(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アラインドユニットの先頭領域に設定されたソースパケットは、PCR(Program Clock Reference)タイムスタンプを含まないソースパケットであり、
前記データ処理部は、
前記アラインドユニットの先頭16バイトの平文データ領域からバリエーションデータ識別子を取得する請求項1に記載の情報処理装置。
前記アラインドユニットを構成する先頭のソースパケットのTSパケットヘッダ内のアダプテーションフィールドに記録されたバリエーションデータ識別子は、少なくとも3種類以上の識別子を記録可能な構成を有し、
前記データ処理部は、
3種類以上のバリエーションデータ識別子から、再生パス対応の1つのバリエーションデータ識別子を持つアラインドユニットを選択する請求項1に記載の情報処理装置。
各々に異なる識別情報が埋め込まれ、各々が異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータからなる個別セグメント領域と、単一データからなる共通セグメント領域を有し、選択するバリエーションデータに応じた複数の再生パスを設定可能なコンテンツを生成するデータ処理部を有し、
前記データ処理部は、
前記バリエーションデータの各々を、アラインドユニット単位の細分化データによって構成し、各アラインドユニットの先頭のソースパケットのアダプテーションフィールドにバリエーションデータ識別子を平文データとして記録したコンテンツを生成する情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本開示の情報処理装置、情報記録媒体、および情報処理方法、並びにプログラムの詳細について説明する。なお、説明は以下の項目に従って行なう。
1.再生パス解析に基づく出所追跡処理の概要について
2.コンテンツの記録再生処理について
3.個別セグメント領域の再生時の問題点について
4.アラインドユニット単位の個別セグメント領域データ(バリエーションデータ)設定例について
4−1.ディスク記録データの構成例について
4−2.アラインドユニット単位のバリエーションデータを設定した実施例について
5.再生装置に割り当てられた再生パスに従った再生処理について
6.再生装置におけるバリエーションデータの選択処理例について
7.TSパケットヘッダのアダプテーションフィールドにバリエーションデータ識別子を設定した例について
8.再生装置のコンテンツ再生シーケンスについて
9.コンテンツの編集、生成装置、記録装置について
10.情報処理装置のハードウェア構成例について
11.本開示の構成のまとめ
【0025】
[1.再生パス解析に基づく出所追跡処理の概要について]
まず、再生パス解析に基づく出所追跡処理の概要について説明する。
図1を参照して再生装置に応じたコンテンツの再生パス設定例について説明する。
図1には、例えば映画等のコンテンツを格納したディスクに記録された再生データの構成例と、各再生装置がコンテンツの再生を行なう場合に選択するデータ列、すなわち再生パスを示している。
図1には、以下の2つの再生パスを示している。
(1)再生装置Aの再生パスA
(2)再生装置Bの再生パスB
【0026】
図1(1),(2)に示すAV00〜AV255の各々は、映画等のコンテンツの再生データ、具体的には例えば数秒程度の画像フレームによって構成される画像データである。左から右に再生データが配列されており、再生装置は、AV000から再生を開始してAV255まで再生を行なう。
【0027】
ただし、個別セグメント領域(個別セグメント1〜15)には、複数の同一シーンの画像データが設定されている。例えば個別セグメント1には、
AV001〜AV016の16個の画像データが設定されている。
これらは、同一のシーンの画像データであるが、AV001〜AV0016の16個の画像データは、それぞれ異なる鍵(セグメントキー)で暗号化されている。
この個別セグメント領域に設定された異なる暗号鍵で暗号化されたデータをバリエーションデータと呼ぶ。
【0028】
各再生装置は、自装置に格納された鍵(デバイスキー)等を利用して、コンテンツとともにディスクに格納されたセグメントキーファイルからセグメントキーを取得することができる。
ただし、1つの再生装置に格納されたデバイスキーを用いて取得可能なセグメントキーは、各個別セグメント領域に対して1つのセグメントキーのみである。
すなわち、各再生装置は、各個別セグメント領域(例えば個別セグメント1)の複数のバリエーションデータ(例えばAV001〜AV016)中、1つのバリエーションデータを復号可能なセグメントキーが取得できる。
【0029】
セグメントキーファイルから取得できるセグメントキーの組み合わせは、再生装置に格納されたデバイスキーに応じて異なる設定となる。
再生装置は、セグメントキーファイルから得られたセグメントキーを利用して、1つの個別セグメント領域から、復号可能な1つのバリエーションデータを選択して、復号して再生する。
【0030】
個別セグメント領域以外の1つのデータのみが設定された区間は、単一データ領域、または共通セグメント領域と呼ぶ。例えばAV000、AV017等の再生区間は1つのデータのみが設定されており、すべての再生装置は、この1つのデータのみを再生する。
【0031】
なお、これらの単一データ領域のデータも暗号化データである。
これらのデータは、やはりコンテンツを格納したディスクに格納されたCPSユニットキーファイルから取得可能なCPSユニットキー(タイトルキーとも呼ばれる)を適用して復号することができる。
再生装置は、再生装置に格納されたデバイスキーや、ディスクに格納されたデータを適用した処理によって、CPSユニットキーファイルからCPSユニットキーを取得する。
【0032】
図1に示す例では、コンテンツ中に15個の個別セグメント領域(個別セグメント1〜15)が設定されている。
また、各個別セグメント1〜15の各々には、16個の異なる鍵(セグメントキー)で暗号化されたデータ(バリエーションデータ=異なる鍵で復号可能なデータ)が設定されている。個別セグメント領域に設定される異なる鍵で復号可能な複数のデータの各々をバリエーションデータと呼ぶ。
【0033】
バリエーションデータの復号用の鍵がセグメントキーである。セグメントキーは、例えば、再生対象コンテンツと共にディスクに格納されたセグメントキーファイルから取得可能である。
ただし、セグメントキーファイルに格納されたセグメントキーは、個別に暗号化されており、再生装置は、再生装置に格納されたデバイスキー等を用いた復号処理により一部のセグメントキーを取得できる。
1つの再生装置が取得可能なセグメントキーは、各個別セグメント領域に設定された複数のバリエーションデータの1つのバリエーションデータのみを復号することができる鍵である。
【0034】
再生装置は、各個別セグメント領域について、順次、セグメントキーファイルから取得可能なセグメントキーを取得し、取得したセグメントキーを用いて1つのバリエーションデータを復号して再生処理を実行する。
このように、各再生装置は、1つの個別セグメント領域から、1つの復号可能なバリエーションデータを選択して再生処理を行なう。
異なるデバイスキーを格納した再生装置は、異なる再生パスに従った再生処理を実行することになる。
【0035】
図1(1)に示す例は、再生装置Aの再生パスを示している。
再生装置Aは、以下の各データを、順次、再生する。
AV000→[AV016]→AV017→[AV019]→AV034→[AV035]・・・・→AV238→[AV240]→AV255
これが、再生装置Aの再生パスAである。
なお、上記の再生データ中[AVxxx]のように、[ ]で囲んで示したデータが各個別セグメント領域に設定されたバリエーションデータである。
【0036】
再生装置Aは、個別セグメント領域に設定された16個のバリエーションデータ(暗号化データ)から再生装置Aの所有する鍵(デバイスキー)等を用いて、セグメントキーファイルに格納された暗号化セグメントキーを復号してセグメントキーを取得する。
取得したセグメントキーを適用して復号可能なバリエーションデータを選択して再生を行なう。
[ ]で囲まれていないデータは、個別セグメント領域以外のデータであり、すべての再生装置において共通に再生されるデータである。
【0037】
一方、
図1(2)に示す再生装置Bは、以下の各データを、順次、再生する。
AV000→[AV002]→AV017→[AV020]→AV034→[AV050]・・・・→AV238→[AV239]→AV255
これが、再生装置Bの再生パスBである。
【0038】
上記の再生データ中[AVxxx]のように、[ ]で囲んで示したデータがバリエーションデータである。
再生装置Bは、再生装置Bに格納されたデバイスキーを用いてセグメントキーファイルから一部のセグメントキーを取得する。
さらに、再生装置Bは、取得したセグメントキーを適用して、個別セグメント領域に設定された16個のバリエーションデータ(暗号化データ)から復号可能な1つのバリエーションデータを選択して再生を行なう。
[ ]で囲まれていないデータは、個別セグメント領域以外のデータであり、すべての再生装置において共通に再生されるデータである。
【0039】
再生装置Aの再生パスAと、再生装置Bの再生パスBを比較すると、個別セグメント領域以外の単一データ領域の再生データは共通する。しかし個別セグメント領域において再生するバリエーションデータは、異なるデータとなっている。
これは、再生装置Aと再生装置Bに格納されたデバイスキーが異なり、セグメントキーファイルから取得可能なセグメントキーの組み合わせが異なるからである。
【0040】
各再生パス中の個別セグメント領域に設定されるバリエーションデータには、どのバリエーションデータであるかの識別子、例えば[AVxxx]等のデータ識別子が埋め込まれている。例えば電子透かし(WM:Water Mark)等の技術により識別子が埋め込まれている。
すなわち、再生画像データを解析することで、どのバリエーションデータが再生されたかを判別することができる。
【0041】
図2を参照して、各再生装置による再生画像データと、再生画像データに対する画像解析処理について説明する。
図2に示す情報記録媒体(ディスク)10には、
図1を参照して説明した個別セグメント領域と単一データ領域から構成されるコンテンツが格納されている。
再生装置A,21は、
図1(1)を参照して説明した再生パスAに従ってコンテンツ再生を実行する。
再生装置B,22は、
図1(2)を参照して説明した再生パスBに従ってコンテンツ再生を実行する。
【0042】
再生画像A,31は、1つの個別セグメント領域から選択されたバリエーションデータであり、再生パスAに含まれるバリエーションデータ[AV016]である。
再生画像B,32は、同じ個別セグメント領域から選択された異なるバリエーションデータであり、再生パスBに含まれるバリエーションデータ[AV002]である。
これら2つの再生画像A,Bは、いずれも例えば映画コンテンツの同一シーンの画像であり、視聴者には区別なく鑑賞される画像である。
【0043】
しかし、再生画像A,31は、再生パスAに含まれるバリエーションデータ[AV016]であり、この再生画像A,31には、バリエーションデータ[AV016]であることを示す識別情報(データ識別子)が埋め込まれている。例えば電子透かし(Water Mark)解析処理によって識別子を解析することができる。
なお、このように再生データに埋め込まれた識別情報はフォレンジックマーク(Forensic Mark)、あるいはフォレンジックウォーターマーク(Forensic Water Mark)と呼ばれる。
【0044】
一方の再生画像B,32は、再生パスBに含まれるバリエーションデータ[AV002]であり、この再生画像B,32には、バリエーションデータ[AV002]であることを示す識別情報(データ識別子)が埋め込まれている。
【0045】
図1に示すコンテンツには、15個の個別セグメント領域(個別セグメント1〜15)が設定されている。
例えばネットワーク上から、不正流通したコピーコンテンツが発見された場合、この不正流通コンテンツに含まれる15個の個別セグメント領域における再生画像が、どのバリエーションデータであるかを判別すれば、そのコンテンツの再生パスが明らかになる。
【0046】
例えば、不正に流通しているコピーコンテンツが、
図1に示す再生パスAからなるコンテンツであれば、そのコピーコンテンツは、
図2に示す再生装置Aによって復号されたコンテンツが元データであり、再生装置Aが不正コピーコンテンツの出所であると判断することができる。
【0047】
また、例えば、不正に流通しているコピーコンテンツが、
図1に示す再生パスBからなるコンテンツであれば、そのコピーコンテンツは、
図2に示す再生装置Bによって復号されたコンテンツが元データであり、再生装置Bが不正コピーコンテンツの出所であると判断することができる。
【0048】
個別セグメント領域のデータに基づく具体的な出所追跡処理例について、
図3を参照して説明する。
図3には、コンテンツ構成データの一部領域として、共通セグメント領域、個別セグメント領域、共通セグメント領域の3つの連続セグメント領域を示している。
例えば、個別セグメント領域の1つのバリエーションデータ[AV001]は、信頼度の高い複数メーカーA,B,Cの再生装置の保持するセグメントキーで復号可能なデータとする。
また、個別セグメント領域の1つのバリエーションデータ[AV002]は、信頼度の低い1つの特定メーカーPの再生装置の保持するセグメントキーで復号可能なデータとする。
また、個別セグメント領域の1つのバリエーションデータ[AV003]は、信頼度の低い別の1つの特定メーカーQの再生装置の保持するセグメントキーで復号可能なデータとする。
【0049】
このような設定とした場合、不正流通コンテンツから、個別セグメント領域の1つのバリエーションデータ[AV002]が検出された場合、その不正流通コンテンツの出所元は、特定メーカーPの再生装置であると判断することができる。
同様に、不正流通コンテンツから、個別セグメント領域の1つのバリエーションデータ[AV003]が検出された場合、その不正流通コンテンツの出所元は、特定メーカーQの再生装置であると判断することができる。
【0050】
[2.コンテンツの記録再生処理について]
次に、上記のような設定を持つコンテンツの記録処理と、コンテンツ再生処理のシーケンスについて、
図4を参照して説明する。
図4には、左から、記録装置(Replicator)50、コンテンツを記録する情報記録媒体(ディスク(BD−ROM))60、再生装置(Player)70を示している。
【0051】
まず、記録装置(Replicator)50の実行するコンテンツ記録処理について説明する。
記録装置50は、以下の各データを情報記録媒体60に記録する。
MKB(Media Key Block)51、
KCD(Key Conversion Data)52、
uMKB(unified−Media Key Block)53、
ボリュームID(volume ID)54、
【0052】
MKB(Media Key Block)51、KCD(Key Conversion Data)52、uMKB(unified−Media Key Block)53は、再生装置の保持するデバイスキーセット(Set of Device Keys)71を適用した処理によって、再生装置70固有の再生パス情報を得るために用いる鍵等のデータによって構成される。
ボリュームID(volumeID)54は、例えば特定タイトル対応のコンテンツに対応して設定される識別子であり、再生装置70において、セグメントキーやCPSユニットキーの算出に適用されるデータである。
【0053】
記録装置50は、まず、ステップS11において、共通セグメント領域の復号に適用するCPSユニットキーを格納したCPSユニットキーファィルの暗号化キーと、個別セグメント領域の復号に適用するセグメントキーを格納したセグメントキーファイルの復号に適用する暗号化キーを生成する。
なお、図に示すAES_G、AES_E、AES_Dは、それぞれ、AES暗号アルゴリズムに従ったデータ(乱数等)生成処理、暗号化処理、復号処理を示す。
【0054】
CPSユニットキーファイルの暗号化キーは、ボリュームID54と、メディアキー(Media Key)55−1によって生成する。セグメントキーファイルの暗号化キーは、ボリュームID54と、メデイアキーバリアント(Media Key Variant)55−2を用いて生成する。
【0055】
なお、セグメントキーを格納したセグメントキーファイルには、各個別セグメント領域に設定された全てのバリエーションデータに対応する鍵が暗号化データとして格納される。メデイアキーバリアント(Media Key Variant)55−2は、各バリエーションデータに対応して異なるデータであり、このデータを利用して各セグメントキーに適用するための異なる暗号鍵を生成する。
【0056】
記録装置50は、ステップS12において、CPSユニットキーファイル56−1の暗号化と、セグメントキーファイル56−2の暗号化を実行し、これらを情報記録媒体60に記録する。
さらに、ステップS13において、例えば映画等のコンテンツによって構成されるAVストリーム57に対して、CPSユニットキーファイル56−1から取得されるCPSユニットキーと、セグメントキーファイル56−2から取得するセグメントキーを適用して、それぞれ共通セグメント領域と、個別セグメント領域の暗号化処理を実行して、暗号化コンテンツ(Encrypted AV Stream)を生成して情報記録媒体60に記録する。
【0057】
情報記録媒体60には以下の各データが記録される。
MKB(Media Key Block)61、
KCD(Key Conversion Data)62、
uMKB(unified−Media Key Block)63、
ボリュームID(volume ID)64、
CPSユニットキーファイル&セグメントキーファイル65、
暗号化コンテンツ(Encrypted AV Stream)66、
【0058】
次に、再生装置(Player)70の処理について説明する。
再生装置70は、再生装置固有のデバイスキーセット(Set of Device Keys)71をメモリに格納している。
デバイスキーセット(Set of Device Keys)71は、例えば装置の種類、メーカー等によって異なる設定、あるいは装置1台毎に異なる設定等、様々な設定が可能である。
【0059】
再生装置70は、ステップS21〜S23において、
デバイスキーセット(Set of Device Keys)71と、
情報記録媒体60に記録された以下の各データ、すなわち、
MKB(Media Key Block)61、
KCD(Key Conversion Data)62、
uMKB(unified−Media Key Block)63、
これらの各データを用いた処理を実行して再生パス情報を得る。
この再生パス情報は、再生装置の保持するデバイスキーセット(Set of Device Keys)71に応じて異なるパスとなる。
【0060】
ステップS23において生成される再生パス情報は、各個別セグメント領域において選択再生すべきバリエーションデータを示す情報である。例えば、各個別セグメント領域において選択再生対象となるバリエーションデータを示す情報であり、以下のように個別セグメント領域において選択再生対象となるバリエーションデータの識別子を設定したデータ等によって構成される。
個別セグメント1:バリエーションデータ識別子AV002
個別セグメント2:バリエーションデータ識別子AV001
個別セグメント3:バリエーションデータ識別子AV003
個別セグメント4:バリエーションデータ識別子AV002
: :
【0061】
次に、再生装置70は、ステップS24〜S25において、再生パス情報に添ったセグメント領域のデータの復号に必要となる鍵を算出する。
すなわち、共通セグメント領域構成データの復号に適用するCPSユニットキーと、個別セグメント領域内の1つのバリエーションデータの復号に適用するセグメントキーを算出する。
【0062】
これらの鍵算出には、ディスク60から取得した以下の各データを用いる。
ボリュームID(volume ID)64、
CPSユニットキーファイル&セグメントキーファイル65、
なお、セグメントキーファイル65には個別セグメント領域に含まれる全てのバリエーションデータの復号に適用するセグメントキーが個別の暗号化鍵で暗号化されて格納されている。1つの再生装置70が取得(復号)できるセグメントキーは、1つの個別セグメント領域については1つのセグメントキーのみとなる。すなわち、再生パス情報に応じて選択される1つのバリエーションデータの復号に適用する1つのセグメントキーのみが取得(復号)できる。
これは、再生装置70に格納されたデバイスキーセット71に応じて異なるものとなる。
【0063】
次に、再生装置70は、ステップS26において、ディスクから暗号化コンテンツ66を読み取り、CPSユニットキーと、セグメントキーを適用した復号処理を実行して、復号コンテンツ(AV Stream)を生成して再生処理を実行する。
このようにして、再生装置70は、再生装置固有の再生パスに従ってコンテンツを再生することになる。
【0064】
[3.個別セグメント領域の再生時の問題点について]
図1を参照して説明した共通セグメント領域と、個別セグメント領域が設定されているコンテンツを再生する場合、再生装置は、個別セグメント領域から1つのバリエーションデータを選択して再生する。
【0065】
このようなバリエーションデータの選択再生処理を行なう場合、再生装置は、必要に応じてディスク記録データを読み取る読み取りヘッダ(光学ヘッダ)のジャンプ処理を行なう。
すなわち、ディスクに記録された再生対象とならないバリエーションデータ記録領域をジャンプして、再生対象となるバリエーションデータの記録位置に読み取りヘッダを位置決めして再生するジャンプ再生処理を行なう。
このようなヘッダのジャンプ処理には所定時間を要し、ジャンプ処理時間が長くなると、再生途切れが発生する恐れがある。
【0066】
図5にジャンプ処理の具体例を示す。ディスクには、共通セグメント領域に続いて個別セグメント領域が設定されるが、個別セグメント領域には、複数のバリエーションデータが記録される。図に示す例では、3つのバリエーションデータ[AV001〜AV003]が記録された例を示している。
【0067】
例えば再生装置Aの再生パスは、バリエーションデータ[AV001]を再生するパスである。この場合、再生装置Aは、共通セグメント領域の終了位置Pから、バリエーションデータ[AV001]の記録開始位置Pa1に移動して再生処理を実行する。
再生装置Bの再生パスは、バリエーションデータ[AV002]を再生するパスである。この場合、再生装置Bは、共通セグメント領域の終了位置Pから、バリエーションデータ[AV002]の記録開始位置Pa2に移動して再生処理を実行する。
再生装置Cの再生パスは、バリエーションデータ[AV003]を再生するパスである。この場合、再生装置Cは、共通セグメント領域の終了位置Pから、バリエーションデータ[AV003]の記録開始位置Pa3に移動して再生処理を実行する。
【0068】
図から明らかなように、再生装置Cのジャンプ距離は非常に長くなる。ジャンプ処理中は、再生装置のバッファに格納済みの共通セグメント領域の再生データの再生処理を実行する。しかし、ジャンプ実行時間が長くなると、バッファに格納済みの共通セグメント領域の再生データによる再生時間を超える場合が発生する。このような事態が発生すると再生途切れを起こすことになる。
この問題は、1つの個別セグメント領域に設定する1つのバリエーションデータのディスク上の連続記録領域が長くなるほど発生しやすい。
【0069】
このように、共通セグメント領域と個別セグメント領域が設定されているコンテンツを再生する場合、再生装置は、個別セグメント領域から1つのバリエーションデータを選択しながら再生しなければならず、ジャンプ処理時間が長くなると再生遅延や、再生途切れを発生させる恐れがある。
【0070】
[4.アラインドユニット単位の個別セグメント領域データ(バリエーションデータ)設定例について]
上述したように、1つの個別セグメント領域データ(バリエーションデータ)の記録長を長く設定してしまうと、再生途切れが発生しやすくなるという問題がある。
以下、これらの問題を解決する構成について説明する。
【0071】
以下においては、個別セグメント領域データ(バリエーションデータ)を、アラインドユニットの複数配列構成とした実施例について説明する。
なお、アラインドユニットは、BDフォーマットで規定されるクリップAVストリームファイルの構成データである。
再生対象となる画像等のデータは、192B(バイト)データからなるソースパケットに分割して格納される。
アラインドユニットは、32個のソースパケットによって構成される6144B(バイト)データである。
【0072】
[4−1.ディスク記録データの構成例について]
まず、ソースパケットや、アラインドユニット、およびディスク記録データの構成例について説明する。
図6を参照して、映画等のコンテンツをBD(Blu−ray(登録商標)Disc)に記録する場合の記録フォーマット(BDMVフォーマット)について説明する。
BDMVフォーマットでは、再生対象データである画像(Video)、音声(Audio)、字幕(Subtitle)等のデータをクリップAVストリームファイルに格納して記録する。
【0073】
クリップAVストリームファイルは、188バイトのトランスポートストリーム(TS:Transport Stream)パケットを構成要素として設定されるファイルである。トランスポートストリームパケット、すなわちTSパケットは、MPEG−2TS(Transport stream)フォーマットに従って配列される。
MPEG−2TSフォーマットは、ISO13818−1において標準化されたフォーマットであり、例えばBD(Blu−ray(登録商標) Disc)に対するデータ記録や、デジタル放送等に用いられている。
【0074】
なお、MPEG−2TSフォーマットに従って格納が許容される画像、音声、静止画の符号化データは、例えば以下の符号化データである。
画像:MPEG−1、MPEG−2、AVC(MPEG−4AVC)、HEVC(MPEG−4HEVC)、
音声:MP1,MP2,MP3,リニアPCM,DTS
静止画:JPEG
例えば上記の各符号化データがMPEG−2TSにおいて規定するTS(トランスポートストリーム)パケットに分散して格納される。
【0075】
図6は、例えばROM型のBD(Blu−ray(登録商標) Disc)である情報記録媒体(メディア)80に記録されたBDMVフォーマットに従った記録データのディレクトリを示す図である。
【0076】
ディレクトリは
図6に示すように管理情報設定部81(AACSディレクトリ)と、データ部82(BDMVディレクトリ)に分離されている。
管理情報設定部81(AACSディレクトリ)には、データの暗号化鍵であるCPSユニットキーファイルや、セグメントキーファイル、さらに利用制御情報ファイルなどが格納される。
【0077】
CPSユニットキーファイルには、
図1に示す個別セグメント領域以外の共通セグメント領域(単一データ領域)に設定された暗号化データの復号に適用するCPSユニットキーが暗号化鍵データとして格納されている。
再生装置は、再生装置に格納されたデバイスキーや、ディスクに格納されたデータを適用した処理によって、CPSユニットキーファイルからCPSユニットキーを取得することができる。
【0078】
セグメントキーファイルには、
図1に示す個別セグメント領域に設定されるバリエーションデータの復号に適用するセグメントキーが暗号化鍵データとして格納されている。
再生装置は、再生装置に格納されたデバイスキーや、ディスクに格納されたデータを適用した処理によって、セグメントキーファイルからセグメントキーを取得することができる。
【0079】
ただし、前述したように1つの再生装置に格納されたデバイスキーを用いてセグメントキーファイルから取得できるセグメントキーは、各個別セグメント領域に対して1つのセグメントキーのみである。
すなわち、個別セグメント領域に設定された複数のバリエーションデータの1つを復号するための1つのセグメントキーのみを取得することができる。
セグメントキーファイルから取得可能となるセグメントキーの組み合わせは、再生装置に格納されたデバイスキーに応じて異なる設定となる。
この設定に応じて、再生装置対応の再生パスが設定されることになる。
【0080】
なお、CPSユニットキーファイルからのCPSユニットキーの取得処理、および、セグメントキーファイルからのセグメントキーの取得処理の詳細については、本出願人の先の出願である特許文献1(特開2006−236121号公報)に記載がある。以下に説明する本開示の処理においても、この特許文献に開示済みの処理と同様の処理によってCPSユニットキー、セグメントキーの取得処理が実行される。
【0081】
一方、データ部82のBDMVディレクトリ以下には、
インデックスファイル、
ムービーオブジェクトファイル、
プレイリストファイル、
クリップ情報ファイル、
クリップAVストリームファイル、
BDJOファイル、
例えば、これらのファイルが記録される。
【0082】
インデックスファイルには、再生処理に適用するインデックス情報としてのタイトル情報が格納される。
ムービーオブジェクトファイルは、コンテンツ再生処理に適用する再生処理プログラムである。例えばインデックスファイルに含まれるタイトルによって所定の再生処理プログラムが選択され、コンテンツの再生制御がなされる。
プレイリストファイルは、タイトルによって指定される再生処理プログラムのプログラム情報に従ったコンテンツの再生順等を規定したファイルであり、再生位置情報を持つクリップ情報に対する指定情報を有する。
クリップ情報ファイルは、プレイリストファイルによって指定されるファイルであり、クリップAVストリームファイルの再生位置情報等を有する。
クリップAVストリームファイルは、再生対象となるAVストリームデータを格納したファイルである。
BDJOファイルは、JAVA(登録商標)プログラム、コマンド等を格納したファイルの実行制御情報を格納したファイルである。
【0083】
情報処理装置が情報記録媒体に記録されたコンテンツを再生するシーケンスは以下の通りである。
(a)まず、再生アプリケーションによってインデックスファイルから特定のタイトルを指定する。
(b)指定されたタイトルに関連付けられた再生プログラムが選択される。
(c)選択された再生プログラムのプログラム情報に従ってコンテンツの再生順等を規定したプレイリストが選択される。
(d)選択されたプレイリストに規定されたクリップ情報によって、コンテンツ実データとしてのAVストリームあるいはコマンドが読み出されて、AVストリームの再生や、コマンドの実行処理が行われる。
【0084】
図7は、情報記録媒体(メディア)80に記録される以下のデータ、すなわち、
プレイリストファイル、
クリップ情報ファイル、
クリップAVストリームファイル、
これらのデータの対応関係を説明する図である。
【0085】
実際の再生対象データである画像と音声データからなるAVストリームはクリップAVストリーム(Clip AV Stream)ファイルとして記録され、さらに、これらのAVストリームの管理情報、再生制御情報ファイルとして、プレイリスト(PlayList)ファイルと、クリップ情報(Clip Information)ファイルが規定される。
【0086】
これら複数のカテゴリのファイルは、
図7に示すように、
プレイリスト(PlayList)ファイルを含むプレイリストレイヤ、
クリップAVストリーム(Clip AV Stream)ファイルと、クリップ情報(Clip Information)ファイルからなるクリップレイヤ、
これらの2つのレイヤに区分できる。
【0087】
なお、一つのクリップAVストリーム(Clip AV Stream)ファイルには一つのクリップ情報(Clip Information)ファイルが対応付けられ、これらのペアを一つのオブジェクトと考え、これらをまとめてクリップ(Clip)、あるいはクリップファイルと呼ぶ。
クリップAVストリームファイルに含まれるデータの詳細情報、例えばMPEGデータのIピクチャ位置情報などを記録したEPマップなどの管理情報がクリップ情報ファイルに記録される。
【0088】
クリップAVストリーム(Clip AV Stream)ファイルは、MPEG−2TS(トランスポートストリーム)をBDMVフォーマットの規定構造に従って配置したデータを格納している。この構成の詳細については
図8を参照して後段で説明する。
【0089】
また、クリップ情報(Clip Information)ファイルは、例えば、クリップAVストリームファイルのバイト列データのデータ位置と、時間軸上に展開した場合の再生開始ポイントである(エントリポイント:EP)等の再生時間位置等の対応データ等、クリップAVストリームファイルの格納データの再生開始位置などを取得するための管理情報を格納している。
【0090】
プレイリストは、クリップ(Clip)の再生開始位置や再生終了位置に対応するアクセスポイントを時間軸上の情報であるタイムスタンプで指し示す情報を有する。
例えば、コンテンツの開始点からの再生時間経過位置を示すタイムスタンプに基づいてクリップ情報ファイルを参照して、クリップAVストリームファイルのデータ読み出し位置、すなわち再生開始点としてのアドレスを取得することが可能となる。
クリップ情報ファイル(Clip Information file)は、このタイムスタンプから、クリップAVストリームファイル中のストリームのデコードを開始すべきアドレス情報を見つけるために利用される。
【0091】
このように、プレイリスト(PlayList)ファイルは、クリップ(=クリップ情報ファイル+クリップAVストリームファイル)レイヤに含まれる再生可能データに対する再生区間の指定情報を有する。
プレイリスト(PlayList)ファイルには、1つ以上のプレイアイテム(PlayItem)が設定され、プレイアイテムの各々が、クリップ(=クリップ情報ファイル+クリップAVストリームファイル)レイヤに含まれる再生可能データに対する再生区間の指定情報を有する。
【0092】
再生対象となる画像や音声の実データを格納したクリップAVストリーム(Clip AV Stream)ファイルは、例えば
図8に示すようなMPEG−2トランスポートストリーム(TS:Transport stream)ファイル構造を持つ。
【0093】
図8に示すように、MPEG−2TSフォーマットは、以下の特徴を有する。
1)MPEG−2TSファイルは、整数個のアラインドユニット(Aligned Unit)から構成される。
2)アラインドユニット(Aligned Unit)の大きさは、6kB(=6144バイト(2048×3バイト))である。
3)アラインドユニット(Aligned Unit)は、ソースパケットの第一バイト目から始まる。
4)ソースパケットは、192バイト長である。一つのソースパケットは、TP_extra_headerとTSパケットから成る。TP_extra_headerは、4バイト長であり、またTSパケットは、188バイト長である。
【0094】
5)TSパケットはヘッダ(TPヘッダ)とペイロード部を有する。1つのTSパケットのペイロードには画像、音声等、いずれか一種類のデータの符号化データが格納される。
6)TSパケットのヘッダ(TPヘッダ)にはペイロードのデータ種類を示すPID(プログラムID)が記録される。
7)TSパケットのペイロードは画像や音声等の符号化データであるエレメンタリストリーム(ES)を格納したパケット(パケタイズドエレメンタリストリーム(PES))とPESヘッダ等によって構成される。
8)PESヘッダには、後続のPESパケットに格納されたエレメンタリストリーム(ES)の再生時間情報を示すプレゼンテーション・タイムスタンプ(PTS)や、デコード処理時間を示すデコーディング・タイムスタンプ(DTS)が記録される。
【0095】
さらに、
図8(E)に示すように、TSパケットのヘッダ情報には、以下の各データが格納される。
(a)同期用バイト(Sync byte)
(b)トランスポートエラー識別子(Transport_error_indicator)
(c)ペイロードユニットスタート識別子(Payload_unit_start_indicator)
(d)トランスポートプライオリティ(Transport_priority)
(e)プログラムID(PID)
(f)トランスポートスクランブリングコントロール(Transport scrambling control)
(g)アダプテーションフィールドコントロール(Adaptation field control)
(h)コンティニュイティカウンタ(Continuity counter)
(i)アダプテーションフィールド(Adaptation field)
【0096】
[4−2.アラインドユニット単位のバリエーションデータを設定した実施例について]
次に、アラインドユニット単位でバリエーションデータを設定した実施例について説明する。
【0097】
図9は、アラインドユニット単位のバリエーションデータを設定した実施例について説明する図である。
図9には、以下の各図を示している。
(A)個別セグメント設定態様
(B)ディスク上のデータ記録態様
【0098】
(A)個別セグメント設定態様に示すように、個別セグメント領域は、複数のアラインドユニットによって構成される2つのバリエーションデータを持つ設定である。
本実施例において、各個別セグメント領域は、2つのみのバリエーションデータを有する。
各バリエーションデータは、複数のアラインドユニットによって構成される。
各アラインドユニットは、6144バイトデータである。
【0099】
個別セグメント領域に設定される各バリエーションデータには、バリエーションデータに対応する識別子が電子透かし(Water Mark)として埋め込まれている。
図に示す例では、異なる埋め込み電子透かしデータが記録されたアラインドユニットをアラインドユニット(0b)、アラインドユニット(1b)として示している。
【0100】
個別セグメント領域は、共通セグメント領域と交互に設定される。1つのタイトル対応コンテンツ中に設定する個別セグメント領域の設定数は様々な設定が可能である。例えば数100程度とする。再生装置は、複数種類のセグメントキーと1つのCPSユニットキーを適用して、各再生装置に設定された再生パスに添って、コンテンツを復号して再生する。
【0101】
例えば、
図9(A)に示すように、再生装置Aは、個別セグメント領域−1では、バリエーションデータとしてのアラインドユニット(0b)を選択し、個別セグメント領域−2ではバリエーションデータとしてのアラインドユニット(1b)を選択して再生する。
再生パスは、再生装置の所持するデバイスキーによって決定される。
【0102】
図9(B)は、ディスク上のデータ記録構成を示す図である。
図9(B)に示すように、個別セグメント領域のデータは、各バリエーションデータが6144B(バイト)のアラインドユニット単位で交互に記録される。
すなわち、アラインドユニット(0b)、アラインドユニット(1b)が交互に記録される。
【0103】
このようにデータを記録することで、再生装置がデータ再生時に実行するジャンプ距離を短くすることができる。例えば個別セグメント領域において、アラインドユニット(0b)からなるバリエーションデータを選択して再生する場合、ジャンプ距離は、非再生対象データである6144バイトのアラインドユニット(1b)をジャンブすればよい。6144バイトデータは小さいデータサイズであり大きな距離のジャンプは不要となる。従って、再生データのバッファ済みデータが少ない場合でも、再生途切れの発生を防止できる。
なお、ジャンプ処理を行なわずに全てのデータを読み込み、読み込んだデータから、再生パスに従ったデータのみを選択して再生する処理も可能である。
【0104】
[5.再生装置に割り当てられた再生パスに従った再生処理について]
次に、再生装置に割り当てられた再生パスに従った再生処理例について説明する。
再生装置は、共通セグメント領域のデータと、個別セグメント領域の複数のバリエーションデータから再生パスに従って選択される1つのバリエーションデータを再生する。
図10を参照して、再生装置のデータ再生処理例について説明する。
図10は、再生装置Aの再生パス(P1〜P6)を示している。
【0105】
パスP1は、共通セグメント領域であり、CPSユニットキーを適用した復号処理を実行する。
パスP2〜P4は、個別セグメント領域−1の1つのバリエーションデータを構成する複数のアラインドユニット(0b)の再生処理であり、セグメントキー(VAR_A0)を適用した復号処理を実行して再生する。
パスP5は、共通セグメント領域であり、CPSユニットキーを適用した復号処理を実行する。
パスP6〜は、個別セグメント領域−2の1つのバリエーションデータを構成する複数のアラインドユニット(1b)の再生処理であり、セグメントキー(VAR_B1)を適用した復号処理を実行して再生する。
【0106】
このように再生装置は、各個別セグメント領域から、アラインドユニット単位で交互に記録されている異なるバリエーションデータを1つおきに選択取得して復号処理を行なって再生を実行することが必要である。
【0107】
具体的な再生処理例について、以下の例を説明する。
(再生処理例)フィルタ処理部によるフィルタリング処理を実行して再生パスに応じたデータのみを選択取得して再生する再生処理例
【0108】
図11(A)は、ディスク記録データを示している。さらに再生装置100の再生パスを矢印(P1〜P6)で示している。この再生パスは、
図10を参照して説明した再生パスと同様のパスである。
パスP1は、共通セグメント領域であり、CPSユニットキーを適用した復号処理を実行する。
パスP2〜P4は、個別セグメント領域−1の1つのバリエーションデータを構成する複数のアラインドユニット(0b)の再生処理であり、セグメントキー(VAR_A0)を適用した復号処理を実行して再生する。
パスP5は、共通セグメント領域であり、CPSユニットキーを適用した復号処理を実行する。
パスP6〜は、個別セグメント領域−2の1つのバリエーションデータを構成する複数のアラインドユニット(1b)の再生処理であり、セグメントキー(VAR_B1)を適用した復号処理を実行して再生する。
【0109】
再生装置100は、
図11(A)に示すディスク記録データから、再生パスに従って選択されるセグメント領域のデータを復号して再生する。
図11に示す再生装置100のメディアIF(ドライブ)101は、
図11(A)に示すディスク記録データを読み取り、フィルタ処理部102に出力する。
なお、この例では、データ読み取り時のジャンプ処理を行なうことなく、全てのデータを順次、読み取ってフィルタ処理部102に出力する。
【0110】
フィルタ処理部102は、例えば汎用プロセッサ(General Purpose Processor)によって構成される。
フィルタ処理部102は、予め再生パス情報を取得し、再生パス情報に従って、再生装置100の再生対象データのみを選択して復号部(Decrypt)103に出力する。
なお、再生パス情報は、先に
図4を参照して説明したように、再生装置の保持するデバイスキーを適用した処理によって得られる。
【0111】
フィルタ処理部102は、再生パス情報に従って、共通セグメント領域データと、個別セグメント領域データから選択される1つのバリエーションデータを構成するアラインドユニットを順次、選択して、再生パス対応データ121を生成して復号部103に出力する。
【0112】
復号部(Decrypt)103は、再生パス対応データ121を入力して各セグメント領域対応の鍵を適用した復号処理を実行する。
共通セグメント領域については、CPSユニットキーファイルから取得したCPSユニットキーを適用して復号処理を実行する。
個別セグメント領域から選択されたバリエーションデータを構成するアラインドユニットについては、セグメントキーファイルから取得したセグメントキーを適用して復号処理を実行する。
【0113】
なお、CPSユニットキーファイル、およびセグメントキーファイルは、コンテンツとともにディスクに記録されている。各ファイルから取得した鍵は、セキュアメモリ110に格納して、遂次、切り替えて利用する。
なお、再生装置100がセグメントキーファイルから取得可能なセグメントキーは、1つの個別セグメント領域について、その1つのセグメント領域の複数のバリエーションデータから再生パスに従って選択される1つのバリエーションデータの復号に適用する鍵のみである。
この場合、再生パス対応データ121に含まれる個別セグメント領域内のアラインドユニットの復号に適用するセグメントキーが取得可能である。
【0114】
復号部(Decrypt)103は、再生パス対応データ121を入力して各セグメント領域対応の鍵を適用した復号処理を実行し、復号データを分離部(Demultiplexer)104に出力する。
【0115】
分離部(Demultiplexer)104は、復号部(Decrypt)103から入力する復号データを、データの種類(画像、音声、字幕)に応じて分離して、デコード部(Decode)105に出力する。
なお、データ分離は、例えば各データを格納したTSパケットのヘッダに記録されたPIDを参照して実行される。
【0116】
デコード部105は、画像、音声、字幕の符号化データ各々について、それぞれの符号化態様に応じたデコード処理を実行する。
デコード部105のデコード処理によって生成されたデコード結果が再生データとして出力される。
【0117】
[6.再生装置におけるバリエーションデータの選択処理例について]
上述した実施例では、バリエーションデータの各々は、6144バイトのアラインドユニットによって構成される。
再生装置は、各個別セグメント領域に設定された複数のバリエーションデータである複数のアラインドユニットから1つの再生対象となるアラインドユニット(=バリエーションデータ)を選択して復号し再生処理を実行する。
【0118】
再生装置は、各個別セグメント領域から、自己の再生パスに従って再生対象とする1つのアラインドユニットを選択する必要がある。
アラインドユニットの選択処理に適用するために各アラインドユニットに設定するバリエーションデータ識別子の設定例について
図12を参照して説明する。
【0119】
図12には、以下の各データの構成を示している。
(1)MPEG−2TSファイル
(2)アラインドユニット
【0120】
図12(2)に示す6144バイトのアラインドユニットが、本実施例2における1つのバリエーションデータに対応する。
図12(2)に示すように、6144バイトのアラインドユニットには、2ビットのコピー許容情報設定部(copy permission indicator)が設けられる。
【0121】
バリエーションデータ識別子は、このコピー許容情報設定部(copy permission indicator)に記録することが可能である。
すなわち、コピー許容情報設定部(copy permission indicator)に再生対象となるアラインドユニットであるか否かを判定可能としたバリエーションデータ識別子を設定する。
【0122】
バリエーションデータ[1]
バリエーションデータ[2]
:
バリエーションデータ[n]
このようなバリエーションデータ識別子をアラインドユニットに設定されるコピー許容情報設定部(copy permission indicator)に格納する。
【0123】
図13を参照して、コピー許容情報設定部(copy permission indicator)に、再生対象となるアラインドユニットであるか否かを判定可能としたバリエーションデータ識別子を設定した例について説明する。
【0124】
図13(a)は、従来のコピー許容情報設定部に対するビット値設定例を示した図である。
例えば、設定ビット値=00の場合、このアラインドユニットに格納された再生対象データが非暗号化データ(unencrypted)であることを示している。
また、設定ビット値=11の場合、このアラインドユニットに格納された再生対象データが暗号化データ(encrypted)であることを示している。
その他のビット値=01,10については、定義されておらず、利用されていない。
【0125】
図13(b)は、本実施例に従って、コピー許容情報設定部(copy permission indicator)に、再生対象となるアラインドユニットであるか否かを判定可能としたバリエーションデータ識別子を設定した例である。
【0126】
各ビット値について、以下のように定義する。
設定ビット値=00の場合、このアラインドユニットに格納された再生対象データが非暗号化データ(unencrypted)であることを示す。
また、設定ビット値=11の場合、このアラインドユニットに格納された再生対象データが暗号化データ(encrypted)であることを示す。
これらは、従来と同様である。
【0127】
さらに、
設定ビット値=01の場合、このアラインドユニットに格納された再生対象データが暗号化データ(encrypted)であり、かつ、セグメント領域に設定された1つのバリエーションデータであり、
バリエーションデータ識別子=バリエーションデータ[1]
に対応する暗号化データであることを示す。
設定ビット値=10の場合、このアラインドユニットに格納された再生対象データが暗号化データ(encrypted)であり、かつ、セグメント領域に設定された1つのバリエーションデータであり、
バリエーションデータ識別子=バリエーションデータ[2]
に対応する暗号化データであることを示す。
【0128】
例えば、このようにアラインドユニットのコピー許容情報設定フィールドにバリエーションデータ識別子を設定することが可能である。
再生装置は、セグメント領域に設定される複数のバリエーションデータに対応する複数のアラインドユニットを順次読み取り、各アラインドユニットのコピー許容情報設定フィールドに設定されたバリエーションデータ識別子の設定に基づいて、再生装置による再生対象データを格納したアラインドユニットであるか否かを判別する。
【0129】
[7.TSパケットヘッダのアダプテーションフィールドにバリエーションデータ識別子を設定した例について]
図12、
図13を参照して説明した構成、すなわち、コピー許容情報内にバリエーションデータ識別子を設定する構成では、以下の2通りのバリエーションデータ識別子の設定が可能である。
01:バリエーションデータ[1]を示す。
10:バリエーションデータ[2]を示す。
【0130】
TSパケットのTSパケットヘッダに設定されるコピー許容情報(Copy permission indicator)は、
図13を参照して説明したように、2ビットのデータであり、最大4種類までのデータしか設定できない。すでに2種類(00,11)は、規定されており、残りのビット設定(01,10)を利用して2種類のバリエーションデータ識別子を記録可能としている。
【0131】
しかし、この設定では、個別セグメント領域に設定可能なバリエーションデータは2種類のみとなってしまう。
個別セグメント領域に設定するバリエーションデータの数を増加させるほど、設定可能な再生パスの種類が増加する。例えば不正コピーコンテンツの流出元の特定を行う場合、再生パスの種類が多いほど、より狭い範囲で流失元の再生装置を特定することができる。
【0132】
従って、個別セグメント領域に設定するバリエーションデータの数を多く設定した構成が望ましい。
例えば
図14に示すように、個別セグメント領域に000〜111の8種類の識別子を設定したアラインドユニットからなる8種類のバリエーションデータを設定する構成とすれば、不正コピーコンテンツの流出元を、より狭い範囲で特定することができる。
【0133】
図14において、各個別セグメント領域に示す1つの矩形領域は1つの6144バイトのアラインドユニットである。
再生装置は、1つの個別セグメント領域単位で、8種類(000b〜111b)のバリエーションデータのいずれかを選択して再生する。
例えば個別セグメント領域−1において再生パス情報に従って、バリエーションデータ(000b)を選択した場合、000bの複数のアラインドユニットを、順次、選択して再生する。
【0134】
ディスク上の記録構成は、
図15に示す通りである。
図15に示すように、各個別セグメント領域には、各バリエーションデータが6144B(バイト)のアラインドユニット単位で000b〜111bの8種類の異なる識別データ埋め込みアラインドユニットが繰り返し記録される。
【0135】
このようにデータを記録した場合、再生装置は、個別セグメント記録領域において再生パスに従って1種類の識別子(000b〜111bのいずれか)を記録したアラインドユニットを選択して再生する。例えば000bのアラインドユニットを選択再生する場合、各個別セグメント領域において7つのアラインドユニットのデータ記録領域をジャンプすることが必要となる。しかし、ジャンプ距離は、(6144×7)バイトのデータ記録区間であり、極めて短い距離であるので、再生途切れ等が発生する可能性はないと言える。
従って、再生データのバッファ済みデータが少ない場合でも、再生途切れの発生を防止できる。
なお、ジャンプ処理を行なわずに全てのデータを読み込み、読み込んだデータから、再生パスに従ったデータのみを選択して再生する処理も可能である。
【0136】
図15に示すように様々なバリエーションデータを構成するアラインドユニットがディスク上に記録されている場合、再生装置は、再生パス情報に従って選択再生するアラインドユニットを選択しなければならない。
図14、
図15に示す例では、8種類の異なるバリエーションデータから1つのバリエーションデータに対応するアラインドユニットを順次、選択することが必要となる。
【0137】
再生装置は、先に
図4を参照して説明したように、再生処理に際して再生パス情報を得ることができる。
図4に示すステップS23において生成される再生パス情報は、各個別セグメント領域において選択再生すべきバリエーションデータを示す情報である。例えば、各個別セグメント領域において選択再生対象となるバリエーションデータを示す情報であり、以下のように個別セグメント領域において選択再生対象となるバリエーションデータの識別子を設定したデータ等によって構成される。
個別セグメント1:バリエーションデータ識別子AV002
個別セグメント2:バリエーションデータ識別子AV001
個別セグメント3:バリエーションデータ識別子AV003
個別セグメント4:バリエーションデータ識別子AV002
【0138】
再生装置は、この再生パス情報と、ディスクから読み取ったアラインドユニット各々に記録されたバリエーションデータ識別子を比較して、再生パス情報に一致するバリエーションデータ識別子が記録されたアラインドユニットを選択して、復号、再生することができる。
【0139】
しかし、先に
図12、
図13を参照して説明した構成、すなわち、コピー許容情報内にバリエーションデータ識別子を設定する構成では、以下の2通りのバリエーションデータ識別子のみしか設定できない。
01:バリエーションデータ[1]を示す。
10:バリエーションデータ[2]を示す。
先に
図12、
図13を参照して説明したように、コピー許容情報は2ビット構成であり、既にビット値:00,11については規定されているので、上記の2種類の識別子のみしか設定できない。
【0140】
従って、個別セグメント領域に3種類以上のバリエーションデータを設定する場合、コピー許容情報内にバリエーションデータ識別子を設定する構成は利用できない。
以下、アラインドユニットの先頭部に設定される平文データ領域にバリエーションデータ識別子を記録した構成例について説明する。
【0141】
具体的には、アラインドユニットの先頭部のソースパケットのTSパケットヘッダのアダプテーションフィールドにバリエーションデータ識別子を記録する。このアダプテーションフィールドを利用することで、例えば3以上のバリエーションデータ識別子を記録することができる。具体的には、例えばアダプテーションフィールド中、8ビットをバリエーションデータ識別子記録領域として確保すれば、00000000〜11111111の256種類のバリエーションデータ識別子を記録することができる。
【0142】
図16を参照して、ソースパケットのTSパケットヘッダに設定されるアダプテーションフィールド(Adaptation Field)について説明する。
図16に示す図は、先に
図8を参照して説明したと同様、MPEG−2トランスポートストリーム(TS:Transport stream)ファイル構造を説明する図である。
【0143】
図16に示すように、MPEG−2TSフォーマットは、以下の特徴を有する。
(1)MPEG−2TSファイルは、整数個のアラインドユニット(Aligned Unit)から構成される。
(2)アラインドユニット(Aligned Unit)の大きさは、6kB(=6144バイト(2048×3バイト))である。
(3)アラインドユニット(Aligned Unit)は、192バイトのソースパケットを複数集めた構成である。
ソースパケットは、188バイトのTSパケットを有する。TSパケットはヘッダ(TPヘッダ)とペイロード部を有する。1つのTSパケットのペイロードには画像、音声等、いずれか一種類のデータの符号化データが格納される。
【0144】
(4)TSパケットヘッダは、
図16(4)に示すように、イロードのデータ種類を示すPID(プログラムID)の他、Syncbyte〜Continuitycounterまでの固定情報が4バイト記録される。
アダプテーションフィールド(Adaptation field)は、これらの4バイトの固定情報に続いて設定される。
【0145】
アダプテーションフィールド(Adaptation field)には、ある程度自由なデータを記録することが許容された領域であり、例えば特定の再生アプリケーションによって利用可能な制御データ等を記録することができる。
【0146】
本実施例では、このように、アラインドユニットの先頭部のソースパケットのTSパケットヘッダのアダプテーションフィールドにバリエーションデータ識別子を記録する。このアダプテーションフィールドを利用することで、例えば00000000〜11111111の256種類のバリエーションデータ識別子を記録することができる。
【0147】
図17に、00000000〜11111111の256種類のバリエーションデータ識別子をアダプテーションフィールドに記録した場合のデータ例を示す。
バリエーションデータ識別子:00000000は、この識別子の記録されたアラインドユニットが、バリエーションデータ[0]に属するアラインドユニットであることを示す。
バリエーションデータ識別子:00000001は、この識別子の記録されたアラインドユニットが、バリエーションデータ[1]に属するアラインドユニットであることを示す。
バリエーションデータ識別子:11111111は、この識別子の記録されたアラインドユニットが、バリエーションデータ[255]に属するアラインドユニットであることを示す。
このように、アダプテーションフィールドを利用することで、例えば00000000〜11111111の256種類のバリエーションデータ識別子を記録することができる。
【0148】
図17に示す例は、8ビット(1バイト)のバリエーションデータ識別子を設定した例である。バリエーションデータ識別子として利用するビット数は様々な設定が可能である。例えば3ビット設定とすれば、
図14に示す例に対応する000〜111の8種類のバリエーションデータ識別子を記録可能となる。
【0149】
なお、
図16(2)に示すように、6144バイトのアラインドユニットは、先頭16バイトのみが平文データとして設定され、残りは暗号化データによって構成される。
再生装置が、アラインドユニットからバリエーションデータ識別子を読み取り、確認する処理は、復号処理を行なう前に実行する必要があり、バリエーションデータ識別子は16バイトの平文データ内に記録することが必要である。
【0150】
アダプテーションフィールド(Adaptation field)は、コンテンツ再生に適用するための様々なデータの記録領域として利用される。
その1つとしてPCR(Program Clock Reference)タイムスタンプがある。
PCR(Program Clock Reference)タイムスタンプは、TSパケット内のペイロードとして格納された画像等のデータ再生の再生時間を制御するために用いられるタイムスタンプ情報であり、例えばBD−ROMの規定では、再生時間100msec以内に必ず1つ記録するように規定されている。
【0151】
すなわち、100msec内の間隔(インターバル)毎にPCRタイムスタンプの記録されたTSパケットを含むソースパケットを設定することが必要となる。
PCRタイムスタンプはTSパケットヘッダのアダプテーションフィールドに記録される。
図18に、以下の2種類のTSパケットヘッダ構成例を示す。
(a)PCRタイムスタンプを含まないソースパケットのTSパケットヘッダ
(b)PCRタイムスタンプの記録されたソースパケットのTSパケットヘッダ
【0152】
MPEG−2TSフォーマットデータには、少なくともこれら2種類の異なる構成を持つTSパケットヘッダの設定されたソースパケットが混在した構成となる。
図19に、これら異なるソースパケットの混在したアラインドユニット構成例を示す。
図19に示すように、
図18(b)に示すPCRタイムスタンプの記録されたTSパケットヘッダを持つソースパケットは、インターバル100msec内に必ず1つは設定される。
【0153】
アダプテーションフィールドにPCRタイムスタンプが記録されると、バリエーションデータ識別子の記録領域がアダプテーションフィールドの後半部に移動することになり、この結果、バリエーションデータ識別子の記録領域がアラインドユニットに規定される先頭16バイトの平文領域(
図16(2)参照)に入らず、暗号化領域に入ってしまう場合がある。
この問題について、
図20以下を参照して説明する。
【0154】
図20は、(A)6144バイトのアラインドユニットと、(B)アラインドユニット先頭部のソースパケットの先頭データ領域(平文データ領域)を示している。
図20に示す例は、アダプテーションフィールドにPCRタイムスタンプが記録されていない場合の例である。
図20(B)に示すソースパケットの先頭データ領域は、16バイトの平文領域に相当する。
図20(B)に示すソースパケットの先頭データ領域は、先頭から以下のデータによって構成される。
(1)4バイトのTPエクストラヘッダ
(2)4バイトのTSパケットヘッダ固定情報(
図16(4)参照)
(3)2バイトのアダプテーションフィールド構成情報
(4)6バイト以下のバリエーションデータ識別子記録領域
アラインドユニットの先頭部の16バイトの平文領域は、上記(1)〜(4)のデータによって構成することができる。
【0155】
すなわち、バリエーションデータ識別子記録領域として6バイトまでの平文記録領域を確保することができる。例えば1バイト(8ビット)確保できれば、00000000〜11111111の256種類のバリエーションデータ識別子を記録することができる。
【0156】
次に、
図21を参照して、アダプテーションフィールドにPCRタイムスタンプが記録されている場合の例について説明する。
図21は、(A)6144バイトのアラインドユニットと、(B)アラインドユニット先頭部のソースパケットの先頭データ領域を示している。
【0157】
図21(B)に示すソースパケットの先頭データ領域には、16バイトの平文領域と、その後の暗号化データ領域を示している。
図21(B)に示すソースパケットの先頭データ領域は、先頭から以下のデータによって構成される。
(1)4バイトのTPエクストラヘッダ
(2)4バイトのTSパケットヘッダ固定情報(
図16(4)参照)
(3)2バイトのアダプテーションフィールド構成情報
(4)6バイトのPCRタイムスタンプ記録領域
アラインドユニットの先頭部の16バイトの平文領域は、上記(1)〜(3)のデータと(4)PCRタイムスタンプによってすべて利用されることになる。
【0158】
この結果、PCRタイムスタンプに後続して記録されるバリエーションデータ識別子の記録領域は、アラインドユニットの先頭16バイトの平文領域に入らず、暗号化データ領域に属することになる。
【0159】
このように、バリエーションデータ識別子の記録領域が、暗号化データ領域に属すると、再生装置は、アラインドユニットの平文データ領域からバリエーションデータ識別子を取得できなくなる。
従って、再生パス情報に応じて、再生対象となるアラインドユニット(バリエーションデータ)を選択することができなくなる。
【0160】
このような事態が発生することを防止するため、コンテンツ編集時に、アラインドユニットの先頭領域に設定するソースパケットには、PCRタイムスタンプを設定しないようにコンテンツを生成する。
具体例について、
図22を参照して説明する。
【0161】
図22には、コンテンツ(MPEG−2TSフォーマットコンテンツ)を構成する一部の6144バイトのアラインドユニット配列を示している。
図には、3つの連続する6144バイトアラインドユニットを示している。
各アラインドユニットは、192バイトのソースパケットによって構成されている。
また、各アラインドユニットの先頭16バイトのみが平文データ領域であり、残りは暗号化データ領域である。
【0162】
アラインドユニット内には多数のソースパケットが設定されるが、前述したように、最大100msecインターバル内に1つのPCRタイムスタンプを含むソースパケットを設定することが必要となる。
この規定を順守し、かつ、アラインドユニットの先頭のソースパケット、すなわち16バイト平文領域の設定されるソースパケットにはPCRタイムスタンプを記録しない設定とする。
【0163】
図22に示す3つのアラインドユニットの先頭に設定されるソースパケットのTSパケットヘッダには、PCRタイムスタンプが記録されていない。すなわち、
図20を参照して説明したTSパケットヘッダを持つソースパケットとする。
このような設定を持つコンテンツを作成することで、アラインドユニット先頭の16バイト平文領域から、確実にバリエーションデータ識別子を平文データのまま読み取ることが可能となる。
【0164】
このようにアラインドユニットの先頭部のソースパケットにPCRタイムスタンプを記録しない設定としたコンテンツを構成するアラインドユニット先頭のデータ構成例を
図23に示す。
図23には、以下の各データを示している。
(a)アラインドユニット(6144バイト)
(b)アラインドユニット先頭のソースパケット(192バイト)
(c)アラインドユニット先頭のソースパケット内のTSパケット(188バイト)
【0165】
図23(c)に示すように、アラインドユニット先頭のソースパケット内のTSパケットは、TSパケットヘッダとTSペイロードによって構成される。
TSパケットヘッダには、バリエーションデータ識別子を記録したアダプテーションフィールドが含まれる。
このアダプテーションフィールドのバリエーションデータ識別子記録領域は、アラインドユニットの先頭16バイト領域に確実に含まれる。すなわち、再生装置はアラインドユニットの先頭部の平文データ領域から、確実にバリエーションデータ識別子を読み取ることができる。
【0166】
[8.再生装置のコンテンツ再生シーケンスについて]
次に、
図14〜
図23を参照して説明した構成を持つコンテンツを再生する再生装置の再生シーケンスについて、
図24に示すフローチャートを参照して説明する。
再生対象コンテンツは、
図14に示すように、個別セグメント領域に3以上のバリエーションデータを有するコンテンツであり、バリエーションデータは、
図15に示すようにアラインドユニット単位で配列されている。
各アラインドユニットの先頭平文データ領域にはバリエーションデータ識別子が記録されており、再生装置は、再生パス情報(
図4のステップS23において取得)に一致するバリエーションデータ識別子の記録されたアラインドユニットを選択して、復号、再生を行なう。
【0167】
図24に示すフローチャートを参照して、再生装置の実行する処理シーケンスについて説明する。
図24に示すフローは、再生装置に装着されたメディア、例えばBD等のディスクに格納されたコンテンツを再生する処理のシーケンスを説明するフローである。
図24に示すフローに従った処理は、再生装置のデータ処理部が、再生装置の記憶部に格納されたプログラムに従って実行する。
データ処理部は、プログラム実行機能を有するCPU等を備えている。
以下、各ステップの処理について順次、説明する。
【0168】
(ステップS101)
まず、再生装置のデータ処理部は、例えばユーザによって指定された再生対象コンテンツを再生する再生制御情報ファイルであるプレイリストファイルを取得する。
再生対象コンテンツを格納したディスクには、先に
図6を参照して説明したディレクトリに従った各データが格納されている。
再生装置は、ユーザによる再生指定コンテンツの再生を実行するために適用するプレイリストファイルを選択する。
【0169】
(ステップS102)
次に、再生装置は、ステップS102において、ステップS101で選択したプレイリストファイルに従って選択されるクリップファイル(クリップ情報ファイル、クリップAVストリームファイル)を取得して、再生処理を開始する。
先に
図6、
図7を参照して説明したように、プレイリストファイルは、再生対象コンテンツを格納したクリップAVストリームファイルやクリップ情報ファイルと対応付けられている。
再生装置は、プレイリストファイルの記述に従って、再生対象コンテンツを格納したクリップファイル(クリップAVストリームファイル+クリップ情報ファイル)を取得する。
【0170】
(ステップS103)
次に、再生装置は、ステップS103において、プレイリストファイルによって選択されるクリップAVストリームファイルの構成データであるアラインドユニットを順次、取得する。
【0171】
(ステップS104)
次に、再生装置は、ステップS104において、取得したアラインドユニットの先頭のソースパケットのTSパケットヘッダ内のアダプテーションフィールドに格納されたバリエーションデータ識別子を取得する。
先に
図15〜
図23を参照して説明したように、アラインドユニットの先頭のソースパケットのTSパケットヘッダ内のアダプテーションフィールドに格納されたバリエーションデータ識別子は、アラインドユニットの先頭の16バイト平文データ領域に含まれる。
従って、再生装置は、各アラインドユニットから、アラインドユニット対応のバリエーションデータ識別子を平文データとして読み取ることができる。
【0172】
(ステップS105)
再生装置は、ステップS105において、バリエーションデータ識別子が、自装置の再生パスに従った再生対象となるアラインドユニット(バリエーションデータ)であるか否かを判定する。
なお、この判定処理は、再生装置に割り当てられた再生パスに従ったバリエーションデータ識別子のデータから得ることができる。
【0173】
バリエーションデータ識別子が、自装置の再生パスに従った再生対象となるアラインドユニット(バリエーションデータ)でないことが確認された場合、ステップS103に戻り、次のアラインドユニットを取得して、ステップS104以下の処理を実行する。
【0174】
一方、ステップS105において、バリエーションデータ識別子が、自装置の再生パスに従った再生対象となるアラインドユニット(バリエーションデータ)であることが確認された場合、すなわち再生装置が取得可能なセグメントキーによる復号が可能な再生データを格納したアラインドユニットであることを示す値であることが確認された場合、ステップS106に進む。
【0175】
(ステップS106)
ステップS105において、バリエーションデータ識別子の値が自装置の再生パスに従った再生対象となるアラインドユニット(バリエーションデータ)である、すなわち復号可能な再生データを格納したアラインドユニットであることを示す値であることが確認された場合、再生装置は、ステップS106において、アラインドユニットの構成データからTSパケットのペイロードを取り出す。TSペイロードには再生対象データ、たとえば画像データの暗号化データが格納されている。
【0176】
再生装置は、TSペイロードに格納された暗号化データを復号して再生する。
なお、復号に適用する鍵は、個別セグメント領域のバリエーションデータである場合は、セグメントキーファイルから取得するセグメントキーである。
個別セグメント領域以外の共通セグメント領域のデータに対しては、CPSユニットキーを適用する。
セグメントキーは、再生装置に格納されたデバイスキー等を適用することで、セグメントキーファイルから取得可能な鍵である。
【0177】
セグメントキーファイルの構成例を
図25に示す。
各再生装置は、自装置に格納された鍵(デバイスキー)等を利用して、コンテンツとともにディスクに格納されたセグメントキーファイルからセグメントキーを取得することができる。
ただし、1つの再生装置に格納されたデバイスキーを用いて取得可能なセグメントキーは、1つの個別セグメント領域に設定された複数のバリエーションデータに含まれる1つのバリエーションデータのみを復号可能な設定である。
【0178】
再生装置は、セグメントキーファイルから得られたセグメントキーを利用して、1つの個別セグメント領域から、復号可能な1つのバリエーションデータを選択して、復号処理を行ない再生する。なお、復号処理は、アラインドユニット単位で実行する。1つの個別セグメント領域の1つのバリエーションデータを構成する複数のアラインドユニットの復号には1つのセグメントキーを共通に利用可能である。
【0179】
セグメントキーファイルから取得可能となるセグメントキーの組み合わせは、再生装置に格納されたデバイスキーに応じて異なる設定となる。
再生装置は、セグメントキーファイルから得られたセグメントキーを利用して、1つの個別セグメント領域から、復号可能な1つのバリエーションデータを選択して、復号処理を実行して再生する。
【0180】
図25に示すように、セグメントキーファイルには、以下の各データが格納される。
(1)個別セグメント領域開始ソースパケットナンバー(Start SPN)
(2)個別セグメント領域終了ソースパケットナンバー(End SPN)
(3−1〜n)バリエーション対応暗号化セグメントキー(VAR_0〜n)
【0181】
(1)個別セグメント領域開始ソースパケットナンバー(Start SPN)は、各個別セグメント領域の開始位置のソースパケットを識別するソースパケット識別子である。
(2)個別セグメント領域終了ソースパケットナンバー(End SPN)は、各個別セグメント領域の終了位置のソースパケットを識別するソースパケット識別子である。
再生装置のデータ処理部は、各個別セグメント領域の開始SPNと終了SPNに基づいて、セグメントキーの適用領域を判別する。
【0182】
(3−1〜n)バリエーション対応暗号化セグメントキー(VAR_0〜n)は、各個別セグメント領域に設定されるバリエーションデータの復号に適用するセグメントキーを暗号化した暗号化セグメントキーである。
なお、このセグメントキーファイルの例は、1つの個別セグメント領域にn個のバリエーションデータを設定した例に相当する。
【0183】
なお、暗号化セグメントキーは、前述したように、再生装置に格納されたデバイスキー等を利用したデータ処理によって復号可能である。
ただし、1つの再生装置は、1つの個別セグメント領域用の復号キーとして1つのセグメントキーのみしか取得できない。
【0184】
図24に示すフローに戻り、再生処理シーケンスについての説明を続ける。
ステップS106では、アラインドユニットの構成データからTSパケットのペイロードを取り出して、復号処理を行なう。復号に適用する鍵は、個別セグメント領域のバリエーションデータである場合は、セグメントキーファイルから取得するセグメントキーである。個別セグメント領域以外の共通セグメント領域のデータに対しては、CPSユニットキーを適用する。
【0185】
(ステップS107)
再生装置は、ステップS107において、再生対象コンテンツを構成する全てのアラインドユニットに対する処理が完了したか否かを判定し、未処理のアラインドユニットがある場合は、ステップS103に戻り、未処理のアラインドユニットに対して、ステップS103以下の処理を実行する。
ステップS107において、再生対象コンテンツを構成する全てのアラインドユニットに対する処理が完了したと判定した場合は、処理を終了する。
【0186】
本実施例では、1つのバリエーションデータを6144バイトの1つのアラインドユニットによって構成している。
さらに、再生装置による再生可否判定処理をアラインドユニット内に設定したデータによって判定する構成としている。
【0187】
本実施例の構成、すなわちアラインドユニット単位のバリエーションデータの設定により、以下の効果が得られる。
(効果1)再生装置による再生可否判定処理をアラインドユニット内に設定したバリエーションデータ識別子によって判定する構成であり、バリエーションデータ識別子の設定により、より多くの再生パスを設定することが可能である。
【0188】
(効果2)1つのバリエーションデータであるアラインドユニットのデータ量は6144バイトと小さいため、バリエーションデータによるディスクの記録領域の占有率を小さく抑えることができる。
【0189】
(効果3)本実施例では、再生装置は、再生処理に際して、セグメント領域のアラインドユニットを順次、読み出してバリエーションデータ識別子の設定が再生可のアラインドユニットを選択して再生する構成であり、再生処理に際してジャンプ処理を伴わない再生が可能となる。
【0190】
[9.コンテンツの編集、生成装置、記録装置について]
上述した構成を持つコンテンツ、すなわち、各々に異なる識別情報が埋め込まれ、各々が異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータからなる個別セグメント領域と、単一データからなる共通セグメント領域を有し、選択するバリエーションデータに応じた複数の再生パスを設定可能なコンテンツは、コンテンツ編集装置、コンテンツ生成装置等の情報処理装置において生成される。生成されたコンテンツが記録部を持つ情報処理装置によって、情報記録媒体に記録される。
【0191】
コンテンツ編集装置、コンテンツ生成装置等の情報処理装置のデータ処理部は、バリエーションデータの各々を、MPEG−2TSフォーマットにおいて規定されるアラインドユニット単位の細分化データによって構成し、各アラインドユニットの先頭のソースパケットのアダプテーションフィールドにバリエーションデータ識別子を平文データとして記録したコンテンツを生成する。
また、このコンテンツ生成処理に際して、データ処理部は、アラインドユニットの先頭領域に設定された平文データ領域にバリエーションデータ識別子を記録する。さらに、データ処理部は、アラインドユニットの先頭領域に設定するソースパケットを、PCR(Program Clock Reference)タイムスタンプを含まないソースパケットとする処理を実行する。
このようにして生成されたコンテンツは、データ記録部を有する情報処理装置を介して情報記録媒体に記録される。
【0192】
[10.情報処理装置のハードウェア構成例について]
次に、上述した実施例において説明した構成を持つコンテンツの再生処理、あるいはコンテンツの生成処理や記録処理を実行する情報処理装置のハードウェア構成例について、
図26を参照して説明する。
【0193】
CPU(Central Processing Unit)501は、ROM(Read Only Memory)502、または記憶部508に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行するデータ処理部として機能する。例えば、上述した実施例において説明したシーケンスに従った処理を実行する。RAM(Random Access Memory)503には、CPU501が実行するプログラムやデータなどが記憶される。これらのCPU501、ROM502、およびRAM503は、バス504により相互に接続されている。
【0194】
CPU501はバス504を介して入出力インタフェース505に接続され、入出力インタフェース505には、各種スイッチ、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部506、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部507が接続されている。CPU501は、入力部506から入力される指令に対応して各種の処理を実行し、処理結果を例えば出力部507に出力する。
【0195】
入出力インタフェース505に接続されている記憶部508は、例えばハードディスク等からなり、CPU501が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部509は、インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介したデータ通信の送受信部、さらに放送波の送受信部として機能し、外部の装置と通信する。
【0196】
入出力インタフェース505に接続されているドライブ510は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいはメモリカード等の半導体メモリなどのリムーバブルメディア511を駆動し、データの記録あるいは読み取りを実行する。
【0197】
なお、データの符号化あるいは復号は、データ処理部としてのCPU501の処理として実行可能であるが、符号化処理あるいは復号処理を実行するための専用ハードウェアとしてのコーデックを備えた構成としてもよい。
【0198】
[11.本開示の構成のまとめ]
以上、特定の実施例を参照しながら、本開示の実施例について詳解してきた。しかしながら、本開示の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本開示の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0199】
なお、本明細書において開示した技術は、以下のような構成をとることができる。
(1) コンテンツの再生処理を実行するデータ処理部を有し、
前記コンテンツは、各々に異なる識別情報が埋め込まれ、各々が異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータからなる個別セグメント領域と、単一データからなる共通セグメント領域を有し、
前記バリエーションデータの各々は、MPEG−2TSフォーマットにおいて規定されるアラインドユニット単位の細分化データによって構成され、
前記データ処理部は、
メモリに保持されたデバイスキーを適用して再生パスを算出し、
前記個別セグメント領域の複数のバリエーションデータを構成する複数のアラインドユニットから、再生パスに対応する1つのバリエーションデータ対応のアラインドユニットを順次、選択して再生する構成であり、
前記データ処理部は、
前記アラインドユニットを構成する先頭のソースパケットのTSパケットヘッダ内のアダプテーションフィールドに記録されたバリエーションデータ識別子に基づいて、前記再生パス対応のアラインドユニットを選択する情報処理装置。
【0200】
(2) 前記データ処理部は、
前記アラインドユニットの先頭領域に設定された平文データ領域からバリエーションデータ識別子を取得する(1)に記載の情報処理装置。
【0201】
(3) 前記アラインドユニットの先頭領域に設定されたソースパケットは、PCR(Program Clock Reference)タイムスタンプを含まないソースパケットであり、
前記データ処理部は、
前記アラインドユニットの先頭16バイトの平文データ領域からバリエーションデータ識別子を取得する(1)または(2)に記載の情報処理装置。
【0202】
(4) 前記データ処理部は、
再生パスに対応した1つのバリエーションデータに属するアラインドユニットを、前記バリエーションデータ識別子に基づいて選択するフィルタ処理部を有する(1)〜(3)いずれかに記載の情報処理装置。
【0203】
(5) 前記データ処理部は、
前記個別セグメント領域から選択した再生パス対応の1つのバリエーションデータ対応のアラインドユニットに格納された暗号化データを、セグメントキーファイルから取得したセグメントキーを用いて復号する(1)〜(4)いずれかに記載の情報処理装置。
【0204】
(6) 前記アラインドユニットを構成する先頭のソースパケットのTSパケットヘッダ内のアダプテーションフィールドに記録されたバリエーションデータ識別子は、少なくとも3種類以上の識別子を記録可能な構成を有し、
前記データ処理部は、
3種類以上のバリエーションデータ識別子から、再生パス対応の1つのバリエーションデータ識別子を持つアラインドユニットを選択する(1)〜(5)いずれかに記載の情報処理装置。
【0205】
(7) 各々に異なる識別情報が埋め込まれ、各々が異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータからなる個別セグメント領域と、単一データからなる共通セグメント領域を有し、
選択するバリエーションデータに応じた複数の再生パスを設定可能なコンテンツを記録データとして格納した情報記録媒体であり、
前記バリエーションデータの各々は、MPEG−2TSフォーマットにおいて規定されるアラインドユニット単位の細分化データによって構成され、各アラインドユニットの先頭のソースパケットのアダプテーションフィールドにはバリエーションデータ識別子が平文データとして記録された構成であり、
再生装置が、前記アラインドユニットを構成する先頭のソースパケットのTSパケットヘッダ内のアダプテーションフィールドに記録されたバリエーションデータ識別子に基づいて、前記再生パス対応のアラインドユニットを選択してコンテンツ再生を行なうことを可能とした情報記録媒体。
【0206】
(8) 前記アラインドユニットの先頭領域に設定されたソースパケットは、PCR(Program Clock Reference)タイムスタンプを含まないソースパケットであり、
前記再生装置が、前記アラインドユニットの先頭16バイトの平文データ領域からバリエーションデータ識別子を取得することを可能とした(7)に記載の情報記録媒体。
【0207】
(9) 各々に異なる識別情報が埋め込まれ、各々が異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータからなる個別セグメント領域と、単一データからなる共通セグメント領域を有し、選択するバリエーションデータに応じた複数の再生パスを設定可能なコンテンツを生成するデータ処理部を有し、
前記データ処理部は、
前記バリエーションデータの各々を、MPEG−2TSフォーマットにおいて規定されるアラインドユニット単位の細分化データによって構成し、各アラインドユニットの先頭のソースパケットのアダプテーションフィールドにバリエーションデータ識別子を平文データとして記録したコンテンツを生成する情報処理装置。
【0208】
(10) 前記データ処理部は、
前記アラインドユニットの先頭領域に設定された平文データ領域にバリエーションデータ識別子を記録する(9)に記載の情報処理装置。
【0209】
(11) 前記データ処理部は、
前記アラインドユニットの先頭領域に設定するソースパケットを、PCR(Program Clock Reference)タイムスタンプを含まないソースパケットとする処理を実行する(9)または(10)に記載の情報処理装置。
【0210】
(12) 前記情報処理装置は、
前記データ処理部の生成したコンテンツを情報記録媒体に記録するデータ記録部を有する(9)〜(11)いずれかに記載の情報処理装置。
【0211】
(13) 情報処理装置において実行する情報処理方法であり、
前記情報処理装置は、コンテンツ再生処理を実行するデータ処理部を有し、
前記コンテンツは、各々に異なる識別情報が埋め込まれ、各々が異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータからなる個別セグメント領域と、単一データからなる共通セグメント領域を有し、
前記バリエーションデータの各々は、MPEG−2TSフォーマットにおいて規定されるアラインドユニット単位の細分化データによって構成され、
前記データ処理部は、
メモリに保持されたデバイスキーを適用して再生パスを算出し、
前記個別セグメント領域の複数のバリエーションデータを構成する複数のアラインドユニットから、再生パスに対応する1つのバリエーションデータ対応のアラインドユニットを順次、選択して再生する処理を実行し、
前記データ処理部は、
前記アラインドユニットを構成する先頭のソースパケットのTSパケットヘッダ内のアダプテーションフィールドに記録されたバリエーションデータ識別子に基づいて、前記再生パス対応のアラインドユニットを選択する情報処理方法。
【0212】
(14) 情報処理装置において実行する情報処理方法であり、
前記情報処理装置は、コンテンツ生成処理を実行するデータ処理部を有し、
前記データ処理部は、
各々に異なる識別情報が埋め込まれ、各々が異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータからなる個別セグメント領域と、単一データからなる共通セグメント領域を有し、選択するバリエーションデータに応じた複数の再生パスを設定可能なコンテンツを生成し、
前記データ処理部は、
前記バリエーションデータの各々を、MPEG−2TSフォーマットにおいて規定されるアラインドユニット単位の細分化データによって構成し、各アラインドユニットの先頭のソースパケットのアダプテーションフィールドにバリエーションデータ識別子を平文データとして記録したコンテンツを生成する情報処理方法。
【0213】
(15) 情報処理装置において情報処理を実行させるプログラムであり、
前記情報処理装置は、コンテンツ再生処理を実行するデータ処理部を有し、
前記コンテンツは、各々に異なる識別情報が埋め込まれ、各々が異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータからなる個別セグメント領域と、単一データからなる共通セグメント領域を有し、
前記バリエーションデータの各々は、MPEG−2TSフォーマットにおいて規定されるアラインドユニット単位の細分化データによって構成され、
前記プログラムは、前記データ処理部に、
メモリに保持されたデバイスキーを適用して再生パスを算出する処理と、
前記個別セグメント領域の複数のバリエーションデータを構成する複数のアラインドユニットから、再生パスに対応する1つのバリエーションデータ対応のアラインドユニットを順次、選択して再生する処理を実行させ、
さらに、前記データ処理部に、
前記アラインドユニットを構成する先頭のソースパケットのTSパケットヘッダ内のアダプテーションフィールドに記録されたバリエーションデータ識別子に基づいて、前記再生パス対応のアラインドユニットを選択する処理を実行させるプログラム。
【0214】
(16) 情報処理装置において情報処理を実行させるプログラムであり、
前記情報処理装置は、コンテンツ生成処理を実行するデータ処理部を有し、
前記プログラムは、前記データ処理部に、
各々に異なる識別情報が埋め込まれ、各々が異なる鍵で復号可能な複数のバリエーションデータからなる個別セグメント領域と、単一データからなる共通セグメント領域を有し、選択するバリエーションデータに応じた複数の再生パスを設定可能なコンテンツを生成させ、
さらに、前記データ処理部に、
前記バリエーションデータの各々を、MPEG−2TSフォーマットにおいて規定されるアラインドユニット単位の細分化データによって構成し、各アラインドユニットの先頭のソースパケットのアダプテーションフィールドにバリエーションデータ識別子を平文データとして記録したコンテンツを生成させるプログラム。
【0215】
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0216】
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。