量の分布の検出精度の維持の両立を図ることができる。
【0109】
また、上記した電流測定装置(物理量測定装置)の発明を、電流測定方法(物理量測定方法)として捉えることもできる。
【0110】
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、セルの局所部位の電流と相関する物理量としてセルの局所部位の電圧を検出し、この電圧を局所部位におけるセンサ抵抗値で除算してセルの局所部位の電流を検出した。
【0111】
これに対し、サーミスタ160により測定された電流測定部材110の温度が高いほど局所部位におけるセンサ抵抗値が大きくなるようにして、サーミスタ160により測定された電流測定部材110の温度で局所部位毎の電流の電流分布を補正してもよい。
【0112】
(2)複数の局所部位に流れる各電流の電流分布を更新する電流測定装置として構成したが、複数の局所部位に流れる各電流の電流分布から複数の局所部位の交流インピーダンスを算出するよう構成してインピーダンス測定装置として構成することもできる。
【0113】
この場合、制御部50は、信号処理回路51にて測定された各電流値、および電圧センサ11の検出信号を用いて、周知の交流インピーダンス法によりセル10aの局所インピーダンスを測定することができる。
【0114】
具体的には、信号処理回路51にて測定された各電流値、および電圧センサ11の検出信号から高速フーリエ変換処理等の周波数解析処理によって、電力変換器2により重畳した正弦波の交流成分(電流成分および電圧成分)を抽出して、抽出した交流成分を用いてセル10aの局所インピーダンスを算出することができる。
【0115】
(3)上記実施形態では、セル10aに隣接して配置された測定部集合板100aを用いてセル面内の電流分布を更新するようにしたが、例えば、
図16に示すように、複数の電流測定部110が形成された2枚の電流測定部材100を、1または複数のセル10aを挟むようにセル10aの両側に配置し、挟んだセル10aの一面と接触する電流測定部110の電位と、挟んだセル10aの他面と接触する電流測定部110の電位の電位差を複数の局所部位に流れる各電流と相関する物理量として測定することもできる。
【0116】
(4)上記実施形態では、燃料電池のセル面内の電流分布を更新する例を示したが、燃料電池に限定されるものではなく、例えば、ラミネート型の二次電池等の電流分布を更新することもできる。
【0117】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。