(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザー認証の成功後に印刷ジョブを実行する画像形成装置においては、ユーザーから画像形成装置に対する能動的なログイン操作を必要とするため、益々ユーザーフレンドリーであることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態に係る画像形成装置は、
ユーザーに操作される情報処理装置から印刷ジョブの実行要求を取得する印刷要求取得部と、
前記印刷ジョブを実行するためのユーザー認証を実行するユーザー認証部と、
前記画像形成装置と前記ユーザーとの間の距離を判断する距離判断部と、
前記印刷要求を取得してから特定時間内に前記ユーザー認証を実行しない場合、前記画像形成装置の状態が特定の条件を満たし、且つ、前記距離が特定の条件を満たすとき、前記ユーザーに通知すると判断する通知判断部と
を具備する。
【0006】
通知判断部は、画像形成装置の状態が特定の条件を満たし、且つ、前記距離が特定の条件を満たすとき、前記情報処理装置に通知すると判断する。印刷ジョブを実行するには、画像形成装置の状態(印刷ジョブを開始するのに適した状態)のみならず、ユーザー認証のための操作を行うユーザーの都合も係わってくるからである。画像形成装置は、画像形成装置の状態(印刷ジョブを開始するのに適した状態)と、ログイン操作を行うユーザーが携帯する情報処理装置までの距離とに基づき、通知を行う。これにより、情報処理装置に画像形成装置から通知があるにも拘わらず画像形成装置が利用できない、というおそれが低くなる。
【0007】
前記通知判断部は、前記通知すると判断した後、前記画像形成装置が前記印刷ジョブと異なる印刷ジョブの実行を開始すると、前記情報処理装置に印刷不可を通知するとさらに判断する。
【0008】
これによっても、情報処理装置に画像形成装置から通知があるにも拘わらず画像形成装置が利用できない、というおそれが低くなる。
【0009】
前記通知判断部は、前記画像形成装置が印刷ジョブを実行していないとき、前記画像形成装置の状態が前記特定の条件を満たすと判断する。
【0010】
このとき画像形成装置は、直ちに印刷ジョブを実行できる状態であるため、情報処理装置に通知するための一条件が満たされたものと判断できる。
【0011】
前記通知判断部は、前記画像形成装置が印刷ジョブを実行中であり、前記実行中の印刷ジョブの印刷枚数が閾値未満のとき、前記画像形成装置の状態が前記特定の条件を満たすと判断する。
【0012】
このとき画像形成装置は、直ちに印刷ジョブを実行できる状態ではないが、まもなく印刷ジョブを実行できる状態であるため、情報処理装置に通知するための一条件が満たされたものと判断できる。
【0013】
前記通知判断部は、前記印刷要求取得部がユーザー認証の不要な印刷ジョブの実行要求を取得していないとき、前記画像形成装置の状態が前記特定の条件を満たすと判断する。
【0014】
このとき画像形成装置は、ユーザー認証の不要な別の印刷ジョブ(印刷要求取得後に直ちに実行される印刷ジョブ)が存在しない。このため、画像形成装置が別の印刷ジョブを実行する可能性が現在低い状態であるため、情報処理装置に通知するための一条件が満たされたものと判断できる。
【0015】
前記通知判断部は、前記印刷要求取得部がユーザー認証の必要な印刷ジョブの実行要求を取得し、且つ、前記印刷要求を取得してから特定時間内に前記ユーザー認証を実行しないとき、前記画像形成装置の状態が前記特定の条件を満たすと判断する。
【0016】
このとき画像形成装置は、ユーザー認証の必要な別の印刷ジョブが存在するが、ユーザーのログイン操作が行われていないので、この別の印刷ジョブを実行できない。このため、画像形成装置が別の印刷ジョブを実行する可能性が現在低い状態であるため、情報処理装置に通知するための一条件が満たされたものと判断できる。
【0017】
前記通知判断部は、前記画像形成装置が印刷ジョブを実行する頻度の低い時間帯のとき、前記画像形成装置の状態が前記特定の条件を満たすと判断する。
【0018】
このとき画像形成装置は、別の印刷ジョブを実行する可能性が現在低い状態であるため、情報処理装置に通知するための一条件が満たされたものと判断できる。
【0019】
前記距離判断部は、前記画像形成装置と前記ユーザーとの間の距離として、前記画像形成装置と前記情報処理装置との間の距離を判断し、
前記通知判断部は、前記ユーザーへの通知として、前記情報処理装置に通知すると判断する。
【0020】
この場合、情報処理装置は、ユーザーが携帯するモバイルデバイスである。
【0021】
前記距離判断部は、前記画像形成装置と前記ユーザーとの間の距離として、前記画像形成装置と、前記情報処理装置に紐づけられた携帯端末との間の距離を判断し、
前記通知判断部は、前記ユーザーへの通知として、前記携帯端末に通知すると判断する。
【0022】
この場合、報処理装置は、モバイルデバイスでなくてよい。携帯端末は、情報処理装置のユーザーが携帯するモバイルデバイスである。
【0023】
本開示の一形態に係るプログラムは、
ユーザーに操作される情報処理装置から印刷ジョブの実行要求を取得する印刷要求取得部と、
前記印刷ジョブを実行するためのユーザー認証を実行するユーザー認証部と、
前記画像形成装置と前記ユーザーとの間の距離を判断する距離判断部と、
前記印刷要求を取得してから特定時間内に前記ユーザー認証を実行しない場合、前記画像形成装置の状態が特定の条件を満たし、且つ、前記距離が特定の条件を満たすとき、前記ユーザーに通知すると判断する通知判断部と
して機能させる。
【発明の効果】
【0024】
ユーザー認証の成功後に印刷ジョブを実行する画像形成装置において、益々ユーザーフレンドリーとすることができる。
【0025】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
【0028】
I.第1の実施形態
1.情報処理システム
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システムを示す。
【0029】
情報処理システム1は、画像形成装置10と、情報処理装置20とを有する。画像形成装置10は、オフィス内に設置されるMFP(Multifunction Peripheral)であり、以下単にMFP10と称する。情報処理装置20は、オフィス内の従業員(以下、ユーザーと称する)が携帯するモバイルデバイスであり、典型例としては、ラップトップコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等である。ネットワークNは、典型的には、オフィス内のLAN(Local Area Network)である。MFP10と、情報処理装置20とは、ネットワークNを介して相互に通信可能である。
【0030】
情報処理装置20は、印刷データ及びその印刷ジョブの実行要求を、ネットワークNを介してMFP10に供給する。MFP10は、情報処理装置20から印刷データ及びその印刷ジョブの実行要求を、ネットワークNを介して取得する。MFP10は、ユーザーからのログイン操作を受けてユーザー認証を実行し、ユーザー認証に成功すると、印刷ジョブを実行する。
【0031】
2.画像形成装置のハードウェア構成
図2は、画像形成装置のハードウェア構成を示す。
【0032】
MFP10は、制御部11を備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及び専用のハードウェア回路等から構成され、MFP10の全体的な動作制御を司る。MFP10を各機能部(後述)として機能させるコンピュータプログラムは、ROM等の非一過性のコンピューター読み取り可能な記憶媒体に記憶される。
【0033】
制御部11は、画像読取部12、画像処理部14、画像メモリー15、画像形成部16、操作部17、記憶部18、ネットワーク通信部13等と接続されている。制御部11は、接続されている上記各部の動作制御や、各部との間での信号又はデータの送受信を行う。
【0034】
制御部11は、ユーザーから、操作部17またはネッワーク接続されたパーソナルコンピュータ(図示せず)等を通じて入力されるジョブの実行指示に従って、スキャナー機能、印刷機能及びコピー機能機能などの各機能についての動作制御を実行するために必要な機構の駆動及び処理を制御する。
【0035】
画像読取部12は、原稿から画像を読み取る。
【0036】
画像処理部14は、画像読取部12で読み取られた画像の画像データを必要に応じて画像処理する。例えば、画像処理部14は、画像読取部12により読み取られた画像が画像形成された後の品質を向上させるために、シェーディング補正等の画像処理を行う。
【0037】
画像メモリー15は、画像読取部12による読み取りで得られた原稿画像のデータを一時的に記憶したり、画像形成部16での印刷対象となるデータを一時的に記憶したりする領域を有する。
【0038】
画像形成部16は、画像読取部12で読み取られた画像データ等の画像形成を行う。
【0039】
操作部17は、MFP1が実行可能な各種動作及び処理についてユーザーからの指示を受け付けるタッチパネル部および操作キー部を備える。タッチパネル部は、タッチパネルが設けられたLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部17aを備えている。
【0040】
ネットワーク通信部13は、ネットワークに接続するためのインタフェースである。
【0041】
記憶部18は、画像読取部12によって読み取られた原稿画像等を記憶する、HDD(Hard Disk Drive)などの大容量の記憶装置である。
【0042】
3.情報処理装置のハードウェア構成
情報処理装置20は、パーソナルコンピューター等の典型的な情報処理装置であり、そのハードウェア構成は図示を省略する。情報処理装置20のCPU(Central Processing Unit)は、ROM(Read Only Memory)に記録されたプログラムをRAM(Random Access Memory)にロードして実行する。情報処理装置20は、印刷データ及びその印刷ジョブの実行要求を、ネットワークNを介してMFP10に供給する。
【0043】
4.画像形成装置の機能的構成
図3は、画像形成装置の機能的構成を示す。
【0044】
MFP10は、コンピューター読み取り可能な非一過性の記憶媒体の一例であるROMに記憶された情報処理プログラムをRAMにロードして実行することで、印刷要求取得部101、ユーザー認証部105、ジョブ実行部102、距離判断部106、通知判断部103及び通知部104として機能する。
【0045】
印刷要求取得部101は、情報処理装置20から印刷ジョブの実行要求を取得する。
【0046】
ユーザー認証部105は、印刷ジョブを実行するためのユーザー認証を実行する。
【0047】
ジョブ実行部102は、ユーザー認証に成功すると、印刷ジョブを実行する。
【0048】
距離判断部106は、MFP10と情報処理装置20との間の距離を判断する。
【0049】
通知判断部103は、特定の条件を満たすとき(後で詳細に説明する)、情報処理装置20に通知すると判断する。
【0050】
通知部104は、情報処理装置20に通知する。
【0051】
5.画像形成装置の動作フロー
図4は、画像形成装置の動作フローを示す。
【0052】
前提として、情報処理装置20は、ユーザーからの特定の操作を、特定の印刷データを印刷するための要求として取得する。情報処理装置20は、印刷データ及びその印刷ジョブの実行要求を、ネットワークNを介してMFP10に供給する。
【0053】
MFP10の印刷要求取得部101は、情報処理装置20から印刷データ及びその印刷ジョブの実行要求を、ネットワークNを介して取得する(ステップS101)。印刷要求取得部101は、取得した印刷データを画像メモリー15に記憶する(ステップS102)。
【0054】
MFP10がこの印刷ジョブを実行するためには、同ユーザーからMFP10に対するログイン操作(例えば、操作部17に対する操作)を受けてユーザー認証を実行し、ユーザー認証に成功する必要がある。
【0055】
MFP10が印刷データ及びその印刷ジョブの実行要求を取得後(ステップS101)、ジョブ実行部102が別の印刷ジョブを実行中でなければ(ステップS103、NO)、普通は、ユーザーは直ぐにMFP10にログイン操作を行うと予想される。MFP10が特定時間内にユーザーからのログイン操作を受け、MFP10のユーザー認証部105がユーザー認証に成功すると(ステップS106、YES)、ジョブ実行部102が印刷ジョブを実行する(ステップS107)。
【0056】
しかし、例えば、ジョブ実行部102が既に別の印刷ジョブを実行中の場合(ステップS103、YES)、ユーザーがMFP10に対するログイン操作を行うことができない、あるいは、行わないことがある。
【0057】
そこで、通知判断部103は、ジョブ実行部102が既に別の印刷ジョブを実行中の場合(ステップS103、YES)、ジョブ実行部102がその印刷ジョブを終了すると(ステップS104、YES)、情報処理装置20に、印刷可能を通知すると判断する。通知判断部103は、通知部104に、情報処理装置20に対して印刷可能を通知するよう要求する。
【0058】
通知部104は、ネットワークNを介して情報処理装置20に、MFP10が印刷可能になったことを通知する(ステップS105)。
【0059】
情報処理装置20は、ネットワークNを介してMFP10から、MFP10が印刷可能になったことの通知を受けると、その旨を、表示、音声出力、バイブレーション等でユーザーに通知する。これにより、ユーザーは、現在MFP10が印刷ジョブを実行可能であることを知り、MFP10に対するログイン操作を行う。
【0060】
印刷可能通知後(ステップS105)特定時間内に、MFP10がユーザーからのログイン操作を受け、MFP10のユーザー認証部105がユーザー認証に成功すると(ステップS106、YES)、ジョブ実行部102が印刷ジョブを実行する(ステップS107)。
【0061】
一方、ジョブ実行部102が既に別の印刷ジョブを実行中の場合(ステップS103、YES)、印刷可能通知をしたにも拘わらず(ステップS105)、新たな作業を開始して作業に目途がつかない等の理由で、ユーザーが特定時間内にMFP10にログイン操作を行わないことがある(ステップS106、NO)。また、MFP10が印刷データ及びその印刷ジョブの実行要求を取得後(ステップS101)、ジョブ実行部102が別の印刷ジョブを実行していないにも拘わらず(ステップS103、NO)、ユーザーが特定時間内にMFP10にログイン操作を行わないこともある(ステップS106、NO)。
【0062】
これらの場合、通知判断部103は、情報処理装置20に印刷忘れを通知するか否かを判断する(ステップS108、ステップS109)。具体的には、通知判断部103は、(A)現在のMFP10の状態が特定の条件を満たし、且つ、(B)MFP10と、ユーザーが携帯する情報処理装置20との間の距離が、特定の条件を満たす場合に、情報処理装置20に印刷忘れを通知すると判断する。印刷ジョブを実行するには、(A)MFP10の状態(印刷ジョブを開始するのに適した状態)のみならず、(B)ログイン操作を行うユーザーの都合も係わってくるからである。
【0063】
条件(A)の「現在のMFP10の状態が特定の条件を満た」す場合(印刷ジョブを開始するのに適した状態)の具体例は、以下の(1)〜(5)が挙げられる。なお、以下の具体例(1)〜(5)の全てを判断しても良いし、少なくとも何れか1つを判断しても良い。
【0064】
(1)MFP10が印刷ジョブを実行していない。
・・・直ちに印刷ジョブを実行できる状態である。
【0065】
(2)MFP10が印刷ジョブを実行中であるが、実行中の印刷ジョブの印刷枚数が閾値未満である。
・・・直ちに印刷ジョブを実行できる状態ではないが、まもなく印刷ジョブを実行できる状態である。
【0066】
(3)印刷要求取得部101がユーザー認証の不要な印刷ジョブの実行要求を取得していない。
・・・ユーザー認証の不要な別の印刷ジョブ(印刷要求取得後に直ちに実行される印刷ジョブ)が存在しない。このため、MFP10が別の印刷ジョブを実行する可能性が現在低い状態である。
【0067】
(4)印刷要求取得部101がユーザー認証の必要な印刷ジョブの実行要求を取得し、且つ、印刷要求を取得してから特定時間内にユーザー認証を実行していない。
・・・ユーザー認証の必要な別の印刷ジョブが存在するが、ユーザーのログイン操作が行われていないので、この別の印刷ジョブを実行できない。このため、MFP10が別の印刷ジョブを実行する可能性が現在低い状態である。
【0068】
(5)MFP10が印刷ジョブを実行する頻度の低い時間帯である。
・・・MFP10が別の印刷ジョブを実行する可能性が現在低い状態である。なお、時間帯に拠る印刷ジョブの実行頻度は、例えば、過去の印刷ジョブの実行履歴から予想できる。
【0069】
動作フローの説明に戻る。通知判断部103は、(A)現在のMFP10の状態が特定の条件を満たすと判断すると(ステップS108、YES)、(B)MFP10とユーザーが携帯する情報処理装置20との間の距離が、特定の条件を満たすか否かを判断する(ステップS109)。具体的には、距離判断部106がMFP10と情報処理装置20との間の距離を取得し、取得した距離を通知判断部103に通知する。通知判断部103は、距離判断部106から通知されたMFP10と情報処理装置20との間の距離が、特定の条件を満たすか否かを判断する。
【0070】
「MFP10と情報処理装置20との間の距離」の一例を説明する。距離判断部106は、「MFP10と情報処理装置20との間の距離」を、例えば、ネットワーク通信部13の無線通信状況に基づき判断することができる。オフィスの広さにも拠るが、情報処理装置20が移動して、MFP10と情報処理装置20との距離が大きい(例えば、異なる部屋に存在する)場合、MFP10と情報処理装置20との距離が小さい場合と比較して、MFP10から情報処理装置20に対する無線通信に時間が掛かったり(即ち、通信速度が低い)、電波強度が低くなる。従って、MFP10の距離判断部106は、ネットワーク通信部13の通信状況に基づき、情報処理装置20がMFP10に対して、特定の条件を基準として近くに有るか(例えば、MFP10と同じ室内、又は特定の距離未満)、遠くに有るか(例えば、MFP10と異なる室内、又は特定の距離以上)、判断することができる。
【0071】
「MFP10と情報処理装置20との間の距離」が特定の条件を満たす場合の具体例は、以下の(1)〜(3)が挙げられる。なお、以下の具体例(1)〜(3)の全てを判断しても良いし、少なくとも何れか1つを判断しても良い。
【0072】
(1)MFP10から情報処理装置20に対する無線通信の通信速度が閾値以上である。
(2)MFP10と情報処理装置20との間の電波強度が閾値以上である。
(3)MFP10と情報処理装置20との間で近距離無線通信による接続が確立されている。
【0073】
情報処理装置20がMFP10に対して、特定の条件を基準として、近くに有る(例えば、MFP10と同じ室内)場合、情報処理装置20を携帯するユーザーが、比較的容易にMFP10にアクセスしてログイン操作を行うことができる。従って、情報処理装置20がMFP10に対して、特定の条件を基準として、に近くに有る場合、すなわち、「MFP10と情報処理装置20との間の距離」が特定の条件を満たす場合、情報処理装置20に印刷忘れを通知してもよい。
【0074】
この場合、情報処理装置20がMFP10の近くにある場合、情報処理装置20に印刷忘れを通知しなくてもよい。情報処理装置20がMFP10の近くにあるということは、ユーザーがMFP10を使用している可能性が高いからである。情報処理装置20がMFP10の近くにある具体例は、以下の(1)〜(2)が挙げられる。なお、以下の具体例(1)及び(2)の両方を判断しても良いし、何れか1つを判断しても良い。
【0075】
(1)MFP10から情報処理装置20に対する無線通信の通信速度が、MFP10と情報処理装置20との間の距離がユーザーによるMFP10の使用を可能とする範囲内(例えば、MFP10からの距離が0.3m以内)であるのに相当する値である。
(2)MFP10と情報処理装置20との間の電波強度が、MFP10と情報処理装置20との間の距離がユーザーによるMFP10の使用を可能とする範囲内(例えば、MFP10からの距離が0.3m以内)であるのに相当する値である。
【0076】
逆に、情報処理装置20がMFP10に対して、特定の条件を基準として、に遠くに有る(例えば、MFP10と異なる室内)場合、情報処理装置20を携帯するユーザーが印刷ジョブを最早忘れてしまっているおそれがあるので、印刷忘れを通知する必要性が高いとも考えられる。従って、情報処理装置20がMFP10に対して、特定の条件を基準として、に遠くに有る場合、情報処理装置20に印刷忘れを通知してもよい。
【0077】
この場合、「MFP10と情報処理装置20との間の距離」が特定の条件を満たす場合の具体例は、以下の(1)〜(3)が挙げられる。なお、以下の具体例(1)〜(3)の全てを判断しても良いし、少なくとも何れか1つを判断しても良い。
【0078】
(1)MFP10から情報処理装置20に対する無線通信の通信速度が閾値未満である。
(2)MFP10と情報処理装置20との間の電波強度が閾値未満である。
(3)MFP10と情報処理装置20との間で近距離無線通信による接続が確立されていない。
【0079】
以上に鑑みれば、情報処理装置20がMFP10に対して、特定の条件を基準として、近くに有る場合も、遠くに有る場合も、情報処理装置20に印刷忘れを通知する意義がある。従って、ユーザーのニーズや用途等に応じて、情報処理装置20がMFP10に対して相対的に近くに有る場合か、遠くに有る場合かの何れか一方に対して、情報処理装置20に印刷忘れを通知するように設定すればよい。
【0080】
動作フローの説明に戻る。通知判断部103は、(B)MFP10とユーザーが携帯する情報処理装置20との間の距離が、特定の条件を満たすと判断すると(ステップS109、YES)、通知部104に、情報処理装置20に対して印刷可能を通知するよう要求する。
【0081】
通知部104は、ネットワークNを介して情報処理装置20に、印刷忘れを通知する(ステップS110)。
【0082】
情報処理装置20は、ネットワークNを介してMFP10から、印刷忘れの通知を受けると、その旨を、表示、音声出力、バイブレーション等でユーザーに通知する。これにより、ユーザーは、現在MFP10が印刷忘れを理解し、MFP10に対するログイン操作を行う。
【0083】
印刷忘れ通知後、ジョブ実行部102が別の印刷ジョブの実行を開始すると(ステップS111)、通知判断部103は、情報処理装置20に、印刷不可を通知するとさらに判断する。通知判断部103は、通知部104に、情報処理装置20に対して印刷不可を通知するよう要求する。
【0084】
通知部104は、ネットワークNを介して情報処理装置20に、MFP10が印刷不可になったことを通知する(ステップS112)。
【0085】
情報処理装置20は、ネットワークNを介してMFP10から、MFP10が印刷不可になったことの通知を受けると、その旨を、表示、音声出力、バイブレーション等でユーザーに通知する。これにより、ユーザーは、現在MFP10が印刷ジョブを実行不可であることを知る。
【0086】
II.第2の実施形態
以下の説明において、すでにした説明と同様の構成及び動作などは同様の参照符号を付して説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
【0087】
1.情報処理システム
図5は、第2の実施形態に係る情報処理システムを示す。
【0088】
第2の実施形態に係る情報処理システム2は、MFP10と、情報処理装置20と、携帯端末30とを有する。情報処理装置20は、モバイルデバイスでなくてよく、典型例としては、デスクトップコンピュータである。情報処理装置20は、印刷データ及びその印刷ジョブの実行要求を、ネットワークNを介してMFP10に供給する。携帯端末30は、情報処理装置20のユーザーが携帯するモバイルデバイスであり、典型例としては、タブレット端末、スマートフォン等である。MFP10と、情報処理装置20と、携帯端末30とは、ネットワークNを介して相互に通信可能である。
【0089】
第1の実施形態と第2の実施形態との主な差異は、以下の2点である。
【0090】
(1)第1の実施形態では、MFP10は、情報処理装置20に通知を行った(ステップS105、ステップS110、ステップS112)。これに対して、第2の実施形態では、MFP10は、情報処理装置20に紐づけられた(同一ユーザーの)携帯端末30に通知を行う。
【0091】
(2)第1の実施形態では、MFP10は、MFP10と情報処理装置20(印刷データ及びその印刷ジョブの実行要求の供給元)との距離を判断した(ステップS109)。これに対して、第2の実施形態では、MFP10は、MFP10と情報処理装置20に紐づけられた(同一ユーザーの)携帯端末30との距離を判断する。
【0092】
2.携帯端末のハードウェア構成
携帯端末30は、タブレット端末、スマートフォン等の典型的なモバイルデバイスであり、そのハードウェア構成は図示を省略する。携帯端末30のCPU(Central Processing Unit)は、ROM(Read Only Memory)に記録されたプログラムをRAM(Random Access Memory)にロードして実行する。
【0093】
3.画像形成装置の機能的構成
図6は、画像形成装置の機能的構成を示す。
【0094】
図6の機能的構成と、
図4の動作フローとを参照して説明する。前提として、MFP10は、情報処理装置20(印刷データ及び印刷ジョブの実行要求の供給元)と、同一ユーザーの携帯端末30とを、互いに紐づけて記憶している。
【0095】
ステップS101乃至ステップS104は第1の実施形態での説明と同様である。
【0096】
ステップS105で、通知部104は、ネットワークNを介して情報処理装置20に紐づけられた携帯端末30に、MFP10が印刷可能になったことを通知する。
【0097】
ステップS106乃至ステップS108は第1の実施形態での説明と同様である。
【0098】
ステップS109で、通知判断部103は、MFP10とユーザーが携帯する携帯端末30との間の距離が、特定の条件を満たすか否かを判断すると(ステップS109、YES)、通知部104に、携帯端末30に対して印刷可能を通知するよう要求する。通知部104は、ネットワークNを介して携帯端末30に、印刷忘れを通知する(ステップS110)。
【0099】
ここで、特定の条件を満たす場合の具体例は、第1の実施形態を準用することができる。
【0100】
印刷忘れ通知後、ジョブ実行部102が別の印刷ジョブの実行を開始すると(ステップS111)、通知判断部103は、携帯端末30に、印刷不可を通知するとさらに判断する。通知判断部103は、通知部104に、携帯端末30に対して印刷不可を通知するよう要求する。通知部104は、ネットワークNを介して携帯端末30に、MFP10が印刷不可になったことを通知する(ステップS112)。
【0101】
III.まとめ
セキュリティの観点から、情報処理装置(ユーザーの使用するパーソナルコンピューター)から印刷データを受信した後、ユーザーからのログイン操作を受けてユーザー認証を実行し、ユーザー認証が成功して初めて印刷ジョブを実行する画像形成装置が知られている。
【0102】
ユーザー認証が成功して初めて印刷ジョブを実行する画像形成装置においては、画像形成装置が印刷データを受信した後、例えば、大量印刷中などで長時間ユーザーがログイン操作を実行できないことがある。この場合、画像形成装置が印刷データを保持し続けることとなるおそれがあり、セキュリティ上の懸念がある。
【0103】
そこで、例えば、ユーザーが持つ携帯端末と画像形成装置との距離に応じて、携帯端末に通知を行うことが考えられる。しかし、距離だけに応じて通知するか否かを判断するのでは、例えば、大量印刷実行中などが原因で画像形成装置が現在印刷できない場合にも、通知することになる。そのため、通知後ただちに、ユーザーが画像形成装置にログイン操作を実行できなかったり、ログイン操作を実行できても印刷ができないことになる。その結果、ユーザーにとっては、通知があることで却って煩わしさを感じたり、印刷できない結果、印刷を忘れてしまうおそれがある。
【0104】
これに対して、各実施形態によれば、MFP10は、(A)現在のMFP10の状態が特定の条件を満たし、且つ、(B)MFP10と、ユーザーが携帯する情報処理装置20(又は携帯端末30)との間の距離が、特定の条件を満たす場合に、情報処理装置20(又は携帯端末30)に通知する。印刷ジョブを実行するには、(A)MFP10の状態(印刷ジョブを開始するのに適した状態)のみならず、(B)ログイン操作を行うユーザーの都合も係わってくるからである。
【0105】
このように、MFP10は、(A)MFP10の状態(印刷ジョブを開始するのに適した状態)と、(B)ログイン操作を行うユーザーの都合(距離)とに基づき、通知を行う(ステップS108乃至S110)。これにより、情報処理装置20(又は携帯端末30)にMFP10から印刷忘れの通知があるにも拘わらずMFP10が利用できない、というおそれが低くなり、ユーザーにとっての煩わしさ、再度の忘却の解消を図ることができる。
【0106】
さらに、通知部104は、ネットワークNを介して情報処理装置20に、MFP10が印刷不可になったことを通知する(ステップS112)。これによっても、情報処理装置20(又は携帯端末30)にMFP10から印刷忘れの通知があるにも拘わらずMFP10が利用できない、というおそれが低くなり、ユーザーにとっての煩わしさ、再度の忘却の解消を図ることができる。
【0107】
本技術の各実施形態及び各変形例について上に説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。