特許第6607175号(P6607175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6607175
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】移載機
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20191111BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B65G49/07 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-237166(P2016-237166)
(22)【出願日】2016年12月7日
(65)【公開番号】特開2018-93123(P2018-93123A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茶谷 秀次
(72)【発明者】
【氏名】坂田 博史
(72)【発明者】
【氏名】末廣 尚也
【審査官】 山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0078373(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 49/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井側に設けられるレールに沿って走行する走行部と、前記走行部に設けられ被搬送物を昇降自在に支持する昇降部と、を備える移載機であって、
前記昇降部は、
昇降部本体と、
前記昇降部本体に対して昇降自在で且つ被搬送物を支持する昇降ケージと、
を備え、
前記被搬送物は、前記昇降ケージと係合する複数のフランジ部を備え、
前記フランジ部は、前記昇降ケージとの係合部分が前記被搬送物の内側に向けて形成され、
前記昇降ケージは、前記フランジ部と係合する係合部を備え、
前記係合部は、前記複数のフランジ部毎に設けられるとともに、前記昇降ケージの中心側から前記フランジ部に向けて、前記昇降ケージに対して旋回可能に構成されること
を特徴とする移載機。
【請求項2】
前記係合部は、
前記フランジ部を載置する載置面を有し、
前記載置面が前記昇降ケージの中心側から前記フランジ部に向けて旋回可能に構成されること
を特徴とする請求項1に記載の移載機。
【請求項3】
前記係合部を旋回させる旋回機構を備え、
前記旋回機構は、複数の前記係合部のうちの少なくとも一対の係合部を連結して旋回させること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移載機。
【請求項4】
前記係合部は、前記昇降ケージに対する前記被搬送物の位置決めを行う位置決め部材を備え、
前記位置決め部材は、
前記被搬送物の鉛直軸方向に対して直交するX軸方向への前記被搬送物の移動を規制するX軸方向規制部と、
前記被搬送物の鉛直軸方向及び前記X軸方向に対して直交するY軸方向への前記被搬送物の移動を規制するY軸方向規制部と、
を備え、
前記X軸方向規制部及び前記Y軸方向規制部は、前記係合部の旋回方向から前記フランジ部に当接することにより、前記被搬送物のX軸方向及びY軸方向への移動を規制すること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の移載機。
【請求項5】
前記係合部は、前記昇降ケージに対する前記被搬送物の位置決めを行う位置決め部材を備え、
前記位置決め部材は、
前記被搬送物の鉛直軸方向に対して直交するX軸方向への前記被搬送物の移動を規制するX軸方向規制部と、
前記被搬送物の鉛直軸方向及び前記X軸方向に対して直交するY軸方向への前記被搬送物の移動を規制するY軸方向規制部と、
を備え、
前記X軸方向規制部と、前記Y軸方向規制部と、を前記載置面上で直角に配置して平面視L字状に形成され
前記X軸方向規制部及び前記Y軸方向規制部は、前記係合部の旋回方向から前記フランジ部に当接することにより、前記被搬送物のX軸方向及びY軸方向への移動を規制すること
を特徴とする請求項2に記載の移載機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井側に設けられるレールに沿って走行する走行部と、前記走行部に設けられ被搬送物を昇降自在に支持する昇降部と、を備える移載機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の移載機としては、天井側に設けられるレールに、当該レール上を走行する走行台車(走行部)を設け、走行台車から昇降装置(昇降部)を介して被搬送物を保持して吊り下げるものが知られている。このような移載機における昇降装置には、昇降部本体と、昇降部本体に対して昇降自在で且つ被搬送物を支持するための昇降ケージと、が設けられる。上記昇降ケージには、被搬送物を支持する係合部が設けられ、係合部を動作させることにより被搬送物の把持又は把持の解除を行う。例えば、特許文献1に示す移載機においては、被搬送物を支持する一対のチャック部(係合部)が被搬送物の上方から下降して被搬送物のフランジ部を水平方向から閉じることにより被搬送物を把持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−163001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記移載機においては、係合部を被搬送物の外側から内側に移動させて被搬送物を支持するため、係合部の可動域が被搬送物のフランジ部が設けられる位置より外側となる。そのため、被搬送物のフランジ部が設けられる位置より外側において係合部を移動させる必要があり、よって、昇降装置(昇降ケージ)が大型化するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、係合部の可動域を被搬送物のフランジ部が設けられる位置より内側として昇降装置(昇降ケージ)の小型化を可能とする移載機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上であり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、本発明の移載機は、天井側に設けられるレールに沿って走行する走行部と、前記走行部に設けられ被搬送物を昇降自在に支持する昇降部と、を備える移載機であって、前記昇降部は、昇降部本体と、前記昇降部本体に対して昇降自在で且つ被搬送物を支持する昇降ケージと、を備え、前記被搬送物は、前記昇降ケージと係合する複数のフランジ部を備え、前記フランジ部は、前記昇降ケージとの係合部分が前記被搬送物の内側に向けて形成され、前記昇降ケージは、前記フランジ部と係合する係合部を備え、前記係合部は、前記複数のフランジ部毎に設けられるとともに、前記昇降ケージの中心側から前記フランジ部に向けて、前記昇降ケージに対して旋回可能に構成されるものである。
上記構成では、係合部が、昇降ケージの中心側からフランジ部に向けて、昇降ケージに対して旋回することにより、被搬送物の内側に向けて形成されるフランジ部と係合する。
【0008】
本発明の移載機は、上記移載機において、前記係合部は、前記フランジ部を載置する載置面を有し、前記載置面が前記昇降ケージの中心側から前記フランジ部に向けて旋回可能に構成されるものである。
上記構成では、係合部の載置面が、昇降ケージの中心側からフランジ部に向けて、昇降ケージに対して旋回することにより、被搬送物の内側に向けて形成されるフランジ部と係合する。
【0009】
本発明の移載機は、上記移載機において、前記係合部を旋回させる旋回機構を備え、前記旋回機構は、複数の前記係合部のうちの少なくとも一対の係合部を連結して旋回させるものである。
上記構成では、複数の係合部のうちの少なくとも一対の係合部を連結して旋回させることで、一対の結合部を同期させてフランジ部と係合させる。
【0010】
本発明の移載機は、上記移載機において、記係合部は、前記昇降ケージに対する前記被搬送物の位置決めを行う位置決め部材を備え、前記位置決め部材は、前記被搬送物の鉛直軸方向に対して直交するX軸方向への前記被搬送物の移動を規制するX軸方向規制部と、前記被搬送物の鉛直軸方向及び前記X軸方向に対して直交するY軸方向への前記被搬送物の移動を規制するY軸方向規制部と、を備え、前記X軸方向規制部及び前記Y軸方向規制部は、前記係合部の旋回方向から前記フランジ部に当接することにより、前記被搬送物のX軸方向及びY軸方向への移動を規制するものである。
上記構成では、係合部がフランジ部と係合する際に、位置決め部材が係合部の旋回方向からフランジ部に当接することにより、被搬送物のX軸方向及びY軸方向への移動を規制する。
【0011】
本発明の移載機は、上記移載機において、前記係合部は、前記昇降ケージに対する前記被搬送物の位置決めを行う位置決め部材を備え、前記位置決め部材は、前記被搬送物の鉛直軸方向に対して直交するX軸方向への前記被搬送物の移動を規制するX軸方向規制部と、前記被搬送物の鉛直軸方向及び前記X軸方向に対して直交するY軸方向への前記被搬送物の移動を規制するY軸方向規制部と、を備え、前記X軸方向規制部と、前記Y軸方向規制部と、を前記載置面上で直角に配置して平面視L字状に形成され、前記X軸方向規制部及び前記Y軸方向規制部は、前記係合部の旋回方向から前記フランジ部に当接することにより、前記被搬送物のX軸方向及びY軸方向への移動を規制するものである。
上記構成では、係合部がフランジ部と係合する際に、平面視L字状の位置決め部材が係合部の旋回方向からフランジ部に当接することにより、被搬送物のX軸方向及びY軸方向への移動を規制する。

【発明の効果】
【0012】
本発明の移載機によれば、係合部を昇降ケージの中心側からフランジ部に向けて旋回させることで係合部がフランジ部と係合するため、係合部の可動域が被搬送物においてフランジ部が設けられる位置より内側となり、係合部とフランジ部との係合を被搬送物の内側で行うことができる。そのため、昇降装置(昇降ケージ)を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る移載機の側面図である。
図2】本発明に係る移載機の正面図である。
図3】本発明に係る移載機の昇降ケージの斜視図である。
図4】本発明に係る移載機の昇降ケージの平面図である。
図5】本発明に係る移載機の昇降ケージの係合部の旋回状態を示す平面概略図であり、(a)は、係合部がカセットのフランジ部との係合を解除している状態、(b)は、係合部がカセットのフランジ部と係合している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る移載機10について説明する。なお、以下においては、移載機10の車体走行方向(移載機10の長手方向)を前後方向、移載機10の車体走行方向に対して水平方向に直交する方向(移載機10の幅方向)を左右方向、移載機10の車体走行方向に対して鉛直方向に直交する方向(移載機10の高さ方向)を上下方向、として説明する。
【0015】
図1及び図2に示すように、移載機10は、例えば、半導体基板の製造工場内に設けられ、当該製造工場内に設けられる走行レールに沿って走行する天井搬送車(図示なし)と、半導体基板に対して所定の処理を行う処理装置(図示なし)と、の間で、半導体基板を収納したカセット80(「被搬送物」の一例)を移載するものである。
【0016】
移載機10は、天井90に設けられるレール91に沿って走行する。レール91は、天井90側から吊り下げボルト92等により吊り下げられた状態で支持され、移載機10が上記天井搬送車からカセット80を受け取る受け取り位置と、移載機10がカセット80を昇降させて上記処理装置に移載する昇降位置と、の間で直線状に延設される。レール91には移載機10に電力を供給するための給電線(図示せず)が設けられている。
【0017】
移載機10は、レール91に沿って走行する走行部20と、カセット80を昇降自在に支持する昇降部30と、から主に構成されている。
走行部20は、レール91を走行するための左右両側の走行車輪21を一体的に回転するように備え、当該左右両側の走行車輪21が前後に一対設けられている。走行部20は、前後一方側の走行車輪21を駆動する駆動モータ(図示せず)を備え、前後一方側の走行車輪21を駆動輪とし、前後他方側の走行車輪21を従動輪として、上記駆動モータの駆動により前後一方側の走行車輪21を回転させて、レール91に沿って走行するように構成されている。
【0018】
昇降部30は、走行部20の下方に設けられ、昇降部本体31と、昇降ケージ34と、から主に構成されている。
昇降部本体31は、昇降部30の本体部分であり、走行部20に対して吊り下げられた状態で支持される。昇降部本体31は、昇降ベルト32により昇降ケージ34を吊り下げた状態で支持する。昇降ベルト32は、移載機10の左右両側(移載機10の幅方向の両側)の昇降ベルト32を一体的に巻き取り及び巻き出すように備え、移載機10の左右両側の昇降ベルト32が移載機10の前後(移載機10の長手方向)に一対設けられている。
昇降部本体31は、昇降ケージ34を昇降するための昇降モータ33を備え、昇降モータ33の駆動により昇降ベルト32を昇降部本体31に対して巻き取り及び巻き出しすることで、昇降ケージ34を昇降させる。
【0019】
昇降ケージ34は、昇降部本体31に対して昇降自在に設けられてカセット80を支持する部分である。
図1及び図3に示すように、昇降ケージ34が支持するカセット80は、その内部に半導体基板を収納可能な箱体である。カセット80はその上面に昇降ケージ34と係合するフランジ部81が設けられる。カセット80は、フランジ部81が昇降ケージ34と係合することで昇降ケージ34により吊り下げられた状態で支持される。
フランジ部81は、カセット80の上面の外縁に沿って複数(図3では4個)設けられている。具体的には、フランジ部81は、カセット80の上面の四隅近傍のそれぞれに設けられる。すなわち、カセット80は、その上面の四隅4点において昇降ケージ34により支持される。フランジ部81は、昇降ケージ34との係合部分がカセット80の内側(中央側)を向けて形成される。具体的には、フランジ部81は、その対向するフランジ部81における昇降ケージ34との係合部分と向き合うように昇降ケージ34との係合部分が形成される。
図3に示すように、フランジ部81は、側面視略Z字状の部材により形成される。フランジ部81は、昇降ケージ34と係合する平面状の係合部分84を有する。係合部分84は、水平方向にカセット80の内側(中央側)に向けて突出して形成され、その下面部分で昇降ケージ34と係合する。
【0020】
図1及び図3に示すように、昇降ケージ34は、昇降ケージ本体35と、係合部36と、旋回機構37と、から主に構成されている。
昇降ケージ本体35は、昇降ケージ34の本体部分であり、昇降部本体31に対して昇降可能に支持される。昇降ケージ本体35は箱体により形成され、その内部に支持部材38を備える。
図3に示すように、支持部材38は四角形に形成される枠体であり、係合部36及び旋回機構37を支持する。支持部材38は、その下面に係合部36が設けられるとともに、その上面に旋回機構37が設けられる。
図1に示すように、昇降ケージ本体35はその上面に昇降部本体31と昇降ケージ34との位置合わせを行う位置合わせ手段70を備える。位置合わせ手段70は、昇降ケージ34が昇降部本体31に対して上昇して昇降部本体31と昇降ケージ34とが接近した際に、昇降ケージ34を昇降部本体31に対して所定の位置で保持するための位置合わせ機構である。位置合わせ手段70は、昇降ケージ34側に設けられて上方に向けて突出する凸状の突出部71と、昇降部本体31側に設けられて突出部71の凸状部分を受ける凹状の受け部72と、から構成される。位置合わせ手段70は、昇降ケージ34が昇降部本体31に対して上昇して昇降部本体31と昇降ケージ34とが接近した際に、突出部71の凸状部分が受け部72の凹状部分から若干外れた位置にあっても、突出部71の凸状部分を受け部72の凹状部分に誘い込むように構成され、突出部71と受け部72とが係合することにより、昇降部本体31に対する昇降ケージ34の位置を合わせる。
【0021】
図3に示すように、係合部36は、フランジ部81と係合する部分であり、昇降ケージ本体35の支持部材38の下面における四隅近傍のそれぞれに設けられる。すなわち、昇降ケージ34は、4つの係合部36がカセット80の4つのフランジ部81とそれぞれ係合することにより、カセット80を支持する。係合部36は昇降ケージ本体35の支持部材38に対して旋回ことにより、フランジ部81と係合する係合状態と、フランジ部81との係合を解除する係合解除状態と、にフランジ部81との係合状態を切り換える。
係合部36は、側面視略Z字状の部材により形成される。係合部36は、フランジ部81と係合する平面状の載置部分41を有する。載置部分41は、水平方向にカセット80の外側(外縁側)に向けて突出して形成され、その上面部分を載置面としてフランジ部81の係合部分84を載置することでフランジ部81と係合する。
【0022】
係合部36は、昇降ケージ34に対するカセット80の位置決めを行う位置決め部材43を備える。位置決め部材43は、係合部36の載置部分41の上面に設けられる。位置決め部材43は、カセット80の鉛直軸方向に対して直交するX軸方向60(以下、X軸方向60とする)へのカセット80の移動と、カセット80の鉛直軸方向及びX軸方向60に対して直交するY軸方向61(以下、Y軸方向61とする)へのカセット80の移動と、を規制する。ここで、X軸方向60とは、カセット80の高さ方向(上下方向)に対して垂直な平面上において一方向を規定するものであり、Y軸方向61とは、同平面上においてX軸方向60に直交する方向を規定するものである。具体的には、カセット80の平面視において、カセット80の中心Pと、カセット80の四辺のうちの一辺の中点とを結ぶ直線の方向をX軸方向60とし、当該直線とカセット80の中心で直交する直線の方向をY軸方向61とする。なお、X軸方向60及びY軸方向61は、正負両方向を含む方向である。
位置決め部材43は、X軸方向60へのカセット80の移動を規制するX軸方向規制部44と、Y軸方向61へのカセット80の移動を規制するY軸方向規制部45と、から構成される。
X軸方向規制部44は、係合部36の載置部分41の上面から上方に突出して設けられる平面状のブロック部材であり、X軸方向60からフランジ部81の係合部分84の側面に当接することによりカセット80のX軸方向60への移動を規制する。
Y軸方向規制部45は、係合部36の載置部分41の上面から上方に突出して設けられる平面状の部材であり、Y軸方向61からフランジ部81の係合部分84の側面に当接することによりカセット80のY軸方向61への移動を規制する。
X軸方向規制部44とY軸方向規制部45とは平面視L字状に直角に接するように係合部36の載置部分41の上面(載置面)に配置される。具体的には、X軸方向規制部44は平面視でその長手方向がY軸方向61となるように配置され、Y軸方向規制部45は、その一端部がX軸方向規制部44と直角に接するように、平面視でその長手方向がX軸方向60となるように配置される。
図5に示すように、X軸方向規制部44及びY軸方向規制部45は、係合部36の載置部分41の上面であって、係合部36の旋回中心と反対側の対角位置に設けられる。すなわち、X軸方向規制部44及びY軸方向規制部45は、係合部36の旋回中心より外側であって、係合部36の旋回方向からフランジ部81に当接可能な位置に設けられる。
【0023】
図3及び図4に示すように、旋回機構37は、係合部36を昇降ケージ本体35の支持部材38に対して旋回する機構であり、支持部材38の上面に設けられる。旋回機構37は、2つ(一対)の係合部36の間に設けられ、その2つ(一対)の係合部36を連結するように構成される。すなわち、昇降ケージ34においては、4つの係合部36に対して2つの旋回機構37が設けられる。
旋回機構37は、支持部材38の一端縁側に沿って配置される2つ(一対)の係合部36を、平面視略へ字状に屈曲するアーム46を介して連結して旋回させることにより、2つ(一対)の係合部36を同期させてカセット80のフランジ部81と係合させる。これにより、係合部36を旋回させる機構を係合部36毎に設ける必要がなく(4つの係合部36に対して4つの旋回機構を設ける必要がなく)、旋回機構の部品点数を削減でき、昇降ケージ34の構成を簡素化することができる。
【0024】
次に、昇降ケージ34の係合部36の旋回動作について説明する。
図5(a)に示すように、昇降ケージ34は、カセット80を支持(把持)する際には、係合部36の先端部分を昇降ケージ34の中心P側(中央側)に向けた状態でカセット80に近接する。図5(b)に示すように、昇降ケージ34がカセット80に近接すると、旋回機構37の駆動により係合部36が旋回する。この時、係合部36は、昇降ケージ34の中心P側(中央側)からカセット80のフランジ部81に向けて旋回する。ここで、旋回機構37に連結される一対の係合部36は、旋回機構37の駆動により同期して旋回する。この時、一対の係合部36は、対向する係合部36の載置部分41同士を昇降ケージ34の中心P側(中央側)からカセット80のフランジ部81に向けて観音開き式に開いた状態となるように回動する。係合部36がフランジ部81に向けて旋回することで、4つの係合部36のそれぞれが4つのフランジ部81と係合し、昇降ケージ34がカセット80を支持(把持)する。
一方で、昇降ケージ34がカセット80の支持(把持)を解除する際には、係合部36がカセット80のフランジ部81から昇降ケージ34の中心P側(中央側)に向けて旋回する。ここで、旋回機構37に連結される一対の係合部36は、昇降ケージ34(カセット80)の外側に向いた係合部36の載置部分41同士をカセット80のフランジ部81から昇降ケージ34の中心P側(中央側)に向けて観音開き式に閉じた状態となるように回動する。係合部36が昇降ケージ34の中心P側(中央側)に向けて旋回することで、4つの係合部36のそれぞれが4つのフランジ部81との係合を解除し、昇降ケージ34がカセット80の支持(把持)を解除する。
このように、昇降ケージ34は、係合部36の旋回域が、カセット80においてフランジ部81が設けられている位置より内側(カセット80の中心側)になるように構成されている。また、昇降ケージ34は、カセット80を支持(把持)する際には、係合部36の載置部分41を昇降ケージ34(カセット80)の外側に向けた姿勢(観音開き式開状態)とし、カセット80の支持(把持)を解除する際には、係合部36の載置部分41を昇降ケージ34(カセット80)の内側に向けた姿勢(観音開き式閉状態)として、係合部36の姿勢を係合部36の旋回により切り替える。
【0025】
次に、係合部36の位置決め部材43による昇降ケージ34に対するカセット80の位置決め動作について説明する。
図5に示すように、係合部36がフランジ部81と係合する際には、係合部36が昇降ケージ34の中心P側(中央側)からカセット80のフランジ部81に向けて旋回する。同様に、位置決め部材43は、昇降ケージ34の中心P側(中央側)からカセット80のフランジ部81に向けて移動する。そして、位置決め部材43は、昇降ケージ34の中心P側(中央側)からフランジ部81の係合部分84の側面に当接する。具体的には、位置決め部材43のX軸方向規制部44が、フランジ部81の係合部分84の側面のうちX軸方向60に向いている側面に当接し、位置決め部材43のY軸方向規制部45が、フランジ部81の係合部分84の側面のうちY軸方向61に向いている側面に当接する。すなわち、位置決め部材43は、フランジ部81の係合部分84におけるカセット80の中心側(中央側)の角部側面に当接する。
さらに、位置決め部材43は、係合部36の旋回によりフランジ部81に当接した状態で移動することで、昇降ケージ34に対するフランジ部81のX軸方向60及びY軸方向61の移動を規制する。この時、位置決め部材43は、フランジ部81のX軸方向60及びY軸方向61の移動を同時に規制する。
このように、位置決め部材43は、係合部36の旋回により、フランジ部81の係合部分84におけるカセット80の中心側(中央側)の角部側面に当接した状態で移動することで、昇降ケージ34に対するカセット80の位置決めを行う。
【0026】
以上のように、移載機10においては、係合部36を昇降ケージ34の中心側からフランジ部81に向けて旋回させることで係合部36がフランジ部81と係合するため、係合部36の可動域がカセット80においてフランジ部81が設けられる位置より内側となり、係合部36とフランジ部81との係合をカセット80の内側で行うことができる。そのため、昇降部30(昇降ケージ34)を小型化することができる。
移載機10においては、位置決め部材43がカセット80の内側からカセット80のX軸方向60及びY軸方向61への移動を規制することができるため、小型化した昇降ケージ34によってカセット80を確実に所定の位置で保持することができる。
【0027】
なお、本実施の形態においては、4つの係合部36に対して2つの旋回機構37を備えた構成になっているが、これに限定されるものではなく、4つの係合部36のそれぞれが昇降ケージ34の中心P側(中央側)からカセット80のフランジ部81に向けて旋回する構成であれば、例えば、4つの係合部36に対して1つの旋回機構を備えた構成でも良く、また、4つの係合部36のそれぞれに対して旋回機構を備えた構成であっても構わない。
本実施の形態においては、位置決め部材43を平面状のブロック部材により構成しているが、これに限定されるものではなく、カセット80のX軸方向及びY軸方向の移動を規制可能な構成であれば、例えば、位置決め部材を丸型のブロック部材により構成しても構わない。また、本実施の形態においては、位置決め部材43を4つの係合部36毎に設けているが、これに限定されるものではなく、カセット80のX軸方向及びY軸方向の移動を規制可能な構成であれば、例えば、位置決め部材43をカセット80の対角に位置する一対の係合部36のみに設けても構わない。
【符号の説明】
【0028】
10 移載機
20 走行部
30 昇降部
31 昇降部本体
34 昇降ケージ
36 係合部
37 旋回機構
43 位置決め部材
44 X軸方向規制部
45 Y軸方向規制部
80 カセット(被搬送物)
81 フランジ部
90 天井
91 レール


図1
図2
図3
図4
図5