(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
位置が未知の各無線装置が所定の周期で出力する、無線信号を送受信して測定した他の無線装置との間の装置間距離と、該装置間距離の測定に用いた前記無線信号の受信品質に基づいて算出した該装置間距離の確からしさとを収集する距離測定データ収集手段と、
前記各無線装置から初回に収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさを算出する初期位置推定手段と、
前記各無線装置の再測定により収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさと、該再測定の前の回の前記各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさの算出で使用した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさとに基づいて、前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさを更新する距離データ更新手段と、
前記距離データ更新手段が更新した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置および前記相対位置の確からしさを更新し、該更新した前記各無線装置の相対位置を含む位置推定結果を出力するとともに、前記各無線装置の次の回の再測定に基づいて収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づく前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさの更新を前記距離データ更新手段に指示する位置データ更新手段と、を備え、
前記各無線装置の相対位置の確からしさは、該相対位置の推定値の標準偏差を表し、最も確からしいときは0となる非負の実数値であって、前記初期位置推定手段は、前記相対位置の確からしさが確定している確定無線装置の相対位置の確からしさと該確定無線装置との間の装置間距離の確からしさとに基づいて算出し、前記確定無線装置のうち、基準とする無線装置の相対位置の確からしさを0として最初に計算することを特徴とする位置推定装置。
前記装置間距離の確からしさは該装置間距離の測定値の標準偏差を表し、最も確からしいときは0となる非負の実数値であって、前記装置間距離の確からしさを、該装置間距離を測定する際に用いた無線信号の受信品質であるSN比および遅延広がりに基づいて算出したものであることを特徴とする請求項1に記載の位置推定装置。
前記距離データ更新手段は、前回使用した前記装置間距離の確からしさに対して前回の距離算出から今回の再測定による距離算出までの経過時間を考慮して、前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさを更新することを特徴とする請求項1または2に記載の位置推定装置。
前記位置データ更新手段は、前記距離データ更新手段が更新した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置の確からしさを更新し、更新した前記装置間距離および該更新した前記各無線装置の相対位置の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置の移動変化量を算出して前記各無線装置の相対位置を更新することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの請求項に記載の位置推定装置。
前記各無線装置の相対位置の移動変化量は移動方向と変化量を示す移動ベクトルであって、前記位置データ更新手段は、前記移動方向の変化量に前記相対位置の確からしさで重みづけして該移動ベクトルを算出することを特徴とする請求項4に記載の位置推定装置。
前記位置データ更新手段は、前回推定した前記無線装置に対応する位置ベクトルに、前記生成した移動ベクトルを加算して前記無線装置の相対位置の更新を行うことを特徴とする請求項5に記載の位置推定装置。
位置が未知の各無線装置が、無線信号を送受信して測定した他の無線装置との間の装置間距離と、該装置間距離の測定に用いた前記無線信号の受信品質に基づいて算出した装置間距離の確からしさとを所定の周期で出力する、複数の無線装置と、
前記各無線装置が出力する前記装置間距離と前記装置間距離を収集して、前記各無線装置の装置相対位置を算出して装置位置推定結果を出力する位置推定装置と、を含み、
前記位置推定装置は、
前記各無線装置の測定により初回に収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて、前記各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさを算出する初期位置推定手段と、
前記各無線装置の再測定により収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさと、該再測定の前の回の前記各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさの算出で使用した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさとに基づいて、前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさを更新する距離データ更新手段と、
前記距離データ更新手段が更新した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置および前記相対位置の確からしさを更新し、該更新した前記各無線装置の相対位置を含む位置推定結果を出力するとともに、次の回の再測定に基づいて収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づく前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさの更新を前記距離データ更新手段に指示する位置データ更新手段と、を備え、
前記各無線装置の相対位置の確からしさは、該相対位置の推定値の標準偏差を表し、最も確からしいときは0となる非負の実数値であって、前記初期位置推定手段は、前記相対位置の確からしさが確定している確定無線装置の相対位置の確からしさと該確定無線装置との間の装置間距離の確からしさとに基づいて算出し、前記確定無線装置のうち、基準とする無線装置の相対位置の確からしさを0として最初に計算することを特徴とする位置推定システム。
位置が未知の各無線装置が所定の周期で出力する、無線信号を送受信して測定した他の無線装置との間の装置間距離と、該装置間距離の測定に用いた前記無線信号の受信品質に基づいて算出した該装置間距離の確からしさとを収集し、
前記各無線装置から初回に収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさを算出し、
前記各無線装置の再測定により収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさと、該再測定の前の回の前記各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさの算出で使用した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさとに基づいて、前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさを更新し、
更新した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置および前記相対位置の確からしさを更新し、
該更新した前記各無線装置の相対位置を含む位置推定結果を出力するとともに、前記各無線装置の次の回の再測定に基づいて収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づく前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさの更新からの処理を繰り返す処理を含み、
前記各無線装置の相対位置の確からしさは、該相対位置の推定値の標準偏差を表し、最も確からしいときは0となる非負の実数値であって、前記各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさを算出する処理では、前記相対位置の確からしさが確定している確定無線装置の相対位置の確からしさと該確定無線装置との間の装置間距離の確からしさとに基づいて算出し、前記確定無線装置のうち、基準とする無線装置の相対位置の確からしさを0として最初に計算する
ことを特徴とする位置推定方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0025】
尚、実施の形態は例示であり、開示の装置及びシステムは、以下の実施の形態の構成には限定されない。
【0026】
(第1の実施形態)
最初に第1の実施形態の位置推定システムを説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施形態の位置推定システムの構成を示すブロック図である。
【0028】
第1の実施形態の位置推定システム100は、複数の無線装置11、12、13乃至1n(nは自然数)および位置推定装置20を含んで、構成される。
【0029】
無線装置11乃至1nの各無線装置は、位置が未知である。
【0030】
各無線装置は、無線信号を送受信して測定した他の無線装置との間の装置間距離と、該装置間距離の測定に用いた無線信号の受信品質に基づいて算出した距離測定値の確からしさとを、所定の周期で出力する。
【0031】
位置推定装置20は、無線装置11、12、13乃至1nの各無線装置が出力する装置間距離と距離測定値の確からしさを収集して、各無線装置の相対位置と相対位置の確からしさを算出して装置位置推定結果を出力する装置である。
【0032】
位置推定装置20は、初期位置推定手段1、距離データ更新手段2および位置データ更新手段3を含む構成になっている。
【0033】
初期位置推定手段1は、各無線装置の測定により初回に収集した装置間距離および装置間距離の確からしさに基づいて、各無線装置の相対位置および相対位置の確からしさを算出する。
【0034】
距離データ更新手段2は、各無線装置の再測定で収集した装置間距離および装置間距離の確からしさと、該再測定の前の回の装置間距離および装置間距離の確からしさとに基づいて、装置間距離および装置間距離の確からしさを更新する。再測定の前の回の装置間距離および装置間距離の確からしさとは、前の回に各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさの算出で使用した装置間距離および装置間距離の確からしさのことである。
【0035】
位置データ更新手段3は、距離データ更新手段2が更新した装置間距離および装置間距離の確からしさに基づいて各無線装置の相対位置および相対位置の確からしさを更新し、該更新した各無線装置の相対位置を含む位置推定結果を出力する。
【0036】
そして、位置データ更新手段3は、次の回の再測定に基づいて収集した装置間距離および装置間距離の確からしさに基づく装置間距離および装置間距離の確からしさの更新を、距離データ更新手段2に指示する。
【0037】
以上のように、位置推定装置20は、距離データ更新手段2が更新する装置間距離および装置間距離の確からしさに基づいて、位置データ更新手段3が各無線装置の相対位置および相対位置の確からしさを更新する。そして、位置データ更新手段3は、推定した装置位置の精度をさらに高めるために、距離データ更新手段2による装置間距離および装置間距離の確からしさの更新をさらに実行させる。
【0038】
このような距離データ更新手段2と位置データ更新手段3による更新の繰り返しを実行することにより、高い精度の位置推定結果を得ることができる。
【0039】
第1の実施形態の位置推定装置を説明する。
【0040】
図2は、本発明の第1の実施形態の位置推定装置の構成を示すブロック図である。
【0041】
第1の実施形態の位置推定装置20は、距離測定データ収集手段の一例としての距離測定データ収集部21、および初期位置推定手段の一例としての初期位置推定部22を含む構成になっている。さらに第1の実施形態の位置推定装置20は、距離データ更新手段の一例としての距離データ更新部23、および位置データ更新手段の一例としての位置データ更新部24を含む構成になっている。
【0042】
距離測定データ収集部21は、位置が未知の各無線装置が所定の周期で出力する、他の無線装置との間の装置間距離と該装置間距離の確からしさとを収集する。各無線装置は、無線信号を送受信して他の無線装置との間の装置間距離を測定し、該装置間距離の測定に用いた無線信号の受信品質に基づいて装置間距離の確からしさを算出する。
【0043】
初期位置推定部22は、各無線装置から初回に収集した装置間距離および装置間距離の確からしさに基づいて、各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさを算出する。
【0044】
距離データ更新部23は、各無線装置の再測定で収集した装置間距離および装置間距離の確からしさと、該再測定の前の回の装置間距離および装置間距離の確からしさとに基づいて、装置間距離および装置間距離の確からしさを更新する。再測定の前の回の装置間距離および装置間距離の確からしさとは、前の回に各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさの算出で使用した装置間距離および装置間距離の確からしさのことである。
【0045】
位置データ更新部24は、距離データ更新部23が更新した装置間距離および装置間距離の確からしさに基づいて各無線装置の相対位置および相対位置の確からしさを更新し、該更新した各無線装置の相対位置を含む位置推定結果を出力する。
【0046】
そして、位置データ更新部24は、各無線装置の次の回の再測定に基づいて収集した装置間距離および装置間距離の確からしさに基づく装置間距離および装置間距離の確からしさの更新を距離データ更新部23に指示する。
【0047】
以上のように、位置推定装置20は、距離データ更新部23が更新する装置間距離および装置間距離の確からしさに基づいて、位置データ更新部24が各無線装置の相対位置および相対位置の確からしさを更新する。そして、位置データ更新部24は、推定した装置位置の精度をさらに高めるために、距離データ更新部23による装置間距離および装置間距離の確からしさの更新をさらに実行させる。
【0048】
このような距離データ更新部23と位置データ更新部24による更新の繰り返しを実行することにより、高い精度の位置推定結果を得ることができる。
【0049】
第1の実施形態の位置推定方法を説明する。
【0050】
図3は、本発明の第1の実施形態の位置推定方法の処理の流れを説明するフロー図である。
【0051】
第1の実施形態の位置推定方法は以下の処理を行う。
【0052】
位置が未知の各無線装置が所定の周期で出力する、無線信号を送受信して測定した他の無線装置との間の装置間距離と、該装置間距離の測定に用いた無線信号の受信品質に基づいて算出した該装置間距離の確からしさとを収集する(S101)。
【0053】
各無線装置から初回に収集した装置間距離および装置間距離の確からしさに基づいて各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさを算出する(S102)。
【0054】
各無線装置の再測定により収集した装置間距離および装置間距離の確からしさと、該再測定の前の回の装置間距離および装置間距離の確からしさとに基づいて、装置間距離および装置間距離の確からしさを更新する(S103)。なお、再測定の前の回の装置間距離および装置間距離の確からしさとは、前の回に各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさの算出で使用した装置間距離および装置間距離の確からしさのことである。
【0055】
更新した装置間距離および装置間距離の確からしさに基づいて各無線装置の相対位置および相対位置の確からしさを更新する(S104)。
【0056】
更新した各無線装置の相対位置を含む位置推定結果を出力するとともに、ステップS103からの更新処理を繰り返して装置相対位置と相対位置の確からしさをさらに更新する(S105)。つまり、各無線装置の次の回の再測定に基づいて収集した装置間距離および装置間距離の確からしさに基づく装置間距離および前記装置間距離の確からしさの更新からの処理を繰り返す。
【0057】
このようなステップS103とステップS104による更新の繰り返しが行われることにより、高い精度の位置推定結果を得ることができる。
【0058】
第1の実施形態の位置推定プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体について、位置推定プログラムを説明する。
【0059】
図4は、本発明の第1の実施形態の位置推定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0060】
図4を参照すると、位置推定装置20は、一般的なコンピュータ装置と同様のハードウェア構成によって実現することができ、次の構成を備える。
【0061】
ハードウェア構成として位置推定装置20は、制御部であるCPU(Central Processing Unit)31、主記憶部32、補助記憶部33を含む。主記憶部32は、RAM(Random Access Memory)等で構成され、補助記憶部33は、磁気ディスク、半導体メモリ等の不揮発メモリから構成されるハードディスク装置を含む。
【0062】
また、ハードウェア構成として位置推定装置20は、無線通信によりデータの送受信を行う通信制御部34、ディスプレイによる表示部35、キー操作を行う入力部36、上記各構成要素を相互に接続するシステムバス37等を含む。
【0063】
本実施形態の位置推定装置20は、その動作を、位置推定装置20の内部に各機能を実現するプログラムを組み込んだLSI(Large Scale Integration)等のハードウェア部品からなる回路部品を実装して実現してもよい。また、本実施形態の位置推定装置20は、各構成要素の各機能を提供するプログラムを、コンピュータ処理装置上のCPU31で実行することにより、ソフトウェア的に実現してもよい。なお、このプログラムは、CF(Compact Flash(登録商標))及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記録デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記録媒体、又はCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記録媒体などの形態で、流通され得る。このような記録媒体に記録された位置推定プログラムを読み込んで、コンピュータ処理装置上のCPU31で実行することにより、本実施形態の位置推定装置20の機能をソフトウェア的に実現してもよい。
【0064】
すなわち、CPU31は、補助記憶部33に格納されているプログラムを、主記憶部32にロードして実行し、あるいは補助記憶部33上で直接実行し、動作を制御することにより、位置推定装置20の各機能をソフトウェア的に実現する。
【0065】
本発明の第1の実施形態のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体により実現される機能手段の構成を、
図5に示す。
【0066】
本実施形態のプログラムは、コンピュータを、距離測定データ収集機能手段101、初期位置推定機能手段102、距離データ更新機能手段103および位置データ更新機能手段104として機能させる。
【0067】
距離測定データ収集機能手段101は、無線信号を送受信して測定した他の無線装置との間の装置間距離と、該装置間距離の測定に用いた無線信号の受信品質に基づいて算出した該装置間距離の確からしさとを収集する。上記無線信号は、位置が未知の各無線装置が所定の周期で出力する信号である。
【0068】
初期位置推定機能手段102は、各無線装置から初回に収集した装置間距離および装置間距離の確からしさに基づいて、各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさを算出する。
【0069】
距離データ更新機能手段103は、各無線装置の再測定により収集した装置間距離および装置間距離の確からしさと、該再測定の前の回の装置間距離および装置間距離の確からしさとに基づいて、装置間距離および装置間距離の確からしさを更新する。再測定の前の回の装置間距離および装置間距離の確からしさとは、前の回に各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさの算出で使用した装置間距離および装置間距離の確からしさのことである。
【0070】
位置データ更新機能手段104は、距離データ更新機能手段103が更新した装置間距離および装置間距離の確からしさに基づいて各無線装置の相対位置および相対位置の確からしさを更新し、該更新した各無線装置の相対位置を含む位置推定結果を出力する。
【0071】
そして、位置データ更新機能手段104は、各無線装置の次の回の再測定に基づいて収集した装置間距離および装置間距離の確からしさに基づく装置間距離および装置間距離の確からしさの更新を距離データ更新機能手段103に指示する。
【0072】
以上のように、距離データ更新機能手段103が更新する装置間距離および装置間距離の確からしさに基づいて、位置データ更新機能手段104が各無線装置の相対位置および相対位置の確からしさを更新する。
【0073】
そして、位置データ更新機能手段104は、推定した装置位置の精度をさらに高めるために、距離データ更新機能手段103による装置間距離および装置間距離の確からしさの更新をさらに実行させる。
【0074】
このような距離データ更新機能手段103と位置データ更新機能手段104による更新の繰り返しを実行することにより、高い精度の位置推定結果を得ることができる。
【0075】
以上に説明したように、本実施形態では、位置が未知の無線装置が相互に無線通信を行うことで相対的な位置関係を把握するという用途において、高い精度で位置推定を行うことができる。
【0076】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態の位置推定システムの構成を示すブロック図である。
【0077】
第2の実施形態の位置推定システムは、位置が未知の複数の無線装置30と、各無線装置30の相対位置を算出して装置位置推定結果を出力する位置推定装置40と、を含む構成になっている。
【0078】
位置推定装置40は、各無線装置30に対して、他の無線装置との間の距離を測定し、該距離の測定に用いた無線信号の受信品質に基づいて算出した距離測定値の確からしさを報告するように指示する。測定と報告の指示を受けた各無線装置30は、所定の周期で他の無線装置との間の距離を測定し、その距離測定値の確からしさを算出して位置推定装置40に報告する。
【0079】
位置推定装置40は、複数の無線装置30から収集した装置間距離とその装置間距離の確からしさに基づいて、後述する方法により装置相対位置を算出して装置位置推定結果を出力する。そして、位置推定装置40は、無線装置30により繰り返し行われる再測定データを逐次使用して、出力する装置位置推定結果の精度を徐々に高めてゆく。
【0080】
<無線装置間距離の算出>
まず、
図7乃至
図9を参照して、無線装置30による他の無線装置との間の距離の算出について説明する。
【0081】
各無線装置30は他の無線装置との間で無線通信を行い、信号の伝搬遅延時間を測定して距離を算出する。伝搬遅延時間を測定する方法としては、いくつかの方法がある。例えば、各無線装置30はネットワークシステム内で共通のタイマーを保持し、他の無線装置からの信号の送信時刻と、その信号の受信時刻との差から距離を算出するようにしてもよい。また、信号が2つの無線装置間を往復する時間を計測し、その計測した往復時間から2つの無線装置間の距離を算出するようにしてもよい。特許文献6が開示する遅延測定回路では、送信側が送信したタイミングパルス信号を、受信側で折り返して送信側が再受信するラウンドトリップ時間から距離を算出する。
【0082】
図7は、第2の実施形態の位置推定システムで用いる無線装置の構成例を示すブロック図である。
【0083】
本実施形態では、送信側が送信した、拡散符号を用いて拡散されたタイミングパルス信号を、受信側で折り返して送信側に再受信するラウンドトリップ時間から距離を算出する方法を採用している。
【0084】
本実施形態の無線装置30は、タイミングパルス信号生成回路301とデータ変調回路302を含む送信部(TX:Transmitter)、および遅延測定回路304とデータ復調回路305を含む受信部(RX:Receiver)を、備える。その他に、無線信号の送信回路である送信RF(Radio Frequency)回路303、無線信号の受信回路である受信RF回路306、およびプロセッサを備えた制御回路307を含む構成になっている。
【0085】
各無線装置30は、タイミングパルス信号生成回路301を用いて作成したタイミングパルス信号を周辺の他の無線装置に送信し、折り返して戻ってきたタイミングパルス信号の時間差を、遅延測定回路304を用いて測定する。
【0086】
このとき、各無線装置30は、通信が可能な範囲の複数の他の無線装置から折り返して戻ってきたタイミングパルス信号を受信することになる。そして、各無線装置30は、他の無線装置がタイミングパルス信号を折り返す際に挿入する識別情報により、どの無線装置から戻ってきたタイミングパルス信号であるかを識別することができる。
【0087】
制御回路307は、遅延測定回路304が出力するタイミングパルス信号の送受信の時間差に基づいて、他の無線装置との間の距離を算出する。
【0088】
また、各無線装置30は、遅延時間を測定するとともに、その遅延時間を測定するときに用いた受信信号のSN(Signal to Noise)比および受信信号の遅延広がり(遅延スプレッドとも称する。)も測定する。受信信号のSN比および遅延広がりは、後述するように、装置間距離測定値の確からしさの算出に用いる。なお、遅延広がりは、反射波によるマルチパスの遅延特性を表すパラメータで、電力遅延プロファイルの遅延時間に対する標準偏差を表す。
【0089】
なお、遅延時間の測定に基づいて各無線装置30が装置間距離を算出する代わりに、特定の無線装置が遅延時間等を解析して装置間距離を算出するように、構成してもよい。その場合、遅延時間を測定した各無線装置は、測定した遅延時間をデータ変調回路302で変調し、送信RF回路303を介して特定の無線装置に送信する。そして、特定の無線装置では、受信RF回路306を介して受信した無線信号をベースバンド信号に変換し、データ復調回路305でデータを復調し、制御回路307で遅延時間を解析する。
【0090】
図8は、無線装置30の遅延測定回路304の構成例を示すブロック図である。
【0091】
また、
図9は、無線装置30における受信信号の電力プロファイルの例を示す図である。
【0092】
図8の遅延測定回路304は、マッチドフィルタ311、相関係数生成回路312、電力演算回路313およびピーク検出回路314を含む構成になっている。
【0093】
受信RF回路306で受信された周波数が、マッチドフィルタ311に最適な周波数にダウンコンバートされて、マッチドフィルタ311に入力データ(I,Q)が入力される。同時に、相関係数生成回路312からタイミングパルス信号用の相関係数がマッチドフィルタ311に与えられる。
【0094】
マッチドフィルタ311は、入力データとタイミングパルス信号の符号列との相関値を計算して、その相関の程度に応じた相互相関ベクトル値を出力する。
【0095】
マッチドフィルタ311が出力した相互相関ベクトル値は、電力演算回路313で電力に変換され、電力プロファイルが生成される。この電力プロファイルは、
図9のようなピークを持つ波形となる。
【0096】
電力演算回路313が出力した電力プロファイルはピーク検出回路314に入力され、ピーク検出回路314において該電力プロファイルのピーク点の時間を測定することにより、タイミングパルス信号の到達時間が求められる。また、この電力プロファイルから遅延広がりも求めることができる。
【0097】
<無線装置間距離の確からしさの算出>
受信信号のSN比(r)および遅延広がり(d)を用いて、無線装置間距離の確からしさ(σ)を算出する。
【0098】
無線装置間距離の確からしさ(σ)は、その無線装置間距離の測定値の標準偏差を表しており、最も確からしいときは0となるような非負の実数値となる。
【0099】
無線装置間距離の確からしさ(σ)は、下記の式で求める。
【0100】
σ=F(d)・G(r)
ここで、関数F( )、G( )は多項式関数である。その係数は、無線装置固有の値であり、無線装置毎にあらかじめ測定し、引数に対してフィッティングして求めておく。
【0101】
例えば、F(d)=Σai・diという式で表されるとすると、係数aiは実測結果からフィッティングして求めるという意味である。
【0102】
なお、本実施形態では、無線装置間距離の確からしさ(σ)を各無線装置で計算するとしているが、前述したような特定の無線装置で計算してもよい。また、さらに、無線装置間距離と共に無線品質データを位置推定装置40に送って、位置推定装置40が算出するように構成してもよい。
【0103】
<位置推定装置の構成>
各無線装置30が測定して算出したデータである無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさは位置推定装置40により収集され、位置推定装置40が無線装置位置を推定する。なお、以降の説明において、「無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさ」を「無線装置間距離データ等」と称する場合もある。
【0104】
第2の実施形態の位置推定装置40の無線装置位置の推定について説明する。
【0105】
図10は、第2の実施形態の位置推定装置40の構成を示すブロック図である。
【0106】
図10の位置推定装置40は、無線装置間距離測定データ収集部401、初期無線装置位置推定部402、無線装置間距離更新部403、移動ベクトル生成部404および無線装置位置更新部405を含む構成になっている。
【0107】
無線装置間距離測定データ収集部401は、各無線装置30に対して無線装置間距離の測定を指示して、各無線装置30から無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさを測定データとして収集し、蓄積して整理する。前述したように、無線装置30は所定の周期で無線装置間距離の測定を行い、その測定データを位置推定装置40に逐次報告してくる。
【0108】
位置推定装置40では、後述するように初期測定フェーズと再測定フェーズの動作が行われ、再測定フェーズの動作が繰り返し実行されることにより、出力される装置位置推定結果の精度が徐々に高まる。
【0109】
まず、位置推定装置40は初期測定フェーズの動作を実行して、位置が未定の各無線装置の初期無線装置位置を推定する。なお、無線装置位置は相対位置として表現される。つまり、基準とする無線装置を決め、その無線装置の位置座標を基準とした相対座標で他の無線装置の装置位置が表現されるものとする。
【0110】
無線装置間距離測定データ収集部401で収集した、各無線装置30から最初に報告された無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさ(初回測定データ)は、初期無線装置位置推定部402に送られる。また、収集した無線装置間距離データ等に係る無線装置の初期位置が推定されていない場合も、その無線装置間距離データ等は初期無線装置位置推定部402に送られる。
【0111】
初期無線装置位置推定部402は、初回測定データである無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさに基づいて、後述するように初期無線装置位置と無線装置位置の確からしさを推定する。
【0112】
初期無線装置位置では位置推定精度が低いので、位置推定装置40は再測定フェーズの動作を実行して、推定した無線装置位置の推定精度を高める。この再測定フェーズは、終了の条件に達するまでは繰り返して実行される。
【0113】
再測定データを受信した位置推定装置40は、無線装置間距離更新部403、移動ベクトル生成部404および無線装置位置更新部405を用いて再測定データである無線装置間距離データ等に基づいて、無線装置位置の推定精度を高める。
【0114】
つまり、無線装置間距離測定データ収集部401は、各無線装置30から収集した再測定による無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさを、無線装置間距離更新部403に送る。
【0115】
無線装置間距離更新部403は、前の回で使用した無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさと、再測定で収集した無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさとに基づいて、更新した無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさを算出する。ここで、前の回で使用した無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさとは、前の回で無線装置位置の推定に用いた無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさである。つまり、最初に実行される再測定フェーズにおいて、前の回で使用した無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさとは、初期無線装置位置の推定に用いた最初に収集した無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさである。次回以降に実行される再測定フェーズでは、前回の再測定フェーズで無線装置間距離更新部403が更新した無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさである。
【0116】
移動ベクトル生成部404は、更新した無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさを用いて、無線装置位置のずれ方向とずれの量を表すベクトルである移動ベクトルを生成する。移動ベクトル生成の詳細については後述する。
【0117】
そして、無線装置位置更新部405は、その移動ベクトルを用いて無線装置位置を更新する。
【0118】
無線装置位置更新部405は、更新した無線装置位置を装置位置推定結果として出力するとともに、無線装置間距離更新部403に対して次の再測定データによる更新指示を出す。
【0119】
無線装置間距離更新部403は、更新指示に基づいて、無線装置間距離測定データ収集部401から次の再測定に基づく無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさを取得して、無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさのさらなる更新を行う。そして、該更新された無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさに基づいて移動ベクトルが生成されて、それによりさらに更新された無線装置位置が推定結果として得られる。
【0120】
<位置推定方法の処理の流れ>
図11を参照して本発明の第2の実施形態の位置推定方法の処理の流れを説明する。
【0121】
図11は、本発明の第2の実施形態の位置推定方法の処理の流れを説明するフロー図である。
【0122】
上述した位置推定装置40の説明からもわかるように、位置推定方法の処理は初期測定フェーズと再測定フェーズとの2段階に分かれる。初期測定フェーズでは、位置推定を行うすべての無線装置の相対位置およびそれらの位置の確からしさの初期値を求める。再測定フェーズでは、再測定による距離の変化分を考慮して、求めた無線装置位置を更新する。そして、再測定を繰り返すことにより出力する無線装置位置の精度を順次高める。
【0123】
図11において、ステップS201からステップS203の処理は初期測定フェーズである。そして、ステップS204からステップS208が再測定フェーズの処理である。
【0124】
まずは、初期測定フェーズを実施する。
【0125】
位置推定装置40は、各無線装置30に対して周辺の無線装置との間の距離の測定開始を指示する(S201)。例えば、図示しない外部装置から位置推定動作の開始を指示されると、位置推定装置40では無線装置間距離測定データ収集部401が各無線装置30に対する測定開始指示を出すものとする。
【0126】
測定開始の指示を受けた無線装置30は、前述のごとく、無線信号の送受信により測定した他の無線装置との間の距離と、該距離の測定に用いた無線信号の受信品質に基づいて距離測定値の確からしさを算出して位置推定装置40に報告する。そして、無線装置30は、この測定と報告を所定の周期で繰り返して実行する。
【0127】
位置推定装置40では無線装置間距離測定データ収集部401が、各無線装置30が報告する無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさを逐次収集する。
【0128】
無線装置間距離測定データ収集部401は、無線装置30の初回測定に基づく最初に報告を受けた無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさを収集する(S202)と、その初回測定データを初期無線装置位置推定部402に転送する。
【0129】
無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさの初回測定データを受けた初期無線装置位置推定部402は、その無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさに基づいて、無線装置位置と無線装置位置の確からしさの初期値を求める(S203)。
【0130】
なお、各無線装置30は位置が未知なので、特定の基準となる無線装置を決め、その位置座標を(0,0)として、他の無線装置の相対位置座標を無線装置間距離から算出する。すなわち、複数の無線装置30のうち、基準となる無線装置の位置座標を(0,0)としたときの、他の無線装置の相対位置座標を、初期無線装置位置推定部402は算出する。また、算出した無線装置位置の確からしさを、算出に使用した無線装置間距離の確からしさから求める。無線装置位置およびその確からしさの算出の詳細については後述する。
【0131】
位置推定装置40では、上述した無線装置位置(相対位置)とその無線装置位置の確からしさの初期値を、対象とするすべての無線装置に対して求める。
【0132】
対象とするすべての無線装置に対して無線装置位置とその無線装置位置の確からしさの初期値を求めたら、その初期値の精度を高めるために再測定フェーズを実施する。
【0133】
再測定フェーズでは、再測定データを使用して無線装置間距離更新部403による無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさの更新から実施される。
【0134】
初期フェーズの終了時には初期無線装置位置推定部402が、無線装置位置とその無線装置位置の確からしさの初期値を求めた旨を無線装置間距離更新部403に通知する。このとき、求めた無線装置位置とその無線装置位置の確からしさの初期値およびその算出に使用した無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさは、所定の記憶領域に登録されているものとする。
【0135】
再測定フェーズの実施を指示された無線装置間距離更新部403は、無線装置間距離測定データ収集部401に対して再測定データの転送を要求する。
【0136】
無線装置30からの測定データを逐次収集している無線装置間距離測定データ収集部401は、無線装置30から収集した再測定データを、無線装置間距離更新部403からの要求に応じて転送する。なお、無線装置間距離測定データ収集部401は、無線装置間距離更新部403の要求に基づいて無線装置30に対して測定データを送信するように指示し、その指示に基づいて収集した再測定データを転送するように構成してもよい。
【0137】
以上のようにして、無線装置間距離更新部403は、再測定データの無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさを受信する(S204)。
【0138】
無線装置間距離更新部403は、再測定データの無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさを受信すると、無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさを更新する(S205)。この更新処理の詳細は後述するが、再測定データの無線装置間距離と該距離の確からしさと、前の回に無線装置位置と該位置の確からしさの算出に使用した無線装置間距離と該距離の確からしさに基づいて更新する。
【0139】
そして、無線装置間距離更新部403が更新した無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさは、ステップS206で無線装置位置と無線装置位置の確からしさの更新に使用するために、前述した所定の記憶領域に登録される。
【0140】
なお、前の回に無線装置位置と無線装置位置の確からしさの算出に使用した無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさは、所定の記憶領域に登録されている。例えば、この再測定フェーズが、初期測定フェーズの直後に行われる処理であれば、初期測定フェーズで無線装置位置と該位置の確からしさの初期値算出に使用した無線装置間距離と該距離の確からしさが所定の記憶領域に登録されている。また、この再測定フェーズが、その後繰り返し行われる再測定フェーズの処理であれば、前の回のステップS205の処理で無線装置間距離更新部403が更新した無線装置間距離と該距離の確からしさが所定の記憶領域に登録されている。
【0141】
無線装置間距離更新部403は、無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさを更新した旨を移動ベクトル生成部404に通知する。
【0142】
更新された無線装置間距離と無線装置間距離の確からしさに基づいて、無線装置位置と該位置の確からしさが更新される(S206)。
【0143】
無線装置位置とその確からしさの更新処理は、移動ベクトル生成部404と無線装置位置更新部405により行われる。
【0144】
詳細は後述するが、移動ベクトル生成部404は、無線装置間距離更新部403が更新した無線装置間距離と該距離の確からしさを用いて、無線装置位置のずれ方向とずれ量を表すベクトルである移動ベクトルを生成する。そして、無線装置位置更新部405は、その移動ベクトルを用いて無線装置位置と該位置の確からしさを更新する。
【0145】
無線装置位置更新部405は、更新した無線装置位置を装置位置推定結果として、図示しない外部装置に出力する(S207)。
【0146】
そして、無線装置位置更新部405は、処理の終了条件を確認し(S208)、終了条件に至ってない場合には(S208、NO)、再測定データに基づく更新処理を再度実行するように無線装置間距離更新部403に指示を出す。この場合は、ステップS204からステップS208の処理が繰り返される。
【0147】
また、ステップS208において、終了条件に達した場合には(S208、YES)、無線装置位置更新部405は位置推定装置40の処理を終了する。
【0148】
ここで、終了条件は任意に設定できる。たとえば、図示しない外部装置から終了指示を受けた場合を終了の条件としてもよい。再測定フェーズの処理を所定回数実施することを以て、終了の条件としてもよい。また、ステップS206で得られた無線装置位置の確からしさが所定の値に達したことを以て、終了の条件としてもよい。また、このとき、無線装置位置の確からしさが所定の値に達した無線装置の数を指定するようにしてもよい。
【0149】
<無線装置初期位置とその確からしさの推定>
次に、無線装置の初期位置とその確からしさの推定について説明する。
【0150】
ここでは、平面空間における位置が未定の無線装置の相対位置を求める。
【0151】
無線装置初期位置の算出は、各無線装置位置の座標と無線装置間距離の連立方程式を行列式として、無線装置間距離の誤差の2乗平均値が最小になるように求める。
【0152】
例えば、まず、3台の無線装置を選択し、その3台の無線装置間の距離から三角形を作り、その三角形を基準とした無線装置間の相対位置を求める。そして、相対位置が求まったその三角形の各頂点の無線装置をアンカーノードとして、特許文献4(特許5020411号公報)で紹介されているような手法で、他の無線装置の装置位置を順次求める。
【0153】
なお、特許文献4で紹介されている手法では、無線装置間距離の個々の通信状態による確からしさが反映されていないが、本実施形態では、無線装置の初期位置を求めると同時に、その位置の確からしさを計算する。
【0154】
無線装置位置の推定値の確からしさは、無線装置位置の推定値の標準偏差を表し、最も確からしいときは0となる非負の実数値である。
【0155】
無線装置位置の推定値の確からしさは、無線装置位置の確からしさを伝搬させて求める。なお、無線装置位置の確からしさを伝搬させて求めるとは、確定した無線装置位置の確からしさと無線装置間距離の確からしさを使って、別の無線装置の無線装置位置の確からしさを求めることを意味する。言い換えれば、ある無線装置位置の確からしさは、その前に確定した無線装置位置の確からしさと無線装置間距離の確からしさを用いて求めることを意味する。
【0156】
図12は無線装置位置の確からしさの伝搬手法を示す図である。
【0157】
n
0、n
1、n
2は、それぞれ無線装置である。無線装置n
0と無線装置n
1との間の距離をd
01、無線装置n
0と無線装置n
2との間の距離をd
02、そして無線装置n
1と無線装置n
2との間の距離をd
12とする。また、距離d
01の確からしさをσ
01、距離d
02の確からしさをσ
02、そして距離d
12の確からしさをσ
12とする。
【0158】
無線装置n
1の位置の推定値の確からしさσ
1は、正規分布の加法性の定理から、次式で求められる。
【0159】
σ
1=√(σ
02+σ
012)
ここで、σ
0は、無線装置n
0の位置の確からしさを意味し、無線装置n
0は相対位置の基準となる無線装置である。なお、無線装置の位置の確からしさの算出は、相対位置の基準となる無線装置から順に求めるものとし、相対位置の基準となる無線装置の位置の確からしさはσ
0=0として算出済みであるとしている。
【0160】
つまり、無線装置n
1の位置の推定値の確からしさσ
1は、確定している無線装置n
0の位置の確からしさσ
0と、距離d
01の確からしさσ
01を使って求めている。
【0161】
また、無線装置n
2の位置の推定値の確からしさσ
2は次式で求められる。ここでmax()は、括弧内の値のうちで大きい方を抽出する関数を意味する。
【0162】
σ
2=max(√(σ
02+r(θ)・σ
022),√(σ
12+r(φ)・σ
122))
ここで、r(θ)=max(cos(θ),sin(θ))とする。
【0163】
また、θ、φは、余弦定理を用いて以下の式で求められる。
【0164】
θ=acos((d
012+d
022−d
122)/(2d
02・d
01))
φ=acos((d
012+d
122−d
022)/(2d
12・d
01))
このような計算を繰り返すことにより、各無線装置の初期位置の確からしさを順に求めてゆく。角度θは、無線装置n
0と無線装置n
1とを結ぶ線分と、無線装置n
0と無線装置n
2とを結ぶ線分とがなす角度である。角度φは、無線装置n
1と無線装置n
0とを結ぶ線分と、無線装置n
1と無線装置n
2とを結ぶ線分とがなす角度である。
【0165】
<再測定データによる精度の向上>
各無線装置30の初期位置の推定値およびその確からしさを求めたら、無線装置間距離を再測定し、その再測定した無線装置間距離に基づいて漸近的に位置の推定精度を高めてゆく。
【0166】
図13は、無線装置間距離の更新と無線装置位置の更新の処理の流れを説明するフロー図である。この処理フローは、
図11におけるステップS205とS206の処理に相当する。
【0168】
前回の無線装置位置推定に用いた無線装置間距離および該距離の確からしさと、再測定で測定した無線装置間距離および該距離の確からしさに基づいて無線装置間距離および該距離の確からしさを更新する(S301)。前述したように、前回の無線装置位置推定に用いた無線装置間距離および該距離の確からしさは所定の記憶領域に登録されている。そして、当該ステップS301の処理で更新した無線装置間距離および該距離の確からしさはその所定の記憶領域に登録されて、無線装置位置の更新に使われる。
【0169】
ステップS301で更新した無線装置間距離および該距離の確からしさに基づいて、無線装置位置の確からしさを更新する(S302)。
【0170】
前回の無線装置位置推定に用いた無線装置間距離と更新した無線装置間距離との装置間距離の変化分と、ステップS302で更新した無線装置位置の確からしさとに基づいて移動ベクトルを生成する(S303)。
【0171】
前回の無線装置位置に対応する位置ベクトルに、ステップS303で生成した移動ベクトルを加算して、更新した無線装置位置を推定する(S304)。
【0172】
無線装置間距離および該距離の確からしさの更新、無線装置位置の確からしさの更新、移動ベクトルの生成および無線装置位置の更新について順次説明する。
【0173】
<無線装置間距離およびその距離の確からしさの更新>
無線装置間距離更新部403は、無線装置間距離およびその距離の確からしさを次のように更新する。
【0174】
前回の装置位置の推定に用いた無線装置間距離をd
old、その距離の確からしさをσ
oldとする。
【0175】
また、今回の再測定で得られた無線装置間距離をd
meas、その距離の確からしさをσ
measとする。
【0176】
更新後の無線装置間距離d
new、およびその距離の確からしさσ
newは次の式で求める。
【0177】
d
new=((σ
old+β・Te)・d
meas+σ
meas・d
old)/((σ
old+β・Te)+σ
meas)
σ
new=(σ
old+β・Te)・σ
meas/((σ
old+β・Te)+σ
meas)
ここで、Teは算出後経過時間、βは忘却係数とする。
【0178】
算出後経過時間Teとは、前回の距離算出から今回の再測定による距離算出までの経過時間である。忘却係数βはシステムの特性によって、適当な値を設定する。例えば、大きな位置の変動が予想される環境のシステムでは、βを大きくして、古いデータの影響を小さくする。
【0179】
<無線装置位置の確からしさの更新>
移動ベクトル生成部404は、無線装置間距離の更新に伴い無線装置位置の確からしさの更新を行う。更新された無線装置位置の確からしさは、更新された無線装置間距離およびその距離の確からしさを使用して、前述の無線装置初期位置とその確からしさの算出における無線装置位置の確からしさと同様な手法で算出する。
【0180】
<移動ベクトルの生成>
移動ベクトル生成部404は、更新した無線装置位置の確からしさと更新した無線装置間距離を使用して移動方向と変化量を示す移動ベクトルを生成する。移動ベクトルは、無線装置位置を更新するために用いるベクトルであり、無線装置間距離と無線装置位置の確からしさの更新結果を用いて、影響を伝搬させて計算する。
【0181】
なお、「影響を伝搬させて計算する」とは、ある無線装置位置を移動ベクトルに応じて移動させたとした場合、その無線装置位置の移動に応じて、周辺にある他の無線装置に与える影響の度合いを、その無線装置に対する移動ベクトルとして与えることを云う。具体的には、ある移動ベクトルに従って無線装置位置が移動した場合に、無線装置間距離が長くなったり、短くなったりするが、その長さの変化分に、各無線装置位置の確からしさで重みづけ配分して、隣接する無線装置位置に対する移動ベクトルを求める。
【0182】
図14は移動ベクトルの生成手法を示す図である。
【0183】
無線装置間距離の再測定の結果、無線装置n
0と無線装置n
1の距離がd
01からd
01’になった場合、無線装置n
1の移動ベクトルm
1は以下の式で計算する。
【0184】
m
1=((n
1−n
0)/|n
1−n
0|)・(d
01’−d
01)・(σ
1/(σ
0+σ
1))
ここで、n
0は無線装置n
0の位置ベクトル、n
1は無線装置n
1の位置ベクトル、σ
0は無線装置n
0の更新された位置の確からしさ、σ
1は無線装置n
1の更新された位置の確からしさを示す。
【0185】
また、「(n
1−n
0)/|n
1−n
0|」は、無線装置n
0から無線装置n
1に向かう単位ベクトル、「(d
01’−d
01)」は無線装置間距離の変化分、「σ
1/(σ
0+σ
1)」は無線装置n
1の移動距離の重みを示している。つまり、無線装置n
0が移動するにあたって無線装置n
1が受ける影響分(移動ベクトル)を示している。
【0186】
次に、無線装置n
1に隣接する無線装置n
3に対しても、移動ベクトルを計算する。
【0187】
無線装置n
3の移動ベクトルm
3は以下の式で計算する。
【0188】
m
3=m
1・σ
3/(σ
1+σ
3)
ここで、σ
3は無線装置n
3の更新された位置の確からしさを示す。
【0189】
他の隣接する無線装置に対しても同様に移動ベクトルを計算して、移動ベクトルを伝搬させてゆく。ただし、伝搬する無線装置の段数は計算量削減のため、制限しておく。また、別ルートで同じ無線装置に異なる移動ベクトルが設定された場合は、その移動ベクトルを加算することにより相殺する。
【0190】
このような処理を繰り返して、対象とする複数の無線装置の移動ベクトルを順次計算する。
【0191】
<無線装置位置の更新>
移動ベクトル生成部404が生成した移動ベクトルに基づいて、無線装置位置更新部405は無線装置位置を更新する。無線装置位置の更新は、更新前の無線装置位置の位置ベクトルに移動ベクトルを加算することにより行う。
【0192】
以上により、無線装置位置の更新が行われ、無線装置位置の推定結果が出力される。
【0193】
再測定フェーズが繰り返し実行されることにより、再測定データに基づく無線装置間距離の更新と、それに基づく無線装置位置の更新が繰り返され、各再測定フェーズに対応した無線装置位置の推定結果が外部装置に出力される。そして、無線装置間距離の再測定と、無線装置位置の更新を繰り返すことによって、徐々に無線装置位置の推定精度を高めてゆく。
【0194】
例えば、無線装置位置の推定結果が必要な限り、一定の間隔で再測定フェーズを実行して再測定フェーズに対応した無線装置位置の推定結果を出力することにより、移動した無線装置の位置を追随して求めることもできる。無線装置が移動した場合には、一時的に無線装置位置の推定精度が落ちるが、再測定フェーズを繰り返すことにより、位置推定精度を再度高めることができる。
【0195】
(位置推定装置のハードウェア構成)
図15は本発明の第2の実施形態の位置推定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0196】
位置推定装置50は、無線回路501、プロセッサ502、命令メモリ503、共有メモリ504およびデータメモリ505を含む構成になっている。
【0197】
各無線装置が取得した無線装置間距離データ等は位置推定装置50に無線伝送される。
【0198】
位置推定装置50は、無線回路501で無線装置間距離データ等を受信して一旦共有メモリ504に格納する。
【0199】
命令メモリ503には、初期無線装置位置推定機能、無線装置間距離更新機能、移動ベクトル生成機能および無線装置位置更新機能の各手順を記述したプログラムが格納されている。
【0200】
共有メモリ504に格納された無線装置間距離データ等は、プロセッサ502が命令メモリ503に格納された各プログラムを実行することにより処理されて、各無線装置の位置の推定処理が行われる。
【0201】
以上に説明したように、本実施形態によれば、位置が未知の無線装置が相互に無線通信を行うことで相対的な位置関係を把握するという用途において、高い精度で位置推定を行うことができる。
【0202】
なお、上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1) 位置が未知の各無線装置が所定の周期で出力する、無線信号を送受信して測定した他の無線装置との間の装置間距離と、該装置間距離の測定に用いた前記無線信号の受信品質に基づいて算出した該装置間距離の確からしさとを収集する距離測定データ収集手段と、
前記各無線装置から初回に収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさを算出する初期位置推定手段と、
前記各無線装置の再測定により収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさと、該再測定の前の回の前記各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさの算出で使用した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさとに基づいて、前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさを更新する距離データ更新手段と、
前記距離データ更新手段が更新した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置および前記相対位置の確からしさを更新し、該更新した前記各無線装置の相対位置を含む位置推定結果を出力するとともに、前記各無線装置の次の回の再測定に基づいて収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づく前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさの更新を前記距離データ更新手段に指示する位置データ更新手段と、を備えることを特徴とする位置推定装置。
(付記2) 前記装置間距離の確からしさは該装置間距離の測定値の標準偏差を表し、最も確からしいときは0となる非負の実数値であって、前記装置間距離の確からしさを、該装置間距離を測定する際に用いた無線信号の受信品質であるSN比および遅延広がりに基づいて算出したものであることを特徴とする付記1に記載の位置推定装置。
(付記3) 前記各無線装置の相対位置の確からしさは、該相対位置の推定値の標準偏差を表し、最も確からしいときは0となる非負の実数値であって、前記初期位置推定手段は、前記相対位置の確からしさが確定している確定無線装置の相対位置の確からしさと該確定無線装置との間の装置間距離の確からしさとに基づいて算出し、前記確定無線装置のうち、基準とする無線装置の相対位置の確からしさを0として最初に計算することを特徴とする付記1または付記2に記載の位置推定装置。
(付記4) 前記距離データ更新手段は、前回使用した前記装置間距離の確からしさに対して前回の距離算出から今回の再測定による距離算出までの経過時間を考慮して、前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさを更新することを特徴とする付記1乃至3のいずれかの付記に記載の位置推定装置。
(付記5) 前記距離データ更新手段は、システム環境により決まる忘却係数を乗算して前記経過時間を変化させることを特徴とする付記4に記載の位置推定装置。
(付記6) 前記位置データ更新手段は、前記距離データ更新手段が更新した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置の確からしさを更新し、更新した前記装置間距離および該更新した前記各無線装置の相対位置の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置の移動変化量を算出して前記各無線装置の相対位置を更新することを特徴とする付記1乃至5のいずれかの付記に記載の位置推定装置。
(付記7) 前記各無線装置の相対位置の移動変化量は移動方向と変化量を示す移動ベクトルであって、前記位置データ更新手段は、前記移動方向の変化量に前記相対位置の確からしさで重みづけして該移動ベクトルを算出することを特徴とする付記6に記載の位置推定装置。
(付記8) 前記位置データ更新手段は、前回推定した前記無線装置に対応する位置ベクトルに、前記生成した移動ベクトルを加算して前記無線装置の相対位置の更新を行うことを特徴とする付記7に記載の位置推定装置。
(付記9) 位置が未知の各無線装置が、無線信号を送受信して測定した他の無線装置との間の装置間距離と、該装置間距離の測定に用いた前記無線信号の受信品質に基づいて算出した装置間距離の確からしさとを所定の周期で出力する、複数の無線装置と、
前記各無線装置が出力する前記装置間距離と前記装置間距離を収集して、前記各無線装置の装置相対位置を算出して装置位置推定結果を出力する位置推定装置と、を含み、
前記位置推定装置は、
前記各無線装置の測定により初回に収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて、前記各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさを算出する初期位置推定手段と、
前記各無線装置の再測定により収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさと、該再測定の前の回の前記各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさの算出で使用した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさとに基づいて、前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさを更新する距離データ更新手段と、
前記距離データ更新手段が更新した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置および前記相対位置の確からしさを更新し、該更新した前記各無線装置の相対位置を含む位置推定結果を出力するとともに、次の回の再測定に基づいて収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づく前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさの更新を前記距離データ更新手段に指示する位置データ更新手段と、を備えることを特徴とする位置推定システム。
(付記10) 前記装置間距離の確からしさは該装置間距離の測定値の標準偏差を表し、最も確からしいときは0となる非負の実数値であって、前記無線装置は、前記装置間距離の確からしさを、該装置間距離を測定する際に用いた無線信号の受信品質であるSN比および遅延広がりに基づいて算出することを特徴とする付記9に記載の位置推定システム。
(付記11) 前記各無線装置の相対位置の確からしさは、該相対位置の推定値の標準偏差を表し、最も確からしいときは0となる非負の実数値であって、前記初期位置推定手段は、前記相対位置の確からしさが確定している確定無線装置の相対位置の確からしさと該確定無線装置との間の装置間距離の確からしさとに基づいて算出し、前記確定無線装置のうち、基準とする無線装置の相対位置の確からしさを0として最初に計算することを特徴とする付記9または付記10に記載の位置推定システム。
(付記12) 前記距離データ更新手段は、前回使用した前記装置間距離の確からしさに対して前回の距離算出から今回の再測定による距離算出までの経過時間を考慮して、前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさを更新することを特徴とする付記9乃至11のいずれかの付記に記載の位置推定システム。
(付記13)前記距離データ更新手段は、システム環境により決まる忘却係数を乗算して前記経過時間を変化させることを特徴とする付記12に記載の位置推定システム。
(付記14) 前記位置データ更新手段は、前記距離データ更新手段が更新した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置の確からしさを更新し、更新した前記装置間距離および該更新した前記各無線装置の相対位置の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置の移動変化量を算出して前記各無線装置の相対位置を更新することを特徴とする付記9乃至13のいずれかの付記に記載の位置推定システム。
(付記15) 前記各無線装置の相対位置の移動変化量は移動方向と変化量を示す移動ベクトルであって、前記位置データ更新手段は、前記移動方向の変化量に前記相対位置の確からしさで重みづけして該移動ベクトルを算出することを特徴とする付記14に記載の位置推定システム。
(付記16) 前記位置データ更新手段は、前回推定した前記無線装置に対応する位置ベクトルに、前記生成した移動ベクトルを加算して前記無線装置の相対位置の更新を行うことを特徴とする付記15に記載の位置推定システム。
(付記17) 位置が未知の各無線装置が所定の周期で出力する、無線信号を送受信して測定した他の無線装置との間の装置間距離と、該装置間距離の測定に用いた前記無線信号の受信品質に基づいて算出した該装置間距離の確からしさとを収集し、
前記各無線装置から初回に収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさを算出し、
前記各無線装置の再測定により収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさと、該再測定の前の回の前記各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさの算出で使用した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさとに基づいて、前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさを更新し、
更新した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置および前記相対位置の確からしさを更新し、
該更新した前記各無線装置の相対位置を含む位置推定結果を出力するとともに、前記各無線装置の次の回の再測定に基づいて収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づく前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさの更新からの処理を繰り返すことを特徴とする位置推定方法。
(付記18) 前記装置間距離の確からしさは該装置間距離の測定値の標準偏差を表し、最も確からしいときは0となる非負の実数値であって、前記装置間距離の確からしさを、該装置間距離を測定する際に用いた無線信号の受信品質であるSN比および遅延広がりに基づいて算出したものであることを特徴とする付記17に記載の位置推定方法。
(付記19) 前記各無線装置の相対位置の確からしさは、該相対位置の推定値の標準偏差を表し、最も確からしいときは0となる非負の実数値であって、前記相対位置の確からしさが確定している確定無線装置の相対位置の確からしさと該確定無線装置との間の装置間距離の確からしさとに基づいて算出し、前記確定無線装置のうち、基準とする無線装置の相対位置の確からしさを0として最初に計算することを特徴とする付記17または付記18に記載の位置推定方法。
(付記20) 前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさの更新は、前回使用した前記装置間距離の確からしさに対して前回の距離算出から今回の再測定による距離算出までの経過時間を考慮して更新することを特徴とする付記17乃至19のいずれかの付記に記載の位置推定方法。
(付記21)システム環境により決まる忘却係数を乗算して前記経過時間を変化させることを特徴とする付記20に記載の位置推定方法。
(付記22) 更新した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置の確からしさを更新し、更新した前記装置間距離および該更新した前記各無線装置の相対位置の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置の移動変化量を算出して前記各無線装置の相対位置を更新することを特徴とする付記17乃至21のいずれかの付記に記載の位置推定方法。
(付記23) 前記各無線装置の相対位置の移動変化量は移動方向と変化量を示す移動ベクトルであって、前記移動方向の変化量に前記相対位置の確からしさで重みづけして該移動ベクトルを算出することを特徴とする付記22に記載の位置推定方法。
(付記24) 前回推定した前記無線装置に対応する位置ベクトルに、前記生成した移動ベクトルを加算して前記無線装置の相対位置の更新を行うことを特徴とする付記23に記載の位置推定方法。
(付記25) コンピュータを、
位置が未知の各無線装置が所定の周期で出力する、無線信号を送受信して測定した他の無線装置との間の装置間距離と、該装置間距離の測定に用いた前記無線信号の受信品質に基づいて算出した該装置間距離の確からしさとを収集する距離測定データ収集機能手段と、
前記各無線装置から初回に収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさを算出する初期位置推定機能手段と、
前記各無線装置の再測定により収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさと、該再測定の前の回の前記各無線装置の相対位置および該相対位置の確からしさの算出で使用した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさとに基づいて、前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさを更新する距離データ更新機能手段と、
前記距離データ更新機能手段が更新した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置および前記相対位置の確からしさを更新し、該更新した前記各無線装置の相対位置を含む位置推定結果を出力するとともに、前記各無線装置の次の回の再測定に基づいて収集した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づく前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさの更新を前記距離データ更新機能手段に指示する位置データ更新機能手段と、
して機能させるための位置推定プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(付記26) 前記装置間距離の確からしさは該装置間距離の測定値の標準偏差を表し、最も確からしいときは0となる非負の実数値であって、前記装置間距離の確からしさを、該装置間距離を測定する際に用いた無線信号の受信品質であるSN比および遅延広がりに基づいて算出したものであることを特徴とする付記25に記載の位置推定プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(付記27) 前記各無線装置の相対位置の確からしさは、該相対位置の推定値の標準偏差を表し、最も確からしいときは0となる非負の実数値であって、前記初期位置推定機能手段は、前記相対位置の確からしさが確定している確定無線装置の相対位置の確からしさと該確定無線装置との間の装置間距離の確からしさとに基づいて算出し、前記確定無線装置のうち、基準とする無線装置の相対位置の確からしさを0として最初に計算することを特徴とする付記25または付記26に記載の位置推定プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(付記28) 前記距離データ更新機能手段は、前回使用した前記装置間距離の確からしさに対して前回の距離算出から今回の再測定による距離算出までの経過時間を考慮して、前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさを更新することを特徴とする付記25乃至27のいずれかの付記に記載の位置推定プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(付記29)前記距離データ更新機能手段は、システム環境により決まる忘却係数を乗算して前記経過時間を変化させることを特徴とする付記28に記載の位置推定プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(付記30) 前記位置データ更新機能手段は、前記距離データ更新機能手段が更新した前記装置間距離および前記装置間距離の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置の確からしさを更新し、更新した前記装置間距離および該更新した前記各無線装置の相対位置の確からしさに基づいて前記各無線装置の相対位置の移動変化量を算出して前記各無線装置の相対位置を更新することを特徴とする付記25乃至29のいずれかの付記に記載の位置推定プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(付記31) 前記各無線装置の相対位置の移動変化量は移動方向と変化量を示す移動ベクトルであって、前記位置データ更新機能手段は、前記移動方向の変化量に前記相対位置の確からしさで重みづけして該移動ベクトルを算出することを特徴とする付記30に記載の位置推定プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(付記32) 前記位置データ更新機能手段は、前回推定した前記無線装置に対応する位置ベクトルに、前記生成した移動ベクトルを加算して前記無線装置の相対位置の更新を行うことを特徴とする付記31に記載の位置推定プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0203】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0204】
この出願は、2014年9月12日に出願された日本出願特願2014−185980号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。